(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186162
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】包装トレイ
(51)【国際特許分類】
B65D 81/17 20060101AFI20170814BHJP
B65D 85/34 20060101ALI20170814BHJP
B65D 1/36 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B65D81/17
B65D85/34 F
B65D1/36
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-83454(P2013-83454)
(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公開番号】特開2014-205502(P2014-205502A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100115613
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寧司
(72)【発明者】
【氏名】五所尾 幸司
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 孝雄
【審査官】
二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−011580(JP,U)
【文献】
特開2009−137650(JP,A)
【文献】
特開2011−006147(JP,A)
【文献】
特開2005−067696(JP,A)
【文献】
特開2012−101816(JP,A)
【文献】
特開2002−166975(JP,A)
【文献】
特許第3854928(JP,B2)
【文献】
特開平07−165269(JP,A)
【文献】
実開平04−074671(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/17
B65D 1/36
B65D 85/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性のある柔軟な発泡樹脂シートからなり収容物を収容する包装トレイであり、 水平方向に沿う基板部と、基板部から上方に立ち上がり前記収容物の外周を囲うようにした立ち壁と、この立ち壁の先端側に連通する変形部とを有する包装トレイにおいて、 前記変形部が、前記収容物の外周を囲う環状の頂部と、前記頂部から前記立ち壁に繋がる外壁部とを有し、 前記頂部と前記外壁部は、前記収容物を前記頂部の内側に載せると前記収容物に沿って潰れるように沈み込んで前記収容物を包み込むように変形することを特徴とする包装トレイ。
【請求項2】
前記変形部が、前記頂部の内側に凹部を有しており、 前記頂部と前記外壁部は、前記収容物に沿って潰れるように沈み込むことで前記凹部とともに前記収容物を包み込む一連の凹面を形成する請求項1記載の包装トレイ。
【請求項3】
凹部を頂部よりも厚肉に形成した請求項2記載の包装トレイ。
【請求項4】
凹部の肉厚を下方に向かって徐々に厚肉になるように形成した請求項2または請求項3記載の包装トレイ。
【請求項5】
立ち壁の先端側に段差部を有し、この段差部を介して立ち壁と変形部とが連通する請求項1〜請求項4何れか1項記載の包装トレイ。
【請求項6】
変形部を立ち壁よりも薄肉に形成した請求項1〜請求項5何れか1項記載の包装トレイ。
【請求項7】
基板部から下方に突出する支持脚を設けた請求項1〜請求項6何れか1項記載の包装トレイ。
【請求項8】
一の収容物を収容するのに対応する外壁部と、その外壁部に隣接し他の一の収容物を収容するのに対応する外壁部との間に境界突起を設けた請求項2〜請求項7何れか1項記載の包装トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物を1個ずつ個装状態にして包装する包装トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、苺等の果実、中でも進物用等に使用される比較的大粒の苺の包装トレイとしては、苺の表面が比較的柔らかくて他物と当接した部分から傷みが生じ易いことから、弾力性を有する柔軟な発泡樹脂シートから成形された緩衝用の第1の容器と、該容器を受支できるように保形性のある合成樹脂シートから成形された支持用の第2の容器とを組み合わせた果実包装トレイが知られている。
