特許第6186225号(P6186225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186225
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ハードマスク
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/00 20060101AFI20170814BHJP
   C08F 20/06 20060101ALI20170814BHJP
   C08G 79/00 20060101ALI20170814BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C08F2/00 C
   C08F20/06
   C08G79/00
   H01L21/30 573
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-196367(P2013-196367)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-62253(P2014-62253A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2016年9月5日
(31)【優先権主張番号】13/624,946
(32)【優先日】2012年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダヤン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジビン・サン
(72)【発明者】
【氏名】パン−ウェイ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・トレフォナス・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】コン・リュー
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−521355(JP,A)
【文献】 特表2014−532289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60
20/00−20/70
C08G 79/00−79/14
H01L 21/00−21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電子デバイス基体を提供すること、(b)前記電子デバイス基体上に有機金属オリゴマーの層を配置すること、および(c)前記有機金属オリゴマーを硬化させて、前記電子デバイス基体上に金属酸化物層を形成することを含み、
前記有機金属オリゴマーが、
(i)金属含有ペンダント基を含むオリゴマーであって、重合単位として1種以上の式(1)
【化1】
(式中、R=HまたはCHであり、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムから選択され、Lは、(C−C)アルコキシ、ベータ−ジケトネート、ベータ−ヒドロキシケトネート、ベータ−ケトエステル、ベータ−ジケチミネート、アミンジネート、グアニジネートおよびベータ−ヒドロキシイミンから選択され、並びにnはリガンドの数を表し、および1〜4の整数である)
のモノマーを含むオリゴマー;
(ii)式(2)のオリゴマー、
【化2】
(式中、R=(C−C)アルキルであり、Mチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムから選択され、R=(C−C)アルキレン−X−または(C−C)アルキリデン−X−であり、各Xは独立してOおよびSから選ばれ、zは1〜5の整数であり、L、(C−C)アルコキシ、ベータ−ジケトネート、ベータ−ヒドロキシケトネート、ベータ−ケトエステル、ベータ−ジケチミネート、アミンジネート、グアニジネートおよびベータ−ヒドロキシイミンから選択され、mはリガンドの数を表し、および1〜4の整数であり、ならびにp=2から25の整数である)、ならびに(iii)それらの混合物から選ばれる、
電子デバイスを製造する方法。
【請求項2】
各Lが(C−C)アルコキシから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
各Lがベータ−ジケトノン、ベータ−ヒドロキシケトン、ベータ−ジケチミネート、アミンジネート、グアニジネートおよびベータ−ヒドロキシイミンから選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各Lがアセトニルアセトネート、ヘキサフルオロアセトニルアセトネート、N,N’−ジメチル−メチルアミジナト、N,N’−ジエチル−メチルアミジナト、N,N’−ジエチル−エチルアミジナト、N,N’−ジ−イソ−プロピル−メチルアミジナト、N,N’−ジ−イソ−プロピル−イソ−プロピルアミジナト、N,N’−ジメチル−フェニルアミジナト、テトラメチルグアニジネートおよびテトラエチルグアニジネートから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
m=2である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
p=2〜10である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)が有機金属オリゴマーおよび有機溶剤を含む組成物を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶剤が<10,000ppmの水を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化工程の前に有機溶剤を除去する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記金属含有ペンダント基を含むオリゴマーが、重合単位として、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、および芳香族(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上のモノマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
重合単位として1種以上の式(1)
【化3】
(式中、R=HまたはCHであり、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムから選択され、Lは、(C−C)アルコキシ、ベータ−ジケトネート、ベータ−ヒドロキシケトネート、ベータ−ケトエステル、ベータ−ジケチミネート、アミンジネート、グアニジネートおよびベータ−ヒドロキシイミンから選択され、並びにnはリガンドの数を表し、および1〜4の整数である)
のモノマーを含むポリマー。
【請求項12】
