特許第6186076号(P6186076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186076
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】標準エマルジョン系生成物の差別化
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20170814BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20170814BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 9/04 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20170814BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   A61K8/06
   A61K8/89
   A61K8/19
   A61K8/67
   A61Q1/14
   A61Q9/04
   A61Q1/02
   A61Q1/10
   A61Q1/12
   A61Q1/04
   A61Q17/04
   A61Q19/00
   A61Q5/12
   A61Q9/02
【請求項の数】14
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-513110(P2016-513110)
(86)(22)【出願日】2014年5月9日
(65)【公表番号】特表2016-522193(P2016-522193A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】US2014037437
(87)【国際公開番号】WO2014182996
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】61/821,898
(32)【優先日】2013年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】マシュー クレア アーマン
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ ハビエル コルテス ベレス
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−501835(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0010004(US,A1)
【文献】 特表2009−535325(JP,A)
【文献】 特開2002−128634(JP,A)
【文献】 特表平07−506529(JP,A)
【文献】 特表平10−509445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定したカスタム化粧用組成物を提供する方法であって、
(a)消費者に、複数の活性剤の選択肢を提供する工程と、
(b)前記消費者に、複数の活性剤の選択肢から1種以上の活性剤を選択するように指示する工程と、
(c)保存料及び電解質を含有している水相と、シリコーン及び界面活性剤を含有しているシリコーン相とを乳化させることにより、ベースエマルジョンを調製する工程と、
(d)極性溶媒及び前記消費者の選択した1種以上の活性剤を含有している極性相と、シリコーン、界面活性剤及び前記消費者の選択した1種以上の活性剤を含有しているシリコーン相とを乳化することにより、機能性エマルジョンを調製する工程と、
(e)前記機能性エマルジョンと前記ベースエマルジョンとを混合して、前記消費者に、前記消費者の選択した1種以上の活性剤を含むマイクロスケールの不均一系エマルジョンを含む安定したカスタム化粧品組成物を提供する工程と、を含み、
前記工程(e)の混合が、低剪断混合を用いて前記消費者により行われる、方法。
【請求項2】
前記消費者に、複数の香料の選択肢を提供することと、
前記消費者に、複数の香料の選択肢から香料を選択するように指示することと、
前記消費者に、香料をさらに含むマイクロスケールの不均一系エマルジョンを含む安定したカスタム化粧品組成物を提供することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記消費者に、複数の色の選択肢を提供することと、
前記消費者に、色を選択するように指示することと、
前記消費者に、色をさらに含むマイクロスケールの不均一系エマルジョンを含む安定したカスタム化粧品組成物を提供することと、をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記消費者に、複数のパッケージの選択肢を提供することと、
前記消費者に、複数のパッケージの選択肢からパッケージを選択するように指示することと、
パッケージと、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを含む安定したカスタム化粧品組成物とを提供することと、を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロスケールの不均一系エマルジョンが、
外相と、
前記1種以上の活性剤を含む第1の内相と、
第2の内相とを、さらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記外相が界面活性剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の内相が構造化剤を含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記構造化剤がワックスを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロスケールの不均一系エマルジョンが、前記ベースエマルジョン、前記機能性エマルジョン及び分散液を混合することによって形成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記低剪断混合が、レイノルズ数2000以下を有する層流混合形態である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ベースエマルジョンが、高剪断混合を含む工程によって調製される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記機能性エマルジョンが、高剪断混合を含む工程によって調製される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記分散液が、着色剤、香料及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記安定したカスタム化粧用組成物は、ファンデーション、パウダー、コンシーラ、ブラシ、メイクアップリムーバー、脱毛剤、うぶ毛リムーバー、ブロンザー、マスカラ、アイシャドー、アイライナー、リップグロス、リップカラー、リップライナー、マニキュア、スキンクリーム、フェイスクリーム、フェイスクレンザー、日焼け止めローション、ボディローション、シェービングジェル、シェービングフォーム、シェービングクリーム、コンディショナー、及びアフターシェーブからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、マイクロスケールの不均一系エマルジョン及びこれに関する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、製品の種類の拡充及び操作効率の向上は製造業者にとって課題である。これに関連して、製品の種類の拡充及び/又は操作効率の向上には、消費者の好み、経済的検討事項、製品の性能要件、並びに、複合多相物質の製造を試みたときに発生する場合のある製品の製造に付随し得る技術的障害、などといった可変要素を考慮する必要がある。
【0003】
エマルジョンなどの複合多相物質を含む消費者製品の製造に使用される1つの方法には、バッチ式プロセスがある。バッチ式プロセスを用いて製造されたエマルジョンは、水不混和性相及び水相を含むことが多い。多くの場合、こうしたエマルジョンを製造する第一の工程は、別途に水相及び水不混和性相を調製することを含む。最終生成物は、大型容器において水相及び水不混和性相を剪断することによって製造されるエマルジョンであり得る。バッチ式プロセスは、製造速度において可変性などのいくつかの利点を提供し得るものの、バッチ式プロセスには、処理時間が長く、及び大規模バッチにスケールアップすることが難しいなどの欠点も存在し得る。これに関連して、バッチ式プロセスの処理時間が比較的長く及びスケールアップが難しいことから、製造業者は、直接間接を問わず特定の消費者製品の余剰及び/又は在庫切れを経験する可能性がある。さらに、これらの欠点は、製造業者により提供可能な製品の種類に影響を及ぼすこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品の種類を拡充し、かつ最終製品の製造効率を向上させる1つの方法としては、製品の差別化ポイントを延長させる(すなわち、最終製品がその特性を得る時点を延長させる)というものがある。しかし、多くの場合、製品再設計のリードタイムを短縮させるこのような戦略には、解決する必要のある、所望の最終製品の種類によって異なる可能性のある固有の問題が存在する。例えば、複合多相物質の製造に関して、製品差別化ポイントの延長を試みるとき、このような物質に関係する予測不可能性により、不安定性などの技術的障害が生じる場合がある。したがって、バッチ式プロセスなど、他の製造方法に伴う欠点をある程度又は全く存在させずに、製品の種類を拡充し、最終製品の製造効率を向上させ得る、複合多相物質を含む消費者製品を製造するための、新しい方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
安定したカスタム化粧品組成物を提供する方法であって、この方法には、消費者に、複数の活性剤の選択肢を提供することと、消費者に、複数の活性剤の選択肢から1種以上の活性剤を選択するように指示することと、消費者の選択した1種以上の活性剤を含むマイクロスケールの不均一系エマルジョンを含む、安定したカスタム化粧品組成物を提供することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本特許又は出願書類には、カラーで現像された少なくとも1つの写真が含まれる。カラー写真(複数可)を備える、本特許又は特許出願の複製は、要請があれば、必要な手数料を支払うことにより、特許庁によって提供されるであろう。
【0007】
本明細書は、請求項をもって結論とするが、本発明は、添付図面と併せてなされる次の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
図1】バッチ式プロセスの概略図である。
図2】バッチ式プロセスによって製造されたエマルジョンを図示したものである。
図3】マイクロスケールの不均一系エマルジョンの作製工程の実施形態を示した略図である。
図4】マイクロスケールの不均一系エマルジョンを図示したものである。
図5】マイクロスケールの不均一系エマルジョンを図示したものである。
図6】マイクロスケールの不均一系エマルジョンの一部を示したものである。
図7図6に示すマイクロスケールの不均一系エマルジョンの部分拡大図である。
図8】3種の異なるエマルジョンのナイアシンアミドの浸透を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別途記載のない限り、全ての百分率は組成物の重量を基準にした重量パーセントである。別途記載のない限り、全ての比は重量比である。全ての数値範囲は、より狭い範囲を包含する。記載の上限及び下限は、明示されていない範囲をさらに生成する際に互換性がある。有効桁数は、記載量を限定するものでもなく、測定の精度を限定するものでもない。全ての測定は、約25℃及び周囲条件で行われるものと理解され、ここで「周囲条件」とは、約0.1メガパスカル(1気圧)及び相対湿度約50%という条件を意味する。
【0009】
「混合する」は、共通の外相を液体−液体ブレンドすることにより、個々の分散相を複合エマルジョンに分散させる混合方法を示す。
【0010】
「組成物」は、異なる化学成分の混合物を意味する。
【0011】
「一定の内相」は、エマルジョンの内相を構成する液滴の化学組成が、液滴について均一であることを意味する。換言すると、外相に懸濁された液滴は、典型的には、同様の濃度で同じ成分を含む。
【0012】
「消費者製品」としては、おむつ、胸当て、ハンカチ;脱色、カラーリング、染色、コンディショニング、洗髪、整髪を含む毛(人間、犬、及び/又は猫の)の手入れに関連する製品及び/又は方法;脱臭剤及び制汗剤;パーソナルクレンジング;化粧品;消費者向けのクリーム剤、ローション剤、及びその他の局所塗布用製品の使用を含むスキンケア製品;及びシェービング用品;下記を含むファブリックケア及びホームケアの分野におけるファブリック、硬表面、及びその他の表面の手入れに関連する製品及び/又は方法:エアケア、カーケア、食器洗い、洗浄力剤、ファブリックコンディショニング(柔軟剤を含む)、洗濯用洗浄剤、洗濯添加剤及びすすぎ添加剤及び/又はケア剤、硬表面洗浄及び/又は処理、及び消費者又は業務用のその他の洗浄;トイレットペーパー、化粧紙、ペーパーハンカチ、及び/又はペーパータオルに関連する製品及び/又は方法;タンポン、女性用ナプキン;練り歯磨き、歯ジェル、歯用リンス剤、入れ歯安定剤、歯のホワイトニング剤を含む口腔ケアに関連する製品及び/又は方法;咳止め及びかぜ薬、鎮痛剤、RX調剤、ペットの健康及び栄養用品、及び浄水を含む店頭販売のヘルスケア製品;主として通常の食事間の消費用又は食事の付け合わせとしての加工食品(非限定例としては、ポテトチップス、トルティーヤチップ、ポップコーン、プレッツェル、コーンチップ、シリアルバー、野菜チップ又はクリスプ、スナックミックス、パーティミックス、マルチグレインチップ、スナッククラッカー、チーズスナック、ポークラインズ、コーンスナック、ペレットスナック、押出スナック、及びベーグルチップが含まれる);及びコーヒーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0013】