【0003】
例えば、実開昭61−144070号公報(特許文献1)または実開昭62−3465号公報(特許文献2)には、苺等の果実を個装状態に収納できる複数の収納凹部が形成された柔軟な発泡樹脂シートからなる緩衝用の容器と、前記収納凹部を嵌合して支持する保持用凹部が形成された非発泡の合成樹脂製シートからなる支持用の容器とを組み合わせた衝撃吸収性トレイが提案されている。
【0004】
また、特開2011−16572号公報(特許文献3)には、材料シート16と不織布シート17からなり、それらの間に空隙を形成した緩衝シート12が提案されている。さらに特開2010−64761号公報(特許文献4)には、支持容器20と緩衝用容器10とからなる容器Aが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−144070号公報
【特許文献2】実開昭62−3465号公報
【特許文献3】特開2011−16572号公報
【特許文献4】特開2010−64761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記いずれのトレイも2種の部材を結合しているため、それらを複合する工程が必要であった。また、若干大きさの異なる果実の場合には収納凹部とフィットし難く、より高い緩衝保護性が要求される場合があった。
【0007】
そこで本発明は、2種の部材を結合することなく、さらに緩衝保護性が向上した包装トレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、弾力性のある柔軟な発泡樹脂シートからなり果物などの収容物を収容する包装トレイであって、水平方向に沿う基板部と、基板部から上方に立ち上がり収容物の外周を囲うようにした立ち壁と、この立ち壁の先端側に連通する変形部とを有し、変形部がカルデラを備えた山状に形成される包装トレイを提供する。
【0009】
弾力性のある柔軟な発泡樹脂シートからなるため、果物などの収容物を収容して輸送や陳列することができる。そして、輸送時には収容物が傷みにくく、陳列時には見栄えの良い包装トレイとすることができる。
この包装トレイは、基板部から上方に立ち上がり収容物の外周を囲うようにした立ち壁を有するため、収容物が立ち壁から外にはみ出しにくく、安定して収容することができる。また、この立ち壁の先端側に連通する変形部を有するため、変形部を変形させることで収容物を立ち壁の内側で収容することができる。そして、水平方向に沿う基板部を有するため、収容物毎に対応した複数の立ち壁や変形部を複数箇所設けることができる。
【0010】
そして、包装トレイの変形部は、カルデラを備えた山状に形成されるため、イチゴの大きさに合わせた押し込み部分を得ることができ、大きさの異なる収容物に対するサイズ許容性を高めることができる。即ち、イチゴなどの収容物を入れる際に、小さいイチゴについてはカルデラ部分に収容できる。それより大きなイチゴになれば山の斜面の部分を内側に押し込んで変形させイチゴの周囲を包み込むことができる。このようにイチゴの大きさが変化してもその大きさに対応してイチゴの周囲を包み込むことができ、イチゴの大きさにかかわらず、確実に十分な収容を担保することができる。
【0011】
従来技術に相当する単に断面U字状に下方に凹む形状では、イチゴを収容してもU字状の部分が変形しにくい。そのため、比較的大きなイチゴに対応させて凹みを大きく形成すれば小さなイチゴに対しては隙間が多くなり、反対に比較的小さなイチゴに対応させて凹みを小さく形成すれば大きなイチゴは凹みに入り難くなる。そのためサイズ許容性が低いものであった。
【0012】
変形部には山の斜面となる外壁部とカルデラに相当する凹部との間になだらかな頂部を設けることができる。山の斜面となる外壁部とカルデラに相当する凹部との間になだらかな頂部を設けることで、変形部の表面積を広くすることができる。即ち、立ち壁の先端から単なる山状に上方に突出させた場合や、立ち壁の先端から急激に(鋭角的に)下方に凹ませた場合と比較して、なだらかな頂部を有することで変形部の表面積を拡大させることができる。
変形部の表面積が大きいと、イチゴを収容した際の押し込み部分を深くとることができるので、より大きなイチゴに対しても安定した収容が可能であり、サイズ許容性をより広げることができる。
【0013】
