(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの削り取り部分の前記テーパスクレーパ輪郭は、前記取り付けられた状態で前記第1の壁に面する前記カッタの側部に先端エッジを有する長手方向に延びる先のとがった輪郭として構成される、
請求項1に記載のカッタ。
前記少なくとも1つの削り取り部分の前記テーパスクレーパ輪郭は、くさび形状、三角形状、C形状、ダブルウェッジ形状、及びダブルトライアングル形状からなるグループから選択される断面を有する、
請求項1又は2に記載のカッタ。
前記少なくとも1つの削り取り部分は、第1の先端エッジ及び第2の先端エッジを含む前記テーパスクレーパ輪郭を有して提供され、動作しているとき、前記第1の先端エッジは、前記カッタの第1の皮膚に面する表面に配置され、前記第2の先端エッジは、皮膚から離れる方に面する前記カッタの第2の表面に配置される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカッタ。
前記ガイド開口の前記横方向端面における前記少なくとも1つの削り取り部分は、少なくとも2つのセクションを有する中断削り取り部分として構成され、内部に突出する当接タブが前記セクションの間に配置される、
請求項5に記載のカッタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、シェービング及びトリミング動作の両方において快適なユーザ経験(user
experience)に貢献する、代替静止カッタブレード、及び対応するブレードセットを提供することである。より好ましくは、本開示は、例えば、上で論じられたような既知の従来技術の毛切断ブレードに固有の少なくとも幾つかの欠点に対処し得る。好ましくは切断動作に必要な時間を減らしながら、改良した動作性能を示し得るブレードセットを提供することがさらに有利である。適切な対応する製造方法を提供することが好ましくは望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様によれば、請求項1による毛切断器具のブレードセットのためのカッタが提示される。本明細書で使用されるとき、カッタは可動カッタブレードと称され得る。
【0010】
本開示の他の態様によれば、請求項10による切断器具のためのブレードセットが提示される。
【0011】
本開示の他の態様によれば、請求項12による切断器具のためのブレードセットを製造する方法が提示される。
【0012】
カッタに関連する態様は、カッタ及び静止ブレードが、ガイドスロットから、毛の残りのような、蓄積されたよごれ及びゴミを取り除くために、互いに対して動かされるとき、少なくとも1つの削り取り部分(scraping portion)がスクレーパ(scraper)又はプッシャ(pusher)として作用するという洞察に基づいている。これは、カッタが、カッタをその2つの反対の側部で少なくとも部分的に囲み且つ保護する二重壁静止ブレードとして構成される静止ブレードに取り付けられるとき、特に有益である。本開示の少なくとも幾つかの実施形態による静止ブレードは、それらの間にカッタのためのガイドスロットを定める第1の壁及び第2の壁を有するので、このようなガイドスロットは、到達するのが難しく、したがって、手動の清掃動作のためにアクセスし難い。概して、第1の壁は第1の壁部分と称され得る。概して、第2の壁は第2の壁部分と称され得る。さらに、カッタがガイドスロットに定められた方法でかなりの(垂直の)あそびなしに配置されることが好ましいので、十分なよごれ排除能力を持つカッタを提供することは、ブレードセットの長期性能をさらに向上させ得る。概して、スクレーパ輪郭はプッシャ輪郭とも称され得る。さらに、カッタの比較的平らなメイン部分は、平面状メイン部分とも称され得る。
【0013】
結果として、少なくとも1つの削り取り部分を備えるカッタそれ自体が、ガイドスロットを清掃し得るとともに、付着物及び蓄積物を取り除き得る。したがって、ブレードセットの長期性能及び使用できる寿命が増加し得る。少なくともある程度、それぞれのカッタを取り付けられるブレードセットは、セルフクリーニング能力を提供し得る。
【0014】
カッタの1つの実施形態では、少なくとも1つの削り取り部分のテーパスクレーパ輪郭(tapered
scraper profile)が、取り付けられた状態で第1の壁に面するカッタの側部に先端エッジを有する長手方向に延びる先のとがった輪郭(pointed profile)として構成される。したがって、テーパスクレーパ輪郭は、静止ブレード及びカッタのそれぞれの切断エッジが互いに協働する切断表面に配置され得る。その結果、まさに切断スポットで生成され且つ蓄積され得る毛の残り及びさらなる小片は、この方法で除去され得る。結果として、これらの小片は、例えば、ブレードセットが動作されるときカッタと静止ブレードとの間の摩擦効果を増加させるかもしれないガイドスロットの中への張り付きを防ぐことができる。
【0015】
カッタの他の実施形態では、少なくとも1つの削り取り部分のスクレーパ輪郭は、くさび形状、三角形状、C形状、ダブルウェッジ(double wedge)形状、及びダブルトライアングル(double triangle)形状からなるグループから選択される断面を有する。概して、比較的鋭い先端が、少なくとも1つの削り取り部分の輪郭に設けられることが好ましい。2つのそれぞれの先端エッジを有する輪郭が実装される場合、第1及び第2の先端エッジは、静止ブレードの第1の壁及び第2の壁に接触し且つ清掃するように、カッタの両側(反対側)に設けられ得る。テーパスクレーパ輪郭の断面は、比較的鋭い先端エッジを形成するように鋭角を有することが好ましくなり得る。
【0016】
概して、先端エッジは、長手方向Yに基本的に平行である輪郭の側部とそれに対して傾斜した側部との間の傾斜角度β(ベータ)によって定められ得る。角度は、約5°(度)から約60°の範囲、好ましくは約15°(度)から約45°の範囲、より好ましくは約22.5°(度)から約30°の範囲にあり得る。しかし、少なくとも幾つかの実施形態では、横方向Yに基本的に平行である側部に対して傾斜したテーパスクレーパ輪郭の断面の側部が少なくとも部分的に湾曲し得る、例えば、凸状に湾曲し得る又は凹状に湾曲し得る。
【0017】
少なくとも1つの削り取り部分を取り付けられるカッタの他の実施形態では、カッタはさらに、ガイド開口、特に、横方向に延びるスロットを有し、少なくとも1つの削り取り部分は、ガイド開口のそれぞれの横方向端面に形成される。好ましくはガイド開口又はガイドスロットは、ブレードセットの静止ブレードの中間壁を囲むように配置される。カッタの更なる実施形態では、第1の削り取り部分が第1の横方向端部に形成され、第2の削り取り部分がガイド開口の第2の横方向端部に形成され、第1の削り取り部分及び第2の削り取り部分は互いに向き合う。概して、中間壁は、中間壁部分と称され得る。
【0018】
少なくとも幾つかの実施形態では、カッタは、静止ブレードに対して往復駆動される。したがって、静止ブレードは、前後の様式で振動式に駆動され得る。第1の削り取り部分及び第1の削り取り部分の反対側にある第2の削り取り部分を提供することによって、カッタの1回のストロークの各方向が、清掃動作のために使用され得る。さらに、第1の削り取り部分及び第2の削り取り部分は、ガイド開口において基本的に内向きに面する削り取り部分として配置され得る。したがって、削り取り部分の比較的鋭い先端は、ブレードセットのユーザがアクセスすることが困難である。したがって、比較的鋭いエッジが設けられているにもかかわらず、(エンド)ユーザの受傷のリスクは相当低い。
【0019】
ガイド開口を実装する実施形態の改良では、ガイド開口の横方向端面における少なくとも1つの削り取り部分が、少なくとも2つのセクションを有する中断(interrupted)削り取り部分として構成され、内部に突出する当接タブがセクションの間に配置される。特に、ブレードセットの静止ブレードが、第1の壁と第2の壁との間に配置され且つガイド開口を通って少なくとも部分的に延びる中間壁を取り付けられるブレードセットの実施形態では、突出する当接タブは、先端エッジを保護し得る。より具体的には、突出する当接タブは、スクレーパ輪郭の先端エッジが、中間壁に接触することを防ぎ得る。好ましくは、第1の突出する当接タブが第1の横方向端部に設けられ、第2の突出する当接タブがガイド開口の第2の横方向端部に設けられる。
【0020】
少なくとも1つの削り取り部分を備えるカッタのさらなる実施形態では、第1の先端エッジ及び第2の先端エッジを含むテーパスクレーパ輪郭を有する少なくとも1つのそれぞれの削り取り部分が設けられ、動作するとき、第1の先端エッジは、カッタの第1の皮膚に面する表面に配置され、第2の先端エッジは、皮膚から離れる方に面するカッタの第2の表面に配置される。上に示されたように、このような削り取り部分は、C形状、ダブルウェッジ形状、及びダブルトライアングル形状からなるグループから選択され得る断面を有するスクレーパ輪郭を有し得る。その結果、カッタは、静止ブレードの第1の壁及び第2の壁両方において蓄積物を削り落とすように構成され得る。この目的のために、第1の先端エッジは、第1の壁に関連付けられ、第2の先端エッジは、静止ブレードの第2の壁に関連付けられる。
【0021】
少なくとも1つの削り取り部分を取り付けられているカッタの他の実施形態では、互いに横方向にずらされた複数の同様に向けられた削り取り部分が設けられ、削り取り部分の間のオフセット(ずれ)は、カッタの予想されるストロークに適合される。その結果、静止ブレードの大部分がカッタによって清掃され得る。本明細書で使用されるとき、同様に向けられた削り取り部分は、カッタの同じ側部、好ましくは取り付けらえた状態で静止ブレードの第1の壁に面するカッタの上側又は表面に配置される先端エッジを備える。さらに同様に向けられた削り取り部分は、カッタの横方向の伸張部分に対して同じ方法で配置され得る、すなわち、互いに向き合わない。その結果、第1の幾つかの同様に向けられた削り取り部分及び第2の幾つかの同様に向けられた削り取り部分が設けられ、削り取り部分の2つのグループは、互いに向き合う。例えば、第1のタイプの2以上の削り取り部分及び削り取り部分の第2のタイプの2以上の削り取り部分が設けられ得る。
【0022】
例として、複数の同様に向けられた削り取り部分のそれぞれの1つの間のオフセットが、動作状態のカッタの予想されるストロークに対応するように又は同ストロークより少なくとも僅かに小さくなるように、定められ得る。結果として、静止ブレードの第1の壁及び/又は第2の壁の少なくとも特定の部分が清掃され得る。
【0023】
上の態様によるカッタの他の実施形態では、少なくとも1つの外側に面する削り取り部分が、カッタの横方向端部に設けられる。好ましくは、第1の外側に面する削り取り部分が第1の横方向端部に設けられ、第2の外側に面する削り取り部分が、カッタの第2の横方向端部に設けられる。
【0024】
この態様の他の実施形態では、カッタはさらに、互いに横方向にずらされるとともに逆に向けられる複数の削り取り部分を備える。本明細書で使用されるとき、用語逆には、それぞれの削り取り部分の先端エッジの垂直の向きに主として関連するものとする。したがって、削り取り部分の第1のタイプが、第1の壁に接触するように配置される先端エッジを備え得る。さらに、削り取り部分の第2の対応が、ブレードセットの第2の壁に接触するように配置される先端エッジを備え得る。
【0025】
概して、削り取り部分は、カッタの歯を形成するために用いられる機械加工プロセスと同様の又は対応する機械加工プロセスによって加工及び/又は製造され得る。例として、エッチングプロセス、より一般的には、電解加工プロセスが用いられ得る。さらに、打ち抜き加工(stamping)及びエッチングの組合せも使用され得る。より一般的には、適切な材料除去プロセスが、それぞれの先端エッジを含む少なくとも1つの削り取り部分を規定し且つ形成するために使用され得る。
【0026】
本開示のさらなる態様によれば、切断器具のブレードセットのための静止ブレードが提示され、前記ブレードセットは、毛を切るために移動方向に毛を通って動かされるように構成され、前記静止ブレードは:
− 動作しているとき皮膚に面する壁として働くように配置される第1の壁と、
− 第2の壁であって、第1の壁及び第2の壁がそれらの間にカッタを受け入れるように配置されるガイドスロットを画定するように、第1の壁から少なくとも部分的にオフセットされる、第2の壁と、
− 第1の壁及び第2の壁によって共同で形成される少なくとも1つの歯付き先導エッジ(toothed
leading edge)と、を有し、
少なくとも1つの歯付き先導エッジは複数の歯を有し、
第1の壁及び第2の壁は、少なくとも1つの歯付き先導エッジの前面端部で接続され、それによって歯の先端を形成する。
【0027】
好ましくは、この態様による静止ブレードは、以下にさらに記載される本開示の他の態様によるカッタと協働する。
【0028】
この態様の1つの実施形態によれば、静止ブレードは、一体形成金属プラスチック複合静止ブレードであり、第1の壁は、少なくとも部分的に金属材料から作られ、第2の壁は少なくとも部分的にプラスチック材料から作られる。
【0029】
他の実施形態によれば、静止ブレードはさらに、第1の壁と第2の壁との間に配置される中間壁を有し、中間壁は、第1の壁と第2の壁との間の中心オフセットを定め、中間壁は、取り付けられることになるカッタとともにそれぞれの開口に適合される。
【0030】
他の実施形態によれば、静止ブレードはさらに、第1の壁と第2の壁との間に配置される中間壁を有し、中間壁は、第1の壁と第2の壁との間に中心オフセットl
coを定め、中間壁は、取り付けられることになるカッタのそれぞれの開口に適合される。
【0031】
