(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0019】
[監視対象実体情報処理システム]
一実施の形態におけるシステム構成を示す
図1を参照すると、監視対象実体情報処理システム1は、複数の監視対象実体情報送信装置2と複数の無線受信機3とIoT中継装置4とを含む無線センサネットワークWSNと、通信ネットワーク5と、異常監視装置6と、監視者利用端末7とを含む。
【0020】
無線センサネットワークWSNは、地理的に分散する複数の監視対象実体情報送信装置2から予め定められた間隔で自主的に無線送信される各種情報(データを含む)を対応の無線受信機3を介して、IoT中継装置4に収集するために存在する。ここでは、無線センサネットワークWSNは、スター型のネットワーク形態(トポロジ)で例示しているが、このトポロジに限定されない。
【0021】
各監視対象実体情報送信装置2は、各監視対象実体に係属し、送信源を特定する固有の識別情報及び監視対象実体の位置情報を必要に応じて内蔵センサにより検出される監視対象実体の指標情報と共に、予め定められた間隔で自主的に無線送信する送信源としての無線送信機である。各監視対象実体情報送信装置2は、後に詳述するように、種々の形態で実施可能であり、単独において特有の構成を採ると共に、監視対象実体情報処理システム1における重要な一構成要素である。
【0022】
この実施形態における監視対象実体は、子供、高齢者、患者などの人物と、犬、猫などの愛玩動物(ペット)と、車両、貴重品などの物とを含む。各監視対象実体情報送信装置2は、これらの監視対象実体に装着されるウェアラブルコンピュータとして機能する。
【0023】
各無線受信機3は、対応の監視対象実体情報送信装置2から送信された送信源を特定する固有の識別情報、監視対象実体の位置情報、及び監視対象実体の指標情報などを受信し、有線回線を通してIoT中継装置4に入力する。各無線受信機3は、IoT中継装置4と共に、サービスプロバイダによって運用及び管理される。
【0024】
無線センサネットワークWSNにおけるIoT中継装置4は、具体的には、IoTゲートウェイであり、地理的に分散する複数の監視対象実体情報送信装置2からそれぞれ予め定められた間隔で自主的に無線送信される各種情報を含む監視対象実体情報TGを対応の無線受信機3を介して収集する機能を含む。
【0025】
また、IoT中継装置4は、収集した監視対象実体情報TGの処理を要求するために、通信ネットワーク5を介し、クラウド上の予め定められた宛先に対応する異常監視装置(監視対象実体情報処理装置)6に対して、監視対象実体情報TGを送信する機能を含む。
【0026】
このIoT中継装置4は、通信ネットワーク5を介し、異常監視装置6に対して、監視対象実体情報TGを送信するとき、無線センサネットワークWSNの通信プロトコルを通信ネットワーク5のIP(Internet Protocol)プロトコルに変換するゲートウェイ機能を更に含む。
【0027】
監視対象実体情報TGには、IoT中継装置4を特定する送信元情報(送信元IPアドレス)と、異常監視装置6を特定する宛先情報(宛先IPアドレス)とが付加され、IPパケット形態の監視対象実体情報TGIPとしてIoT中継装置4から異常監視装置6に対して送信される。この監視対象実体情報処理システム1においては、IoT中継装置4のゲートウェイ機能により、モノとインターネットとを結びつける。
【0028】
上述したIoT中継装置4は、ハードウェア構成として、次の要素を含んでいる。つまり、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)と、作業用メモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、立ち上げのためのブートプログラムを格納したROM(Read Only Memory)とを備える。
【0029】