重合単位として、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、アリール(メタ)アクリレートモノマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー、アルケニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸およびビニル芳香族モノマーから選ばれる1種以上のモノマーをさらに含む、請求項11に記載のポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して半導体製造の分野に関し、より詳細には半導体の製造において用いられるハードマスクの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
193nm液浸リソグラフィにおける限界寸法およびピッチの両方が継続的に減少しているのに伴って、集積回路のある種の層の製作におけるハードマスクの使用は、ハードマスク材料の優れたエッチング選択性のため、ますます一般的になってきている。ある種の金属ハードマスク、例えばTiNなどは、化学蒸着(CVD)により、処理されたウェーハ上に適用される。CVDまたはスピンオン技術のいずれかによって適用される非晶質炭素ハードマスク、およびシリコンハードマスク(またはシリコン反射防止コーティングすなわちSiARC)は、集積回路製作における従来技術の一つである。スピンオン金属ハードマスクは、一部は従来のアプローチと比べた潜在的コスト低減のため、並びに製作プロセスの単純化のため、現在、集積回路産業において魅力的なものとなっている。
【0003】
米国特許第7,364,832号は、基体上に以下の式の金属−酸素ポリマーを含有する組成物の層を堆積させることにより得られる湿式現像可能な保護層を開示する:
【化1】
式中、Xは光減衰部分およびポリオールから選択され、Mは金属であり、Rは各々、水素、アルキル、アリール、アルコキシおよびフェノキシから個別に選択される。これらの材料は、集積回路の製造において用いられる薄いフォトレジスト層とともに湿式現像可能であるように設計される。しかしながら、固定した金属−酸素化学量論のため、これらの材料はバルク膜の密度に作用することによりエッチング選択性を変える能力を持つことが許されず、およびこれら材料の湿式現像性のため、様々な集積回路製造プロセスにおいて用いられる他の材料と適合性であることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,364,832号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高架橋密度であって優れた溶剤耐性を有するハードマスク膜の形成に用いることができる新たなハードマスク組成物へのニーズが、依然として存在する。これらのニーズなどは、以下の発明により満たされた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)電子デバイス基体を提供すること、(b)前記電子デバイス基体上に有機金属オリゴマーの層を配置すること、および(c)前記有機金属オリゴマーを硬化させて、前記電子デバイス基体上に金属酸化物層を形成することを含み、
前記有機金属オリゴマーが、(i)金属含有ペンダント基を含むオリゴマー、(ii)式(2)のオリゴマー、
【化2】
(式中、R=(C−C)アルキルであり、Mは3族から14族の金属であり、R=(C−C)アルキレン−X−または(C−C)アルキリデン−X−であり、各Xは独立してOおよびSから選ばれ、zは1〜5の整数であり、Lはリガンドであり、mはリガンドの数を表し、および1〜4の整数であり、ならびにp=2から25の整数である)、ならびに(iii)それらの混合物から選ばれる、電子デバイスを製造する方法を提供する。
【0007】
また本発明により提供されるのは、重合単位として1種以上の式(1)のモノマーを含むポリマーである:
【化3】
式中、R=HまたはCHであり、M=3族から14族の金属であり、Lはリガンドであり、並びにnはリガンドの数を表し、および1〜4の整数である。
【0008】
加えて、本発明は、以下の式のモノマーを提供する:
【化4】
式中、R=HまたはCHであり、M=3族から14族の金属であり、Lはリガンドであり、並びにnはリガンドの数を表し、および1〜4の整数である。
【0009】
さらに、本発明は、式(2)のポリマーを提供する:
【化5】
式中、R=(C−C)アルキルであり、Mは3族から14族の金属であり、R=(C−C)アルキレン−X−または(C−C)アルキリデン−X−であり、各Xは独立してOおよびSから選ばれ、zは1〜5の整数であり、Lはリガンドであり、mはリガンドの数を表し、および1〜4の整数であり、ならびにp=2から25の整数である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書全体にわたって用いられる場合、以下の略語は、文脈が他のことを明瞭に指示しないかぎり、以下の意味を持つものとする:ca.=約、℃=セ氏温度、g=グラム、mg=ミリグラム、mmol=ミリモル、L=リットル、mL=ミリリットル、μL=マイクロリットル、nm=ナノメートル、Å=オングストローム、Et=エチル、i−Pr=イソ−プロピル、n−Bu=n−ブチル、t−Bu=tert−ブチル、およびrpm=毎分回転数。他に記述されないかぎり、全ての量は重量パーセント(「重量%」)であり、全ての比はモル比である。全ての数値範囲は、この数値範囲が合計100%になるように制約されることが明らかな場合を除いて、包含的で任意に組み合わせ可能である。
【0011】
用語「コポリマー」とは、2種以上の異なるモノマーのポリマーをいう。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの両方をいう。本明細書において用いられる場合、用語「ペンダント基」とは、ポリマー骨格に結合されているがポリマー骨格の一部分を形成していない基をいう。用語「オリゴマー」とは、さらに硬化することができる、二量体、三量体、四量体および他の比較的低分子量の材料をいう。用語「ポリマー」は、用語「オリゴマー」を包含する。用語「硬化」は、重合させる、または別の方法で、例えば縮合などによって膜または層の分子量を増加させるあらゆるプロセスを意味する。冠詞「a」および「an」は、単数および複数に言及する。「アルキル」とは、直鎖、分岐および環式のアルキルをいう。
【0012】
有機金属オリゴマーを含む本発明の組成物は、別個の金属非含有バインダーポリマーを必要とせずに、電子デバイス基体の表面上に膜を堆積させるのに使用されうることが見出された。この膜は金属酸化物ハードマスクを形成するのに好適である。本明細書において用いられる場合、用語「金属酸化物ハードマスク」または「金属酸化物含有」ハードマスクとは、主として金属−酸素結合、例えば、−M−O−M−O−M−を含むハードマスク層または膜をいう。好ましくは、本組成物は、別個の金属非含有バインダーポリマーを含まない。用語「バインダーポリマー」とは、金属含有材料を基体に結合させるように機能するポリマーをいう。界面活性剤は「バインダーポリマー」ではない。好ましくは、本組成物は界面活性剤も含まない。有機金属オリゴマーはシリコンを含まないことが好ましく、より好ましくは本組成物はシランを含まない。