本開示の他の態様によれば、静止ブレードは、一体形成金属プラスチック複合静止ブレードとして構成され、第1の壁は、少なくとも部分的に金属材料から作られ、第2の壁は少なくとも部分的にプラスチック材料から作られる。
【0032】
静止ブレードに関連する実施形態の幾つかは、皮膚と緊密に接触し得るとともに毛を切るためにカッタと協働するように基本的に構成される第1の壁が、好ましくは、相当な剛性及び頑健性(robustness)特性を示すという洞察に基づいている。第1の壁は、少なくとも部分的に金属材料、特に、例えば、ステンレス鋼のような鋼材料から作られる。結果として、第1の壁が好ましくは、皮膚の近くで毛を切ることを可能にするように相当な薄肉であるにもかかわらず、それは適切な強度を提供し得る。さらに、第2の壁が、静止ブレードをさらに強くするために典型的には皮膚から離れる方に面する側部に追加され得る。好ましくは、静止ブレードは、基本的に同時の、プラスチック材料を形成すること及びプラスチック材料を金属材料に接合することを含む複合製造プロセスから得られ得る。静止ブレードが第1の壁及び第2の壁からなること、すなわち、さらなる本質的な構成要素が静止ブレードを完成させるために取り付けられる必要がないことが特に好ましい。概して、静止ブレードは、2つの構成要素部品と見なされることができ、2つの構成要素は、一体に且つ固定して相互接続される。
【0033】
しかし、上記実施形態によれば、静止ブレードは‐その最終的な状態において‐さらなる機能を提供し得る。第1の壁及び第2の壁に加えて、好ましくは静止ブレードをさらに強化する中間壁が、存在し得る。結果として、第1の壁は、増加した屈曲傾向のリスクに直面することなしにさらに薄く形成され得る。したがって、中間壁は、第1の壁及び第2の壁を接続し得るバックボーンとして働き得る。そのため、第1の壁及び第2の壁は、それらの先導エッジにおいて、そしてさらに、中間壁が配置される更なる領域において、接続され得る。これは、静止ブレード及びそれぞれのブレードセットの強度を大幅に向上させ得る。
【0034】
中間壁はさらに、第1の壁と第2の壁との間の中心オフセットを高い精度で規定(又は設定)し得る。少なくとも幾つかの実施形態において、静止ブレードのガイドスロットの中の与圧部材(pretensioning member)による追加の付勢なしにカッタを受け入れることが意図されるので、これはさらに有益であり得る。従来のブレードセットでは、典型的にはスプリング要素が、静止ブレードのそれぞれの歯とカッタのきつい密着(tight fit)を確実にするために設けられている。一般的に、カッタは、歯付き先導エッジにおいて所望のクリアランス又は接触を達成するように静止ブレードに向かって少なくとも僅かに付勢される。一般的に、接触領域におけるかなり小さい隙間が望ましい。すきまが大き過ぎる場合、より高い接触圧及び増加した摩擦が生じる。これは、電力消費及び発熱も増加させる。したがって、中間壁が、静止ブレード及び可動ブレードの歯の間の接触領域における消耗の隙間の正確さ及び精度に好ましい効果を与え得る、第1の壁と第2の壁との間のオフセット距離を設定し得ることが有益である。
【0035】
中間壁はさらに、ガイド開口又は開口ガイドスロットとも称され得る、カッタの開口に適合され得る。したがって、カッタは、中間壁によって受けられるとともに案内され得る。これは、静止ブレードに対するカッタの長手方向位置の設定を向上させ得る。したがって、接触領域における垂直の隙間(又は高さ隙間)だけでなく、歯付き先導エッジのそれぞれの歯の長手方向の位置合わせも、静止ブレードそれ自体の構造によって高い正確さ及び精度で定められ得る。これは、カッタへの動力伝達が、それぞれの結合部材及び/又は伝達部材がこの機能を提供する必要も無いので、さらに一層簡略化され得るというさらなる利点を有し得る。対照的に、切断器具のドライブトレインは、カッタの長手方向ガイドへの巨大な直接的な影響を考慮することなしに静止ブレードに対してカッタを動かすように適切に設計され得る。したがって、ドライブトレインの設計は、その主要な機能−動力伝達に集中され得る。
【0036】
1つの実施形態では、中間壁は、第1の壁に、特にその金属表面に、固定して取付けられる。これはさらに、静止ブレードを強化し得る。これに関連して、中間壁及び第1の壁が、少なくともそれらの接触面において、同様の材料から作られることが概して好ましい。
【0037】
1つの実施形態では、中間壁は、金属材料、特に板金材料から作られる。したがって、中間壁は、かなりの耐摩耗性を示し得る。さらに、中間壁は、かなりの熱伝達能力を示し得る。
【0038】
1つの実施形態では、中間壁は、第1の壁に、接合、特にレーザ溶接される。接合は、一般的に、ろう接及び溶接を含み得る。溶接は、スポット溶接を含み得る。中間壁が、第1の壁にレーザスポット溶接されることが好ましい。
【0039】
1つの実施形態では、中間壁は、第2の壁に、特にそのブラスチック表面に接触する。これは、中間壁が第2の壁に当接することを含み得る。概して、中間壁は、第1の壁と第2の壁との間の中心オフセットl
coを規定するためのゲージとして働き得る。その結果、中間壁の高さは、中心オフセットl
coに対応し得る。中間壁は、きつい密着の嵌合に起因して第1の壁と第2の壁との間に少なくとも僅かに与圧をかけられ得る。したがって、中間壁の位置は、よりいっそう正確に規定され得る。第2の壁における中間壁の接触及び/又は当接は、中間壁が第2の壁に実際にしっかりと固定される及び/又は接合されることを必ずしも含まない。中間壁は好ましくは、第1の壁にしっかりと固定されるとともに、第1の壁及び第2の壁は一体に形成され且つ接合され得るので、このような静止ブレードは、明確に定義されるとともに十分な剛性が有り得る。
【0040】
1つの実施形態では、静止ブレードは、金属構成要素、特に板金インサート、及び金属構成要素に接合されるプラスチック構成要素を有し、第1の壁の少なくとも中心部分は金属構成要素によって形成される。これは、金属構成要素が特に薄くなり得、ユーザの皮膚の非常に近くで毛を切ることを可能にし得るという利点を有し得る。その結果、シェービング性能が向上し得る。
【0041】
1つの実施形態では、金属構成要素はさらに、切断エッジを有する歯ステム部分を有し、この切断エッジは、カッタのそれぞれの歯の切断エッジと、動作するときそれらの間に捕えられた毛を切るために、協働するように構成される。したがって、第1の壁における切断エッジは、その歯ステム部分における金属構成要素に形成され得る。
【0042】
1つの実施形態では、金属構成要素は、少なくとも1つのアンカー要素(anchoring
element)、特に、それぞれの歯ステム部分から延びる少なくとも1つの確動嵌合(positive-fit)アンカー要素を有し、プラスチック構成要素及び金属構成要素は、少なくとも1つのアンカー要素で接続される。少なくとも1つのアンカー要素は、プラスチック構成要素のプラスチック材料によって係合され得る又は同プラスチック材料で満たされ得るロック構造(locking geometry)を提供し得る。概して、少なくとも1つのアンカー要素は、歯ステム部分の前面端部から長手方向に突出し得る。
【0043】
1つの実施形態では、少なくとも1つのアンカー要素は、第1の壁の上面に対して傾けられる、特に後方に曲げられる。1つの実施形態では、少なくとも1つのアンカー要素は、特に上から見るとき、T形状、U形状又はO形状である。1つの実施形態では、少なくとも1つのアンカー要素は、第1の壁の上面から後方にオフセットされる。これは、プラスチック構成要素が少なくとも1つのアンカー要素の上部側に接触し且つ覆うことを可能にし得る。
【0044】
1つの実施形態では、歯の先端は、プラスチック構成要素によって形成され、プラスチック構成要素はさらに、金属構成要素の歯ステム部分と歯の先端との間の接合領域において確動嵌合アンカー要素と係合する。その結果、プラスチック構成要素は、金属構成要素にしっかりと接合され得るとともに、形状嵌合又は確動嵌合の方法で金属構成要素と同時に接続され得る。
【0045】
1つの実施形態では、プラスチック構成要素及び金属構成要素は、インサート成形部品、アウトサート成形部品及びオーバーモールド部品からなるグループから選択される一体成型部品を形成する。例として、金属構成要素は、金属インサート構成要素として提供され得る。金属インサート構成要素は、プラスチック構成要素の型として配置され得るとともに、少なくとも部分的にプラスチック構成要素でオーバーモールドされ得る。
【0046】
1つの実施形態では、少なくとも1つの先導エッジの歯は、横方向Yに直角な断面で見るとき、第1の壁における第1の脚部及び第2の壁における第2の脚部を有する実質的なU形状形態を有し、第1の脚部及び第2の脚部は、歯先端で互いに合流する。第1の脚部と第2の脚部との間に、カッタのための、特にその歯のための取り付け隙間又はスロットが設けられ得る。
【0047】
本開示のさらなる態様によれば、毛切断器具のためのブレードセットが提示される。ブレードセットは、本開示の原理の少なくとも幾つかにしたがって形成される静止ブレード及びカッタを有し得る。幾つかの実施形態では、カッタは、ガイド開口、特に横方向に延びるスロットを有し、このガイド開口の中に静止ブレードの中間壁が配置される。
【0048】
ブレードセットが、静止ブレード及びカッタからなることが特に好ましい。これは、カッタのための駆動力伝達部材を含み得る。言い換えると、幾つかの実施形態では、ブレードセットがさらなる要素を有さないことが好ましい。しかし、カッタが、付勢スプリング要素のような、別個の付勢部材によって付勢されることなしにガイドスロットに配置されることが特に好ましい。その結果、カッタの上部側が第1の壁と接触し且つカッタの底部側が第2の壁と接触することが好ましい。カッタは好ましくはガイドスロットにスライド可能に配置されるので、カッタがガイドスロットの中に第1の壁及び第2の壁それぞれに対してあるクリアランスを備えて配置され得ることは言うまでもない。
【0049】
相対運動は、静止ブレードに対するカッタの往復運動を含み得る。幾つかの実施形態では、相対運動は、カッタブレードに対する可動ブレードの回転を含み得る。
【0050】
上記態様によれば、カッタのガイド開口及び静止ブレードの中間壁は、静止ブレードに対するカッタの長手方向位置を規定するように、協働し得る。さらに、静止ブレードの中間壁は、可動カッタを静止ブレードに保持し得る。好ましくは、中間壁は、少なくとも部分的にガイド開口を通って延びる。言い換えると、中間壁は、カッタがアセンブリの少なくとも1つの構成要素を破壊又は傷つけることなしに静止ブレードから取り外されることができないように、カッタのガイド開口と適合する高さ延長部(又は垂直延長部)を有し得る。
【0051】
それぞれのアセンブリが、カッタ及び中間壁の対の構成を(中間)静止ブレードのガイドスロットの中に挿入し、次に、中間壁を静止ブレードに、特にその第1の壁に取り付ける、特に固定して取付けることによって、完成されることができる。
【0052】
ブレードセットの1つの実施形態では、ガイド開口は、中間壁が静止ブレードに対するカッタの長手方向位置を規定するように、中間壁に適合される。言い換えると、カッタのガイド開口は、中間壁のそれぞれの長手方向延長部に適合する(少なくとも1つの歯付き先導エッジの横方向の延長部に概して直角な)長手方向延長部を有し得る。カッタは基本的に静止ブレードに対して動かされるように適合されるので、ガイド開口と中間壁との間の規定された長手方向のすきま嵌めが好ましい。カッタの運動は、横方向の運動を含み得る。概して、カッタは、静止ブレードに対するスライド運動をするように構成される。
【0053】
静止ブレードのガイドスロットは、第1の壁、第2の壁、及び中間壁によって共同で画定され得る。したがって、静止ブレードのガイドスロットは、カッタを垂直方向(又は高さ方向)及び長手方向に位置決めし得る。さらに、静止ブレード、特に中間壁は、カッタのための少なくとも1つの横方向リミットストップ(limit stop)を、好ましくは2つの反対側のリミットストップを備え得る。横方向リミットストップは、カッタのガイドスロットの内側横方向面と協働する中間壁のそれぞれの横方向端面によって規定され得る。これに関連して、伝達部材がそれぞれのガイド及び保持機能から解放され得ることは言及する価値がある。
【0054】
ブレードセットの1つの実施形態では、中間壁は、カッタのガイド開口の横方向に延びる内側ガイド面と接触するように構成される複数の長手方向に突出する接触要素を有する。これは、中間壁とカッタとの間の結果として生じるスライド接触面が減らされることができ、これは摩擦損失を、したがって、電力消費及び発熱を減少させ得るという利点を有し得る。
【0055】
ブレードセットの1つの実施形態では、静止ブレードの中間壁は、ガイド部分及び保持部分を有し、保持部分は少なくとも部分的に、カッタが静止ブレードに保持されるように、ガイド部分を超えて突出する。したがって、カッタは、静止ブレードに対して横方向に、分離不能に保持され得るが往復動可能であり得る。保持部分が少なくとも部分的に、長手方向にガイド部分を超えて突出することが好ましい。例として、第1の壁及び中間壁は、カッタの輪郭を受け且つガイドすることを提供する、二重T形状セクション(Iビームセクションとも称される)を規定し得る。
【0056】
ブレードセットの1つの実施形態では、ガイド部分の厚さは、静止ブレードにおけるカッタの規定されたすきま嵌めを可能にするようにカッタの高さに適合される。ガイド部分の厚さは、少なくともガイド開口の近傍において、カッタの厚さより僅かに大きくなり得る。したがって、カッタは、きついが多少スライド移動可能な方法で受け入れられ得る。
【0057】