また、IoT中継装置4は、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納する不揮発性のフラッシュメモリと、通信制御部と、NIC(Network Interface Card)などの通信インタフェース部などとを備える。これらの構成要素は、当業者が容易に理解でき、実施可能であるので、図示を省略している。
【0030】
上述した各機能を論理的に実現するには、フラッシュメモリに処理プログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、IoT中継装置4においては、電源投入を契機に、プロセッサ(CPU)がこの処理プログラムをRAMに常時展開して実行する。
【0031】
通信ネットワーク5は、監視対象実体情報処理システム1がIoT技術の適用を前提にしているので、IPネットワークであり、より具体的には、OPEN特性を有するインターネットである。
【0032】
この監視対象実体情報処理システム1における異常監視装置6は、IoT中継装置4から送信される監視対象実体情報TGIPを受信し、集積データベースに集積処理する機能と、監視者利用端末7から送信された二次元コード(QRコード(登録商標)など)を受信したときは、集積データベースから対応の送信源を特定する固有の識別情報を検索し、監視対象実体についての実体名などを含む他の情報の入力を監視者利用端末7に許容する機能とを含む。
【0033】
この異常監視装置6は、監視者利用端末7から送信された他の情報を受信したときは、集積データベースにおける送信源を特定する固有の識別情報に対応付けて格納する機能と、監視者利用端末7により登録された監視対象実体についての許容範囲に基づいて、集積処理した監視対象実体情報TGIPを分析処理する機能と、監視対象実体情報TGIPの分析処理の結果を集積データベースに格納し、監視者利用端末7からの要求に応じて、分析処理結果を監視者利用端末7に送信する機能とを更に含む。
【0034】
この異常監視装置6は、異常発生時は、監視者利用端末7からの要求に係わらず、分析処理結果を監視者利用端末7に積極的に送信する機能を更に含む。
【0035】
上述した異常監視装置6は、サービスプロバイダによって運用及び管理されるサーバコンピュータであり、そのハードウェア構成は、当業者が容易に理解でき、実施可能であるので、図示及び説明を省略する。異常監視装置6においては、上述した各機能を論理的に実現するには、フラッシュメモリに処理プログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、異常監視装置6においては、電源投入を契機に、プロセッサがこの処理プログラムをRAMに常時展開して実行する。集積データベースは、フラッシュメモリに構成され、予め定めたデータ蓄積量を保って更新される。
【0036】
この監視対象実体情報処理システム1における監視者利用端末7は、Web(World Wide Web)ブラウザを有する、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、及びタブレットなどの端末であり、監視対象実体の監視者によって利用される。監視対象実体の監視者は異常監視装置6の利用契約者である。ここでは、監視者利用端末7は簡潔化のために1つだけを図示している。
【0037】
この監視者利用端末7は、通信ネットワーク5を介し、異常監視装置6に対して、送信源を特定する固有の識別情報に対応する取得済みの二次元コード(QRコードなど)を送信する機能と、異常監視装置6から監視対象実体についての実体名などを含む他の情報の入力を許容されたときは、監視対象実体の監視者により入力された他の情報を送信する機能とを含む。
【0038】
この監視者利用端末7は、通信ネットワーク5を介し、異常監視装置6に対して、監視対象実体情報TGIPの分析処理結果を要求する機能と、異常監視装置6から分析処理結果を受信する機能と、受信した分析処理結果を表示する機能とを更に含む。監視対象実体の監視者は、監視者利用端末7に表示された分析処理結果に基づいて、監視対象実体の現在の状況を把握し、必要な対策を採ることができる。
【0039】