「化粧用組成物」とは、哺乳類のケラチン性組織に局所適用するのに好適な組成物を意味する。化粧用組成物の非限定例としては、ファンデーション、パウダー、コンシーラ、ブラシ、メイクアップリムーバー、脱毛剤、うぶ毛リムーバー、ブロンザー、マスカラ、アイシャドー、アイライナー、リップグロス、リップカラー、リップライナー、マニキュア、スキンクリーム、フェイスクリーム、フェイスクレンザー、日焼け止めローション、ボディローション、シェービングジェル、シェービングフォーム、シェービングクリーム、コンディショナー、及びアフターシェーブが挙げられる。
【0014】
「誘導体」としては、アミド誘導体、エーテル誘導体、エステル誘導体、アミノ誘導体、カルボキシル誘導体、アセチル誘導体、及び/又は所与の化合物のアルコール誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0015】
「分散液」は、連続相に固体粒子が含まれる懸濁液を指す。
【0016】
「液滴の合一」は、少なくとも2つの異なるエマルジョン液滴が凝集し、最終的には破裂して単一のエマルジョン液滴を形成する工程を指す。
【0017】
「エマルジョン」は、少なくとも2種類の不混和性(不溶性)の液相のコロイド懸濁液を指す。
【0018】
「外相」は、少なくとも1種の他の分散成分がその中に懸濁されているエマルジョンの連続成分を指す。
【0019】
「抽出物」は、以下の手順によって得られる材料を意味する。乾燥させた植物材料の指定の部分(茎、樹皮、葉など)をガラス製のコニカルパーコレーターに入れる。植物材料1重量部対抽出溶媒2重量部という重量比で、指定された割合の抽出溶媒を加える。指定された抽出溶媒の割合が100%未満である場合には、残りの溶媒は水である(例えば、エタノール95%と水5%、エタノール50%と水50%など)。約16時間から約24時間の間、抽出を継続することができる。浸出液を回収し、得られる浸出液に植物由来の追加の抽出物が実質的に含まれなくなるまでこのプロセスを繰り返す。浸出液を組み合わせて、減圧下で蒸発乾燥させ、得られた抽出物を窒素下で4℃未満で保存する。
【0020】
用語「布地ケア組成物」は、別途記載のない限り、布地柔軟化組成物、布地増強組成物、布地フレッシュニング組成物、及びこれらの組み合わせを含む。
【0021】
「を含まない」は、記載の成分が組成物に添加されていないことを意味する。しかし、記載の成分は、パーソナルケア組成物の他の成分の副産物又は反応生成物として偶発的に形成される場合がある。
【0022】
「官能化変性ポリマー」は、その化学的性質を変更するために、分子内に重合された選択的官能基を有するポリマーを示す。
【0023】
「グリセロール」は、トリヒドロキシルアルコールを意味する。
【0024】
「不均一」は、非均一的な成分又は異なる構成成分から構成されることを意味する。
【0025】
「高内相エマルジョン」は、単分散相の充填制限に近い内相体積分率が0.74を超えるエマルジョンを示す。
【0026】
「高剪断混合」は、レイノルズ数約10,000以上を有する乱流混合形態を示す。
【0027】
「均一」は、均一成分又は類似構成成分から構成されることを意味する。
【0028】
「色素沈着過剰」は、色素沈着が、隣接する皮膚の区域の色素沈着よりも大きい、皮膚の区域を指す(例えば、色素しみ、加齢しみなど)。
【0029】
「皮膚の状態を改善する」又は「改善している皮膚の状態」とは、皮膚の外観及び触感に対して、視覚的に及び/又は触知的に知覚可能な好ましい変化又は恩恵をもたらすことを意味する。もたらされ得る恩恵としては、しわ及び粗く深い線、細かい線、割れ目、瘤、及び大きい毛穴の外観を減少させること;ケラチン組織を肥厚させること(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層及び必要に応じて爪及び毛幹のケラチン層を構築して皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減すること);真皮−表皮の境界の回旋(convolution)(乳頭間隆起としても既知)を増加させること;皮膚の美白;皮膚又は毛髪弾性の低下を防止すること、例えば、機能的皮膚エラスチンの減少、損傷、及び/又は不活性化により生じる弾力線維症、弛み、皮膚又は毛髪の変形からの反跳の低下などといった状態をもたらす損失を防止すること、セルライトを減少させること;皮膚、毛髪、又は爪の着色、例えば目の下のクマ、斑点(例えば、酒さに起因するむらのある赤色着色)、黄ばみ、色素沈着過剰により引き起こされる変色等を変化させること、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0030】
「内相」とは、エマルジョンの分散成分を指す。
【0031】
「ケラチン組織」とは、皮膚、毛髪、爪、角皮等を含むがこれらに限定されない、哺乳類の最も外側の保護層として配置されるケラチン含有層を指す。
【0032】
「低剪断混合」は、レイノルズ数約2000以下を有する層流混合形態を指す。
【0033】
「マイクロ」は、少なくとも1つの約0.001マイクロメートル〜100マイクロメートルの長さ寸法を有することを意味する。
【0034】
「ピッケリングエマルジョン」は、2種の不混和性液体の界面にて吸収される固体粒子によって二相が安定化されるエマルジョンを指す。
【0035】
「極性溶媒」は、電気双極子モーメント又は多重極モーメントを有する分子を指し、電気双極子モーメント又は多重極モーメントの強度は、原子と分子構造との間の電気陰性度の差に依存する。
【0036】
「塩」としては、所与の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、マンガン塩、銅塩、及び/又はマグネシウム塩が挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
「皮膚の老化徴候」としては、ケラチン性組織の老化により生じる、外面に視認及び触知され得る兆候、並びにあらゆるマクロ的又はミクロ的な印象が挙げられるが、これらに限定されない。これらの兆候は、しわ及び深いしわ、小じわ、縦じわ、陥没、隆起、大きな毛穴、キメの粗さ又は肌荒れなど、質感のなめらかさが失われていくこと;肌の弾力が減少すること;変色(目の下のクマなど);しみ;皮膚の黄ばみ;加齢斑及びそばかすなどの皮膚領域の色素過剰化;角化症;異常な分化;過剰な角質化;弾力線維症;コラーゲンの分解、並びに角質層、真皮、表皮、血管系及び皮膚下の(特に皮膚に近接する)組織(例えば、脂肪及び/又は筋肉)におけるその他の組織構造の変化(例えば、末梢血管拡張又はクモ状血管)、などの進行が挙げられるがこれらに限定されないプロセスにより表れる場合がある。
【0038】
「シリコーン」は、シリコーン油を指す。
【0039】
「スキンケア用活性剤」は、肌に塗布したときに、利益を提供するか、又は皮膚の状態を改善する物質を意味する。スキンケア用活性剤は、肌への塗布に対してのみでなく、毛髪、爪、及びその他の哺乳類ケラチン性組織に対してもまた有用であると理解すべきである。
【0040】
「安定化する」とは、コロイド構造を40℃及び0.1MPa(1atm)に30日間さらしたときに、個々の成分分離相に分離しないコロイド構造を作製又は調製することを意味する。
【0041】
「安定」とは、コロイド構造を40℃及び0.1MPa(1atm)に30日間さらしたときに、個々の成分分離相に分離しないコロイド構造を意味する。
【0042】
「実質的に含まない」は、物質の量が、組成物の1重量%、0.5重量%、0.25重量%、0.1重量%、0.05重量%、0.01重量%又は0.001重量%未満であることを意味する。
【0043】
「界面活性剤」は、2つの化学的界面間の界面張力を低下させることができる表面活性成分を指す。界面活性剤は、二相間の界面張力を低下させることによって、2つの不混和性液相の乳化剤として作用し得る。界面活性剤は、その化学構造により、両親媒性を有し得る。
【0044】
驚くべきことに、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、従来の方法によって製造されたエマルジョンと比較して、活性成分の送達に関し一貫したエンドユーザー体験及び同様の効能を送達し得ることが発見された。さらに、マイクロスケールの不均一系エマルジョンの製造方法を用いて、製品差別化ポイントを延長させ、製品の種類を拡充し、製造有効性を向上させることができる。また、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを使用して、消費者にカスタマイズ可能な安定した化粧品組成物を提供することもできる。
【0045】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンの使用により、消費者製品の製造にあたって、従来のバッチ式プロセスを上回るいくつかの利点を提供し得ることが明かになっている。例えば、従来のバッチ式プロセスと比較したときに、マイクロスケールの不均一系エマルジョンの使用により、総バッチ産生量の約500%〜約600%の増加、消費者製品の製造にあたって、約80%のバッチサイクル時間の短縮、消費者製品製造中に必要な洗浄量及び衛生化の約80%低減、必要な秤量(成分)の約68%の減少がもたらされ得ることがわかった。
【0046】
本明細書に記載のマイクロスケールの不均一系エマルジョンは、バッチ式プロセス又は他の乳化技術、例えば従来の方法などによって作製されるものなど、いくつかの点で従来のエマルジョンと異なっていてもよい。図1に示すように、一部の従来のエマルジョンは、水相とシリコーン相との乳化によって作製され、最終製品を形成する。図2に示すように、図1の方法により、典型的には、サイズが異なる場合のある液滴を構成する一定の内相が存在する均一エマルジョン20が得られる。図2を参照すると、液滴10、12及び14は、サイズが異なる場合があるものの、通常、化学組成に差はない。
【0047】
対照的に、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、様々な方法によって製造され得る。そのうちの1つを図3に示す。図3によると、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを含む最終生成物は、保存料及び電解質を含有している水相とシリコーン及び界面活性剤を含有しているシリコーン相との乳化によって調製され得るベースエマルジョン、マスバランス成分を含み得る少なくとも1つの分散液と、極性溶媒と1種以上の機能性材料とを含む極性相と、シリコーン、界面活性剤及び1種以上の機能性成分を含有するシリコーン相との乳化によって調製され得る少なくとも1種の機能性エマルジョン、を混合することによって作製され得る。
【0048】
図4に示すように、図3の方法により、マイクロスケールの不均一系エマルジョン70を得ることができる。図4を参照すると、液滴30、液滴40、液滴50及び液滴60は、それぞれ、互いに異なる化学組成を有する液滴を示す。これらの異なる液滴は、連続相において2種以上の固有の内相のある微細構造を形成し得る。したがって、図5に示すように、マイクロスケールの不均一系エマルジョン80は、いくつかの内相を含み得る。図5を参照すると、複数個の液滴90は、1種の固有の内相を示し、複数個の液滴100は、第2の固有の内相を示し、複数個の液滴110は、第3の固有の内相を示し、複数個の液滴120は、第4の固有の内相を示し、外相と共に、マイクロスケールの不均一系エマルジョン80を構成する。このため、従来のエマルジョンとは対照的に、マイクロスケールの不均一系エマルジョンの内相液滴組成物は、所望の最終製品に応じて、意図的に及び体系的に異なってもよい。
【0049】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンが2種以上の内相を含み得ることを図示するために、ベースエマルジョンを2種の異なる機能性エマルジョンと混合することによって、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを製造した。第1の機能性エマルジョンには、極性相中にフルオレセイン染料を含有させ、第2の機能性エマルジョンには、極性相中にナイルレッド染料を含有させた。図6及び図7から観察することができるとおり、ベースエマルジョン及び機能性エマルジョンを混合後、2つの異なる染料は、同じ液滴に共局在するようには見えない。実際に、赤い液滴及び緑の液滴は、連続相全体では、異なって見える。これらのデータから、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、少なくとも2種の内相を含み得ることが示唆される。
【0050】
また、マイクロスケールの不均一系エマルジョンがスキンケア活性剤を送達する能力について評価した。比較として、バッチ式プロセスによって製造された従来のエマルジョンを本試験に包含させた。実施例2では、6時間にわたり、一連のin vitro皮膚透過試験を行い、マイクロスケールの不均一系エマルジョン及びバッチ式プロセス(すなわち、バッチ式エマルジョン)によって製造されたエマルジョンからの、放射性標識したナイアシンアミドの浸透を評価した。エマルジョンは、ヒト死体の分層皮膚に局所的に塗布した。フランツ型拡散セルシステムを用いて、放射性標識したナイアシンアミドが死体の皮膚を透過する量を測定した。
【0051】
図8には、実施例2のエマルジョン塗布後の表皮、真皮及びフランツ型セルレセプターから回収されたナイアシンアミドの各薬剤回収率及び総薬剤回収率をプロットしている。皮膚の表皮層又は真皮層のいずれかへのナイアシンアミドの透過について評価したところ、いずれかのマイクロスケールの不均一系エマルジョンとバッチ式エマルジョンとの間に有意な差は観察されなかった。さらに、フランツ型セルレセプターへのナイアシンアミドの浸透又は回収されたナイアシンアミドの総量について評価したところ、マイクロスケールの不均一系エマルジョンとバッチ式エマルジョンとの間に有意な差は観察されなかった。このデータから、特定の従来のエマルジョンと比較して、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、同様の有効性で皮膚ケア活性剤を送達し得ることが示唆される。