ブレードセットの1つの実施形態では、ガイド部分及び保持部分のそれぞれは、それぞれの板金層から作られ、ガイド部分及び保持部分は固定して相互接続される。その結果、中間壁は、層構造を有し得る。例として、ガイド部分及び保持部分は、板金ブランク又はコイルからそれぞれの切断加工を経て得られ得る。切断は、一般的に、打ち抜き加工(blanking)、特にスタンピング(stamping)及び微細押し抜き(punching)を含み得る。ガイド部分及び保持部分を形成するそれぞれの層は、固定して相互接続されることができる、特に接合、より具体的には、互いに溶接されることができる。
【0058】
代替形態では、中間壁のガイド部分及び保持部分は、一体に形成され得る。したがって、ガイド部分及び保持部分は、単一のピースとして製造され得る。例として、ガイド部分及び保持部分は、それぞれの中間ブランク中間壁を機械加工することによって得られ得る。
【0059】
幾つかの実施形態では、保持部分は、ガイド部分の全長手方向の延長及びガイド開口のそれぞれの全長手方向の延長より少なくとも僅かに大きい、全長手方向の延長を有し得る。概して、保持部分は、ガイド部分を超えて少なくとも部分的に突出するカバープレートとして形成され得る。
【0060】
ブレードセットの1つの実施形態では、少なくとも1つの削り取り部分のテーパスクレーパ輪郭は、動作するとき、蓄積されたよごれ及びゴミを削り落とすために、カッタと静止ブレードとの間の相対運動に際し、静止ブレードの第1の壁と係合する。幾つかの実施形態では、カッタは、カッタと静止ブレードとの間の相対運動に際し、蓄積されたよごれ及びゴミを削り落とすために、静止ブレードの第2の壁に少なくとも部分的に係合する、テーパスクレーパ輪郭を有する少なくとも1つの削り取り部分を有する。
【0061】
本開示のさらなる他の態様によれば、切断器具のためのブレードセットの製造方法が提示され、前記方法は、次のステップを含む:
− 本開示の少なくとも幾つかの態様にしたがって形成された静止ブレードを製造するステップであって、静止ブレードは中間壁を有する、ステップ;
− 静止ブレードの少なくとも1つのそれぞれの歯付き先導エッジと協働するように配置される少なくとも1つの歯付き先導エッジを有するカッタを提供するステップであって、前記カッタはさらに、ガイド開口、特に横方向に延びるスロットを有する、ステップ;
− 中間壁をカッタのガイド開口に位置決めするステップ;
− カッタ及び中間壁を静止ブレードのガイドスロットの中に共同で挿入するステップであって、特に、可動切断ブレード及び中間壁を静止ブレードの横方向開口を通って共同で送り込むステップ;並びに
− 中間壁を第1の壁に取り付けるステップ、特に中間壁を第1の壁に接合するステップ。
【0062】
ブレードセット製造方法の1つの実施形態では、静止ブレードは、中間壁が第1の壁と第2の壁との間の中心オフセットを規定するように、構成される。さらに、カッタ及び中間壁を共同で挿入するステップは、中間壁及びカッタを有するパッケージを提供するステップによって先行され得る。したがって、静止ブレードを製造するステップは、中間壁を第1の壁に固定する又は取り付けることを必ずしも含まないことが理解されるべきである。対照的に、静止ブレードを製造することは、半完成の静止ブレード及び中間壁を提供することを実際にもたらしてもよく、他のステップにおいて、(最終的な)静止ブレードが中間壁を第1の壁に取付けることによって形成され得る。これは、カッタを静止ブレードにロックする又は固定することを含み得る。
【0063】
本開示の他の態様によれば、切断器具のブレードセット用カッタの製造方法が提示され、方法は、以下のステップの少なくとも1つを含む:
− 板金材料を提供するステップ;
− 静止ブレードの少なくとも1つのそれぞれの歯付き先導エッジと協働するように配置される少なくとも1つの歯付き先導エッジを有するカッタを得るために板金材料を加工するステップ;
− カッタの切断動作方向と直角である長手方向に少なくとも部分的に延びるテーパスクレーパ輪郭を有する少なくとも1つの削り取り部分を形成するようにカッタを加工するステップであって、少なくとも1つの削り取り部分は、取り付けられた状態において、動作しているときにカッタ及び静止ブレードが互いに対して動かされるとき、蓄積されたよごれ及びゴミを削り落とすために、ブレードセットの静止ブレードと、その第1の壁において接触するように、配置される、ステップ。
【0064】
好ましくは、方法はさらに、カッタに、ガイド開口、特に横方向に延びるスロットを形成するステップ、及びガイド開口の横方向端面に少なくとも1つの削り取り部分を形成するステップを含む。
【0065】
カッタ製造方法のさらなる洗練された実施形態では、少なくとも1つの削り取り部分が、ガイド開口の横方向沿面において加工され、削り取り部分は、少なくとも2つのセクションを有する、中断削り取り部分として構成され、内部に突出する当接タブがセクションの間に配置される。これは、ブレードセットの例示的な組立工程、特に、カッタ及び中間壁が静止ブレードのガイドスロットの中に共同で挿入されるときのステップを容易にし得る。さらに、少なくとも1つの内部に突出する当接タブは、ブレードセットが動作しているとき、テーパスクレーパ輪郭が、中間壁に接触することを防ぎ得る。
【0066】
本発明の好適な実施形態が従属請求項に定められる。請求項に記載された方法は、請求項に記載された装置及び従属請求項に定められたものと同様及び/又は同一の好適な実施形態を有することが理解されるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、切断器具10、特に電気切断器具10の例示的な実施形態を、単純化された斜視図で、概略的に示す。切断器具10は、ハウジング12、ハウジング12の中に破線ブロック14によって示されたモータ、及びハウジング12の中に破線ブロック16によって示された駆動機構又はドライブトレインを有し得る。モータ14に電力を供給するために、切断器具10の少なくとも幾つかの実施形態では、ハウジング12の中に破線ブロック17によって示される、例えば、再充電可能バッテリ、交換可能バッテリ等のような、電気バッテリが設けられ得る。しかし、幾つかの実施形態では、切断器具10は、さらに、電源に接続するための電力ケーブルを備え得る。電源コネクタが、(内部)電気バッテリ17に加えて又は(内部)電気バッテリ17の代わりに設けられ得る。
【0069】
切断器具10はさらに、切断ヘッド18を有し得る。切断ヘッド18において、ブレードセット20が切断器具10に取り付けられ得る。ブレードセット20は、切断運動を可能にするように駆動機構又はドライブトレイン16を介してモータ14によって駆動され得る。切断運動は、概して、例えば、
図3により詳細に示され且つ説明されるとともに、以下に説明され且つ論じられるであろう、静止ブレード22と可動ブレード24との間の相対運動と見なされ得る。一般的に、ユーザは、切断器具10を、握り、把持し、毛を切るために移動方向28に毛を通って手動で案内する。切断器具10は概して、手で導かれる及び手で操作される電動装置と見なされ得る。さらに、切断ヘッド18又は、より具体的には、ブレードセット20は、切断器具10のハウジング12に枢動可能な方法で接続されることができ、
図1に参照数字26によって示される湾曲両矢印を参照されたい。幾つかの実施形態では、切断器具10又は、より具体的には、ブレードセット20を含む切断ヘッド18は、皮膚に生える毛を切るために皮膚に沿って動かされることができる。毛を皮膚の近くで切るとき、基本的にシェービング動作が、皮膚のレベルで毛を切断又は切ることを目的として実行されることができる。しかし、刈り込み(又はトリミング)動作も想定されることができ、ブレードセット20を有する切断ヘッド18は、皮膚に対して所望の距離の経路に沿って通される。
【0070】
毛を通って案内又は動かされるとき、ブレードセット20を含む切断器具10は典型的には、
図1に参照数字28によって示される共通移動方向に沿って動かされる。これに関して、切断器具10が典型的には手動で案内され且つ動かされるとすれば、移動方向28はしたがって、必ずしも、切断器具10及びブレードセット20を備えるその切断ユニット18の向きに対して固定された定義及び関係を有する正確な幾何学的な基準として解釈されなくてもよいことは、言及する価値がある。すなわち、皮膚において切られることになる毛に対する切断器具10の全体的な向きは、多少非定常として解釈され得る。しかし、説明目的のために、(想像上の)移動方向28が、切断器具10の構造的な特徴を記載するための手段として以下で役立ち得る座標系の主な中心面に平行(又は概して平行)であることが、適正に想定されることができる。
【0071】
参照の便宜上、座標系が本明細書の幾つかの図面に示されている。例として、デカルト座標系X−Y−Zが
図1に示されている。それぞれの座標系のX軸は、本開示のために、概して長さに関連付けられる概して長手方向に延びる。座標系のY軸は、本開示のために、幅に関連付けられる横(又は横断)方向に延びる。座標系のZ軸は、説明のために、少なくとも幾つかの実施形態において、概して垂直方向と称され得る、高さ(又は垂直)方向に延びる。座標系X−Y−Zの切断器具10の特性及び/又は実施形態との関連性は、主に説明目的で提供されており、限定する方法で解釈されるものではないことは言うまでもない。当業者は、異なる向きを含む代替実施形態、それぞれの図面及び説明に直面するとき、本明細書に提供される座標系を容易に変換及び/又は移動し得ることが理解されるべきである。本開示のために、座標系X−Y−Zは概して、ブレードセット20を含む切断ヘッド18の主方向及び向きに位置合わせされることはさらに言及する価値がある。
【0072】
図2は、
図1に示された切断器具に取り付けられ得る切断ヘッド18の実施形態の斜視上面図を示す。切断ヘッド18は、既に上に示されたように、ブレードセット20を備える。ブレードセット20は、静止ブレード22及びカッタ24(
図2では隠されている)を有する。カッタ24は、概して可動カッタブレード24と称され得る。これに関連して、
図3及び
図4に示されたブレードセット20の分解図がさらに参照される。静止ブレード22及びカッタ24は、互いに対して動かされるように構成され、それによって、それらの切断エッジにおいて毛を切る。
【0073】
静止ブレード22はさらに、皮膚に面する表面と見なされ得る上面32を有する。典型的には、シェービング装置として動作しているとき、切断器具10は、上面32が皮膚に対して基本的に平行又は僅かに傾けられるような方法で向けられる。しかし、代替動作モードも想定されることができ、上面32は、皮膚に必ずしも平行ではない、又は少なくとも、実質的に平行ではない。例えば、切断器具10はさらに、あご髭スタイリング、より一般的には、ヘアスタイリングに使用され得る。ヘアスタイリングは、ユーザの異なって扱われる毛の部分又はあご髭部分の間のかなり鋭いエッジ又は移行部の処理を目的とし得る。例として、ヘアスタイリングは、もみあげ又は顔の毛のさらなる独特な区画の精密な成形を含み得る。その結果、スタイリングモードで使用されるとき、上面32及び今のところ処理されることになる皮膚部分は、ある角度に、特に互いに実質的に直角に配置される。
【0074】
しかし、主に説明目的のために、上面32並びに切断器具10の同様に向けられた部分及び構成要素は、以後、皮膚に面する構成要素及び部分と見なされ得る。その結果、逆の方法で向けられる要素及び部分は、開示の目的で、後方に向けられた要素及び部分と、又はむしろ、以後皮膚から離れる方に面する要素又は部分と見なされ得る。
【0075】
図2に示されるように、静止ブレード22は、長手方向Xに互いにオフセットされる第1の先導エッジ30a及び第2の先導エッジ30bを定め得る。少なくとも1つの歯付き先導エッジ30a、30bは、概して、横方向Yに延び得る。上面32は、長手方向X及び横方向Yによって規定される平面に概して平行である表面と見なされ得る。少なくとも1つの歯付き先導エッジ30において、静止ブレード22の複数の歯36が、設けられ得る。歯36は、それぞれの歯スロットと互い違いになり得る。歯スロットは、歯36の間にギャップを規定し得る。毛は、切断器具10が移動方向28(
図1)に毛を通って動かされるとき、ギャップに入り得る。
【0076】
静止ブレード22は、例えば、金属−プラスチック複合材として構成され得る。言い換えると、静止ブレード22は、金属構成要素40を提供すること(
図3及び
図4も参照)、及び金属構成要素40及びプラスチック構成要素38を接合することを含むプラスチック構成要素38を成形すること又は、より正確に、モールディングすることを含み得る、多段階製造方法から得られ得る。これは特に、インサート成形プロセス、アウトサート成形プロセス又はオーバーモールディングプロセスによって静止ブレード22を成形することを含み得る。概して、静止ブレード22は、2構成要素静止ブレード22と見なされ得る。しかし、静止ブレード22は好ましくは、統合製造プロセスによって形成されるので、基本的に、静止ブレード22を形成するとき、従来の組み立てステップは必要とされない。むしろ、統合製造プロセスは、ネットシェイプ(net-shape)製造ステップ又は、少なくとも、ニアネット(near-net-shape)製造プロセスを含み得る。
【0077】
静止ブレード22を異なる構成要素から形成すること、特に静止ブレード22を一体に形成することは、動作中に高い荷重に耐えなければならないそれの部分が高強度材料(例えば金属材料)から形成され得る一方動作しているとき概して大きい荷重にさら慣れないそれらの部分は、製造コストを著しく減らし得る異なる材料から形成され得るという利点をさらに有し得る。静止ブレード22をプラスチック材料として形成することはさらに、皮膚接触がより快適であるものとしてユーザに経験され得るという利点を有し得る。特にプラスチック構成要素38は、金属構成要素40と比較されるとき、大幅に減少して熱伝導率を示し得る。その結果、毛を切るときユーザによって感知される熱放射は減少し得る。従来の切断器具では、発熱は、切断性能を向上に対する巨大な障壁と見なされる場合がある。発熱は基本的に、切断器具の能力及び/又は切断速度を制限する。基本的に断熱材(例えば、プラスチック材料)を加えることによって、発熱スポット(例えば、切断エッジ)からユーザの皮膚への熱伝達は大幅に減少し得る。これは、特に、プラスチック材料で形成され得る静止ブレード22の歯36の先端に当てはまる。