上述した監視者利用端末7のハードウェア構成は、当業者が容易に理解でき、実施可能であるので、図示及び説明を省略する。監視者利用端末7においては、上述した各機能を論理的に実現するには、フラッシュメモリに処理プログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、監視者利用端末7においては、電源投入または監視者による指示を契機に、プロセッサがこの処理プログラムをRAMに展開して実行する。
【0040】
[監視対象実体情報送信装置]
次に、
図1に示す監視対象実体情報処理システム1における監視対象実体情報送信装置2について詳述する。
【0041】
各監視対象実体情報送信装置2は、各監視対象実体に係属し、送信源を特定する固有の識別情報(単に、送信源識別情報と記載することもある)TXIDと共に、監視対象実体の位置情報(ここでは、地理的位置情報(経度、緯度、海抜))TGPSを予め定められた間隔で自主的に無線送信する送信源としての無線送信機である。
【0042】
また、各監視対象実体情報送信装置2は、各種指標検出センサと連動する指標検出部を備える場合、指標検出センサにより検出される監視対象実体の指標情報TGBMを送信源識別情報TXID及び監視対象実体の位置情報TGPSと共に、予め定められた間隔で自主的に無線送信する送信源としての無線送信機である。
【0043】
なお、予め定められた間隔は、例えば、監視対象実体情報送信装置2に設定ボタン(図示省略)を設けておくことなどにより、人物、ペット、物などの監視対象実体の監視内容(項目)に応じて変更可能である。
【0044】
各監視対象実体情報送信装置2は、国際標準の無線通信規格IEEE802.15.4(4g,4eを含む)に準拠した無線送信機として実施可能であり、狭帯域で低消費電力(省電力)の無線通信を実現するので、電池駆動に適合する。
【0045】
各監視対象実体情報送信装置2は、
図2、
図3、
図4、及び
図5に例示するように、種々の形態で実施可能である。
【0046】
図2に示す第1の監視対象実体情報送信装置2Aは、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)衛星利用により取得される監視対象実体の位置情報TGPSを送信源を特定する固有の識別情報TXIDと共に送信可能な送信器21と、この送信器21に給電するための空気電池22と、送信器21及び空気電池22を他の構成要素(図示省略)と共に収容する収容体25とを含む。
【0047】
空気電池22は、送信源を特定する固有の識別情報TXIDが二次元コード(例えば、QRコード)24で予め表示(印刷表示)され、空気中の酸素を取り込むための通気膜23と、この通気膜23を覆う不透明かつ非通気性のシール26とを含む。ここで採用する空気電池22は、例えば、ボタン形状の空気電池であり、年単位または数年単位の駆動寿命を有する使い捨ての一次電池であっても、充電して再使用可能な二次電池であってもよい。なお、使い捨ての一次電池を使用する場合は、例えば、電池交換時に通気膜23を使用中のものに交換することにより可能である。
【0048】
この第1の監視対象実体情報送信装置2Aにおいては、シール26が監視対象実体の監視者により剥離されたときを契機に、起動する空気電池22により送信器21及び他の構成要素に給電を開始すると共に、通気膜23にQRコード24で予め表示された送信源を特定する固有の識別情報TXIDの読み取りを許容する。これにより、監視対象実体の監視者などの当事者以外の第三者に送信源識別情報TXIDが読み取られることを防ぐと共に、監視対象実体の監視者が利用する端末(監視者利用端末7)で監視対象実体の位置情報TGPSを把握することが可能になる。
【0049】
空気電池22の通気膜23にQRコード24で予め表示される送信源を特定する固有の識別情報TXIDは、具体的には、製造段階で付与された監視対象実体情報送信装置2Aの固有のコード(メーカID+機種ID+シリアルID)であり、電子証明書を利用してもよい。
【0050】
