特許第6186275号(P6186275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186275
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20170814BHJP
   F16K 7/12 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F16K27/00 B
   F16K27/00 D
   F16K7/12 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-271003(P2013-271003)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-124851(P2015-124851A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】北野 太一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】谷川 毅
(72)【発明者】
【氏名】山路 道雄
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−231460(JP,A)
【文献】 特開平10−300000(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/036099(WO,A1)
【文献】 特表2001−521120(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0333768(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/084744(WO,A1)
【文献】 特開2010−84854(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/032147(WO,A1)
【文献】 特開2000−274542(JP,A)
【文献】 米国特許第5050631(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12
F16K 7/12
F15B 11/00
F15B 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状本体と、本体の長さ方向の両端に幅方向に間隔をおいて設けられたメインガス出入口およびベントガス出入口と、メインガス出入口同士を連通するメインガス通路と、ベントガス出入口同士を連通するベントガス通路と、本体の一側に設けられたサブガス入口と、サブガス入口に対応する位置に複数配置され全体として幅方向に並べられた開閉弁と、サブガス入口から各開閉弁の入口に通じる複数のサブガス流入通路とを備えており、サブガス入口から導入される材料ガスを適宜切り換えてメインガス通路出口から後流側処理室に供給するとともに、ベントガス通路を介して本体内ガスを排出させる流体制御装置において、
本体は、開閉弁を収納する凹所が形成された通路ブロックが長さ方向に配置されることで形成されており、
通路ブロックは、メインガス通路を形成する通路として、長さ方向両端に開口する第1逆V字状通路と、第1逆V字状通路の頂部と開閉弁の出口とを連通する第1出口通路とを有し、ベントガス通路を形成する通路として、長さ方向両端に開口する第2逆V字状通路と、第2逆V字状通路の頂部と開閉弁の出口とを連通する第2出口通路とを有し、サブガス流入通路として、各開閉弁の入口に通じる入口通路と、入口通路に連なりかつサブガス入口に通じている共通入口通路と、入口通路に連なりかつ共通入口通路に連なる連通路とを有していることを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
各開閉弁は、通路ブロックに形成された出口通路の周縁に着脱可能に配置されたシートと、通路ブロックの凹所に着脱可能に配置されてシートを保持するシートホルダと、シートに押圧・離間されることで流体通路の開閉を行うダイヤフラムとを備え、入口通路に流入した流体が、シートホルダに設けられた貫通孔を介して出口通路に連通するようになされていることを特徴とする請求項1の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、半導体処理装置において、複数種類の材料ガスを適宜切り換えて処理室に供給する目的で使用される流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