(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186054
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ナプキン
(51)【国際特許分類】
A61F 13/47 20060101AFI20170814BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
A61F13/47
A61F13/511 110
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-144618(P2016-144618)
(22)【出願日】2016年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-104489(P2017-104489A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】104140895
(32)【優先日】2015年12月7日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】592229454
【氏名又は名称】簡 元正
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】簡 元正
【審査官】
田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−205558(JP,A)
【文献】
特開2005−137648(JP,A)
【文献】
特開2007−175376(JP,A)
【文献】
特開2009−195631(JP,A)
【文献】
特開2013−208418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層と、前記ベース層から突き出るように設けられた吸収体とを有し、長手方向と、該長手方向と同一平面内で直交する幅方向とが定義された、基材と、
前記長手方向に互いに間隔をおいて前記吸収体と連結された複数の連結部と、前記連結部と連結されると共に前記長手方向に延伸されるように形成された吸収部と、前記吸収部上に起毛されて設けられたコットンフラッフとを有し、前記吸収体と前記連結部と前記吸収部とにより、複数の通気路が、前記幅方向に延伸されるように画成されている、少なくとも一つの吸収手段と、を備えている、ことを特徴とする、ナプキン。
【請求項2】
前記吸収手段は更に、複数のせん孔が、前記長手方向と前記幅方向とに直交する上下方向に前記吸収部を貫通して前記通気路に流体連通するように形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のナプキン。
【請求項3】
前記吸収手段は更に、前記吸収部に複数のコットンフラッフボールが設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナプキン。
【請求項4】
前記吸収手段は更に、前記吸収部に複数のコットンフラッフボールが前記長手方向に複数列並ぶように設けられ、隣接の列における前記コットンフラッフボールの直径が異なる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナプキン。
【請求項5】
前記連結部は、それぞれ前記長手方向に延伸されると共に、互いに前記幅方向の間隔をおいて少なくとも2列並ぶように設けられ、
前記吸収部は更に、
それぞれ前記長手方向に延伸されると共に、プリーツ形状に折り曲げられてなり、互いに前記幅方向の間隔をおいて並ぶように前記連結部と連結して設けられた、2つの繋ぎ部材と、
前記繋ぎ部材を介して前記連結部と連結して設けられた吸収部材とを有し、
前記吸収体と、前記吸収部の前記繋ぎ部材と、前記連結部とにより、複数の前記通気路が形成され、
前記吸収体と、前記吸収部の前記繋ぎ部材と、前記吸収部材とにより、前記通気路と連通されると共に前記長手方向に延伸される通風路が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの一項に記載のナプキン。
【請求項6】
前記吸収手段を複数備え、該複数の前記吸収手段は互いに前記幅方向の間隔をおいて設けられている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの一項に記載のナプキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経血等の体液を吸収・保持するための生理用ナプキンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、
図1に示されたような、縦長に延伸して形成されたベース体11と、ベース体11の長手方向の両側に延伸して設けられた漏れ防止用フラップ111と、ベース体11の肌接触側から突き出るように設けられた吸収体12とを有するナプキンが広く使われている(例えば、特許文献1参照)。ベース体11に突設された吸収体12によってユーザーの股間部にフィットして密着するように配置されることができるので、ユーザーの股間部にある排泄部から排出された体液を素早く吸収することができる。従って、排出体液が後ろ側に流れて漏れることを避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾登録実用新案第441354号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のナプキンは、吸収体12がユーザーの肌とフィットして密着しているので、通気性が悪く、蒸れが生じ易いため、不快な臭気が発生し、装着感が良くない問題点がある。