【0013】
本組成物は、(i)金属含有ペンダント基を含むオリゴマー、(ii)式(2)のオリゴマー
【化6】
(式中、R=(C−C)アルキルであり、Mは3族から14族の金属であり、R=(C−C)アルキレン−X−または(C−C)アルキリデン−X−であり、各Xは独立してOおよびSから選ばれ、zは1〜5の整数であり、Lはリガンドであり、mはリガンドの数を表し、および1〜4の整数であり、ならびにp=2から25の整数である)、ならびに(iii)(i)および(ii)の混合物から選ばれる有機金属オリゴマーを含む。これらの組成物では、金属含有ペンダント基を含む1種より多いオリゴマー、または1種より多い式(2)のオリゴマー、およびこのようなオリゴマーの混合物を用い得ることが理解されるであろう。
【0014】
有機金属オリゴマーは単一の金属を含有していてもよく、または2種以上の異なる金属を含有していてもよい。すなわち、単一の有機金属オリゴマーはただ1種類の金属種のみを有していてよく、または2種以上の異なる金属を含有していてもよい。あるいは、オリゴマーの各々が単一の金属種を持つ有機金属オリゴマーの混合物を、混合金属膜を堆積させるために使用し得る。有機金属オリゴマーは単一の金属種を含有し、異なる金属の種を含有しないことが好ましい。本有機金属オリゴマーにおいて有用である好適な金属は、周期表の3〜14族の任意の金属である。好ましくは、この金属は、4族、5族、6族および13族から、より好ましくは4族、5族および6族から選ばれる。好ましくは、金属としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムが、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタルおよびモリブデンが挙げられる。
【0015】
1以上の金属含有ペンダント基を含む膜形成性有機金属オリゴマーは、本組成物において好適に用いられ得る。好ましくは、1以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーは、重合単位として、1以上の(メタ)アクリレートモノマーを含む。より好ましくは、1以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーは、重合単位として、1以上の金属含有(メタ)アクリレートモノマーを含む。いっそうより好ましくは、1以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーは、重合単位として、1種以上の式(1)のモノマーを含む:
【化7】
式中、R=HまたはCHであり、M=3族から14族の金属であり、Lはリガンドであり、並びにnはリガンドの数を表し、および1〜4の整数である。好ましくは、Mは、4族、5族、6族および13族から、より好ましくは4族、5族および6族から選ばれる金属である。M=チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムであることが好ましく、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタルおよびモリブデンであり、さらにより好ましくはジルコニウム、ハフニウム、タングステンおよびタンタルである。
【0016】
式(1)中のリガンド、Lは、このリガンドが硬化工程の間に開裂されて金属酸化物含有ハードマスクを形成することができるならば、どのような好適なリガンドであってもよい。好ましくは、リガンドは、金属に結合した、金属に配位した、または別の方法で金属と相互作用する酸素または硫黄原子を含む。リガンドの例示的な種類は、以下の基のうちの1種以上を含有するものである:アルコール、チオール、ケトン、チオンおよびイミン、好ましくはアルコール、チオール、ケトンおよびチオン。好ましくは、Lは、(C−C)アルコキシ、ベータ−ジケトネート、ベータ−ヒドロキシケトネート、ベータ−ケトエステル、ベータ−ジケチミネート、アミンジネート、グアニジネートおよびベータ−ヒドロキシイミンのうちの1種以上から選ばれる。Lは、(C−C)アルコキシ、ベータ−ジケトネート、ベータ−ヒドロキシケトンおよびベータ−ケトエステルのうちの1種以上から選ばれるのがより好ましく、なおより好ましくは、Lは、(C−C)アルコキシから選ばれる。リガンドの数は、式(1)中で「n」により表され、これは1〜4、好ましくは2〜4、より好ましくは3〜4の整数である。好ましい式(1)のモノマーは、Zr(C−Cアルコキシ)アクリレート、Zr(C−Cアルコキシ)メタクリレート、Hf(C−Cアルコキシ)アクリレート、Hf(C−Cアルコキシ)メタクリレート、Ti(C−Cアルコキシ)アクリレート、Ti(C−Cアルコキシ)メタクリレート、Ta(C−Cアルコキシ)アクリレート、Ta(C−Cアルコキシ)メタクリレート、Mo(C−Cアルコキシ)アクリレート、Mo(C−Cアルコキシ)メタクリレート、W(C−Cアルコキシ)アクリレートおよびW(C−Cアルコキシ)メタクリレートである。
【0017】
1以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーは、単一種のモノマーの重合単位から構成されうる(ホモポリマー)か、または2種以上のモノマーの混合物の重合単位から構成されうる(コポリマー)。好適なコポリマーは、金属含有ペンダント基を含む1種以上のモノマーを1種以上の他のモノマーと重合させることによる従来法によって調製され得るものであり、このような他のモノマーは任意選択で金属含有ペンダント基を含んでいてもよい。好ましくは、1種以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーは、1種以上の金属含有(メタ)アクリレートモノマーと1種以上の他のエチレン性不飽和モノマーとの従来のフリーラジカル重合により調製される。好適なエチレン性不飽和モノマーとしては、限定されないが、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、アリール(メタ)アクリレートモノマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー、アルケニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸およびビニル芳香族モノマー、例えばスチレンおよび置換スチレンモノマーなどが挙げられる。好ましくは、エチレン性不飽和モノマーは、(C−C12)アルキル(メタ)アクリレートモノマーおよびヒドロキシ(C−C12)アルキル(メタ)アクリレートモノマー、より好ましくは(C−C12)アルキル(メタ)アクリレートモノマーおよびヒドロキシ(C−C)アルキル(メタ)アクリレートモノマーから選ばれる。好ましい(C−C12)アルキル(メタ)アクリレートモノマーおよびヒドロキシ(C−C12)アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。このようなコポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。これらの有機金属オリゴマーは、重合単位として、金属含有ペンダント基を含むモノマー、例えば金属含有(メタ)アクリレートモノマーなどに加えて、1、2、3、4種またはそれより多いエチレン性不飽和モノマーから構成されうる。
