特許第6186045号(P6186045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186045
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】抗体−薬物コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/22 20060101AFI20170814BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALN20170814BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20170814BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20170814BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20170814BHJP
【FI】
   C07D491/22CSP
   !A61K31/4745ZNA
   !A61P35/00
   !C07K16/28
   !A61K39/395 L
【請求項の数】3
【全頁数】182
(21)【出願番号】特願2016-117096(P2016-117096)
(22)【出願日】2016年6月13日
(62)【分割の表示】特願2014-540755(P2014-540755)の分割
【原出願日】2013年10月10日
(65)【公開番号】特開2016-196484(P2016-196484A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-225887(P2012-225887)
(32)【優先日】2012年10月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100105991
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100114465
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(72)【発明者】
【氏名】益田 剛
(72)【発明者】
【氏名】内藤 博之
(72)【発明者】
【氏名】中田 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌生
(72)【発明者】
【氏名】蘆田 真二
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 裕司
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】阿部 有生
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 祐輔
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−538629(JP,A)
【文献】 特表2008−521828(JP,A)
【文献】 特表2005−511627(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/000734(WO,A1)
【文献】 特開平11−092405(JP,A)
【文献】 特開平10−095802(JP,A)
【文献】 特許第5953378(JP,B1)
【文献】 特許第6030267(JP,B1)
【文献】 特開平06−087746(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/021397(WO,A1)
【文献】 特表2007−527872(JP,A)
【文献】 特表2010−513524(JP,A)
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2011年,Vol.54,p.4077-4091
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 491/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化合物。
HO-CH2-C(=O)-(NH-DX)。
(ここで、-(NH-DX)は次式:
【化1】
で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基を示す。)
【請求項2】
腫瘍及び/又は癌治療用の次の化合物。
HO-CH2-C(=O)-(NH-DX)。
(ここで、-(NH-DX)は次式:
【化2】
で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基を示す。)
【請求項3】
腫瘍及び/又は癌細胞内に抗腫瘍薬を送達し、該抗腫瘍薬から次の薬物誘導体を遊離させ、
NH2-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
該薬物誘導体の自己分解によって前記化合物を生じさせるように用いられる、請求項2記載の化合物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍細胞を標的にできる抗体と抗腫瘍性薬物とをリンカー構造部分を介して結合させた、抗腫瘍薬として有用な抗体−薬物コンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
癌細胞表面に発現し、かつ細胞に内在化できる抗原に結合する抗体に、細胞毒性のある薬物を結合させた抗体−薬物コンジュゲート(Antibody-Drug Conjugate;ADC)は、癌細胞に選択的に薬物を送達できることによって、癌細胞内に薬物を蓄積させ、癌細胞を死滅させることが期待できる(非特許文献1〜3参照)。ADCとして例えば、抗CD33抗体にカリチアマイシンを結合させたMylotarg(ゲムツズマブオゾガマイシン)は急性骨髄性白血病の治療薬として認可されている。また、抗CD30抗体にオーリスタチンEを結合させたAdcetris(ブレンツキシマブベドティン)はホジキンリンパ腫と未分化大細胞リンパ腫の治療薬として最近認可された(非特許文献4参照)。これまでに認可されたADCに含有される薬物は、DNA、又はチューブリンを標的としている。
【0003】
抗腫瘍性の低分子化合物としてトポイソメラーゼIを阻害して抗腫瘍作用を発現する化合物であるカンプトテシン誘導体が知られている。その中で下式
【0004】
【化1】
【0005】
で示される抗腫瘍性化合物(エキサテカン、化学名:(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン)は、水溶性のカンプトテシン誘導体である(特許文献1、2)。現在臨床で用いられているイリノテカンとは異なり、酵素による活性化が不要である。また、イリノテカンの薬効本体であるSN-38や、同じく臨床で用いられているトポテカンよりもトポイソメラーゼI阻害活性が強く、in vitroで種々の癌細胞に対して、より強い殺細胞活性を有している。特にP-glycoproteinの発現によってSN-38等に耐性を示す癌細胞に対しても効果を示した。また、マウスのヒト腫瘍皮下移植モデルでも強い抗腫瘍効果を示し、臨床試験が行われたが上市には至っていない(非特許文献5〜10参照)。エキサテカンがADCとして有効に作用するかについては明らかではなかった。
【0006】
DE-310は、生分解性のカルボキシメチルデキストランポリアルコールポリマーにエキサテカンをGGFGペプチドスペーサーを介して結合させた複合体である(特許文献3)。エキサテカンを高分子プロドラッグ化することによって、高い血中滞留性を保持させ、さらに腫瘍新生血管の透過性の亢進と腫瘍組織滞留性を利用して、受動的に腫瘍部位への指向性を高めたものである。DE-310は、酵素によるペプチドスペーサーの切断によって、活性本体であるエキサテカン、およびグリシンがアミノ基に結合しているエキサテカンが持続的に遊離される。その結果、薬物動態が改善され、非臨床試験における種々の腫瘍の評価モデルにおいて、DE-310はエキサテカンの投与量がエキサテカン単剤の投与時よりも減少しているのにも拘らず、エキサテカン単剤の投与時よりもより高い有効性を示した。DE-310に関しては臨床試験が実施され、ヒトにおいて有効例が確認され、活性本体が正常組織よりも腫瘍に集積することが確認されたという報告がある一方で、ヒトにおける腫瘍へのDE-310及び活性本体の集積は正常組織への集積と大差なく、ヒトでは受動的なターゲティングは見られなかったとの報告もある(非特許文献11〜14参照)。結果としてDE-310も上市には至らず、エキサテカンがこのようなターゲティングを指向した薬物として有効に機能するかについては明らかではなかった。
DE-310の関連化合物として、-NH(CH2)4C(=O)-で示される構造部分を-GGFG-スペーサーとエキサテカンの間に挿入し、-GGFG-NH(CH2)4C(=O)-をスペーサー構造とする複合体も知られているが(特許文献4)、同複合体の抗腫瘍効果については全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−59061号公報
【特許文献2】特開平8−337584号公報
【特許文献3】国際公開WO1997/46260パンフレット
【特許文献4】国際公開WO2000/25825パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Ducry, L., et al. Bioconjugate Chem. (2010) 21, 5-13.; Antibody-Drug Conjugates: Linking cytotoxic payloads to monoclonal antibodies.
【非特許文献2】Alley, S. C., et al. Current Opinion in Chemical Biology (2010) 14, 529-537.; Antibody-drug conjugates: targeted drug delivery for cancer.
【非特許文献3】Damle N.K. Expert Opin. Biol. Ther. (2004) 4, 1445-1452.; Tumour-targeted chemotherapy with immunoconjugates of calicheamicin.
【非特許文献4】Senter P. D., et al. Nature Biotechnology (2012) 30, 631-637.; The discovery and development of brentuximab vedotin for use in relapsed Hodgkin lymphoma and systemic anaplastic large cell lymphoma.
【非特許文献5】Kumazawa, E., Tohgo, A., Exp. Opin. Invest. Drugs (1998) 7, 625-632.; Antitumour activity of DX-8951f: a new camptothecin derivative.
【非特許文献6】Mitsui, I., Kumazawa, E., Hirota, Y., et al. Jpn J. Cancer Res. (1995) 86, 776-786.; A new water-soluble camptothecin derivative, DX-8951f, exhibits potent antitumor activity against human tumors in vitro and in vivo.
【非特許文献7】Takiguchi, S., Tohgo, A., et al. Jpn J. Cancer Res. (1997) 88, 760-769.; Antitumor effect of DX-8951, a novel camptothecin analog, on human pancreatic tumor cells and their CPT-11-resistant variants cultured in vitro and xenografted into nude mice.
【非特許文献8】Joto, N. et al. Int J Cancer (1997) 72, 680-686.; DX-8951f, a water-soluble camptothecin analog, exhibits potent antitumor activity against a human lung cancer cell line and its SN-38-resistant variant.
【非特許文献9】Kumazawa, E. et al. Cancer Chemother. Pharmacol. (1998) 42, 210-220.; Potent and broad antitumor effects of DX-8951f, a water-soluble camptothecin derivative, against various human tumors xenografted in nude mice.
【非特許文献10】De Jager, R., et al. Ann N Y Acad Sci (2000) 922, 260-273.; DX-8951f: summary of phase I clinical trials.
【非特許文献11】Inoue, K. et al. Polymer Drugs in the Clinical Stage, Edited by Maeda et al. (2003), 145-153.; CM-dextran-polyalcohol-camptothecin conjugate, DE-310 with a novel carrier system and its preclinical data.
【非特許文献12】Kumazawa, E. et al. Cancer Sci (2004) 95, 168-175.; DE-310, a novel macromolecular carrier system for the camptothecin analog DX-8951f: Potent antitumor activities in various murine tumor models.
【非特許文献13】Soepenberg, O. et al. Clinical Cancer Research, (2005) 11, 703-711.; Phase I and pharmacokinetic study of DE-310 in Patients with Advanced Solid Tumors.
【非特許文献14】Wente M. N. et al. Investigational New Drugs (2005) 23, 339-347.; DE-310, a macromolecular prodrug of the topoisomerase-I-inhibitor exatecan (DX-8951), in patients with operable solid tumors.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
抗体による腫瘍の治療においては、抗体が抗原を認識して腫瘍細胞に結合しても抗腫瘍効果が十分でない場合が観察されることもあり、より効果の高い抗腫瘍抗体が必要とされる場合がある。また、抗腫瘍性の低分子化合物においては、抗腫瘍効果に優れていても副作用や毒性面等、安全性上の問題を有するものが多く、低分子抗腫瘍化合物については、安全性をより高めてより優れた治療効果を獲得することも課題である。すなわち本発明は、抗腫瘍効果と安全性面に優れる、優れた治療効果を有する抗腫瘍薬を獲得して提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは抗腫瘍性化合物であるエキサテカンを、リンカー構造部分を介して、腫瘍細胞を標的にできる抗体、すなわち、腫瘍細胞を認識できる特性、腫瘍細胞に結合できる特性、腫瘍細胞に内在化できる特性、あるいは腫瘍細胞に細胞障害性を有する特性のいずれか一又はそれ以上の特性を備えた抗体、に結合させた化合物である抗体−薬物コンジュゲートに変換することによって、腫瘍細胞に細胞障害性を有する抗体であればその細胞障害性の増強が達成できること、さらに抗腫瘍性化合物を腫瘍細胞により確実に移動させて当該化合物の抗腫瘍効果を腫瘍細胞で特異的に発揮させることができること、したがって抗腫瘍効果の確実な発揮とともに抗腫瘍性化合物の投与量が当該化合物の単体投与時よりも減少させることができるのでより高い安全性を達成できること、が可能と考えた。
このために本発明者らは特定の構造のリンカーを創出し、このリンカーを介して抗体とエキサテカンとを結合させた抗体−薬物コンジュゲートを獲得することに成功し、そしてこの化合物が優れた抗腫瘍効果を発揮することを見出して本発明を完成させたのである。
【0011】
すなわち本願発明は、
[1]次式
【化2】

で示される抗腫瘍性化合物と抗体とを次式:
-L-L-L-NH-(CH2)n-L-L-L-
で示される構造のリンカーを介して結合させたことを特徴とする抗体−薬物コンジュゲートに関するものである。
【0012】
ここで、抗体はLの末端において結合し、抗腫瘍性化合物は、1位のアミノ基の窒素原子を結合部位として、Lの末端において結合し、
式中、
nは、0から6の整数を示し、
Lは、-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n-C(=O)-、-CH2-C(=O)-NH-(CH2)n-C(=O)-、-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-、又は-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-を示し、
ここで、nは、2から8の整数を示し、nは、1から8の整数を示し、nは、1から8の整数を示し、
Lは、-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-、-S-(CH2)n-C(=O)-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、nは、1から6の整数を示し、
Lは、2から7個のアミノ酸で構成されるペプチド残基を示し、
Lは、-C(=O)-NH-、-NR-(CH2)n-、-O-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、Rは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示すが、nは、整数の1から4を示し、nは、1から6の整数を示し、
Lは、-CR(-R)-、-O-、-NR-、又は単結合を示し、
ここで、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-NH2、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示し、Rは、水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を示し、nは、0から6の整数を示し、nは、整数の1から4を示し、nは、整数の1から4を示すが、nが0であるときは、R及びRは同一とはならず、
Lは、-CH2-又は-C(=O)-を示し、
-(Succinimid-3-yl-N)-は次式:
【化3】

で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
-(N-ly-3-diminiccuS)-は次式:
【化4】

で示される構造であり、このものの3位でLと結合し、1位の窒素原子上でこの構造を含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
cyc.Hex(1,4)は1,4-シクロへキシレン基を示し、
Lが-S-(CH2)n-C(=O)-のとき、Lは-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-となる。
【0013】
さらに本願発明は以下の各々に関するものでもある。
[2]Lが、-C(=O)-である[1]に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[3]抗体とLとの結合が、
抗体のヒンジ部に存在するジスルフィド結合部分において形成させたチオエーテル結合、
抗体のヒンジ部に存在するジスルフィド結合部分において形成させたジスルフィド結合、又は
抗体を構成するアミノ酸の側鎖上に存在するアミノ基または末端のアミノ基において形成させたアミド結合、
である[1]又は[2]に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[4]Lのペプチド残基が、フェニルアラニン、グリシン、バリン、リシン、シトルリン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸から選ばれるアミノ酸からなるアミノ酸残基である[1]から[3]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[5]Lが、4個のアミノ酸で構成されるペプチド残基である[1]から[3]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[6]Lが、-GGFG-である[1]から[3]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
【0014】
[7]次式
【化5】

で示される抗腫瘍性化合物と抗体とを次式:
-L-L-L-NH-(CH2)n-L-L-L-
で示される構造のリンカーを介して結合させたことを特徴とする抗体−薬物コンジュゲート。
【0015】
ここで、抗体はLの末端において結合し、抗腫瘍性化合物は、1位のアミノ基の窒素原子を結合部位として、Lの末端において結合し、
式中、
nは、0から6の整数を示し、
Lは、-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n-C(=O)-、-CH2-C(=O)-NH-(CH2)n-C(=O)-、-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-、又は-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-を示し、
ここで、nは、2から8の整数を示し、nは、1から8の整数を示し、nは、1から8の整数を示し、
Lは、-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-、-S-(CH2)n-C(=O)-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、nは、1から6の整数を示し、
Lは、GGFGのテトラペプチド残基を示し、
Lは、-O-又は単結合を示し、
Lは、-CR(-R)-又は単結合を示し、
ここで、R及びRは水素原子を示し、
Lは-C(=O)-を示し、
-(Succinimid-3-yl-N)-は次式:
【化6】

で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
-(N-ly-3-diminiccuS)-は次式:
【化7】

で示される構造であり、このものの3位でLと結合し、1位の窒素原子上でこの構造を含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
cyc.Hex(1,4)は1,4-シクロへキシレン基を示し、
Lが-S-(CH2)n-C(=O)-のとき、Lは-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-となる。
【0016】
[8]Lが、-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n-C(=O)-又は-CH2-C(=O)-NH-(CH2)n-C(=O)-である[1]から[7]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[9]Lが、-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n-C(=O)-である[1]から[7]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[10]Lが、-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-又は-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-である[1]から[7]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[11]nが、2から5の整数であって、Lが、単結合である[1]から[9]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[12]nが、2から5の整数であって、Lが、-NH-(CH2CH2O)n-CH2-CH2-C(=O)-であり、nが、2又は4である[1]から[9]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[13]-NH-(CH2)n-L-L-L-が、4から7原子の鎖長を有する部分構造である[1]から[12]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[14]-NH-(CH2)n-L-L-L-が、5又は6原子の鎖長を有する部分構造である[1]から[12]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[15]-NH-(CH2)n-L-L-L-が、
-NH-(CH2)3-C(=O)-、
-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-、又は
-NH-(CH2)2-O-CH2-C(=O)-
である[1]から[14]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
【0017】
[16]薬物−リンカー構造部分が、次の薬物−リンカー構造の群から選ばれる1種の薬物−リンカー構造である[1]から[15]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート:
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
【0018】
ここで、-(Succinimid-3-yl-N)-は次式:
【化8】

で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
-(N-ly-3-diminiccuS)-は次式:
【化9】

で示される構造であり、このものの3位でLと結合し、1位の窒素原子上でこの構造を含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
cyc.Hex(1,4)は1,4-シクロへキシレン基を示し、
-(NH-DX)は次式:
【化10】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基を示し、
-GGFG-は、-Gly-Gly-Phe-Gly-のペプチド残基を示す。
【0019】
[17]-L-L-L-NH-(CH2)n-L-L-L-に薬物を結合させた薬物−リンカー構造部分が、次の群から選ばれる1種の薬物−リンカー構造である[1]から[9]および[11]から[14]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート:
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)。
【0020】
ここで、-(Succinimid-3-yl-N)-は次式:
【化11】

で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
-(NH-DX)は次式:
【化12】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基を示す。
【0021】
[18]次式
【化13】

で示される抗腫瘍性化合物と抗体とを次式:
-L-L-L-NH-(CH2)n-L-L-L-
で示される構造のリンカーを介して結合させたことを特徴とする抗体−薬物コンジュゲート。
ここで、抗体はLの末端において結合し、抗腫瘍性化合物はLの末端において結合し、
式中、
nは、0から6の整数を示し、
Lは、-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n-C(=O)-を示し、抗体のヒンジ部に存在するジスルフィド結合部分において形成させたチオエーテル結合を介して抗体に結合するが、
ここで、nは、2から8の整数を示し、
Lは、-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、
Lは、GGFGのテトラペプチド残基を示し、
Lは、-O-又は単結合を示し、
Lは、-CR(-R)-又は単結合を示し、
ここで、R及びRは水素原子を示し、
Lは-C(=O)-を示し、
-(Succinimid-3-yl-N)-は次式:
【化14】

で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合する。
【0022】
[19]nが2であり、Lが-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-であって、nが2であり、nが3であり、LおよびLがいずれも単結合であるか、
nが5であり、Lが単結合であり、nが1であり、Lが-O-であり、 Lが-CR(-R)-であるか、または
nが5であり、Lが単結合であり、nが2であり、Lが-O-であり、 Lが-CR(-R)-である、[18]に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[20]nが、2から5の整数であって、Lが、単結合である[18]又は[19]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[21]nが、2から5の整数であって、Lが、-NH-(CH2CH2O)n-CH2-CH2-C(=O)-であり、nが、2又は4である[18]又は[19]に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[22]-NH-(CH2)n-L-L-L-が、
-NH-(CH2)3-C(=O)-、
-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-、又は
-NH-(CH2)2-O-CH2-C(=O)-
である[18]から[21]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
【0023】
[23]薬物−リンカー構造部分が、次の薬物−リンカー構造の群から選ばれる1種の薬物−リンカー構造である[18]から[22]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート:
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
ここで、-(Succinimid-3-yl-N)-は次式:
【化15】

で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
-(NH-DX)は次式:
【化16】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基を示す。
【0024】
[24]-L-L-L-NH-(CH2)n-L-L-L-に薬物を結合させた薬物−リンカー構造部分が、次の群から選ばれる1種の薬物−リンカー構造である[23]に記載の抗体−薬物コンジュゲート:
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)。
ここで、-(Succinimid-3-yl-N)-は次式:
【化17】

で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
-(NH-DX)は次式:
【化18】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基を示す。
【0025】
[25]選択された1種の薬物−リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が1から10個の範囲である[1]から[24]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[26]選択された1種の薬物−リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が2から8個の範囲である[1]から[24]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[27]選択された1種の薬物−リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が3から8個の範囲である[1]から[24]のいずれか一に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[28]抗体が、標的細胞を認識できる特性、標的細胞に結合できる特性、標的細胞に内在化できる特性、標的細胞を傷害する特性の一又はそれ以上の特性を備えた抗体である[1]から[27]にいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[29]抗体−薬物コンジュゲートが標的とする細胞が腫瘍細胞である[1]から[27]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[30]抗体が、抗A33抗体、抗B7−H3抗体、抗CanAg抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CEA抗体、抗Cripto抗体、抗EphA2抗体、抗G250抗体、抗MUC1抗体、抗GPNMB抗体、抗Integrin抗体、抗体PSMA抗体、抗Tenascin−C抗体、抗SLC44A4抗体、又は抗Mesothelin抗体である[1]から[27]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[31]抗体が、抗B7−H3抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、又は抗CD70抗体である[1]から[27]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[32]抗体が、抗B7−H3抗体である[1]から[27]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
【0026】
[33][1]から[32]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート、その塩、又はそれらの水和物を含有する医薬。
[34][1]から[32]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート、その塩、又はそれらの水和物を含有する抗腫瘍薬及び/又は抗癌薬。
[35]肺癌、腎癌、尿路上皮癌、大腸癌、前立腺癌、多形神経膠芽腫、卵巣癌、膵癌、乳癌、メラノーマ、肝癌、膀胱癌、胃癌、又は食道癌に適用するための[34]に記載の抗腫瘍薬及び/又は抗癌薬。
[36][1]から[32]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート、その塩、又はそれらの水和物を活性成分とし、薬学的に許容される製剤成分とを含有する医薬組成物。
[37]肺癌、腎癌、尿路上皮癌、大腸癌、前立腺癌、多形神経膠芽腫、卵巣癌、膵癌、乳癌、メラノーマ、肝癌、膀胱癌、胃癌、又は食道癌に適用するための[36]に記載の医薬組成物。
[38][1]から[32]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート、その塩、又はそれらの水和物を投与することを特徴とする腫瘍及び/又は癌の治療方法。
【0027】
[39]次式で示される薬物−リンカー中間体化合物:
Q-(CH2)n-C(=O)-L2a-L-NH-(CH2)n-L-L-L-(NH-DX)
【0028】
式中、Qは、(maleimid-N-yl)-、HS-、X-CH2-C(=O)-NH-、又は(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-を示し、
Xは、臭素原子又はヨウ素原子を示し、
nは、整数の2から8を示し、
L2aは、-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、
Lは、フェニルアラニン、グリシン、バリン、リシン、シトルリン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸から選ばれる2から7個のアミノ酸で構成されるペプチド残基を示し、
nは、0から6の整数を示し、
Lは、-C(=O)-NH-、-NR-(CH2)n-、-O-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、Rは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示すが、nは、整数の1から4を示し、nは、1から6の整数を示し、
Lは、-CR(-R)-、-O-、-NR-、又は単結合を示し、
ここで、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-NH2、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示し、Rは、水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を示し、nは、0から6の整数を示し、nは、整数の1から4を示し、nは、整数の1から4を示すが、nが0であるときは、R及びRは同一とはならず、
Lは、-CH2-又は-C(=O)-を示し、
(maleimid-N-yl)-は、次式
【化19】

で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)は、次式
【化20】

で示される窒素原子が結合部位である基であり、
-(NH-DX)は、次式
【化21】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基である。
【0029】
[40]Lが-C(=O)-である[39]に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[41]Lが、4個のアミノ酸から構成されたペプチド残基である[39]または[40]に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[42]Lが、-GGFG-である[39]から[41]のいずれか一項に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[43]-NH-(CH2)n-L-L-が、
-NH-CH2CH2-、
-NH-CH2CH2CH2-、
-NH-CH2CH2CH2CH2-、
-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、
-NH-CH2-O-CH2-、又は
-NH-CH2CH2-O-CH2-である[39]から[42]のいずれか一項に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[44]-NH-(CH2)n-L-L-が、
-NH-CH2CH2CH2-、
-NH-CH2-O-CH2-、又は
-NH-(CH2)2-O-CH2-である[39]から[42]のいずれか一項に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[45]nが、整数の2から6である、[39]から[44]のいずれか一項に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[46]Qが、(maleimid-N-yl)-であり、
nが、整数の2から5であり、
L2aが単結合である[43]に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[47]Qが、(maleimid-N-yl)-であり、
nが、整数の2から5であり、
L2aが単結合である[44]に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[48]Qが、(maleimid-N-yl)-であり、
nが、整数の2から5であり、
L2aが-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-であり、
nが、整数の2から4であり、
-NH-(CH2)n-L-L-が、
-NH-CH2CH2-、
-NH-CH2CH2CH2-、
-NH-CH2CH2CH2CH2-、
-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、
-NH-CH2-O-CH2-、又は
-NH-CH2CH2-O-CH2-である[39]から[42]のいずれか一項に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
[49]nが、整数の2又は4であり、
-NH-(CH2)n-L-L-が、
-NH-CH2CH2CH2-、
-NH-CH2-O-CH2-、又は
-NH-CH2CH2-O-CH2-である[48]に記載の薬物−リンカー中間体化合物。
【0030】
[50]次の化合物:
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、又は
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
【0031】
ここで,(maleimid-N-yl)-は、次式
【化22】

で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
Xはハロゲン原子を示し、
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-は、次式
【化23】

で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
-(NH-DX)は、次式
【化24】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基である。
【0032】
[51]次の化合物:
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、又は
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
【0033】
ここで,(maleimid-N-yl)-は、次式
【化25】

で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
-(NH-DX)は、次式
【化26】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基である。
【0034】
[52]次の化合物:(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)又は
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)。
【0035】
ここで,(maleimid-N-yl)-は、次式
【化27】

で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
-(NH-DX)は、次式
【化28】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基である。
【0036】
[53]次の群から選ばれる化合物:
NH2-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
NH2-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
NH2-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
NH2-CHCH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、及び
HO-CH2-C(=O)-(NH-DX)
式中、-(NH-DX)は、次式
【化29】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基である。
【0037】
[54]次式
【化30】

で示される化合物。
【0038】
[55]次式:
【化31】

で示される化合物。
【0039】
[56]次式
【化32】

で示される化合物。
【0040】
[57]次式で示される化合物:
Q-(CH2)n-C(=O)-L2a-L-NH-(CH2)n-L-L-L-(NH-DX)
を抗体又はその反応性誘導体と反応させ、
抗体のヒンジ部に存在するジスルフィド結合部分においてチオエーテル結合を形成させる方法、又は
抗体を構成するアミノ酸の側鎖上に存在するアミノ基または末端のアミノ基においてアミド結合を形成させる方法
によって薬物−リンカー部分を抗体に結合させることを特徴とする抗体−薬物コンジュゲートの製造方法。
【0041】
式中、Qは、(maleimid-N-yl)-、HS-、X-CH2-C(=O)-NH-、又は
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-を示し、
Xは、臭素原子又はヨウ素原子を示し、
nは、整数の2から8を示し、
L2aは、-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、
Lは、フェニルアラニン、グリシン、バリン、リシン、シトルリン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸から選ばれる2から7個のアミノ酸で構成されるペプチド残基を示し、
nは、0から6の整数を示し、
Lは、-C(=O)-NH-、-NR-(CH2)n-、-O-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、Rは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示すが、nは、整数の1から4を示し、nは、1から6の整数を示し、
Lは、-CR(-R)-、-O-、-NR-、又は単結合を示し、
ここで、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-NH2、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示し、Rは、水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を示し、nは、0から6の整数を示し、nは、整数の1から4を示し、nは、整数の1から4を示すが、nが0であるときは、R及びRは同一とはならず、
Lは、-CH2-又は-C(=O)-を示し、
(maleimid-N-yl)-は、次式
【化33】

で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)は、次式
【化34】

で示される窒素原子が結合部位である基であり、
-(NH-DX)は、次式
【化35】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基である。
【0042】
[58]薬物−リンカー部分を抗体に結合させる方法が、
抗体を還元処理した後に、Qが、マレイミジル基又はX-CH2-C(=O)-NH-である化合物を反応させてチオエーテル結合を形成させる方法、
抗体に、Qが、(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-である化合物を反応させてアミド結合を形成させる方法、又は
抗体に式Q-L1a-Q
[式中、Qは、(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-、(3-Sulfo-pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-、R-O-C(=N)-、又はO=C=N-を示し、
1a-は、-cyc.Hex(1,4)-CH2-、炭素数1から10のアルキレン基、フェニレン基、-(CH2)n-C(=O)-、-(CH2)n4a-NH-C(=O)-(CH2)n4b-、又は-(CH2)n4a-NH-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-を示し、
は、(maleimid-N-yl)、ハロゲン原子、又は-S-S-(2-Pyridyl)を示し、
Rは、炭素数1から6のアルキル基、nは、1から8の整数を示し、
n4aは0から6の整数、n4bは1から6の整数を示し、
(3-Sulfo-pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-は、次式
【0043】
【化36】
【0044】
で示される窒素原子が結合部位である基であり、このスルホン酸はリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を形成でき、
cyc.Hex(1,4)は1,4-シクロへキシレン基を示し、
(2-Pyridyl)は、2−ピリジル基を示す。]
で示される化合物を反応させた後に、Qが、SHである化合物を反応させてアミド結合によって薬物−リンカー構造を形成させる方法、
のいずれかである[57]に記載の製造方法。
【0045】
[59]選択された1種の薬物−リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が1から10個の範囲である[57]又は[58]に記載の製造方法。
[60]選択された1種の薬物−リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が2から8個の範囲である[57]又は[58]に記載の製造方法。
[61]選択された1種の薬物−リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が3から8個の範囲である[57]又は[58]に記載の製造方法。
[62]抗体−薬物コンジュゲートが標的とする細胞が腫瘍細胞である[57]から[61]のいずれか一項に記載の製造方法。
[63]抗体が、抗A33抗体、抗B7−H3抗体、抗CanAg抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CEA抗体、抗Cripto抗体、抗EphA2抗体、抗G250抗体、抗MUC1抗体、抗GPNMB抗体、抗Integrin抗体、抗体PSMA抗体、抗Tenascin−C抗体、抗SLC44A4抗体、又は抗Mesothelin抗体である[57]から[61]のいずれか一項に記載の製造方法。
[64]抗体が、抗B7−H3抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、又は抗CD70抗体である[57]から[61]のいずれか一項に記載の製造方法。
[65]抗体が、抗B7−H3抗体である[57]から[61]のいずれか一項に記載の製造方法。
[66][57]から[65]のいずれかの製造方法によって得られる抗体−薬物コンジュゲート。
【0046】
[67]抗体を還元条件で処理した後に以下の化合物群から選ばれる化合物を反応させることを特徴とする、抗体のヒンジ部のスルフィド結合部分においてチオエーテル結合を形成させて得られる抗体−薬物コンジュゲート:
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、又は
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)。
【0047】
ここで,(maleimid-N-yl)-は、次式
【化37】

で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
-(NH-DX)は、次式
【化38】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基である。
【0048】
[68]抗体を還元条件で処理した後に以下の化合物群から選ばれる化合物を反応させることを特徴とする、抗体のヒンジ部のスルフィド結合部分においてチオエーテル結合を形成させて得られる抗体−薬物コンジュゲート:
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、又は
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)。
ここで,(maleimid-N-yl)-は、次式
【化39】

で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
-(NH-DX)は、次式
【化40】

で示される、1位のアミノ基の窒素原子が結合部位となっている基である。
【0049】
[69]選択された1種の薬物−リンカー構造をの1抗体あたりの平均結合数が1から10個の範囲である[67]又は[68]に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[70]選択された1種の薬物−リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が2から8個の範囲である[67]又は[68]に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[71]選択された1種の薬物−リンカー構造の1抗体あたりの平均結合数が3から8個の範囲である[67]又は[68]に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[72]抗体−薬物コンジュゲートが標的とする細胞が腫瘍細胞である[67]から[71]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[73]抗体が、抗A33抗体、抗B7−H3抗体、抗CanAg抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CEA抗体、抗Cripto抗体、抗EphA2抗体、抗G250抗体、抗MUC1抗体、抗GPNMB抗体、抗Integrin抗体、抗体PSMA抗体、抗Tenascin−C抗体、抗SLC44A4抗体、又は抗Mesothelin抗体である[67]から[71]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[74]抗体が、抗B7−H3抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、又は抗CD70抗体である[67]から[71]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
[75]抗体が、抗B7−H3抗体である[67]から[71]のいずれか一項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
【0050】
[76]リンカーを介して薬物と抗体とが結合された抗体−薬物コンジュゲートを得るための次式で示されるリンカー。
-L-L-L-NH-(CH2)n-L-L-L-
ここで、Lは抗体への結合部位であり、Lは抗腫瘍性化合物への結合部位であり、
式中、
nは、0から6の整数を示し、
Lは、-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n-C(=O)-、-CH2-C(=O)-NH-(CH2)n-C(=O)-、-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-、又は-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-を示し、
ここで、nは、2から8の整数を示し、nは、1から8の整数を示し、nは、1から8の整数を示し、
Lは、-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-、-S-(CH2)n-C(=O)-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、nは、1から6の整数を示し、
Lは、2から7個のアミノ酸で構成されるペプチド残基を示し、
Lは、-C(=O)-NH-、-NR-(CH2)n-、-O-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、Rは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示すが、nは、整数の1から4を示し、nは、1から6の整数を示し、
Lは、-CR(-R)-、-O-、-NR-、又は単結合を示し、
ここで、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-NH2、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示し、Rは、水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を示し、nは、0から6の整数を示し、nは、整数の1から4を示し、nは、整数の1から4を示すが、nが0であるときは、R及びRは同一とはならず、
Lは、-CH2-又は-C(=O)-を示し、
-(Succinimid-3-yl-N)-は次式:
【化41】

で示される構造であり、このものの3位で抗体と結合し、1位の窒素原子上でこれを含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
-(N-ly-3-diminiccuS)-は次式:
【化42】