の材料ガスを適宜切り換えて処理室に供給する目的で使用される流体制御装置として、直方体状本体と、本体の長さ方向の両端に幅方向に間隔をおいて設けられたメインガス出入口およびベントガス出入口と、メインガス出入口同士を連通するメインガス通路と、ベントガス出入口同士を連通するベントガス通路と、本体の一側に長さ方向に所定間隔で設けられた複数のサブガス入口と、各サブガス入口に対応する位置にそれぞれ2つずつ配置され全体として幅方向に2列に並べられた開閉弁と、各サブガス入口から第1列目の各開閉弁の入口に通じる複数の第1サブガス流入通路と、各サブガス入口から第2列目の各開閉弁の入口に通じる複数の第2サブガス流入通路とを備えているものが知られている(特許文献1など)。
【0003】
特許文献1のものでは、本体は、複数の中央通路ブロックと、2つの前後方向に長いサイド通路ブロックからなり、メインガス通路およびベントガス通路は、それぞれ直線状に形成されて、これらに直交する通路によって開閉弁の出口と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−183743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の流体制御装置では、異なる種類の通路ブロックが必要であり、また、サイド通路ブロックは、開閉弁の数に応じた形状とされており、開閉弁を増減する場合には、サイド通路ブロックの形状を変更する必要があった。そのため、本体の構成が複雑となり、開閉弁の増減が困難という問題があった。
【0006】
また、この種の流体制御装置では、ベントガスを流す際にデッドボリュームとなる通路の低減が課題となっている。
【0007】
この発明の目的は、本体の構成が簡単でかつ開閉弁の増減が容易であり、また、デッドボリュームのさらなる低減が可能な流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による流体制御装置は、直方体状本体と、本体の長さ方向の両端に幅方向に間隔をおいて設けられたメインガス出入口およびベントガス出入口と、メインガス出入口同士を連通するメインガス通路と、ベントガス出入口同士を連通するベントガス通路と、本体の一側に設けられたサブガス入口と、サブガス入口に対応する位置に複数配置され全体として幅方向に並べられた開閉弁と、サブガス入口から各開閉弁の入口に通じる複数のサブガス流入通路とを備えており、サブガス入口から導入される材料ガスを適宜切り換えてメインガス通路出口から後流側処理室に供給するとともに、ベントガス通路を介して本体内ガスを排出させる流体制御装置において、本体は、開閉弁を収納する凹所が形成された通路ブロックが長さ方向に配置されることで形成されており、通路ブロックは、メインガス通路を形成する通路として、長さ方向両端に開口する第1逆V字状通路と、第1逆V字状通路の頂部と開閉弁の出口とを連通する第1出口通路とを有し、ベントガス通路を形成する通路として、長さ方向両端に開口する第2逆V字状通路と、第2逆V字状通路の頂部と開閉弁の出口とを連通する第2出口通路とを有し、サブガス流入通路として、各開閉弁の入口に通じる入口通路と、入口通路に連なりかつサブガス入口に通じている共通入口通路と、入口通路に連なりかつ共通入口通路に連なる連通路とを有していることを特徴とするものである。
【0009】
本体は、通路ブロック(同じ形状の通路ブロック)が配置されることで形成されており、これにより、開閉弁の数の増減に際しては、通路ブロックを増減するだけで対応できる。隣り合う通路ブロック同士は、互いに連通する通路(第1逆V字状通路および第2逆V字状通路)を有しており、これらの通路が連続させられることでメインガス通路およびベントガス通路が形成される。隣り合う通路ブロック間には、ガスケットなどからなるシール部が介在させられる。シール部の構成は特に限定されるものではない。
【0010】
メインガス通路およびベントガス通路は、従来、それぞれ直線状に形成されており、これらに直交する通路によって開閉弁の出口と接続されていた。これに対し、この発明の流体制御装置では、メインガス通路およびベントガス通路は、逆V字状通路が連続するジグザグ状とされる。このため、逆V字状通路の頂部と開閉弁の出口とを連通する出口通路は、相対的に短い通路となる。
【0011】
ベントガスが流される際にデッドボリュームとなる通路は、逆V字状通路の頂部と開閉弁の出口とを連通する出口通路であり、これが短い通路とできることで、デッドボリュームを減少することができる。
【0012】