【0018】
本組成物において有用である他の有機金属オリゴマーは、式(2)のものである:
【化8】
式中、R=(C−C)アルキルであり、Mは3族から14族の金属であり、R=(C−C)アルキレン−X−または(C−C)アルキリデン−X−であり、各Xは独立してOおよびSから選ばれ、zは1〜5の整数であり、Lはリガンドであり、mはリガンドの数を表し、および1〜4の整数であり、ならびにp=2から25の整数である。Rは(C−C)アルキルであるのが好ましく、より好ましくは(C−C)アルキルである。好ましくは、Mは、4族、5族、6族および13族から、より好ましくは4族、5族および6族から選ばれる金属である。M=チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタル、モリブデンおよびアルミニウムであるのが好ましく、より好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、タンタルおよびモリブデンであり、さらにより好ましくはジルコニウム、ハフニウム、タングステンおよびタンタルである。Xは好ましくはOである。Rは、(C−C)アルキレン−X−および(C−C)アルキリデン−X−から選ばれるのが好ましく、より好ましくは(C−C)アルキレン−O−および(C−C)アルキリデン−O−から選ばれる。好ましくは、p=5〜20であり、より好ましくは8〜15である。z=1〜4であるのが好ましく、より好ましくはz=1〜3である。
【0019】
式(2)中のリガンド、Lは、このリガンドが硬化工程の間に開裂されて金属酸化物含有ハードマスクを形成することができるならば、どのような好適なリガンドであってもよい。好ましくは、このリガンドは、金属に結合した、金属に配位した、または他の方法で金属と相互作用する酸素または硫黄原子を含む。リガンドの例示的な種類は、以下の基のうちの1種以上を含有するものである:アルコール、チオール、ケトン、チオンおよびイミン、好ましくはアルコール、チオール、ケトンおよびチオン。好ましくは、Lは、(C−C)アルコキシ、ベータ−ジケトネート、ベータ−ヒドロキシケトネート、ベータ−ケトエステル、ベータ−ジケチミネート、アミンジネート、グアニジネートおよびベータ−ヒドロキシイミンのうちの1種以上から選ばれる。Lは、(C−C)アルコキシ、ベータ−ジケトネート、ベータ−ヒドロキシケトネートおよびベータ−ケトエステルのうちの1種以上から選ばれるのがより好ましく、なおより好ましくは、Lは、ベータ−ジケトネート、ベータ−ヒドロキシケトネートおよびベータ−ケトエステルから選ばれる。リガンドの数は、式(2)中で「m」で表されており、これは1〜4、好ましくは2〜4であり得る。Lのための好ましいリガンドとしては、ベンゾイルアセトネート、ペンタン−2,4−ジオネート(アセトアセテート)、ヘキサフルオロアセトアセテート、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネートおよびエチル−3−オキソブタノエート(エチルアセトアセテート)が挙げられる。
【0020】
式(2)のオリゴマーは、当該技術分野で公知である従来の手段によって、例えば以下の一般式などによって調製され得る:
【化9】
式中、R、R、X、M、L、m、pおよびzは、式(2)のオリゴマーについて上記した意味を持つ。式(2)のオリゴマーは、単一の金属種を含有していてもよく、または各々が同様の耐プラズマエッチング性を持つ異なる金属種の組み合わせを含有していてもよいが、好ましくは単一の金属種を含有する。典型的に、この反応は、≦100℃、好ましくは≦90℃、より好ましくは≦80℃の温度で実施される。
【0021】
1以上の金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーと、式(2)のオリゴマーとの混合物が用いられる場合、このようなオリゴマーは様々な量で、例えば重量で99:1から1:99などで、好ましくは重量で90:10から10:90で用いられ得る。より好ましくは、オリゴマーの混合物は、重量で80:20から20:80の量で用いられる。
【0022】
本有機金属オリゴマーを含む組成物は、典型的に、1種以上の有機金属オリゴマーを1種以上の有機溶剤および任意選択の成分と一緒にすることにより調製される。有機金属オリゴマーが選択された溶剤または溶剤の混合物に可溶であるならば、幅広い種類の有機溶剤が好適に用いられ得る。この溶剤としては、芳香族炭化水素、アルコール、ラクトン、エステル、グリコールおよびグリコールエーテルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。有機溶剤の混合物を用いてもよい。例示的な有機溶剤としては、トルエン、キシレン、メシチレン、2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、メチルイソブチルカルビノール、ガンマ−ブチロラクトン、エチルラクテート、メチル2−ヒドロキシイソブチレート(HBM)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、有機溶剤は、<10,000ppmの水を、より好ましくは<5000ppmの水を、いっそうより好ましくは≦500ppmの水を含有する。有機溶剤は、遊離のカルボン酸基またはスルホン酸基を持たないのが好ましい。溶剤中の有機金属オリゴマーの濃度が広範囲にわたって変わり得ること、およびスピンオン技術により堆積されるあらゆる膜の厚さが溶剤中のオリゴマーの濃度に依存することは、当業者に理解されよう。
【0023】
本有機金属オリゴマー組成物は、任意選択で、1種以上の表面レベリング剤(すなわち界面活性剤)を包含し得る。任意の好適な界面活性剤が用いられ得るが、この界面活性剤は典型的には非イオン性である。本組成物において有用であるこの界面活性剤の量は当業者に周知であり、典型的に0から2重量%の範囲内である。
【0024】
任意選択で、本有機金属オリゴマー組成物は、堆積された有機金属オリゴマー膜の硬化を補助する1種以上の硬化剤をさらに含み得る。例示的な硬化剤としては、熱酸発生剤および光酸発生剤が挙げられる。好ましい硬化剤は熱酸発生剤である。
【0025】