【0005】
本発明は、体液吸収効果が良好であるだけでなく、通気性も優れたナプキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るナプキンは、ベース層と、前記ベース層から突き出るように設けられた吸収体とを有し、長手方向と、該長手方向と同一平面内で直交する幅方向とが定義された、基材と、前記長手方向に互いに間隔をおいて前記吸収体と連結された複数の連結部と、前記連結部と連結されると共に前記長手方向に延伸されるように形成された吸収部と、前記吸収部上に起毛されて設けられたコットンフラッフとを有し、前記吸収体と前記連結部と前記吸収部とにより、複数の通気路が、前記幅方向に延伸されるように画成されている、少なくとも一つの吸収手段と、を備えている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るナプキンは、吸収体と連結部と吸収部とにより、複数の通気路が幅方向に延伸されるように画成されているので、通気性が改善され、蒸れが生じにくい。従って、不快な臭気の発生を抑制することができる。また、吸収部に起毛されて設けられたコットンフラッフにより、ふわふわとした肌触りを得ることができるので、装着感が良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来の生理用ナプキンの一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るナプキンの第1の実施例を示す斜視図である。
【
図4】
図2の一部を断面して示す長手方向の側面断面図である。
【
図8】本発明に係るナプキンの第2の実施例を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係るナプキンの第3の実施例を示す平面図である。
【
図11】本発明に係るナプキンの第4の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のナプキンにおけるいくつかの実施例について図面を参照して説明する。なお、同一構成及び機能を有する構成要素については、同一番号を付してその説明を省略する。本発明に係るナプキンは、ユーザーの股間部に対向して置かれるように使用されるものであり、縦長に延伸してほぼ長方形状に形成されたものである。なお、ナプキンの長手方向Xは、ユーザーの腹側から背中側に向かう前後方向に対応する方向、ナプキンの幅方向Yは、長手方向Xと同一の平面にあり且つ該長手方向に直交する方向、ナプキンの上下方向Zは、長手方向Xと幅方向Yとに直交する方向である。
【0010】
(第1の実施例)
図2は、本発明に係るナプキンの第1の実施例を示す斜視図、
図3は、
図2の長手方向の側面図、
図4は、
図2の一部を断面して示す長手方向の側面断面図である。
図2〜
図4に示されているように、符号2は、第1の実施例に係るナプキン、3は、縦長に延伸して形成された基材をそれぞれ示している。基材3は、ユーザーの肌と接触するように設けられた例えば紙質のベース層31と、ベース層31にシート状に敷かれてベース層31から突き出るように設けられた吸収体32とを有する。ベース層31は、ベース層31の長手方向の両側に延伸して設けられた漏れ防止用フラップを有する。なお、漏れ防止用フラップは、用途によっては設けなくても良いものである。
【0011】
吸収体32の肌接触側には、ユーザーの肌と接触するように吸収手段4が突き出て設けられている。なお、各図では、吸収手段4の構造が分かり易いように実際より寸法を拡大して示している。
【0012】
吸収手段4は、長手方向Xに沿って所定の間隔をおいて吸収体32と連結された複数の連結部41と、連結部41と一体的に連結されて設けられた吸収部42とを有する。
【0013】
この例では、吸収部42は、長手方向Xに延伸されてシート状に形成され、複数の連結部41を介して基材3の吸収体32と連結されている。これら複数の連結部41によって吸収部42はアーチ形状になっている。また、吸収部42の肌接触側には、多数のコットンフラッフ45が起毛されて設けられている。そして、吸収体32と連結部41と吸収部42とにより、上記アーチ形状の下部空間である複数の通気路44が、幅方向Yに延伸されるように画成されている。
【0014】
更に、吸収部42は、複数のせん孔43が、互いに所定の間隔をおいて上下方向Zに吸収部42を貫通して設けられている。この例では、複数のせん孔43が複数の通気路44に流体的に連通している。
【0015】
なお、この例では、吸収手段4は、長手方向Xの相反する二つの端部を有し、
図2に示されているように、その一方又は両方の端部が吸収体32に連結されているが、吸収体32から所定の上下方向Zの間隔をおいて離れるように設けられてもよい。
【0016】
以上のように構成されたナプキン2は、通気路44によって通気性が改善されるので、蒸れが生じにくい。従って、不快な臭気の発生を抑制することができる。また、吸収部42に起毛されて設けられたコットンフラッフ45により、ふわふわとした肌触りを得ることができるので、装着感が良い。また、吸収手段4がユーザーの肌と接触するように突き出て設けられているので、ユーザーの排泄体液がすぐに吸収部42を介して吸収体32側に流れることができる。従って、かぶれの発生が大幅に軽減される。また、吸収部42にせん孔43が通気路44に連通するように設けられていることにより、通気性や吸収性の向上を図ることができ、かぶれや臭気の発生を効果的に抑制することもできる。