このようにイチゴを十分に包み込んで収容できるため、安定して保持され外部に飛び出し難くすることができる。よって収容物の収容保持性を高めることができる。また、十分に包み込まれるため、振動や衝撃に対する緩衝性も高くなる。
【0014】
凹部については、頂部よりも厚肉に形成することができる。凹部を頂部よりも厚肉に形成すれば凹部よりも頂部が変形し易くなる。そのため、収容物を載置すると凹部が変形するよりも頂部が変形して沈み込み収容物を包み込むようにして収容することができる。
【0015】
凹部の肉厚を下方に向かって徐々に厚肉になるように形成することができる。凹部の肉厚を下方に向かって徐々に厚肉になるように形成すれば、凹部のなかでも上方の方が下方よりも変形し易くなる。そのため、収容物を載置する際に変形量が大きな上方を無理なく変形させることができる。また収容物と凹部の底との間に隙間を生じさせ易く、荷重がかかりやすい収容物の底が包装トレイと密着することを防ぐことができる。
【0016】
立ち壁の先端側に段差部を有し、この段差部を介して立ち壁と変形部とが連通する包装トレイとすることができる。立ち壁と変形部との間に段差部を設けたため、段差部を境界にして変形する部分としない部分とに分かれやすい。即ち、段差部を設けることで変形部ではイチゴの収容に対応して容易に変形する一方で、立ち壁を変形し難くしてイチゴを外側から保護することができる。
【0017】
変形部を立ち壁よりも薄肉に形成することができる。変形部を立ち壁よりも薄肉に形成したため、変形部を変形し易く、立ち壁を変形し難くすることができる。そのため、変形部をイチゴに接触させて保護する一方で、立ち壁はイチゴに接触させずに収容することができる。これにより、外部からの衝撃に対して大きな力が直接的に収容物にかかることを防止することができる。
【0018】
基板部から下方に突出する支持脚を設けることができる。基板部から下方に突出する支持脚を設けたため、立ち壁の高さを超えてイチゴを下方に沈み込ませることができる。換言すれば、立ち壁を低く形成することができ、横方からの見栄えの良い包装トレイとすることができる。また、安定的に載置面に置くことができる。
【0019】
一の収容物を収容するのに対応する外壁部と、その外壁部に隣接し他の一の収容物を収容するのに対応する外壁部との間には、その境界部分で部分的に突出する境界突起を設けることができる。こうした境界突起を設けることで、比較的薄く形成される外壁部どうしが鋭角的に接触するような部分を形成せず、成形不良が生じにくい包装トレイが得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の包装トレイによれば、外部に飛び出し難くする収容保持性、外部からの衝撃や振動に対する緩衝性、収容物の大きさの変化に対応するサイズ許容性を高くすることができる。
また、本発明の包装トレイによれば、一の発泡樹脂シートから成形できるため、作業工程数を少なくし、また製造コストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】凹部を上方に折り返した状態の
図3相当断面図である。
【
図5】
図1の個装本体にイチゴを収容した状態を示す説明図である。
【
図6】イチゴを収容した状態の
図2相当断面図である。
【
図12】第3実施形態の包装トレイの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態について共通する部位には同一の符号を付し、また構成、製造方法、材質、効果等の共通する事項については重複説明を省略する。
【0023】
第1実施形態 [図1〜図6]:
本実施形態の包装トレイ11を
図1〜
図3で示す。
図1は平面図、
図2は
図1のSA−SA線断面図、
図3は
図1のSB−SB線断面図である。
これらの図で示すように、包装トレイ11は、水平方向に沿う基板部12と、基板部12から上方に立ち上がり収容物(例えば「イチゴ」;
図1〜
図3では図示せず)の外周を囲うように筒状に形成された立ち壁13と、この立ち壁13の先端13a側に連通し立ち壁13の先端13a側を閉塞する変形部14とを有しており弾力性のある柔軟な発泡樹脂シートから成形したものである。
一つの立ち壁13と一つの変形部14から一つのイチゴを収納する個装本体15を形成しており、
図1では2つの個装本体15を設けた例を示している。
【0024】
基板部12は、立ち壁13を立ち上げるベース部分であり、陳列棚や梱包容器等の載置面に対して略水平方向に広がる平面形状に形成され、複数個の個装本体15を連結する役割も担っている。また、基板部12から個装本体15が上方に突出して形成される一方で、基板部12から下方に突出した支持脚17が形成され、基板部12を包装トレイ11の最下端から上方に持ち上げている。