本組成物は、任意選択で、ポリマー系(またはオリゴマー系)でない1種以上の有機金属化合物を含み得る。好ましくは、これら有機金属化合物は、3〜14族から、より好ましくは4族、5族、6族および13族から、なおより好ましくは4族、5族および6族から選ばれる金属を含有する。有機金属化合物中の金属は、有機金属オリゴマー中の金属と異なるのがさらに好ましい。この有機金属化合物は、混合金属酸化物ハードマスクが望まれる場合、とりわけ有用である。「混合金属酸化物ハードマスク」とは、2種以上の異なる金属を含有する金属酸化物ハードマスクを意味する。
【0026】
ある好ましい組成物は、金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマーおよび有機溶剤を含み、より好ましくは重合単位として1種以上の金属含有(メタ)アクリレートモノマーを含むオリゴマーおよび有機溶剤を含む。別の好ましい組成物は、金属含有ペンダント基を含む有機金属オリゴマー;ポリマー系でなく、有機金属オリゴマー中の金属と異なる金属を含有する有機金属化合物;および有機溶剤を含み、より好ましくは、重合単位として1種以上の金属含有(メタ)アクリレートモノマーを含むオリゴマー;ポリマー系でなく、有機金属オリゴマー中の金属と異なる金属を含有する有機金属化合物;および有機溶剤を含む。なお別の好ましい組成物は、式(2)の有機金属オリゴマー
【化10】
(式中、R=(C−C)アルキルであり、Mは3族から14族の金属であり、R=(C−C)アルキレン−X−または(C−C)アルキリデン−X−であり、各Xは独立してOおよびSから選ばれ、zは1〜5の整数であり、Lはリガンドであり、mはリガンドの数を表し、および1〜4の整数であり、ならびにp=2から25の整数である)、ならびに有機溶剤を含み、より好ましくは、ポリマー系でなく、有機金属オリゴマー中の金属と異なる金属を含有する有機金属化合物をさらに含む。
【0027】
本組成物は、任意の好適な手段、例えばスピンコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティングなどにより、電子デバイス基体上に配置され得る。スピンコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング法において、本組成物は、500から4000rpmの速度で回転している基体に、15〜90秒の時間をかけて、基体の有機金属オリゴマーの所望の層を得るように適用される。有機金属オリゴマー層の高さが回転速度を変化させることにより調節され得ることは、当業者に理解されよう。
【0028】
幅広い種類の電子デバイス基体、例えばシリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、アルミニウム、タングステン、チタン、チタン−タングステン、ニッケル、銅および金の基体などであるがこれらに限定されない基体が、本発明において用いられ得る。この基体は、ウェーハの形態で、例えば集積回路、光学センサ、フラットパネルディスプレイ、光集積回路および発光ダイオードの製造において用いられるウェーハなどの形態であり得る。
【0029】
基体上に堆積させた後、有機金属オリゴマー層を、任意選択で、あらゆる溶剤および他の比較的揮発性である成分を有機金属オリゴマー層から除去するために比較的低い温度でベークする。典型的に、基体を≦125℃で、好ましくは60から125℃で、より好ましくは90から115℃の温度でベークする。ベーキング時間は、典型的に10秒から10分、好ましくは30秒から5分、より好ましくは6から180秒である。基体がウェーハである場合、このベーキング工程は、ホットプレート上でウェーハを加熱することにより実施され得る。
【0030】
ベーキング工程の後で、有機金属オリゴマー層を酸素含有雰囲気、例えば空気などの中で硬化させる。硬化工程は、好ましくはホットプレート様式の装置上で実行されるが、同等の結果を得るのにオーブン硬化を用いてもよい。典型的に、この硬化は、有機金属オリゴマーを≧150℃、好ましくは150から400℃の硬化温度で加熱することにより実施される。硬化温度は≧200℃であるのがより好ましく、さらにより好ましくは≧250℃、いっそうより好ましくは250から400℃である。硬化時間は、10秒から10分、好ましくは30秒から5分、より好ましくは45秒から5分、なおより好ましくは60から180秒であり得る。最終硬化温度の選定は、所望の硬化速度に主に依存し、硬化温度が高くなるほど必要とされる硬化時間は短くなる。この硬化工程は、極めて金属酸化物含量が高い膜を形成するよう、本質的に全て(すなわち少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%)の有機オリゴマーを熱分解するために実施される。典型的に、硬化した金属酸化物含有膜中の金属の量は、95モル%(あるいはより高く)まで、好ましくは50から95モル%であり得る。本明細書において用いられる場合、用語「金属酸化物膜」(または「金属酸化物層」)とは、主として金属および酸素を含む膜をいうが、任意選択で5モル%までの炭素を含有していてもよい。好ましくは、この金属酸化物膜は、0から5モル%の炭素、より好ましくは0から3モル%、いっそうより好ましくは0から2.5モル%の炭素を含む。
【0031】
本有機金属オリゴマー層を温度≧200℃で硬化させる場合、結果として得られる金属酸化物含有膜は、反射防止コーティングおよびフォトレジストの適用において従来用いられる溶剤によるストリッピング(除去されること)に耐性である。本有機金属オリゴマー層を温度≧350℃で硬化させる場合、結果として得られる金属酸化物含有膜もまた、像形成されたフォトレジスト層の現像において従来用いられるアルカリまたは溶剤の現像剤によるストリッピングに耐性である。
【0032】
溶剤および硬化副生成物の迅速な展開が膜の品質を損なわさせないような方法で最終硬化工程が実行される場合には、最初のベーキング工程は必須でない場合がある。例えば、比較的低い温度で勾配ベークを開始し、次いで250から400℃の範囲へと徐々に昇温することは、許容できる結果を与えることができる。場合によっては、第一段階は250℃未満のより低いベーク温度であり、第二段階は好ましくは250から400℃の間のより高いベーク温度である2段階硬化プロセスを持つのが好ましいこともある。2段階硬化プロセスは、予め存在する基体表面トポグラフィの均一な充填および平坦化、例えばトレンチおよびバイアの充填を促す。
【0033】
理論に拘束されることを望むものではないが、有機金属オリゴマーの金属酸化物への変換は、コーティング中に含有される水分ならびに/または堆積(キャスティング)および硬化プロセス中に雰囲気から吸着される水分によるその加水分解を伴うと考えられる。したがって、硬化プロセスは、好ましくは、金属酸化物への完全な変換を促すように水分が存在する空気中または雰囲気中で行われる。硬化プロセスはまた、コーティングを好ましくは約200から400nmの波長範囲の紫外線に露光することにより、補助されうる。この露光プロセスは別々に、または熱硬化プロセスとともに適用されうる。
【0034】