【0017】
(変形例)
図5は、第1の実施例に係るナプキン2の変形例を示す斜視図、
図6は
図5の長手方向の側面図、
図7は、
図5の長手方向の一部側面断面図である。第1の実施例では、吸収部42は連結部41によって緩やかに凹凸してアーチ形状になっているが、この例では、吸収手段4は、長手方向Xに沿って延伸されるように、吸収体32と連結された連結部41としての凹部と、吸収体32から上下方向Zの間隔をおいて離れる吸収部42としての凸部とを有すると共に、連結部41の長手方向の間隔を上記第1の実施例より小さくして明らかな波の形状に設けられている。なお、この例では、吸収部42の長手方向Xの両端はそれぞれ吸収体32に連結されている。
【0018】
以上のように構成されたナプキン2は、通気路44によって通気性が改良され、また、より良好なふわふわとした肌触りを得ることができるので、蒸れやかぶれの発生も大幅に軽減され、快適な着用感を得ることができる。
【0019】
(第2の実施例)
図8は、本発明に係るナプキンの第2の実施例を示す斜視図である。第2の実施例に係るナプキン2は、第1の実施例の構成とは、複数の吸収手段4が幅方向Yの間隔をおいて並ぶように設けられている点で異なる。
【0020】
各吸収手段4は長手方向Xに沿って延伸されるようになっており、長手方向Xに沿って所定の間隔をおいて吸収体32と連結された複数の連結部41と、連結部41と一体的に連結されて設けられた吸収部42とを有する。隣接する連結部41間の吸収部42はアーチ形状になっている。多数のコットンフラッフ45が吸収部42の肌接触側に起毛されて設けられている。吸収体32と複数の連結部41と複数の吸収部42とにより、複数の通気路44が、幅方向Yに延伸されるように画成されている。また、各吸収手段4は、長手方向Xの相反する二つの端部を有し、
図8に示されているように、その両端部が吸収体32に連結されている。
【0021】
以上のように構成されたナプキン2は、上記例と同様に、通気路44によって通気性が改善され蒸れが生じにくいので、不快な臭気の発生を抑制することができる効果を有する。また、吸収部42に起毛されて設けられたコットンフラッフ45により、ふわふわとした肌触りを得ることができ、ユーザーの排泄体液がすぐに吸収部42を介して吸収体32側に流れるので、かぶれの発生が大幅に軽減されることができる。また、隣接する吸収手段4の間は通気路44と連通される通気パス50として形成されているので、通気性を大幅に上げることができる。
【0022】
(第3の実施例)
図9は、本発明に係るナプキンの第3の実施例を示す平面図、
図10は
図9の長手方向の側面図である。第3の実施例に係るナプキン2は、上記実施例とは、吸収部42に複数のコットンフラッフボール46が設けられている点で異なる。
【0023】
また、この例では、吸収手段4は、第2の実施例と同様に、互いに幅方向Yの間隔をおいて並ぶように複数例えば3本設けられ、各吸収手段4は長手方向Xに沿って延伸されるようになっており、隣接する吸収手段4におけるコットンフラッフボール46同士の間に、通気路44に連通される隙間が形成されるように、隣接する吸収手段4同士のコットンフラッフボール46の直径が異なる。
【0024】
また、本例における吸収手段4は、第1の実施例と同様に一枚のシート状になってもよい。この場合、一枚のシート状になった吸収手段4にコットンフラッフボール46が複数列になって互いに長手方向Xに並ぶように設けられ、隣接の列におけるコットンフラッフボール46同士の間に隙間が形成されるようにそれぞれの直径が異なるようにしてもよい。なお、一つの列上のコットンフラッフボール46同士は図示のように、それぞれの直径が同じであるが、異なるようにしてもよいことが言うまでもない。
【0025】
(第4の実施例)
図11は、本発明に係るナプキンの第4の実施例を示す斜視図、
図12は、
図11の横幅方向の正面図である。第4の実施例に係るナプキン2は、上記実施例の構成と類似しているが、連結部41は、それぞれ長手方向Xに延伸されると共に互いに幅方向Yの間隔をおいて2列並ぶように設けられている。吸収部42は連結部41と連結して設けられている。
【0026】
この例では、吸収部42は更に、それぞれ長手方向Xに延伸されると共に、折線が長手方向Xに沿ったプリーツ形状に折り曲げられてなり、互いに幅方向Yの間隔をおいて並ぶように設けられた、2つの繋ぎ部材47と、繋ぎ部材47を介して連結部41と連結して設けられた吸収部材49とを有する。吸収体32と吸収部42の繋ぎ部材47と連結部41とにより複数の通気路44が形成され、また、吸収体32と繋ぎ部材47と吸収部材49とにより、通気路44と連通されると共に長手方向Xに延伸される通風路48が形成されている。
【0027】
以上のように構成された第4の実施例に係るナプキン2は、その通気性を通気路44と通風路48とにより大幅に高めることができる。従って、上記の実施例と同様に、蒸れが生じにくく、不快な臭気の発生を抑制することができ、装着感が良い効果を得ることができる。
【0028】
以上、本発明の幾つかの好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るナプキンは、ナプキン、オムツなどの吸収性物品に有用である。
【符号の説明】
【0030】
2 ナプキン
3 基材
31 ベース層
32 吸収体
4 吸収手段
41 連結体
42 吸収部
43 せん孔
44 通気路
45 コットンフラッフ
46 コットンフラッフボール
47 繋ぎ部材
48 通風路
49 吸収部材
50 通気パス
X 長手方向
Y 幅方向
Z 上下方向