【0025】
立ち壁13は、イチゴの外周を囲い保護する部位である。後述する変形部14がイチゴを収容する際に変形するのに対し、イチゴを収容しても変形し難い外枠を形成している。この立ち壁13の変形し難さを強めるため、立ち壁13にはその伸張方向に垂直な方向に付き出したリブ部13bを設けることができる。包装トレイ11では一つの個装本体15に対して等間隔に4つのリブ部13bを備えている。
【0026】
変形部14は、カルデラを備えた山状に形成されており、山の斜面となる外壁部14aと、山の最高点部分である頂部14b、そしてカルデラに相当する凹部14cを有している。また、立ち壁13と変形部14との間には段差部16が形成されている。
包装トレイ11では、山の斜面となる外壁部14とカルデラに相当する凹部14cとの間の頂部14bがなだらかに形成されており、外壁部14aと凹部14cとが滑らかに連続している。即ち、凹部14cが外壁部14aに対して鋭角に折れ曲がるものではないため凹部14cを上方に反転させると、
図4で示すように、変形部14の断面は変曲点を有する形状に形成される。このように、単なる上に凸の放物線状とならないため、変形部14の表面積を大きくすることができる。
【0027】
包装トレイ11には発泡樹脂シートが用いられるが、ポリスチレン系発泡樹脂シートなどと比較して、弾力性があって柔軟で、変形し易い材質が好ましく、例えば、オレフィン系発泡樹脂シートが例示できる。より好ましくはポリエチレン系発泡樹脂シートや、ポリプロピレン系発泡樹脂シートが挙げられる。好適な材質のなかでも、破断に対する強さをもたせるために架橋した材質であることがより好ましい。
【0028】
包装トレイ11は、発泡樹脂シートを真空成形等の公知の成形方法を採用して所定の形状に成形して製造することができる。そして、変形部14の肉厚は立ち壁13の肉厚よりも薄く形成することが好ましい。変形部14は変形し易く、立ち壁13は変形し難くするためである。変形部14の中での厚みは各部位を均等にすることができるが、頂部14bを最も薄くすることができる。頂部14bを最も薄くすることで変形部14をより変形し易くすることができる。こうした成形は、基板部12から離れるほど薄くなりやすい成形上の特性を利用することができる。そして、凹部14cを頂部14bよりも厚くすることで比較的凹部14cを変形し難くすることができる。即ち、収容物が載置されると凹部14cよりも頂部14bが変形し凹部14cの周囲から下方へ沈み込み易くなっている。
【0029】
包装トレイ11の大きさは一例として、基板部11の厚みを2.5mm、立ち壁13の直径を70mm、厚みを2.5mm、変形部14の厚みを0.8mm〜1.5mm、凹部14cの頂部14bからの深さを18mm、頂部14bの基板部13からの高さを33mmとすることができる。
【0030】
包装トレイ11にイチゴSを収容するには、一の個装本体15に一のイチゴSを対応させる。凹部14cにイチゴSを載せて下方に押し込むと主に変形部14の頂部14bと外壁部14aが変形してイチゴSに沿って内方に押し込まれ、立ち壁13に囲まれた中にイチゴSが収容される。その状態を
図5の平面図、
図6の断面図に示す。
【0031】
包装トレイ11によれば、変形部14の外壁部14aや頂部14bがイチゴSを載せることで下方に沈み込み、イチゴSの周囲を包み込むことができるので、弾力性のある変形部14をイチゴSに接触させて収容することができる。そのため、外部からの衝撃や振動に対する緩衝性が高く、また、イチゴSに大きさのばらつきがあってもその大きさに応じて包み込む程度が変化するのでサイズ許容性が高い。さらには、立ち壁13はその形状が保持されるため、イチゴSが外部に飛び出し難く収容保持性が高い。
包装トレイ11の製造は、一の発泡樹脂シートから成形できるため、作業工程数が少なく、製造コストの低い包装トレイ11を得ることができる。
【0032】
凹部14cを頂部14bよりも比較的厚く形成することにより、あるいは、なめらかな頂部14bを設けることにより、
図6で示すように、凹部14cの外径よりもおおきなイチゴSを収容した場合には、イチゴSの下に凹部14cの形状を留めた隙間Bを生じさせることができる。隙間BがあればイチゴSと立ち壁13の間に入った水分が隙間BにたまりイチゴSに接触しないため、イチゴSを新鮮に保つことができる。また、隙間Bの部分ではイチゴSと変形部14が接触しないため、必要以上に接触部分を多くしないで済み、イチゴSの過度の圧迫を防ぐことができる。また、凹部が厚くなっているため、万が一凹部14cが支持脚17よりも沈み込み載置台などに凹部の底が当たるような場合であっても厚い肉厚によりイチゴSを保護することができる。