硬化した金属酸化物含有層(または膜)は、様々な電子デバイスの製造におけるハードマスクとして好適に用いられ得る。例として、本組成物は、底部反射防止コーティング(BARC)スタックの一部として用いられるハードマスクを形成するのに用いられ得る。この使用において、上記の有機金属オリゴマーの層は、例えばスピンコーティングなどによって、電子デバイス基体上に配置される。有機金属オリゴマー層を次いで、例えば105℃で60秒間などでベークし、次いで金属酸化物含有膜を形成するよう空気中で350℃で60秒間硬化させる。次に、反射防止コーティング材料、例えばAR137反射防止剤(マサチューセッツ州マルボロのダウエレクトロニックマテリアルズから市販されている)などの層を金属酸化物含有膜上にスピンコーティングにより配置し、製造業者の推奨プロセスに従って二重BARCスタックをもたらすようにベークする。次に、従来のプロセスを用いたスピンコーティングにより、フォトレジスト層をこの二重BARCスタックの表面上に堆積させる。幅広い種類のフォトレジスト、例えば193nmリソグラフィにおいて用いられるもの、例えばダウエレクトロニックマテリアルズから入手可能であるEPICブランドとして販売されているものなどが好適である。フォトレジスト層は次いでパターン化された化学線を用いて像形成(露光)され、露光されたフォトレジスト層は次いでパターン化フォトレジスト層をもたらすのに適切な現像剤を用いて現像される。好適なフォトレジストは、ポジ型現像レジストまたはネガ型現像レジストでありうる。このパターンは次に、当該技術分野で公知である適切なエッチング技術によって、例えばプラズマエッチングなどによって、フォトレジスト層から下にある基体へと転写される。エッチングの後で、フォトレジスト層、反射防止コーティング材料層および金属酸化物含有層を、従来の技術を用いて除去する。電子デバイス基体を次いで従来の手段に従って加工する。
【実施例】
【0035】
以下の実施例において、全ての溶液を0.2μm(マイクロメートル)のパーフルオロポリエチレンシリンジフィルターを通してろ過し、全てのスピンコーティングを1500rpmで実施し、および用いられた全てのウェーハはベアシリコンウェーハであった。
【0036】
実施例1
Zr(OBu)メタクリレートモノマーの合成
【化11】
窒素下の1L丸底フラスコに、n−ブタノール中80%のジルコニウムn−ブトキシド(Gelest,Inc.)72.0g(150.1mmol)、および200mLの無水アセトン(Sigma−Aldrich)を加えた。よく攪拌されたこの溶液に13.2g(153.3mmol)のメタクリル酸(Sigma−Aldrich)を2時間かけて滴下した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、その後、溶剤を真空下で除去して、所望の産物を無色の油として定量的収率で得た。H NMR(300MHz):δ 1.09(br,9H)、1.50(br,12H)、2.06(s,3H)、4.14(br,6H)、5.34(br,1H)、6.13(br,1H)。
【0037】
実施例2
Zr(OBu)アクリレートモノマーの合成
【化12】
1L丸底フラスコに、n−ブタノール中80%のジルコニウムn−ブトキシド(Gelest,Inc.)152.7g(318.4mmol)を加えた。よく攪拌されたこの溶液に23.0g(319.2mmol)のアクリル酸(Sigma−Aldrich)を3時間かけて滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、その後、溶剤を真空下で除去して、所望の産物が無色の油としてもたらされた(118g、97%の収率)。H NMR(300MHz):δ 0.99(br,9H)、1.45(br,12H)、4.07(br,6H)、5.50−6.31(m,3H)。
【0038】
実施例3
他の金属−アルコキシド(メタ)アクリレートモノマーの合成
Zr(OBu)を以下の金属アルコキシドで置き換えること以外は、実施例1および2の手法を繰り返す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例4
75/25 Zr(OBu)メタクリレート/tert−ブチルアクリレートランダムコポリマーの調製
モノマー/開始剤の溶液は、以下をガラスバイアルに加えることにより調製された:トルエン中24%である実施例1からのZr(OBu)メタクリレートを31.26g、および2.749gのtert−ブチルアクリレート。このバイアルを次いで穏やかに振とうしてモノマーを混合し、次いで氷浴中に置いて、温度を氷浴と平衡に至らせた。次に、0.302gのジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)開始剤(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.から商品名V−106で入手可能)をバイアルに加え、その後に振とうすることにより開始剤を完全に溶解した。このバイアルを次いで氷浴中に再び戻し、必要になるまで置いた。
【0041】
重合
磁気撹拌子を含有し、熱電対、冷却水が循環しない凝縮器およびモノマー/開始剤供給ラインを備えた100mLの三つ口丸底フラスコを、加熱マントル内に設置した。トルエン(5.0g)をフラスコに加え、適当に撹拌しながら温度を99℃に上げた。モノマー/開始剤溶液は、撹拌しながらリアクタ温度を99℃に維持しつつ、Hamiltonデュアルシリンジポンプを用いて250μL/52秒の速度でフラスコに供給した。モノマー/開始剤溶液の添加が完了したら、フラスコを99℃でさらに2時間維持した。熱を次いで取り除き、反応混合物(ポリマー溶液)を室温まで冷却した。ポリマー溶液を次いで、さらなる精製を行わずにそのまま用いた。
【0042】
ポリマー溶液中のポリマー含量は、約110℃の熱オーブン中で約15分間の質量減量法を用いて決定された。この試験においては、0.109gのポリマー溶液を、風袋重量が予め決定されているアルミニウム皿内に秤量した。このバッチのポリマー含量は20.48%であることがわかった。
【0043】
実施例5
Zr(OBu)アクリレートホモポリマーの調製
磁気撹拌子を含有し、熱電対、冷却水が循環しない凝縮器およびモノマー/開始剤供給ラインを備えた100mLの三つ口丸底フラスコを、加熱マントル内に設置した。トルエン(10.0g)をフラスコに加え、適当に撹拌しながら温度を70℃に上げた。
【0044】
開始剤溶液は、ガラスバイアル中で0.638gのジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を1.058gのメチルイソブチルカルビノール(MIBC)中に溶解することにより調製された。ガラスバイアルを振とうして開始剤が完全に溶解したのを確実にし、次いで開始剤溶液を反応フラスコに加えた。反応フラスコ温度を70℃に戻した後、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中25%である実施例2からのZr(OBu)アクリレートの36.5gのモノマー溶液を、撹拌しながらリアクタ温度を70℃に維持しつつ、Hamiltonデュアルシリンジポンプを用いて250μL/26秒の速度で反応フラスコに加えた。モノマー溶液を供給した後、リアクタを70℃でさらに2時間維持した。熱を次いで取り除き、反応混合物(ポリマー溶液)を室温まで冷却した。ポリマー溶液を次いで、さらなる精製を行わずにそのまま用いた。