【0078】
例として、静止ブレード22のプラスチック構成要素38は、いわゆる横方向側部プロテクタとも称され得る横方向保護要素42を装着され得る。横方向保護要素42は、静止ブレード22の横方向端部をカバーすることができ、
図3、4及び10も参照されたい。その結果、金属構成要素40の比較的鋭い横方向端部における直接皮膚接触が防がれることができる。少なくとも1つの横方向保護要素42は、プラスチック構成要素38の一体部品として形成され得る。
【0079】
静止ブレード22はさらに、取付要素48を備え得る。取付要素48は、プラスチック構成要素38に配置され得る、特にプラスチック構成要素38と一体に形成され得、
図3、4及び10も参照されたい。取付要素48は、取付突出部、特にスナップオン(snap-on)取付け要素を有し得る。取付要素48は、リンク機構50でそれぞれの取付要素と協働するように構成され得る。ブレードセット22が、それ以上の別個の取付け部材無しにリンク機構50に取り付けられることができることが特に好ましい。
【0080】
リンク機構50(
図2参照)は、切断器具10のブレードセット20とハウジング12を接続し得る。リンク機構50は、ブレードセット20が毛を通って案内されるとき動作中に旋回又は枢動し得るように構成され得る。リンク機構50は、ブレードセットに輪郭追従能力を提供し得る。
【0081】
図2はさらに、偏心結合機構58を示している。偏心結合機構58は、切断器具10の駆動機構又はドライブトレイン16の一部と見なされ得る。偏心結合機構58は、
図2に参照数字64によって示される湾曲矢印を参照する、回転駆動運動を、これに関連して
図14(参照数字126によって両矢印で示される)も参照する、静止ブレード22に対する可動ブレード24の往復運動に変換するように構成され得る。偏心結合機構58は、軸62周りの回転のために駆動されるように構成される駆動シャフト60を有し得る。ブレードセット22に面する駆動シャフト60の前方端部において、偏心部分66が設けられ得る。偏心部分66は、(中心)軸62からオフセットされる円筒部分を有し得る。駆動シャフト60の回転に際し、偏心部分66は軸位62の周りを公転する(revolve)。偏心部分66は、可動ブレード22に取り付けられ得る伝達部材70に係合するように配置される。
【0082】
図3及び
図4の分解図に示された実施形態をさらに参照して、伝達部材70がさらに詳述され且つ描写される。伝達部材70は、駆動シャフト60の偏心部分66によって係合されるように構成され得る往復動要素72を有することができ、
図2も参照されたい。その結果、往復動要素72は、駆動シャフト60によって往復動式に駆動され得る。伝達部材70はさらに、カッタ24に、特にそのメイン部分78に接触するように構成され得るコネクタブリッジ74を有し得る。例として、コネクタブリッジ74は、カッタ24に接合され得る。接合は、ろう接、溶接及び同様のプロセスを含み得る。往復動要素72は、コネクタブリッジ74に接合され得る。このために、インサート成形、アウトサート成形及び/又はオーバーモールディングプロセスが用いられ得る。これに関連して、カッタ24が、少なくとも1つの横方向端部スロット98、好ましくはカッタ24の反対側の横方向端部に2対の横方向端部スロット98を有することがさらに一層好ましくなり得る。少なくとも1つの横方向端部スロット98は、基本的に横方向に延びるスロット又は切り欠きとして配置され得る。少なくとも1つの横方向端部スロット98は、コネクタブリッジ74のカッタ24への取り付けに起因し得る、ひずみ、特に熱誘起溶接ひずみを補償するために設けられ得る。このために、少なくとも1つの横方向端部スロット98は、それぞれの接合スポット又は溶接スポットの近傍に配置され得る。好ましくは、1対の横方向端部スロット98が、それぞれの接合スポット又は溶接スポットに隣接して配置され、このスポットは、横方向端部スロット98の間に配置される。
【0083】
しかし、少なくとも幾つかの実施形態では、コネクタブリッジ74又は伝達部材70の同様の接続要素は、むしろカッタ24に取り付けられ得る。本明細書で使用されるとき、取り付けることは、嵌め込むこと、圧入すること、押し入れること又は同様の取付動作を含み得る。伝達部材70はさらに、コネクタブリッジ74に配置され得る取付要素76を有し得る。取付要素76において、往復動要素72がコネクタブリッジ74に取り付けられ得る。例として、コネクタブリッジ74及び取付要素76は、金属部品として構成され得る。例として、往復動要素72は、プラスチック部品として構成され得る。例えば、取付要素76は、コネクタブリッジ74で往復動要素72を固定するためのスナップオン要素を含み得る。しかし、代替形態では、取付要素76は、往復動要素72がコネクタブリッジ74に堅固に接合されるとき、往復動要素72のためのアンカー要素と見なされ得る。
【0084】
これに関連して、伝達部材70は、主に、横方向往復動式駆動運動をカッタ24に伝達するように構成され得ることは言及する価値がある。しかし、伝達部材70はさらに、ブレードセット20におけるカッタ24の紛失防止装置(loss prevention device)として働くように構成され得る。
【0085】
図3はさらに、中間壁44を実装するブレードセット20の実施形態を示す。
図4はさらに、中間壁44の代替実施形態を実装するブレードセット20の実施形態を示す。組立てられた状態において、中間壁44は、ブレードセット20の静止ブレード22に、特にその第1の壁100に固定して取付けられ得る、
図7及び
図8も参照されたい。より正確には、中間壁44は、組立てられた状態において、金属構成要素40に固定して取付けられ得る。
図3に示されたブレードセット20の実施形態と同様の実施形態を通る断面図が
図15に示されている。
図4に示されたブレードセット20の実施形態と同様の実施形態を通る断面図が
図16に示されている。
【0086】
図3、7及び15から見ることができるように、中間壁44は、ガイド部分52を有し得るとともに、さらにカッタ24のそれぞれのガイド開口46と協働するように構成され得る。このために、中間壁44は、好ましくはガイド部分52に配置される接触要素56を有し得る。例として、2対の反対側の接触要素56が、ガイド部分52の反対側の横方向端部に設けられ得る。接触要素56は、ガイド開口46に設けられた少なくとも1つの内側ガイド面57に接触するように構成される。接触要素56は、接触タブと称され得る。少なくとも1つの内側ガイド面57は、横方向に延びるガイド面と称され得る。概して、中間壁44は、静止ブレード22におけるカッタ24の横方向位置を定めるように構成され得る。
【0087】
これに関連して
図11がさらに参照される。
図11は、カッタ24及び中間壁44が係合又は組み合わされている配置を示す。さらに、カッタ24が中間壁44に対して少なくとも僅かに横方向法に移動可能であることを見ることができ、参照数字126によって示された両矢印を参照されたい。長手方向(X方向)に関して、中間壁44とカッタ24との間のきついすきま嵌めが望まれ得る。
【0088】
図3、7及び15をさらに参照すると、中間壁44のプラスチック構成要素38及び金属構成要素との共同がさらに詳細に説明される。概して、プラスチック構成要素38は、第2の壁102の少なくとも実質的な部分を形成し得る。概して、金属構成要素40は、第1の壁100の少なくとも実質的な部分を形成し得る。したがって、中間壁44は基本的に、第1の壁100から第2の壁102に、特に金属構成要素40からプラスチック構成要素38に延び得る。上に示されたように、中間壁44は第1の壁に固定して取り付けられ且つ取り付けられた状態で第2の壁と当接することが好ましくなり得る。中間壁44が第2の壁102に接合されることは必ずしも必要とされない。しかし、中間壁44が第1の壁100と第2の壁102との間に取り付けられた状態で少なくとも僅かに付勢される方法で配置されることが好ましい。
【0089】
図4、8及び16から見ることができるように、代替構成では、静止ブレード22は、ガイド部分52及び保持部分54を有する中間壁44を有し得る。保持部分54は、長手方向(X方向)にガイド部分52の上に少なくとも僅かに突出し得る。結果として、中間壁44はさらに、カッタ24の垂直位置(Z位置)を規定し得る。特に
図16を参照されたい。
【0090】
概して、中間壁44及び金属構成要素40は、取り外し不能な方法で静止ブレード22にカッタ24を固定するために協同し得る。これは、
図3に示された実施形態及び
図4に示された実施形態によって達成され得る。
【0091】
図3及び4はさらに、分解された状態で、静止ブレード22のプラスチック構成要素38及び金属構成要素40を示す。
これに関連して、静止ブレード22が一体に形成されているので、そのプラスチック構成要素38は典型的には、そのような孤立した独特の状態として存在しないことが言及される価値がある。むしろ、少なくとも幾つかの実施形態では、プラスチック構成要素38を形成することは、プラスチック構成要素38を金属構成要素40に堅固に接合することを必ず含み得る。中間壁44は、それに後の段階で取り付けられ得る。
【0092】
静止ブレード22は、そこを通ってカッタ24が挿入され得る少なくとも1つの横方向開口68を有し得る。その結果、カッタは、横方向Yに挿入され得る。しかし、少なくとも幾つかの実施形態では、伝達部材70は、カッタ24に基本的に垂直方向Zに沿って動かされ得る。カッタ24及び伝達部材70を係合させることはしたがって、第1にカッタ24を静止ブレード22の横方向開口68を通って挿入し、次に、カッタ24が静止ブレード22に配置されるとき、カッタ24に接続されるように静止ブレード22に垂直方向Zに沿って伝達部材を送る又は動かすことを含む。
【0093】
一般的に、カッタ24は、メイン部分78に隣接して少なくとも1つの歯付き先導エッジ80を含み得る。特に、カッタ24は、第1の先導エッジ80a及び第1の先導エッジ80aから長手方向にオフセットされる第2の先導エッジ80bを有し得る。少なくとも1つの歯付き先導エッジ80において、それぞれの歯スロットと互い違いになる複数の歯82が形成され得る。歯82のそれぞれは、特にそれらの横方向の側面(flanks)に、それぞれの切断エッジ84を備え得る。カッタ24の少なくとも1つの歯付き先導エッジ80は、カッタ24と静止ブレード22の相対運動が引き起こされるとき静止ブレード22のそれぞれの歯付き先導エッジ30と協働するように配置され得る。その結果、静止ブレード22の歯36及びカッタ24の歯82は毛を切るために協働し得る。
【0094】
特に
図5乃至10を参照すると、静止ブレード22の実施形態の構造及び構成がさらに詳述されるとともに図示される。
図5は静止ブレード22の部分上面図であり、金属構成要素40の隠された部分(
図6も参照)が説明目的のために示されている。静止ブレード22の歯36に、先端86が形成され得る。先端86は、主にプラスチック構成要素38から形成され得る。しかし、歯36の実質的な部分は、金属構成要素40によって形成され得る。
図6から最も良く見ることができるように、金属構成要素40は、歯36の実質的な部分を形成し得るいわゆる歯ステム部分88を有し得る。歯ステム部分88は、カッタ24の歯82の切断エッジ84と協働するように構成されるそれぞれの切断エッジ94を備え得る。歯ステム部分88の長手方向端部に、アンカー要素90が配置され得る。アンカー要素90は、金属構成要素40及びプラスチック構成要素38の接続部をさらに強化させ得る確動嵌合接触要素として見なされ得る。
【0095】
例として、アンカー要素90は、アンダーカット(undercuts)又は凹部を備え得る。その結果、アンカー要素90は、かかりのついた(barbed)アンカー要素と見なされ得る。好ましくは、アンカー要素90に接触するプラスチック構成要素38のそれぞれの部分は、傷つけられる又はさらに破壊されることなしに金属構成要素40から取り外される又は解放されることができない。言い換えると、プラスチック構成要素38は、金属構成要素40と密接に結合され得る。
図6に示されるように、アンカー要素90は、凹部又は孔92を備え得る。孔92は、例えば、スロット孔として配置され得る。プラスチック構成要素38を成形するとき、プラスチック材料は孔92に入り得る。
図7及び9から最も良く見ることができるように、プラスチック材料は、両(垂直)側から、すなわち、上部側及び底部側から、アンカー要素90の凹部又は孔92を満たし得る。その結果、アンカー要素90は、プラスチック構成要素38によって完全に覆われ得る。アンカー要素90に隣接して、先端86が形成され得る。プラスチック構成要素38から先端86を形成することはさらに、先導エッジ30の前面端部が、エッジを和らげるために、さらに丸められ得る又は面取りされ得る比較的柔らかい材料から形成されるという利点を有し得る。その結果、先導エッジ30の前面端部でユーザの皮膚に接触することは、典型的には、皮膚への刺激又は同様の有害作用を引き起こすこととして経験されない。また高温スポットも、プラスチック構成要素38が典型的には、金属構成要素40と比べて、比較的低い熱伝導率を備えるので、先端36で防がれ得る。
【0096】
図7、8及び9の断面図から最も良く見ることができるように、先導エッジ30の前面端部におけるは36の先端86のエッジは、かなり丸くされ得る。さらに見ることができるように、歯36の領域の上面32における金属構成要素40とプラスチック構成要素38との間の移行部は、実質的に継ぎ目無し又は段差無しであり得る。さらにこれに関連して