で示される構造であり、このものの3位でLと結合し、1位の窒素原子上でこの構造を含むリンカー構造内のメチレン基と結合し、
cyc.Hex(1,4)は1,4-シクロへキシレン基を示し、
Lが-S-(CH2)n-C(=O)-のとき、Lは-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-となる。
【0051】
[77]次の群から選ばれる[76]に記載のリンカー、ただし左端が抗体との結合部位であり、右端が抗腫瘍性化合物との結合部位である。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
[78]次の群から選ばれる[76]に記載のリンカー、ただし左端が抗体との結合部位であり、右端が抗腫瘍性化合物との結合部位である。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
[79]次の群から選ばれる[76]に記載のリンカー、ただし左端が抗体との結合部位であり、右端が抗腫瘍性化合物との結合部位である。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
[80]次の群から選ばれる[76]に記載のリンカーリンカー、ただし左端が抗体との結合部位であり、右端が抗腫瘍性化合物との結合部位である。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
【発明の効果】
【0052】
特定の構造のリンカーを介して抗腫瘍性化合物エキサテカンを結合させた抗体−薬物コンジュゲートによって優れた抗腫瘍効果及び安全性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、B7−H3バリアント1のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。
図2図2は、B7−H3バリアント2のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
図3図3は、M30−H1タイプ重鎖のアミノ酸配列(配列番号9)を示す。
図4図4は、M30−H2タイプ重鎖のアミノ酸配列(配列番号10)を示す。
図5図5は、M30−H3タイプ重鎖のアミノ酸配列(配列番号11)を示す。
図6図6は、M30−H4タイプ重鎖のアミノ酸配列(配列番号12)を示す。
図7図7は、M30−L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号13)を示す。
図8図8は、M30−L2タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号14)を示す。
図9図9は、M30−L3タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号15)を示す。
図10図10は、M30−L4タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号16)を示す。
図11図11は、M30−L5タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号17)を示す。
図12図12は、M30−L6タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号18)を示す。
図13図13は、M30−L7タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号19)を示す。
図14図14は、M30抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
図15図15は、M30抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号21)を示す。
図16図16は、B7−H3バリアント1のヌクレオチド配列(配列番号26)を示す。
図17図17は、皮下移植したヒトメラノーマ株A375細胞への抗体−薬物コンジュゲート(2)の効果を示す。図中の白ひし形線は無処置の腫瘍、白三角線はM30−H1−L4P抗体、白丸線は抗体−薬物コンジュゲート(2)の効果を示す。
図18図18は、皮下移植したヒトメラノーマ株A375細胞への抗体−薬物コンジュゲート(2)の効果を示す。白ひし形線は無処置の腫瘍、黒四角線は抗体−薬物コンジュゲート(2)0.1mg/kg投与時、線−X−は0.3mg/kg投与時、黒三角線は1mg/kg投与時、白丸線は3mg/kg投与時の効果を示す。
図19図19は、皮下移植したヒト非小細胞肺癌株Calu−6細胞への抗体−薬物コンジュゲート(2)の効果を示す。白ひし形線は無処置の腫瘍、白三角線はM30−H1−L4P抗体、白丸線は抗体−薬物コンジュゲート(2)の効果を示す。
図20図20は、皮下移植したヒトメラノーマ株A375細胞胞への抗体−薬物コンジュゲート(1)、(13)、(41)、(55)の効果を示す。図中の白ひし形線は無処置の腫瘍、白丸線は抗体−薬物コンジュゲート(1)、白三角線は抗体−薬物コンジュゲート(13)、線−X−は抗体−薬物コンジュゲート(41)、白四角線は抗体−薬物コンジュゲート(55)の効果を示す。
図21図21は、皮下移植したヒト非小細胞肺癌株Calu−6細胞への抗体−薬物コンジュゲート(13)、(41)、(55)の効果を示す。白ひし形線は無処置の腫瘍、白丸線はDE-310、白三角線は抗体−薬物コンジュゲート(13)、線−X−は抗体−薬物コンジュゲート(41)、白四角線は抗体−薬物コンジュゲート(55)の効果を示す。
図22図22は、皮下移植したヒトメラノーマ株A375細胞への抗体−薬物コンジュゲート(17)、(18)、(19)、(59)、(60)、(61)の効果を示す。図黒ひし形線は無処置の腫瘍、黒四角線は抗体−薬物コンジュゲート(17)、白四角線は抗体−薬物コンジュゲート(18)、白丸線は抗体−薬物コンジュゲート(19)、黒三角線は抗体−薬物コンジュゲート(59)、白三角線は抗体−薬物コンジュゲート(60)、線−X−は抗体−薬物コンジュゲート(61)の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、抗腫瘍性抗体に、リンカー構造部分を介して抗腫瘍性化合物を結合させた抗腫瘍性薬物であり、以下に詳細に説明する。
【0055】
[抗体]
本発明の抗体−薬物コンジュゲートに使用される抗体は、免疫グロブリンを意味し、抗原と免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子である。本発明の抗体として、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgYのいずれのクラスでもよいが、IgGが好ましい。また、サブクラスとして、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2のいずれであってもよいがIgG1及びIgG2が好ましい。抗体は、いずれの種に由来してもよいが、好ましくは、ヒト、ラット、マウス及びウサギを例示できる。ヒト以外の種に由来する場合は、周知の技術を用いて、キメラ化又はヒト化することが好ましい。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよいが、モノクローナル抗体が好ましい。
本発明の抗体は腫瘍細胞を標的にできる抗体であればよい。すなわち抗腫瘍活性を有する薬物をリンカーを介して結合させることから、抗体としては、腫瘍細胞を認識できる特性、腫瘍細胞に結合できる特性、腫瘍細胞内に取り込まれて内在化する特性、さらには腫瘍細胞を障害する特性の一又はそれ以上の特性を備えていることが好ましい。
抗体の腫瘍細胞への結合性は、フローサイトメトリーを用いて確認できる。腫瘍細胞内への抗体の取り込みは、(1)治療抗体に結合する二次抗体(蛍光標識)を用いて細胞内に取り込まれた抗体を蛍光顕微鏡で可視化するアッセイ(Cell Death and Differentiation (2008) 15, 751-761)、(2)治療抗体に結合する二次抗体(蛍光標識)を用いて細胞内に取り込まれた蛍光量を測定するアッセイ(Molecular Biology of the Cell Vol. 15, 5268-5282, December 2004)又は(3)治療抗体に結合するイムノトキシンを用いて、細胞内に取り込まれると毒素が放出されて細胞増殖が抑制されるというMab-ZAPアッセイ(BioTechniques 28:162-165 ,January 2000)を用いて確認できる。
抗体の抗腫瘍活性は、腫瘍細胞への細胞障害活性、殺細胞効果をいうが、in vitroでは、細胞の増殖の抑制活性で測定することで確認できる。例えば、抗体の標的蛋白質を過剰発現している癌細胞株を培養し、培養系に種々の濃度で抗体を添加し、フォーカス形成、コロニー形成及びスフェロイド増殖に対する抑制活性を測定することができる。In vivoでは、例えば、標的蛋白質を高発現している腫瘍細胞株を移植したヌードマウスに抗体を投与し、癌細胞の変化を測定することによって、抗腫瘍活性を確認できる。なお、抗体−薬物コンジュゲートは抗腫瘍効果を発揮する薬物を結合させてあるので、抗体自体に抗腫瘍効果があることは必須ではないが抗腫瘍効果を有することがより好ましい。抗腫瘍効果の発揮の点からは抗体が内在化して腫瘍細胞内に移行する性質のあることが、薬物によって腫瘍細胞を特異的・選択的に障害を与える点で重要であり、好ましい。
このような抗体として、抗A33抗体、抗B7−H3抗体、抗CanAg抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CEA抗体、抗Cripto抗体、抗EphA2抗体、抗G250抗体、抗MUC1抗体、抗GPNMB抗体、抗Integrin抗体、抗体PSMA抗体、抗Tenascin−C抗体、抗SLC44A4抗体、抗Mesothelin抗体を例示できるがこれに限らない。
本発明の抗体として、好ましくは、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD70抗体及び抗B7−H3抗体であり、さらに好ましくは抗B7−H3抗体である。
【0056】
本発明の抗体は、この分野で通常実施される方法を用いて、抗原となるポリペプチドを動物に免疫し、生体内に産生される抗体を採取、精製することによって得ることができる。抗原の由来はヒトに限定されず、マウス、ラット等のヒト以外の動物に由来する抗原を動物に免疫することもできる。この場合には、取得された異種抗原に結合する抗体とヒト抗原との交差性を試験することによって、ヒトの疾患に適用可能な抗体を選別できる。
また、公知の方法(例えば、Kohler and Milstein,Nature(1975)256,p.495-497、Kennet,R.ed.,Monoclonal Antibodies,p.365-367,Plenum Press,N.Y.(1980))に従って、抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることによってハイブリドーマを樹立し、モノクローナル抗体を得ることもできる。
なお、抗原は抗原蛋白質をコードする遺伝子を遺伝子操作によって宿主細胞に産生させることによって得ることができる。具体的には、抗原遺伝子を発現可能なベクターを作製し、これを宿主細胞に導入して該遺伝子を発現させ、発現した抗原を精製すればよい。
抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD70抗体は、それぞれ、WO2002/043661、米国特許第5,773,001号、WO2006/113909に基づき、公知の手段によって取得することができる。
【0057】
本発明において使用されるB7−H3抗体としては、以下の特性を有する抗体が望ましい。
(1)以下の特性を有することを特徴とする抗体;
(a)B7−H3に特異的に結合する
(b)抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)活性を有する
(c)in vivoで抗腫瘍活性を有する
(2)B7−H3が配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列からなる分子である上記(1)に記載の抗体又は当該抗体。
(3)重鎖における相補性決定領域として配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3、並びに軽鎖における相補性決定領域として配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号7に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるCDRL3を有する上記(1)又は(2)に記載の抗体。
(4)定常領域がヒト由来定常領域である上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗体。
(5)ヒト化されている上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の抗体。
(6)(a)配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列、(b)配列番号10においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列、(c)配列番号11においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列、(d)配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列、(e)(a)乃至(d)の配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及び(f)(a)乃至(d)の配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域、並びに(g)配列番号13においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列、(h)配列番号14においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列、(i)配列番号15においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列、(j)配列番号16においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列、(k)配列番号17においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列、(l)配列番号18においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列、(m)配列番号19においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列、(n)(g)乃至(m)の配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及び(o)(g)乃至(m)の配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、を有する上記(5)に記載の抗体。
(7)配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号13においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号14においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号15においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号17においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号19においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号13においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号14においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号15においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域、並びに配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖の可変領域及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖の可変領域からなる群から選択される重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域を有する上記(6)に記載の抗体。
(8)配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号13においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号14においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号15においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号17においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号19においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号13においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号14においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号15においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、並びに配列番号12においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる群から選択される重鎖及び軽鎖からなる上記(6)又は(7)に記載の抗体。
(9)配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号13に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号14に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号15に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号17に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号18に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号19に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号13に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号14に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号15に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖、並びに配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる群から選択される重鎖及び軽鎖からなる上記(14)乃至(16)のいずれかに記載の抗体。
(10)重鎖が配列番号9又は12に記載のアミノ酸配列においてカルボキシル末端のアミノ酸が欠失している重鎖である上記(8)又は(9)に記載の抗体。
(11)上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を培養する工程及び当該工程で得られた培養物から目的の抗体を採取する工程を含む当該抗体の製造方法によって得られる抗体。
(12)抗体依存性細胞傷害活性を増強させるために糖鎖修飾が調節されている上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の抗体。
【0058】
以下に、本発明において使用されるB7−H3抗体について説明する。
本明細書中において、「癌」と「腫瘍」は同じ意味に用いている。
本明細書中において、「遺伝子」という語には、DNAのみならずそのmRNA、cDNA及びそのcRNAも含まれる。
本明細書中において、「ポリヌクレオチド」という語は核酸と同じ意味で用いており、DNA、RNA、プローブ、オリゴヌクレオチド、及びプライマーも含まれる。
本明細中においては、「ポリペプチド」と「蛋白質」は区別せずに用いている。
本明細書中において、「細胞」には、動物個体内の細胞、培養細胞も含んでいる。
本明細書中において、「B7−H3」は、B7−H3蛋白質と同じ意味で用いており、また、B7−H3バリアント1及び/又はB7−H3バリアント2を意味する。
本明細書における「CDR」とは、相補性決定領域(CDR:Complemetarity deterring region)を意味する。抗体分子の重鎖及び軽鎖にはそれぞれ3箇所のCDRがあることが知られている。CDRは、超可変領域(hypervariable domain)とも呼ばれ、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域内にあって、一次構造の変異性が特に高い部位であり、重鎖及び軽鎖のポリペプチド鎖の一次構造上において、それぞれ3ヶ所に分離している。本明細書中においては、抗体のCDRについて、重鎖のCDRを重鎖アミノ酸配列のアミノ末端側からCDRH1、CDRH2、CDRH3と表記し、軽鎖のCDRを軽鎖アミノ酸配列のアミノ末端側からCDRL1、CDRL2、CDRL3と表記する。これらの部位は立体構造の上で相互に近接し、結合する抗原に対する特異性を決定している。
本発明において、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、市販のハイブリダイゼーション溶液ExpressHyb Hybridization Solution(クロンテック社製)中、68℃でハイブリダイズすること、又は、DNAを固定したフィルターを用いて0.7−1.0MのNaCl存在下68℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1−2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度SSCとは150mM NaCl、15mM クエン酸ナトリウムからなる)を用い、68℃で洗浄することによって同定することができる条件又はそれと同等の条件でハイブリダイズすることをいう。
【0059】
1.B7−H3
B7−H3は、抗原提示細胞に補助刺激分子として発現するB7ファミリーのひとつであり、T細胞上のレセプターに作用して免疫作用を促進又は抑制すると考えられている。
B7−H3は1回膜貫通構造を有する蛋白質であるが、B7−H3のN末端側の細胞外領域には2つのバリアントが存在する。B7−H3バリアント1(4Ig−B7−H3)には各2ヶ所のV又はC様Igドメインが存在し、B7−H3バリアント2(2Ig−B7−H3)には各1ヶ所のV又はC様Igドメインが存在する。
本発明で用いるB7−H3は、ヒト、非ヒト哺乳動物(ラット、マウス等)のB7−H3発現細胞から直接精製して使用するか、あるいは当該細胞の細胞膜画分を調製して使用することができ、また、B7−H3をin vitroにて合成する、あるいは遺伝子操作によって宿主細胞に産生させることによって得ることができる。遺伝子操作では、具体的には、B7−H3 cDNAを発現可能なベクターに組み込んだ後、転写と翻訳に必要な酵素、基質及びエネルギー物質を含む溶液中で合成する、あるいは他の原核生物、又は真核生物の宿主細胞を形質転換させることによってB7−H3を発現させることによって、該蛋白質を得ることが出来る。
ヒトB7−H3バリアント1遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)のアミノ酸配列は配列表の配列番号1に記載されている。また、配列番号1の配列は図1に記載されている。
ヒトB7−H3バリアント2遺伝子のORFのアミノ酸配列は配列表の配列番号2に記載されている。また、配列番号2の配列は図2に記載されている。
また、上記各B7−H3のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、当該蛋白質と同等の生物活性を有する蛋白質もB7−H3に含まれる。
シグナル配列が除かれた成熟ヒトB7−H3バリアント1は、配列番号1に示されるアミノ酸配列の27番目から534番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に相当する。また、シグナル配列が除かれた成熟ヒトB7−H3バリアント2は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の27番目から316番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に相当する。
【0060】
2.抗B7−H3抗体の製造
本発明のB7−H3に対する抗体は、常法を用いて、B7−H3又はB7−H3のアミノ酸配列から選択される任意のポリペプチドを動物に免疫し、生体内に産生される抗体を採取、精製することによって得ることができる。抗原となるB7−H3の生物種はヒトに限定されず、マウス、ラット等のヒト以外の動物に由来するB7−H3を動物に免疫することもできる。この場合には、取得された異種B7−H3に結合する抗体とヒトB7−H3との交差性を試験することによって、ヒトの疾患に適用可能な抗体を選別できる。
また、公知の方法(例えば、Kohler and Milstein,Nature(1975)256,p.495−497、Kennet,R.ed.,Monoclonal Antibodies,p.365−367,Plenum Press,N.Y.(1980))に従って、B7−H3に対する抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることによってハイブリドーマを樹立し、モノクローナル抗体を得ることもできる。
なお、抗原となるB7−H3はB7−H3遺伝子を遺伝子操作によって宿主細胞に発現させることによって得ることができる。
具体的には、B7−H3遺伝子を発現可能なベクターを作製し、これを宿主細胞に導入して該遺伝子を発現させ、発現したB7−H3を精製すればよい。以下、具体的にB7−H3に対する抗体の取得方法を説明する。
【0061】
(1) 抗原の調製
抗B7−H3抗体を作製するための抗原としては、B7−H3又はその少なくとも6個の連続した部分アミノ酸配列からなるポリペプチド、あるいはこれらに任意のアミノ酸配列や担体が付加された誘導体を挙げることができる。
B7−H3は、ヒトの腫瘍組織あるいは腫瘍細胞から直接精製して使用することができ、また、B7−H3をin vitroにて合成する、あるいは遺伝子操作によって宿主細胞に産生させることによって得ることができる。
遺伝子操作では、具体的には、B7−H3のcDNAを発現可能なベクターに組み込んだ後、転写と翻訳に必要な酵素、基質及びエネルギー物質を含む溶液中で合成する、あるいは他の原核生物、又は真核生物の宿主細胞を形質転換させることによってB7−H3を発現させることによって、抗原を得ることができる。
また、膜蛋白質であるB7−H3の細胞外領域と抗体の定常領域とを連結した融合蛋白質を適切な宿主・ベクター系において発現させることによって、分泌蛋白質として抗原を得ることも可能である。
B7−H3のcDNAは例えば、B7−H3のcDNAを発現しているcDNAライブラリーを鋳型として、B7−H3 cDNAを特異的に増幅するプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(以下「PCR」という)(Saiki,R. K.,et al.Science(1988)239,p.487−489 参照)を行なう、いわゆるPCR法によって取得することができる。
ポリペプチドのイン・ビトロ(in vitro)合成としては、例えばロシュ・ダイアグノスティックス社製のラピッドトランスレーションシステム(RTS)を挙げることができるが、これに限定されない。
原核細胞の宿主としては、例えば、大腸菌(Escherichia coli)や枯草菌(Bacillus subtilis)等を挙げることができる。目的の遺伝子をこれらの宿主細胞内で形質転換させるには、宿主と適合し得る種由来のレプリコンすなわち複製起点と、調節配列を含んでいるプラスミドベクターで宿主細胞を形質転換させる。また、ベクターとしては、形質転換細胞に表現形質(表現型)の選択性を付与することができる配列を有するものが好ましい。
真核細胞の宿主細胞には、脊椎動物、昆虫、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物細胞としては、例えば、サルの細胞であるCOS細胞(Gluzman,Y.Cell(1981)23,p.175−182、ATCC CRL−1650)、マウス線維芽細胞NIH3T3(ATCC No.CRL−1658)やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO細胞、ATCC CCL−61)のジヒドロ葉酸還元酵素欠損株(Urlaub,G. and Chasin,L.A.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77,p.4126−4220)等がよく用いられているが、これらに限定されない。
上記のようにして得られる形質転換体は、常法に従い培養することができ、該培養によって細胞内、又は細胞外に目的のポリペプチドが産生される。
該培養に用いられる培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択でき、大腸菌であれば、例えば、LB培地に必要に応じて、アンピシリン等の抗生物質やIPMGを添加して用いることができる。
上記培養によって、形質転換体の細胞内又は細胞外に産生される組換え蛋白質は、該蛋白質の物理的性質や化学的性質等を利用した各種の公知の分離操作法によって分離・精製することができる。
該方法としては、具体的には例えば、通常の蛋白質沈殿剤による処理、限外濾過、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の各種液体クロマトグラフィー、透析法、これらの組合せ等を例示できる。
また、発現させる組換え蛋白質に6残基からなるヒスチジンタグを繋げることによって、ニッケルアフィニティーカラムで効率的に精製することができる。あるいは、発現させる組換え蛋白質にIgGのFc領域を繋げることによって、プロテインAカラムで効率的に精製することができる。
上記方法を組合せることによって容易に高収率、高純度で目的とするポリペプチドを大量に製造できる。
【0062】
(2) 抗B7−H3モノクローナル抗体の製造
B7−H3と特異的に結合する抗体の例として、B7−H3と特異的に結合するモノクローナル抗体を挙げることができるが、その取得方法は、以下に記載する通りである。
モノクローナル抗体の製造にあたっては、一般に下記のような作業工程が必要である。
すなわち、
(a)抗原として使用する生体高分子の精製、
(b)抗原を動物に注射することによって免疫した後、血液を採取しその抗体価を検定して脾臓摘出の時期を決定してから、抗体産生細胞を調製する工程、
(c)骨髄腫細胞(以下「ミエローマ」という)の調製、
(d)抗体産生細胞とミエローマとの細胞融合、
(e)目的とする抗体を産生するハイブリドーマ群の選別、
(f)単一細胞クローンへの分割(クローニング)、
(g)場合によっては、モノクローナル抗体を大量に製造するためのハイブリドーマの培養、又はハイブリドーマを移植した動物の飼育、
(h)このようにして製造されたモノクローナル抗体の生理活性、及びその結合特異性の検討、あるいは標識試薬としての特性の検定
等である。
以下、モノクローナル抗体の作製法を上記工程に沿って詳述するが、該抗体の作製法はこれに制限されず、例えば脾細胞以外の抗体産生細胞及びミエローマを使用することもできる。
【0063】
(a)抗原の精製
抗原としては、前記したような方法で調製したB7−H3又はその一部を使用することができる。
また、B7−H3発現組換え体細胞よって調製した膜画分、又はB7−H3発現組換え体細胞自身、さらに、当業者に周知の方法を用いて、化学合成した本発明の蛋白質の部分ペプチドを抗原として使用することもできる。
【0064】
(b)抗体産生細胞の調製
工程(a)で得られた抗原と、フロインドの完全又は不完全アジュバント、又はカリミョウバンのような助剤とを混合し、免疫原として実験動物に免疫する。実験動物は公知のハイブリドーマ作製法に用いられる動物を支障なく使用することができる。具体的には、例えばマウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ等を使用することができる。ただし、摘出した抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞の入手容易性等の観点から、マウス又はラットを被免疫動物とするのが好ましい。
また、実際に使用するマウス及びラットの系統には特に制限はなく、マウスの場合には、例えば各系統A、AKR、BALB/c、BDP、BA、CE、C3H、57BL、C57BL、C57L、DBA、FL、HTH、HT1、LP、NZB、NZW、RF、R III、SJL、SWR、WB、129等が、またラットの場合には、例えば、Wistar、Low、Lewis、Sprague、Dawley、ACI、BN、Fischer等を用いることができる。
これらのマウス及びラットは例えば日本クレア、日本チャ−ルスリバー、等実験動物飼育販売業者より入手することができる。
このうち、後述のミエローマ細胞との融合適合性を勘案すれば、マウスではBALB/c系統が、ラットではWistar及びLow系統が被免疫動物として特に好ましい。
また、抗原のヒトとマウスでの相同性を考慮し、自己抗体を除去する生体機構を低下させたマウス、すなわち自己免疫疾患マウスを用いることも好ましい。
なお、これらマウス又はラットの免疫時の週齢は、好ましくは5〜12週齢、さらに好ましくは6〜8週齢である。
B7−H3又はこの組換え体によって動物を免疫するには、例えば、Weir,D.M.,Handbook of Experimental Immunology Vol.I.II.III.,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987)、Kabat,E.A.and Mayer,M.M.,Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Springfield,Illinois(1964)等に詳しく記載されている公知の方法を用いることができる。
これらの免疫法のうち、本発明において好適な方法を具体的に示せば、例えば以下のとおりである。
すなわち、まず、抗原である膜蛋白質画分、もしくは抗原を発現させた細胞を動物の皮内又は腹腔内に投与する。
ただし、免疫効率を高めるためには両者の併用が好ましく、前半は皮内投与を行い、後半又は最終回のみ腹腔内投与を行うと、特に免疫効率を高めることができる。
抗原の投与スケジュールは、被免疫動物の種類、個体差等によって異なるが、一般には、抗原投与回数3〜6回、投与間隔2〜6週間が好ましく、投与回数3〜4回、投与間隔2〜4週間がさらに好ましい。
また、抗原の投与量は、動物の種類、個体差等によって異なるが、一般には0.05〜5mg、好ましくは0.1〜0.5mg程度とする。
追加免疫は、以上の通りの抗原投与の1〜6週間後、好ましくは2〜4週間後、さらに好ましくは2〜3週間後に行う。
なお、追加免疫を行う際の抗原投与量は、動物の種類、大きさ等によって異なるが、一般に、例えばマウスの場合には0.05〜5mg、好ましくは0.1〜0.5mg、さらに好ましくは0.1〜0.2mg程度とする。
上記追加免疫から1〜10日後、好ましくは2〜5日後、さらに好ましくは2〜3日後に被免疫動物から抗体産生細胞を含む脾臓細胞又はリンパ球を無菌的に取り出す。その際に抗体価を測定し、抗体価が十分高くなった動物を抗体産生細胞の供給源として用いれば、以後の操作の効率を高めることができる。
ここで用いられる抗体価の測定法としては、例えば、RIA法又はELISA法を挙げることができるがこれらの方法に制限されない。
本発明における抗体価の測定は、例えばELISA法によれば、以下に記載するような手順によって行うことができる。
まず、精製又は部分精製した抗原をELISA用96穴プレート等の固相表面に吸着させ、さらに抗原が吸着していない固相表面を抗原と無関係な蛋白質、例えばウシ血清アルブミン(以下「BSA」という)によって覆い、該表面を洗浄後、第一抗体として段階希釈した試料(例えばマウス血清)に接触させ、上記抗原に試料中の抗体を結合させる。
さらに第二抗体として酵素標識されたマウス抗体に対する抗体を加えてマウス抗体に結合させ、洗浄後該酵素の基質を加え、基質分解に基づく発色による吸光度の変化等を測定することによって、抗体価を算出する。
被免疫動物の脾臓細胞又はリンパ球からの抗体産生細胞の分離は、公知の方法(例えば、Kohler et al.,Nature(1975)256,p.495,;Kohler et al.,Eur.J.Immunol.(1977)6,p.511,;Milstein et al.,Nature(1977),266,p.550,;Walsh,Nature,(1977)266,p.495)に従って行うことができる。例えば、脾臓細胞の場合には、脾臓を細切して細胞をステンレスメッシュで濾過した後、イーグル最小必須培地(MEM)に浮遊させて抗体産生細胞を分離する一般的方法を採用することができる。
【0065】
(c)骨髄腫細胞(以下、「ミエローマ」という)の調製
細胞融合に用いるミエローマ細胞には特段の制限はなく、公知の細胞株から適宜選択して用いることができる。ただし、融合細胞からハイブリドーマを選択する際の利便性を考慮して、その選択手続が確立しているHGPRT(Hypoxanthine−guanine phosphoribosyl transferase)欠損株を用いるのが好ましい。
すなわち、マウス由来のX63−Ag8(X63)、NS1−ANS/1(NS1)、P3X63−Ag8.U1(P3U1)、X63−Ag8.653(X63.653)、SP2/0−Ag14(SP2/0)、MPC11−45.6TG1.7(45.6TG)、FO、S149/5XXO、BU.1等、ラット由来の210.RSY3.Ag.1.2.3(Y3)等、ヒト由来のU266AR(SKO−007)、GM1500・GTG−A12(GM1500)、UC729−6、LICR−LOW−HMy2(HMy2)、8226AR/NIP4−1(NP41)等である。これらのHGPRT欠損株は例えば、American Type Culture Collection (ATCC)等から入手することができる。
これらの細胞株は、適当な培地、例えば8−アザグアニン培地[RPMI−1640培地にグルタミン、2−メルカプトエタノール、ゲンタマイシン、及びウシ胎児血清(以下「FBS」という)を加えた培地に8−アザグアニンを加えた培地]、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;以下「IMDM」という)、又はダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium;以下「DMEM」という)で継代培養するが、細胞融合の3乃至4日前に正常培地[例えば、10% FCSを含むASF104培地(味の素(株)社製)]で継代培養し、融合当日に2×10以上の細胞数を確保しておく。
【0066】
(d)細胞融合
抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合は、公知の方法(Weir,D.M.,Handbookof Experimental Immunology Vol.I.II.III.,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987)、Kabat,E.A.and Mayer,M.M.,Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Springfield,Illinois(1964)等)に従い、細胞の生存率を極度に低下させない程度の条件下で適宜実施することができる。
そのような方法は、例えば、ポリエチレングリコール等の高濃度ポリマー溶液中で抗体産生細胞とミエローマ細胞とを混合する化学的方法、電気的刺激を利用する物理的方法等を用いることができる。このうち、上記化学的方法の具体例を示せば以下のとおりである。
すなわち、高濃度ポリマー溶液としてポリエチレングリコールを用いる場合には、分子量1500〜6000、好ましくは2000〜4000のポリエチレングリコール溶液中で、30〜40℃、好ましくは35〜38℃の温度で抗体産生細胞とミエローマ細胞とを1〜10分間、好ましくは5〜8分間混合する。
【0067】
(e)ハイブリドーマ群の選択
上記細胞融合によって得られるハイブリドーマの選択方法は特に制限はないが、通常HAT(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン)選択法(Kohler et al.,Nature(1975)256,p.495;Milstein et al.,Nature(1977)266,p.550)が用いられる。
この方法は、アミノプテリンで生存し得ないHGPRT欠損株のミエローマ細胞を用いてハイブリドーマを得る場合に有効である。
すなわち、未融合細胞及びハイブリドーマをHAT培地で培養することによって、アミノプテリンに対する耐性を持ち合わせたハイブリドーマのみを選択的に残存させ、かつ増殖させることができる。
【0068】
(f)単一細胞クローンへの分割(クローニング)
ハイブリドーマのクローニング法としては、例えばメチルセルロース法、軟アガロース法、限界希釈法等の公知の方法を用いることができる(例えばBarbara, B.M.and Stanley,M.S.:Selected Methods in Cellular Immunology,W.H.Freeman and Company,San Francisco(1980)参照)。これらの方法のうち、特にメチルセルロース法等の三次元培養法が好適である。例えば、細胞融合によって形成されたハイブリドーマ群をClonaCell−HY Selection Medium D(StemCell Technologies社製 #03804)等のメチルセルロース培地に懸濁して培養し、形成されたハイブリドーマコロニーを回収することでモノクローンハイブリドーマの取得が可能である。回収された各ハイブリドーマコロニーを培養し、得られたハイブリドーマ培養上清中に安定して抗体価の認められたものをB7−H3モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
【0069】
このようにして樹立されたハイブリドーマ株の例としては、B7−H3ハイブリドーマM30を挙げることができる。なお、本明細書中においては、B7−H3ハイブリドーマM30が産生する抗体を、「M30抗体」又は単に「M30」と記載する。
M30抗体の重鎖は、配列表の配列番号20に示されるアミノ酸配列を有する。また、M30抗体の軽鎖は、配列表の配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する。なお、配列表の配列番号20に示される重鎖アミノ酸配列中で、1乃至19番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、20乃至141番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、142乃至471番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。また、配列表の配列番号21に示される軽鎖アミノ酸配列中で、1乃至22番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、23乃至130番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、131乃至235番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。
【0070】
(g)ハイブリドーマの培養によるモノクローナル抗体の調製
このようにして選択されたハイブリドーマは、これを培養することによって、モノクローナル抗体を効率よく得ることができるが、培養に先立ち、目的とするモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングすることが望ましい。
このスクリーニングにはそれ自体既知の方法が採用できる。
本発明における抗体価の測定は、例えば上記(b)の項目で説明したELISA法によって行うことができる。
以上の方法によって得たハイブリドーマは、液体窒素中又は−80℃以下の冷凍庫中に凍結状態で保存することができる。
クローニングを完了したハイブリドーマは、培地をHT培地から正常培地に換えて培養される。
大量培養は、大型培養瓶を用いた回転培養、あるいはスピナー培養で行われる。この大量培養における上清から、ゲル濾過等、当業者に周知の方法を用いて精製することによって、本発明の蛋白質に特異的に結合するモノクローナル抗体を得ることができる。
また、同系統のマウス(例えば、上記のBALB/c)、あるいはNu/Nuマウスの腹腔内にハイブリドーマを注射し、該ハイブリド−マを増殖させることによって、本発明のモノクローナル抗体を大量に含む腹水を得ることができる。
腹腔内に投与する場合には、事前(3〜7日前)に2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(2,6,10,14−tetramethyl pentadecane)(プリスタン)等の鉱物油を投与すると、より多量の腹水が得られる。
例えば、ハイブリドーマと同系統のマウスの腹腔内に予め免疫抑制剤を注射し、T細胞を不活性化した後、20日後に10〜10個のハイブリドーマ・クローン細胞を、血清を含まない培地中に浮遊(0.5ml)させて腹腔内に投与し、通常腹部が膨満し、腹水がたまったところでマウスより腹水を採取する。この方法によって、培養液中に比べて約100倍以上の濃度のモノクローナル抗体が得られる。
上記方法によって得たモノクローナル抗体は、例えばWeir,D.M.:Handbook of Experimental Immunology,Vol.I,II,III,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1978)に記載されている方法で精製することができる。
かくして得られるモノクローナル抗体は、B7−H3に対して高い抗原特異性を有する。
【0071】
(h)モノクローナル抗体の検定
かくして得られたモノクローナル抗体のアイソタイプ及びサブクラスの決定は以下のように行うことができる。
まず、同定法としてはオクテルロニー(Ouchterlony)法、ELISA法、又はRIA法を挙げることができる。
オクテルロニー法は簡便ではあるが、モノクローナル抗体の濃度が低い場合には濃縮操作が必要である。
一方、ELISA法又はRIA法を用いた場合は、培養上清をそのまま抗原吸着固相と反応させ、さらに第二次抗体として各種イムノグロブリンアイソタイプ、サブクラスに対応する抗体を用いることによって、モノクローナル抗体のアイソタイプ、サブクラスを同定することが可能である。
また、さらに簡便な方法として、市販の同定用のキット(例えば、マウスタイパーキット;バイオラッド社製)等を利用することもできる。
さらに、蛋白質の定量は、フォーリンロウリー法、及び280nmにおける吸光度[1.4(OD280)=イムノグロブリン1mg/ml]より算出する方法によって行うことができる。
さらに、(2)の(a)乃至(h)の工程を再度実施して別途に独立してモノクローナル抗体を取得した場合においても、M30抗体と同等の細胞傷害活性を有する抗体を取得することが可能である。このような抗体の一例として、M30抗体と同一のエピトープに結合する抗体を挙げることができる。M30はB7−H3の細胞外領域中のドメインであるIgC1ドメイン又はIgC2ドメインにおけるエピトープを認識して、IgC1ドメイン若しくはIgC2ドメイン又は両者に結合するので、特に当該エピトープとしてはB7−H3のIgC1ドメイン又はIgC2ドメインに存在するエピトープを挙げることができる。新たに作製されたモノクローナル抗体が、M30抗体の結合する部分ペプチド又は部分立体構造に結合すれば、該モノクローナル抗体がM30抗体と同一のエピトープに結合すると判定することができる。また、M30抗体のB7−H3に対する結合に対して該モノクローナル抗体が競合する(即ち、該モノクローナル抗体が、M30抗体とB7−H3の結合を妨げる)ことを確認することによって、具体的なエピトープの配列又は構造が決定されていなくても、該モノクローナル抗体がM30抗体と同一のエピトープに結合すると判定することができる。エピトープが同一であることが確認された場合、該モノクローナル抗体がM30抗体と同等の細胞傷害活性を有していることが強く期待される。
【0072】
(3) その他の抗体
本発明の抗体には、上記B7−H3に対するモノクローナル抗体に加え、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体、ヒト抗体等も含まれる。これらの抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体としては、抗体の可変領域と定常領域が互いに異種である抗体、例えばマウス又はラット由来抗体の可変領域をヒト由来の定常領域に接合したキメラ抗体を挙げることができる(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,6851−6855,(1984)参照)。
ヒト化抗体としては、相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)のみをヒト由来の抗体に組み込んだ抗体(Nature(1986)321,p.522−525参照)、CDR移植法によって、CDRの配列に加え一部のフレームワークのアミノ酸残基もヒト抗体に移植した抗体(国際公開パンフレットWO90/07861)を挙げることができる。
但し、M30抗体由来のヒト化抗体としては、M30抗体の6種全てのCDR配列を保持し、抗腫瘍活性を有する限り、特定のヒト化抗体に限定されない。なお、M30抗体の重鎖可変領域は、配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1(NYVMH)、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2(YINPYNDDVKYNEKFKG)、及び配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3(WGYYGSPLYYFDY)を保有している。また、M30抗体の軽鎖可変領域は、配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1(RASSRLIYMH)、配列番号7に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2(ATSNLAS)、及び配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3(QQWNSNPPT)を保有している。
【0073】
マウス抗体M30のヒト化抗体の実例としては、(1)配列表の配列番号9、10、11又は12の20乃至141番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、(2)上記(1)のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及び(3)上記(1)のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列のいずれか一つからなる重鎖可変領域を含む重鎖、並びに(4)配列番号13、14、15、16、17、18又は19の21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、(5)上記(4)のアミノ酸配列に対して少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、及び(6)上記(4)のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列のいずれか一つからなる軽鎖可変領域を含む軽鎖の任意の組合せを挙げることができる。
なお、本明細書中における「数個」とは、1乃至10個、1乃至9個、1乃至8個、1乃至7個、1乃至6個、1乃至5個、1乃至4個、1乃至3個、又は1若しくは2個を意味する。
【0074】
また、本明細書中におけるアミノ酸の置換としては保存的アミノ酸置換が好ましい。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸側鎖に関連のあるアミノ酸グループ内で生じる置換である。好適なアミノ酸グループは、以下のとおりである:酸性グループ=アスパギン酸、グルタミン酸;塩基性グループ=リシン、アルギニン、ヒスチジン;非極性グループ=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;及び非帯電極性ファミリー=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。他の好適なアミノ酸グループは次のとおりである:脂肪族ヒドロキシグループ=セリン及びスレオニン;アミド含有グループ=アスパラギン及びグルタミン;脂肪族グループ=アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;並びに芳香族グループ=フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン。かかるアミノ酸置換は元のアミノ酸配列を有する物質の特性を低下させない範囲で行うのが好ましい。
上記重鎖及び軽鎖の好適な組合せの抗体としては、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号13においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号14においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号15においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号17においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号19においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号13においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号14においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号15においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体、並びに配列番号12においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を有する重鎖及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至128に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を有する軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0075】