【0045】
ポリマー溶液中のポリマー含量は、約110℃の熱オーブン中で約15分間の質量減量法を用いて決定した。この試験においては、0.1153gのポリマー溶液を、重量が予め決定されたアルミニウム皿内に秤量した。このバッチのポリマー含量は15.0%であることがわかった。
【0046】
実施例6
Hf(OBu)メタクリレート/tert−ブチルアクリレートランダムコポリマーの調製
実施例3からのHf(O−n−Bu)メタクリレートを用いること以外は、実施例4の手法を繰り返す。
【0047】
実施例7
Ti(O−i−Pr)アクリレートホモポリマーの調製
実施例3からのTi(O−i−Pr)アクリレートを用いること以外は、実施例5の手法を繰り返す。
【0048】
実施例8
コポリマーの調製
以下のモノマーを表1中に示される相対量で用いること以外は、実施例4または実施例5の手法を繰り返す。表2中で用いられる略語は、以下の意味を持つ。TBA=tert−ブチルアクリレート、EHA=エチルヘキシルアクリレート、EHMA=エチルヘキシルメタクリレート、およびEA=エチルアクリレート。
【0049】
【表2】
【0050】
実施例9
Hf(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーの調製
500mLの三つ口フラスコに還流凝縮器、機械的撹拌機および添加漏斗を装着させた。このリアクタに100g(0.21mol)のHf(OBu)(Gelest Inc.から入手可能)を加えた。勢いよく撹拌したこの材料にペンタン−2,4−ジオン(42.5g、0.42mol)を非常にゆっくりと、6時間かけて加えた。反応混合物を一晩、室温で撹拌した。反応中に生成したn−ブタノールを真空下で除去し、次いで800mLの酢酸エチルを加えて、反応フラスコを室温で30分間、勢いよく撹拌した。この溶液を細フリットを通してろ過し、あらゆる不溶性産物を除去した。残った溶剤を真空下で除去し、青白色の固体を得た(100.4g、90%の収率)。この産物であるHf(OBu)(acac)を、さらなる精製を行わずに用いた。
【0051】
還流凝縮器、撹拌子および温度計を備えた1Lの三つ口フラスコに、上記産物(100.4g、0.19mol)およびエチレンジグリコール(19.4g、0.18mol)の酢酸エチル(500mL)溶液を加えた。反応混合物を80℃で24時間、還流した。反応混合物を細フリットを通してろ過し、次いで真空下で乾燥させた。褐白色の固体をヘプタン(3×1L)で洗浄し、次いで強真空下で2時間乾燥させて、所望のHf(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーが白色粉末としてもたらされた(67g)。得られた産物は以下の式(4)に示す構造を有した。
【0052】
実施例10
Ti(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーの調製
Dean−Starkトラップを備えたフラスコに、50gのTi(OR)(acac)(R=エチルまたはイソプロピル、TYZOR AA−105、DuPontから入手可能)および等モル量のジエチレングリコールを室温で加えた。この混合物を125℃に加熱し、1〜2日間撹拌して、蒸留物を回収した。この混合物を次いで冷却し、ヘプタン(500mL)中でクエンチした。結果として得られた沈殿を回収し、真空中で乾燥させて、以下の式(5)に示す構造を持つ35gの所望の産物が与えられた。
【0053】
実施例11
Zr(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマーの調製
トルエン/ブタノール中25重量%のジルコニウムビス(アセチルアセトン)−ビス(n−ブトキシド)(すなわちZr(acac)(OBu))をGelest Inc.から得て、さらなる精製を行わずに用いた。200gのZr(acac)(OBu)から溶剤を除去し、残渣を250mLの酢酸エチルで希釈した。この混合物に等モル量のジエチレングリコールを室温で加え、次いでこの混合物を80℃で18時間還流した。次に反応混合物を冷却し、ろ過して白色沈殿を除去した。ロータリーエバポレーターを用いてろ液を少容量に濃縮し、この残渣をヘプタン中でクエンチした。沈殿を次いで回収し、真空中で乾燥させて、構造が式(6)により示される所望の産物が20.8g与えられた。
【化13】
【化14】
【化15】
【0054】
実施例12
有機金属−アルキレンオキシドコポリマーの調製
以下の有機金属化合物およびアルキレンオキシドを用いること以外は、実施例9〜10の手法を繰り返す。
【0055】
【表3】
【0056】
実施例13
溶剤ストリップ試験
使用において、金属ハードマスク膜は、他のコーティング、例えばフォトレジストなどをハードマスク膜の上面に適用するのに一般に用いられる溶剤による除去に耐性であることが重要である。以下の溶剤ストリップ試験において、一般的なフォトレジスト溶剤であるプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を、ハードマスク膜を評価するのに用いた。
【0057】
ハードマスク膜を1500rpmでウェーハ上にスピンコートした。膜を次いで所望の硬化温度で60秒間硬化させ、膜厚測定(コート後としての)を、THERMA−WAVE Spectroscopic Ellipsometer(Model 7341)を用いて、673nmの波長で、k=0(673nmの波長でゼロの吸光度)を仮定することにより行った。硬化させた膜の表面上にPGMEAのたまりを分配して、90秒間静置し、次いでウェーハを回転させることにより除去した。2回目の膜厚測定を行った(ストリップ後として)。次に、膜を105℃で60秒間ベークしてあらゆる残留溶剤を膜から除去し、次いで最終膜厚を再度測定した(ストリップベーク後として)。
【0058】
実施例14
酸化Zr含有膜の調製
2つの試料を、下に示すように、実施例4からのZr(OBu)メタクリレート/tert−ブチルアクリレート(Zr(OBu)MA/TBA)ポリマーを、2−メチル−1−ブタノール(溶剤)および任意選択で熱酸発生剤としてp−トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩(p−TSA−TEA)(Zr(OBu)MA/TBAポリマーに対して2%)と一緒にすることにより調製した。
【0059】
【表4】
【0060】
いくつかのウェーハを試料1または2のいずれかでスピンコートし、次いで異なる温度で60秒間硬化させた。硬化後、各膜を実施例13の溶剤ストリップ試験に供した。膜厚の結果を表4中に(Å単位で)報告する。
【0061】
【表5】
【0062】
実施例15
酸化Zr含有膜の熱安定性