図10が参照される。アンカー要素90を、それらの上部(皮膚に面する側部)が上面32からオフセットされるように形成することは有利であり得る。その結果、アンカー要素90の皮膚接触側もプラスチック構成要素によって覆われ得る。
図9も参照されたい。1つの実施形態では、アンカー要素90は、上面32に対して傾けられ得る。アンカー要素90は、歯ステム部分88に対して角度α(アルファ)で配置され得る。アンカー要素90が上面32に対して後ろ向きに曲げられることが、さらに好ましくなり得る。少なくとも幾つかの実施形態では、アンカー要素90は、歯ステム部分88より薄くなり得る。これはさらに、成形するときプラスチック構成要素38によって満たされ得る空間を拡大し得る。
【0097】
図7を参照すると、静止ブレード22は、さらに詳述されるとともに図示される。静止ブレード22は、カッタ24のためのガイドスロット96を定めるとともに取り囲み得る。この目的のために、静止ブレード22は、第1の壁100及び第2の壁102を有し得る。この開示の目的のために、第1の壁100は、皮膚に面する壁と見なされ得る。これは、特に、ブレードセット20がシェービングのために使用されるとき当てはまる。その結果、第2の壁102は、皮膚から離れる方に面する壁と見なされ得る。言い換えると、第1の壁100は、上部壁とも称され得る。第2の壁102は、底部壁とも称され得る。
【0098】
主に説明目的のために、
図7及び
図8は、中間壁44の僅かにずれている実施形態を示し、
図3及び
図4も参照されたい。
図7によれば、中間壁44は主に、カッタ24のそれぞれのガイド開口46に適合させられるガイド部分52からなる。
図8によれば、中間壁44は、カッタ24及び保持部分54のそれぞれのガイド開口46に適合させられるガイド部分52を有する。
図7から見ることができるように、中間壁44は、静止ブレード22の第1の壁100と第2の壁102との間に中心オフセットl
coを設定し得る。これは、−結果として−歯36における第1の壁100と第2の壁102との間の所望のギャップがこの方法で正確に規定され得るので、有利になり得る。
【0099】
したがって、カッタ24は、正確且つ精密な方法でガイドスロット94の中に受け入れられ得る。
図15から見ることができるように、カッタ24は、高さの延長l
tを有する。それぞれの所望のギャップは、中心オフセットl
coによって決定され得る。その結果、静止ブレード22におけるカッタ24の所望の嵌合が、第2の壁102又は、より正確には、プラスチック構成要素38それ自体が典型的には絶対的に厳密な公差で製造されることができないにもかかわらず、確保され得る。さらに、収縮効果及びそり(warpage)が、中心オフセットlcoを精密に設定することによって少なくともある程度補償され得る。
【0100】
図8から見ることができるように、中間壁44はさらに、取り付けられることになるカッタ24のための結果として生じるギャップl
clを規定し得る。これは、ガイド部分52がカッタ24の高さl
tに十分に適合される(すなわち、わずかに高い)とき且つ中間壁44がガイド部分52を超えて少なくとも部分的に突出する保持部分54を備えるときに達成され得る。結果として、第2の壁102及び/又はプラスチック構成要素38は、カッタ24からの所望のギャップ又はクリアランス規定することからある程度解放され得る
【0101】
第1の壁100及び第2の壁102は、静止ブレード22の歯36を共同で定め得る。歯36は、カッタ24のための、特に、少なくとも1つの歯付き先導エッジ80に配置されたその歯82のための、スロット又はギャップを有し得る。上に示されたように、第1の壁100の少なくとも実質的な部分は、金属構成要素40によって形成され得る。第2の壁102の少なくとも実質的な部分は、プラスチック構成要素38によって形成され得る。
図7に示された実施形態では、第2の壁102は、プラスチック構成要素38によって完全に形成される。むしろ、第1の壁100は、プラスチック構成要素38及び金属構成要素40によって一緒に形成される。これは、特に、先導エッジ30に当てはまる。第1の壁100は、そのそれぞれの歯部分に、接合部分を有することができ、プラスチック構成要素38は、金属構成要素40に接合される。接合部分106は、金属構成要素40のアンカー要素90及びアンカー要素90を覆うプラスチック構成要素38のプラスチック材料を含み得る。
【0102】
図7及び
図9は、歯36を通る断面を示し、
図5の線VIII−VIIIも参照されたい。対照的に、
図8は、歯スロットを通る断面を示し、
図5の線VII−VIIを参照されたい。
図7及び
図8から最も良く見ることができるように、第1の壁100及び第2の壁102は、歯36を含む先導エッジ30を共同して形成し得る。第1の壁100及び第2の壁102は、それぞれの歯36の基本的にU形状の横方向断面を共同して定め得る。第1の壁100は、U形状形態の第1の脚部110を定め得る。第2の壁102は、U形状形態の第2の脚部を定め得る。第1の脚部110及び第2の脚部112は、歯36の先端86で接続され得る。第1の脚部110と第2の脚部112との間に、カッタ24のためのスロット又はギャップが設けられ得る。
【0103】
さらに
図7から見ることができるように、第1の壁100は、静止ブレード22の第2の壁1002より著しく薄くなり得る。その結果、皮膚に面する第1の壁100において、毛は、皮膚の非常に近くで切られることができる。したがって、第1の壁100、特に金属構成要素40の厚さを減少させることが望ましい。例として、特に歯ステム部分88における、金属構成要素40の厚さl
tm(
図8参照)は、約0.08mmから0.15mmの範囲であり得る。その結果、第1の壁100それ自体は、大幅に小さい強度及び剛性を示し得る。したがって、第2の壁102を加えることによって第1の壁100を支援する又は補強するために有益である。第2の壁102の厚さは基本的に最小の達成可能な切断長さ(例えば、皮膚に残っている長さ)に影響しないので、特にそれぞれの先導エッジ30における、第2の壁102の厚さは、第1の壁100の、特に金属構成要素40の厚さl
tmより著しく大きくなり得る。これは、静止ブレード22に十分な強度及び安定性を提供し得る。さらに
図7から見ることができるように、第1の壁100及び第2の壁102は基本的に、閉鎖輪郭を、少なくとも部分的にそれらの横方向の延長に沿って、形成することができ、これに関連して
図12及び13も参照されたい。これは特に、静止ブレード22が第1及び第2の先導エッジ30a、30bを備えるとき当てはまり得る。その結果、静止ブレード22の剛性、特に曲げ応力及びねじり応力に対する剛性は、さらに増加され得る。
【0104】
1つの実施形態では、第2の壁102は、それぞれの先導エッジ30における第2の脚部112に隣接して、傾斜部分116を有し得る。静止ブレード22が垂直方向Z及び横方向Yによって規定される中心平面に対して基本的に対称であることを仮定すると、第2の壁102はさらに、傾斜部分116に隣接して中心部分118を有し得る。その結果、中心部分118は、第1の傾斜部分116と第2の傾斜部分116との間に挟まれ得る。第1の傾斜部分116は、第1の先導エッジ30aにおけるそれぞれの第2の脚部112に隣接して位置決めされ得る。第2の傾斜部分116は、第2の先導エッジ30bにおけるそれぞれの第2の脚部に隣接して位置決めされ得る。
図7に最も良く見ることができるように、第2の壁102は、したがって、傾斜部分116及び中心部分118によって主に規定される基本的にM形状断面を有し得る。
【0105】
さらに
図12及び
図13を参照すると、静止ブレード22のプラスチック構成要素38の実施形態の形状及び構成がさらに詳述されるとともに図示される。
図12に最も良く見ることができるように、傾斜部分116a、116bは、基本的に、プラスチック構成要素38の(横方向の)全長に対して延び得る。先導エッジ30a、30bは概して、プラスチック構成要素38の(横方向の)反対側の端部に配置される第1の横方向保護要素42と第2の横方向保護要素42との間に延びる。ガイドスロット96の底部側を基本的に規定する
図9に示されたプラスチック構成要素の凹部が、金属構成要素40によって概して覆われ、
図2を参照されたい。
【0106】
図13に最も良く見ることができるように、傾斜部分116a、116bの間の中心部分118は、概して、プラスチック構成要素38の(横方向の)全長の実質的な部分に沿って延び得る。しかし、中心部分118に並んで、少なくとも1つの開口スロット120が設けられ得る。
図12及び
図13に示された実施形態によれば、中心部分118は、第1の開口スロット120aと第2の開口スロット120bとの間に配置され得る。開口スロット120a、120bは、組立てられた状態において、そこを通ってカッタ24が伝達要素70によって接触され得る少なくとも1つの開口を定め得る。
図12に最も良く見ることができるように、プラスチック構成要素38はさらに、少なくとも1つのガイド要素122を、特に、コネクタブリッジ74を、したがって、それに接続されたカッタ24を案内するように構成され得る複数のガイド要素122を有し得る。1つの実施形態では、複数のガイド要素122は、対で配置され、それぞれの対は、中心部分118の横方向にオフセットされた端部に配置され得る。ガイド要素122は、基本的に垂直に延びる凸状に形成された輪郭として配置され得る。ガイド要素122は、伝達部材70及びカッタ24の長手方向の位置を定め得る。しかし、カッタ24の長手方向位置を定めるように構成され得る中間壁44を実装する実施形態に関して、ガイド要素122は、互いにさらに離間され得る。結果として、伝達部材70及びそのコネクタブリッジ74は、ガイド要素122との永久的な案内接触にある必要はない。むしろ、ガイド要素122は、荒い長手方向の方向合わせのために設けられ得る一方、中間壁44が、カッタ24の正確な長手方向の位置決めを確実にし得る。ブレードセット20の最終的に組み立てられた状態では、ガイド要素122とコネクタブリッジ74との間に十分な長手方向のクリアランスがあり得る。その結果、カッタ24及び静止ブレード22の過剰に決定された組立(over-determined assembly)が回避され得る。
【0107】
これに関連して、中心部分118及び特に伝達部材70のための少なくとも1つの開口スロット120は、代替実施形態において異なって構成され得る。例として、1つの実施形態では、中心部分118は、そこを通ってコネクタブリッジ74がカッタ24に接触し得る1つの開口スロット120によって中断される。したがって、伝達部材70のコネクタブリッジ74が、
図3に見ることができるように、横方向Yに互いから大幅に離間されるカッタ24のための2つのコンタクトスポットを必ずしも有する必要がないことが強調される。むしろ、コネクタブリッジ74は、(横方向)中心部分においてカッタ24にも接触し得る。
【0108】
特に
図14、15及び16を参照すると、可動ブレード24を取り付けられている静止ブレード22を含むブレードセット22がさらに詳述されるとともに図示される。
図14は、ブレードセット22の部分上面図であり、カッタ24の隠された輪郭が破線によって示されている。
図15は、
図3に示された構成の断面図であり、断面は、静止ブレード22の歯36及びカッタ24の歯スロットを含み、
図14の線XV−XVを参照されたい。
図16は、
図4に示された構成の断面図であり、断面は、静止ブレード22の歯36及びカッタ24の歯スロットを含み、
図14の線XVI−XVIを参照されたい。その結果、
図15及び
図16はしたがって基本的に僅かに異なる実施形態の同様に配向された端面(
図14における同じ線)を示す。カッタ24は、往復動する方法で静止ブレード22に対して駆動されることができ、
図14に126によって示される両矢印を参照されたい。静止ブレード22及びカッタ24の相対運動に際し、それぞれの歯36及び82は、それぞれの歯スロットに入る毛を切るように協働し得る。
【0109】
駆動運動をカッタ24に伝達するように基本的に構成される伝達部材70は、静止ブレード22を通って、特に、静止ブレード22の中心部分118に関連付けられる少なくとも1つの開口スロット120を通って延び得る。
図13を参照されたい。
図16はさらに、ガイド部材70を、そしてその結果カッタ24を案内し得る一対のガイド要素122を示す。幾つかの実施形態では、ガイド要素122は、静止ブレード22における伝達部材70及びカッタ24の長手方向位置を規定し得る。幾つかの実施形態では、静止ブレード22におけるカッタ24の長手方向位置は、静止ブレード22の中間壁44及びカッタ24のガイド開口46の協働によって定められ得る。
【0110】
少なくとも幾つかの実施形態では、カッタ24が、規定された方法でガイドスロット96に配置されることが特に好ましい。さらなる取付部材、特に付勢部材が、カッタ24をその所望の位置に且つ第1の壁100と密接して保つために必要とされないことがさらに好ましくなり得る。これは、静止ブレード22が第1の壁100及び第1の壁100の反対側の第2の壁102を備えるので達成され得る。両方の壁100、102は、カッタ24の垂直位置(Z位置)が、近い公差で規定され得るように、カッタ24のための、特にその歯82のための精密な嵌合スロットを定め得る。これは、ブレードセット24の製造及び組立コストを著しく減少させ得る。
【0111】
例として、静止ブレード22及びカッタ24は、カッタ24が少なくとも部分的に第1の壁100に実質的に平面的な方法で接触するように構成され得る。これは特に、それぞれの歯部分に当てはまり得る。これに関連して、このような構成が、ブレードセット20が動作されるとき、実際には完全な面接触を必要としないことは言及する価値がある。対照的に、静止ブレード22及び/又はカッタ24は、少なくとも動作しているとき、小さい接触面積のみが残るように、曲げられる又は予荷重をかけられ得る。しかし、第1の壁100は、少なくとも(垂直)方向Zにおけるカッタ24のための規定されたリミットストップとして機能し得る。第1の壁100及び第2の壁102は、カッタ24のためのガイドスロット96における結果として生じるギャップ又は高さ寸法を規定し得る。結果として生じるギャップl