図3に示す第2の監視対象実体情報送信装置2Bは、GPS衛星利用により取得される監視対象実体の位置情報TGPSを送信源を特定する固有の識別情報TXIDと共に送信可能な送信器21と、空気中の酸素を取り込むための通気膜23を有し、送信器21に給電するための空気電池22とを含む。
【0051】
この監視対象実体情報送信装置2Bは、送信器21及び空気電池22を他の構成要素(図示省略)と共に収容し、送信源を特定する固有の識別情報TXIDが二次元コード(例えば、QRコード)24で予め表示される識別情報表示部25aを有する収容体25と、空気電池22の通気膜23と収容体25の識別情報表示部25aとを覆う不透明かつ非通気性のシール26とを更に含む。
【0052】
ここで採用する空気電池22は、例えば、ボタン形状の空気電池であり、年単位または数年単位の駆動寿命を有する使い捨ての一次電池であっても、充電して再使用可能な二次電池であってもよい。
【0053】
この第2の監視対象実体情報送信装置2Bにおいては、シール26が監視対象実体の監視者により剥離されたときを契機に、起動する空気電池22により送信器21及び他の構成要素に給電を開始すると共に、識別情報表示部25aにQRコード24で予め表示された送信源を特定する固有の識別情報TXIDの読み取りを許容する。これにより、上述した第1の監視対象実体情報送信装置2Aと同様に、監視対象実体の監視者などの当事者以外の第三者に送信源識別情報TXIDが読み取られることを防ぐと共に、監視対象実体の監視者が利用する端末(監視者利用端末7)で監視対象実体の位置情報TGPSを把握することが可能になる。
【0054】
収容体25の識別情報表示部25aにQRコード24で予め表示される送信源を特定する固有の識別情報TXIDは、同様に、製造段階で付与された監視対象実体情報送信装置2Dの固有のコードであり、電子証明書を利用してもよい。
【0055】
図4に示す第3の監視対象実体情報送信装置2Cは、GPS衛星利用により取得される監視対象実体の位置情報TGPSを送信源を特定する固有の識別情報TXIDと共に送信可能な送信器21と、送信器21に給電するための電池22と、空気中の酸素を検知するための酸素検知センサ27とを含む。
【0056】
この監視対象実体情報送信装置2Cは、送信器21、電池22及び酸素検知センサ27を他の構成要素(図示省略)と共に収容し、送信源を特定する固有の識別情報TXIDが二次元コード(例えば、QRコード)24で予め表示される識別情報表示部25aを有する収容体25と、酸素検知センサ27と収容体25の識別情報表示部25aとを覆う不透明かつ非通気性のシール26とを更に含む。
【0057】
ここで採用する電池22は、例えば、ボタン形状の乾電池であり、年単位または数年単位の駆動寿命を有する使い捨ての一次電池であっても、充電して再使用可能な二次電池であってもよい。
【0058】
この第3の監視対象実体情報送信装置2Cにおいては、シール26が監視対象実体の監視者により剥離されたときを契機に、酸素検知センサ27により空気中の酸素を検知して、電池22から送信器21に給電を開始するための経路を形成させると共に、識別情報表示部25aにQRコード24で予め表示された送信源を特定する固有の識別情報TXIDの読み取りを許容する。これにより、上述した第1,第2の監視対象実体情報送信装置2A,2Bと同様に、監視対象実体の監視者などの当事者以外の第三者に送信源識別情報TXIDが読み取られることを防ぐと共に、監視対象実体の監視者が利用する端末(監視者利用端末7)で監視対象実体の位置情報TGPSを把握することが可能になる。
【0059】
収容体25の識別情報表示部25aにQRコード24で予め表示される送信源を特定する固有の識別情報TXIDは、同様に、製造段階で付与された監視対象実体情報送信装置2Dの固有のコードであり、電子証明書を利用してもよい。
【0060】
図5に示す第4の監視対象実体情報送信装置2Dは、GPS衛星利用により取得される監視対象実体の位置情報TGPSを送信源を特定する固有の識別情報TXIDと共に送信可能な送信器21と、送信器21に給電するための電池22と、近距離無線送信による起動信号(例えば、ブルートゥース(登録商標)信号、赤外線信号)を検知するための受信センサ28とを含む。