【0052】
また、消費者受容性についても、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを評価した。数名の官能試験員に、従来のバッチ式プロセスによって作製されたエマルジョンから作製されたファンデーション(「従来のファンデーション」と表記)、及びマイクロスケールの不均一系エマルジョンから作製されたファンデーション(「本発明のファンデーション」と表記)を提供した。各試験員には、それぞれのファンデーションを通常どおりに5日間使用するように指導した。官能試験員の半数には、従来のファンデーションを5日間使用した後、本発明のファンデーションを5日間使用するよう指導した。官能試験員の残りの半数には、本発明のファンデーションを5日間使用した後、従来のファンデーションに切替え5日間使用するよう指導した。官能試験員には、どちらのファンデーションが新製品(すなわち、マイクロスケールの不均一系エマルジョンから製造)であるのか、又は従来のものであるのかは知らせなかった。官能試験員には、試験期間中、第5日目及び第10日目にアンケートの記入を求めた。アンケートでは、どの程度の粘稠性が提供されたか、塗布容易性、シェード受容性(shade acceptance)、及び皮膚保湿能などの測定基準をもとに、2種の異なるファンデーションを格付けするように官能試験員に指示した。これらの測定基準では、官能試験員の返答に有意差はなく、ある程度の消費者が、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを含む化粧品組成物を受容可能なものとしてみなし得ること、又は従来のエマルジョンを含む化粧品組成物と同等であるとみなし得ることが示唆された。
【0053】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、2種又はそれ以上の予備エマルジョンを、当該技術分野において周知の低剪断混合又は高剪断混合のいずれかにより混合することによって調製され得る。予備エマルジョンは、当該技術分野において周知の任意の方法による高剪断又は低剪断によって調製され得る。ベースエマルジョン、構造性エマルジョン及び機能性エマルジョンは、予備エマルジョンの非限定例であり得る。使用する予備エマルジョンがベースエマルジョンであるかに関わらず、構造性エマルジョン、機能性エマルジョン又はいくつかの他の形態のエマルジョンは、マイクロスケールの不均一系エマルジョン中にエマルジョンを含ませるのに所望される機能又は原理に基づくものである。いくつかの例では、ベースエマルジョンは、活性剤及び構造化剤を含まないエマルジョン又は活性剤及び構造化剤を実質的に含まないエマルジョンを表し得る。いくつかの例では、構造性エマルジョンは、1種以上の構造化剤を含んでもよい。いくつかの例では、機能性エマルジョンは、1種以上の機能性成分を含んでもよい。機能性成分は、活性剤によってもたらされるものなどの、本質的に非構造性の機能をもたらすために含ませる成分である。いくつかの例では、微生物の増殖を制限し、長期保存を可能にするために、水を含まない又は実質的に水を含まない少なくとも1つの予備エマルジョンを調製することが所望され得る。また、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを調製するとき、1種以上の分散液を1種以上の予備エマルジョンと混合してもよい。いくつかの例では、低剪断混合によって少なくとも2種の予備エマルジョンを混合することが所望され得る。いくつかの例では、低剪断混合によって少なくとも1種の分散液を予備エマルジョンと混合することが所望され得る。いくつかの例では、溶液は、1つ以上の予備エマルジョンと混合することができる。いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、少なくとも1種の高内相エマルジョンを含み得る。予備エマルジョンの非限定実施例としては、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン及びシリコーン中水型エマルジョンが挙げられる。例えば、水中油型エマルジョンは、連続水性媒質に懸濁されている油滴を含む。
【0054】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンを設計するとき、外相溶媒は、最終外相への溶解を防止する熱力学的エネルギードライバーが顕著に存在しないように、最終的な相対比にて互いに混和性/可溶性であるものとするべきである。理論によって制限されるものではないが、液滴合一により、マイクロスケールの不均一系エマルジョンにおいて不安定性が促進し得ることが観察されている。したがって、液滴合一は、最小限に抑えるべきである。これは、予備エマルジョン中の不安定化成分量を低減又は消失させることによって達成することができる。不安定化成分は、概して、多相系の界面を分割し得る成分クラスである。不安定化成分の非限定例としては、ベンジルアルコール、エチルアルコール、及びフェノキシアルコールが挙げられる。したがって、いくつかの実施例では、予備エマルジョンは、ベンジルアルコール、エチルアルコール、フェノキシアルコール及びこれらの組み合わせを含まなくてもよい。
【0055】
いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、3種以上の内相及び外相を含み得る。いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、3種の内相及び外相を含み得る。いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは4種の内相及び外相を含み得る。他の例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、5種の内相及び外相を含み得る。いくつかの例では、1種以上の内相は、マイクロスケールの不均一系エマルジョンの外相内で、それぞれ、安定化される。いくつかの例では、少なくとも1種の内相は構造相であり、この内相は少なくとも1つの構造剤を含む。いくつかの例では、なくとも1の内相は機能相であり、この内相は少なくとも1つの機能成分を含む。
【0056】
マイクロスケールの不均一系エマルジョン中の内相の液滴平均径は、例えば、0.5マイクロメートル〜3マイクロメートル、0.5マイクロメートル〜5マイクロメートル、0.5マイクロメートル〜10マイクロメートル又は0.5マイクロメートル〜100マイクロメートルの範囲であり得る。特定の例では、液滴平均径は、0.5マイクロメートル未満であってよい。マイクロスケールの不均一系エマルジョンの液滴平均径は、1種以上の予備エマルジョンを任意の1種以上の分散液と混合するために使用される方法に応じて変化し得る。
【0057】
いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、1種以上の内相を外相内で安定化させるための1種以上の安定化剤を含み得る。外相内で内相を安定化させるために必要な安定化剤の安定化量は多様であり得る。安定化剤は、マイクロスケールの不均一系エマルジョンの内相及び/又は外相中に存在させることができる。安定化剤の非限定実施例としては、界面活性剤及び官能化変性ポリマーが挙げられる。安定化剤として使用可能な界面活性剤の非限定例としては、シリコーン界面活性剤、非イオン性界面活性剤のほか、カチオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤などのイオン性界面活性剤及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
好適な安定化剤としては、以下の部類のエーテル及びエステルが挙げられる:ポリグリコールと脂肪族アルコールのエーテル、ポリグリコールと脂肪酸のエステル、ポリグリコールと脂肪族アルコールのグリコシル化エーテル、ポリグリコールと脂肪酸のグリコシル化エステル、C12〜30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、C12〜30脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールのエステル、オキシアルキレン修飾C12〜30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、含むC12〜30脂肪族アルコールとショ糖又はグルコースのエーテル、ショ糖とC12〜30脂肪酸のエステル、ペンタエリスリトールとC12〜30脂肪酸のエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとC12〜30脂肪酸のエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとアルコキシ化ソルビタンのエーテル、ポリグリコールとコレステロールのエーテル、C12〜30脂肪酸とソルビトール及び/又はソルビタンのアルコキシ化エーテルのエステル、並びにこれらの組み合わせ。
【0059】
直鎖又は分枝鎖型シリコーン乳化剤もまた、安定化剤として使用することができる。特に有用なポリエーテル修飾シリコーンとしては、信越シリコーンのKF−6011、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6015、KF−6017、KF−6043、KF−6028、及びKF−6038が挙げられる。また、特に有用なものは、信越シリコーンのKF−6100、KF−6104、及びKF−6105を含むポリグリセロール化直鎖又は分枝鎖シロキサン乳化剤である。
【0060】
また、安定化剤としては、乳化性シリコーンエラストマーも挙げられる。好適な乳化性シリコーンエラストマーとしては、少なくとも1つのポリアルキルエーテル又はポリグリセロール化単位を挙げることができる。使用することができるポリオキシアルキレン化(Polyoxyalylenated)乳化性シリコーンエラストマーとしては、KSG−21、KSG−20、KSG−30、KSG−31、KSG−32、KSG−33;KSG−210(ジメチコン中に分散したジメチコン/PEG−10/15クロスポリマー);KSG−310(PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー);KSG−320(イソドデカン中に分散したPEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー);KSG−330(トリエチルヘキサノイン中に分散したPEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー)、KSG−340(PEG−10ラウリルジメチコンクロスポリマー及びPEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー)の名前で信越シリコーンから販売されているものが挙げられる。PEG−12ジメチコンクロスポリマー(DC 9010及び9011)を含む他のシリコーン製乳化エラストマーが、Dow Corning(商標)によって供給されている。Dow Corningによって販売されている他の好適なシリコーン乳化剤としては、DC9010及びDC9011が挙げられる。国際公開第2004/024798号には、ポリグリセロール化乳化性シリコーンエラストマーが開示される。このようなエラストマーとしては、信越シリコーンのKSGシリーズ、例えば、KSG−710(ジメチコンに分散したジメチコン/ポリグリセリン−3クロスポリマー)が挙げられ、あるいは、信越シリコーンからKSG−810、KSG−820、KSG−830、又はKSG−840として入手可能な、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノイン等の各種溶媒に分散したラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3クロスポリマーが挙げられる。
【0061】
更なる安定化剤の非限定例は、米国特許第3,755,560号、米国特許第4,421,769号、及びM.C.Publishing Co.から発行されているMcCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,2010 Annual Ed.に開示されている。他の好適な安定化剤はさらに、Personal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Edition,2006の「Surfactants−Emulsifying Agents」の機能分類下に記載されている。
【0062】
特定の実施例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、ピッケリングエマルジョンであってもよい。マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、ピッケリングエマルジョンであってよく、外相及び/又は内相中に少なくとも1種の官能化変性ポリマーを含み得る。官能化変性ポリマーの非限定例としては、アルキル変性シリコーンポリマー、シリコーンポリエーテルのほか、シリコーン第四級ジアルキル、シリコーン第四級脂肪族アミド及びシリコーンポリエーテル第四級脂肪族などのシリコーン第四級化合物並びにシリコーンアミンが挙げられる。官能化変性ポリマーのいくつかの非限定例は、Siltech Corporation(Ontario,Canada)より入手可能であり、商標名Silsurf A004、Silfsurf A008、Siltech OP−12、Silquat 3180、Silquat D2、Silamine A0 EDA、Silamine T−SA及びSilamine DG−50で販売されている。