各開閉弁は、例えばダイヤフラム弁とされる。好ましくは、各開閉弁は、通路ブロックに形成された出口通路の周縁に着脱可能に配置されたシートと、通路ブロックの凹所に着脱可能に配置されてシートを保持するシートホルダと、シートに押圧・離間されることで流体通路の開閉を行うダイヤフラムとを備え、入口通路に流入した流体が、シートホルダに設けられた貫通孔を介して出口通路に連通するようになされているものとされる。
【0013】
このようにすると、開閉弁においても、デッドボリュームを減少することができ、この開閉弁がデッドボリュームとなる通路を減少した上記通路ブロックに支持されることで、デッドボリューム減少のためにより好ましい構成となる。
【0014】
シートホルダは、公知のものであり、例えば、孔あき円板状で、シートを保持する内周縁部と、所定間隔で流体流出通路に通じる複数の貫通孔が形成された中間環状部と、ダイヤフラムの外周縁部を挟持する外周縁部とからなるものとされる。
【0015】
ダイヤフラム弁は、シートホルダを保持するリテーナをさらに備えていることが好ましい。リテーナは、例えば、略円筒状で、シートホルダの外周縁部を受ける内向きフランジ部を有しているものとされる。
【0016】
シートは、長期間使用した場合に、交換されることが好ましく、シートホルダを保持するリテーナを備えていることにより、リテーナを取り外すことで、リテーナに保持されたシートホルダおよびこれに保持されたシートを取り外すことができ、シートの交換を容易に行うことができる。
【0017】
シートは、例えば合成樹脂製とされるが、金属製であってももちろんよい。シートホルダおよびリテーナは、金属製であることが好ましい。
【0018】
ダイヤフラムは、例えば、ニッケル合金薄板からなるものとされ、また、ステンレス鋼薄板からなるものや、ステンレス鋼薄板とニッケル・コバルト合金薄板との積層体よりなるものとしてもよく、ダイヤフラムの材料は、特に限定されるものではない。また、ダイヤフラムは、1枚であっても、複数枚を重ねた積層体であってもよく、仕様や条件などによって自由に選択することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の流体制御装置によると、本体は、同じ形状の通路ブロックが長さ方向に配置されることで形成されており、この通路ブロックには、必要な全ての通路が形成されているので、開閉弁の数の増減に際しては、通路ブロックを増減するだけで対応でき、本体の構成が簡単でかつ開閉弁の数を増減することが容易となる。また、デッドボリュームとなる通路は、逆V字状通路の頂部と開閉弁の出口とを連通する極めて短い出口通路とできるので、デッドボリュームを減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、この発明による流体制御装置の1実施形態を示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図5は、この発明による流体制御装置で使用される開閉弁の1例を示す縦断面図である。
図6図6は、開閉弁を構成するシートホルダを拡大して示す図で、(a)は平面図、(b)は、縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下は、図2の上下をいうものとする。
【0022】
図1は、この発明による流体制御装置の1実施形態を示しており、流体制御装置(1)は、例えば、MOCVDプロセスにおいてガスを数種個別に切換ながら導入するために使用されるもので、複数(図示は4つ)の直方体状通路ブロック(3)からなる直方体状本体(2)と、各通路ブロック(3)にそれぞれ2つずつ配置された第1開閉弁(第1列目の開閉弁)(4)および第2開閉弁(第2列目の開閉弁)(5)と、本体(2)の長さ方向の両端に幅方向に間隔をおいて設けられたメインガス出入口(6)およびベントガス出入口(7)と、各通路ブロック(3)に幅方向に開口するように設けられたサブガス入口(8)と、メインガス出入口(6)同士を連通するメインガス通路(9)と、ベントガス出入口(7)同士を連通するベントガス通路(10)と、各サブガス入口(8)から各第1開閉弁(4)の入口(4a)に通じる複数の第1サブガス流入通路(11)と、各サブガス入口(8)から各第2開閉弁(5)の入口(5a)に通じる複数の第2サブガス流入通路(12)とを備えている。
【0023】
この流体制御装置(1)を使用することにより、各サブガス入口(8)から導入される複数種類の材料ガスを適宜切り換えてメインガス通路(9)の出口から後流側処理室に供給するとともに、ベントガス通路(10)を介して本体(2)内のガスを排出させることができる。
【0024】
本体(2)は、一体に形成されたものではなく、第1開閉弁(4)および第2開閉弁(5)を1つずつ支持する同じ形状の通路ブロック(3)が複数(4つ)長さ方向に配置されることで形成されている。