【0061】
この監視対象実体情報送信装置2Dは、送信器21、電池22及び受信センサ28を他の構成要素(図示省略)と共に収容し、送信源を特定する固有の識別情報TXIDが二次元コード(例えば、QRコード)24で予め表示される識別情報表示部25aを有する収容体25と、受信センサ28と収容体25の識別情報表示部25aとを覆う不透明かつ無線信号不透過のシール26とを更に含む。
【0062】
ここで採用する電池22は、例えば、ボタン形状の乾電池であり、年単位または数年単位の駆動寿命を有する使い捨ての一次電池であっても、充電して再使用可能な二次電池であってもよい。
【0063】
この第4の監視対象実体情報送信装置2Dにおいては、シール26が監視対象実体の監視者により剥離されたときを契機に、受信センサ28により近距離無線送信による起動信号を検知して、電池22から送信器21に給電を開始するための経路を形成させると共に、識別情報表示部25aにQRコード24で予め表示された送信源を特定する固有の識別情報TXIDの読み取りを許容する。これにより、上述した第1,第2及び第3の監視対象実体情報送信装置2A,2B,2Cと同様に、監視対象実体の監視者などの当事者以外の第三者に送信源識別情報TXIDが読み取られることを防ぐと共に、監視対象実体の監視者が利用する端末(監視者利用端末7)で監視対象実体の位置情報TGPSを把握することが可能になる。
【0064】
収容体25の識別情報表示部25aにQRコード24で予め表示される送信源を特定する固有の識別情報TXIDは、同様に、製造段階で付与された監視対象実体情報送信装置2Dの固有のコードであり、電子証明書を利用してもよい。
【0065】
図2、
図3、
図4、及び
図5に例示した監視対象実体情報送信装置2(2A,2B,2C,2D)は、
図6に示すように、送信器21と、空気電池22または電池22とを含み、実施形態に応じて酸素検知センサ27または受信センサ28を含み、次の構成要素を更に含んでいる。
【0066】
つまり、監視対象実体情報送信装置2は、プロセッサとしてのCPU201と、作業用メモリとしてのRAM202と、立ち上げのためのブートプログラムを格納したROM203とを備える。
【0067】
また、監視対象実体情報送信装置2は、OS、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納する不揮発性のフラッシュメモリ204と、図示省略のアンテナ及び通信インタフェースとを備える。
【0068】
さらに、監視対象実体情報送信装置2は、複数のGPS衛星から送信される測位信号を受信して、監視対象実体の位置情報TGPSを出力するGPS受信機(図示省略)を有し、プロセッサ201からの要求に応じて、GPS受信機から監視対象実体の位置情報TGPSを取得する位置情報取得部205を備える。
【0069】
監視対象実体情報送信装置2は、監視対象実体の指標情報TGBM、つまり移動指標、健康指標、及び環境指標などを図示省略の各種指標検出センサとの連動により取得(検出)する指標検出部206を更に備える。指標検出部206は、指標検出センサとして、加速度センサ、ひずみセンサ、温度センサ、湿度センサ、及び脈波センサなどを検出指標に応じて利用する。
【0070】
監視対象実体情報送信装置2Cにおいては、酸素検知センサ27により空気中の酸素を検知したとき、プロセッサ201の制御でスイッチSWが動作することにより、電池22から送信器21に給電を開始するための経路が形成される。また、監視対象実体情報送信装置2Dにおいては、受信センサ28により監視対象実体の監視者が利用する端末(監視者利用端末7)からの近距離無線送信による起動信号を検知したとき、プロセッサ201の制御でスイッチSWが動作することにより、電池22から送信器21に給電を開始するための経路が形成される。
【0071】
送信器21は、送信源識別情報TXIDと、監視対象実体の位置情報TGPSと、監視時刻情報TMとを含み、実施形態に応じて監視対象実体の指標情報TGBMを更に含む、監視対象実体情報TG(