さらに好適な組合せの抗体としては、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号13においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号14においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載目のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号15においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載目のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号17においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号18においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号19においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号13においてアミノ酸番号21乃至233番目のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号14においてアミノ酸番号21乃至233番目のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号12においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号15においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、並びに配列番号12においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体。
【0076】
また、別の好適な組合せとしては、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号13に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号14に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号15に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号17に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号18に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号9に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号19に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号13に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号14に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号15に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体、並びに配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体を挙げることができる。
【0077】
上記の重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列と高い相同性を示す配列を組み合わせることによって、上記の各抗体と同等の細胞傷害性活性を有する抗体を選択することが可能である。このような相同性は、一般的には80%以上の相同性であり、好ましくは90%以上の相同性であり、より好ましくは95%以上の相同性であり、最も好ましくは99%以上の相同性である。また、重鎖又は軽鎖のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を組み合わせることによっても、上記の各抗体と同等の細胞傷害性活性を有する抗体を選択することが可能である。
【0078】
二種類のアミノ酸配列間の相同性は、Blast algorithm version 2.2.2(Altschul, Stephen F.,Thomas L.Madden,Alejandro A.Schaffer, Jinghui Zhang, Zheng Zhang, Webb Miller, and David J.Lipman(1997),「Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs」,Nucleic Acids Res.25:3389−3402)のデフォルトパラメーターを使用することによって決定することができる。Blast algorithmは、インターネットでwww.ncbi.nlm.nih.gov/blastにアクセスすることによっても使用することができる。
【0079】
なお、配列表の配列番号9、10、11又は12に示される重鎖アミノ酸配列中で、1乃至19番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、20乃至141番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、142乃至471番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。配列番号9の配列は図3に、配列番号10の配列は図4に、配列番号11の配列は図5に、配列番号12の配列は図6に各々記載されている。
また、配列表の配列番号13、14、15、16、17、18又は19に示される軽鎖アミノ酸配列中で、1乃至20番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、21乃至128番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は可変領域であり、129乃至233番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は定常領域である。配列番号13の配列は図7に、配列番号14の配列は図8に、配列番号15の配列は図9に、配列番号16の配列は図10に、配列番号17の配列は図11に、配列番号18の配列は図12に、配列番号19の配列は図13に各々記載されている。
【0080】
本発明の抗体としては、さらに、M30抗体と同一のエピトープに結合する、ヒト抗体を挙げることができる。抗B7−H3ヒト抗体とは、ヒト染色体由来の抗体の遺伝子配列のみを有するヒト抗体を意味する。抗B7−H3ヒト抗体は、ヒト抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子を含むヒト染色体断片を有するヒト抗体産生マウスを用いた方法(Tomizuka,K.et al.,Nature Genetics(1997)16,p.133−143,;Kuroiwa,Y.et.al.,Nucl.Acids Res.(1998)26,p.3447−3448;Yoshida,H.et.al.,Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects vol.10,p.69−73(Kitagawa,Y.,Matsuda,T.and Iijima,S.eds.),Kluwer Academic Publishers,1999.;Tomizuka,K.et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97,p.722−727等を参照。)によって取得することができる。
【0081】
このようなヒト抗体産生マウスは、具体的には、内在性免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座が破壊され、代わりに酵母人工染色体(Yeast artificial chromosome,YAC)ベクター等を介してヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座が導入された遺伝子組み換え動物を、ノックアウト動物及びトランスジェニック動物の作製、及びこれらの動物同士を掛け合わせることによって作り出すことができる。
また、遺伝子組換え技術によって、そのようなヒト抗体の重鎖及び軽鎖の各々をコードするcDNA、好ましくは該cDNAを含むベクターによって真核細胞を形質転換し、遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体を産生する形質転換細胞を培養することによって、この抗体を培養上清中から得ることもできる。
ここで、宿主としては例えば真核細胞、好ましくはCHO細胞、リンパ球やミエローマ等の哺乳動物細胞を用いることができる。
【0082】
また、ヒト抗体ライブラリーより選別したファージディスプレイ由来のヒト抗体を取得する方法(Wormstone,I.M.et.al,Investigative Ophthalmology & Visual Science.(2002)43(7),p.2301−2308;Carmen,S.et.al.,Briefings in Functional Genomics and Proteomics(2002),1(2),p.189−203;Siriwardena,D.et.al.,Ophthalmology(2002)109(3),p.427−431等参照。)も知られている。
例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージ表面に発現させて、抗原に結合するファージを選択するファージディスプレイ法(Nature Biotechnology(2005),23,(9),p.1105−1116)を用いることができる。
抗原に結合することで選択されたファージの遺伝子を解析することによって、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。
抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を有する発現ベクターを作製し、適当な宿主に導入して発現させることによってヒト抗体を取得することができる(WO92/01047、WO92/20791、WO93/06213、WO93/11236、WO93/19172、WO95/01438、WO95/15388、Annu.Rev.Immunol(1994)12,p.433−455、Nature Biotechnology(2005)23(9),p.1105−1116)。
新たに作製されたヒト抗体が、M30抗体の結合する部分ペプチド又は部分立体構造に結合すれば、該ヒト抗体がM30抗体と同一のエピトープに結合すると判定することができる。また、M30抗体のB7−H3に対する結合に対して該ヒト抗体が競合する(すなわち、該ヒト抗体が、M30抗体とB7−H3の結合を妨げる)ことを確認することによって、具体的なエピトープの配列又は構造が決定されていなくても、該ヒト抗体がM30抗体と同一のエピトープに結合すると判定することができる。エピトープが同一であることが確認された場合、該ヒト抗体がM30抗体と同等の細胞傷害活性を有していることが強く期待される。
以上の方法によって得られたキメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体は、公知の方法等によって抗原に対する結合性を評価し、好適な抗体を選抜することができる。
【0083】
抗体の性質を比較する際の別の指標の一例としては、抗体の安定性を挙げることができる。示差走査カロリメトリー(DSC)は、蛋白の相対的構造安定性のよい指標となる熱変性中点(Tm)を素早く、また正確に測定することができる装置である。DSCを用いてTm値を測定し、その値を比較することによって、熱安定性の違いを比較することができる。抗体の保存安定性は、抗体の熱安定性とある程度の相関を示すことが知られており(Lori Burton,et.al.,Pharmaceutical Development and Technology(2007)12,p.265−273)、熱安定性を指標に、好適な抗体を選抜することができる。抗体を選抜するための他の指標としては、適切な宿主細胞における収量が高いこと、及び水溶液中での凝集性が低いことを挙げることができる。例えば収量の最も高い抗体が最も高い熱安定性を示すとは限らないので、以上に述べた指標に基づいて総合的に判断して、ヒトへの投与に最も適した抗体を選抜する必要がある。
【0084】
本発明の抗体には抗体の修飾体も含まれる。当該修飾体とは、本発明の抗体に化学的又は生物学的な修飾が施されてなるものを意味する。化学的な修飾体には、アミノ酸骨格への化学部分の結合、N−結合又はO−結合炭水化物鎖の化学修飾体等が含まれる。生物学的な修飾体には、翻訳後修飾(例えば、N−結合又はO−結合への糖鎖付加、N末又はC末のプロセッシング、脱アミド化、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化)されたもの、原核生物宿主細胞を用いて発現させることによってN末にメチオニン残基が付加したもの等が含まれる。また、本発明の抗体又は抗原の検出又は単離を可能にするために標識されたもの、例えば、酵素標識体、蛍光標識体、アフィニティ標識体もかかる修飾物の意味に含まれる。このような本発明の抗体の修飾物は、元の本発明の抗体の安定性及び血中滞留性の改善、抗原性の低減、かかる抗体又は抗原の検出又は単離等に有用である。
【0085】
また、本発明の抗体に結合している糖鎖修飾を調節すること(グリコシル化、脱フコース化等)によって、抗体依存性細胞傷害活性を増強することが可能である。抗体の糖鎖修飾の調節技術としては、WO99/54342、WO00/61739、WO02/31140等が知られているが、これらに限定されるものではない。本発明の抗体には当該糖鎖修飾を調節された抗体も含まれる。
抗体遺伝子を一旦単離した後、適当な宿主に導入して抗体を作製する場合には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせを使用することができる。抗体遺伝子の具体例としては、本明細書に記載された抗体の重鎖配列をコードする遺伝子、及び軽鎖配列をコードする遺伝子を組み合わせたものを挙げることができる。宿主細胞を形質転換する際には、重鎖配列遺伝子と軽鎖配列遺伝子は、同一の発現ベクターに挿入されていることが可能であり、又別々の発現ベクターに挿入されていることも可能である。
真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真核微生物を用いることができる。特に動物細胞としては、哺乳類細胞、例えば、サルの細胞であるCOS細胞(Gluzman,Y.Cell(1981)23,p.175−182、ATCC CRL−1650)、マウス線維芽細胞NIH3T3(ATCC No.CRL−1658)やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO細胞、ATCC CCL−61)のジヒドロ葉酸還元酵素欠損株(Urlaub,G.and Chasin,L.A.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1980)77,p.4126−4220)を挙げることができる。
原核細胞を使用する場合は、例えば、大腸菌、枯草菌を挙げることができる。
これらの細胞に目的とする抗体遺伝子を形質転換によって導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することによって抗体が得られる。当該培養においては抗体の配列によって収量が異なる場合があり、同等な結合活性を持つ抗体の中から収量を指標に医薬としての生産が容易なものを選別することが可能である。よって、本発明の抗体には、上記形質転換された宿主細胞を培養する工程、及び当該工程で得られた培養物から目的の抗体又は当該抗体の機能性断片を採取する工程を含むことを特徴とする当該抗体の製造方法によって得られる抗体も含まれる。
【0086】
なお、哺乳類培養細胞で生産される抗体の重鎖のカルボキシル末端のリジン残基が欠失することが知られており(Journal of Chromatography A,705:129−134(1995))、また、同じく重鎖カルボキシル末端のグリシン、リシンの2アミノ酸残基が欠失し、新たにカルボキシル末端に位置するプロリン残基がアミド化されることが知られている(Analytical Biochemistry,360:75−83(2007))。しかし、これらの重鎖配列の欠失及び修飾は、抗体の抗原結合能及びエフェクター機能(補体の活性化や抗体依存性細胞障害作用等)には影響を及ぼさない。従って、本発明には当該修飾を受けた抗体及び当該抗体の機能性断片も含まれ、重鎖カルボキシル末端において1又は2つのアミノ酸が欠失した欠失体、及びアミド化された当該欠失体(例えば、カルボキシル末端部位のプロリン残基がアミド化された重鎖)等を挙げることができる。但し、抗原結合能及びエフェクター機能が保たれている限り、本発明に係る抗体の重鎖のカルボキシル末端の欠失体は上記の種類に限定されない。本発明に係る抗体を構成する2本の重鎖は、完全長及び上記の欠失体からなる群から選択される重鎖のいずれか一種であってもよいし、いずれか二種を組み合わせたものであってもよい。各欠失体の量比は本発明に係る抗体を産生する哺乳類培養細胞の種類及び培養条件に影響を受け得るが、本発明に係る抗体の主成分としては2本の重鎖の双方でカルボキシル末端の1つのアミノ酸残基が欠失している場合を挙げることができる。
【0087】
本発明の抗体のアイソタイプとしては、例えばIgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)等を挙げることができるが、好ましくはIgG1又はIgG2を挙げることができる。
【0088】
抗体の機能としては、一般的には抗原結合活性、抗原の活性を中和する活性、抗原の活性を増強する活性、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び補体依存性細胞傷害(CDC)活性を挙げることができるが、本発明に係る抗体が有する機能は、B7−H3に対する結合活性であり、好ましくは抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)活性であり、より好ましくは腫瘍細胞に対するADCP活性を介した細胞傷害活性(抗腫瘍活性)である。更に、本発明の抗体は、ADCP活性に加えて、ADCC活性及び/又はCDC活性を併せ持っていてもよい。
【0089】
得られた抗体は、均一にまで精製することができる。抗体の分離、精製は通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。例えばカラムクロマトグラフィー、フィルター濾過、限外濾過、塩析、透析、調製用ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組み合わせれば、抗体を分離、精製することができる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual,Daniel R.Marshak et al.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996);Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory(1988))が、これらに限定されるものではない。
クロマトグラフィーとしては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等を挙げることができる。
これらのクロマトグラフィーは、HPLCやFPLC等の液体クロマトグラフィーを用いて行うことができる。
アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラム、プロテインGカラムを挙げることができる。例えばプロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D,POROS,Sepharose F.F.(ファルマシア)等を挙げることができる。
また抗原を固定化した担体を用いて、抗原への結合性を利用して抗体を精製することも可能である。
【0090】
[抗腫瘍性化合物]
本発明の抗体−薬物コンジュゲートに結合される抗腫瘍性化合物について述べる。抗腫瘍性化合物としては、抗腫瘍効果を有する化合物であって、リンカー構造に結合できる置換基、部分構造を有するものであれば特に制限はない。抗腫瘍性化合物は、リンカーの一部又は全部が腫瘍細胞内で切断されて抗腫瘍性化合物部分が遊離されて抗腫瘍効果が発現される。リンカーが薬物との結合部分で切断されれば抗腫瘍性化合物が本来の構造で遊離され、その本来の抗腫瘍効果が発揮される。
抗腫瘍性化合物としては、例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、シクロシチジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキセート、白金系抗腫瘍剤(シスプラチン若しくはその誘導体)、タキソール若しくはその誘導体、カンプトテシン若しくはその誘導体(特開平6-87746号公報に記載された抗腫瘍剤)等を挙げることができる。本発明の抗体−薬物コンジュゲートにおいては、カンプトテシン誘導体であるエキサテカン((1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン;次式:)
【0091】
【化43】
【0092】
を好適に使用することができる。このエキサテカンは、優れた抗腫瘍活性を有しているものの、抗腫瘍薬として市販されるには至っていない。同化合物は、公知の方法で容易に取得でき、1位のアミノ基をリンカー構造への結合部位として好適に使用することができる。また、エキサテカンはリンカーの一部が結合した状態で腫瘍細胞内で遊離される場合もあるが、この様な状態でも優れた抗腫瘍効果が発揮される優れた化合物である。
抗体−薬物コンジュゲートにおいて、抗体1分子への薬物の結合数は、その有効性、安全性に影響する重要因子である。抗体−薬物コンジュゲートの製造は、薬物の結合数が一定の数となるよう、反応させる原料・試薬の使用量等の反応条件を規定して実施されるが、低分子化合物の化学反応とは異なり、異なる数の薬物が結合した混合物として得られるのが通常である。抗体1分子への薬物の結合数は平均値、すなわち、平均薬物結合数として特定され、表記される。本発明でも原則として断りのない限り、すなわち、異なる薬物結合数をもつ抗体−薬物コンジュゲート混合物に含まれる特定の薬物結合数をもつ抗体−薬物コンジュゲートを示す場合を除き、薬物の結合数は平均値を意味する。抗体分子へのエキサテカンの結合数はコントロール可能であり、1抗体あたりの薬物平均結合数として、1から10個程度のエキサテカンを結合させることができるが、好ましくは2から8個であり、より好ましくは3から8個である。なお、当業者であれば本願の実施例の記載から抗体に必要な数の薬物を結合させる反応を設計することができ、エキサテカンの結合数をコントロールした抗体を取得することができる。
エキサテカンはカンプトテシン構造を有するので、酸性水性媒体中(例えばpH3程度)ではラクトン環が形成された構造(閉環体)に平衡が偏り、一方、塩基性水性媒体中(例えばpH10程度)ではラクトン環が開環した構造(開環体)に平衡が偏ることが知られている。このような閉環構造及び開環構造に対応するエキサテカン残基を導入した薬物コンジュゲートであっても同等の抗腫瘍効果が期待され、いずれのものも本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。
【0093】
[リンカー構造]
本発明の抗体−薬物コンジュゲートにおいて抗腫瘍性薬物を抗体に結合するリンカー構造について述べる。当該リンカーは、次式:
-L-L-L-NH-(CH2)n-L-L-L-
の構造を有しており、抗体はLの末端、Lが結合するのとは反対側の末端、で結合し、抗腫瘍性薬物はLの末端、Lが結合するのとは反対側の末端で結合する。
nは、0から6の整数を示すが、好ましくは1から5の整数であり、より好ましくは1から3である。
【0094】
1.L
Lは、
-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n2-C(=O)-、
-CH2-C(=O)-NH-(CH2)n3-C(=O)-、
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-、又は
-C(=O)-(CH2)n4-C(=O)-
の各構造で示される構造のリンカーである。ここで、nは、2から8の整数であり、nは、1から8の整数であり、nは、1から8の整数である。
【0095】
リンカーLのうちの-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n-C(=O)-で示される構造のリンカーにおいて、『-(Succinimid-3-yl-N)-』は、次式
【0096】
【化44】
【0097】
で示される構造を有する。この部分構造における3位が抗体への結合部位である。さらにこの3位での抗体との結合は、チオエーテルを形成して結合することが特徴である。一方、この構造部分の1位の窒素原子は、この構造が含まれるリンカー内に存在するメチレンの炭素原子と結合する。すなわち-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n2-C(=O)-L2-は次式で示される構造である(ここで、「抗体−S−」は抗体由来である。)。
【0098】
【化45】
【0099】
式中、nは、2から8の整数であるが、好ましくは2から5である。
【0100】
Lのうちの-CH2-C(=O)-NH-(CH2)n-C(=O)-で示される構造のリンカーにおいて、nは1から8の整数であるが、好ましくは2から6である。このリンカーは、抗体とは末端のメチレンの炭素原子上で結合するが、先と同様にチオエーテルを形成して結合する次の構造を有する(ここで、「抗体−S−」は抗体由来である。):
抗体-S-CH2-C(=O)-NH-(CH2)n-C(=O)-L-。
【0101】
Lのうちの-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-で示される構造のリンカーであるが、ここで『-(N-ly-3-diminiccuS)-』は次式:
【0102】
【化46】
【0103】
で示される構造を有する。この構造部分において、1位の窒素原子は同構造を含むリンカー内に存在するメチレン炭素原子と結合する。3位の炭素原子は、リンカーL2のうちの-S-(CH2)n-C(=O)-と、その末端の硫黄原子において結合する。なお、このL2のリンカーである-S-(CH2)n-C(=O)-は、Lリンカーのうちの-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-とのみ組み合わされたリンカー構造を形成する。ここで、リンカーに含まれる『-cyc.Hex(1,4)-』は、1,4−シクロヘキサレン基を示す。リンカー-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-は抗体とは末端のカルボニル炭素でアミド結合を形成して結合する(次式;ここで、「抗体−NH−」は抗体由来である。)。
【0104】
【化47】
【0105】
このアミド結合を形成する抗体のアミノ基としては抗体のリシン残基の側鎖の末端のアミノ基、あるいは抗体N末端のアミノ基であればよい。なお、当該構造のリンカーはアミド結合のほか、抗体のアミノ酸の水酸基とエステル結合を形成して結合することもできる。
また、当該リンカーに含まれる『-cyc.Hex(1,4)-』構造部分であるが、1,4−シクロヘキサレン基の他、これ以外の2価の飽和環状アルキレン基である、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘプタレン基、シクロオクタレン基等の2価の環状飽和炭化水素基であってもよく、フェニレン基、ナフチレン基等の、2価の芳香族炭化水素基であってもよく、また、5員環、6員環の飽和、部分飽和、あるいは芳香族である、1又は2の複素原子を含む2価の複素環基であってもよい。さらには、炭素数1から4の2価のアルキレン基であってもよい。なお、2価基への結合は、隣接した位置であっても離れた位置であってもいずれでもよい。
【0106】
リンカーLのうちの-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-で示される構造のリンカーにおいて、nは1から8の整数であるが、好ましくは2から6である。このリンカーも、上記のリンカーと同様に、末端のカルボニル基において抗体のアミノ基とアミド結合を形成して結合する(次式;当該構造において「抗体−NH−」は抗体由来である。)。
抗体-NH-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-L-。
【0107】
リンカーLの具体例としては、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2C(=O)NH-CH2-C(=O)-、
-CH2C(=O)NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2C(=O)NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2C(=O)NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2C(=O)NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-
-C(=O)-Aryl-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-
-C(=O)-cyc.Het-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-
-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
等を挙げることができる(Arylは2価の芳香族炭化水素基、cyc.Hetは2価の環状複素環基を示す。)。
【0108】
2.L
リンカーLは、
-NH-(CH2CH2O)n-CH2-CH2-C(=O)-、又は
-S-(CH2)n-C(=O)-、
で示される構造のリンカーであるが、リンカーLは存在しなくともよく、この場合Lは単結合となる。また、nは、1から6の整数であり、nは、1から6の整数である。
【0109】
リンカーLのうちの、-NH-(CH2CH2O)n-CH2-CH2-C(=O)-で示される構造のリンカーにおいて、nは、1から6の整数であるが、好ましくは2から4である。当該リンカーは末端のアミノ基でリンカーLに結合し、反対の末端のカルボニル基でリンカーLと結合する。
【0110】
リンカーLのうちの、-S-(CH2)n-C(=O)-において、nは、1から6の整数であるが、好ましくは2から4である。
【0111】
リンカーLの具体例としては、
-NH-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-、
等を挙げることができる。
【0112】
さらにリンカーLが-S-(CH2)n-C(=O)-の場合、組み合わさるリンカーLは、-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-であるので、-L-L-リンカーの具体例としては、
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
等を挙げることができる。
【0113】
3.L
リンカーLは、2から7個のアミノ酸で構成されるペプチド残基である。すなわち、2から6個のアミノ酸がペプチド結合したオリゴペプチドの残基によって構成される。リンカーLは、N末端においてリンカーLに結合し、C末端においてリンカーの-NH-(CH2)n-L-L-L-部分のアミノ基に結合する。リンカーLを構成するアミノ酸は特に限定されることはないが、例えば、L-又はD-アミノ酸であり、好ましくはL-アミノ酸である。また、α−アミノ酸の他、β−アラニン、ε−アミノカプロン酸、γ−アミノ酪酸等の構造のアミノ酸であってもよく,さらには例えばN−メチル化されたアミノ酸等の非天然型のアミノ酸であってもよい。
【0114】
リンカーLのアミノ酸配列は、特に限定されないが、構成するアミノ酸として、フェニルアラニン(Phe;F)、チロシン(Tyr;Y)、ロイシン(Leu;L),グリシン(Gly;G)、アラニン(Ala;A)、バリン(Val;V)、リシン(Lys;K)、シトルリン(Cit)、セリン(Ser;S)、グルタミン酸(Glu;E)、アスパラギン酸(Asp;D)等を挙げることができる。これ等のうちで好ましくは、フェニルアラニン、グリシン、バリン、リシン、シトルリン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸を挙げることができる。アミノ酸の種類によって、薬物遊離のパターンをコントロールすることができる。アミノ酸の数は、2から7個でよい。
【0115】
リンカーLの具体例として、
-GGF-
-DGGF-
-(D-)D-GGF-
-EGGF-
-GGFG-
-SGGF-
-KGGF-
-DGGFG-
-GGFGG-
-DDGGFG-
-KDGGFG-
-GGFGGGF-
を挙げることができる[上記の『(D-)D』はD−アスパラギン酸を意味する]。本発明抗体−薬物コンジュゲートの特に好ましいリンカーLとして、-GGFG-を挙げることができる。
【0116】
リンカーの-NH-(CH2)n-で示される構造部分であるが、nは、0から6の整数であるが、好ましくは1から5の整数であり、より好ましくは1から3である。この部分のアミノ基部分がリンカーLのC末端に結合する。
【0117】
4.L
リンカーのLは、-C(=O)-NH-、-NR-(CH2)n-、-O-の各構造のいずれかであるか、又は単結合であるが、nは、1から6の整数であり、Rは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHであり、nは、整数の1から4であり、nは、1から6の整数である。
リンカーのLのうちのアミド構造である-C(=O)-NH-は、窒素原子側がLに結合する。リンカーのLのうちの-NR-(CH2)n-である構造部分において、nは、1から6の整数であり、好ましくは1から3である。当該部分はメチレン側がLに結合する。Rは、水素原子又は炭素数1から6のアルキル基であるが、炭素数1から6のアルキル基の場合は、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基及び2−エチルブチル基等を挙げることができる。これ等のうちで好ましくは、メチル基又はエチル基である。Rが、-(CH2)n-COOHで示される構造のとき、nは、整数の1から4であるが、好ましくは1又は2である。Rが、-(CH2)n-OHで示される構造のとき、nは、1から6の整数であるが、好ましくは1又は2である。Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、-CH2COOH、-CH2CH2-COOH、又は-CH2CH2-OHが好ましく、より好ましくは、水素原子、メチル基、-CH2COOHである。さらに好ましくは水素原子である。なお、リンカーのL部分は-O-、又は単結合であってもよい。
【0118】
5.L
リンカーのLは、-CR(-R)-、-O-、-NR-の各構造のいずれかであるか、又は単結合であり、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-NH2、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHであり、Rは、水素原子又は炭素数1から6のアルキル基であり、nは、0から6の整数であり、nは、整数の1から4であり、nは、整数の0から4であるが、n又はnが0であるときは、R及びRは同一とはならない。
R及びRがアルキル基であるとき、このアルキル基はRにおけるアルキル基と同様に解釈されるアルキル基である。R及びRが-(CH2)n-NH2の構造であるとき、nは、0から6の整数であるが、好ましくは0であるか、あるいは3から5である。なお、nが0であるときはR及びRは同一にはならない。R及びRが-(CH2)n-COOHの構造であるとき、nは、整数の1から4であるが、好ましくは1又は2である。R及びRが-(CH2)n-OHの構造であるとき、nは、整数の0から4であるが、好ましくは1又は2である。
R及びRとして好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、-NH2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2COOH、-CH2CH2-COOH、-CH2OH、又は-CH2CH2-OHが好ましく、より好ましくは、水素原子、メチル基、-NH2、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2COOH、-CH2CH2-COOH、-CH2OH、又は-CH2CH2-OHである。さらに好ましくは水素原子である。
Rが、炭素数1から6のアルキル基であり、このアルキル基はRにおけるアルキル基と同様に解釈されるアルキル基である。Rとしては水素原子又はメチル基が好ましく、より好ましくは水素原子である。
【0119】
リンカーの-NH-(CH2)n-L-L-で示される構造の具体例として、
-NH-CH2-
-NH-CH(-Me)-
-NH-C(-Me)2-
-NH-CH2-CHMe-
-NH-CH(-CH2OH)-
-NH-CH(-CH2COOH)-
-NH-CH(-CH2CH2COOH)-
-NH-CH(-CH2CH2CH2CH2NH2)-
-NH-CH2CH2-
-NH-CH2-O-CH2-
-NH-CH2CH2-O-
-NH-CH2CH2-O-CH2-
-NH-CH2CH2C(-Me)2-
-NH-CH2CH2NH-
-NH-CH2CH2NH-CH2-
-NH-CH2CH2NMe-CH2-
-NH-CH2CH2NH-CH2CH2-
-NH-CH2CH2NMe-CH2CH2-
-NH-CH2CH2N(-CH2COOH)-CH2-
-NH-CH2CH2N(-CH2CH2OH)-CH2-
-NH-CH2CH2N(-CH2CH2OH)-CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2C(=O)-NHCH(-CH2OH)-
-NH-CH2CH2CH2C(=O)-NHCH(-CH2COOH)-
-NH-CH2CH2CH2C(=O)-NHCH(-CH2CH2CH2CH2NH2)-
-NH-CH2CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2CH2CH(NH2)-
等を挙げることができる。
【0120】
これ等のうち好ましくは、
-NH-CH2-
-NH-CH2-CH(Me)-
-NH-CH(-CH2OH)-
-NH-CH(-CH2CH2COOH)-
-NH-CH2CH2-
-NH-CH2-O-CH2-
-NH-CH2CH2-O-
-NH-CH2CH2-O-CH2-
-NH-CH2CH2C(-Me)2-
-NH-CH2CH2NH-
-NH-CH2CH2NH-CH2-
-NH-CH2CH2NMe-CH2-
-NH-CH2CH2NMe-CH2CH2-
-NH-CH2CH2N(-CH2COOH)-CH2-
-NH-CH2CH2N(-CH2CH2OH)-CH2-
-NH-CH2CH2N(-CH2CH2OH)-CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2C(=O)-NHCH(-CH2OH)-
-NH-CH2CH2CH2C(=O)-NHCH(-CH2COOH)-
-NH-CH2CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-
等を挙げることができる。
【0121】
より好ましくは、
-NH-CH2-
-NH-CH2CH2-
-NH-CH2-O-CH2-
-NH-CH2CH2-O-
-NH-CH2CH2-O-CH2-
-NH-CH2CH2NH-
-NH-CH2CH2NH-CH2-
-NH-CH2CH2N(-CH2COOH)-CH2-
-NH-CH2CH2N(-CH2CH2OH)-CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2C(=O)-NHCH(-CH2COOH)-
-NH-CH2CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2CH2-
-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-
を挙げることができる。
【0122】
さらに好ましくは、
-NH-(CH2)3-、
-NH-CH2-O-CH2-、
-NH-(CH2)2-O-CH2-
である。
【0123】
6.L
リンカーのLは、-CH2-又は-C(=O)-である。当該リンカーにおいて抗腫瘍性化合物と結合する。リンカーのLとしては、-C(=O)-がより好ましい。
【0124】
リンカーの-NH-(CH2)n-L-L-Lは、鎖長として4から7原子の鎖長であるものが好ましいが、さらに好ましくは5又は6原子の鎖長を有するものである。
【0125】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍細胞内に移動した後にはリンカー部分が切断され、NH2-(CH2)n-L-L-L-(NH-DX)で示される構造の薬物誘導体が遊離して抗腫瘍作用を発現する。本発明の抗体−薬物コンジュゲートから遊離され抗腫瘍効果を発現する抗腫瘍性誘導体としては、先に挙げたリンカーの-NH-(CH2)n-L-L-で示される構造にLを結合させ、末端がアミノ基となった構造部分を有する抗腫瘍性誘導体を挙げることができるが、特に好ましいものは次のものである:
NH2-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
NH2-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
NH2-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
NH2-CHCH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
なお、NH2-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)の場合は同分子内にあるアミナール構造が不安定であるため、さらに自己分解して
HO-CH2-C(=O)-(NH-DX)
が遊離されることが確認された。これらの化合物は本発明の抗体−薬物コンジュゲートの製造中間体としても好適に用いることができる。
【0126】
薬物をエキサテカンとする本発明の抗体−薬物コンジュゲートにおいては、下記の構造の薬物−リンカー構造部分[-L-L-L-NH-(CH2)n-L-L-L-(NH-DX)]を抗体に結合させたものが好ましい。これらの薬物−リンカー構造部分は、1抗体あたりの平均結合数として、1から10を結合させればよいが、好ましくは2から8であり、より好ましくは3から8である。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
これ等のうちでより好ましくは、次のものである。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)。
さらに、好ましくは、次のものである。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)。
【0127】
本願の抗体−薬物コンジュゲートにおいて、抗体と薬物とを結合するリンカー構造は、これまで述べたリンカー各部において示した好ましい構造のものを結合することで好ましいリンカーを構築することができる。この様なリンカ−構造として以下の構造のものを好適に使用することができる。なお構造の左端が抗体との結合部位であり、右端が薬物との結合部位である。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
これ等のうちでより好ましくは、次のものである。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-。
さらに、好ましくは、次のものを挙げることができる。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-。
【0128】
[製造方法]
次に、本発明の抗体−薬物コンジュゲートあるいはその製造中間体の代表的な製造方法について説明する。なお、以下において、化合物を示すために、各反応式中に示される化合物の番号を用いる。すなわち、『式(1)の化合物』、『化合物(1)』等と称する。またこれ以外の番号の化合物についても同様に記載する。
【0129】
1.製造方法1
式(1)で示される抗体−薬物コンジュゲートのうち、チオエーテルを介して抗体とリンカー構造が結合しているものは例えば下記の方法によって製造することができる。
【0130】
【化48】
【0131】
[式中、ABは、スルフヒドリル基を有する抗体を示し、L’は、Lで示されるリンカー構造において、リンカー末端がマレイミジル基(次式)
【0132】
【化49】
【0133】
となった構造であるか(ここで、窒素原子が結合部位である。)、又は末端がハロゲンとなった構造のリンカーを示すが、Lのうちの-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n2-C(=O)-において-(Succinimid-3-yl-N)-部分がマレイミジル基となった基、又はLにおける-CH2C(=O)NH-(CH2)n3-C(=O)-の末端のメチレンがハロゲン化されてハロアセトアミドとなった、Halogen-CH2C(=O)NH-(CH2)n3-C(=O)-基を示す。また、-(NH-DX)は次式:
【0134】
【化50】
【0135】
で示される構造であり、エキサテカンの1位のアミノ基の水素原子1個が除かれて生成する基を示す。また、上記の反応式において式(1)の化合物では、薬物からリンカー末端までの構造部分1個が1の抗体に対して結合した構造として記載されているが、これは説明のための便宜的な記載であって、実際には当該構造部分が抗体分子に対して複数個が結合している場合が多い。この状況は以下の製造方法の説明においても同様である。]
【0136】
すなわち、後述する方法によって入手しうる化合物(2)と、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)を反応させることによって、抗体−薬物コンジュゲート(1)を製造することができる。
スルフヒドリル基を有する抗体(3a)は、当業者周知の方法で得ることができる(Hermanson,G.T、Bioconjugate Techniques、pp.56−136、pp.456−493、Academic Press(1996))。例えば、Traut’s試薬を抗体のアミノ基に作用させる;N−サクシンイミジルS−アセチルチオアルカノエート類を抗体のアミノ基に作用させた後、ヒドロキシルアミンを作用させる;N−サクシンイミジル3−(ピリジルジチオ)プロピオネートを作用させた後、還元剤を作用させる;ジチオトレイトール、2−メルカプトエタノール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)等の還元剤を抗体に作用させて抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元しスルフヒドリル基を生成させる;等等の方法を挙げることができるがこれらに限定されることはない。
具体的には、還元剤としてTCEPを、抗体内ヒンジ部ジスルフィド一個当たりに対して0.3乃至3モル当量用い、キレート剤を含む緩衝液中で、抗体と反応させることで、抗体内ヒンジ部ジスルフィドが部分的もしくは完全に還元された抗体を得ることができる。キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)やジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)等を挙げることができる。これ等を1mM乃至20mMの濃度で用いればよい。緩衝液としては、リン酸ナトリウムやホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム溶液等を用いることができる。具体的な例において、抗体は4℃乃至37℃にて1乃至4時間TCEPと反応させることで部分的もしくは完全に還元されたスルフヒドリル基を有する抗体(3a)を得ることが出来る。
なお、ここでスルフヒドリル基を薬物−リンカー部分に付加させる反応を実施させることでチオエーテル結合によって薬物−リンカー部分を結合させることができる。
次に、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)一個あたり、2乃至20モル当量の化合物(2)を使用して、抗体1個当たり2個乃至8個の薬物が結合した抗体―薬物コンジュゲート(1)を製造することができる。具体的には、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)を含む緩衝液に、化合物(2)を溶解させた溶液を加えて反応させればよい。ここで、緩衝液としては、酢酸ナトリウム溶液、リン酸ナトリウムやホウ酸ナトリウム、等を用いればよい。反応時のpHは5乃至9であり、より好適にはpH7付近で反応させればよい。化合物(2)を溶解させる溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピリドン(NMP)等の有機溶媒を用いることができる。化合物(2)を溶解させた有機溶媒溶液を、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)を含む緩衝液に1乃至20%v/vを加えて反応させればよい。反応温度は、0乃至37℃、より好適には10乃至25℃であり、反応時間は、0.5乃至2時間である。反応は、未反応の化合物(2)の反応性をチオール含有試薬によって失活させることによって終了できる。チオール含有試薬は例えば、システインまたはN−アセチル−L−システイン(NAC)である。より具体的には、NACを、用いた化合物(2)に対して、1乃至2モル当量加え、室温で10乃至30分インキュベートすることにより反応を終了できる。
製造した抗体−薬物コンジュゲート(1)は、以下の共通操作によって濃縮、バッファー交換、精製、抗体濃度及び抗体一分子あたりの薬物平均結合数の測定を行い、抗体−薬物コンジュゲート(1)の同定を行うことができる。
【0137】
共通操作A:抗体もしくは抗体−薬物コンジュゲート水溶液の濃縮
Amicon Ultra(50,000 MWCO,Millipore Corporation)の容器内に抗体もしくは抗体−薬物コンジュゲート溶液を入れ、遠心機(Allegra X−15R,Beckman Coulter,Inc.)を用いた遠心操作(2000G乃至3800Gにて5乃至20分間遠心)にて、抗体もしくは抗体−薬物コンジュゲート溶液を濃縮した。
共通操作B:抗体の濃度測定
UV測定器(Nanodrop 1000,Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて、メーカー規定の方法に従い、抗体濃度の測定を行った。その際に、抗体ごとに異なる280nm吸光係数(1.3mLmg−1cm−1乃至1.8mLmg−1cm−1)を用いた。
共通操作C−1:抗体のバッファー交換
Sephadex G−25担体を使用したNAP−25カラム(Cat.No.17−0852−02,GE Healthcare Japan Corporation)を、メーカー説明書の方法に従い、塩化ナトリウム(137mM)及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA,5mM)を含むリン酸緩衝液(10mM,pH6.0)(本明細書でPBS6.0/EDTAと称する。)にて平衡化させた。このNAP−25カラム一本につき、抗体水溶液2.5mLをのせたのち、PBS6.0/EDTA3.5mLで溶出させた画分(3.5mL)を分取した。この画分を共通操作Aによって濃縮し、共通操作Bを用いて抗体濃度の測定を行ったのちに、PBS6.0/EDTAを用いて10mg/mLに抗体濃度を調整した。
共通操作C−2:抗体のバッファー交換
Sephadex G−25担体を使用したNAP−25カラム(Cat.No.17−0852−02,GE Healthcare Japan Corporation)を、メーカー規定の方法に従い、塩化ナトリウム(50mM)及びEDTA(2mM)を含むリン酸緩衝液(50mM,pH6.5)(本明細書でPBS6.5/EDTAと称する。)にて平衡化させた。このNAP−25カラム一本につき、抗体水溶液2.5mLをのせたのち、PBS6.5/EDTA3.5mLで溶出させた画分(3.5mL)を分取した。この画分を共通操作Aによって濃縮し、共通操作Bを用いて抗体濃度の測定を行ったのちに、PBS6.5/EDTAを用いて20mg/mLに抗体濃度を調整した。
共通操作D−1:抗体−薬物コンジュゲートの精製
市販のリン酸緩衝液(PBS7.4,Cat.No.10010−023,Invitrogen)、塩化ナトリウム(137mM)を含むリン酸ナトリウム緩衝液(10mM,pH6.0;本明細書でPBS6.0と称する。)もしくはSorbitol(5%)を含む酢酸緩衝液(10mM,pH5.5;本明細書でABSと称する。)のいずれかの緩衝液でNAP−25カラムを平衡化させた。このNAP−25カラムに、抗体−薬物コンジュゲート反応水溶液(約1.5mL)をのせ、メーカー規定の量の緩衝液で溶出させることで、抗体画分を分取した。この分取画分を再びNAP−25カラムにのせ緩衝液で溶出させるゲルろ過精製操作を計2乃至3回繰り返すことで、未結合の薬物リンカーや低分子化合物(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP),N−アセチル−L−システイン(NAC),ジメチルスルホキシド)を除いた抗体−薬物コンジュゲートを得た。
共通操作E:抗体−薬物コンジュゲートにおける抗体濃度及び抗体一分子あたりの薬物平均結合数の測定
抗体−薬物コンジュゲートにおける結合薬物濃度は、抗体−薬物コンジュゲート水溶液の280nm及び370nmの二波長におけるUV吸光度を測定したのちに下記の計算を行うことで、算出することができる。
ある波長における全吸光度は系内に存在する全ての吸収化学種の吸光度の和に等しい[吸光度の加成性]ことから、抗体と薬物のコンジュゲーション前後において、抗体及び薬物のモル吸光係数に変化がないと仮定すると、抗体−薬物コンジュゲートにおける抗体濃度及び薬物濃度は、下記の関係式で示される。