【0025】
各開閉弁(4)(5)は、全て同じ形状の2ポートのダイヤフラム弁であり、その下端部に入口(4a)(5a)および出口(4b)(5b)が設けられている。後述するように、出口(4b)(5b)は、平面から見て各開閉弁(4)(5)の中央にあり、入口(4a)(5a)は、出口(4b)(5b)を囲む周上に設けられている。
【0026】
各開閉弁(4)(5)は、その下部(少なくとも入口(4a)(5a)および出口(4b)(5b)が設けられている下端部を含む部分)が通路ブロック(3)に設けられた第1開閉弁収納用凹所(13)および第2開閉弁収納用凹所(14)にそれぞれ収納されている。各凹所(13)(14)には、めねじが設けられており、このめねじに、各開閉弁(4)(5)のボンネット(51)外周に設けられたおねじがねじ合わされている。
【0027】
各通路ブロック(3)は、メインガス通路(9)を形成する通路として、長さ方向両端に開口する幅方向から見て逆V字状の第1逆V字状通路(15)と、第1逆V字状通路(15)の長さ方向中央部に位置する頂部と第1開閉弁(4)の出口(4b)とを連通する第1出口通路(16)とを有している。第1出口通路(16)は、上下方向(長さ方向および幅方向の両方向に対して直交する方向)にのびる短い通路とされている。
【0028】
各通路ブロック(3)は、ベントガス通路(10)を形成する通路として、長さ方向両端に開口する幅方向から見て逆V字状の第2逆V字状通路(17)と、第2逆V字状通路(17)の長さ方向中央部に位置する頂部と第2開閉弁(5)の出口(5b)とを連通する第2出口通路(18)とを有している。第2出口通路(18)は、上下方向(長さ方向および幅方向の両方向に対して直交する方向)にのびる短い通路とされている。
【0029】
各通路ブロック(3)は、第1サブガス流入通路(11)を形成する通路として、第1開閉弁(4)の入口(4a)に通じる第1入口通路(19)と、第1入口通路(19)に鈍角に連なり幅方向にのびてサブガス入口(8)に通じている共通入口通路(20)とを有している。
【0030】
各通路ブロック(3)は、第2サブガス流入通路(12)を形成する通路として、第2開閉弁(5)の入口(5a)に通じる第2入口通路(21)と、第2入口通路(21)に鈍角に連なりかつ幅方向にのびて共通入口通路(20)に直線状に連なる連通路(22)とを有している。
【0031】
隣り合う通路ブロック(3)同士は、第1逆V字状通路(15)および第2逆V字状通路(17)の開口同士が重なるように突き合わされている。隣り合う通路ブロック(3)同士の突き合わせ面には、シール部(23)が設けられている。シール部(23)は公知のものであり、その詳細な説明は省略する。
【0032】
各開閉弁(4)(5)のより詳細な構成(第1開閉弁(4)と第2開閉弁(5)とは同じ構成)を、図5および図6を参照して説明する。
【0033】
図5において、開閉弁(5)は、通路ブロック(3)に設けられた開閉弁収納用凹所(14)上部に下端部がねじ合わされて上方にのびる円筒状ボンネット(51)と、出口通路(18)の開口部周縁に設けられた環状のシート(52)と、凹所(14)内のシート(52)の外周に設けられてシート(52)を保持するシートホルダ(53)と、シート(52)に押圧または離間されて出口通路(18)を開閉するダイヤフラム(54)と、ダイヤフラム(54)の中央部を押さえるダイヤフラム押さえ(55)を下端に有し、ボンネット(51)内に上下移動自在に挿入されてダイヤフラム押さえ(55)を介してダイヤフラム(54)をシート(52)に押圧・離間させるステム(56)と、ステム(56)を下方に付勢する圧縮コイルばね(付勢部材)(57)と、ボンネット(51)内周に配置されてステム(56)の上下移動を案内しかつステム(56)の移動範囲を規制するガイド筒(58)と、ダイヤフラム(54)の外周縁部上面とガイド筒(58)の下端との間に配置されてダイヤフラム(54)の外周縁部をシートホルダ(53)の外周縁部との間で挟持するダイヤフラム保持リング(59)と、シートホルダ(53)を保持してガイド筒(58)の下端部およびダイヤフラム保持リング(59)に着脱可能に取り付けられたリテーナ(60)と、ケーシング(61)に内蔵されてステム(56)およびダイヤフラム押さえ(55)を上下移動させる上下移動手段(図示略)とを備えている。
【0034】