【0063】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンの外相及び内相は、1種以上の溶媒を含み得る。溶媒の非限定例としては、水溶性極性溶媒(例えば、水)及び非水溶性極性溶媒が挙げられる。極性溶媒の非限定例としては、グリコール系極性溶媒及びグリセリン系極性溶媒が挙げられる。非水溶性極性溶媒のクラスの非限定例としては、モノヒドロキシアルコール、ジオール、トリオール、グリセロールエステル及びポリグリコールが挙げられる。非水溶性極性溶媒の特異的な非限定例としては、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリセリルトリプロピオネート、グリセリルトリブチレート、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンの外相及び内相には、1種以上の防腐剤を含ませることもできる。防腐剤の非限定例としては、パラ−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルが挙げられる。他の有用な防腐剤としては、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントインなどのヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩及び例えばベンザルコニウムクロリド、quaternium 15(Dowicil 200)、ベンゼトニウムクロリド及びメチルベンゼトニウムクロリドなどの種々の第四級アンモニウム化合物が挙げられる。好適な防腐剤の他の例としては、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、メチルパラべン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素(Germall 1157として入手可能)、ナトリウムデヒドロアセテート及びベンジルアルコールが挙げられる。防腐剤は、組成物の使用、及び、エマルジョンにおいて防腐剤と他の成分との間に生じ得る不適合性を考慮して選択されるものとする。
【0065】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンの外相及び内相は、1種以上の着色剤を含み得る。いくつかの例では、1種以上の分散液中に1種以上の着色剤を含ませ、1種以上の予備エマルジョンと混合して、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを形成してもよい。いくつかの例では、1種以上の予備エマルジョン中に1種以上の着色剤を含ませて、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを形成してもよい。着色剤は顔料の形態であってもよい。本明細書で使用するとき、用語「顔料」は、感知され得るほどの発光をもたらすことなく、ある波長の光を反射し、他の波長の光を吸収する固体を意味する。有用な顔料としては、不活性ミネラル(複数可)(例えば、タルク、炭酸カルシウム、クレイ)にまで及ぶ顔料、又はシリコーン若しくは他の顔料コーティング(例えば、顔料粒子の再凝集を予防するためのもの又は極性(疎水性)変化を予防するためのもの)で処理された顔料が挙げられるがこれらに限定されない。顔料は、不透明さ及び色を付与するために用いることができる。一般に安全と認識される任意の顔料(参照によって、本明細書に援用される、C.T.F.A.cosmetic Ingredient Handbook,3rd Ed.,cosmetic and Fragrance Association,Inc.,Washington,D.C.(1982)に列挙されているものなど)は、本明細書に記載のマイクロスケールの不均一系エマルジョン中に使用され得る。有用な顔料は、体質顔料、無機白色顔料、無機有色顔料、及びパール剤等であってもよい。具体例としては、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ウルトラマリン、ポリエチレンパウダー、メタクリルレートパウダー、ポリスチレンパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、デンプン、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩化ビスマスなどが挙げられる。上述の顔料は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0066】
更なる顔料の例としては、ガム、チョーク、フラー土、カオリン、絹雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、リシア雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、ケイ酸アルミニウム、デンプン、スメクタイトクレイ、アルキル及び/又はトリアルキル・アリール・アンモニウム・スメクタイト、化学修飾アルミニウムマグネシウムシリケート、有機修飾モンモリロナイトクレイ、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドアルミニウムスターチオクテニルスクシナートバリウムシリケート、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ストロンチウムシリケート、金属タングステン酸塩、マグネシウム、シリカアルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼石膏)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミック粉末、金属石鹸(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、亜鉛ミリスチン酸塩、カルシウムパルミチン酸塩及びアルミニウム・ステアリン酸塩)、コロイド状二酸化ケイ素(silicone dioxide)及び窒化ホウ素などの無機粉末;ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、シクロデキストリン、メチルポリメタクリレート粉末、スチレン及びアクリル酸コポリマー粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ(四フッ化エチレン)粉末、及びカルボキシビニルポリマー、セルロース粉末(例えば、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム)、エチレングリコールモノステアレートなどの有機粉末;酸化マグネシウムなどの無機白色顔料が挙げられるがこれらに限定されない。他の有用な顔料は、1997年11月18日発行の米国特許第5,688,831号(El−Nokaly et al.,)に開示されている。また、本明細書で有用な顔料は、BASFのナノ着色剤などの顔料及びBASFのSicopearlsなどの多層干渉顔料である。顔料は、追加の色安定性及び/又は処方の容易さを備えるように表面処理されてもよい。さらに、シリコーンと相容性のある材料で顔料を処理するのに有用であり得る。特に有用な処理としては、米国特許第5,143,722号に開示されるもののようなポリシロキサン処理が挙げられる。顔料は、約5nm〜約100,000nm、又は約50nm〜約5,000nm、又は約100nm〜約1000nmの範囲の一次平均粒径を有してもよい。
【0067】
他の有用な着色剤としては、アルミニウム、バリウム又はカルシウム塩又はレーキが挙げられる。着色剤のいくつかの他の例としては、赤色3号アルミニウムレーキ、赤色21号アルミニウムレーキ、赤色27号アルミニウムレーキ、赤色28号アルミニウムレーキ、赤色33号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色6号アルミニウムレーキ、黄色10号アルミニウムレーキ、橙黄色5号アルミニウムレーキと青色1号アルミニウムレーキ、赤色6号バリウムレーキ、赤色7号カルシウムレーキが挙げられる。着色料は、染料であってもよい。好適な実施例としては、赤色6号、赤色21号、ブラウン、ラセット、及びSienna染料、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンの外相及び内相は、粘度を増大させる、濃化させる、凝固させる、又はマイクロスケールの不均一系エマルジョンに固体構造若しくは結晶構造を提供するために使用され得る、1種以上の構造化剤を含み得る。いくつかの例では、予備エマルジョンは、1種以上の構造化剤を含んでもよい。構造化剤は、典型的には、溶解性、分散性、又は相適合性に基づき分類される。水性構造化剤の例としては、高分子剤、天然又は合成ゴム、多糖類等が挙げられる。多糖類及びゴムは、好適な水相濃化剤であってもよい。ポリマー構造化剤の好適なクラスとしては、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、スルホン酸化ポリマー、高分子量ポリアルキルグリコール又はポリグリセリン、これらのコポリマー、これらの疎水的に修飾された誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0069】
油性構造化剤の例としては、シリコーン及び有機系材料が挙げられる。シリコーンエラストマー、シリコーンガム、シリコーンワックス、シリコーンの粘度を増加させる程度の重合度を有する線状シリコーンなどの、シリコーン系の油性構造化剤が好適なものであり得る。シリコーン構造化剤の例としては、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、及びシリコーンワックスが挙げられるがこれらに限定されない。好適なシリコーンエラストマーは、粉末形態であってもよく、又は揮発性若しくは不揮発性シリコーン等の溶媒、又はパラフィン系炭化水素若しくはエステル等のシリコーン相容性媒質中に分散又は可溶化されてもよい。シリコーンエラストマー粉末の例としては、信越シリコーンから入手可能な、KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105等の、ビニルジメチコーン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、信越シリコーンから入手可能な、KSP−200等の、フルオロアルキル基を含有するハイブリッド型シリコーン粉末(この粉末はフルオロ−シリコーンエラストマーである)、並びに信越シリコーンから入手可能な、KSP−300等の、フェニル基を含有するハイブリッド型シリコーン粉末(この粉末は、フェニル置換されたシリコーンエラストマーである);並びにDow Corningから入手可能な、DC9506が挙げられる。
【0070】
シリコーンエラストマー分散体の例としては、Dow Corning Corporationから商品名DC9040又はDC9041で市販のもの、Momentiveから商品名SFE 839で市販のもの、又は信越シリコーンから商品名KSG−15、16、18で市販のもの等、各種供給元から供給されるジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。KSG−15は、INCI名シクロペンタシロキサン(及び)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有する。KSG−18は、INCI名ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(及び)ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーを有する。シリコーンエラストマーは、Grant Industriesから、Gransil(商標)として購入することもできる。信越シリコーンから商品名KSG−41、KSG−42、KSG−43及びKSG−44で供給されるラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー等、長鎖アルキル置換を有するその他のシリコーンエラストマーが好適である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン又はスクアレン等の溶媒に分散している。信越シリコーンから商品名KSG−810、KSG−820、KSG−830、及びKSG−840で供給される、ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3クロスポリマー等、ポリグリセリン置換を有するその他のシリコーンエラストマーが好適である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン又はスクアレン等の溶媒に分散している。信越シリコーンから、商品名KSG−310、KSG−320、KSG−330、及びKSG−340で市販のPEG−15/ラウリルジメチコン架橋ポリマー等、ポリグリコール置換を有するその他のシリコーンエラストマーが好適である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン又はスクアレン等の溶媒に分散している。ポリグリコール置換を有する他の好適なシリコーンエラストマーとしては、信越シリコーンのKSG−210、すなわちジメチコン/PEG−10/15クロスポリマーのジメチコン溶液が挙げられる。
【0071】
シリコーンガムは、別の油性構造化剤である。シリコーンガムは、典型的には、25℃で約500,000〜100×1062/s(約500,000〜100×106cst)、約600,000〜20×1062/s、約600,000〜12×1062/s(約600,000〜20×106cst、約600,000〜12×106cst)の範囲の粘度を有する。好適なシリコーンゴムとしては、Wacker−Belsilから商品名CM 3092、Wacker−Belsil 1000、又はWacker−Belsil DM 3096で市販のものが挙げられる。商品名1−1254 Fluid、2−9023 Fluid、及び2−9026 FluidでDow Corning Corporationから入手可能なジメチコノールは、特に好適なシリコーンゴムである。ジメチコノールは、多くの場合、Dow Corning1401 Fluid、1403 Fluid及び1501 Fluidなどのように、揮発性又は不揮発性シリコーンとの混合物として市販される。