図7参照)に予め定められた変調処理などを施した後、無線周波数信号として送信する。ここで、年/月/日、時:分の形式の監視時刻情報TMは標準時刻及び通算秒(積算秒)のいずれかを適用可能である。また、送信源識別情報TXIDはフラッシュメモリ204に予め設定(登録)されているデータを利用する。
【0072】
更に詳述すると、上述した監視対象実体情報送信装置2は、位置情報取得部205を備え、指標検出部206を備えない形態においては、送信源識別情報TXID、監視対象実体の位置情報TGPS、及び監視時刻情報TMを含む監視対象実体情報TGを無線送信するウェアラブルコンピュータとして監視対象実体に装着される。したがって、子供、高齢者、患者などの人物と、犬、猫などのペットと、車両、貴重品などの物とを含む監視対象実体についての位置情報の把握を常に可能にする。
【0073】
この結果、この形態の監視対象実体情報送信装置2は、例えば、次に示すように利用可能である。
(1)人物の衣類に装着して絶えず位置情報を捕捉すると同時に、予め設定した許容行動範囲を越えたときには警告を通知する。
(2)ペットの首輪に装着して絶えず位置情報を捕捉すると同時に、予め設定した許容行動範囲を越えたときには警告を通知する。
(3)車両などの物の盗難対策。
(4)貴重品などの物の管理。
【0074】
また、上述した監視対象実体情報送信装置2は、位置情報取得部205と、各種指標検出センサと連動する指標検出部206との双方を備える形態においては、送信源識別情報TXID、監視対象実体の位置情報TGPS、監視対象実体の指標情報TGBM、及び監視時刻情報TMを含む監視対象実体情報TGを無線送信するウェアラブルコンピュータとして監視対象実体に装着される。したがって、人物と、ペットと、物とを含む監視対象実体についての位置情報と共に指標情報の把握を常に可能にする。
【0075】
指標検出部206は、指標検出センサとしての加速度センサ及び/またはひずみセンサと連動する場合、監視対象実体の指標情報TGBMとして移動指標を得られる。この結果、この形態の監視対象実体情報送信装置2は、例えば、次に示すように利用可能である。
(1)人物、ペットの動きの検知。
(2)人物などがどのような交通機関で移動中かの検知。
(3)車両などの物の衝突検知。
(4)窓ガラスなどの物の破壊検知。
(5)建築物などの物の揺れ検知。
【0076】
指標検出部206は、指標検出センサとしての温度センサ及び脈波センサと連動する場合、監視対象実体の指標情報TGBMとして健康指標を得られる。この結果、この形態の監視対象実体情報送信装置2は、例えば、次に示すように利用可能である。
(1)人物、ペットの脈拍管理。
(2)人物、ペットの体温管理。
【0077】
また、指標検出部206は、指標検出センサとしての温度センサ及び湿度センサと連動する場合、監視対象実体の指標情報TGBMとして環境指標を得られる。この結果、この形態の監視対象実体情報送信装置2は、例えば、次に示すように利用可能である。
(1)ビニールハウスなどの物の温湿度管理。
(2)鉢植えなどの物の水やり管理。
(3)老人ホームや保育園などにおける人物のおむつ管理。
[監視対象実体情報処理]
【0078】
次に、上述した監視対象実体情報処理システム1における動作について、
図1及び関連図を併せ参照して説明する。
【0079】
図9及び
図10は上述した監視対象実体情報処理システム1における監視対象実体情報処理のシーケンスの一例を示す。なお、以下の説明では、不明確にならない限り通信ネットワーク5の介在を省略する。
【0080】
上述した監視対象実体情報送信装置2(2A,2B)においては、シール26が監視対象実体の監視者により剥離されたときを契機に、起動する空気電池22により送信器21及び他の構成要素(プロセッサ201を含む)に給電が開始され、監視対象実体情報送信処理プログラムが実行されると、プロセッサ201は次の処理S20,S21,S22,S24,S25(
図9参照)を遂行する。
【0081】