ガイド筒(58)は、厚肉部(58a)と、その上方に連なる薄肉部(58b)とからなる。厚肉部(58a)の内周は、薄肉部(58b)の内周よりも径が大きく、厚肉部(58a)の内周によって、ステム(56)に設けられたフランジ部の外周を案内するようになっている。厚肉部(58a)の外周は、薄肉部(58b)の外周よりも径が大きく、厚肉部(58a)の上面(厚肉部(58a)と薄肉部(58b)との間の段差面)によって、ボンネット(51)の下端面を受けている。したがって、ボンネット(51)が凹所(14)にねじ合わされることで、ガイド筒(58)は、ダイヤフラム保持リング(59)を下方に押圧する。こうして、ガイド筒(58)は、ステム(56)を案内するためだけでなく、ダイヤフラム保持リング(59)を固定するための部材ともなっている。
【0035】
シートホルダ(53)は、金属製で孔あき円板状とされており、図6に詳しく示すように、シート(52)を保持する内周縁部(62)と、所定間隔で入口通路に通じる複数の貫通孔(63a)が形成された中間環状部(63)と、ダイヤフラム(54)の外周縁部をダイヤフラム保持リング(59)とによって挟持する外周縁部(64)とからなる。内周縁部(62)の下面と外周縁部(64)の下面とは面一であり、内周縁部(62)の上面と外周縁部(64)の上面とも面一である。シート(52)は、下方からシートホルダ(53)に嵌め入れられている。なお、内周縁部(62)の下面と外周縁部(64)の下面、および内周縁部(62)の上面と外周縁部(64)の上面は、面一でなく、段差を形成していてもよい。
【0036】
凹所(14)の底面には、シートホルダ(53)に設けられた貫通孔(63a)に臨まされている環状の溝(65)が形成されている。図6において、この環状の溝(65)が二点鎖線で示されている。シートホルダ(53)に設けられた複数の貫通孔(63a)が開閉弁(5)の入口(5a)となされている。そして、環状のシート(52)の内周部分が、開閉弁(5)の出口(5b)となされている。
【0037】
ダイヤフラム(54)がシート(52)から離れた開状態においては、通路ブロック(3)の入口通路(19)(21)に流入した流体は、環状の溝(65)内に流入し、開閉弁(5)の入口(5a)であるシートホルダ(53)の貫通孔(63a)からダイヤフラム(54)の下面に形成された空間内に流入し、開閉弁(5)の出口(5b)であるシート(52)の内周を通って通路ブロック(3)の出口通路(18)へと至るようになされている。
【0038】
リテーナ(60)は、略円筒状で、シート(52)の外径にほぼ等しい内径を有しガイド筒(58)の下端部およびダイヤフラム保持リング(59)の外周に嵌め合わされる周壁(66)と、周壁(66)の下端部に設けられてシートホルダ(53)の外周縁部を受ける内向きフランジ部(67)とを有している。周壁(66)には、周壁(66)を変形しやすくするための軸方向に延びるスリット(図示略)が複数設けられている。
【0039】
シート(52)は、シートホルダ(53)およびリテーナ(60)からなるダイヤフラム弁用シートホルダユニットに保持されて、通路ブロック(3)の凹所(14)内に配置される。シート(52)は、通常、一定期間使用した場合に交換されるようになされており、シート(52)の交換に際しては、リテーナ(60)を取り外すことで、シートホルダ(53)およびこれに保持されたシート(52)を取り外すことができる。そして、シート(52)を交換し、必要に応じて、シートホルダ(53)も交換し、シートホルダ(53)およびリテーナ(60)からなるダイヤフラム弁用シートホルダユニットにシート(52)が保持された状態で、通路ブロック(3)の凹所(14)内に戻される。こうして、シート(52)の交換を容易に行うことができる。開閉弁(5)は、リテーナ(60)を有していないものであってももちろんよい。リテーナ(60)は、塑性変形する可能性がほとんど無いので、通常、繰り返しての使用が可能であり、リテーナ(60)を使用したものでは、リテーナ(60)が塑性変形しないことで、シート(52)の交換の容易性が長期間に亘って維持される。
【符号の説明】
【0040】
(1):流体制御装置、(2):本体、(3):通路ブロック、(4):第1開閉弁(第1列目の開閉弁)、(4a):入口、(4b):出口、(5):第2開閉弁(第2列目の開閉弁)、(5a):入口、(5b):出口、(6):メインガス出入口、(7):ベントガス出入口、(8):サブガス入口、(9):メインガス通路、(10):ベントガス通路、(11):第1サブガス流入通路、(12):第2サブガス流入通路、(13):第1開閉弁収納用凹所、(14):第2開閉弁収納用凹所、(15):第1逆V字状通路、(16):第1出口通路、(17):第2逆V字状通路、(18):第2出口通路、(19):第1入口通路、(20):共通入口通路、(21):第2入口通路、(22):連通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6