【0072】
別の種類の油性構造化剤としては、シリコーンワックスが挙げられる。シリコーンワックスは、アルキルシリコーンワックスと呼ぶこともでき、それらは、室温で半固体又は固体のものであってよい。用語「アルキルシリコーンワックス」は、シロキサンに半固体又は固体特性を付与する置換長鎖アルキル(C16〜30など)を有する、ポリジメチルシロキサンを意味する。このようなシリコーンワックスの例としては、Evonik Goldschmidt GmbHから商品名Abil Wax 9800で購入可能な、あるいはDow Corningから商品名2503で購入可能なステアリルジメチコンが挙げられる。他の例としては、ビス−ステアリルジメチコン(Gransil Industriesから商品名Gransil A−18で購入可能)、ベヘニルジメチコン又はベヘノキシジメチコンが挙げられる。
【0073】
他の好適な増粘剤としては、ポリアミド及びポリシリコーン−ポリアミドコポリマーが挙げられる。好適なポリシリコーン−ポリアミドコポリマーは、米国特許出願公開第2004/0170586号に開示されている。他の油相構造化剤は、動物性、植物性、又はミネラルワックス等、1種以上の天然又は合成ワックスであってもよい。好適なシリコーンワックスは、米国特許第5,413,781号、及び同第5,725,845号に開示されており、さらには、アルキルメチルポリシロキサン、C10〜C60アルキルジメチコン、及びこれらの混合物も包含される。他の構造化剤としては、天然又は合成モンモリロナイト鉱物、シリカ、ケイ酸塩、シリカケイ酸塩、及びアルカリ金属又はこれらのアルカリ土類金属誘導体が挙げられる。
【0074】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンの外相及び内相は、1種以上の電解質を含み得る。電解質の非限定例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム及び重炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0075】
油は、水又は水溶性溶媒に好適ではない物質を可溶化、分散、又は担持するために使用してよい。好適な油としては、シリコーン、炭化水素、エステル、アミド、エーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。油は室温で流体であってよい。油は、揮発性又は不揮発性であってよい。「不揮発性」は、材料が、25℃、0.1メガパスカス(1気圧)で、約0.03kPa(水銀約0.2mm)以下の蒸気圧を示すこと、及び/又は材料が、0.1メガパスカス(1気圧)で、少なくとも約300℃の沸点を有することを示す。「揮発性」は20℃で、少なくとも約0.03kPa(約0.2mm,水銀蒸気圧)の蒸気圧を示す材料を意味する。揮発性油は、もったりとして油っぽい皮膜が望ましくないときに、感触を軽やかにするために使用することができる。いくつかの例では、油は、予備エマルジョンの油相と関連する担体として使用することができる。
【0076】
好適な油としては揮発性油が挙げられる。ある実施形態では、揮発性油は、25℃で約0.5〜5mm2/s(0.5〜5センチストークス)の範囲の粘度を有してもよい。揮発性油は、塗布後のより急速な乾燥を促進させるために使用することができる。不揮発性油も使用に好適である。不揮発性油は、皮膚の軟化及び保護特性を目的に頻用される。
【0077】
好適なシリコーン油としては、ポリシロキサンが挙げられる。ポリシロキサンは、25℃で、約0.5〜約1,000,000mm2/s(約0.5〜約1,000,000センチストロークス)の粘度を有し得る。こうしたポリシロキサンは、一般式:
3SiO[R2SiO]xSiR3
により表すことができ、式中、Rは、独立して、水素又はC1〜30直鎖若しくは分岐鎖、飽和若しくは不飽和アルキル、フェニル若しくはアリール、トリアルキルシロキシから選択され、xは、所望の分子量を得るために選択される0〜約10,000の整数である。所定の実施形態では、Rは水素、メチル、又はエチルである。市販のポリシロキサンとしては、ジメチコンとしても既知である、ポリジメチルシロキサンが挙げられ、その例としては、Shin−Etsu製のDM−Fluidシリーズ、Momentive Performance Materials Inc.から販売されているVicasil(登録商標)シリーズ、及びDow Corning Corporationから販売されているDow Corning(登録商標)200シリーズが挙げられる。好適なポリジメチルシロキサンの具体例としては、0.65、1.5、50、100、350、10,000、12,500 100,000及び300,000mm2/s(0.65、1.5、50、100、350、10,000、12,500 100,000及び300,000センチストークス)の粘度を有するDow Corning(登録商標)200 fluids(Xiameter(登録商標)PMX−200シリコーン流体としても販売)が挙げられる。
【0078】
好適なジメチコンとしては、化学式:
3SiO[R2SiO]x[RR’SiO]ySiR3
により表されるものが挙げられ、式中、R及びR’は、それぞれ独立して、水素又はC1〜30直鎖若しくは分岐鎖飽和若しくは不飽和アルキル、アリール若しくはトリアルキルシロキシであり、x及びyは、それぞれ、所望の分子量を得るために選択される1〜1,000,000の整数である。好適なシリコーンとしては、フェニルジメチコン(Botanigenics,Inc.製のBotansil(商標)PD−151)、ジフェニルジメチコン(信越シリコーン製のKF−53及びKF−54)、フェニルトリメチコン(Dow Corning製の556コスメチック・グレードFluid)、又はトリメチルシロキシフェニルジメチコン(Wacker−Belsil製のPDM−20、PDM−200、又はPDM−1000)が挙げられる。他の例としては、少なくともR’が脂肪族アルキル(例えば、C12〜22)であるアルキルジメチコンが挙げられる。好適なアルキルジメチコンは、R’がC16直鎖であり、Rがメチルである、セチルジメチコンである。セチルジメチコンは、2502コスメチック FluidとしてDow Corningから、あるいはAbil Wax 9801又は9814としてEvonik Goldschmidt GmbHから入手可能である。
【0079】
環状シリコーンは使用され得るシリコーンオイルの一種である。特定の実施形態では、環状シリコーンは一般式:
【0080】
【化1】
を有し、式中、Rは、独立して、水素又はC1〜30直鎖若しくは分岐鎖、飽和若しくは不飽和アルキル、フェニル若しくはアリール、トリアルキルシロキシから選択され、n=3〜8であり、これらの混合物である。一般的に、シクロメチコンの混合物が使用される(nは4、5及び/又は6である)。市販の好適なシクロメチコンとしては、Dow Corning UP−1001 Ultra Pure Fluid(すなわち、n=4)、Dow Corning XIAMETER(登録商標)PMX−0245(すなわち、n=5)、Dow Corning XIAMETER(登録商標)PMX−0245(すなわち、n=6)、Dow Corning 245 Fluid(すなわち、n=4及び5)及びDow Corning 345 Fluid(すなわち、n=4、5及び6)が挙げられる。
【0081】
好適な炭化水素油としては、直鎖、分枝鎖、又は環状のアルカン及びアルケンが挙げられる。鎖長は、揮発性等の所望の機能特性に基づき選択してよい。好適な揮発性炭化水素は、5〜20個の炭素原子、あるいは、8〜16個の炭素原子を有してもよい。
【0082】
他の好適な油としては、エステルが挙げられる。好適なエステルは、典型的には、少なくとも10個の炭素原子を含有する。これらのエステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、及びジ−及びトリ−カルボン酸エステル)が挙げられる。このエステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合など)のような他の適合性のある官能基を共有結合により含んでよく、又はこのようなヒドロカルビルラジカルをこうした官能基へ共有結合させてもよい。エステルの例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル、C12〜15安息香酸アルキル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル及びアジピン酸オレイルが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なエステルは、さらにPersonal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Edition,2010の「エステル」の機能カテゴリに記載されている。化粧料組成物中への使用に好適な他のエステルとしては、多価アルコールエステル及びグリセリドとして既知のものが挙げられる。
【0083】
他の好適な油としては、アミドが挙げられる。アミドとしては、25℃で液体であり、水に不溶性である、アミド官能基を有する化合物が挙げられる。好適なアミドとしては、N−アセチル−N−ブチルアミノプロピオネート、イソプロピルN−ラウロイルサルコシナート、及びN,N,−ジエチルトルアミドが挙げられる。他の好適なアミドは、米国特許第6,872,401号に開示される。
【0084】
他の好適な油としては、エーテルが挙げられる。好適なエーテルとしては、多価アルコールの飽和及び不飽和脂肪族エーテル、並びにこれらのアルコキシル化誘導体が挙げられる。例示的なエーテルとしては、ポリプロピレングリコールのC4〜20アルキルエーテル、及びジ−C8〜30アルキルエーテルが挙げられる。これらの物質の好適な例としては、PPG−14ブチルエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0085】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、安全かつ効果的な量で1種以上の活性剤を含み得る。予備エマルジョンは、異なる活性剤を含むように設計することができ、マイクロスケールの不均一系エマルジョンのデザインにおいて、柔軟性が得られる。活性剤の非限定例としては、生物学的活性剤、化学的活性剤、栄養学的活性剤及び医薬学的活性剤が挙げられる。生物学的活性剤の非限定例としては、プロスタグランジン、抗微生物剤、抗菌剤、殺生物剤、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、ホルモン、成長因子、酵素(例えば、グルタチオンスルフヒドリルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ)、治療薬、オリゴヌクレオチド、遺伝物質(例えば、DNA、RNA)、及びこれらの組み合わせを挙げられる。化学的活性剤の非限定例としては、染料、界面活性剤、感覚剤、ヘアコンディショナー、染毛剤、育毛剤、脱毛剤、育毛阻害剤、ヘアスタイリングジェル、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。栄養学的活性剤の非限定例としては、タンパク質、ビタミン、食品添加物、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。医薬学的活性剤の非限定例としては、抗生物質、薬物、育毛剤、脱毛剤、育毛阻害剤、低分子阻害剤及びこれらの組み合わせを挙げることができる。他の有用な活性剤は、陽イオン堆積ポリマー、消臭活性成分、防フケ剤、被膜形成剤、UV活性剤、酸化防止剤、防虫剤、発汗抑制活性剤、密閉剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、スキンケア活性剤、ジヒドロキシアセトンなどのなめし剤、ヒドロコルチゾンなど抗炎症活性剤、ベンゾイルペルオキシドなどの抗ニキビ活性剤、キサンチン化合物などの抗脂肪沈着剤(例えばカフェイン)、及びリドカインのような局所麻酔薬、などが挙げられる。
【0086】
本明細書において、任意の既知の天然又は合成カチオン性堆積ポリマーを使用できる。例として、米国特許第6,649,155号;米国特許出願公開第12/103,902号;米国特許出願公開第2008/0206355号;及び米国特許出願公開第2006/0099167(A1)号に開示されているポリマーが挙げられる。好適なカチオン性ポリマーの非限定的例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン又はビニルピロリドンのような、水溶性スペーサーモノマーと、カチオン性プロトン化アミン又は第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0087】
抗ふけ剤の非限定的な例としては、ピリジンチオン塩、アゾール、硫化セレン、微粒子イオウ、角質溶解性酸、サリチル酸、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、コールタール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0088】
ペプチドは、10個以下のアミノ酸を含有し得るものであり、アミノ酸としては、その誘導体、異性体、並びにアミノ酸と金属イオン(例えば、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム等)等の他の種との錯体が挙げられる。「ペプチド」とは、天然に生じるペプチド及び合成ペプチドの両方を指す。
【0089】