【0033】
第2実施形態 [図7〜図11]:
図7〜
図11で示すイチゴ用の包装トレイ21は、個装本体15を縦に4列、横に2行の合計8個形成するとともに、各個装本体15は平面視で図面上下方向に縦長に形成したものである。
図7の縦方向に隣接する個装本体15どうしは立ち壁13で接し、両者の間からは基板部12が無くなっている。但し、各変形部14は隣接する個装本体15との間で直接連通することなく独立しており、各個装本体15ごとにイチゴSの十分な沈み込みが可能となっている。また、
図7の横方向に隣接する個装本体15どうしの間は大変狭くなっているが、段差部16を両個装本体15で共有している(
図11参照)。
【0034】
個装本体15で囲われた中心には、合計3個の支持脚17を有している。また、基板部12の端部は下方に折れ曲がって側面部18を形成している。この側面部18の下端と支持脚17の下端が載置面に接触することで包装トレイ21を安定的に載置面に置くことができるようになっている。
【0035】
包装トレイ21もまた収容保持性、緩衝性、サイズ許容性に優れ、簡単に製造することができる。そして、イチゴSを美しく収容することができる。
【0036】
第3実施形態 [図12,図13]:
図12に本実施形態の包装トレイ31の平面図、
図13にはその断面図を示す。
包装トレイ31も包装トレイ21と同様に8個の個装本体15を形成しているが、本実施形態では、各個装本体15が平面視で斜めを向くように形成したものである。
支持脚17も個装本体15で囲われた中心に設けられているが、平面視で個装本体15が右斜めに向くのに対して左斜めに向くように形成されている。
また、
図12の横方向に隣接する個装本体15どうしの間は大変狭くなっているが、段差部16から連続し、上に凸状に突起する境界突起16aを形成することで外壁部14aどうしの接触を回避している(
図12参照)。
【0037】
この境界突起16aの形成は、外壁部14aどうしが接触し鋭角な形状が生じるのを防ぐことにもなり、成形不良を起こし難くすることができる。また、境界突起16aはイチゴSの収容の際に変形せずにイチゴSどうしの仕切りになるものであるが、その厚みによっては変形部14の一部として作用させることもできる。この場合には縦方向に十分な長さを持たせずに接触する外壁部14aどうしの間で、変形しろをかせぐ部位となる。
こうした包装トレイ21もまた収容保持性、緩衝性、サイズ許容性に優れ、簡単に製造することができる。そして、イチゴSを美しく収容することができる。
【0038】
上記実施形態で示した包装トレイは例示であり、こうした形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨に反しない任意の変更形態を含むものである。即ち、上記実施形態で示した一部の構成を含まなかったり、別の公知の構成を含んだり、代替したりしている場合も本願発明の範囲に含まれる。
例えば、
図7や
図12等で個装本体15の個数は8個に限らず適当な個数を設けるように変形することができる。また、側面部18を設けずに基板部12の端部の適当な箇所のみを下方に突出させて外枠を形成することもできる。反対に基板部12の外周または四隅に側面部18を形成すれば支持脚17を省略することもできる。
【0039】
本実施形態においては収容物としてイチゴを挙げているが、これは例示にすぎず、収容物はイチゴに限定されるものではない。即ち、イチゴを含む果物、その他の農産物の他、魚介類等の海産物であっても良く、大きさ、形状が揃い難い緩衝性が要求されるものに好適に用いることができる。
また、大きさ、形状に対して高度な寸法精度が要求され、大きさ、形状がほとんど変わらない電子部品等の工業製品に対しても好適に用いることができる。こうした工業製品に対しては個々の工業製品に対応して包装トレイにも高度な寸法精度が要求されるのが通常であるが、本発明はサイズ許容性の高い包装トレイであるので、包装トレイの方の大きさ、形状に多少バラツキがあったとしても、緩衝性を維持することができる。
【符号の説明】
【0040】
11,21,31 包装トレイ
12 基板部
13 立ち壁
13a 先端
13b リブ部
14 変形部
14a 外壁部
14b 頂部
14c 凹部
15 個装本体
16 段差部
16a 境界突起
17 支持脚
18 側面部
S イチゴ
B 隙間