cl(
図8参照)は、取り付けられることになるカッタ24のための規定されたクリアランスが設けられるように、規定され得る。その結果、カッタ24は、少なくとも動作しない状態に、著しい予荷重なしで静止ブレード22に配置され得る。しかし、他の実施形態では、スロット96に取り付けられることになるカッタブレード24のためのギャップ又は高さ寸法は、基本的に締まりばめ(interference fit)が提供されるように、規定され得る。その結果、カッタ24は、静止ブレード22によって少なくとも僅かに予荷重をかけられ得る。カッタ24の高さ寸法又は厚さ寸法l
t(
図15も参照)は、少なくともその少なくとも1つ歯付き先導エッジ80において、0.1mmから0.18mmの範囲にあり得る。
図16に示された実施形態によれば、中間壁44のガイド部分52の高さは、カッタ24のための結果として生じるギャップ又は高さを精密に設定する。したがって、第2の壁102は(又はプラスチック構成要素38)は、結果として生じるギャップにより小さい影響がある。
【0112】
図17a乃至20は、少なくとも第1の壁100の実質的な部分として働き得る金属構成要素40のさらなる有利な代替実施形態を示す。
図17a及び
図17bは、そこからアンカー要素90が延びる例示の歯ステム部分88の側面図を示す。
図18乃至20は、そこからそれぞれのアンカー要素90が突出する例示の歯ステム部分88底面図を示す。
図5乃至10に示された静止ブレード22の実施形態に関連して既に説明したように、静止ブレード22のプラスチック構成要素38がアンカー要素90を、すなわち、歯ステム部分88から突出するその側部を、完全に覆い得るように、アンカー要素90を形成することは有利になり得る。静止ブレード22の上面32(
図2参照)が、基本的に平面状又は平らであること、より一般的には、(もしあれば)横方向保護要素42を除いて滑らかな表面を有することがさらに好ましいので、プラスチック構成要素が成形するとき上部側134も覆い得るように、アンカー要素90の上部側134にある空間又はオフセットを提供することが有利であり得る。これに関連して、上面32の好適な平面又は平らな形状は、実際問題として、第1の壁100及びその上面32が僅かに湾曲又は曲げられ得ることを必ずしも除外しないことが、言及する価値がある。対照的に、少なくとも幾つかの実施形態では、第1の壁100が僅かに凸状の長手方向の延長を示すことが想定され得る。
【0113】
図17aは、静止ブレード40の実施形態を示し、アンカー要素90は、上面32からオフセットされる、特に実質的に平行な方法でオフセットされる。結果として生じるオフセット寸法l
oが
図17aに示されている。オフセット寸法l
oは、例えば、約0.03mmから約0.1mmの範囲にあり得る。
図17bは、金属構成要素40の歯ステム部分88におけるアンカー要素90の更なる代替実施形態を示す。
図17aに示された実施形態と同様、
図17bに示された歯ステム部分90は、金属構成要素40の上面21からオフセットされ得る。さらに、アンカー要素90は、歯ステム部分40に対して傾斜又は曲げられ得る。垂直オフセット寸法が
図17bにl
oによって示されている。傾斜角度が
図17bにα(アルファ)によって示されている。例として、オフセット寸法l
oは、約0.03mmから約0.08mmの範囲にあり得る。傾斜角度αは、好ましくは、鋭角である。例として、傾斜角度αは、約10°(度)から約35°(度)の範囲にあり得る。
【0114】
図18は、
図17bに示された実施形態にしたがって形成され得るアンカー要素90を含む歯ステム部分88の底面図を示す。歯ステム部分88は、アンカー要素90の横方向の延長又は幅w
aより大きい横方向の延長又は幅w
sを有し得る。延長w
aは、プラスチック構成要素38のプラスチック材料が歯ステム部分88の幅w
sを超えることなしにアンカー要素90の(横方向)表面も覆い得るように選択され得る。アンカー要素90が、アンカー要素90及びプラスチック構成要素38の密な結合を可能にするように、ある凹んだ特徴部、特にかかりの付いた特徴部を有することが一般的に好ましい。アンカー要素90は、孔、スロット又は、より具体的にはスロット孔92を備え得る。したがって、プラスチック材料は、それぞれの凹所92に入り得る。その結果、金属構成要素40及びプラスチック構成要素38は、それぞれの接合部分で、堅固に接合され、さらに、形状が合う(form-fit)方法で接続され得る。
図19及び
図20は、歯ステム部分88のためのアンカー要素90の更なる実施形態を示す。例として、
図19及び20に示されたアンカー要素90は、
図17aに示された実施形態にしたがって形成され得る。
図19のアンカー要素90は、孔として、特に円筒孔として形成された凹部92を有し得る。
図20に示されたアンカー要素90は、横方向のへこみとして配置される凹部92を含み得る。その結果、アンカー要素90は、それらの長手方向の延長に首部を含み得る。例えば、アンカー要素90は、H形状の形態(90°回転される)を基本的に有し得る。
【0115】
金属構成要素40及びプラスチック構成要素38が接合されるが形状が合う方法でもアンカー要素として接続され得るように、アンカー要素90は形状が合う要素を備えることが一般的に好ましい。
【0116】
金属−プラスチック複合材静止ブレード22のための金属構成要素40のさらなる有利な実施形態を示す、
図21乃至23がさらに参照される。上に示され且つ説明されたように、アンカー要素90が、金属構成要素40の歯ステム部分88に、特に歯ステム部分88の長手方向の端部に設けられることが特に好ましい。
図21及び
図22に示されたそのアンカー要素90は、金属構成要素40とプラスチック構成要素38との間の、信頼性のたる固定された結合、特に基本的に取り外し不能な接合を確実にし得る。アンカー要素90は、アンカー要素90を経由した歯ステム部分88におけるプラスチック材料の締まりばめを確実にするためのフック又はかかりの付いたフックとして基本的に働く(特に長手方向Xに直角である面で見るとき)あるアンダーカットされた幾何学的形状を備えることがさらに好ましい。
【0117】
図21の側面図及び
図22の底面図から見ることができるように、アンカー要素90は、湾曲形状、特にフック様形状を示し得る。より具体的には、アンカー要素90は、第1の傾斜部分128及び第2の傾斜部分130を有し得る。第1の傾斜部分128及び第2の傾斜部分130の両方は、移行領域、特に湾曲又は丸められた移行領域で互いに接続され得る又は互いに合流し得る。横方向Yに直角な平面で見るとき、アンカー要素90は、基本的に一定の(横)断面を有し得る。言い換えると、第1の傾斜部分128及び第2の傾斜部分130は、長手方向Xに対して傾けられ得る。さらに、第1の傾斜部分128及び第2の傾斜部分130は、互いに対して反対に傾斜され得る。したがって、アンカー要素90のフック様形状は、それにプラスチック材料を固定させ得る。例えば、それぞれの歯ステム部分88から始まって、第1の傾斜部分128は、底部側に向かって傾けられるとともに、第2の傾斜部分130は、上部側に傾けられ得る。
【0118】
歯ステム部分88は、アンカー要素90の横方向の延長又は幅w
aより大きい横方向の延長又は幅w
sを有し得る。これに関連して、
図18が参照される。プラスチック材料が成形するとき上部側134も覆い得るようにアンカー要素90の上部側134にある空間又はオフセットが設けられることはさらに有利になり得る。好ましくは、プラスチック材料は、接合された状態において、アンカー要素を完全に覆い得る。この目的のために、それぞれのアンカー要素90は、上面32からオフセットされ得る。
図21のオフセット寸法l
oも参照されたい。
【0119】
図21乃至23に示された実施形態によるアンカー要素90は、特定の凹部がそのなかに加工される(
図18乃至20の凹部又は孔92を参照されたい)必要がないという利点を有し得る。これはさらに、金属構成要素40を製造することを単純化し得る。例として、
図21乃至23のアンカー要素90は、材料成形プロセスを通じて、特に冷間成形によって得られ得る。したがって、材料除去プロセスは、湾曲アンカー要素90を成形するために必要ではない。これはさらに、例えば、比較的複雑なエッチングプロセスを回避する。例として、金属構成要素の生形状が、切断プロセス、特にスタンピングプロセスを通じて得られ得る。生部品はその後、それに材料成形プロセスを適用することによってさらに成形され得る。組み合わされたスタンピング及び曲げプロセスも、これに関連して想定され得る。
【0120】
それぞれの湾曲アンカー要素90を備える金属構成要素40の部分斜視図が
図23に示されている。最終的な製造状態では、アンカー要素90は、プラスチック構成要素38によって覆われる。
図23はさらに、金属構成要素40の横方向端部142を示す。概して、金属構成要素40は、2つの反対側の横方向端部142を有し得る。横方向端部142の中心部分に、切り欠き又は凹所144が設けられ得る。切欠き144は、基本的に、四角形又は長方形であり得る。一般的に、切欠き144は、金属構成要素40の横方向端部142における横方向スロットと称され得る。上に示されたように、それぞれの横方向保護要素42が、金属構成要素40の横方向端部142に取り付けられ得る。
図3乃至5も参照されたい。好ましくは、横方向保護要素42は、プラスチック構成要素38の中に一体に設けられ得る。その結果、切欠き144に同様のアンカー要素146を設けることは有益であり得る。アンカー要素146はまた、側部プロテクタアンカー要素146とも称され得る。アンカー要素146は、長手方向軸Xに対して少なくとも部分的に湾曲又は傾斜され得る。
図23からさらに見ることができるように、切欠き144の対向する端部における2つのアンカー要素146が設けられる。これはさらに、横方向端部142における横方向保護要素42の固定を強くし得る。アンカー要素146が反対向きに向けられる(したがって反対に傾斜される)ので、そして、それらは成形された状態において同じ横方向保護要素42によって覆われるので、2つの反対向きに傾斜された部分を持つアンカー要素146を設けることは不可欠とは限らない。また、切欠き144におけるアンカー要素146は、成形プロセス、特に冷間成形プロセスを通じて得られ得る。生アンカー要素を含む切欠き144は、切断プロセス、特にスタンピングプロセスを通じて得られ得る。
【0121】
図24、25及び26を参照すると、静止ブレード22の製造に関連する態様が図示されるとともにさらに詳述される。
図24は、プラスチック構成要素38及び金属構成要素40を含む静止ブレード22の側面図である。プラスチック構成要素38及び金属構成要素40は、可動ブレード24のためのガイドスロット96を囲むシェルを共同で画定する。
図15及び
図16も参照されたい。
図25は、説明目的のためにガイドスロット96の断面積を示す。静止ブレード22を製造することは、基本的に、金属構成要素40を型の中に挿入すること、ガイドスロット96に必要とされる空間を満たすこと、及びプラスチック構成要素を成形すること、特にプラスチック構成要素38を射出成形すること、それによって、プラスチック構成要素38を金属構成要素40に接合することを含み得る。ガイドスロット96を基本的に画定する空洞は、
図25に示された断面にしたがって成形された、いわゆる置換構成要素140で満たされ得る。置換構成要素140は、ダミー構成要素140とも見なされ得る。置換構成要素140は、プラスチック構成要素38のための型の中に挿入され得るとともにガイドスロット96の空間を占有し得る。置換構成要素140は、概して、再使用可能な置換構成要素又はロスト置換構成要素とも称され得る非置換構成要素として配置され得る。
【0122】
静止ブレード22の破断底面図及び静止ブレード22のための型136の概略図を含む
図26がさらに参照される。例として、静止ブレード22を成形するための型136は、互いに密着するように動かされ、それによって静止ブレード22のための、特にそのプラスチック構成要素38のための型を定めるように配置される、2つの(主)型半部138−1、138−2を含み得る。型半部138−1、138−2のそれぞれの(長手方向の)動作を示す
図26のそれぞれの矢印も参照されたい。置換構成要素140が再使用可能な構成要素として構成される場合、置換構成要素140は、少なくとも1つのスライド(slide)によって、特に少なくとも1つの横方向に移動可能なスライド140−1、140−2によって具現化され得る。
【0123】
さらなる代替ツーリング(tooling)概念及び/又は脱型(demolding)アプローチが想定され得ることが理解されるべきである。例えば、プラスチック構成要素38の少なくとも中心部分は、Z方向に脱型され得る。その結果、それぞれのスライドも、静止ブレード22のための型の中に存在し得る。
【0124】
他の実施形態では、置換構成要素140は、型136とは別の構成要素として構成され得る。言い換えると、置換構成要素は、交互に、金属構成要素40と一緒に型136によって画定される空洞の中に挿入され得るインサート構成要素として配置され得る。しかし、このようなインサート置換構成要素が成形後に成形された静止ブレード22から取り外し可能であり、静止ブレード22を冷却し、型136から取り外すことが好ましい。したがって、置換構成要素140は、再使用可能な置換構成要素であり得る。
【0125】
図27乃至30は、ブレードセット20、特にその静止ブレード22の更なる有益な実施形態を示す。既に上に示されたように、静止ブレード22の少なくとも実質的な部分が、プラスチック構成要素38によって形成され得る。さらなる機能が、静止ブレード22にさらなる部品を追加する又は取り付ける必要なしに静止ブレード22に組み込まれ得る。