実施例14からの試料1および2の各々から調製した所定の膜の熱安定性を評価した。ウェーハを試料1または2のいずれかでスピンコートし、次いで250または350℃のいずれかで60秒間硬化させ、膜厚を実施例13中に記載されたように測定した。ウェーハを次いで250℃で10分間ベークし、その後、膜厚を再度測定した。以下のデータから認められうるように、350℃で硬化させた膜は膜厚変化が5%未満であり、より良好な安定性を示した。
【0063】
【表6】
【0064】
実施例16
酸化Zr含有膜の調製
試料3は、PGMEA/MIBC中15.2%である実施例5からの10.53gのZr(OBu)アクリレートホモポリマー(BuOZrAポリマー)を29.5gの2−メチル−1−ブタノールで希釈することにより調製した。
【0065】
いくつかのウェーハを試料3でスピンコートし、次いで異なる温度で60秒間硬化させた。硬化後、各膜を実施例13の溶剤ストリップ試験に供した。膜厚の結果を表6中に(Å単位で)報告する。屈折率は673nmの波長で決定された。
【0066】
【表7】
【0067】
実施例17
混合酸化Zr/Hf含有膜の調製
3つの試料を、下に示すように、実施例4からのZr(OBu)MA/TBAポリマーをハフニウムアセトニルアセトネート(Hf(acac))およびトルエン(溶剤)と一緒にすることにより調製した。
【0068】
【表8】
【0069】
いくつかのウェーハを試料4、5または6のいずれかでスピンコートし、次いで250または350℃のいずれかで60秒間硬化させた。硬化後、各膜を実施例13の溶剤ストリップ試験に供した。膜厚の結果を表7中に(Å単位で)報告する。屈折率は673nmの波長で決定した。各試料について優れた溶剤耐性を観察した。膜厚はHf(acac)の量の増加に伴って増加した。
【0070】
【表9】
【0071】
実施例18
混合酸化Zr/Hr含有膜の調製
Hf(acac)をジブトキシビス(((Z)−4−オキソペンタ−2−エン−2−イル)オキシ)ハフニウム(Hf(BuO)アセチル)と置き換え、用いた溶剤がPGMEAであったこと以外は、実施例17の手法を繰り返した。試料の組成を下に示す。
【0072】
【表10】
【0073】
いくつかのウェーハを試料7または8のいずれかでスピンコートし、次いで250または350℃のいずれかで60秒間硬化させた。硬化後、各膜を実施例13の溶剤ストリップ試験に供した。膜厚の結果を表8中に(Å単位で)報告する。各試料について優れた溶剤耐性を観察した。膜厚はHtBuO−アセチルの量の増加に伴って増加した。
【0074】
【表11】
【0075】
実施例19
酸化Hf含有膜の調製
試料9は、実施例9からの1.202gのHf(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマー(Hf(OBu)アセチル−DEG)を13.84gの2−メチル−1−ブタノール中に溶解することにより調製した。いくつかのウェーハを試料9でスピンコートし、次いで異なる温度で60秒間硬化させた。硬化後、各膜を実施例13の溶剤ストリップ試験に供した。膜厚の結果を表9中に(Å単位で)報告し、優れた溶剤耐性が示された。
【0076】
【表12】
【0077】
実施例20
酸化Zr含有膜の調製
試料10は、実施例11からの0.486gのZr(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマー(Zr(OBu)アセチル−DEG)を12.3gの2−メチル−1−ブタノール中に溶解することにより調製した。いくつかのウェーハを試料10でスピンコートし、次いで異なる温度で60秒間硬化させた。硬化後、各膜を実施例13の溶剤ストリップ試験に供した。膜厚の結果を表10中に(Å単位で)報告する。温度>150℃での膜硬化は、より良く優れた溶剤耐性をもたらした。
【0078】
【表13】
【0079】
実施例21
酸化Ti含有膜の調製
試料11は、実施例10からの0.505gのTi(OBu)アセチル−ジエチレングリコールコポリマー(Ti(OBu)アセチル−DEG)を12.78gの2−メチル−1−ブタノール中に溶解することにより調製した。いくつかのウェーハを試料10でスピンコートし、次いで異なる温度で60秒間硬化させた。硬化後、各膜を実施例13の溶剤ストリップ試験に供した。膜厚の結果を表11中に(Å単位で)報告する。温度>150℃での膜硬化は、より良く優れた溶剤耐性をもたらした。
【0080】
【表14】
【0081】
実施例22
表面接触角
実施例19、20および21からの膜からの表面接触角は、Kruss液滴形状分析機Model 100を用いて、DI水および0.25μLの液滴サイズを用いて、それらの表面接触角を決定するために評価した。結果を表12中に報告する。
【0082】
【表15】
【0083】
実施例23
酸化Zr含有膜の調製
2つの試料は、下に示すように、実施例4からのZr(OBu)メタクリレート/tert−ブチルアクリレート(Zr(OBu)MA/TBA、有機金属1)ポリマーおよび実施例11からのZr(BuO)アセチル−DEGポリマー(有機金属2)を、2−メチル−1−ブタノールおよびガンマ−ブチロラクトン(溶剤)と一緒にすることにより調製した。
【0084】
【表16】
【0085】
ウェーハを試料12または13のいずれかでスピンコートし、次いで250℃で60秒間硬化させた。硬化後、各膜を実施例13の溶剤ストリップ試験に供した。膜厚の結果を表13中に(Å単位で)報告し、優れた溶剤耐性が示された。
【0086】
【表17】
【0087】
実施例24
エッチング速度の決定
酸化ハフニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンを含有する膜の試料は、2−メチル−1−ブタノール中3.8%の固形分で記載された組成を用いて実施例19、20および21をそれぞれ再現することにより調製した。これらの組成物の各々を1500rpmでいくつかのウェーハ上にスピンコートし、60秒間、200、250または350℃で硬化させた。
【0088】
硬化させた膜を、OおよびCFエッチング化学を用いたPLASMA−THERM790RIE実験室用エッチング用具を用いて、エッチングした。Oエッチングプロセスは、90Wの電力で、60秒のエッチング時間で行った。CFエッチングは、100Wの電力で、45秒のエッチング時間で行った。各エッチング化学についてのエッチング速度は、対応するエッチング時間での膜厚損失を用いて決定した。エッチング結果を表14に示す。
【0089】
【表18】
【0090】
試料の耐エッチング性は、有機金属構造の反応性だけでなく、硬化膜の−M−O−M−O−ドメインのレベルを上昇させる自己縮合による架橋度にも依存する。より高い硬化温度は、−M−O−M−O−結合を有するより多くの無機ドメインを形成するよう各々の膜の自己縮合反応を促進して、CFおよびOエッチングイオンの両方に対して向上した耐エッチング性を持つ硬化膜をもたらした。酸化Hf含有膜は、使用された2つのエッチング化学に対する耐エッチング性について、対応する酸化Zr含有膜に勝る利点を示さなかった。