ビタミンの例としては、ビタミンB、ビタミンB誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ビタミンK、ビタミンK誘導体、ビタミンD、ビタミンD誘導体、ビタミンE、ビタミンE誘導体、例えば、パンテノール、及びこれらの混合物などのこれらのプロビタミン、の水溶性バージョンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
皮膚ケア活性剤の非限定例としては、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン(すなわち、ウンデシレノイルフェニルアラニン)、ビタミンB化合物、レチノイド、アロエベラ、ビサボロール及びアラントインが挙げられる。N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、SEPPICから、Sepiwhite(登録商標)という名称で販売されている。N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、N−アシルフェニルアラニン誘導体の幅広いクラスに属する材料であり、局所的肌色均一化剤(topical skin tone evening agent)としても周知である。本明細書で使用するとき、ビタミンB化合物としては、B1化合物、B2化合物、ナイアシンアミドなどのB3化合物、パンテノール(「プロ−B5」)、パントテン酸、パントテニルなどのB5化合物、ピロキシジン(pyroxidine)、ピリドキサル、ピリドキサミン、カルニチン、チアミン及びリボフラビンなどのB6化合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、ビタミンB化合物は、以下の式
【0091】
【化2】
(式中、Rは、−CONH2(すなわち、ナイアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)又は−CH2OH(すなわち、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;及び前述のいずれかの塩である)を有するB3化合物を意味する。本明細書で使用するとき、「レチノイド」は、皮膚においてビタミンAの生物学的活性を有するビタミンA又はレチノール様化合物の天然及び合成アナログ、並びにこれら化合物の幾何異性体及び立体異性体を意味する。レチノイドは、レチノール、レチノールエステル(例えば、レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネートを含むレチノールのC2〜C22アルキルエステル)、レチナール、及び/若しくはレチノイン酸(全てトランスのレチノイン酸及び/又は13−シス−レチノイン酸を含む)、又はこれらの混合物から選択され得る。
【0092】
本明細書で使用するとき、「紫外線活性剤」とは、日焼け止め剤及び物理的日焼け防止剤の両方を含む。好適な紫外線活性剤は、有機又は無機であってよい。好適な紫外線活性剤は、Personal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第13版、2010年の中の「日焼け止め剤」の機能カテゴリに列挙されている。好適な紫外線活性剤としては、米国(例えば、21 CFR part 352、米国官報68 41386、米国官報70 72449又は米国官報71 42405)、欧州(欧州議会規則第1223/2009号;Annex VI)、日本、中国、オーストラリア、ニュージーランド又はカナダにおける規制当局により定義又は提案されている紫外線活性剤を含んでもよい。例えば、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、化粧品組成物の約0.01重量%〜約20重量%の紫外線活性剤を含んでもよい。また、マイクロスケールの不均一系エマルジョンには、少なくとも約15、30 45、又は50の太陽光線保護指数を得るのに十分な量の紫外線活性剤を含有させてよい。SPF試験は、当該技術分野で一般的であり、かつ十分に理解されている。21 C.F.R.352のサブパートDに記載のSPF試験が好適である。
【0093】
好適な紫外線活性剤としては、ジベンゾイルメタン誘導体、例えば、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(すなわち、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン)(PARSOL(登録商標)1789としてDSMから市販)、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及び2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。他の好適な紫外線活性剤としては、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(PARSOL(登録商標)MCXとしてDSM社より市販)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン(benzonphenone)−3(すなわち、オキシベンゾン(oxybeznone))、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシ−プロピル))アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−サリチラート、グリセリル−p−アミノ安息香酸、3,3,5−トリ−メチルシクロヘキシルサリチル酸エステル、アントラニル酸メチル、p−ジメチル−アミノ安息香酸又はアミノ安息香酸、2−エチルヘキシル−p−ジメチル−アミノ−ベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホンベンゾオキサゾイン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、二酸化チタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0094】
特に好適な紫外線活性剤は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾ−フェノン、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、二酸化チタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0095】
他の好適な紫外線活性剤としては、4−メチルベンジリデンカンファー(PARSOL(登録商標)5000としてDSM社より又はEusolex 6300としてMerck社より市販)、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(すなわち、ビスオクトリゾール(bisoctrizole)、Tinosorb(登録商標)MとしてBASF社より市販)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン(すなわち、ベモトリジノール(bemotrizinol)、Tinosorb(登録商標)SとしてBASF社より市販)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸ジナトリウム(すなわち、ビスジスリゾール二ナトリウム(Bisdisulizole disodium)、Neo Heliopan(登録商標)APとしてSymrise社より市販)、エチルヘキシルトリアゾン(Ethylhexyl triazone)(Uvinul(登録商標)T 150としてBASF社より市販)、ドロメトリゾール−トリシロキサン(Drometrizole trisiloxane)(Mexoryl XLとしてL’Orealより販売)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム(すなわち、ベンゾフェノン−9、Uvinul(登録商標)DS 49としてBASF社より市販)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Diethylamino Hydroxybenzoyl Hexyl Benzoate)(Uvinul(登録商標)A PlusとしてBASF社より市販)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(すなわち、イスコトリジノール(Iscotrizinol)、Uvasorb(登録商標)HEBとして3V Sigma社より市販)、ポリシリコーン−15(すなわち、DSM社より市販のPARSOL(登録商標)SLX)、及びイソアミルp−メトキシシンナメート(すなわち、アミロキサート(amiloxate)、Neo Heliopan(登録商標)E 1000としてSymrise社より市販)が挙げられる。
【0096】
制汗活性剤の非限定例としては、アルミニウムハロゲン化物、アルミニウムヒドロキシ−ハロゲン化物、ジルコニルオキシハロゲン化物、ジルコニルヒドロキシハロゲン化物などのアルミニウム/ジルコニウム収れん性錯体及びアルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスグリシンなどのZAG錯体が挙げられる。
【0097】
密閉剤(occlusive agent)の非限定例としては、ペトロラタム、鉱油、ラノリン、パラフィン、みつろう及びカカオ脂が挙げられる。湿潤剤の非限定例としては、尿素、グリセリン、ソルビトール、ハチミツ及びヒアルロン酸が挙げられる。皮膚軟化剤の非限定例としては、オクチルドデカノール、オレイルアルコール及びミリスチン酸ミリスチルが挙げられる。活性剤の他の例としては、グアニジン;尿素;グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);サリチル酸;乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び第四級アルキルアンモニウム);多様な形態のうちの任意のアロエベラ(例えば、アロエベラゲル);ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びヘキシレングリコール等のポリヒドロキシアルコール;ポリエチレングリコール;糖類(例えば、メリビオース)及びデンプン;糖類及びデンプン誘導体(例えば、アルコキシ化グルコース、フルクトース);ヒアルロン酸;ラクタミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;パンテノール;アラントイン;並びにこれらの混合物が挙げられる。さらに本明細書において有用なものは、米国特許第4,976,953号に記載されているプロポキシル化グリセロールである。さらに有用なものは、糖類及び関連物質の様々なC1〜C30モノエステル及びポリエステルである。これらエステルは、糖又はポリオール部分及び1つ以上のカルボン酸部分に由来する。
【0098】
活性剤の他の非限定例としては、カラフトコンブ抽出物、ベンガルボダイジュ抽出物などの抽出物、糖アミン、フィトステロール、サリチル酸化合物、ヘキサミジン、ジアルカノイルヒドロキシプロリン化合物、植物成分、N−アシルアミノ酸化合物、これらの誘導体及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用するのに好適な例示的な糖アミンは、国際公開第02/076423号及び米国特許第6,159,485号に記載されている。糖アミンは、合成又は天然由来であってよく、純粋な化合物又は化合物の混合物(例えば、天然の供給源からの抽出物又は合成物質の混合物)として用いることができる。糖アミンの特に好適な例は、特定の甲殻類でみることのできる又は真菌源に由来し得るグルコサミン及びその塩である。糖アミンの他の例としては、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、これらの異性体(例えば、立体異性体)、及びこれらの塩(例えば、HCl塩)が挙げられる。フラボノイドは、米国特許第5,686,082号及び同第5,686,367号に幅広く開示されている。いくつかのフラボノイドの例は、1つ以上のフラボン、1つ以上のイソフラボン、1つ以上のクマリン、1つ以上のクロモン、1つ以上のジクマロール、1つ以上のクロマノン、1つ以上のクロマノール、これらの異性体(例えば、シス/トランス異性体)、及びこれらの混合物である。いくつかの例としては、フラボン及びイソフラボン、例えば、ダイゼイン(7,4’−ジヒドロキシイソフラボン)、ゲニステイン(5,7,4’−トリヒドロキシイソフラボン)、エクオール(7,4’−ジヒドロキシイソフラバン)、5,7−ジヒドロキシ−4’−メトキシイソフラボン、ダイズイソフラボン(ダイズから抽出される混合物)、並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書において有用なフラボノイド化合物は、多数の販売元、例えば、Indofine Chemical Company,Inc.、Steraloids,Inc.、及びAldrich Chemical Company,Inc.から市販されている。
【0099】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、フリルジオキシム及びその誘導体などのキレート剤も含有し得る。前述の成分に加えて、本明細書に記載のマイクロスケールの不均一系エマルジョンは、米国特許出願公開第2002/0022040号;同第2003/0049212号;同第2007/0196344号;同第2008/0181956号;同第2010/00092408号;同第2008/0206373号;同第2010/0239510号;同第2010/0189669号;同第2011/0262025号;同第2011/0097286号;同第2012/0197016号;同第2012/0128683号;同第2012/0148515号;同第2012/0156146号;及び同第2013/0022557号並びに米国特許明細書第5,939,082号;同5,872,112号;同6,492,326号;同6,696,049号;同6,524,598号;同5,972,359号及び同6,174,533号に記載されている1つ以上の他の成分を含み得る。