図27は、静止ブレード22と可動ブレード24とそれらに取り付けられている伝達部材70とを含むブレードセット20の底面斜視図を示す。
図27はさらに、そこにブレードセット20が取り付けられ得るリンク機構50を示し、
図2も参照されたい。
図27では、ブレードセット20は、解放された又は取り外された状態で示されている。
【0126】
図27に示されるように、リンク機構50は、4バーリンク機構として構成され得る。リンク機構50は、少なくとも1つのリンク要素208、特に第1のリンク要素208−1及び横方向Yに互いに横方向に離間されている第2のリンク要素208−2を有し得る。少なくとも1つのリンク要素208は、リンク機構50と切断器具10のハウジング12を接続するための接触要素とも称され得るベース210を有し得る。
図1も参照されたい。リンク要素208はさらに、ベース210の反対側に配置されている上部部分又は上部214を有し得る。リンク要素208はさらに、ベース210及び上部214を接続する結合要素を有し得る。例えば、リンク要素208は、2つの結合アーム212を有し得、それらのそれぞれは、ベース210と上部214との間に配置され得る。結合アーム212は、長手方向Yに互いに離間され得る。ベース210及び上部214は、垂直又は高さ方向Zに互いに離間され得る。1つの実施形態では、リンク要素208のそれぞれの部材は、フィルムヒンジ216により互いに結合され得る。
【0127】
静止ブレード22は、第2の壁102がリンク要素の上部214に接触し得るように、特にその第2の壁102に、取付要素48を備え得る。その結果、ブレードセット20及び上部214は、少なくとも1つのリンク要素208のベース208に対して共同で旋回又は枢動し得る。リンク要素208の上部214において、リミットストップ装置218が設けられ得る。
【0128】
図28は、リンク機構50の斜視上面図を示す。
図29は、
図27に示された配置の側面図を示し、ブレードセット20はリンク機構50から取り外されている。
図30は、ブレードセット20の断面側面図を示し、取付要素48を通る断面が示されている。
図27及び30に最も良く見ることができるように、取付要素48は、リンク要素208の上部214において少なくとも1つのそれぞれのガイド凹部220及び少なくとも1つのそれぞれの取り付け凹所222(
図28参照)と協働するように構成され得る、少なくとも1つのガイド突出部224及び少なくとも1つの取付突出部226を有し得る。
図29から見ることができるように、ブレードセット20は、取付けのためにリンク機構50に基本的に垂直に送り込まれ得る。
【0129】
図27乃至30に例示的に示されるように、リンク要素208−1、208−2のそれぞれは、取付要素48のそれぞれのセットに関連付けられ得る。取付要素48の各セットは、リンク要素208−1、208−2のそれぞれにおけるガイド凹部220及び取付凹部222のそれぞれの対と協働するように配置され得る、ガイド突出部224の対及び取付突出部の対を有し得る。
【0130】
図31乃至39を参照すると、カッタ24の配置が明瞭にされるとともにさらに詳述される。
図31は、カッタ24の第1の実施形態の斜視底面図である。
図11の実施形態と同様に、カッタ24は、中間壁44を囲むように配置され得る横方向に延びるガイド開口46を有する。対応するブレードセット22に対するカッタ24の切断動作の方向が、参照数字126によって示されている両矢印によって
図31に示されている。
【0131】
カッタ24は、ガイド開口46の横方向端面に設けられる少なくとも1つの削り取り部分300を備える。同様に、対応する削り取り部分300が、ガイドスロット46の反対側の横方向端面に設けられ得る(
図31では見えない)。これに関して、
図32及び33がさらに参照される。しかし、少なくとも1つの削り取り部分300は、必ずしもガイド開口46に配置されることを要さない。
図32から最も良く見ることができるように、上部側表面296及び底部側又は第2の表面298が、カッタ24に、特に、その比較的平ら又は平面のメイン部分78に定められ得る。
【0132】
本明細書で使用されるとき、上部側又は第1の表面296は、静止ブレード22の第1の壁100を向く側である。
図7及び
図8も参照されたい。したがって、底部側又は第2の表面298は、静止ブレード22の第2の壁102を向く側である。
図32からさらに見ることができるように、削り取り部分300は、テーパ又は三角形スクレーパ輪郭302を有する。スクレーパ輪郭302は、第1の表面296に配置されている先端エッジ308を有する。その結果、スクレーパ輪郭302は、第1の壁100から蓄積されたよごれ及びゴミを削り落とすために使用され得る。スクレーパ輪郭302は、先端エッジ308の鋭さの程度を定める傾斜角度β(ベータ)を有する。例として、傾斜角度βは鋭角として配置され得る。概して、角度βは、約5°(度)から約60°の範囲にあり得る。好ましくは、角度βは、約10°から約45°の範囲にある。より好ましくは、角度βは、約15°から約30°の範囲にある。概して、先端エッジ308は、静止ブレード22の第1の壁100に付着する蓄積される材料を削り落とす又は押しやることができるように、比較的鋭くなるように加工され得る。
【0133】
図33、及び代替実施形態を示す
図34がさらに参照される。
図31乃至33の実施形態では、当接タブ318が、ガイド開口46の横方向端部に配置される削り取り部分308に設けられている。結果として、スクレーパ輪郭302は、中断されている。当接タブ318は、スクレーパ輪郭302の第1のセクション320と第2のセクション322との間に配置されている。当接タブ318は、長手方向Y(
図32参照)にスクレーパ輪郭302を超えて突出するので、スクレーパ輪郭302、特にその先端エッジ308は、中間壁44、特にその横方向端面に接触することから保護され得る(これに関して
図11参照)。
【0134】
さらに、当接タブ318は、中間壁44及びカッタ24が、本明細書で論じられた製造方法の少なくとも幾つかの実施形態と同様に、静止ブレードの第1の壁100及び第2の壁102によって定められるガイドスロット96の中に共同で挿入されるとき、有用であり得る。当接タブ318はさらに、スクレーパ輪郭302が中間壁44の下に達することを防ぐことができ、この下に達することは、中間壁44が第1の壁100にまだ固定して取付けられていない又は接合されていないときの製造プロセスの段階の場合であり得る。
【0135】
しかし、
図34に示された実施形態では、基本的に(長手方向に)連続的な様式で伸びる削り取り部分300を有するカッタ24の実施形態も想定され得る。概して、削り取り部分300、特にそのスクレーパ輪郭302が、少なくとも部分的に、切断動作の方向(
図31の参照数字126)に直角である長手方向Xに延びることが好ましい。これはもちろん、削り取り部分300が長手方向Xに基本的に平行な様式で伸びることを含み得る。しかし、削り取り部分300の主な延長が、長手方向Xに対して少なくとも僅かに傾けられているさらなる実施形態があり得る。
【0136】
削り取り部分300の代替実施形態を実装するカッタ24の概略破断長手方向側面断面図を示す
図35乃至39がさらに参照される。より具体的には、
図35乃至39はさらに、削り取り部分300に設けられるそれぞれのスクレーパ輪郭302、304、306の代替形状及び配置を詳述している。
【0137】
概して、それぞれのスクレーパ輪郭302、304、306を含む削り取り部分300は、第1の壁100及び/又は第2の壁102の内側を向く表面を清掃するために配置されるプッシャ又はブルドーザと見なされ得る。これに関連して、それぞれの削り取り部分300の主な目的が、毛を切ることではなく、むしろ、静止ブレード22のガイドスロット96における、蓄積物、毛フィラメント等を削り落とすことであることがさらに強調される。
【0138】
図35が参照される。
図35に示されるカッタ24の破断図は、カッタ24の第1の横方向端部及び第2の横方向端部を示す。
図34の実施形態と同様、ガイド開口又はガイドスロット46が設けられる(
図35では中断されている)。さらに、対応する静止ブレード22の第1の壁100は、
図25に概略的に示されている。
図34の実施形態と同様、ガイド開口46のそれぞれの横方向端面は、互いに向き合う削り取り部分300を備える。削り取り部分のそれぞれの輪郭又は断面輪郭が、参照数字304によって示されている。例として、スクレーパ輪郭304は、屈折点(kink)及び先端エッジ308において終端するテーパ部分を有する。先端エッジ308は、蓄積したよごれ、毛の残り等を削り落とすために第1の壁100に接触するように配置される、カッタ24の第1の表面296に配置される。
【0139】
ブレードセット24の代替実施形態が、
図36に示されている。
図36の実施形態では、削り取り部分300の2つの対がカッタ24に設けられる。この場合も同様、そこに互いに向き合っている2つの削り取り部分300が割り当てられるガイド開口46が、設けられ得る。さらに、カッタ24のそれぞれの横方向端部に、それぞれの外側を向く削り取り部分300が設けられる。
図36に示される削り取り部分300は、三角形の様式で配置されるとともに取り付けられた状態で第1の壁に隣接して配置される先端エッジ308を有する、スクレーパ輪郭302を有する。
図36に示される削り取り部分300は、基本的に三角形又はくさび形状の様式で配置されるスクレーパ輪郭302を有する。
【0140】
図37は、複数の削り取り部分を備えるカッタ24のさらなる代替実施形態を示す。この場合も同様、ガイド開口46が設けられる。ガイド開口46の横方向端面に、内側を向く削り取り部分300が設けられ得る。少なくとも幾つの実施形態において、
図35乃至39に示されたガイド開口46が、静止ブレード22のそれぞれの中間壁44と必ず接触するカッタ24の部分として構成されることを必ずしも要しないことは言うまでもない。むしろ、ガイド開口46は、大抵、削り取り部分300が形成され得るそれぞれの長手方向に延びる表面を提供するようにカッタ24に設けられる開口46と称され得る。その結果、より一般的状況では、ガイド開口46は、開口と見なされ得る。上で既に示されたように、削り取り部分300は、長手方向Xと完全に一致する又は平行である主な方向に延びることを必ずしも要しない。むしろ、削り取り部分300の少なくとも幾つかの主な延長方向が、長手方向Xに対して少なくとも僅かに傾けられ得る。
【0141】
図37に示された実施形態の削り取り部分300は、ダブルウェッジ(double
wedge)又はダブルトライアングル(double triangle)様式に基本的に構成されるスクレーパ輪郭306を備える。言い換えると、それぞれの断面は、略C形状であり得る。その結果、スクレーパ輪郭306は、第1の先端エッジ308及び第1の先端エッジ308の反対側になる第2の先端エッジ310を備える。第1の先端エッジ308は、第1の壁100と協働するように配置される。第2の先端エッジ310は、第2の壁102と協働するように配置される。第1の先端エッジ308は、第1の表面296に設けられる。第2の先端エッジ310は、第2の表面298に設けられる。
【0142】
結果として、スクレーパ輪郭306は、対応する静止ブレード22の第1の壁100及び第2の壁102の両方を清掃するように配置され得る。これは、第1の壁100だけでなく第2の壁102もカッタ24に面積的な様式で、すなわち比較的大きい接触面で、接触する、静止ブレード22の実施形態において特に有益であり得る。このような実施形態は、例えば、第1の壁100及び第2の壁102の両方が金属材料から、特に板金材料から形成されることを含み得る。この場合、第1の壁100及び第2の壁102によって定められるガイドスロット96は、比較的狭く、カッタ24を基本的に締まりばめの様式で受け入れるように構成される。その結果、第2の壁102におけるよこれ又はゴミ蓄積物も、ブレードセット20の切断性能を損ない得る。したがって、スクレーパ輪郭306の第2の先端エッジ310は、ブレードセット20の毛切断能力を回復させ且つ維持するように、第2の壁102を清掃し得る。
【0143】
図37の削り取り部分300のスクレーパ輪郭306は例えば、電解加工、例えばエッチングにより、形成され得る。スクレーパ輪郭306が(上部から見るとき)アンダーカットを有するにもかかわらず、スクレーパ輪郭306のそれぞれのくさび形状部分及びかなり鋭い先端エッジ308、310はこの方法で形成され得る。
【0144】
図38はさらに、複数の削り取り部分300を有するカッタ24のさらなる代替実施形態を示す。削り取り部分300の幾つかは、カッタの第1の側部に第1の先端エッジ308を定め且つ形成するスクレーパ輪郭302を備える。しかし、さらなる削り取り部分300が、カッタの反対側の側部に配置されるそれらの輪郭に第2の先端エッジ310を定める。その結果、
図37の実施形態と同様、第1の壁100及び第2の壁102が清掃され得る。
図38に示された実施形態は、
図37に示された実施形態に対して製造の観点から、ある場合には、好適であり得る。基本的に、
図38の実施形態によれば、カッタ24の反対側の側部に配置される先端エッジ308、310は、容易にアクセス可能であり、したがって、比較的小さい努力で製造されることができる。
【0145】
図39に示された実施形態は、複数の削り取り部分300を備えるカッタ24の他の実施形態を示す。合計で、8つの削り取り部分300が
図39に示されている。
図38の実施形態と同様、第1の先端エッジ308が第1の表面296に配置され、第2の先端エッジ310が第2の表面298に配置されている。さらに、ガイド開口46に加えて、スロット又は開口312が、カッタ24により大きい数の削り取り部分300を形成するために設けられている。さらに、それぞれの削り取り部分300は、1つの先端エッジ308,310のみを実装する。言うまでもなく、