280=AD,280+AA,280=εD,280+εA,280式(1)
370=AD,370+AA,370=εD,370+εA,370式(2)

ここで、A280は280nmにおける抗体−薬物コンジュゲート水溶液の吸光度を示し370は370nmにおける抗体−薬物コンジュゲート水溶液の吸光度を示し、AA,280は280nmにおける抗体の吸光度を示し、AA,370は370nmにおける抗体の吸光度を示し、AD,280は280nmにおけるコンジュゲート前駆体の吸光度を示し、AD,370は370nmにおけるコンジュゲート前駆体の吸光度を示し、εA,280は280nmにおける抗体のモル吸光係数を示し、εA,370は370nmにおける抗体のモル吸光係数を示し、εD,280は280nmにおけるコンジュゲート前駆体のモル吸光係数を示し、εD,370は370nmにおけるコンジュゲート前駆体のモル吸光係数を示し、Cは抗体−薬物コンジュゲートにおける抗体濃度を示し、Cは抗体−薬物コンジュゲートにおける薬物濃度を示す。
ここで、εA,280、εA,370、εD,280、εD,370は、事前に用意した値(計算推定値もしくは化合物のUV測定から得られた実測値)が用いられる。例えば、εA,280は、抗体のアミノ酸配列から、既知の計算方法(Protein Science, 1995, vol.4, 2411-2423)によって推定することが出来る。εA,370は、通常、ゼロである。εD,280及びεD,370は、用いるコンジュゲート前駆体をあるモル濃度に溶解させた溶液の吸光度を測定することで、ランベルト・ベールの法則(吸光度= モル濃度×モル吸光係数× セル光路長)によって、得ることができる。抗体−薬物コンジュゲート水溶液のA280及びA370を測定し、これらの値を式(1)及び(2)に代入して連立方程式を解くことによって、C及びCを求めることができる。さらにCをCで除することで1抗体あたりの薬物平均結合数が求めることができる。
【0138】
製造方法1における式(2)で示される化合物であるが、次式のいずれかである。
【0139】
【化51】
【0140】
上記式中、n、n、n、L、L、L、L及びLは、既に定義したとおりであり、Lは薬物との結合部位となる。
【0141】
このような本発明化合物の製造に有用な中間体として好ましいものは、nとしては、整数の2から5であり、Lは-NH-(CH2CH2O)n-CH2CH2-C(=O)-であるか単結合であり、nは、2から4であり、LはGGFGであり、-NH-(CH2)n-L-L-L-は、-NH-CH2CH2-C(=O)-、NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-の部分構造が好ましい。またHalogenとしては臭素又はヨウ素が好ましい。これ等の化合物について具体的には以下のものを例示することができる[ここで,(maleimid-N-yl)は、マレイミジル基(2,5-dioxo-2,5-dihydro-1H-pyrrol-1-yl基)を意味する]。
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)

X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
X-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
ここで,式中のXは、臭素原子又はヨウ素原子を示す。これらの臭素化合物及びヨウ素化合物はいずれも製造中間体として好適に使用することができる。
なお、コンジュゲートの量を確保するために、同様な条件で作製して得られた平均薬物数が同程度の複数のコンジュゲート(例えば±1程度)を混合して新たなロットにすることができる。その場合、平均薬物数は混合前の平均薬物数の間に収まる。
【0142】
2.製造方法2
式(1)で示される抗体−薬物コンジュゲートのうち、抗体との結合がアミド基であって、チオエーテル結合をリンカー内に有するリンカーである、具体的には-L-L-が-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-S-(CH2)n-C(=O)-の構造であるものは、下記の方法によっても製造することができる。
【0143】
【化52】
【0144】
[式中、AB-L’は、抗体とリンカーLが結合し、さらにLの末端がN−マレイミジル基に変換された基を示すが、具体的にはAB-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-(N-ly-3-diminiccuS)-において、-(N-ly-3-diminiccuS)-がマレイミジル基に変換された構造である。L’は末端がメルカプト基となったHS-(CH2)n-C(=O)-基を示し、ABは抗体を示す。]
【0145】
すなわち、後述する方法によって入手しうる化合物(2a)と、マレイミジル基を有するリンカーを結合させた抗体(3b)を反応させることによって、抗体−薬物コンジュゲート(1)を製造することができる。
マレイミジル基を有する抗体(3b)も当業者周知の方法で得ることができる(Hermanson,G.T、Bioconjugate Techniques、pp.56−136、pp.456−493、Academic Press(1996))。例えばアミノ基、ヒドロキシル基との結合性を有しマレイミジル基を有するサクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)等の二官能性リンカーをリガンドのアミノ基に作用させマレイミジル基を導入する等の方法を挙げることができるが、これらに限定されない。
例えば、アミノ基への反応性部分と、チオール基への反応性部分をリンカーで結合した化合物であれば好適に使用することができる。ここでアミノ基への反応性部分は、活性エステル、イミドエステル等であればよく、またチオール反応性部分は、マレイミジル、ハロゲン化アセチル、ハロゲン化アルキル、さらにはジチオピリジル等であればよい。
抗体を構成するアミノ酸のアミノ基又は水酸基、特にアミノ基においてアミド結合を介してリンカーを構築させるための方法として,先ず抗体に反応させる化合物は、次式:
-L1a-Q
[式中、Qは、(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-、(3-Sulfo-pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-、R-O-C(=N)-、又はO=C=N-を示し、
1a-は、-cyc.Hex(1,4)-CH2-、炭素数1から10のアルキレン基、フェニレン基、-(CH2)n-C(=O)-、-(CH2)n4a-NH-C(=O)-(CH2)n4b-、又は-(CH2)n4a-NH-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-を示し、
は(maleimid-N-yl)、ハロゲン原子、又は-S-S-(2-Pyridyl)を示すが、
Rは、炭素数1から6のアルキル基、nは、1から8の整数を示し、n4aは0から6の整数、n4bは1から6の整数を示す。]
で示される化合物であればよい。
ここで、Rは、炭素数1から6のアルキル基であればよいが、より好ましくはメチル基またはエチル基である。
1aにおけるアルキレン基としては、炭素数1から10のものであればよい。フェニレン基としては、オルト、メタ、パラいずれのものでもよいが、パラ、またはメタのものがより好ましい。
1aとして好ましいものは、-cyc.Hex(1,4)-CH2-、-(CH2)5-NH-C(=O)-cyc.Hex(1,4)-CH2-、-(CH2)2-NH-C(=O)-CH2-、-(CH2)5-NH-C(=O)-(CH2)2-、-CH2-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)5-、-(CH2)10-、-(para-Ph)-、-(meta-Ph)-、-(para-Ph)-CH(-CH3)-、-(CH2)3-(meta-Ph)-、又は-(meta-Ph)-NH-C(=O)-CH2-を挙げることができる。
として好ましくは(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-であり、Qは、(maleimid-N-yl)が好ましいが、ジスルフィド結合を形成させようとするときは-S-S-(2-Pyridyl)を使用すればよい。
ここで,(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-は、次式
【0146】
【化53】
【0147】
で示される窒素原子が結合部位である基であり、(3-Sulfo-pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-は、次式
【0148】
【化54】
【0149】
で示される窒素原子が結合部位である基であり、このスルホン酸はリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を形成でき、好ましくはナトリウム塩であり、cyc.Hex(1,4)は1,4-シクロへキシレン基を示し、
(maleimid-N-yl)は、次式
【0150】
【化55】
【0151】
で示される、窒素原子が結合部位である基であり、
(2-Pyridyl)は、2−ピリジル基を示し、(para-Ph)はパラフェニレン基を示し、(meta-Ph)は、メタフェニレン基を示す。
この様な化合物として例えば、スルフォスクシンイミジル−4−(N−マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(sulfo-SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミジルメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート)(LC−SMCC)、κ−マレイミジルウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミジル酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミジルカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミジルベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミジルアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミジルプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミジルフェニル)−ブチレート(SMPB)、N−(p−マレイミジルフェニル)イソシアネート(PMPI)、N−スクシンイミジル−4−(ヨードアセチル)−アミノベンゾエート(SIAB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジルブロモアセテート(SBA)N−スクシンイミジル3−(ブロモアセトアミド)プロピオネート(SBAP)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリドジチオ)プロピオネート(SPDP)、及びスクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)等の化合物である。
具体的には、例えば、抗体(3)に対して、2乃至6当量のSMCCを、pH6乃至7のリン酸緩衝液中で、室温かつ1乃至6時間反応させることで、SMCCの活性エステルが抗体と反応しマレイミジル基を有する抗体(3b)を得ることが出来る。得られた抗体(3b)は下記の共通操作D−2によって精製し、次の化合物(2a)との反応に用いることができる。
共通操作D−2:サクシンイミジル4−(N−マレイミジルメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)誘導体化抗体の精製
PBS6.5/EDTAでNAP−25カラムを平衡化させた。このNAP−25カラムに、サクシンイミジル4−(N−マレイミジルメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(本明細書でSMCCと称する。)誘導体化抗体を含む反応液(約0.5mL)をのせ、メーカー規定の量の緩衝液で溶出させることで、抗体画分を分取し、精製を行った。
リンカーとの結合に供される抗体のアミノ基は、N末端アミノ基及び/又はリシン残基が有するアミノ基であればよいがこれ等に限定されることはない。さらにセリン残基が有する水酸基を利用してエステル結合を形成させてリンカーと結合させることもできる。
化合物(2a)と、マレイミジル基を有するリンカーを結合させた抗体(3b)の反応は、製造方法1で述べた、化合物(2)と、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)の反応方法の場合と同様にして行うことができる。
製造した抗体−薬物コンジュゲート(1)における、濃縮、バッファー交換、精製、抗体濃度及び抗体一分子あたりの薬物平均結合数の測定による抗体−薬物コンジュゲート(1)の同定は製造方法1と同様に行うことが出来る。
製造方法2において式(3b)で示される化合物は次の構造を有する(次式;当該構造において「抗体−NH−」は抗体由来である。)。
【0152】
【化56】
【0153】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートを製造するための中間体であって上記の構造を有する化合物は次の通りである(式中、nは、1から10の整数であるが、好ましくは2から8であり、より好ましくは3から8である。)。
【0154】
【化57】
【0155】
さらに末端がメルカプト基となった本発明の化合物としては以下のものを挙げることができる。
HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
HS-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
【0156】
3.製造方法3
式(1)で示される抗体−薬物コンジュゲートであって、アミド結合を介して薬物リンカー部分と抗体が結合したものは、以下の方法で製造することができる。例えばLが-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-であり、これが活性エステルとなったL’、例えば(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-を好適に使用することができる。さらにLが単結合である場合は、例えば下記の方法によって製造することができる。
【0157】
【化58】
【0158】
すなわち、後述する方法によって入手しうる化合物(2b)と、抗体(3)を反応させることによって、抗体−薬物コンジュゲート(1)を製造することができる。
化合物(2b)は抗体のアミノ基、ヒドロキシル基との結合性を有する。抗体のアミノ基、ヒドロキシル基は、製造方法2で記したように、それぞれ例えば抗体の有するN末端アミノ基及び/又はリシン残基が有するアミノ基、セリン残基が有する水酸基を示すが、これらに限定されない。
化合物(2b)はN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基から成る活性エステルであるが、他の活性エステル、例えばスルホスクシンイミジルエステル基、N−ヒドロキシフタルイミジルエステル、N−ヒドロキシスルホフタルイミジルエステル、オルト−ニトロフェニルエステル、パラ−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、3−スルホニル−4−ニトロフェニルエステル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル等も使用することができる。
化合物(2b)と、抗体(3)の反応は、抗体(3)一個あたり、2乃至20モル当量の化合物(2b)を使用して、抗体1個当たり1個乃至10個の薬物が結合した抗体―薬物コンジュゲート(1)を製造することができる。具体的には、抗体(3)を含む緩衝液に、化合物(2b)を溶解させた溶液を加えて反応させることにより、抗体−薬物コンジュゲート(1)を製造することができる。ここで、緩衝液として、酢酸ナトリウム溶液、リン酸ナトリウムやホウ酸ナトリウム等を用いることができる。反応時のpHは5乃至9であればよく、より好適にはpH7付近で反応させればよい。化合物(2b)を溶解させる溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピリドン(NMP)等の有機溶媒を用いることができる。化合物(2b)を溶解させた有機溶媒溶液を、抗体(3)を含む緩衝液に1乃至20%v/vを加えて反応させればよい。反応温度は、0乃至37℃、より好適には10乃至25℃であり、反応時間は、0.5乃至20時間である。
製造した抗体−薬物コンジュゲート(1)における、濃縮、バッファー交換、精製、抗体濃度及び抗体一分子あたりの薬物平均結合数の測定による抗体−薬物コンジュゲート(1)の同定は製造方法1と同様に行うことが出来る。
製造方法3において(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-は次の構造を有する。
【0159】
【化59】
【0160】
上記の部分構造を有する本発明の化合物としては以下のものを挙げることができる。
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
【0161】
4.製造方法4
先の製造方法で使用した中間体である式(2)又は(2b)で示される化合物及びそれらの薬理上許容される塩は例えば下記の方法によって製造することができる。
【0162】
【化60】
【0163】
[式中、Lは-C(=O)-であって-(NH-DX)との結合はアミド結合を形成し、L’は末端マレイミジル基、又は末端ハロアセチル基、又は(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-に変換された構造のL1を示し、P、P及びPは保護基を示す。]
【0164】
カルボン酸(5)を活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等に誘導し、塩基存在下、NH−DX[エキサテカンを示す;化学名:(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン](4)またはその薬理上許容される塩と反応させることによって化合物(6)を製造することができる。
この反応は、ペプチド合成に通常用いる反応試薬や条件を準用すればよい。活性エステルには各種のものがあるが、例えばp−ニトロフェノール等のフェノール類、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールあるいはN−ヒドロキシスクシンイミド等とカルボン酸(5)をN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドあるいは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩等の縮合剤を用いて反応させれば製造できる。また、活性エステルは、カルボン酸(5)とペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート等との反応;カルボン酸(5)と1−ベンゾトリアゾリルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファイトとの反応;カルボン酸(5)とシアノホスホン酸ジエチルとの反応(塩入法);カルボン酸(5)とトリフェニルホスフィン及び2,2’−ジピリジルジスルフィドとの反応(向山法);カルボン酸(5)と4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(DMTMM)のようなトリアジン誘導体との反応;等によっても製造することができる。また、カルボン酸(5)を塩基存在下に塩化チオニル、オキザリルクロリド等の酸ハロゲン化物で処理することによって製造できる酸ハライド法等によって反応を行うこともできる。上記のように得たカルボン酸(5)の活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物を化合物(4)と適当な塩基存在下に不活性な溶媒中で−78℃〜150℃で反応させることによって化合物(6)を製造することができる(なお、「不活性な溶媒」とはその溶媒が採用された反応において実施される反応を阻害することのない溶媒を意味する。)。
【0165】
上記の各工程に用いる具体的な塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物もしくは水素化物、又はn−ブチルリチウムのようなアルキルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドのようなジアルキルアミノリチウムに代表される有機金属塩基;リチウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなビスシリルアミンの有機金属塩基;又はピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のような有機塩基等を挙げることができる。
【0166】
本反応に用いる不活性な溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジン−2−オン等のアミド系溶媒;を挙げることができ、これらに加えて場合によってはジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;等を使用することも可能である。
【0167】
化合物(6)のL及びLは、後述するように、その水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が有機化合物の合成に通常用いられる保護基で保護されていてよい。具体的には水酸基の保護基としては、メトキシメチル基等のアルコキシメチル基;ベンジル基、4−メトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のアリールメチル基;アセチル基等のアルカノイル基;ベンゾイル基等のアロイル基;tert−ブチルジフェニルシリル基等のシリル基;等を挙げることができる。カルボキシ基は、メチル基、エチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、アリル基、又はベンジル基等のアリールメチル基とのエステル等として保護することができる。アミノ基は、tert−ブチルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基;アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラ(又はオルト)ニトロベンジルオキシカルボニル基等のアリールメチル基;のほか、アセチル基等のアルカノイル基;ベンジル基、トリフェニルメチル基等のアリールメチル基;ベンゾイル基等のアロイル基;又は2,4−ジニトロベンゼンスルホニル基、オルトニトロベンゼンスルホニル基等のアリールスルホニル基;等、ペプチド合成に通常用いられているアミノ基の保護基によって保護することができる。上記の保護基の着脱は、通常実施される方法に従って行えばよい。
【0168】
化合物(6)の末端アミノ基の保護基Pとしては、tert−ブチルオキシカルボニル基や9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等、ペプチド合成に通常用いられているアミノ基の保護基を用いることができる。他のアミノ基の保護基としては、アセチル基等のアルカノイル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラ(又はオルト)ニトロベンジルオキシカルボニル基等のアリールメトキシカルボニル基;ベンジル基、トリフェニルメチル基等のアリールメチル基;ベンゾイル基等のアロイル基;又は2,4−ジニトロベンゼンスルホニル基、オルトニトロベンゼンスルホニル基等のアリールスルホニル基;を挙げることができる。保護基Pは、アミノ基を保護する化合物の性質等に応じて取捨選択すればよい。
得られた化合物(6)の末端アミノ基の保護基Pを脱保護させることによって化合物(7)を製造することができる。その保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。
N末端をPで保護したペプチドカルボン酸(8)を活性エステル、混合酸無水物等に誘導し、得られた化合物(7)に反応させることによって、化合物(9)を製造することができる。ペプチドカルボン酸(8)と化合物(7)のペプチド結合を形成する反応条件や試薬、及び塩基、不活性な溶媒は、化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。保護基Pは、化合物(6)の保護基で述べたものから適宜選択して使用すればよく、アミノ基を保護する化合物の性質等に応じて取捨選択すればよい。また、ペプチド合成に通常用いられているように、ペプチドカルボン酸(8)を構成するアミノ酸又はペプチドを順次反応と脱保護を繰り返し、伸長させて化合物(9)を製造することもできる。
得られた化合物(9)のアミノ基の保護基Pを脱保護させることによって化合物(10)を製造することができる。その保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。
カルボン酸(11)及び(11b)を活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等に誘導し、得られた化合物(10)に反応させることによって、化合物(2)又は(2b)を製造することができる。カルボン酸(11)又は(11b)と化合物(10)のペプチド結合を形成する反応条件や試薬、及び塩基、不活性溶媒は、化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。
【0169】
化合物(9)は例えば下記の方法でも製造することができる。
N末端をPで保護したペプチドカルボン酸(8)を活性エステル、混合酸無水物等に誘導し、塩基存在下、カルボキシ基をPで保護したアミン化合物(12)と反応させることによって化合物(13)を製造することができる。ペプチドカルボン酸(8)と化合物(12)のペプチド結合を形成する反応条件や試薬、及び塩基、不活性な溶媒は、化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。化合物(13)のアミノ基の保護基Pは化合物(6)の保護基で述べたものから適宜選択して使用すればよい。カルボキシ基の保護基Pとしては、有機合成化学、中でもペプチド合成においてカルボキシ基の保護基として通常用いられている保護基を使用すればよく、具体的にはメチル基、エチル基、tert−ブチル等のアルキルエステル、アリルエステル、ベンジルエステル等、化合物(6)の保護基で述べたものから適宜選択して使用すればよい。この場合に、アミノ基の保護基とカルボキシ基の保護基が異なる方法又は条件で除去できる必要がある。例えばPがtert−ブチルオキシカルボニル基であり、Pがベンジル基である組み合わせ等を代表的なものとして挙げることができる。それらの保護基はアミノ基とカルボキシ基を保護する化合物の性質等に応じて上述したものから取捨選択すればよく、それらの保護基の切断に際してもその保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。
得られた化合物(13)のカルボキシ基の保護基Pを脱保護させることによって化合物(14)を製造することができる。その保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。
得られた化合物(14)を活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等に誘導し、塩基存在下、化合物(4)と反応させることによって化合物(9)を製造することができる。この反応はペプチド合成に通常用いる反応試薬や条件を準用すればよく、反応条件や試薬、及び塩基や不活性な溶媒は化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。
【0170】
化合物(2)又は(2b)は例えば下記の方法でも製造することができる。
化合物(13)のアミノ基の保護基Pを脱保護させることによって化合物(15)を製造することができる。その保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。
カルボン酸誘導体(11)又は(11b)を活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等に誘導し、塩基存在下、得られた化合物(15)と反応させることによって化合物(16)又は(16b)を製造することができる。ペプチドカルボン酸(11)又は(11b)と化合物(15)のアミド結合を形成する反応条件や試薬、及び塩基、不活性な溶媒は、化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。
得られた化合物(16)又は(16b)のカルボキシ基の保護基を脱保護させることによって化合物(17)又は(17b)を製造することができる。化合物(14)の製造におけるカルボキシ基の脱保護と同様に行うことができる。
化合物(17)又は(17b)を活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等に誘導し、塩基存在下、化合物(4)と反応させることによって化合物(2)又は(2b)を製造することができる。この反応はペプチド合成に通常用いる反応試薬や条件を準用すればよく、反応条件や試薬、及び塩基や不活性な溶媒は化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。
【0171】
5.製造方法5
中間体の式(2)で示される化合物は下記の方法によっても製造することもできる。
【0172】
【化61】
【0173】
[式中、L’は末端がマレイミジル基、又はハロアセチル基に変換された構造のL1であり、Pは保護基を示す。]
【0174】
化合物(11)を活性エステル、混合酸無水物等に誘導し、塩基存在下、C末端をPで保護したペプチドカルボン酸(18)と反応させることによって化合物(19)を製造することができる。ペプチドカルボン酸(18)と化合物(11)のペプチド結合を形成する反応条件や試薬、及び塩基、不活性な溶媒は、化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。化合物(18)のカルボキシ基の保護基Pは化合物(6)の保護基で述べたものから適宜選択して使用すればよい。
得られた化合物(19)のカルボキシ基の保護基を脱保護させることによって化合物(20)を製造することができる。化合物(14)の製造におけるカルボキシ基の脱保護と同様に行うことができる。
得られた化合物(20)を活性エステル、又は混合酸無水物等に誘導し、化合物(7)に反応させることによって、化合物(2)を製造することができる。この反応はペプチド合成に通常用いる反応試薬や条件を準用すればよく、反応条件や試薬、及び塩基や不活性な溶媒は化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。
【0175】
6.製造方法6
製造方法2に記載の製造中間体(2a)であって、L2’が末端メルカプトアルカノイル基に変換された構造のLである化合物は、下記の方法によって製造することができる。
【0176】
【化62】
【0177】
末端メルカプト基を有するカルボン酸(21)を活性エステル、又は混合酸無水物等に誘導し、化合物(10)に反応させることによって、化合物(2a)を製造することができる。この反応はペプチド合成に通常用いる反応試薬や条件を準用すればよく、反応条件や試薬、及び塩基や不活性な溶媒は化合物(4)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。
また、化合物(21)を活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等に誘導し、化合物(15)と反応させ、得られる化合物(22)のカルボキシ基の保護基を脱保護することによって、化合物(23)を製造することができる。
化合物(23)を活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等に誘導し、塩基存在下、化合物(4)と反応させることによって化合物(2a)を製造することができる。この反応はペプチド合成に通常用いる反応試薬や条件を準用すればよく、反応条件や試薬、及び塩基や不活性な溶媒は化合物(6)の合成で述べたものから適宜選択して使用すればよい。
【0178】
7.製造方法7
以下に、製造方法4に記載の製造中間体(10)のうち、n=1、L=O、及びL=CR(-R)の化合物(10c)の製造方法について詳述する。式(10c)で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物、例えば下記の方法で製造することができる。
【0179】
【化63】
【0180】
[式中、L、R、及びRは前記と同じものを示し、Lはアセチル基又は水素原子等を、X及びYは1から3個のアミノ酸からなるオリゴペプチドを、P及びPはアミノ基の保護基を、Pはカルボキシ基の保護基を示す。]
【0181】
式(24)で示される化合物は、特開2002−60351号公報に記載される手法や文献(J.Org.Chem.,51巻,3196頁,1986年)記載の方法、もしくはその方法を応用し、必要に応じて保護基の除去や官能基変換を行うことによって、製造することができる。又は、末端アミノ基が保護されたアミノ酸又はアミノ基が保護されたオリゴペプチドの酸アミドをアルデヒド又はケトンと処理することによって得ることができる。
化合物(24)を、不活性な溶媒中、酸または塩基存在下に冷却下〜室温下で水酸基を有する化合物(25)と反応させることによって、化合物(26)を製造することができる。用いる酸としては例えば、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸、テトラフルオロボレート、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化アルミニウム、塩化鉄等のルイス酸等を挙げることができる。特にパラトルエンスルホン酸が好ましい。用いる塩基としては、前記の塩基の中から適宜選択して使用すればよく、特にカリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物、リチウムジイソプロピルアミド等のジアルキルアミノリチウムに代表される有機金属塩基、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等のビスシリルアミンの有機金属塩基等が好ましい。反応に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;等が用いられる。上記の溶媒は水との混合物としてもよい。また、Pに例示されるアミノ基の保護基としては、通常、アミノ基の保護に用いられる基であれば特に制限はなく、代表的なものとして製造方法4で記載したアミノ基の保護基を挙げることができるが、本反応中においてPに例示されるアミノ基の保護基が切断される場合がある。その場合には、必要に応じて適当なアミノ基の保護試薬と反応させる必要がある。
化合物(27)は、化合物(26)の保護基Pを除去することによって製造することができる。ここで、Pとして例示されるカルボキシ基の保護基としては、代表的なものを製造方法4に記載したが、この場合にはアミノ基の保護基Pとカルボキシ基の保護基Pが異なる方法又は条件で除去できる保護基であることが望ましい。例えば、Pが9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基であり、Pがベンジル基である組み合わせ等を代表的なものとして挙げることができる。それらの保護基は、アミノ基及びカルボキシ基を保護する化合物の性質等に応じて取捨選択すればよく、それらの保護基の除去に際してもその保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。
カルボン酸(27)を活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等に誘導し、塩基存在下、化合物(4)及びそれらの薬理上許容される塩と反応させることによって化合物(28)を製造し、得られた化合物(28)の保護基Pを除去することによって化合物(29)を製造することができる。化合物(4)とカルボン酸(27)との反応及び保護基Pを除去する反応では、製造方法4で述べた試薬や反応条件と同様なものを用いればよい。
化合物(29)と末端アミノ基が保護されたアミノ酸又はアミノ基が保護されたオリゴペプチド(30)を反応させることによって化合物(9c)を製造し、得られた化合物(9c)の保護基Pを除去することによって化合物(10c)を製造することができる。Pに例示されるアミノ基の保護基としては、通常、アミノ基の保護に用いられる基であれば特に制限はなく、代表的なものとして製造方法4で記載したアミノ基の保護基を挙げることができ、その保護基の除去に際しても保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。化合物(29)と化合物(30)との反応では、ペプチド合成に通常使用される反応試薬や条件を準用すればよい。上記の方法で製造した化合物(10c)は、上述の製造方法に従って本発明化合物(1)に導くことができる。
【0182】
8.製造方法8
以下に、製造方法4に記載の製造中間体(2)のうち、n=1、L=O、及びL=CR(-R)の化合物(2c)の製造方法について詳述する。式(2c)で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物は、例えば下記の方法で製造することができる。
【0183】
【化64】
【0184】
[式中、L1’、L、L、R、及びRは前記と同じものを示し、Zは1から3個のアミノ酸からなるオリゴペプチドを、Pはアミノ基の保護基を、Pはカルボキシ基の保護基を示す。]
【0185】
末端アミノ基及びカルボキシ基が保護されたアミノ酸又はオリゴペプチド(31)の保護基Pを除去することによって化合物(32)を製造し、得られたアミン体(32)と化合物(11)を反応させることによって化合物(33)を製造できる。Pに例示されるアミノ基の保護基としては、通常、アミノ基の保護に用いられる基であれば特に制限はなく、代表的なものとして製造方法4で記載したアミノ基の保護基を挙げることができる。また、保護基Pの除去に際してもその保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。化合物(32)とカルボン酸(11)との反応では、製造方法4で述べた試薬や反応条件と同様なものを用いればよい。
化合物(33)の保護基Pを除去することによって化合物(34)を製造し、得られたカルボン酸(34)と化合物(29)を反応させることによって製造中間体(2c)を製造した。Pとして例示されるカルボキシ基の保護基としては、代表的なものを製造方法4に記載したが、その脱保護反応では製造方法4で述べた試薬や反応条件と同様なものを用いればよい。また、化合物(29)とカルボン酸(34)との反応では、ペプチド合成に通常使用される反応試薬や条件を準用すればよい。上記の方法で製造した化合物(2c)は、上述の製造方法に従って本発明化合物(1)に導くことができる。
【0186】
9.製造方法9
以下に、製造方法4に記載の製造中間体(17)のうち、n=1、L=O、及びL=CR(-R)の化合物(17c)の製造方法について詳述する。式(17c)で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物は、例えば下記の方法によっても製造することができる。
【0187】
【化65】
【0188】
[式中、L1’、L、L、R、R、X、Y、P、P、及びPは前記と同じものを示す。]
【0189】
末端アミノ基及び末端カルボキシ基が保護された化合物(26)のアミノ基の保護基Pを脱保護することによって化合物(35)を製造し、得られたアミン体(35)と末端アミノ基又はアミノ基が保護されたオリゴペプチド(30)を反応させることによって化合物(36)を製造できる。Pに例示されるアミノ基の保護基としては、通常、アミノ基の保護に用いられる基であれば特に制限はなく、代表的なものとして製造方法4で記載したアミノ基の保護基を挙げることができる。また、保護基Pの除去に際してもその保護基に応じた試薬や条件を選択すればよい。ここで、Pに例示されるカルボキシ基の保護基およびPに例示されるアミノ基の保護基としては、代表的なものとして製造方法4で記載したカルボキシ基およびアミノ基の保護基を挙げることができるが、カルボキシ基の保護基Pとアミノ基の保護基Pが同じ方法または条件で除去できる保護基が望ましい。例えばPがベンジルエステル基であり、Pがベンジルオキシカルボニル基である組み合わせ等を代表的なものとして挙げることができる。
化合物(37)は化合物(36)のカルボキシ基の保護基Pとアミノ基の保護基Pを除去することによって製造することができる。カルボキシ基の保護基Pとアミノ基の保護基Pそれぞれを順次除去することによっても化合物(37)を製造することができるし、PとPが同じ方法または条件で除去できる保護基であれば、両者を一工程で除去して化合物(37)を製造することができる。
得られた化合物(37)と化合物(11)を反応させることによって化合物(17c)を製造できる。化合物(37)と化合物(11)との反応では、製造方法4で述べた試薬や反応条件と同様なものを用いればよい。
【0190】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートの製造において有用な製造中間体として次式:
【0191】
【化66】
【0192】
で示される化合物を先に説明したが、さらに次式:
Q-(CH2)n-C(=O)-L2a-L-NH-(CH2)n-L-L-L-(NH-DX)
で示される一群の化合物も本発明の抗体−薬物コンジュゲートの製造において有用な製造中間体となる化合物である。
すなわち、上記式において,Qは、(maleimid-N-yl)-、HS-、X-CH2-C(=O)-NH-、又は(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-であり、
Xは、臭素原子又はヨウ素原子であり、
nは、整数の2から8であり、
L2aは、-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、
Lは、2から7個のアミノ酸で構成されるペプチド残基を示し、
nは、0から6の整数を示し、
Lは、-C(=O)-NH-、-NR-(CH2)n-、-O-、又は単結合を示し、
ここで、nは、1から6の整数を示し、Rは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示すが、nは、整数の1から4を示し、nは、1から6の整数を示し、
Lは、-CR(-R)-、-O-、-NR-、又は単結合を示し、
ここで、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、-(CH2)n-NH2、-(CH2)n-COOH、又は-(CH2)n-OHを示し、Rは、水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を示し、nは、0から6の整数を示し、nは、整数の1から4を示し、nは、整数の1から4を示すが、nが0であるときは、R及びRは同一とはならず、
Lは、-CH2-又は-C(=O)-を示し、
(maleimid-N-yl)-は、次式
【0193】
【化67】
【0194】
で示される構造の基(窒素原子が結合部位)であり、(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-は、次式
【0195】
【化68】
【0196】
で示される構造の基(窒素原子が結合部位)であり、-(NH-DX)は、次式
【0197】
【化69】
【0198】
で示される構造の基(1位のアミノ基の窒素原子が結合部位)である。
【0199】
製造中間体としては、Lが-C(=O)-である化合物が好ましい。
また、Lのペプチド残基としては、フェニルアラニン、グリシン、バリン、リシン、シトルリン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸から選ばれるアミノ酸からなるアミノ酸残基である化合物が製造中間体として好ましい。このようなペプチド残基のうち、Lが4個のアミノ酸で構成されるペプチド残基である化合物が製造中間体として好ましい。より具体的には、Lが-GGFG-である化合物が製造中間体として好ましい。
さらに、-NH-(CH2)n-L-L-としては、-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が製造中間体として好ましく、より好ましくは、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-(CH2)2-O-CH2-C(=O)-である化合物である。
nとしては、整数の2から6である化合物が製造中間体として好ましい。
L2aは、単結合であるか、nが整数の2から4の化合物が製造中間体として好ましい。
【0200】
また、Qが、(maleimid-N-yl)-である場合、nが、整数の2から5であり、L2aが単結合であり、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が製造中間体として好ましい。より好ましくは、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物である。さらに、nが、整数の2又は5である化合物が好ましい。
【0201】
さらに、Qが、(maleimid-N-yl)-である場合、nが、整数の2から5であり、L2aが-NH-(CH2-CH2-O)n-CH2-CH2-C(=O)-であって、nが整数の2から4であり、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が製造中間体として好ましい。より好ましくは、nが整数の2又は4の化合物である。さらに、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が好ましい。
【0202】
Qが、HS-である場合、nが、整数の2から5であり、L2aが単結合であり、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が製造中間体として好ましい。より好ましくは、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物である。
【0203】
Qが、X-CH2-C(=O)-NH-である場合、Xとしては臭素原子である化合物が製造中間体として好ましい化合物である。nは、整数の2から8である化合物が好ましく、L2aが単結合である化合物が好ましく、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が製造中間体として好ましい。
【0204】
Qが、(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-である場合、nが、整数の2から5であり、L2aが単結合であり、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が製造中間体として好ましい。より好ましくは、-NH-(CH2)n-L-L-が、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、又は-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物である。
【0205】
より具体的には以下のものが製造中間体として好ましい化合物である。
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)