【0100】
また、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、1種以上の香料を含有し得る。本明細書で使用するとき、「香料」は、任意の発香性材料を示すために使用される。いくつかの実施例では、化粧品用に適用可能な香料を使用してもよい。アルデヒド、ケトン、及びエステル等、多様な化学物質が香料として公知である。より一般的には、香料としての使用に関し、様々な化学成分の複雑な混合物を含む天然由来の植物油及び動物油並びに滲出物が公知である。本明細書において有用な香料の非限定例としては、アセタール香料前駆体、ケタール香料前駆体、エステル香料前駆体、加水分解可能な無機−有機香料前駆体、及びこれらの混合物などの香料前駆体が挙げられる。香料は、様々な方法で、香料前駆体から放出され得る。例えば、香料は、単純な加水分解の結果として又は平衡反応中のシフト、pH変化又は酵素による放出により放出され得る。本明細書の香料は、単一の化学物質を含むそれらの化学的組成において、比較的単純なものであってもよく、又はすべて任意の所望の香りを提供するように選択される、天然及び合成化学成分の高度に洗練された複雑な混合物を含有してもよい。
【0101】
香料は、約500℃以下、約400℃以下又は約350℃以下の沸点(BP)を有してもよい。多くの香料のBPは、Perfume and Flavor ChemicalsAroma Chemicals),Steffen Arctander(1969)に示されている。香料のClogP値は、約0.1以上、約0.5以上、約1.0以上及び約1.2以上であり得る。本明細書で使用するとき、用語「ClogP」は、オクタノール/水分配係数についての底10の対数を意味する。ClogPは、Daylight Chemical Information Systems Inc.(Irvine Calif.,USA)から入手可能である「CLOGP」という名称のプログラムから容易に計算することができる。オクタノール/水分配係数は、米国特許第5,578,563号にさらに詳細に記載されている。
【0102】
また、好適な香料は、米国特許第4,145,184号、米国特許第4,209,417号、米国特許第4,515,705号及び米国特許第4,152,272号に開示されている。例えば、香料の非限定例としては、ムスク油、シベット、カストリウム、アンバーグリス、などの動物性香料、並びに、例えばナツメグ抽出物、カルダモン抽出物、ショウガ抽出物、シナモン抽出物、パチョリ油、ゼラニウム油、オレンジ油、マンダリン油、オレンジ花エキス、シダーウッド、ベチバー、ラバンジン、イラン抽出物、チューベローズ抽出物、白檀油、ベルガモット油、ローズマリー油、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、ラベンダー油、シトロネラ油、カルダモン油、チョウジ油、セージ油、ネロリ油、ラブダナム油、ユーカリ油、ビジョザクラ油、ミモザ抽出物、スイセン抽出物、ニンジン種子抽出物、ジャスミン抽出物、乳香抽出物、バラ抽出物、及びこれらの混合物などの植物性香料が挙げられる。
【0103】
好適な香料の他の例としては、これに限定されないが、アセトフェノン、アドキサール、アルデヒドC−12、アルデヒドC−14、アルデヒドC−18、カプリル酸アリル、アンブロキサン、酢酸アミル、ジメチルインダン誘導体、α−アミルシンナムアルデヒド、アネトール、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール及びエステル誘導体、プロピオン酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ボルネオール、酢酸ブチル、カンファー、カルビトール、ケイ皮アルデヒド、酢酸シンナミル、シンナミルアルコール、シス−3−ヘキサノール及びエステル誘導体、シス3−ヘキセニル炭酸メチル、シトラール、シトロネロール及びエステル誘導体、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シクロガルバナート(cyclo galbanate)、ダマスコン、デカラクトン、デカノール、エストラゴール、ジヒドロミルセノール、ジメチル・ベンジルカルビノール、6,8−ジメチル−2−ノナノール、ジメチルベンジルカルビニルブチラート、酢酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸エチル、プロピオン酸エチル、カプリル酸エチル、ケイ皮酸エチル、ヘキサン酸エチル、吉草酸エチル、エチル・バニリン、オイゲノール、エキサルトリド、フェンコン、2−メチル酪酸エチルなどのフルーツエステル、ガラキソリド、ゲラニオール及びエステル誘導体、ヘリオナール、2−ヘプトノン(2-heptonone)、ヘキセノール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、インドール、酢酸イソアミル、酢酸イソオイゲノール、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、iso E super、リモネン、リナロール、リリアール、酢酸リナリル、lyral、マジャントール、マヨール、メロナール、メントール、p−メチルアセトフェノン、アントラニル酸メチル、メチルセドリロン(methyl cedrylone)、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルオイゲノール、メチルイオノン、メチル−α−ナフチルケトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、ムゲタノール、γ−ノナラクトン、オクタナール、フェニル酢酸エチル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルエチルアルコール、ピネン、sandalore、サンタロール、ステモン、チモール、テルペン、トリプラル、クエン酸トリエチル、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、γ−ウンデカラクトン、ウンデセナール、バニリン、veloutone、verdox、及びこれらの混合物などの化学物質が挙げられる。
【0104】
使用方法
マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、例えば、消費者製品において使用され得る。例えば、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、十分な量のマイクロスケールの不均一系エマルジョンを保存する寸法設定されたパッケージとして提供される消費者製品であってよい。パッケージの寸法、形状、及びデザインは様々に変更することができる。あるパッケージの例は米国特許第D570,707号、同第D391,162号、同第D516,436号、同第D535,191号、同第D542,660号、同第D547,193号、同第D547,661号、同第D558,591号、同第D563,221号、米国特許公報第2009/0017080号、同第2007/0205226号、及び同第2007/0040306号に記載される。
【0105】
いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、固体の形態での使用又は消費を意図した消費者製品及びその後の商業用の製造又は改変を意図しない消費者製品として提供され得る。
【0106】
いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンは、安定したカスタム化粧品組成物を提供する方法において、使用され得る。「カスタム」により、消費者製品が受注生産であることを意味する。いくつかの例では、消費者は、活性剤選択リスト、香料選択リスト、色選択リスト及びこれらを組み合わせたものが提供され得る。いくつかの例では、消費者は、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを包装するためのパッケージの選択肢が提供され得る。いくつかの例では、消費者は、マイクロスケールの不均一系エマルジョンに含ませることのできる2つ以上の選択物を含み得る使用説明書を受けることもある。いくつかの例では、消費者は、任意の既知の指示方法によって指示を受けることができる。考えられ得る指示方法の非限定例としては、販売員又は他の個人の介入、標識の介入、インターネットの介入、広告、口頭の介入、カタログの介入、印刷物の介入及び非言語的コミュニケーションの介入など、が挙げられる。いくつかの例では、消費者は、少なくとも1つの活性成分、香料、色、パッケージ及びこれらの組み合わせを選択するために指示を受けることができる。いくつかの例では、消費者の選択に基づいて、マイクロスケールの不均一系エマルジョンが調製される。いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを作製するために使用される異なる複数のエマルジョンは、消費者の近傍において、混合される。いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを作製する場合に使用される分散液のみが消費者の近傍において混合される。いくつかの例では、消費者のいる店又は場所で混合を生じさせるとき、消費者の近傍において混合が行われる。いくつかの例では、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを作製するために使用される異なるエマルジョンは、離れた場所で(すなわち、消費者の近傍ではない)混合される。いくつかの例では、消費者は、エマルジョンと、所望により分散液とを混合し、最終的なマイクロスケールの不均一系エマルジョンを形成する。いくつかの例では、消費者は、分散液(複数可)をマイクロスケールの不均一系エマルジョンと混合する。いくつかの例では、消費者は、混合ステップを実施し、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを形成する。
【実施例】
【0107】
本発明には多くの変形が可能であることから、以下の実施例は例示目的のみのために与えられるものであり、本発明を限定とするものとして解釈されるべきではない。
【0108】
実施例においては、別途記載のない限り、全ての濃度は重量%として掲載されており、希釈剤及び充填剤などの微量の物質は除外され得る。そのため、掲載した処方は、掲載した成分及びそのような成分に関連するいかなる微量物質をも含む。当業者にとって明白なように、このような微量物質の選択は、本明細書に記載したように本発明の作製のために選択した具体的な成分の物理特性及び化学特質によって変わる。
【0109】
実施例1−マイクロスケールの不均一系エマルジョン
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
予備エマルジョン1を作製するにあたって、まず、プレミックスタンク中で、すべての固形分が完全に溶解し液体が完全にブレンドされるまで、プロペラ混合法により水、塩化ナトリウム、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ヘキサンジオール及びカプリリルグリコールを混合して、水−プレミックスを調製する。次に、シクロペンタシロキサン及びPEG/PPG−18/18ジメチコン及びシクロペンタシロキサンを直接Giustiメイン混合タンクに添加する。Giustiメイン混合タンクで、Scrapewall混合を49RPMで開始し、インナー攪拌器により、その内容物の混合を69RPMで行う。ホモジナイザーの電源を入れ、1500RPMに設定する。Waukesha容積移送式真空ポンプを用いて、移送時間が10分を超えるように水−プレミックスを移送させる。水の移送中、ホモジナイザーの速度が3000RPMになるまで、2分ごとに、ゆっくりとホモジナイザー速度を250RPM上げる。移送完了後、62RPMにて再循環を行う。引き続き、3000RPMにて混合しながら、さらに15分間、scrapewallで49RPMで混合し、及びインナー攪拌器で69RPMで混合した。約15分後、すべての混合を止める。認可されたファイバードラムに62RPMにて材料を供給し、適切なファイバードラムに保管する。
【0114】
予備エマルジョン2を作製するにあたって、まず、lightninのミキサーにより、固形物が分散し、均一になるまで、タンク中でグリセリン、ナイアシンアミド、パンテノール及びアラントインを混合する。必要に応じて混合物を加熱し、固体成分を溶解する。次に、5ガロンプラスチックバケット中で、液体が十分にブレンドされ、均一になるまで、ジエチルヘキシルカーボネート、トコフェロールアセテート、並びにジメチコン及びジメチコンコポリオールクロスポリマーをへらで混合する。このステップは、約1〜2分継続させるものとする。次に、ジエチルヘキシルカーボネート、トコフェリルアセテート並びにジメチコンとジメチコンコポリオールクロスポリマーとシクロペンタシロキセ(cyclopentasiloxe)とジメチコンクロスポリマー−DC9040との混合物をGiusti容器内で混合し、インナー及びアウター攪拌器を作動させて、それぞれ49RPM及び39RPMにする。5分後、ホモジナイザーを3000RPMに設定して、冷却水を35℃未満の温度で維持する。必要に応じて、混合速度及び時間を調整する。混合しながら、グリセリン、ナイアシンアミド、パンテノール及びアラントインの混合物をGiusti容器に移送する。引き続き、生成物が均一になるまで10〜15分間混合した後、適切な容器に生成物を保存する。
【0115】