図39に示された実施形態は、
図35乃至38に示された実施形態とも組み合わされることができる。再び、
図39が参照される。それぞれの第1の表面296における先端エッジ308及び第2の表面298における先端エッジ310は、互いに規定された方法で離間されている。好ましくは、先端エッジ308、310の隣接するものの間のそれぞれのオフセットが、切断動作の、特に、カッタ24の往復切断運動の、ストローク長さに適合され、
図39に参照数字126によって示される両矢印を参照されたい。隣接する先端エッジ308、310の間のオフセットが、カッタ24のストローク(長さ)と同じ又はそれより小さいとき、清掃される部分が多少重なっているので、第1の壁100及び/又は第2の壁102の少なくとも実質的な部分が、連続的に清掃され得る。
【0146】
カッタ24のさらなる実施形態が、想定され得る。カッタ24は、
図31乃至
図39に関連して本明細書で論じられた実施形態の1つの態様を実装し得る。例として、より大きい数のスロット312が、対応するより大きい数の削り取り部分を可能にするために、設けられ得る。
【0147】
図40を参照すると、ブレードセット20の静止ブレード22の例示的な製造方法が図示されるとともにさらに詳述される。第1のステップS10として、静止ブレードの金属構成要素を形成するために生材料又は半仕上(semi-finished)材料が提供され得る。これは、板金材料を提供することを含み得る。板金材料を提供することはさらに、コイルから板金材料を供給することを含み得る。それぞれの中間金属材料が、複数の部分を含むことができ、これらの複数の部分のそれぞれは、静止ブレードのための仕上されることになる金属構成要素を定める。例えば、これらの定められた前駆部分のそれぞれは、スタンピング又は他の適切な切断方法によって前処理され得る。
【0148】
中間先導エッジ、特に加工されることになる金属材料の中間歯付き先導エッジを形成することを含み得る、さらなるステップS12が次に続き得る。例として、ステップS12は、先導エッジに歯ステム部分を形成することを含み得る。歯ステム部分を形成することは、それぞれの歯ステム部分の間の材料を、それらの間にスロットを画定するために、除去することを含み得る。これは、適切な材料除去プロセス、例えば、スタンピング、レーザカッティング、ワイヤカッティング及びエッチングを含み得る。さらなる材料除去プロセスが、想定され得る。金属構成要素のそれぞれの先導エッジに歯ステム部分を形成することはさらに、歯ステム部分に、特にその横方向フランク(flank)に、かなり鋭い切断エッジを形成することを含み得る。歯ステム部分をエッチングすることは、歯ステム部分の概形を加工すること及びさらに、それらのフランクに比較的鋭い切断エッジを作ることを含み得る。
【0149】
アンカー部分を形成すること又は加工することを含み得るさらなるステップS14が、次に続き得る。好ましくは、アンカー部分は、先導エッジにおいて歯ステム部分の長手方向端部から延びる。アンカー部分は好ましくは、成形可能な材料によって係合され得るとともに成形可能な材料で満たされ得る凹部又は同様の要素を含む。歯ステム部分におけるアンカー部分はさらに、それらがアンカー部分と歯ステム部分との間の移行部におけるかなりの段差なしに概して滑らかな表面をもたらす成形された又は成形可能な構成要素によって覆われることができ得るように、それらの皮膚に面する及び横方向の側部(
図6及び
図17乃至20も参照)でさらに機械加工されることが好ましい。ステップS12及びS14が結合され得ることはいうまでもない。例えば、ステップS12及びS14は、統合スタンピング(又は、代替的に、エッチング)ステップによって実行され得る。
【0150】
オプションのステップと見なされ得る、さらなるステップS16では、アンカー要素又はアンカー部分が歯ステム部分に対して曲げられ得る。アンカー部分を曲げることは、より多くのスペースがプラスチック材料のために提供され得るので、成形材料と金属構成要素との固定をさらに強化し得る。ステップS16を必要としない製造方法の少なくとも幾つかの実施形態があり得る。
【0151】
金属構成要素のための複数の前駆体を供給された金属材料の、特に、供給された板金材料の、例えば、供給された板金コイルの、それぞれの列又はアレイから分離することを含み得る、さらなるオプションのステップS18が次に続き得る。
【0152】
金属構成要素を成形ツールの空洞の中に配置することを含み得る、さらなるステップS20が次に続き得る。金属構成要素を配置することは、金属構成要素を、型の空洞の中に規定された向きに配置することを含み得る。上に既に示されたように、金属構成要素は、型空洞にその分離された状態で配置され得る。しかし、少なくとも幾つかの実施形態では、複数の金属構成要素をそれぞれの複数の空洞を有する型に配置することが想定され得る。複数の金属構成要素のそれぞれの金属構成要素は、互いから分離され得る。しかし、代替形態では、金属構成要素は、共通支持構造に取り付けられ得る。
【0153】
金属構成要素を型の空洞に配置した後で、置換構成要素を型の中に配置することが次に続き得る。置換構成要素は、形成されることになる静止ブレードのガイドスロットを定めるために型空洞の内の空間を覆い得る又は満たし得る。置換構成要素を型の中に配置することは、再使用可能な又は非再使用可能な置換構成要素を型の中に配置することを含み得る。例として、ステップS22は、少なくとも1つのスライドを型の空洞の中に挿入することを含み得る。少なくとも1つのスライドは、成形ツールの構成要素として配置され得る。例えば、成形ツールは、置換構成要素を係止絵する2つの対向スライドを備え得る。
【0154】
成形ステップと見なされ得るさらなるステップS24が次に続き得る。成形ステップS24において、成形又は成型可能(プラスチック材料)が型の空洞のなかに注入され得る。プラスチック材料は、成形されることになる静止ブレードのプラスチック構成要素を定め得る。プラスチック構成要素は、金属構成要素に、特に、そのアンカー要素又はアンカー部分に、結合され得る。金属構成要素及びプラスチック構成要素を接続することはさらに、アンカー部分の凹部を成形プラスチック材料と係合させることを含み得る。
【0155】
型の空洞から、もしあるなら、少なくとも1つのスライドを取り除くことを含み得る、さらなるステップS26が次に続き得る。その結果、静止ブレードに形成されるガイドスロットが切り開かれ得る。ガイドスロットは、静止ブレードにおける取り付けられることになるカッタのための規定された嵌合を提供し得る。
【0156】
オプションのステップと見なされ得るさらなるステップS28が次に続き得る。ステップS28は、1つの静止ブレードを、複数のそれぞれの型空洞を有する型の中で形成された複数の静止ブレードを含むアレイ又は列から分離することを含み得る。
【0157】
図40による静止ブレードを製造する方法はさらに、中間壁を提供することを対象にするステップS30を有し得る。ステップS30は、板金中間壁を提供することを含み得る。中間壁は、静止ブレードの第1の壁と第2の壁との間の所望の中心オフセットl
coに適合され得る。中間壁は、後の製造段階で(半完成)静止ブレードに取り付けられ得る別々の部品として形成され得る。したがって、
図40による方法は、2つの別々の部品、(半完成)静止ブレード及び後の段階でそこに取付けられることになる中間壁の供給をもたらし得る。ステップS30は、少なくとも幾つかの実施形態において、ガイド部分及び保持部分を有する中間壁を形成することを含み得る。したがって、ステップS30は、ガイド部分及び保持部分を別々に形成すること及び接合することを含み得る。代替形態では、ステップS30は、中間壁のガイド部分及び保持部分を一体的に形成することを含み得る。
【0158】
図41は、本開示の静止ブレードと協働するように構成され得るカッタの例示的な製造方法を示す。ステップS50において、カッタ又は半完成カッタのための前駆体が提供され得る。これは、複数の加工されることになるカッタの予め定められた列又はアレイを有し得る板金材料を提供することを含み得る。カッタに凹部又は開口を形成することを含み得るさらなるステップS52が次に続き得る。開口は、ガイド開口と称され得る。ガイド開口は、静止ブレードの中間壁に、特にそのガイド部分に適合され得る。ガイド開口は、カッタの中心部分の基本的に長方形の横方向に延びるスロットとして配置され得る。概して、ステップS52は、カッティング、スタンピング等のような適切な材料除去プロセスを含み得る。
【0159】
カッタの歯付き先導エッジを形成すること又は加工することを含み得るさらなるステップS54が次に続き得る。ステップS54はさらに、歯付き先導エッジのそれぞれの歯に比較的鋭い切断エッジを加工することを含み得る。ステップS54は、適切な材料除去プロセスを含み得る。例として、ステップS54は、歯付き先導エッジに概略の歯付き形状を形成すること、及び刃に比較的鋭い切断エッジを形成することを有する一体化エッチングステップを含み得る。好ましくは、ステップS52及びS54は、(ケミカルミーリングとも称され得る)エッチングを用いる材料除去プロセスを使用する。ステップS52及びS54の順序が変更され得ることは言うまでもない。幾つかの実施形態では、ステップS52及びS54の両方は、一緒に実行され得る。複数のカッタの列又はアレイを含む支持構造からそれぞれのカッタを分離することを含み得るさらなるステップS56が次に続き得る。
【0160】
少なくとも幾つかの態様によれば、ステップS54はさらに、少なくとも1つの削り取り部分を定める又は形成するためにカッタを加工することを含み得る。少なくとも1つの削り取り部分は、少なくとも1つの先端エッジを、又は幾つかの実施形態では、第1の先端エッジ及び第2の先端エッジを典型的には含む、少なくとも1つのテーパスクレーパ輪郭を有する。好ましくは、削り取り部分の少なくとも1又は2つが、ステップS52で形成されているガイド開口の横方向端面に配置される。さらなる削り取り部分が、カッタの横方向端部に形成され得る。幾つかの実施形態では、追加のスロット又は開口が、さらに多くの数の削り取り部分を可能にするためにカッタに形成され得る。これは、幾つかの実施形態では、カッタの全垂直寸法(高さ)を通って延びない凹部が形成されることを含み得る。
【0161】
図42は、静止ブレード及びカッタを含むブレードセットの例示的な製造方法を示す。方法は、静止ブレードを提供することを有するステップS100を含み得る。静止ブレードは、
図40に示された例示的な製造方法にしたがって形成され得る。上に示されたように、ステップS100はさらに、後のステップで中間壁に取り付けられることになる静止ブレードに割り当てられる(別個の)中間壁を提供することを含み得る。さらなるステップS102が、カッタを提供することを含み得る。ステップS100及びS102は、並列に行われ得る。ステップS102は、
図41に示された方法にしたがってカッタを製造することを含み得る。
【0162】
さらなるステップS104では、中間壁及び可動ブレードが嵌合されることができ、これは、(半完成)静止ブレードのガイド開口への構成要素の挿入を簡単にする。これは、中間壁を、特にそのガイド部分を、カッタのガイド開口の中に配置することを含み得る。カッタ及び中間壁が静止ブレードのガイドスロットの中に一緒に挿入される、接合又は嵌合ステップS106が次に続き得る。カッタ及び中間壁を静止ブレードのガイドスロットに挿入することは、静止ブレードの横方向開口を通ってカッタ及び中間壁を横方向に挿入することを含み得る。
【0163】
さらなるステップS108では、中間壁は、静止ブレードに、特にその第1の壁に取り付けられ得る。好ましくは、中間壁は、第1の壁に接合される、特にレーザ溶接される及び/又はスポット溶接される。中間壁を取付けることは、カッタを静止ブレードに固定すること、より好ましくは、カッタの長手方向位置及び垂直位置(又は高さ位置)を定めることを含み得る。
【0164】
伝達部材70をブレードセットの半完成アセンブリに送り込むことを含み得るさらなるステップS110が次に続き得る。ステップS110は、特に、伝達部材70をカッタの挿入方向とは異なる送り込み方向に送り込むことを含み得る。伝達部材70をカッタ24に取り付けることを含み得る、さらなるステップS112が次に続き得る。ステップS112はさらに、伝達部材をカッタに接合することを含み得る。接合することは、溶接すること、特に、レーザ溶接することを具組み得る。カッタ及び伝達部材を、両方の要素が静止ブレードにおいて位置決めされながら、取り付けることはまた、カッタを静止ブレードにロックし得る。これはまた、この方法ではカッタのための別個の固定又はロック構成要素が必要とされないので、有益であり得る。
【0165】
本発明が図面及び前述の説明において詳細に例示され説明されているが、このような例示及び説明は説明又は例示と見なされるべきであり、限定的ではない;本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形形態は、当業者によって、図面、明細書、及び添付の請求項の検討から、理解されるとともに、請求項に記載された発明を実施する際に実施されるであろう。
【0166】
請求項において、用語“有する”は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞“a”又は“an”は複数を除外しない。単一の要素又は他のユニットは、請求項に記載の複数の項目の機能を実行し得る。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0167】
請求項の如何なる参照符号もその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。