HS-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
Br-CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
(Pyrrolidine-2,5-dione-N-yl)-O-C(=O)-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
【0206】
なお、本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、大気中に放置したり、又は再結晶することにより、水分を吸収し、吸着水がついたり、水和物になる場合が有り、そのような水を含む化合物及び塩も本発明に包含される。
また、本発明には、種々の放射性または非放射性同位体でラベルされた化合物も包含される。本発明の抗体−薬物コンジュゲートを構成する原子の1以上に、原子同位体の非天然割合も含有し得る。原子同位体としては、例えば、重水素(2H)、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)等を挙げることができる。また、本発明化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)のような放射性同位体で放射性標識され得る。放射性標識された化合物は、治療または予防剤、研究試薬、例えば、アッセイ試薬、及び診断剤、例えば、インビボ画像診断剤として有用である。本発明の抗体−薬物コンジュゲートの全ての同位体変異種は、放射性であると否とを問わず、本発明の範囲に包含される。
【0207】
<医薬>
本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、癌細胞に対して細胞傷害活性を示すことから、医薬として、特に癌に対する治療剤及び/又は予防剤として使用することができる。
【0208】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートが適用される癌の種類としては、肺癌、腎癌、尿路上皮癌、大腸癌、前立腺癌、多形神経膠芽腫、卵巣癌、膵癌、乳癌、メラノーマ、肝癌、膀胱癌、胃癌、食道癌等を挙げることができるが、治療対象となる癌細胞において抗体−薬物コンジュゲート中の抗体が認識できるタンパクを発現しているがん細胞であればこれらには限定されることはない。
【0209】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、哺乳動物に対して好適に投与することができるが、より好ましくはヒトである。
【0210】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートが含まれる医薬組成物において使用される物質としては、投与量や投与濃度において、この分野において通常使用される製剤添加物その他から適宜選択して適用することができる。
【0211】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、1種以上の薬学的に適合性の成分を含む薬学的組成物として投与され得る。例えば、上記薬学的組成物は、代表的には、1種以上の薬学的キャリア(例えば、滅菌した液体(例えば、水および油(石油、動物、植物、または合成起源の油(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、ごま油など)を含む))を含む。水は、上記薬学的組成物が静脈内投与される場合に、より代表的なキャリアである。食塩水溶液、ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液もまた、液体キャリアとして、特に、注射用溶液のために使用され得る。適切な薬学的賦形剤は、当該分野で公知である。上記組成物はまた、所望であれば、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝化剤を含み得る。適切な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載される。その処方は、投与の態様に対応する。
【0212】
種々の送達システムが公知であり、本発明の抗体−薬物コンジュゲートを投与するために使用され得る。導入方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、および皮下の経路が挙げられるが、これらに限定されない。投与は、例えば、注入またはボーラス注射によるものであり得る。特定の好ましい実施形態において、上記リガンド薬物結合体の投与は、注入によるものである。非経口的投与は、好ましい投与経路である。
【0213】
代表的実施形態において、上記薬学的組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合したた薬学的組成物として、常習的手順に従って処方される。代表的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌の等張性の水性緩衝液中の溶液である。必要である場合、上記医薬はまた、可溶化剤および注射部位での疼痛を和らげるための局所麻酔剤(例えば、リグノカイン)を含み得る。一般に、上記成分は、(例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密封してシールされた容器中の乾燥凍結乾燥粉末または無水の濃縮物として、別個に、または単位剤形中で一緒に混合して、のいずれかで供給される。上記医薬が注入によって投与される予定である場合、それは、例えば、滅菌の製薬グレードの水または食塩水を含む注入ボトルで投薬され得る。上記医薬が注射によって投与される場合、注射用滅菌水または食塩水のアンプルは、例えば、上記成分が投与前に混合され得るように、提供され得る。
【0214】
本発明の医薬組成物には本願の抗体−薬物コンジュゲートのみを含む医薬組成物であってもよいし、抗体−薬物コンジュゲート及び少なくとも一つのこれ以外の癌治療剤を含む医薬組成物であってもよい。本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、他の癌治療剤と共に投与することもでき、これによって抗癌効果を増強させることができる。このような目的で使用される他の抗癌剤は、抗体−薬物コンジュゲートと同時に、別々に、あるいは連続して個体に投与されてもよいし、それぞれの投与間隔を変えて投与してもよい。このような癌治療剤として、abraxane、carboplatin、cisplatin、gemcitabine、irinotecan(CPT−11)、paclitaxel、pemetrexed、sorafenib、vinblastin又は国際公開第WO2003/038043号パンフレットに記載の薬剤、更にLH−RHアナログ(リュープロレリン、ゴセレリン等)、エストラムスチン・フォスフェイト、エストロジェン拮抗薬(タモキシフェン、ラロキシフェン等)、アロマターゼ阻害剤(アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン等)等を挙げることができるが、抗腫瘍活性を有する薬剤であれば限定されることはない。
【0215】
このような医薬組成物は、選択された組成と必要な純度を持つ製剤として、凍結乾燥製剤あるいは液状製剤として製剤化すればよい。凍結乾燥製剤として製剤化する際には、この分野において使用される適当な製剤添加物が含まれる製剤であってもよい。また液剤においても同様にして、この分野において使用される各種の製剤添加物を含む液状製剤として製剤化することができる。
【0216】
医薬組成物の組成及び濃度は投与方法によっても変化するが、本発明の医薬組成物に含まれる抗体−薬物コンジュゲートは、抗体−薬物コンジュゲートの抗原に対する親和性、すなわち、抗原に対する解離定数(Kd値)の点において、親和性が高い(Kd値が低い)ほど、少量の投与量であっても薬効を発揮させことができる。したがって、抗体−薬物コンジュゲートの投与量の決定に当たっては、抗体−薬物コンジュゲートと抗原との親和性の状況に基づいて投与量を設定することもできる。本発明の抗体−薬物コンジュゲートをヒトに対して投与する際には、例えば、約0.001〜100mg/kgを1回あるいは1〜180日間に1回の間隔で複数回投与すればよい。
【実施例】
【0217】
以下に示す実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらはいかなる意味においても限定的に解釈されるものではない。また、本明細書において、特に記載のない試薬、溶媒及び出発材料は、市販の供給源から容易に入手可能である。
【0218】
参考例1 M30−H1−L4抗体
抗B7−H3抗体のヒト化抗体のうち、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号16においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖からなる抗体を公知の方法によって製造し、得られたヒト化抗B7−H3抗体をM30−H1−L4抗体(又は単に「M30−H1−L4」と記載)とした。
【0219】
参考例2 M30−H1−L4P抗体
上記で得られたM30−H1−L4抗体に結合している糖鎖修飾を公知の方法によって脱フコース化して調節し、得られた糖鎖修飾が調節されている抗体をM30−H1−L4P抗体(又は単に「M30−H1−L4P」と記載)とした。
【0220】
参考例3 抗CD30抗体
抗CD30抗体は特表2005−506035を参照して作製した。その配列を配列番号27、28に示した。
【0221】
参考例4 抗CD33抗体
抗CD33抗体は特開平8−48637号を参照して作製した。その配列を配列番号29,30示した。
【0222】
参考例5 抗CD70抗体
抗CD70抗体は特表2008−538292を参照して作製した。その配列を配列番号31,32に示した。
【0223】
実施例1 4−アミノ−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]ブタンアミド
【0224】
【化70】
【0225】
工程1:tert−ブチル(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)カーバメート
4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸(0.237g、1.13mmoL)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.130g、1.13mmoL)及び、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.216g、1.13mmoL)を加え1時間撹拌した。その反応溶液を化合物(4)のメシル酸塩(0.500g、0.94mmoL)及び、トリエチルアミン(0.157mL、1.13mmoL)を加えたN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に滴下し、室温にて一日間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノ−ル=8:2(v/v)]にて精製し、標記化合物(0.595g、定量的)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.2Hz),1.31(9H,s),1.58(1H,t,J=7.2Hz),1.66(2H,t,J=7.2Hz),1.82−1.89(2H,m),2.12−2.21(3H,m),2.39(3H,s),2.92(2H,t,J=6.5Hz),3.17(2H,s),5.16(1H,d,J=18.8Hz),5.24(1H,d,J=18.8Hz),5.42(2H,s),5.59−5.55(1H,m),6.53(1H,s),6.78(1H,t,J=6.3Hz),7.30(1H,s),7.79(1H,d,J=11.0Hz),8.40(1H,d,J=8.6Hz).
MS(APCI)m/z:621(M+H)
【0226】
工程2:4−アミノ−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]ブタンアミド
上記工程1で得た化合物(0.388g、0.61mmoL)をジクロロメタン(9mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(9mL)を加え4時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール:水=7:3:1(v/v/v)の分配有機層]にて精製し、標記化合物のトリフルオロ酢酸塩(0.343g、定量的)を得た。抗体−薬物コンジュゲート(13)、(14)を担癌マウスに投与した際に、この化合物が腫瘍中で確認された。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.2Hz),1.79−1.92(4H,m),2.10−2.17(2H,m),2.27(2H,t,J=7.0Hz),2.40(3H,s),2.80−2.86(2H,m),3.15−3.20(2H,m),5.15(1H,d,J=18.8Hz),5.26(1H,d,J=18.8Hz),5.42(2H,s),5.54−5.61(1H,m),6.55(1H,s),7.32(1H,s),7.72(3H,brs),7.82(1H,d,J=11.0Hz),8.54(1H,d,J=8.6Hz).
MS(APCI)m/z:521(M+H)
【0227】
実施例2 抗体−薬物コンジュゲート(1)
【0228】
【化71】
【0229】
工程1:N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシルグリシル−L−フェニルアラニルグリシン(0.081g、0.19mmoL)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.021g、0.19mmoL)及び、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.036g、0.19mmoL)を加え3.5時間撹拌した。その反応溶液を実施例1の化合物(0.080g、0.15mmoL)を加えたN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1.5mL)に滴下し、室温にて4時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノ−ル=8:2(v/v)]にて精製し、標記化合物(0.106g、73%)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.4Hz),1.36(9H,s),1.71(2H,m),1.86(2H,t,J=7.8Hz),2.15−2.19(4H,m),2.40(3H,s),2.77(1H,dd,J=12.7,8.8Hz),3.02(1H,dd,J=14.1,4.7Hz),3.08−3.11(2H,m),3.16−3.19(2H,m),3.54(2H,d,J=5.9Hz),3.57−3.77(4H,m),4.46−4.48(1H,m),5.16(1H,d,J=19.2Hz),5.25(1H,d,J=18.8Hz),5.42(2H,s),5.55−5.60(1H,m),6.53(1H,s),7.00(1H,t,J=6.3Hz),7.17−7.26(5H,m),7.31(1H,s),7.71(1H,t,J=5.7Hz),7.80(1H,d,J=11.0Hz),7.92(1H,t,J=5.7Hz),8.15(1H,d,J=8.2Hz),8.27(1H,t,J=5.5Hz),8.46(1H,d,J=8.2Hz).
MS(APCI)m/z:939(M+H)
【0230】
工程2:グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミドトリフルオロ酢酸塩
上記工程1で得た化合物(1.97g、2.10mmoL)をジクロロメタン(7mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(7mL)を加え1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、トルエンを加えて共沸し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール:水=7:3:1(v/v/v)の分配有機層]にて精製し、標記化合物(1.97g、99%)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:0.87(3H,t,J=7.4Hz),1.71−1.73(2H,m),1.82−1.90(2H,m),2.12−2.20(4H,m),2.40(3H,s),2.75(1H,dd,J=13.7,9.4Hz),3.03−3.09(3H,m),3.18−3.19(2H,m),3.58−3.60(2H,m),3.64(1H,d,J=5.9Hz),3.69(1H,d,J=5.9Hz),3.72(1H,d,J=5.5Hz),3.87(1H,dd,J=16.8,5.9Hz),4.50−4.56(1H,m),5.16(1H,d,J=19.2Hz),5.25(1H,d,J=18.8Hz),5.42(2H,s),5.55−5.60(1H,m),7.17−7.27(5H,m),7.32(1H,s),7.78−7.81(2H,m),7.95−7.97(3H,m),8.33−8.35(2H,m),8.48−8.51(2H,m).
MS(APCI)m/z:839(M+H)
【0231】
工程3:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
上記工程2で得た化合物(337mg,0.353mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.2mL)溶液に、トリエチルアミン(44.3mL,0.318mmoL)、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジル(119.7mg,0.388mmoL)を加え、室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=5:1(v/v)]にて精製し、標記化合物(278.0mg,76%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.3Hz),1.12−1.22(2H,m),1.40−1.51(4H,m),1.66−1.76(2H,m),1.80−1.91(2H,m),2.05−2.21(6H,m),2.39(3H,s),2.79(1H,dd,J=14.0,9.8Hz),2.98−3.21(5H,m),3.55−3.77(8H,m),4.41−4.48(1H,m),5.15(1H,d,J=18.9Hz),5.24(1H,d,J=18.9Hz),5.40(1H,d,J=17.1Hz),5.44(1H,d,J=17.1Hz),5.54−5.60(1H,m),6.53(1H,s),6.99(2H,s),7.20−7.27(5H,m),7.30(1H,s),7.70(1H,t,J=5.5Hz),7.80(1H,d,J=11.0Hz),8.03(1H,t,J=5.8Hz),8.08(1H,t,J=5.5Hz),8.14(1H,d,J=7.9Hz),8.25(1H,t,J=6.1Hz),8.46(1H,d,J=8.5Hz).
MS(APCI)m/z:1032(M+H)
【0232】
工程4:抗体−薬物コンジュゲート(1)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作C−1及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.0/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(1.25mL)を1.5mLポリプロピレン製チューブに入れ、ここに10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.025mL;抗体一分子に対して3.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Co.LLC;0.109mL)と上記工程3で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.039mL;抗体一分子に対して4.6当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下40分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.008mL)を加え、さらに室温下20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:13.02mg/mL,抗体収量:9.1mg(73%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.4
【0233】
実施例3 抗体−薬物コンジュゲート(2)
【0234】
【化72】
【0235】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(2)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(4.0mL)を15mLチューブに採取し、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.118mL;抗体一分子に対して4.6当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.200mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例2の工程3で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.236mL;抗体一分子に対して9.2当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.00471mL)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を17.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.80mg/mL,抗体収量:26.1mg(65%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.9
【0236】
実施例4 抗体−薬物コンジュゲート(3)
【0237】
【化73】
【0238】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(3)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作C−1及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.0/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(1.25mL)を1.5mLポリプロピレン製チューブに入れ、ここに10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液0.051mL(抗体一分子に対して6.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Co.LLC;0.067mL)と実施例2の工程3で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.085mL;抗体一分子に対して10.0当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下60分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.013mL)を加え、さらに室温下20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.67mg/mL,抗体収量:10.02mg(80%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.3
【0239】
実施例5 抗体−薬物コンジュゲート(4)
【0240】
【化74】
【0241】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(4)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作C−1及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.0/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(1.25mL)を1.5mLポリプロピレン製チューブに入れ、ここに10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.051mL;抗体一分子に対して6.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Co.LLC;0.025mL)と実施例2の工程3で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.127mL;抗体一分子に対して15.0当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下60分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.019mL)を加え、さらに室温下20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.19mg/mL,抗体収量:7.14mg(57%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.5
【0242】
実施例6 抗体−薬物コンジュゲート(5)
【0243】
【化75】
【0244】
実施例4と実施例5の抗体−薬物コンジュゲートのほぼ全量を混合し、共通操作Aを使用して溶液を濃縮し、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:15.37mg,抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.7
【0245】
実施例7 抗体−薬物コンジュゲート(6)
【0246】
【化76】
【0247】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(6)
抗体の還元:参考例3にて作製した抗CD30抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.75を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を2mLチューブに採取し、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液0.0297mL(抗体一分子に対して4.6当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例2の工程3で得た化合物10mMジメチルスルホキシド溶液(0.0593mL;抗体一分子に対して9.2当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0119mL;抗体一分子に対して18.4当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=270400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.99mg/mL,抗体収量:5.94mg(59%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.3
【0248】
実施例8 抗体−薬物コンジュゲート(7)
【0249】
【化77】
【0250】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(7)
抗体の還元:参考例3にて作製した抗CD30抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.75を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を2mLチューブに採取し、30mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0148mL;抗体一分子に対して6.9当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例2の工程3で得た化合物30mMジメチルスルホキシド溶液(0.0297mL;抗体一分子に対して13.8当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0178mL;抗体一分子に対して27.6当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=270400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.99mg/mL,抗体収量:5.94mg(59%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.8
【0251】
実施例9 抗体−薬物コンジュゲート(8)
【0252】
【化78】
【0253】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(8)
抗体の還元:参考例4にて作製した抗CD33抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.66を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を2mLチューブに採取し、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0297mL;抗体一分子に対して4.6当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例2の工程3で得た化合物10mMジメチルスルホキシド溶液(0.0593mL;抗体一分子に対して9.2当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0119mL;抗体一分子に対して18.4当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=256400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.06mg/mL,抗体収量:6.36mg(64%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.4
【0254】
実施例10 抗体−薬物コンジュゲート(9)
【0255】
【化79】
【0256】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(9)
抗体の還元:参考例4にて作製した抗CD33抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.66を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を2mLチューブに採取し、30mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0148mL;抗体一分子に対して6.9当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例2の工程3で得た化合物30mMジメチルスルホキシド溶液(0.0297mL;抗体一分子に対して13.8当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0178mL;抗体一分子に対して27.6当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=256400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.95mg/mL,抗体収量:5.70mg(57%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.7
【0257】
実施例11 抗体−薬物コンジュゲート(10)
【0258】
【化80】
【0259】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(10)
抗体の還元:参考例5にて作製した抗CD70抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.69を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を2mLチューブに採取し、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0297mL;抗体一分子に対して4.6当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例2の工程3で得た化合物10mMジメチルスルホキシド溶液(0.0593mL;抗体一分子に対して9.2当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0119mL;抗体一分子に対して18.4当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=262400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.00mg/mL,抗体収量:6.00mg(60%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.2
【0260】
実施例12 抗体−薬物コンジュゲート(11)
【0261】
【化81】
【0262】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(11)
抗体の還元:参考例5にて作製した抗CD70抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.69を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を2mLチューブに採取し、30mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0148mL;抗体一分子に対して6.9当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例2の工程3で得た化合物30mMジメチルスルホキシド溶液(0.0297mL;抗体一分子に対して13.8当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0178mL;抗体一分子に対して27.6当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=262400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.96mg/mL,抗体収量:5.76mg(58%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.6
【0263】
実施例13 抗体−薬物コンジュゲート(12)
【0264】
【化82】
【0265】
工程1:N−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
実施例2の工程2で得た化合物(80mg,0.084mmoL)を、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジルの代わりに3−マレイミドプロピオン酸N−スクシンイミジル(24.6mg,0.0924mmoL)を用いて、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(60.0mg,73%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.89(3H,t,J=7.3Hz),1.70−1.78(2H,m),1.81−1.94(2H,m),2.12−2.23(4H,m),2.42(3H,s),2.81(1H,dd,J=13.7,9.8Hz),3.01−3.15(3H,m),3.16−3.23(2H,m),3.30−3.35(1H,m),3.58−3.71(6H,m),3.71−3.79(1H,m),4.44−4.51(1H,m),5.19(1H,d,J=19.0Hz),5.27(1H,d,J=19.0Hz),5.43(1H,d,J=17.6Hz),5.47(1H,d,J=17.6Hz),5.57−5.63(1H,m),6.56(1H,s),7.02(2H,s),7.17−7.22(1H,m),7.22−7.30(5H,m),7.34(1H,s),7.73(1H,t,J=5.6Hz),7.83(1H,d,J=10.7Hz),8.08(1H,t,J=5.6Hz),8.15(1H,d,J=7.8Hz),8.30(2H,dt,J=18.7,5.7Hz),8.49(1H,d,J=8.8Hz).
MS(APCI)m/z:990(M+H)
【0266】
工程2:抗体−薬物コンジュゲート(12)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び上記工程1で得た化合物を用いて、実施例2の工程4と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:12.16mg/mL,抗体収量:8.5mg(68%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.4
【0267】
実施例14 抗体−薬物コンジュゲート(13)
【0268】
【化83】
【0269】
工程1:N−{3−[2−(2−{[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル]アミノ}エトキシ)エトキシ]プロパノイル}グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
実施例2の工程2で得た化合物(100mg,0.119mmoL)を、トリエチルアミンの代わりにジイソプロピルエチルアミン(20.8μL,0.119mmoL)を、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジルの代わりに3−(2−(2−(3−マレインイミドプロパンアミド)エトキシ)エトキシ)プロパン酸N−スクシンイミジル(50.7mg,0.119mmoL)を用いて、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(66.5mg,48%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.85(3H,t,J=7.4Hz),1.65−1.74(2H,m),1.77−1.90(2H,m),2.07−2.19(4H,m),2.30(2H,t,J=7.2Hz),2.33−2.36(2H,m),2.38(3H,s),2.76(1H,dd,J=13.7,9.8Hz),2.96−3.18(9H,m),3.42−3.44(4H,m),3.53−3.76(10H,m),4.43(1H,td,J=8.6,4.7Hz),5.14(1H,d,J=18.8Hz),5.23(1H,d,J=18.8Hz),5.38(1H,d,J=17.2Hz),5.42(1H,d,J=17.2Hz),5.52−5.58(1H,m),6.52(1H,s),6.98(2H,s),7.12−7.17(1H,m),7.18−7.25(4H,m),7.29(1H,s),7.69(1H,t,J=5.5Hz),7.78(1H,d,J=11.3Hz),7.98−8.03(2H,m),8.11(1H,d,J=7.8Hz),8.16(1H,t,J=5.7Hz),8.23(1H,t,J=5.9Hz),8.44(1H,d,J=9.0Hz).
MS(APCI)m/z:1149(M+H)
【0270】
工程2:抗体−薬物コンジュゲート(13)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び上記工程1で得た化合物を用いて、実施例2の工程4と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:12.76mg/mL,抗体収量:8.9mg(71%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.4
【0271】
実施例15 抗体−薬物コンジュゲート(14)
【0272】
【化84】
【0273】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(14)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び実施例14の工程1で得た化合物を用いて、実施例4の工程1と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:1.60mg/mL,抗体収量:9.60mg(77%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.1
【0274】
実施例16 抗体−薬物コンジュゲート(15)
【0275】
【化85】
【0276】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(15)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び実施例14の工程1で得た化合物を用いて、実施例5の工程1と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:1.64mg/mL,抗体収量:9.84mg(79%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.1
【0277】
実施例17 抗体−薬物コンジュゲート(16)
【0278】
【化86】
【0279】
実施例15と実施例16の抗体−薬物コンジュゲートのほぼ全量を混合し、共通操作Aを使用して溶液を濃縮し、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:17.30mg,抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.5
【0280】
実施例18 抗体−薬物コンジュゲート(17)
【0281】
【化87】
【0282】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(17)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(100mL、抗体1g)を250mLフラスコに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(2.43mL;抗体一分子に対して3.6当量)を加え、さらに1M リン酸水素二カリウム水溶液(5mL)を加えた。本溶液のpHが7.4付近であることをpHメーターで確認した後、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(3.51mL;抗体一分子に対して5.2当量)及びジメチルスルホキシド(2.14mL)を室温下加え、15℃水浴中で攪拌子で130分攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC水溶液(0.547mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液に対して、限外ろ過膜(メルク株式会社、Pellicon XL Cassette、Biomax 50KDa)、チューブポンプ(米国コールパーマー社マスターフレックスポンプ model 77521−40、ポンプヘッド model 7518−00)及びチューブ(米国コールパーマー社マスターフレックスチューブ L/S16)で構成された限外ろ過装置を用い、限外ろ過精製を行った。すなわち、反応液に精製緩衝液としてABSを滴下しながら(計800mL)、限外ろ過精製を行うことで、未結合の薬物リンカー及び他の低分子量試薬を除去するとともに緩衝液をABSへ置換し、さらに濃縮まで行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を約70mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:14.5mg/mL,抗体収量:1.0g(約100%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.5
【0283】
実施例19 抗体−薬物コンジュゲート(18)
【0284】
【化88】
【0285】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(18)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(5mL、抗体50mg)を15mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.135mL;抗体一分子に対して4当量)を加えた。本溶液のpHが7.4付近であることをpHメーターで確認した後、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.219mL;抗体一分子に対して6.5当量)及びジメチルスルホキシド(0.064mL)を加え、15℃水浴中で90分インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC水溶液(0.033mL;抗体一分子に対して9.8当量)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を19mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.17mg/mL,抗体収量:41mg(82%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.0
【0286】
実施例20 抗体−薬物コンジュゲート(19)
【0287】
【化89】
【0288】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(19)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(4mL、抗体40mg)を15mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.140mL;抗体一分子に対して5.2当量)を加えた。本溶液のpHが7.4付近であることをpHメーターで確認した後、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.232mL;抗体一分子に対して8.6当量)を加え、15℃水浴中で90分インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC水溶液(0.035mL;抗体一分子に対して12.9当量)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を13mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.36mg/mL,抗体収量:31mg(77%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.9
【0289】
実施例21 抗体−薬物コンジュゲート(20)
【0290】
【化90】
【0291】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(20)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.25mL、抗体12.5mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0287mL;抗体一分子に対して3.4当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0439mL;抗体一分子に対して5.2当量)及びジメチルスルホキシド(0.0267mL)を室温下加え、15℃の水浴中で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0066mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:8.7mg(70%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.5
【0292】
実施例22 抗体−薬物コンジュゲート(21)
【0293】
【化91】
【0294】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(21)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.25mL、抗体12.5mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0439mL;抗体一分子に対して5.2当量)(0.0287mL;抗体一分子に対して3.4当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0726mL;抗体一分子に対して8.6当量)を室温下加え、15℃の水浴中で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.011mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:8.3mg(66%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.5
【0295】
実施例23 抗体−薬物コンジュゲート(22)
【0296】
【化92】
【0297】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(22)
抗体の還元:参考例3にて作製した抗CD30抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.75mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0065mL;抗体一分子に対して2.5当量)を加え、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0116mL;抗体一分子に対して4.5当量)及びジメチルスルホキシド(0.0098mL)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0017mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=270400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.86mg/mL,抗体収量:2.2mg(54%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):2.5
【0298】
実施例24 抗体−薬物コンジュゲート(23)
【0299】
【化93】
【0300】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(23)
抗体の還元:参考例3にて作製した抗CD30抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.75mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.35mL、抗体3.5mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0113mL;抗体一分子に対して5当量)を加え、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0204mL;抗体一分子に対して9当量)及びプロピレングリコール(関東化学株式会社、0.18mL)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0031mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=270400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.41mg/mL,抗体収量:1.0mg(29%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.1
【0301】
実施例25 抗体−薬物コンジュゲート(24)
【0302】
【化94】
【0303】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(24)
抗体の還元:参考例4にて作製した抗CD33抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.66mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0065mL;抗体一分子に対して2.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0058mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0116mL;抗体一分子に対して4.5当量)及びジメチルスルホキシド(0.0101mL)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0017mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=256400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.25mg/mL,抗体収量:3.1mg(78%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.7
【0304】
実施例26 抗体−薬物コンジュゲート(25)
【0305】
【化95】
【0306】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(25)
抗体の還元:参考例4にて作製した抗CD33抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.66mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0129mL;抗体一分子に対して5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.006mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0233mL;抗体一分子に対して9当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0035mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=256400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.17mg/mL,抗体収量:2.9mg(73%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.3
【0307】
実施例27 抗体−薬物コンジュゲート(26)
【0308】
【化96】
【0309】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(26)
抗体の還元:参考例5にて作製した抗CD70抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.69mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0065mL;抗体一分子に対して2.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0058mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0116mL;抗体一分子に対して4.5当量)及びジメチルスルホキシド(0.0101mL)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0017mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=262400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.14mg/mL,抗体収量:2.9mg(71%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.8
【0310】
実施例28 抗体−薬物コンジュゲート(27)
【0311】
【化97】
【0312】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(27)
抗体の還元:参考例5にて作製した抗CD70抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.69mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0129mL;抗体一分子に対して5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.006mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例14の工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0233mL;抗体一分子に対して9当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0035mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=262400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=4964(実測値)εD,370=18982(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.13mg/mL,抗体収量:2.8mg(71%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.4
【0313】
実施例29 抗体−薬物コンジュゲート(28)
【0314】
【化98】
【0315】
工程1:N−[19−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−17−オキソ−4,7,10,13−テトラオキソ−16−アザノナデカン−1−オイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
実施例2の工程2で得た化合物(90mg,0.107mmoL)を、トリエチルアミンの代わりにジイソプロピルエチルアミン(18.7μL,0.107mmoL)を、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジルの代わりに1−マレインイミド−3−オキソ−7,10,13,16−テトラオキサ−4−アザノナデカン−19−酸N−スクシンイミジル(55.1mg,0.107mmoL)を用いて、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(50mg,37%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.85(3H,t,J=7.2Hz),1.64−1.74(2H,m),1.77−1.90(2H,m),2.06−2.19(4H,m),2.27−2.32(2H,m),2.33−2.37(2H,m),2.38(3H,s),2.72−2.80(3H,m),2.96−3.19(6H,m),3.39−3.48(10H,m),3.52−3.75(10H,m),4.39−4.48(1H,m),5.14(1H,d,J=18.8Hz),5.23(1H,d,J=18.8Hz),5.38(1H,d,J=17.0Hz),5.42(1H,d,J=17.0Hz),5.52−5.58(1H,m),6.52(1H,s),6.98(1H,s),7.13−7.24(5H,m),7.29(1H,s),7.69(1H,t,J=5.5Hz),7.78(1H,d,J=10.9Hz),7.98−8.03(2H,m),8.10(1H,d,J=7.8Hz),8.16(1H,t,J=5.7Hz),8.23(1H,t,J=5.7Hz),8.44(1H,d,J=8.6Hz).
MS(APCI)m/z:1237(M+H)
【0316】
工程2:抗体−薬物コンジュゲート(28)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作C−1及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.0/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(1.25mL)を1.5mLポリプロピレン製チューブに入れ、ここに10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.025mL;抗体一分子に対して3.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Co.LLC;0.102mL)と上記工程1で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.047mL;抗体一分子に対して5.5当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下40分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.009)mLを加え、さらに室温下20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:13.60mg/mL,抗体収量:9.5mg(76%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.3
【0317】
実施例30 抗体−薬物コンジュゲート(29)
【0318】
【化99】
【0319】