また、監視対象実体情報送信装置2(2C,2D)においては、シール26が監視対象実体の監視者により剥離されたときを契機に、電池22から送信器21に給電を開始するための経路をプロセッサ201が形成させ、監視対象実体情報送信処理プログラムが実行されると、プロセッサ201は次の処理S20〜S25(
図9参照)を遂行する。
【0082】
[処理S20,S21]予め定められた間隔で、フラッシュメモリ204に予め設定(登録)されている送信源を特定する固有の識別情報TXIDを得る(読み出す)。
【0083】
[処理S22]位置情報取得部205により取得された最新の監視対象実体の位置情報TGPSを得る。
【0084】
[処理S23]指標検出部206により検出された最新の監視対象実体の指標情報TGBMを得る。
【0085】
[処理S24]得られた送信源を特定する固有の識別情報TXID、監視対象実体の位置情報TGPS、及び監視対象実体の指標情報TGBMに監視時刻情報TMを付加して、監視対象実体情報TGを生成する。
【0086】
[処理S25]生成した監視対象実体情報TGを自主的に無線送信する。
【0087】
監視対象実体の監視者は、シール26を剥離した後、任意のタイミングに、QRコード24で予め表示(印刷)された送信源を特定する固有の識別情報TXIDを監視者利用端末7の内蔵カメラにより読み取ることが可能である。
【0088】
IoT中継装置4においては、電源投入を契機に、監視対象実体情報処理プログラムが起動され、プロセッサが次に述べる処理を遂行する。
【0089】
[処理S40(
図9参照)]各監視対象実体情報送信装置2から送信された監視対象実体情報TGを対応の無線受信機3を介して収集する。
【0090】
[処理S41]収集した監視対象実体情報TGにIoT中継装置4を特定する送信元情報(送信元IPアドレス)SA及び異常監視装置6を特定する宛先情報(宛先IPアドレス)DAを付加し、IPプロトコルに変換した監視対象実体情報TGIP(
図8参照)を生成する。
【0091】
[処理S42]生成した監視対象実体情報TGIPを通信ネットワーク5を介し異常監視装置6に対して送信する。
【0092】
また、異常監視装置6においては、電源投入を契機に、監視対象実体情報処理プログラムが起動され、プロセッサが次に述べる処理を遂行する。
【0093】
[処理S60(
図10参照)]IoT中継装置4から送信された監視対象実体情報TGIPを受信する。
【0094】
[処理S61]受信した監視対象実体情報TGIPを集積データベースDB1(
図11参照)に集積処理する。
【0095】
ここで、集積データベースDB1に集積(格納)される監視対象実体情報TGIPは、IoT中継装置4を特定する送信元情報(送信元IPアドレス)SA及び異常監視装置6を特定する宛先情報(宛先IPアドレス)DAを除去した情報である。つまり、送信源識別情報TXIDをキー情報として、監視対象実体の位置情報TGPS、監視対象実体の指標情報TGBM、及び監視時刻情報TMが対応付けて集積される。
【0096】
[処理S62]監視者利用端末7から送信されたQRコードを受信したときは、集積データベースDB1から対応の送信源識別情報TXIDを検索する。
【0097】
[処理S63]対応の送信源識別情報TXIDが検索できたときは、他の情報の入力を監視者利用端末7に許容する。また、同時に、集積データベースDB1におけるフラグ欄にオン「1」フラグを登録する。フラグ欄にオン「1」フラグが登録されている場合、共有端末を除く第三者の端末により、このレコードに不正アクセスすることが禁止される。
【0098】
[処理S64]監視者利用端末7から送信された他の情報を受信したときは、集積データベースDB1における送信源識別情報TXIDに対応付けて格納する。
【0099】
[処理S65]監視者利用端末7により登録された監視対象実体についての許容範囲(許容移動範囲、許容温度範囲、許容湿度範囲など)に基づいて、集積処理した監視対象実体情報TGIPを分析処理する。
【0100】
[処理S66]監視対象実体情報TGIPの分析処理の結果(例えば、正常、異常)を集積データベースDB1に格納する。