予備エマルジョン3を作製するにあたって、まず、トリヒドロキシステアリン及び約2%シクロペンタシロキサンを小型容器中で混合する。プロペラ式ミキサー又はへらにより手作業で混合し、トリヒドロキシステアリンを完全に分散させ、thixcinプレミックスを作製する。次に、残りのシクロペンタシロキサン、PEG/PPG 18/18ジメチコン及びシクロペンタシロキサン、ジメチコン350CS及びジメチコン50CS成分をメイン混合タンク(Giusti)中で混合する。49RPM及び69RPMに設定したインナー及びアウター攪拌器で混合を開始する。成分アラキジルベヘネート及び合成ワックスをメイン混合タンクに添加し、加熱を開始して90℃+/−5℃とする。加熱しながら、49RPM及び69RPMのインナー及びアウター攪拌器と、3000RPMのホモジナイザーでバッチを混合する。目的の温度範囲に到達したら、引き続き5分間混合する。5分後、高剪断混合を中止し、冷却を開始して、55℃+/−5℃にする。メイン混合タンクにて、55℃+/−5℃にて、Thixcinプレミックスを添加し、ホモジナイザーによる高剪断混合を開始し、3000RPMにて一晩混合を行う。ホモジナイザーによる高剪断混合を一晩継続しながら、シリコーン相を25℃+/−5℃に冷却した。最終的なシリコーン相成分である、シリカ、タルク、エチレン/メタクリレートコポリマー及びイソプロピルチタニウムトリソステアレート、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、及びエチレンブラシレートを添加する。引き続き、3000RPMに設定したホモジナイザーで5分間混合し、それぞれ69RPM及び49RPMの攪拌機及びscrapewallで一晩、混合した。
【0116】
異なるプレミックス容器に、成分ポリグリセリル−4イソステアレート及びセチルジメチコーンコポリオール及びヘキシルラウレート及びプロピレングリコールを添加し、プロペラ式ミキサーで攪拌を開始する。PVP−K−17を水−プレミックスタンクにゆっくりと添加する。引き続き、PVP−K−17が完全に分散するまで、混合する。必要に応じて加熱してプロセスを促進させてもよい。最高温度を記録する。ポリマー溶液が均一になったら、冷却を開始し、25℃+/−5℃にする。Waukesha容積移送式真空ポンプを用いて、移送時間が5分を超えるようにプロピレングリコール相を移送させる。移送中、3000RPMに設定したホモジナイザーで混合し、アウター攪拌器で49RPMにて一晩、並びにインナー攪拌器で69RPMにて一晩(ON)、混合する。移送完了後、引き続き、3000RPMに設定したホモジナイザーで混合し、アウター攪拌器を49RPMに設定し、並びにインナー攪拌器を69RPMに設定して、さらに15分間、混合する。15分後、すべての混合を止める。承認されたファイバードラムに62RPMにて材料を供給した。
【0117】
マイクロスケールの不均一系エマルジョンを調製するために、任意の量の予備エマルジョン1、予備エマルジョン2及び予備エマルジョン3を低剪断混合により混合する。プレミックスの量は、最終的なマイクロスケールの不均一系エマルジョン中に含有させる成分に所望される量によって異なる。低剪断混合は、傾斜翼タービンミキサー形状のlightninミキサーを用いて行うことができる。
【0118】
実施例2−ナイアシンアミドの測定
表8に掲載するエマルジョンは、以下の表4、表6及び表7に記載の成分から調製した。バッチ式プロセスのエマルジョン(図8にバッチ式エマルジョンと表記)は、表4に掲載している成分から調製した。要約すると、1000mlステンレス鋼ビーカー中で、パートA成分を混合し、固形物が分散し均一になるまで、Lightninミキサーで混合する。パートB成分を、液体が十分にブレンドされ均一になるまで、1000mlジャケット付き容器中で、lightninミキサーにより混合する。次に、1000mlジャケット付き容器中で、パートB成分とパートC成分を、径の大きなsilversonアタッチメント(large circle silverson attachment)により、均一になるまで2500RPMで5分間混合する。2種類の分離相を別個の容器に入れる。次に、表4のパートAのアリコートを、生成物のアリコート300mg当たり約111kBq(約3μCi)の14C−ナイアシンアミドで標識し、へらで混合し、極性相中に活性成分を分散させる。次に、放射性標識したナイアシンアミドを添加したパートAと、パートB/Cとを、表5に示す規定の比率で、Sigma Aldrich製ミクロミキサー(Wig−L−Bug mixer)を用いて共に乳化させた。
【0119】
【表4】
【0120】
【表5】
【0121】
表6及び表7に列挙されている成分から、表8に規定されている比率で、マイクロスケールの不均一系エマルジョンIを調製した。マイクロスケールの不均一系エマルジョンIを調製するにあたって、1000mlステンレス鋼ビーカー中で、固形物が分散し、均一になるまで、成分を照明ミキサーにより混合することによって、表6のパートA成分混合物を調製する。次に、表6のパートB成分を、液体が十分にブレンドされ、均一になるまで、1000mlジャケット付き容器中で、lightninミキサーにより混合する。次に、1000mlジャケット付き容器中で、表6のパートB成分とパートC成分との混合物を、径の大きなsilversonアタッチメント(large circle silverson attachment)により、2500RPMで5分間混合する。2種類の分離相を別個の容器に入れる。次に、表6のパートAのアリコートを、生成物のアリコート300mg当たり約3μCiの14C−ナイアシンアミドで標識し、へらで混合し、極性相中に活性成分を分散させる。次に、放射性標識したナイアシンアミドを添加したパートAと、パートB/Cとを、マイクロミキサー(Sigma Aldrich、(Wig−L−Bug mixer)を用いて共に乳化させた。
【0122】
【表6】
【0123】
次に、表7に掲載の成分から水プレミックスを作製する。はじめに、全固形分が完全に溶解し、液体が完全にブレンドされるまで、プレミックスタンク中でパート1〜5をプロペラ式混合し、水プレミックスを作製する。次に、シクロペンタシロキサン及びPEG/PPG−18/18ジメチコン及びシクロペンタシロキサンを直接Giustiメイン混合タンクに添加する。Giustiメイン混合タンクで、49RPMにて、Scrapewall混合を開始し、その内容物を69RPMにてインナー攪拌器により混合する。ホモジナイザーを作動させて、1500RPMに設定する。Waukesha容積移送式真空ポンプを用いて、10分超の移送時間をかけて水−プレミックスを移送させる。水の移送中に、ホモジナイザーの速度が3000RPMになるまで、2分ごとに、ゆっくりとホモジナイザー速度を250RPM上げる。移送完了後、62RPMにて再循環を行う。引き続き、さらに15分間、3000RPMにて混合し、49RPMにてscrapewallによる混合を行い、69RPMにてインナー攪拌器による混合を行う。約15分後、すべての混合を止める。62RPMにて、材料を、保存用容器に絶えず供給する。
【0124】
【表7】
【0125】
次いで、活性成分及び放射線標識含有予備エマルジョン表7に示す非活性成分含有予備エマルジョンと混合し、表8の規定比率で、マイクロスケールの不均一系エマルジョンを形成した。へらを用いることによって、混合を仕上げた。
【0126】
【表8】
【0127】
表6及び表7に列挙されている成分から、マイクロスケールの不均一系エマルジョンIIを調製した。マイクロスケールの不均一系エマルジョンIIを調製するにあたって、1000mlステンレス鋼ビーカー中で、固形物が分散し、均一になるまで、成分をlightninミキサーにより混合することによって、表6のパートA成分混合物を調製する。次に、表6のパートB成分を、液体が十分にブレンドされ、均一になるまで、1000mlジャケット付き容器中で、lightninミキサーにより混合する。次に、3000mlジャケット付き容器中で、表6の成分のパートBプレミックスと表6のパートCとを混合し、径の大きなsilversonアタッチメント(large circle silverson attachment)により、2500RPMで5分間混合する。次に、3000mLジャケット付き容器中で試料が完全に均一になるまで、6000RPMにてsilversonミキサーを用いて、表6のパートAを表6のパートB/C中に乳化する。表6の混合物を容器に保管する。次に、表6の生成物のアリコ−トを、生成物のアリコート300mg当たり約3μCiの14C−ナイアシンアミドで標識し、へらで混合し、生成物中に活性成分を分散させる。次に、得られた放射性標識したナイアシンアミド製剤を、表9に記載の比率で、表7の生成物と混合した。へらを用いて、混合を仕上げた。
【0128】
【表9】
【0129】
ヒト死体の分層皮膚は、AlloSource(Englewood,CO)から入手した。トリチウム化水は、PerkinElmer(Boston,MA)から入手し、14Cナイアシンアミドは、American Radiochemicals(St.Louis,MO)から入手した。すべての試験に関して、ヒト死体の分層皮膚はマイナス70℃で維持し、その後、周囲条件で解凍し、蒸留水ですすぎ洗いし、適切な大きさの切片に切り出し、皮膚の表面温を度約34℃に維持するよう温度調節した加熱/攪拌ブロック中に配置した標準フランツ型分散セル(0.79cm2)に取り付けた。レセプター[約5mL]には、1%ポリソルベート20(VWR International,West Chester,PA)を添加したダルベッコリン酸緩衝生理食塩水[PBS](Sigma−Aldrich,Inc.,St.Louis,MO)溶液を充填し、電磁攪拌棒によって攪拌し、少なくとも2時間皮膚を平衡化した。
【0130】
次に、約37℃に維持した標準フランツ型分散セル(表面積0.79cm2)にヒト死体の皮膚試料を取り付けた。各組成群に対して、6サンプルを調製した。レセプター・コンパートメントには、1%ポリソルベート−20及び0.02%アジ化ナトリウムを添加した5mLリン酸緩衝生理食塩水(PBS−pH 7.4)を充填し、皮膚を2時間平衡化させる。取り付けた皮膚を透過させる32O流に基づき、セルを無作為に処理群に割り付けた(150μLの320を塗布し、5分後に取り除き、60分後、レセプター液を回収した)。処理群間で、水流に従い各セルを等級付けし、かつセルを分配することにより拡散セルを無作為化した。各群には観察した水流範囲にわたってセルを含有させた。各処理群は典型的には6サンプルを有するものとした。
【0131】
バッチ式エマルジョンのアリコートと、生成物のアリコート300mgあたり約3μCiの14C−ナイアシンアミドにより事前に標識したマイクロスケールの不均一系エマルジョンI & IIのアリコートとを混合し、Ultima Gold(Perkin−Elmerより入手可能)液体シンチレーションカクテル(LSC)及び液体シンチレーションカウンター(Tri−Carb 2500 TR Liquid Scintillation Analyzer、PerkinElmer、Boston、MA)を使用し、総放射活性について三組でアッセイした。皮膚試料には、ポジティブディスプレイスメントピペットを用い、放射性標識したナイアシンアミドエマルジョン5Lを局所的に塗布した。ピペットチップを使用し、エマルジョンを皮膚試料表面(0.79cm2)上に穏やかに広げた。レセプター溶液を回収し、塗布後6時間の時点で、再度配置し、24時間の時点で最終的に回収した。レセプターの最終回収後、それぞれの皮膚試料をPBS/Tween 20に浸漬したWhatmanろ紙で2回拭き取り、1回は70%/30%エタノール/水で拭き取り、吸収されていない(残渣)生成物を除去した。表皮は残りの真皮から切除した。皮膚切片を60℃にて一晩0.50〜1.25mLのSoluene−350(Perkin Elmer、Boston、MA)に溶解し、液体シンチレーションカウンターにより、すべてのレセプター溶液回収物、ろ紙拭き取り物、並びに可溶化組織切片を計数した。各セルの各コンパートメントの1分あたりの崩壊数(DPM)をブランクにより補正し、要約し、所与のセル関し回収された総放射性標識値を得た。次に、各コンパートメントのDPMを回収された総放射性標識値に対して正規化し、各コンパートメントに対し「放射性標識回収率」パラメータを得た(マスバランス用に、それぞれ、レセプター回収溶液、表皮、真皮、及び拭き取ったろ紙)。すべての各回収物の合計としての総レセプター値により、各回収時点に対し、時点に対する各回収物の合計として累積レセプター値を算出した。回収された合計の割合は、表皮(角質層を含む)及び真皮の値を合計したものであり、総浸透値は、皮膚及び累積レセプター値を合計したものとした。図8には、放射性標識したナイアシンアミドの総回収率をまとめた。
【0132】
本明細書の全体を通して与えられるすべての最大の数値限定は、それよりも小さい数値限定を、そのようなより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書全体を通して記載されるすべての最小数値限定は、このようなより高い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、すべてのより高い数値限定を含む。本明細書全体を通して記載されるすべての数値範囲は、このようなより狭い数値範囲が本明細書に明示的に記載されているかのように、このようなより広い数値範囲内のすべてのより狭い数値範囲を含む。
【0133】
本明細書に開示した大きさ及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような大きさのそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものである。
【0134】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示されているか若しくは特許請求の範囲に記載されているいずれかの発明に関する先行技術であることを認めるものではなく、あるいはそれが単独で又は他のいかなる参考文献(単数若しくは複数)とのいかなる組み合わせにおいても、かかる発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。さらに、本文書での用語の任意の意味又は定義の範囲が、参照により組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0135】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8