工程1:N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニルグリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
実施例2の工程2で得た化合物(0.839g,1.00mmoL)を、4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりにN−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンを用いて実施例1の工程1と同様に反応させ、得られた粗生成物を精製せずに次の工程に用いた。
【0320】
工程2:β−アラニルグリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
上記工程1で得た粗生成物を、実施例2の工程2と同様に反応させ、標記化合物(0.610g,67%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.4Hz),1.67−1.77(2H,m),1.79−1.92(2H,m),2.09−2.22(4H,m),2.40(3H,s),2.46−2.55(2H,m),2.82−2.73(1H,m),2.95−3.13(5H,m),3.14−3.21(2H,m),3.55−3.80(6H,m),4.44−4.52(1H,m),5.20(2H,dd,J=35.0,19.0Hz),5.42(2H,s),5.53−5.60(1H,m),6.54(1H,s),7.14−7.28(5H,m),7.31(1H,s),7.67(2H,brs),7.72−7.78(1H,m),7.80(1H,d,J=11.0Hz),8.10−8.17(2H,m),8.29(1H,t,J=5.9Hz),8.42(1H,t,J=5.7Hz),8.47(1H,d,J=8.6Hz).
【0321】
工程3:N−(ブロモアセチル)−β−アラニルグリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
2−ブロモ酢酸(96.3mg,0.693mmoL)のジクロロメタン(4.5mL)溶液へ、N−ヒドロキシスクシンイミド(79.7mg,0.693mmoL)、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(0.107mL,0.693mmoL)を加え室温で撹拌した。反応溶液を、上記工程2で得た化合物(473mg,0.462mmoL)、トリエチルアミン(0.154mL,1.11mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(4.5mL)溶液へ0℃で加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出溶媒:クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=85:15(v/v)]にて精製し、得られた固体をクロロホルム:メタノール:ジエチルエーテル混合溶媒にて洗浄することで、標記化合物(191mg,40%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.4Hz),1.67−1.77(2H,m),1.79−1.92(2H,m),2.08−2.22(4H,m),2.33(2H,t,J=7.0Hz),2.40(3H,s),2.74−2.83(1H,m),2.99−3.12(3H,m),3.14−3.21(2H,m),3.24−3.30(2H,m),3.56−3.77(6H,m),3.82(2H,s),4.41−4.51(1H,m),5.20(2H,q,J=18.9Hz),5.42(2H,s),5.54−5.60(1H,m),6.54(1H,s),7.15−7.27(5H,m),7.31(1H,s),7.69−7.74(1H,m),7.80(1H,d,J=10.9Hz),8.06(1H,t,J=5.7Hz),8.13(1H,d,J=7.8Hz),8.21−8.34(3H,m),8.46(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:1030,1032(M+H)
【0322】
工程4:抗体−薬物コンジュゲート(29)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作C−1及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.0/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(1.25mL)を1.5mLポリプロピレン製チューブに入れ、ここに10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.025mL;抗体一分子に対して3.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Co.LLC;0.09mL)と上記工程3で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.059mL;抗体一分子に対して7.0当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下40分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.009mL)を加え、さらに室温下20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:13.9mg/mL,抗体収量:9.7mg(78%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.2
【0323】
実施例31 抗体−薬物コンジュゲート(30)
【0324】
【化100】
【0325】
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び実施例30の工程3で得た化合物を用いて、実施例4の工程1と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:1.94mg/mL,抗体収量:11.64mg(93%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.6
【0326】
実施例32 抗体−薬物コンジュゲート(31)
【0327】
【化101】
【0328】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(31)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び実施例30の工程3で得た化合物を用いて、実施例5の工程1と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:1.90mg/mL,抗体収量:11.40mg(91%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.7
【0329】
実施例33 抗体−薬物コンジュゲート(32)
【0330】
【化102】
【0331】
実施例31と実施例32の抗体−薬物コンジュゲートのほぼ全量を混合し、共通操作Aを使用して溶液を濃縮し、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:21.06mg,抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.0
【0332】
実施例34 抗体−薬物コンジュゲート(33)
【0333】
【化103】
【0334】
工程1:tert−ブチル 4−({N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−リジル}アミノ)ブタノエート
ε−(tert−ブトキシカルボニル)−Nα−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−リシン(1.00g,2.14mmoL)、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.370g,3.20mmoL)、及びtert−ブチル4−アミノブタン酸エステル塩酸塩(0.830g,4.27mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(10.0mL)溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.610g,3.20mmoL)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.410ml,2.35mmol)を加え、室温にて3日間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(1.35g,定量的)を無色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:1.14−1.42(4H,m),1.36(9H,s),1.37(9H,s),1.48−1.67(4H,m),2.18(2H,t,J=7.6Hz),2.84−2.93(2H,m),2.99−3.11(2H,m),3.84−3.94(1H,m),4.18−4.30(3H,m),6.76(1H,t,J=5.4Hz),7.33(2H,t,J=7.3Hz),7.39−7.45(3H,m),7.73(2H,dd,J=7.3,2.7Hz),7.85−7.92(3H,m).
【0335】
工程2:tert−ブチル 4−{[N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−リジル]アミノ}ブタノエート
上記工程1で得た化合物(1.35g,2.22mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(8.00mL)溶液に、ピペリジン(2.00mL)を加え、室温で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、標記化合物を含む混合物を得た。本混合物は、これ以上の精製は行わずに次の反応に用いた。
【0336】
工程3:N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(4−tert−ブトキシ−4−オキソブチル)−L−リシンアミド
上記工程2で得た混合物(2.22mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(30.0mL)溶液に、N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリン(1.13g,3.32mmoL)、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.310g,2.66mmoL)、及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.550g,2.88mmoL)を加え、室温にて18時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=9:1(v/v)]にて精製し、(0.363g,23%)を無色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.84(6H,t,J=6.0Hz),1.12−1.64(8H,m),1.34(9H,s),1.38(9H,s),1.90−2.04(1H,m),2.17(2H,t,J=7.3Hz),2.79−2.90(2H,m),2.99−3.09(2H,m),3.83−3.91(1H,m),4.08−4.44(4H,m),6.71(1H,t,J=5.4Hz),7.32(2H,t,J=7.3Hz),7.42(3H,t,J=7.3Hz),7.74(2H,t,J=7.0Hz),7.85−7.91(4H,m).
MS(ESI)m/z:709(M+H)
【0337】
工程4:N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N−(3−カルボキシプロピル)−L−リシンアミドギ酸塩
上記工程3で得た化合物(0.363mg,0.512mmoL)にギ酸(10.0ml)を加え、室温で4時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物を得た。本化合物は、これ以上の精製は行わずに次の反応に用いた。
【0338】
工程5:N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(3−カルボキシプロピル)−L−リシンアミド
上記工程4で得た化合物(0.512mmoL)の1,4−ジオキサン(5.00mL)懸濁液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20.0ml)及びジ−tert−ブチルジカルボネート(0.178ml,0.769mmoL)を加え、室温にて3時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、10%クエン酸水溶液及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(0.295g,88%)を無色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.84(6H,t,J=6.7Hz),1.13−1.39(4H,m),1.35(9H,s),1.48−1.62(4H,m),1.91−2.04(1H,m),2.20(2H,t,J=7.3Hz),2.80−2.89(2H,m),2.99−3.11(2H,m),3.87(1H,dd,J=8.5,6.7Hz),4.06−4.35(4H,m),6.71(1H,t,J=6.0Hz),7.32(2H,t,J=7.6Hz),7.39−7.46(3H,m),7.74(2H,t,J=7.6Hz),7.83−7.94(4H,m).
MS(ESI)m/z:653(M+H)
【0339】
工程6:N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)−L−リシンアミド
化合物(4)のメシル酸塩(0.240g、0.452mmoL)を、4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりに上記工程5で得た化合物(0.295g,0.452mmoL)を用いて、実施例1の工程1と同様に反応させ、標記化合物(0.208g,43%)を淡橙色固体として得た。
MS(ESI)m/z:1071(M+H)
【0340】
工程7:L−バリル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)−L−リシンアミド
上記工程6で得た化合物(0.208g,0.194mmoL)を、上記工程2と同様に反応させ、標記化合物を含む混合物を得た。本混合物は、これ以上の精製は行わずに次の反応に用いた。
【0341】
工程8:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)−L−リシンアミド
上記工程7で得た混合物(0.194mmoL)を、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(0.133g,56%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.77(6H,t,J=5.7Hz),0.87(3H,t,J=7.3Hz),1.14−1.71(10H,m),1.35(9H,s),1.77−1.95(3H,m),2.02−2.23(7H,m),2.40(3H,s),2.84(3H,q,J=6.4Hz),3.05(2H,d,J=6.7Hz),3.17(2H,s),3.26−3.39(3H,m),4.01−4.16(2H,m),5.15(1H,d,J=18.7Hz),5.24(1H,d,J=18.7Hz),5.36−5.48(2H,m),5.51−5.60(1H,m),6.52(1H,s),6.72(1H,t,J=6.0Hz),6.99(2H,s),7.31(1H,s),7.71−7.85(5H,m),8.41(1H,d,J=9.1Hz).
MS(ESI)m/z:1041(M+H)
【0342】
工程9:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)−L−リシンアミドトリフルオロ酢酸塩
上記工程8で得た化合物(0.110mg,0.106mmoL)のジクロロメタン(10.0ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(4.00ml)を加え、室温で5時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、標記化合物(70.0mg,64%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.76−0.81(6H,m),0.87(3H,t,J=7.3Hz),1.12−1.31(4H,m),1.39−1.56(8H,m),1.57−1.74(3H,m),1.79−1.96(3H,m),2.06−2.18(7H,m),2.40(3H,s),2.70−2.80(2H,m),3.01−3.10(2H,m),3.13−3.22(2H,m),4.04(1H,t,J=7.6Hz),4.10−4.20(1H,m),5.15(1H,d,J=18.7Hz),5.24(1H,d,J=18.7Hz),5.36−5.47(2H,m),5.52−5.60(1H,m),6.53(1H,s),7.00(2H,s),7.32(1H,s),7.61(3H,brs),7.75−7.88(4H,m),8.43(1H,d,J=8.5Hz).
MS(ESI)m/z:941(M+H)
【0343】
工程10:抗体−薬物コンジュゲート(33)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び上記工程9で得た化合物を用いて、実施例29の工程2と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:12.0mg/mL,抗体収量:8.4mg(67%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.2
【0344】
実施例35 抗体−薬物コンジュゲート(34)
【0345】
【化104】
【0346】
工程1:N−(3−スルファニルプロパノイル)グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
実施例2の工程2で得た化合物(84.0mg,0.100mmoL)を、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジルの代わりに3−メルカプトプロピオン酸N−スクシンイミジルを用いて実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(61.2mg,66%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(DMSO−D)δ:0.87(3H,t,J=7.4Hz),1.77−1.66(2H,m),1.79−1.92(2H,m),2.07−2.24(4H,m),2.31−2.47(3H,m),2.40(3H,s),2.59−2.69(2H,m),2.78(1H,dd,J=13.7,9.8Hz),2.98−3.13(3H,m),3.14−3.23(2H,m),3.54−3.79(6H,m),4.40−4.50(1H,m),5.20(2H,dd,J=36.8,19.2Hz),5.36−5.47(2H,m),5.52−5.63(1H,m),6.54(1H,s),7.14−7.28(5H,m),7.31(1H,s),7.68−7.74(1H,m),7.80(1H,d,J=10.9Hz),8.03−8.09(1H,m),8.13(1H,d,J=7.8Hz),8.19−8.29(2H,m),8.46(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:927(M+H)
【0347】
工程2:抗体−薬物コンジュゲート(34)
抗体のSMCC誘導体化:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、共通操作C−2及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.5/EDTAに置換し、20mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(0.25mL)を1.5mLチューブに入れ、ここにsuccinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate(SMCC, Thermo Fisher Scientific Inc.)を27.6mM含むDMSO溶液(0.0063mL;抗体一分子に対して約2.55当量相当)を室温下加え、室温で2時間反応させた。この反応液を共通操作D−2を用いた精製を行い、SMCC誘導体化された抗体を約5mg含む溶液を0.7mL得た。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、DMSO(0.045mL)と上記工程1で得た化合物を10mM含むDMSO溶液(0.015mL;抗体一分子に対して約2.4当量相当)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103, アズワン株式会社)を用いて室温下16時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。
精製:上記溶液を、共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を3.5mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:3.85mg/mL,抗体収量:0.8mg(16%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):2.9
【0348】
実施例36 抗体−薬物コンジュゲート(35)
【0349】
【化105】
【0350】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(35)
抗体のSMCC誘導体化:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、共通操作C−2及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.5/EDTAに置換し、20mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(0.25mL)を1.5mLチューブに入れ、ここにsuccinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate(SMCC,Thermo Fisher Scientific Inc.)を27.6mM含むDMSO溶液(0.0125mL;抗体一分子に対して約5.1当量相当)を室温下加え、室温で2時間反応させた。この反応液を共通操作D−2を用いた精製を行い、SMCC誘導体化された抗体を約5mg含む溶液を0.7mL得た。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、DMSO(0.03mL)と実施例35の工程1で得た化合物を10mM含むDMSO溶液(0.03mL;抗体一分子に対して約4.8当量相当)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下16時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。
精製:上記溶液を、共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を3.5mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.43mg/mL,抗体収量:0.5mg(10%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):4.2
【0351】
実施例37 抗体−薬物コンジュゲート(36)
【0352】
【化106】
【0353】
工程1:N−{8−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−8−オキソオクタノイル}グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(4−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−4−オキソブチル)グリシンアミド
実施例2の工程2で得た化合物(84.0mg,0.100mmoL)を、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジルの代わりにスベリン酸ジ(N−スクシンイミジル)を用いて実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(77.1mg,71%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(DMSO−D)δ:0.87(3H,t,J=7.2Hz),1.21−1.38(4H,m),1.43−1.50(2H,m),1.55−1.63(2H,m),1.68−1.76(2H,m),1.80−1.91(2H,m),2.07−2.22(6H,m),2.40(3H,s),2.60−2.67(2H,m),2.76−2.84(5H,m),2.97−3.22(5H,m),3.56−3.76(6H,m),4.40−4.50(1H,m),5.20(2H,q,J=18.8Hz),5.37−5.48(2H,m),5.53−5.62(1H,m),6.54(1H,s),7.15−7.28(5H,m),7.31(1H,s),7.71(1H,t,J=5.5Hz),7.80(1H,d,J=10.9Hz),8.04(1H,t,J=5.9Hz),8.09(1H,t,J=5.9Hz),8.14(1H,d,J=7.8Hz),8.26(1H,t,J=5.9Hz),8.47(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:1092(M+H)
【0354】
工程2:抗体−薬物コンジュゲート(36)
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、共通操作C−2及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.5/EDTAに置換し、20mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(0.25mL)を1.5mLチューブに入れ、ここに、上記工程1にて得た化合物を10mM含むDMSO溶液0.025mL(抗体一分子に対して約3.7当量相当)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下16時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。
精製:上記溶液を、共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を3.5mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:6.25mg/mL,抗体収量:1.3mg(26%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.2
【0355】
実施例38 抗体−薬物コンジュゲート(37)
【0356】
【化107】
【0357】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(37)
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、共通操作C−2及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.5/EDTAに置換し、20mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(0.5mL)を1.5mLチューブに入れたのち、ここに、DMSO(0.025mL)と実施例37の工程1にて得た化合物を10mM含むDMSO溶液(0.025mL;抗体一分子に対して約7.4当量相当)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下16時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。
精製:上記溶液を、共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を3.5mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:4.36mg/mL, 抗体収量:0.9mg(18%), 抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):4.1
【0358】
実施例39 抗体−薬物コンジュゲート(38)
【0359】
【化108】
【0360】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(38)
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:参考例3にて作製した抗CD30抗体を、共通操作C−2及びB(280nm吸光係数として1.75mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.5/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れたのち、ここに、DMSO(0.017mL)と実施例37の工程1にて得た化合物を10mM含むDMSO溶液(0.023mL;抗体一分子に対して9当量相当)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下4時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。
精製:上記溶液を、共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=270400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=2670(実測値)εD,370=15820(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.55mg/mL, 抗体収量:1.4mg(34%), 抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):2.7
【0361】
実施例40 抗体−薬物コンジュゲート(39)
【0362】
【化109】
【0363】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(39)
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:参考例4にて作製した抗CD33抗体を、共通操作C−2及びB(280nm吸光係数として1.66mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.5/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れたのち、ここに、DMSO(0.017mL)と実施例37の工程1にて得た化合物を10mM含むDMSO溶液(0.023mL;抗体一分子に対して9当量相当)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下4時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。
精製:上記溶液を、共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=256400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=2670(実測値)εD,370=15820(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.93mg/mL, 抗体収量:2.3mg(58%), 抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):4.0
【0364】
実施例41 抗体−薬物コンジュゲート(40)
【0365】
【化110】
【0366】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(40)
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:参考例5にて作製した抗CD70抗体を、共通操作C−2及びB(280nm吸光係数として1.69mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.5/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れたのち、ここに、DMSO(0.017mL)と実施例37の工程1にて得た化合物を10mM含むDMSO溶液(0.023mL;抗体一分子に対して9当量相当)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下4時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。
精製:上記溶液を、共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=262400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=2670(実測値)εD,370=15820(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.04mg/mL, 抗体収量:2.6mg(65%), 抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):4.1
【0367】
実施例42 2−(2−アミノエトキシ)−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アセトアミド
【0368】
【化111】
【0369】
工程1:tert−ブチル[2−(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)エチル]カーバメート
化合物(4)のメシル酸塩(3.10g、5.47moL)を、4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりに{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エトキシ}酢酸(J.Med.Chem.,1992年,35巻,2928項)(1.55g,6.01mmol)を用いて、実施例1の工程1と同様に反応させ、標記化合物(2.56g,73%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.3Hz),1.26(9H,s),1.81−1.91(2H,m),2.13−2.22(2H,m),2.40(3H,s),3.08−3.26(4H,m),3.43−3.53(2H,m),4.00(1H,d,J=15.1Hz),4.05(1H,d,J=15.1Hz),5.14(1H,d,J=18.7Hz),5.22(1H,d,J=18.7Hz),5.40(1H,d,J=16.6Hz),5.44(1H,d,J=16.6Hz),5.59−5.66(1H,m),6.53(1H,s),6.86(1H,t,J=5.4Hz),7.31(1H,s),7.79(1H,d,J=10.9Hz),8.49(1H,d,J=9.1Hz).
MS(APCI)m/z:637(M+H)
【0370】
工程2:2−(2−アミノエトキシ)−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アセトアミド
上記工程1で得た化合物(1.50g,2.36mol)を、実施例1の工程2と同様に反応させ、標記化合物のトリフルオロ塩酸塩(1.50g,定量的)を淡黄色固体として得た。抗体−薬物コンジュゲート(41)を担癌マウスに投与した際に、この化合物が腫瘍中で確認された。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.5Hz),1.81−1.92(2H,m),2.15−2.23(2H,m),2.41(3H,s),3.05(2H,t,J=5.1Hz),3.15−3.23(2H,m),3.71(2H,t,J=5.1Hz),4.10(2H,s),5.19(1H,d,J=18.7Hz),5.24(1H,d,J=18.7Hz),5.43(2H,s),5.58−5.66(1H,m),6.55(1H,s),7.33(1H,s),7.73−7.84(4H,m),8.55(1H,d,J=9.1Hz).
MS(APCI)m/z:537(M+H)
【0371】
実施例43 抗体−薬物コンジュゲート(41)
【0372】
【化112】
【0373】
工程1:N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[2−(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)エチル]グリシンアミド
実施例42の化合物(554mg,0.85mmol)を、実施例2の工程1と同様に反応させ、標記化合物(775mg,95%)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.85(3H,t,J=7.3Hz),1.36(9H,s),1.78−1.89(2H,m),2.13−2.22(2H,m),2.39(3H,s),2.71(1H,dd,J=13.4,9.8Hz),2.95(1H,dd,J=13.4,4.3Hz),3.09−3.23(1H,m),3.23−3.32(2H,m),3.40−3.62(8H,m),3.73(1H,dd,J=16.5,5.5Hz),4.03(2H,s),4.39−4.47(1H,m),5.17(1H,d,J=18.9Hz),5.25(1H,d,J=18.9Hz),5.41(1H,d,J=16.8Hz),5.45(1H,d,J=16.8Hz),5.57−5.64(1H,m),6.54(1H,s),6.99(1H,t,J=5.8Hz),7.13−7.26(5H,m),7.31(1H,s),7.76−7.82(2H,m),7.90(1H,t,J=5.2Hz),8.13(1H,d,J=7.9Hz),8.27(1H,t,J=5.8Hz),8.49(1H,d,J=8.5Hz).
MS(APCI)m/z:955(M+H)
【0374】
工程2:グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[2−(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)エチル]グリシンアミドトリフルオロ酢酸塩
上記工程1で得た化合物(630mg,0.659mmol)を、実施例2の工程2と同様に反応させ、標記化合物(588mg,92%)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.86(3H,t,J=7.3Hz),1.79−1.90(2H,m),2.13−2.22(2H,m),2.39(3H,s),2.71(1H,dd,J=13.4,10.1Hz),2.99(1H,dd,J=13.4,4.3Hz),3.09−3.23(1H,m),3.24−3.32(3H,m),3.41−3.71(7H,m),3.86(1H,dd,J=16.8,5.8Hz),4.04(2H,s),4.52(1H,td,J=9.0,4.1Hz),5.17(1H,d,J=18.9Hz),5.25(1H,d,J=18.9Hz),5.41(1H,d,J=16.5Hz),5.45(1H,d,J=16.5Hz),5.56−5.65(1H,m),6.55(1H,s),7.13−7.26(5H,m),7.32(1H,s),7.80(1H,d,J=11.0Hz),7.87−8.01(4H,m),8.29−8.36(2H,m),8.46−8.55(2H,m).
MS(APCI)m/z:855(M+H)
【0375】
工程3:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[2−(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)エチル]グリシンアミド
上記工程2で得た化合物(240mg,0.247mmol)を、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(162mg,62%)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.86(3H,t,J=7.6Hz),1.13−1.22(2H,m),1.40−1.51(4H,m),1.78−1.90(2H,m),2.09(2H,t,J=7.6Hz),2.14−2.21(2H,m),2.39(3H,s),2.74(1H,dd,J=13.6,9.7Hz),2.96(1H,dd,J=13.6,4.5Hz),3.08−3.24(1H,m),3.24−3.30(1H,m),3.33−3.40(4H,m),3.47−3.68(7H,m),3.72(1H,dd,J=16.6,5.7Hz),4.03(2H,s),4.42(1H,td,J=8.6,4.2Hz),5.17(1H,d,J=18.7Hz),5.25(1H,d,J=18.7Hz),5.40(1H,d,J=17.2Hz),5.44(1H,d,J=17.2Hz),5.57−5.64(1H,m),6.52(1H,s),6.99(2H,s),7.13−7.25(5H,m),7.31(1H,s),7.74−7.81(2H,m),7.99(1H,t,J=5.7Hz),8.03−8.11(2H,m),8.22(1H,t,J=5.7Hz),8.47(1H,d,J=9.1Hz).
MS(APCI)m/z:1048(M+H)
【0376】
工程4:抗体−薬物コンジュゲート(41)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び上記工程3で得た化合物を用いて、実施例29の工程2と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:12.0mg/mL,抗体収量:8.4mg(67%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.5
【0377】
実施例44 抗体−薬物コンジュゲート(42)
【0378】
【化113】
【0379】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(42)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び実施例43の工程3で得た化合物を用いて、実施例5の工程1と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:0.83mg/mL,抗体収量:4.98mg(40%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.2
【0380】
実施例45 抗体−薬物コンジュゲート(43)
【0381】
【化114】
【0382】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(43)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び実施例43の工程3で得た化合物を用いて、実施例4の工程1と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:1.06mg/mL,抗体収量:6.36mg(51%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.3
【0383】
実施例46 抗体−薬物コンジュゲート(44)
【0384】
【化115】
【0385】
実施例44と実施例45の抗体−薬物コンジュゲートのほぼ全量を混合し、共通操作Aを使用して溶液を濃縮し、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:10.21mg,抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.6
【0386】
実施例47 抗体−薬物コンジュゲート(45)
【0387】
【化116】
【0388】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(45)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.25mL、抗体12.5mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0287mL;抗体一分子に対して3.4当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例43の工程3で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0439mL;抗体一分子に対して5.2当量)及びジメチルスルホキシド(0.0267mL)を室温下加え、15℃の水浴中で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0066mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5193(実測値)εD,370=20347(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:9.3mg(74%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.7
【0389】
実施例48 抗体−薬物コンジュゲート(46)
【0390】
【化117】
【0391】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(46)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.25mL、抗体12.5mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0439mL;抗体一分子に対して5.2当量)(0.0287mL;抗体一分子に対して3.4当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例43の工程3で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0726mL;抗体一分子に対して8.6当量)を室温下加え、15℃の水浴中で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.011mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)、εD,280=5193(実測値)εD,370=20347(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:7.8mg(62%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.2
【0392】
実施例49 N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−β−アラニンアミド
【0393】
【化118】
【0394】
工程1:tert−ブチル (3−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−3−オキソプロピル)カーバメート
化合物(4)のメシル酸塩(500mg、0.941mmoL)を、4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりにN−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニンを用いて、実施例1の工程1と同様に反応させ、標記化合物(616mg、定量的)を黄茶色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.2Hz),1.29(9H,s),1.86(2H,dt,J=15.1,7.3Hz),2.04−2.22(2H,m),2.31(2H,t,J=6.8Hz),2.40(3H,s),3.10−3.26(4H,m),5.15(1H,d,J=18.8Hz),5.26(1H,d,J=19.2Hz),5.42(2H,dd,J=18.8,16.4Hz),5.57(1H,dt,J=8.5,4.2Hz),6.53(1H,s),6.78(1H,t,J=5.5Hz),7.30(1H,s),7.80(1H,d,J=11.0Hz),8.46(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:607(M+H)
【0395】
工程2:N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−β−アラニンアミド
上記工程1で得た化合物を、実施例1の工程2と同様に反応させ、標記化合物(499mg、86%)のトリフルオロ酢酸塩を黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.2Hz),1.86(2H,dquin,J=14.6,7.2,7.2,7.2,7.2Hz),2.06−2.27(1H,m),2.41(3H,s),2.46−2.57(2H,m),3.08(2H,t,J=6.8Hz),3.14−3.24(2H,m),5.22(1H,d,J=18.8Hz),5.29(1H,d,J=18.8Hz),5.43(2H,s),5.58(1H,dt,J=8.5,4.5Hz),6.55(1H,s),7.32(1H,s),7.74(3H,brs),7.82(1H,d,J=11.0Hz),8.67(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:507(M+H)
【0396】
実施例50 抗体−薬物コンジュゲート(47)
【0397】
【化119】
【0398】
工程1:N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシルグリシル−L−フェニルアラニルグリシル−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−β−アラニンアミド
実施例49の化合物(484mg、0.780mmoL)を、実施例2の工程1と同様に反応させ、標記化合物(626mg、87%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.4Hz),1.27−1.42(9H,m),1.77−1.93(2H,m),2.06−2.22(2H,m),2.36(2H,t,J=7.2Hz),2.40(3H,d,J=1.6Hz),2.44−2.54(2H,m),2.76(1H,dd,J=14.5,10.2Hz),3.02(1H,dd,J=13.9,4.5Hz),3.12−3.22(2H,m),3.52(6H,d,J=6.3Hz),4.42−4.54(1H,m),5.19(1H,d,J=19.2Hz),5.26(1H,d,J=18.4Hz),5.42(1H,dd,J=18.4,16.4Hz),5.57(1H,dt,J=8.7,4.4Hz),6.53(1H,s),6.98(1H,t,J=5.9Hz),7.14−7.28(5H,m),7.31(1H,s),7.77−7.84(1H,m),7.91(1H,t,J=5.5Hz),8.16(1H,d,J=7.8Hz),8.27(1H,t,J=5.1Hz),8.52(1H,d,J=9.0Hz).
【0399】
工程2:グリシルグリシル−L−フェニルアラニルグリシル−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−β−アラニンアミドトリフルオロ酢酸塩
上記工程1で得た化合物(624mg、0.675mmoL)を、実施例2の工程2と同様に反応させ、標記化合物(626mg、92%)を黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.4Hz),1.86(2H,tt,J=14.5,7.2Hz),2.07−2.22(2H,m),2.36(2H,t,J=7.2Hz),2.40(3H,s),2.44−2.54(2H,m),2.75(1H,dd,J=13.7,9.8Hz),3.04(1H,dd,J=13.7,4.3Hz),3.12−3.22(2H,m),3.58(2H,d,J=4.7Hz),3.69(3H,td,J=11.2,5.7Hz),3.87(1H,dd,J=17.0,5.7Hz),4.54(1H,m,J=17.8,4.5Hz),5.19(1H,d,J=19.2Hz),5.26(1H,d,J=18.8Hz),5.43(2H,s),5.51−5.60(1H,m),6.55(1H,s),7.14−7.29(5H,m),7.32(1H,s),7.81(1H,d,J=10.9Hz),7.88(1H,t,J=5.7Hz),7.97(3H,brs),8.29−8.38(2H,m),8.50(1H,t,J=5.7Hz),8.55(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:825(M+H)
【0400】
工程3:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニルグリシル−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−β−アラニンアミド
上記工程2で得た化合物(60.0mg、0.0646mmoL)を、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(14.0mg、21%)を固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.86(3H,t,J=7.2Hz),1.12−1.22(2H,m),1.39−1.51(4H,m),1.79−1.91(2H,m),2.02−2.20(2H,m),2.07(2H,t,J=7.4Hz),2.30−2.42(4H,m),2.40(3H,s),2.78(1H,dd,J=14.1,9.4Hz),3.02(1H,dd,J=14.7,4.9Hz),3.12−3.21(2H,m),3.26−3.42(2H,m),3.50−3.80(6H,m),4.40−4.51(1H,m),5.19(1H,d,J=19.6Hz),5.26(1H,d,J=19.2Hz),5.42(2H,brs),5.51−5.62(1H,m),6.53(1H,s),6.99(2H,s),7.13−7.28(5H,m),7.31(1H,s),7.74−7.84(2H,m),8.01(1H,t,J=5.3Hz),8.06(1H,t,J=5.7Hz),8.14(1H,d,J=8.2Hz),8.25(1H,t,J=5.7Hz),8.53(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:1018(M+H)
【0401】
工程4:抗体−薬物コンジュゲート(47)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び上記工程3で得た化合物を用いて、実施例2の工程4と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:12.27mg/mL,抗体収量:8.6mg(69%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.4
【0402】
実施例51 抗体−薬物コンジュゲート(48)
【0403】
【化120】
【0404】
工程1:N−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニルグリシル−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−β−アラニンアミド
実施例50の工程2で得た化合物(60.0mg、0.0646mmoL)を、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジルの代わりに3−マレイミドプロピオン酸N−スクシンイミジルを用いて、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(36.0mg、57%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.86(3H,t,J=7.4Hz),1.85(2H,dt,J=14.4,7.5Hz),2.05−2.22(2H,m),2.40(3H,s),2.30−2.44(5H,m),2.73−2.84(1H,m),3.02(1H,dd,J=13.9,4.5Hz),3.17(3H,d,J=5.1Hz),3.26−3.40(2H,m),3.41−3.81(6H,m),4.40−4.51(1H,m),5.19(1H,d,J=19.2Hz),5.26(1H,d,J=18.8Hz),5.42(2H,brs),5.52−5.61(1H,m),6.53(1H,s),6.99(2H,s),7.13−7.28(5H,m),7.31(1H,s),7.80(2H,d,J=10.2Hz),8.03(1H,t,J=5.5Hz),8.12(1H,d,J=8.2Hz),8.20−8.31(2H,m),8.52(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:976(M+H)
【0405】
工程2:抗体−薬物コンジュゲート(48)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び上記工程1で得た化合物を用いて、実施例2の工程4と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:11.59mg/mL,抗体収量:8.1mg(65%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.7
【0406】
実施例52 抗体−薬物コンジュゲート(49)
【0407】
【化121】
【0408】
工程1:N−{3−[2−(2−{[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル]アミノ})エトキシ]プロパノイル}グリシルグリシル−L−フェニルアラニルグリシル−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−β−アラニンアミド
実施例50の工程2で得た化合物(60.0mg、0.0646mmoL)を、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジルの代わりに3−(2−(2−(3−マレインイミドプロパンアミド)エトキシ)エトキシ)プロパン酸N−スクシンイミジルを用いて、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(23.0mg、31%)を固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.86(3H,t,J=7.4Hz),1.77−1.92(2H,m),2.07−2.21(2H,m),2.27−2.42(6H,m),2.40(3H,s),2.74−2.84(1H,m),2.97−3.06(1H,m),3.09−3.21(4H,m),3.25−3.39(6H,m),3.45(4H,s),3.50−3.80(8H,m),4.41−4.51(1H,m),5.19(1H,d,J=18.4Hz),5.26(1H,m,J=18.4Hz),5.42(2H,brs),5.51−5.61(1H,m),6.54(1H,s),7.00(2H,s),7.13−7.28(5H,m),7.31(1H,s),7.74−7.87(2H,m),7.93−8.07(2H,m),8.09−8.21(2H,m),8.26(1H,brs),8.54(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:1135(M+H)
【0409】
工程2:抗体−薬物コンジュゲート(49)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び上記工程1で得た化合物を用いて、実施例29の工程2と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:14.50mg/mL,抗体収量:10.2mg(82%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.8
【0410】
実施例53 抗体−薬物コンジュゲート(50)
【0411】
【化122】
【0412】
工程1:N−[19−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−17−オキソ−4,7,10,13−テトラオキサ−16−アザノナンデカン−1−オイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニルグリシル−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−β−アラニンアミド
実施例50の工程2で得た化合物(60.0mg、0.0646mmoL)を、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジルの代わりに1−マレインイミド−3−オキソ−7,10,13,16−テトラオキサ−4−アザノナデカン酸N−スクシンイミジルを用いて、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(23.0mg、29%)を固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.86(3H,t,J=7.0Hz),1.85(2H,tt,J=14.6,7.1Hz),2.06−2.22(2H,m),2.40(3H,s),2.28−2.43(6H,m),2.78(1H,dd,J=13.7,9.4Hz),3.02(1H,dd,J=14.1,3.9Hz),3.09−3.22(4H,m),3.27−3.41(4H,m),3.47(12H,d,J=8.6Hz),3.53−3.81(10H,m),4.41−4.51(1H,m),5.19(1H,d,J=19.2Hz),5.26(1H,d,J=18.8Hz),5.42(2H,brs),5.53−5.61(1H,m),6.54(1H,s),7.00(2H,s),7.12−7.29(5H,m),7.31(1H,s),7.74−7.85(2H,m),8.03(2H,d,J=6.6Hz),8.11−8.21(2H,m),8.27(1H,t,J=5.9Hz),8.54(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:1224(M+H)