【0101】
[処理S67]監視者利用端末7からの要求に応じて、分析処理結果を監視者利用端末7に送信する。なお、異常発生時は、監視者利用端末7からの要求に係わらず、分析処理結果を監視者利用端末7に積極的に送信する。この分析処理結果の積極的送信には、警報音を併用してもよい。
【0102】
さらに、監視者利用端末7においては、電源投入または監視者による指示を契機に、監視対象実体情報処理プログラムが起動され、プロセッサが次に述べる処理を遂行する。
【0103】
[処理S70(
図10参照)]異常監視装置6が提供するサイト(ウェブページ)を通し異常監視装置6に対して、送信源識別情報TXIDに対応する取得済みのQRコードを送信する。
【0104】
[処理S71]異常監視装置6から他の情報の入力を許容されたときは、監視対象実体の監視者は、必要な情報を入力した後、異常監視装置6に対して送信する。
【0105】
ここで、他の情報は、例えば、監視対象実体についての実体名(人名、ペット名、物品名など)、監視対象実体についての許容範囲(許容移動範囲、許容温度範囲、許容湿度範囲など)、監視者利用端末7の識別情報(電話番号、メールアドレスなど)、及び共有端末の識別情報(電話番号、メールアドレスなど)を含む。
【0106】
[処理S72]異常監視装置6に対して、監視対象実体情報TGIPの分析処理結果を要求する。
【0107】
[処理S73]異常監視装置6から分析処理結果を受信する。
【0108】
[処理S74]受信した分析処理結果を表示する。
【0109】
[一実施の形態における効果]
上述した一実施の形態の監視対象実体情報送信装置2(2A,2B,2C,2D)は、監視対象実体の監視者などの当事者以外の第三者に送信源識別情報TXIDが読み取られることを防ぐと共に、監視対象実体の監視者が利用する端末(監視者利用端末7)で監視対象実体の位置情報TGPSを把握することが可能になる。
【0110】
上述した一実施の形態の監視対象実体情報送信装置2(2A,2B,2C,2D)は、位置情報取得部205を備え、指標検出部206を備えない形態においては、送信源識別情報TXID、監視対象実体の位置情報TGPS、及び監視時刻情報TMを含む監視対象実体情報TGを無線送信するウェアラブルコンピュータとして監視対象実体に装着される。したがって、子供、高齢者、患者などの人物と、犬、猫などのペットと、車両、貴重品などの物とを含む監視対象実体についての位置情報の把握を常に可能にする。
【0111】
上述した一実施の形態の監視対象実体情報送信装置2(2A,2B,2C,2D)は、位置情報取得部205と、各種指標検出センサと連動する指標検出部206との双方を備える形態においては、送信源識別情報TXID、監視対象実体の位置情報TGPS、監視対象実体の指標情報TGBM、及び監視時刻情報TMを含む監視対象実体情報TGを無線送信するウェアラブルコンピュータとして監視対象実体に装着される。したがって、人物と、ペットと、物とを含む監視対象実体についての位置情報と共に指標情報の把握を常に可能にする。
【0112】
[変形例]
上述した一実施の形態における処理はコンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD−ROMやフレキシブルディスクなどの非一時的コンピュータ可読記録媒体、さらには通信回線を経て提供可能である。
【0113】
また、上述した一実施の形態における各処理はその任意の複数または全てを選択し組合せて実施することもできる。
【解決手段】監視対象実体情報送信装置は、衛星利用により取得される監視対象実体の位置情報を無線送信可能な送信器と;前記送信器に給電するための空気電池とを備え;前記空気電池は、送信源を特定する固有の識別情報が予め表示され、空気中の酸素を取り込むための通気膜と、この通気膜を覆う不透明かつ非通気性のシールとを含み;前記シールが剥離されたときを契機に、前記空気電池により前記送信器に給電を開始すると共に、前記通気膜に予め表示される前記送信源を特定する固有の識別情報の読み取りを許容する。