【0413】
工程2:抗体−薬物コンジュゲート(50)
参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体及び上記工程1で得た化合物を用いて、実施例2の工程4と同様の方法によって、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:13.47mg/mL,抗体収量:9.4mg(75%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.1
【0414】
実施例54 抗体−薬物コンジュゲート(51)
【0415】
【化123】
【0416】
工程1:tert−ブチル (6−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−6−オキソヘキシル)カーバメート
化合物(4)のメシル酸塩(0.500g,0.882mmoL)を、4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸の代わりに6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸を用いて、実施例1の工程1と同様に反応させ、標記化合物(0.620g,定量的)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:0.83(3H,t,J=7.8Hz),1.14−1.28(2H,m),1.31(9H,s),1.47−1.61(2H,m),1.75−1.89(2H,m),2.04−2.17(4H,m),2.35(3H,s),2.81−2.88(2H,m),3.09−3.16(2H,m),5.10(1H,d,J=19.4Hz),5.16(1H,d,J=19.4Hz),5.39(2H,s),5.48−5.55(1H,m),6.50(1H,s),6.73−6.78(1H,m),7.26(1H,s),7.74(1H,d,J=10.9Hz),8.39(1H,d,J=9.0Hz).
【0417】
工程2:6−アミノ−N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]ヘキサンアミドトリフルオロ酢酸塩
上記工程1で得た化合物(0.397g,0.611mmoL)を、実施例1の工程2と同様に反応させ、標記化合物(0.342g,84%)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:0.88(3H,t,J=7.2Hz),1.31−1.41(2H,m),1.52−1.70(4H,m),1.80−1.94(2H,m),2.05−2.18(2H,m),2.21(2H,t,J=7.4Hz),2.40(3H,s),2.81(2H,t,J=7.4Hz),3.10−3.25(2H,m),3.33(2H,brs),5.18(1H,d,J=19.8Hz),5.22(1H,d,J=19.8Hz),5.41(2H,d,J=16.6Hz),5.45(2H,d,J=16.6Hz),5.53−5.60(1H,m),6.55(1H,s),7.32(1H,s),7.80(1H,d,J=10.9Hz),8.49(1H,d,J=9.2Hz).
【0418】
工程3:N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(6−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−6−オキソヘキシル)グリシンアミド
上記工程2で得た化合物(0.170g,0.516mmoL)を、実施例2の工程1と同様に反応させ、標記化合物(0.225g,91%)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:0.88(3H,t,J=7.4Hz),1.43−1.70(6H,m),1.87(2H,td,J=15.0,7.4Hz),2.10−2.22(3H,m),2.28−2.37(1H,m),2.42(3H,s),2.78−2.85(1H,m),3.01−3.10(3H,m),3.15−3.22(2H,m),3.54−3.61(5H,m),3.62−3.69(1H,m),4.44−4.53(1H,m),5.17(1H,d,J=19.2Hz),5.25(1H,d,J=19.2Hz),5.45(2H,s),5.54−5.61(1H,m),6.55(1H,s),7.02(1H,t,J=6.1Hz),7.11−7.28(5H,m),7.33(1H,s),7.63−7.69(1H,m),7.82(1H,d,J=11.0Hz),7.90−7.96(1H,m),8.17(1H,d,J=7.8Hz),8.28(1H,t,J=5.5Hz),8.46(1H,d,J=9.0Hz).
【0419】
工程4:グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(6−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−6−オキソヘキシル)グリシンアミド
上記工程3で得た化合物(0.105g,0.108mmoL)を、実施例2の工程2と同様に反応させ、標記化合物(0.068mg,65%)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:0.89(3H,t,J=7.4Hz),1.15−1.67(6H,m),1.79−1.97(2H,m),2.08−2.24(4H,m),2.42(3H,s),2.76−2.82(1H,m),3.00−3.10(5H,m),3.19(1H,s),3.50−3.63(2H,m),3.64−3.76(3H,m),3.84−3.92(1H,m),4.51−4.59(1H,m),5.17(1H,d,J=19.4Hz),5.24(1H,d,J=19.4Hz),5.44(2H,s),5.53−5.61(1H,m),6.55(1H,brs),7.15−7.29(5H,m),7.33(1H,s),7.72−7.78(1H,m),7.82(1H,d,J=11.0Hz),7.96−8.08(2H,m),8.30−8.38(2H,m),8.46−8.56(2H,m).
【0420】
工程5:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−(6−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−6−オキソヘキシル)グリシンアミド
上記工程4で得た化合物(58mg,0.060mmoL)を、実施例2の工程3と同様に反応させ、標記化合物(39mg,62%)を得た。
H−NMR(CDOD)δ:0.99(3H,t,J=7.4Hz),1.27(2H,td,J=11.6,6.1Hz),1.38−1.44(2H,m),1.50−1.63(6H,m),1.65−1.80(2H,m),1.89−1.98(2H,m),2.17−2.25(3H,m),2.26−2.36(3H,m),2.40(3H,s),2.95(1H,dd,J=14.3,9.2Hz),3.12(1H,dd,J=13.7,5.7Hz),3.15−3.25(4H,m),3.44(2H,t,J=7.2Hz),3.65(1H,d,J=17.2Hz),3.76(1H,d,J=17.2Hz),3.79−3.86(4H,m),4.43(1H,dd,J=8.9,6.0Hz),5.10(1H,d,J=18.9Hz),5.25(1H,d,J=18.9Hz),5.35(1H,d,J=16.6Hz),5.56(1H,d,J=16.0Hz),5.60−5.64(1H,m),6.76(2H,s),7.12−7.24(6H,m),7.58(1H,s),7.60(1H,d,J=10.9Hz),7.68(1H,t,J=5.7Hz).
MS(ESI)m/z:1060(M+H)
【0421】
工程6:抗体−薬物コンジュゲート(51)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を1.5mLチューブに採取し、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0147mL;抗体一分子に対して2.3当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に上記工程5で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0295mL;抗体一分子に対して4.6当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.00590mL;抗体一分子に対して9.2当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてPBS7.4を使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.97mg/mL,抗体収量:5.82mg(58%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):1.7
【0422】
実施例55 抗体−薬物コンジュゲート(52)
【0423】
【化124】
【0424】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(52)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を1.5mLチューブに採取し、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0295mL;抗体一分子に対して4.6当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例54の工程5で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0590mL;抗体一分子に対して9.2当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0118mL;抗体一分子に対して18.4当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてPBS7.4を使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.94mg/mL,抗体収量:5.64mg(56%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.1
【0425】
実施例56 抗体−薬物コンジュゲート(53)
【0426】
【化125】
【0427】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(53)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を1.5mLチューブに採取し、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0147mL;抗体一分子に対して2.3当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例54の工程5で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0295mL;抗体一分子に対して4.6当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.00590mL;抗体一分子に対して9.2当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてPBS7.4を使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.22mg/mL,抗体収量:7.32mg(73%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):1.5
【0428】
実施例57 抗体−薬物コンジュゲート(54)
【0429】
【化126】
【0430】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(54)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61を使用)及びC−1を用いて、PBS6.0/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.0mL)を1.5mLチューブに採取し、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0295mL;抗体一分子に対して4.6当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.050mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液を22℃で10分間インキュベートした後に実施例54の工程5で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0590mL;抗体一分子に対して9.2当量)を加え、22℃にて40分間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0118mL;抗体一分子に対して18.4当量)を加え、さらに22℃にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてPBS7.4を使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.06mg/mL,抗体収量:6.36mg(64%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.0
【0431】
実施例58 抗体−薬物コンジュゲート(55)
【0432】
【化127】
【0433】
工程1:({N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メチルアセテート
N−9−フルオレニルメトキシカルボニルグリシルグリシン(4.33g,12.2mmol)、テトラヒドロフラン(120ml)、及びトルエン(40.0ml)からなる混合物に、ピリジン(1.16ml,14.7mmol及び四酢酸鉛(6.84g,14.7mmol)を加え、5時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、不溶物をセライト濾過によって除き、減圧下濃縮した。得られた残留物を酢酸エチルに溶解し、水及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢酸エチル=9:1(v/v)〜酢酸エチル]にて精製し、標記化合物(3.00g,67%)を無色固体として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.07(3H,s),3.90(2H,d,J=5.1Hz),4.23(1H,t,J=7.0Hz),4.46(2H,d,J=6.6Hz),5.26(2H,d,J=7.0Hz),5.32(1H,brs),6.96(1H,brs),7.32(2H,t,J=7.3Hz),7.41(2H,t,J=7.3Hz),7.59(2H,d,J=7.3Hz),7.77(2H,d,J=7.3Hz).
【0434】
工程2:ベンジル [({N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メトキシ]アセテート
上記工程1で得た化合物(3.68g,10.0mmoL)及びベンジルグリコレート(4.99g,30.0mmoL)のテトラヒドロフラン(40.0mL)溶液に、カリウムtert−ブトキシド(2.24g,20.0mmoL)を0℃で加え、室温にて15分間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル、水を0℃で加え、酢酸エチル、クロロホルムで抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をジオキサン(40.0mL)、水(10.0mL)に溶解し、炭酸水素ナトリウム(1.01g,12.0mmoL)、クロロぎ酸9−フルオレニルメチル(2.59g,10.0mmoL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢酸エチル=100:0(v/v)〜0:100]にて精製し、無色油状の標記化合物(1.88g、40%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:3.84(2H,d,J=5.5Hz),4.24(3H,t,J=6.5Hz),4.49(2H,d,J=6.7Hz),4.88(2H,d,J=6.7Hz),5.15−5.27(1H,m),5.19(2H,s),6.74(1H,brs),7.31−7.39(7H,m),7.43(2H,t,J=7.4Hz),7.61(2H,d,J=7.4Hz),7.79(2H,d,J=7.4Hz).
【0435】
工程3:[({N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メトキシ]酢酸
上記工程2で得た化合物(1.88g、3.96mmoL)をエタノール(40.0mL)、酢酸エチル(20.0ml)に溶解した。パラジウム炭素触媒(376mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて2時間撹拌した。不溶物をセライト濾過によって除き、溶媒を減圧留去し、標記化合物(1.52g、定量的)を無色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:3.62(2H,d,J=6.3Hz),3.97(2H,s),4.18−4.32(3H,m),4.60(2H,d,J=6.7Hz),7.29−7.46(4H,m),7.58(1H,t,J=5.9Hz),7.72(2H,d,J=7.4Hz),7.90(2H,d,J=7.4Hz),8.71(1H,t,J=6.5Hz).
【0436】
工程4:9H−フルオレン−9−イルメチル(2−{[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]アミノ}−2−オキソエチル)カーバメート
氷冷下、化合物(4)のメシル酸塩(0.283g,0.533mmoL)、N−ヒドロキシスクシンイミド(61.4mg,0.533mmoL)、及び上記工程3で得た化合物(0.205g,0.533mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(10.0mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(92.9μL,0.533mmoL)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.143g,0.693mmoL)を加え、室温にて3日間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール:水=7:3:1(v/v/v)の分配有機層]にて精製し、標記化合物(0.352g,82%)を淡茶色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.81(3H,t,J=7.4Hz),1.73−1.87(2H,m),2.06−2.20(2H,m),2.34(3H,s),3.01−3.23(2H,m),3.58(2H,d,J=6.7Hz),3.98(2H,s),4.13−4.25(3H,m),4.60(2H,d,J=6.7Hz),5.09−5.22(2H,m),5.32−5.42(2H,m),5.50−5.59(1H,m),6.49(1H,s),7.24−7.30(3H,m),7.36(2H,t,J=7.4Hz),7.53(1H,t,J=6.3Hz),7.66(2H,d,J=7.4Hz),7.75(1H,d,J=11.0Hz),7.84(2H,d,J=7.4Hz),8.47(1H,d,J=8.6Hz),8.77(1H,t,J=6.7Hz).
MS(ESI)m/z:802(M+H)
【0437】
工程5:N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド
上記工程4で得た化合物(0.881g,1.10mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(11.0mL)溶液に、ピペリジン(1.1mL)を加え、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、標記化合物を含む混合物を得た。本混合物は、これ以上の精製は行わずに次の反応に用いた。
【0438】
工程6:N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド
氷冷下、上記工程5で得た混合物(0.439mmoL)、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.101g,0.878mmoL)、及びN−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニン(特開2002−60351号公報に記載された化合物)(0.440g,0.878mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(50.0mL)溶液に、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.181g,0.878mmoL)を加え、室温にて4日間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=9:1(v/v)]にて精製し、標記化合物(0.269g,58%)を淡橙色固体として得た。
MS(ESI)m/z:1063(M+H)
【0439】
工程7:グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド
上記工程6で得た化合物(0.269g,0.253mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(4.00mL)溶液に、ピペリジン(0.251mL,2.53mmoL)を加え、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、標記化合物を含む混合物を得た。本混合物は、これ以上の精製は行わずに次の反応に用いた。
【0440】
工程8:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド
上記工程7で得た化合物(0.253mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(10.0mL)溶液に、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジル(0.156g,0.506mmoL)を加え、室温で3日間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=9:1(v/v)]にて精製し、標記化合物(0.100g,38%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.83(3H,t,J=7.2Hz),1.09−1.21(2H,m),1.33−1.47(4H,m),1.75−1.90(2H,m),2.00−2.23(4H,m),2.36(3H,s),2.69−2.81(1H,m),2.94−3.03(1H,m),3.06−3.22(2H,m),3.23−3.74(8H,m),3.98(2H,s),4.39−4.50(1H,m),4.60(2H,d,J=6.7Hz),5.17(2H,s),5.39(2H,s),5.53−5.61(1H,m),6.50(1H,s),6.96(2H,s),7.11−7.24(5H,m),7.28(1H,s),7.75(1H,d,J=11.0Hz),7.97(1H,t,J=5.7Hz),8.03(1H,t,J=5.9Hz),8.09(1H,d,J=7.8Hz),8.27(1H,t,J=6.5Hz),8.48(1H,d,J=9.0Hz),8.60(1H,t,J=6.5Hz).
MS(ESI)m/z:1034(M+H)
【0441】
工程9:抗体−薬物コンジュゲート(55)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作C−1及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.0/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(1.25mL)を1.5mLポリプロピレン製チューブに入れ、ここに10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.025mL;抗体一分子に対して3.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Co.LLC)0.109mLと上記工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.039mL;抗体一分子に対して4.6当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下40分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.008mL)を加え、さらに室温下20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、製造方法1に記載した共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:12.57mg/mL,抗体収量:8.8mg(70%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.2
【0442】
実施例59 抗体−薬物コンジュゲート(56)
【0443】
【化128】
【0444】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(56)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作C−1及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.0/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(1.25mL)を1.5mLポリプロピレン製チューブに入れ、ここに10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.051mL;抗体一分子に対して6.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Co.LLC;0.067mL)と実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.085mL;抗体一分子に対して10.0当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下60分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.013mL)を加え、さらに室温下20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.33mg/mL,抗体収量:7.98mg(64%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):4.9
【0445】
実施例60 抗体−薬物コンジュゲート(57)
【0446】
【化129】
【0447】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(57)
抗体の還元:参考例2にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作C−1及びB(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)を用いて、媒体をPBS6.0/EDTAに置換し、10mg/mLの抗体濃度に調製した。本溶液(1.25mL)を1.5mLポリプロピレン製チューブに入れ、ここに10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.051mL;抗体一分子に対して6.0当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液へ、ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Co.LLC;0.025mL)と実施例58工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.127mL;抗体一分子に対して15.0当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下60分間撹拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.019mL)を加え、さらに室温下20分間撹拌し、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、製造方法1に記載した共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5000(実測平均値)εD,370=19000(実測平均値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.91mg/mL,抗体収量:5.46mg(44%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.3
【0448】
実施例61 抗体−薬物コンジュゲート(58)
【0449】
【化130】
【0450】
実施例59と実施例60の抗体−薬物コンジュゲートのほぼ全量を混合し、製造方法1に記載した共通操作Aを使用して溶液を濃縮し、標記抗体−薬物コンジュゲートを得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:12.30mg,抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.4
【0451】
実施例62 抗体−薬物コンジュゲート(59)
【0452】
【化131】
【0453】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(59)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(100mL、抗体1g)を250mLフラスコに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(2.43mL;抗体一分子に対して3.6当量)を加え、さらに1M リン酸水素二カリウム水溶液(5mL)を加えた。本溶液のpHが7.4付近であることをpHメーターで確認した後、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(3.51mL;抗体一分子に対して5.2当量)及びジメチルスルホキシド(2.14mL)を室温下加え、15℃水浴中で攪拌子で130分攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC水溶液(0.547mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液に対して、限外ろ過膜(メルク株式会社、Pellicon XL Cassette、Biomax 50KDa)、チューブポンプ(米国コールパーマー社マスターフレックスポンプ model 77521−40、ポンプヘッド model 7518−00)及びチューブ(米国コールパーマー社マスターフレックスチューブ L/S16)で構成された限外ろ過装置を用い、限外ろ過精製を行った。すなわち、反応液に精製緩衝液としてABSを滴下しながら(計800mL)、限外ろ過精製を行うことで、未結合の薬物リンカー及び他の低分子量試薬を除去するとともに緩衝液をABSへ置換し、さらに濃縮まで行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を約70mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:14.2mg/mL,抗体収量:1.0g(約100%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.2
【0454】
実施例63 抗体−薬物コンジュゲート(60)
【0455】
【化132】
【0456】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(60)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(5mL、抗体50mg)を15mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.075mL;抗体一分子に対して4当量)を加えた。本溶液のpHが7.0付近であることをpHメーターで確認した後、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.219mL;抗体一分子に対して6.5当量)及びジメチルスルホキシド(0.064mL)を加え、15℃水浴中で90分インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC水溶液(0.033mL;抗体一分子に対して9.8当量)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を19mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.19mg/mL,抗体収量:42mg(83%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):4.7
【0457】
実施例64 抗体−薬物コンジュゲート(61)
【0458】
【化133】
【0459】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(61)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4P抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(4mL、抗体40mg)を15mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.14mL;抗体一分子に対して5.2当量)を加えた。本溶液のpHが7.0付近であることをpHメーターで確認した後、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.232mL;抗体一分子に対して8.6当量)を加え、15℃水浴中で60分インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC水溶液(0.035mL;抗体一分子に対して12.9当量)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を13mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:2.03mg/mL,抗体収量:26mg(66%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.7
【0460】
実施例65 抗体−薬物コンジュゲート(62)
【0461】
【化134】
【0462】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(62)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.25mL、抗体12.5mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0287mL;抗体一分子に対して3.4当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0439mL;抗体一分子に対して5.2当量)及びジメチルスルホキシド(0.0267mL)を室温下加え、15℃の水浴中で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0066mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:7.8mg(62%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.4
【0463】
実施例66 抗体−薬物コンジュゲート(63)
【0464】
【化135】
【0465】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(63)
抗体の還元:参考例1にて作製したM30−H1−L4抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.61mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(1.25mL、抗体12.5mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0439mL;抗体一分子に対して5.2当量)(0.0287mL;抗体一分子に対して3.4当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0625mL)を加えた。本溶液のpHが7.4±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることによって、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0726mL;抗体一分子に対して8.6当量)を室温下加え、15℃の水浴中で1時間インキュベートし、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.011mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を6mL得たのち、共通操作Aを使用して、溶液を濃縮した。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=235300(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)、εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:10.0mg/mL,抗体収量:7.3mg(58%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):5.4
【0466】
実施例67 抗体−薬物コンジュゲート(64)
【0467】
【化136】
【0468】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(64)
抗体の還元:参考例3にて作製した抗CD30抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.75mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0065mL;抗体一分子に対して2.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0058mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0116mL;抗体一分子に対して4.5当量)及びジメチルスルホキシド(0.0101mL)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0017mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=270400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.96mg/mL,抗体収量:2.4mg(60%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.7
【0469】
実施例68 抗体−薬物コンジュゲート(65)
【0470】
【化137】
【0471】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(65)
抗体の還元:参考例3にて作製した抗CD30抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.75mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0129mL;抗体一分子に対して5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.006mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0233mL;抗体一分子に対して9当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0035mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=270400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:0.39mg/mL,抗体収量:1.0mg(24%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):6.8
【0472】
実施例69 抗体−薬物コンジュゲート(66)
【0473】
【化138】
【0474】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(66)
抗体の還元:参考例4にて作製した抗CD33抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.66mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0065mL;抗体一分子に対して2.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0058mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0116mL;抗体一分子に対して4.5当量)及びジメチルスルホキシド(0.0101mL)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0017mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=256400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.19mg/mL,抗体収量:3.0mg(74%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.8
【0475】
実施例70 抗体−薬物コンジュゲート(67)
【0476】
【化139】
【0477】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(67)
抗体の還元:参考例4にて作製した抗CD33抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.66mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0129mL;抗体一分子に対して5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.006mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0233mL;抗体一分子に対して9当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0035mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=256400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.24mg/mL,抗体収量:3.1mg(78%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.0
【0478】
実施例71 抗体−薬物コンジュゲート(68)
【0479】
【化140】
【0480】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(68)
抗体の還元:参考例5にて作製した抗CD70抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.69mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0065mL;抗体一分子に対して2.5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.0058mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0116mL;抗体一分子に対して4.5当量)及びジメチルスルホキシド(0.0101mL)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0017mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=262400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.10mg/mL,抗体収量:2.8mg(69%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):3.8
【0481】
実施例72 抗体−薬物コンジュゲート(69)
【0482】
【化141】
【0483】
工程1:抗体−薬物コンジュゲート(69)
抗体の還元:参考例5にて作製した抗CD70抗体を、製造方法1に記載した共通操作B(280nm吸光係数として1.69mLmg−1cm−1を使用)及びC−1を用いて、PBS6.5/EDTAにて10mg/mLに調製した。本溶液(0.4mL、抗体4mg)を1.5mLチューブに入れ、10mM TCEP(東京化成工業株式会社)水溶液(0.0129mL;抗体一分子に対して5当量)及び1Mリン酸水素二カリウム水溶液(Nacalai Tesque,Inc.;0.006mL)を加えた。本溶液のpHが7.0±0.1内であることを確認した後に、37℃で1時間インキュベートすることで、抗体内ヒンジ部のジスルフィド結合を還元させた。
抗体と薬物リンカーのコンジュゲーション:上記溶液に対して、実施例58の工程8で得た化合物を10mM含むジメチルスルホキシド溶液(0.0233mL;抗体一分子に対して9当量)を室温下加え、チューブ・ローテーター(MTR−103,アズワン株式会社)を用いて室温下1時間攪拌し、薬物リンカーを抗体へ結合させた。次に、100mM NAC(Sigma−Aldrich Co.LLC)水溶液(0.0035mL)を加え、さらに室温にて20分間インキュベートし、薬物リンカーの反応を停止させた。
精製:上記溶液を、製造方法1に記載した共通操作D−1(緩衝液としてABSを使用)を用いた精製を行い、標記抗体−薬物コンジュゲートを含有する溶液を2.5mL得た。
特性評価:製造方法1に記載した共通操作E(モル吸光係数として、εA,280=262400(計算推定値)εA,370=0(計算推定値)εD,280=5178(実測値)εD,370=20217(実測値)を使用)を使用して、下記の特性値を得た。
抗体濃度:1.16mg/mL,抗体収量:2.9mg(73%),抗体一分子あたりの薬物平均結合数(n):7.0
【0484】
実施例73(実施例58の工程8の化合物の別途合成法)
【0485】
【化142】
【0486】
工程1:tert−ブチル N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニネート
氷冷下、tert−ブチル N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニネート(J.Pept.Res.,1999年,53巻,393項)(0.400g,0.717mmol)のTHF(12.0ml)溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(0.400ml)を加えて室温で4日間撹拌した後、更に6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジル(0.221g,0.717mmoL)を加え、3時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=9:1(v/v)]にて精製し、標記化合物(0.295g,78%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.28−1.36(2H,m),1.41(9H,s),1.57−1.71(4H,m),2.23(2H,t,J=7.6Hz),3.09(2H,d,J=6.0Hz),3.51(2H,t,J=7.6Hz),3.85−4.02(4H,m),4.69−4.78(1H,m),6.15(1H,t,J=4.6Hz),6.33(1H,d,J=7.3Hz),6.60(1H,t,J=5.0Hz),6.68(2H,s),7.10−7.16(2H,m),7.22−7.31(3H,m).
MS(ESI)m/z:529(M+H)
【0487】
工程2:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニン
上記工程1で得た化合物(0.295g,0.558mmoL)のジクロロメタン(8.00ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(4.00mL)を加え、室温にて18時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、標記化合物(0.240g,91%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:1.15−1.23(2H,m),1.40−1.53(4H,m),2.10(2H,t,J=7.6Hz),2.88(1H,dd,J=13.7,8.9Hz),3.04(1H,dd,J=13.7,5.0Hz),3.35−3.43(2H,m),3.58−3.77(4H,m),4.41(1H,td,J=7.8,5.0Hz),7.00(2H,s),7.16−7.31(5H,m),8.00(1H,t,J=5.7Hz),8.06(1H,t,J=5.7Hz),8.13(1H,d,J=7.8Hz).
【0488】
工程3:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド
上記工程2で得た化合物(0.572g,1.21mmoL)をジクロロメタン(12.0mL)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.152g、1.32mmoL)及び、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.253g、1.32mmoL)を加え1時間撹拌した。その反応溶液を実施例58の工程5で得た混合物(1.10mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(22.0mL)溶液に加え、室温にて3時間撹拌した。反応溶液に10%クエン酸水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=8:2(v/v)]にて精製し、標記化合物(0.351g,31%)を淡黄色固体として得た。機器データは、実施例58の工程8の化合物と同様であった。
【0489】
実施例74(実施例58の工程8の化合物の別途合成法)
【0490】
【化143】
【0491】
工程1:ベンジル[({N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メトキシ]アセテート
実施例58の工程1で得た化合物(7.37g,20.0mmoL)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液に、ベンジルグリコレート(6.65g,40.0mmoL)、およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.381g,2.00mmoL)を0℃で加え、室温にて2時間30分間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢酸エチル=100:0(v/v)〜0:100]にて精製し、標記化合物(6.75g,71%)を無色固体として得た。機器データは、実施例58の工程2の化合物と同様であった。
【0492】
工程2:N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニン−N−{[(2−(ベンジルオキシ)−2―オキソエトキシ]メチル}グリシンアミド
上記工程1で得た化合物(6.60g,13.9mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(140mL)溶液に、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(2.22g,14.6mmoL)を0℃で加え、室温にて15分間撹拌した。反応溶液に、N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニン(6.33g、15.3mmoL)、N−ヒドロキシスクシンイミド(1.92g、16.7mmoL)および、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(3.20g、16.7mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(140mL)溶液を、あらかじめ室温にて、1時間撹拌したものを加え、室温にて、4時間撹拌した。反応溶液に0.1規定塩酸を加え、クロロホルムで抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=8:2(v/v)]にて精製し、標記化合物(7.10g,79%)を無色固体として得た。
H−NMR(DMSO−D)δ:2.78(1H,dd,J=13.9,9.6Hz),3.05(1H,dd,J=13.9,4.5Hz),3.56−3.80(6H,m),4.15(2H,s),4.47−4.55(1H,m),4.63(2H,d,J=6.6Hz),5.03(2H,s),5.15(2H,s),7.16−7.38(15H,m),7.52(1H,t,J=5.9Hz),8.03(1H,t,J=5.5Hz),8.17(1H,d,J=8.2Hz),8.36(1H,t,J=5.7Hz),8.61(1H,t,J=6.6Hz).
【0493】
工程3:グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド
上記工程2で得た化合物(7.00g,10.8mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(216mL)溶液に、パラジウム炭素触媒(7.00g)を加え、水素雰囲気下、室温にて24時間撹拌した。不溶物をセライト濾過により除き、溶媒を減圧留去した。得られた残留物を水に溶解し、不溶物をセライト濾過により除き、溶媒を減圧留去する操作を2回繰り返し、標記化合物(3.77g,82%)を無色固体として得た。
H−NMR(DMSO−D)δ:2.84(1H,dd,J=13.7,9.8Hz),3.08(1H,dd,J=13.7,4.7Hz),3.50−3.72(4H,m),3.77−3.86(2H,m),3.87(2H,s),4.52−4.43(1H,m),4.61(2H,d,J=6.6Hz),7.12−7.30(5H,m),8.43(1H,t,J=5.9Hz),8.54(1H,d,J=7.8Hz),8.70(1H,t,J=6.3Hz),8.79(1H,t,J=5.5Hz).
【0494】
工程4:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド
上記工程3で得た化合物(3.59g,8.48mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(85.0mL)溶液に、6−マレイミドヘキサン酸N−スクシンイミジル(2.88g,9.33mmoL)、およびトリエチルアミン(0.858g,8.48mmoL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液に0.1規定塩酸を加え、クロロホルム、およびクロロホルムとメタノールの混合溶媒[クロロホルム:メタノール=4:1(v/v)]で抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール:水=7:3:1(v/v/v)の分配有機層]にて精製し、標記化合物(3.70g,71%)を無色固体として得た。
H−NMR(DMSO−D)δ:1.13−1.24(2H,m),1.42−1.53(4H,m),2.11(2H,t,J=7.4Hz),2.80(1H,dd,J=13.7,9.8Hz),3.06(1H,dd,J=13.9,4.5Hz),3.37(2H,t,J=7.2Hz),3.56−3.78(6H,m),3.97(2H,s),4.46−4.53(1H,m),4.61(2H,d,J=6.3Hz),7.00(2H,s),7.15−7.29(5H,m),8.03−8.20(3H,m),8.32(1H,t,J=5.9Hz),8.60(1H,t,J=6.7Hz).
【0495】
工程5:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル−L−フェニルアラニル−N−[(2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド
化合物(4)のメシル酸塩(1.14g,2.00mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(40.0mL)溶液に、トリエチルアミン(0.202g,2.00mmoL)、上記工程4で得た化合物(1.48g,2.40mmoL)、および16.4%含水の4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウム クロリド(0.993g,3.00mmoL)を0℃で加え、室温にて1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=8:2(v/v)]にて精製し、標記化合物(1.69g,82%)を淡黄色固体として得た。機器データは、実施例58の工程8の化合物と同様であった。
【0496】
実施例75 N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−2−ヒドロキシアセトアミド
【0497】
【化144】
【0498】
工程1:2−{[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]アミノ}−2−オキソエチルアセテート
氷冷下、化合物(4)のメシル酸塩(0.500g,0.941mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(20.0mL)懸濁液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.492mL,2.82mmoL)及びアセトキシアセチルクロリド(0.121ml,1.13mmoL)を加え、室温にて1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール:水=7:3:1(v/v/v)の分配有機層]にて精製し、標記化合物(0.505g,定量的)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.4Hz),1.81−1.92(2H,m),2.08(3H,s),2.08−2.22(2H,m),2.41(3H,s),3.14−3.21(2H,m),4.51(2H,dd,J=19.4,14.7Hz),5.22(2H,dd,J=40.1,19.0Hz),5.43(2H,s),5.56−5.61(1H,m),6.53(1H,s),7.31(1H,s),7.81(1H,d,J=11.0Hz),8.67(1H,d,J=8.6Hz).
MS(ESI)m/z:536(M+H)
【0499】
工程2:N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−2−ヒドロキシアセトアミド
上記工程1で得た化合物(0.504g,0.941mmoL)のメタノール(50.0mL)懸濁液に、テトラヒドロフラン(20.0ml)及び1規定水酸化ナトリウム水溶液(4.00ml,4.00mmoL)を加え、室温にて1時間撹拌した。1規定塩酸(5.00ml,5.00mmoL)を加えて反応を停止し、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール:水=7:3:1(v/v/v)の分配有機層]にて精製し、標記化合物(0.412g,89%)を淡黄色固体として得た。抗体−薬物コンジュゲート(55)、(56)を担癌マウスに投与した際に、この化合物が腫瘍中で確認された。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ:0.87(3H,t,J=7.3Hz),1.78−1.95(2H,m),2.09−2.28(2H,m),2.39(3H,s),3.07−3.27(2H,m),3.96(2H,d,J=6.0Hz),5.11−5.26(2H,m),5.42(2H,s),5.46−5.54(1H,m),5.55−5.63(1H,m),6.52(1H,s),7.30(1H,s),7.78(1H,d,J=10.9Hz),8.41(1H,d,J=9.1Hz).MS(ESI)m/z:494(M+H)
【0500】
実施例76(実施例75の化合物の別途合成法)
【0501】
【化145】

工程1:N−[(1S,9S)−9−エチル−5−フルオロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−10,13−ジオキソ−2,3,9,10,13,15−ヘキサヒドロ−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−1−イル]−2−ヒドロキシアセトアミド
グリコール酸(0.0201g,0.27mmoL)をN,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.0302g、0.27mmoL)及び、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.0508g、0.27mmoL)を加え1時間撹拌した。その反応溶液を化合物(4)のメシル酸塩(0.1g,0.176mmoL)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)懸濁液に、トリエチルアミン(0.025mL,0.18mmoL)を加え、室温にて24時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=10:1(v/v)]にて精製し、標記化合物(0.080g,92%)を淡黄色固体として得た。機器データは、実施例75の工程2で得た化合物と同様であった。
【0502】
(試験例1)全長ヒトB7−H3バリアント1発現ベクターの作製
LNCaP細胞(American Type Culture Collection:ATCC)total RNAより合成したcDNAを鋳型にプライマーセット:プライマー1:
5’−ctatagggagacccaagctggctagcatgctgcgtcggcggggcag−3’(配列番号22)
及び、プライマー2:
5’−aacgggccctctagactcgagcggccgctcaggctatttcttgtccatcatcttctttgctgtcag−3’(配列番号23)
を用いてPCR反応を行い、ヒトB7−H3バリアント1をコードするcDNAを増幅した。
次に、得られたPCR産物をMagExtractor PCR & Gel cleanup(TOYOBO社)にて精製した。更に、制限酵素(NheI/NotI)で消化した後、MagExtractor PCR&Gel cleanup(TOYOBO社)にて精製した。pcDNA3.1(+)プラスミドDNA(ライフテクノロジー社)を同じ制限酵素(NheI/NotI)で消化した後、MagExtractor PCR & Gel cleanup(TOYOBO社)にて精製した。
上記精製DNA溶液を混合し、更にLigation high(TOYOBO社)を加え、16℃で8時間インキュベートし、ライゲーションした。
上記反応物を大腸菌DH5αコンピテントセル(ライフテクノロジー社)に加え、形質転換した。
上記で得られたコロニーについて、PCRプライマーとBGH reverse PrimerでコロニーダイレクトPCRを行い、候補クローンをセレクションした。
得られた候補クローンを液体培地(LB/Amp)で培養し、MagExtractor−Plasmid−(TOYOBO社)でプラスミドDNAを抽出した。
得られたプラスミドDNAを鋳型に
プライマー3(CMV promoterプライマー):
5’−cgcaaatgggcggtaggcgtg−3’(配列番号24)
及び、プライマー4(BGH reverseプライマー):
5’−tagaaggcacagtcgagg−3’(配列番号25)
間のシーケンス解析を行い、取得クローンと提供CDS配列を比較した。
配列を確認後、得られたクローンを200mLのLB/Amp培地で培養し、VioGene社 Plasmid Midi V−100キットを使って、プラスミドDNAの抽出を行った。
本ベクターをpcDNA3.1−B7−H3と命名した。本ベクターにクローニングされたB7−H3バリアント1遺伝子のORF部分の配列は配列表の配列番号26(図16)のヌクレオチド番号1乃至1602に示されている。また、B7−H3バリアント1のアミノ酸配列は配列表の配列番号1に示されている。
【0503】
(試験例2)B7−H3バリアント1遺伝子安定発現CCRF−CEM細胞の調製
試験例1で作製されたpcDNA3.1−B7−H3を、CCRF−CEM細胞(ATCC)にNucleofector II(ロンザ社製)を用い電気穿孔法にてトランスフェクションした。その後、10%ウシ胎児血清(FBS)含有RPMI1640培地(ライフテクノロジー社)(以降10%FBS−RPMI1640)中で37℃、5%COの条件下で更に2晩培養した。
2日間培養後、pcDNA3.1−B7−H3が安定的に組み込まれたCCRF−CEM細胞を選択するため、750μg/mL G418(ライフテクノロジー社)含有10%FBS−RPMI1640にて培養を開始した。
1ヶ月間培養後、単一細胞クローンを得るため限界機釈法を用いクローニングを行った。具体的には、G418に対する耐性を持ち合わせた細胞を10cell/mLに希釈し96wellプレートに100μL/wellの濃度にて播種、培養し、個別のwellから増殖した細胞を回収した。
回収された各クローンのB7−H3発現を確認するためには、フローサイトメトリー法を用いた。具体的には、回収された各クローンを5%FBS含有PBSで2回洗浄した後、10μg/mL M30を含む5%FBS含有PBSを加え懸濁し、4℃で30分間静置した。5%FBS含有PBSで2回洗浄した後、5%FBS含有PBSで1000倍に希釈したFluorescein−conjugated goat IgG fraction to mouse IgG(Whole Molecule)(ICN Pharmaceuticals社製 #55493)を加えて懸濁し、4℃で30分間静置した。5%FBS含有PBSで2回洗浄した後、5%FBS含有PBSに再懸濁し、フローサイトメーター(FC500:BeckmanCoulter社)で検出を行った。
本操作によって得られた、B7−H3バリアント1遺伝子安定発現CCRF−CEM細胞をCEM_V1_3.1_2細胞と命名した。親株であるCCRF−CEM細胞はB7−H3非発現細胞株として使用した。
【0504】
(試験例3)抗体−薬物コンジュゲートの細胞傷害性試験(1)
試験例2で作製されたCEM_V1_3.1_2細胞、CCRF−CEM細胞(ATCC)は10%のウシ胎児血清(MOREGATE)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、培地)で培養した。CEM_V1_3.1_2細胞、CCRF−CEM細胞を培地で8×10cells/mLになるように調製し、65μLの培地を入れた96穴細胞培養用マイクロプレートに25μLずつ添加して一晩培養した。翌日、培地で1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nMに希釈したM30−H1−L4抗体、M30−H1−L4P抗体及び抗体−薬物コンジュゲートをマイクロプレートに10μLずつ添加した。被検物質非添加ウェルには培地を10μLずつ添加した。37度、5%CO下で3日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で30分間静置した。培養液と等量のCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し撹拌した。室温で10分間静置後にプレートリーダー(PerkinElmer)で発光量を計測した。IC50値は次式で算出した。
IC50(nM)=antilog((50−d)×(LOG10b−LOG10a)÷(d−c)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の生細胞率
d:濃度bの被検物質を添加した時の生細胞率
a、bは生細胞率50%をまたぐ濃度で、a>b
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a÷b×100
a:被検物質添加ウェルの発光量の平均値(n=2)
b:被検物質非添加ウェルの発光量の平均値(n=10)
CEM_V1_3.1_2細胞に対して、抗体−薬物コンジュゲート(5)、(16)、(21)、(32)、(44)、(45)、(46)、(52)、(54)は、IC50<0.1(nM)の細胞傷害活性を示した。抗体−薬物コンジュゲート(1)、(12)、(13)、(20)、(28)、(29)、(35)、(36)、(37)、(41)、(49)、(53)は、0.1<IC50<1(nM)の細胞傷害活性を示した。抗体−薬物コンジュゲート(33)、(34)、(47)、(48)、(50)、(51)は、1<IC50<100(nM)の細胞傷害活性を示した。一方、CCRF−CEM細胞に対しては上記のいずれの抗体−薬物コンジュゲートも細胞傷害活性を示さなかった(>100(nM))。M30−H1−L4抗体およびM30−H1−L4P抗体はいずれの細胞に対しても細胞傷害活性を示さなかった(>100(nM))。
【0505】
(試験例4)抗体−薬物コンジュゲートの細胞傷害性試験(2)
抗原陽性細胞のSR細胞(ATCC)、抗原陰性細胞のDaudi細胞(ATCC)は10%のウシ胎児血清(MOREGATE)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、培地)で培養した。SR細胞、Daudi細胞を培地で2.8×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに90μLずつ添加した。2時間後、培地で40nM、8nM、1.6nM、320pM、64pM、12.8pM、2.6pMに希釈した抗CD30抗体及び抗体−薬物コンジュゲート(6)、(7)をマイクロプレートに10μLずつ添加した。被検物質非添加ウェルには培地を10μLずつ添加した。37度、5%CO下で3日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で30分間静置した。培養液と等量のCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し攪拌した。室温で10分間静置後にプレートリーダー(PerkinElmer)で発光量を計測した。IC50値は次式で算出した。
IC50(nM)=antilog((50−d)×(LOG10b−LOG10a)÷(d−c)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の生細胞率
d:濃度bの被検物質を添加した時の生細胞率
a、bは生細胞率50%をまたぐ濃度で、a>b
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a÷b×100
a:被検物質添加ウェルの発光量の平均値(n=2)
b:被検物質非添加ウェルの発光量の平均値(n=12)
抗体−薬物コンジュゲート(6)、(7)は、SR細胞に対してIC50<0.01(nM)の細胞傷害活性を示した。一方、Daudi細胞に対しては抗体−薬物コンジュゲート(6)、(7)は細胞傷害活性を示さなかった(>4.0(nM))。また、抗CD30抗体はいずれの細胞に対しても細胞傷害活性を示さなかった(>4.0(nM))。
【0506】
(試験例5)抗体−薬物コンジュゲートの細胞傷害性試験(3)
抗原陽性細胞のSR細胞(ATCC)は10%のウシ胎児血清(MOREGATE)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、培地)で培養した。SR細胞を培地で2.8×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに90μLずつ添加した。2時間後、培地で1000nM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM、1pMに希釈した抗CD30抗体及び抗体−薬物コンジュゲート(22)、(23)、(38)、(64)、(65)をマイクロプレートに10μLずつ添加した。被検物質非添加ウェルには培地を10μLずつ添加した。37度、5%CO下で6日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で30分間静置した。培養液と等量のCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し攪拌した。室温で10分間静置後にプレートリーダー(PerkinElmer)で発光量を計測した。IC50値は次式で算出した。
IC50(nM)=antilog((50−d)×(LOG10b−LOG10a)÷(d−c)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の生細胞率
d:濃度bの被検物質を添加した時の生細胞率
a、bは生細胞率50%をまたぐ濃度で、a>b
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a÷b×100
a:被検物質添加ウェルの発光量の平均値(n=2)
b:被検物質非添加ウェルの発光量の平均値(n=12)
抗体−薬物コンジュゲート(23)、(38)、(64)、(65)は、SR細胞に対してIC50<0.01(nM)の細胞傷害活性を示した。抗体−薬物コンジュゲート(22)はSR細胞に対してIC50<0.1(nM)の細胞傷害活性を示した。また、抗CD30抗体はSR細胞に対して細胞傷害活性を示さなかった(>4.0(nM))。
【0507】
(試験例6)抗体−薬物コンジュゲートの細胞傷害性試験(4)
抗原陽性細胞のHL−60細胞(ATCC)、抗原陰性細胞のRaji細胞(ATCC)は10%のウシ胎児血清(MOREGATE)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、培地)で培養した。HL−60細胞、Raji細胞を培地で8×10cells/mLになるように調製し、65μLの培地を入れた96穴細胞培養用マイクロプレートに25μLずつ添加した。培地で1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nMに希釈した抗CD33抗体及び抗体−薬物コンジュゲート(8)、(9)をマイクロプレートに10μLずつ添加した。被検物質非添加ウェルには培地を10μLずつ添加した。37度、5%CO下で3日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で30分間静置した。培養液と等量のCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し撹拌した。室温で10分間静置後にプレートリーダー(PerkinElmer)で発光量を計測した。IC50値は次式で算出した。
IC50(nM)=antilog((50−d)×(LOG10b−LOG10a)÷(d−c)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の生細胞率
d:濃度bの被検物質を添加した時の生細胞率
a、bは生細胞率50%をまたぐ濃度で、a>b
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a÷b×100
a:被検物質添加ウェルの発光量の平均値(n=2)
b:被検物質非添加ウェルの発光量の平均値(n=5)
抗体−薬物コンジュゲート(8)、(9)は、HL−60細胞に対してはIC50<0.1(nM)の細胞傷害活性を示した。一方、Raji細胞に対しては抗体−薬物コンジュゲート(8)、(9)は細胞傷害活性を示さなかった(>100(nM))。また、抗CD33抗体は、いずれの細胞に対しても細胞傷害活性を示さなかった(>100(nM))。
【0508】
(試験例7)抗体−薬物コンジュゲートの細胞傷害性試験(5)
抗原陽性細胞のNOMO−1細胞(HSRRB)は10%のウシ胎児血清(MOREGATE)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、培地)で培養した。NOMO−1細胞を培地で2.8×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに90μLずつ添加した。2時間後、培地で1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nMに希釈した抗CD33抗体及び抗体−薬物コンジュゲート(24)、(25)、(67)をマイクロプレートに10μLずつ添加した。被検物質非添加ウェルには培地を10μLずつ添加した。37度、5%CO下で6日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で30分間静置した。培養液と等量のCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し撹拌した。室温で10分間静置後にプレートリーダー(PerkinElmer)で発光量を計測した。IC50値は次式で算出した。
IC50(nM)=antilog((50−d)×(LOG10b−LOG10a)÷(d−c)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の生細胞率
d:濃度bの被検物質を添加した時の生細胞率
a、bは生細胞率50%をまたぐ濃度で、a>b
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a÷b×100
a:被検物質添加ウェルの発光量の平均値(n=2)
b:被検物質非添加ウェルの発光量の平均値(n=5)
NOMO−1細胞に対して、抗体−薬物コンジュゲート(25)は、IC50<0.1(nM)の細胞傷害活性を示した。抗体−薬物コンジュゲート(24)、(67)は、1<IC50<100(nM)の細胞傷害活性を示した。また、抗CD33抗体は、NOMO−1細胞に対して細胞傷害活性を示さなかった(>100(nM))。
【0509】
(試験例8)抗体−薬物コンジュゲートの細胞傷害性試験(6)
抗原陽性細胞のU251細胞(ATCC)、抗原陰性細胞のMCF−7細胞(ATCC)は10%のウシ胎児血清(MOREGATE)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、培地)で培養した。U251細胞、MCF−7細胞を培地で2.8×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに90μLずつ添加して一晩培養した。翌日、各培地で1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nMに希釈した抗CD70抗体及び抗体−薬物コンジュゲート(10)、(11)をマイクロプレートに10μLずつ添加した。被検物質非添加ウェルには培地を10μLずつ添加した。37度、5%CO下で6日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で30分間静置した。培養液と等量のCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し攪拌した。室温で10分間静置後にプレートリーダー(PerkinElmer)で発光量を計測した。IC50値は次式で算出した。
IC50(nM)=antilog((50−d)×(LOG10b−LOG10a)÷(d−c)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の生細胞率
d:濃度bの被検物質を添加した時の生細胞率
a、bは生細胞率50%をまたぐ濃度で、a>b
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a÷b×100
a:被検物質添加ウェルの発光量の平均値(n=2)
b:被検物質非添加ウェルの発光量の平均値(n=12)
抗体−薬物コンジュゲート(10)、(11)は、U251細胞に対してIC50<1(nM)の細胞傷害活性を示した。一方、MCF−7細胞に対しては抗体−薬物コンジュゲート(10)、(11)は細胞傷害活性を示さなかった(≧90(nM))。また、抗CD70抗体は、いずれの細胞に対しても細胞傷害活性を示さなかった(>100(nM))。
【0510】
(試験例9)抗体−薬物コンジュゲートの細胞傷害性試験(7)
抗原陽性細胞のU251細胞(ATCC)は10%のウシ胎児血清(MOREGATE)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、培地)で培養した。U251細胞を培地で2.8×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに90μLずつ添加した。2時間後、培地で1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nMに希釈した抗CD70抗体及び抗体−薬物コンジュゲート(26)、(27)、(40)、(68)、(69)をマイクロプレートに10μLずつ添加した。被検物質非添加ウェルには培地を10μLずつ添加した。37度、5%CO下で6日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で30分間静置した。培養液と等量のCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し攪拌した。室温で10分間静置後にプレートリーダー(PerkinElmer)で発光量を計測した。IC50値は次式で算出した。
IC50(nM)=antilog((50−d)×(LOG10b−LOG10a)÷(d−c)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の生細胞率
d:濃度bの被検物質を添加した時の生細胞率
a、bは生細胞率50%をまたぐ濃度で、a>b
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a÷b×100
a:被検物質添加ウェルの発光量の平均値(n=2)
b:被検物質非添加ウェルの発光量の平均値(n=12)
抗体−薬物コンジュゲート(26)、(27)、(40)、(69)はU251細胞に対して1<IC50<10(nM)の細胞傷害活性を示した。抗体−薬物コンジュゲート(68)は10<IC50<100(nM)の細胞傷害活性を示した。また、抗CD70抗体は、U251細胞に対して細胞傷害活性を示さなかった(>100(nM))。
【0511】
(試験例10)遊離薬物の細胞傷害性試験(8)
A375細胞(ATCC)は10%のウシ胎児血清(MOREGATE)を含むDMEM(GIBCO)(以下、培地)で培養した。A375細胞を培地で4×10cells/mLになるように調製し、65μLの培地を入れた96穴細胞培養用マイクロプレート(CORNING)に25μLずつ添加して一晩培養した。翌日、DMSOで1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nMに希釈した被検物質をマイクロプレートに0.5μLずつ添加した。被検物質非添加ウェルにはDMSOを0.5μLずつ添加した。すべてのウェルに培地を10μLずつ添加して培地の液量を100μLとし、37度、5%CO下で6日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で30分間静置した。培養液と等量のCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し攪拌した。室温で10分間静置後にプレートリーダーで発光量を計測した。IC50値は次式で算出した。
IC50(nM)=antilog((50−d)×(LOG10b−LOG10a)÷(d−c)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加したときの生細胞率
d:濃度bの被検物質を添加したときの生細胞率
a、bは生細胞率50%をまたぐ濃度で、a>b
細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a÷b×100
a:被検物質添加ウェルの発光量の平均値(n=2)
b:被検物質非添加ウェルの発光量の平均値(n=10)
実施例(75)の化合物、およびエキサテカンはA375細胞に対して0.1<IC50<1(nM)の細胞傷害活性を示した。実施例(42)の化合物は1<IC50<10(nM)の細胞傷害活性を示した。実施例(1)の化合物は10<IC50<100(nM)の細胞傷害活性を示した。
【0512】
(試験例11)抗腫瘍試験(1)
マウス:5−6週齢の雌BALB/c ヌードマウス(日本チャールス・リバー社)を実験使用前にSPF条件化で4−7日間馴化した。マウスには滅菌した固形飼料(FR−2,Funabashi Farms Co.,Ltd)を給餌し、滅菌した水道水(5−15ppm次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加して調製)を与えた。
測定、計算式:全ての研究において、腫瘍の長径および短径を電子式デジタルキャリパー(CD−15C,Mitutoyo Corp.)で1週間に2回測定し、腫瘍体積(mm)を計算した。計算式は以下に示すとおり。
腫瘍体積(mm)=1/2×長径(mm)×[短径(mm)]
抗体−薬物コンジュゲートは全て生理食塩水(大塚製薬工場)で希釈し、10mL/kgの液量を尾静脈内投与した。ヒトメラノーマ株A375細胞をATCC(American Type Culture Collection)から購入した。生理食塩水に懸濁した8×10cellsを雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植し(Day0)、Day11に無作為に群分けを実施した。M30−H1−L4P抗体および抗体−薬物コンジュゲート(2)をDay11、18、25に全て10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。
結果を図17に示す。図中の白ひし形線は無処置の腫瘍、白三角線はM30−H1−L4P抗体、白丸線は抗体−薬物コンジュゲート(2)の効果を示す。
抗体−薬物コンジュゲート(2)の投与によって腫瘍体積が著しく減少し、最終投与後は更なる腫瘍増殖が見られなかったことを示す。一方、M30−H1−L4P抗体投与では腫瘍の増殖が進行した。
また、抗体−薬物コンジュゲート(2)を投与されたマウスでは、体重減少などの特に目立った所見も無く、抗体−薬物コンジュゲート(2)は毒性的にも弱く、安全性も高いと考えられる。
【0513】
(試験例12)抗腫瘍試験(2)
ヒトメラノーマ株A375細胞をATCC(American Type Culture Collection)から購入した。生理食塩水に懸濁した6×10cellsを雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植し(Day0)、Day18に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(2)(0.1,0.3,1,3mg/kg)をDay18、25、32に各用量qw×3のスケジュールで尾静脈内投与した。
結果を図18に示す。図中の白ひし形線は無処置の腫瘍、黒四角線は抗体−薬物コンジュゲート(2)0.1mg/kg投与時、線−X−は0.3mg/kg投与時、黒三角線は1mg/kg投与時、白丸線は3mg/kg投与時の効果を示す。抗体−薬物コンジュゲート(2)は用量依存的に腫瘍の縮小効果を発揮した。
【0514】
(試験例13)抗腫瘍試験(3)
ヒト非小細胞肺癌株Calu−6細胞をATCC(American Type Culture Collection)から購入した。生理食塩水に懸濁した5×10cellsを雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植し(Day0)、Day11に無作為に群分けを実施した。M30−H1−L4P抗体および抗体−薬物コンジュゲート(2)をDay11、18、25にqw×3のスケジュールで全て10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。
結果を図19に示す。図中の白ひし形線は無処置の腫瘍、白三角線はM30−H1−L4P抗体、白丸線は抗体−薬物コンジュゲート(2)の効果を示す。抗体−薬物コンジュゲート(2)の投与によって腫瘍体積が著しく減少し、最終投与後は更なる腫瘍増殖が見られなかった。一方、M30−H1−L4P抗体投与では腫瘍の増殖が進行した。
また、抗体−薬物コンジュゲート(2)を投与されたマウスでは、体重減少などの特に目立った所見も無く、抗体−薬物コンジュゲート(2)は毒性的にも弱く、安全性も高いと考えられる。
【0515】
(試験例14)抗腫瘍試験(4)
ヒトメラノーマ株A375細胞をATCC(American Type Culture Collection)から購入した。生理食塩水に懸濁した8×10cellsを雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植し(Day0)、Day21に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(1)、(13)、(41)、(55)をDay21に全て10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。
結果を図20に示す。図中の白ひし形線は無処置の腫瘍、白丸線は抗体−薬物コンジュゲート(1)投与時、白三角線は抗体−薬物コンジュゲート(13)投与時、線−X−は抗体−薬物コンジュゲート(41)投与時、白四角線は抗体−薬物コンジュゲート(55)投与時の効果を示す。抗体−薬物コンジュゲート(1)、(13)、(41)、(55)の投与によって腫瘍体積が著しく減少し、いずれも腫瘍増殖抑制効果を発揮した。
また、抗体−薬物コンジュゲート(1)、(13)、(41)、(55)を投与されたマウスでは、体重減少などの特に目立った所見も無く、抗体−薬物コンジュゲート(1)、(13)、(41)、(55)は毒性的にも弱く、安全性も高いと考えられる。
【0516】
(試験例15)抗腫瘍試験(5)
ヒト非小細胞肺癌株Calu−6細胞をATCC(American Type Culture Collection)から購入した。生理食塩水に懸濁した5×10cellsを雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植し(Day0)、Day12に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(13)、(41)、(55)をDay12に全て10 mg/kgの用量で尾静脈内投与した。また比較対照としてDE−310をDay12に0.1 mg/kgの用量で尾静脈内投与した。ここで、投与量の表記は抗体−薬物コンジュゲートでは抗体の投与量に基づく値であり、DE−310では含有薬物の投与量に基づく値であるので、抗体−薬物コンジュゲートとDE−310の含有薬物量はおよそ1:100であり、上記投与により同等量の含有薬剤を投与したことになる。
結果を図21に示す。図中の白ひし形線は無処置の腫瘍、白丸線はDE-310、白三角線は抗体−薬物コンジュゲート(13)、線−X−は抗体−薬物コンジュゲート(41)、白四角線は抗体−薬物コンジュゲート(55)の効果を示す。抗体−薬物コンジュゲート(13)、(41)、(55)の投与によって腫瘍体積が著しく減少した一方、DE−310の投与では腫瘍体積の減少は認められなかった。
また、抗体−薬物コンジュゲート(13)、(41)、(55)を投与されたマウスでは、体重減少などの特に目立った所見も無く、これらの抗体−薬物コンジュゲートは毒性的にも弱く、安全性も高いと考えられる。
【0517】
(試験例16)抗腫瘍試験(6)
ヒトメラノーマ株A375細胞をATCC(American Type Culture Collection)から購入した。生理食塩水に懸濁した1×10cellsを雌ヌードマウスの右側腹部に皮下移植し(Day0)、Day11に無作為に群分けを実施した。抗体−薬物コンジュゲート(17)、(18)、(19)、(59)、(60)、(61)をDay11、18にqw×2のスケジュールで全て3mg/kgの用量で尾静脈内投与した。
結果を図22に示す。図中の黒ひし形線は無処置の腫瘍、黒四角線は抗体−薬物コンジュゲート(17)投与時、白三角線は抗体−薬物コンジュゲート(18)投与時、白丸線は抗体−薬物コンジュゲート(19)投与時、黒三角線は抗体−薬物コンジュゲート(59)投与時、白四角線は抗体−薬物コンジュゲート(60)投与時、線−X−は抗体−薬物コンジュゲート(61)投与時の効果を示す。
抗体−薬物コンジュゲート(17)、(18)、(19)、(59)、(60)、(61)の投与によって腫瘍体積が著しく減少し、いずれも腫瘍増殖抑制効果を発揮した。
また、抗体−薬物コンジュゲート(17)、(18)、(19)、(59)、(60)、(61)を投与されたマウスでは、体重減少などの特に目立った所見も無く、これらの抗体−薬物コンジュゲートは毒性的にも弱く、安全性も高いと考えられる。
【配列表フリーテキスト】
【0518】
配列番号1 − B7−H3バリアント1のアミノ酸配列
配列番号2 − B7−H3バリアント2のアミノ酸配列
配列番号3 − M30抗体のCDRH1のアミノ酸配列
配列番号4 − M30抗体のCDRH2のアミノ酸配列
配列番号5 − M30抗体のCDRH3のアミノ酸配列
配列番号6 − M30抗体のCDRL1のアミノ酸配列
配列番号7 − M30抗体のCDRL2のアミノ酸配列
配列番号8 − M30抗体のCDRL3のアミノ酸配列
配列番号9 − M30−H1タイプ重鎖のアミノ酸配列
配列番号10 − M30−H2タイプ重鎖のアミノ酸配列
配列番号11 − M30−H3タイプ重鎖のアミノ酸配列
配列番号12 − M30−H4タイプ重鎖のアミノ酸配列
配列番号13 − M30−L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列
配列番号14 − M30−L2タイプ軽鎖のアミノ酸配列
配列番号15 − M30−L3タイプ軽鎖のアミノ酸配列
配列番号16 − M30−L4タイプ軽鎖のアミノ酸配列
配列番号17 − M30−L5タイプ軽鎖のアミノ酸配列
配列番号18 − M30−L6タイプ軽鎖のアミノ酸配列
配列番号19 − M30−L7タイプ軽鎖のアミノ酸配列
配列番号20 − M30抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号21 − M30抗体軽鎖のアミノ酸配列
配列番号22 − PCRプライマー1
配列番号23 − PCRプライマー2
配列番号24 − CMV promoterプライマー:プライマー3
配列番号25 − BGH reverseプライマー:プライマー4
配列番号26 − B7−H3バリアント1のヌクレオチド配列
配列番号27 − 抗CD30抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号28 − 抗CD30抗体軽鎖のアミノ酸配列
配列番号29 − 抗CD33抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号30 − 抗CD33抗体軽鎖のアミノ酸配列
配列番号31 − 抗CD70抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号32 − 抗CD70抗体軽鎖のアミノ酸配列
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]