(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、負荷機器の消費電力の削減と熱源システムの消費電力の削減とを組み合わせてデマンドレスポンスを実行する場合、仮に、熱源システムの消費電力の削減を実行する前に、空調機の消費電力の削減が実行された場合には、空調機の消費電力を削減するために、温度設定値の緩和等、室内環境の快適性が犠牲になることもある。
【0009】
室内環境の快適性が損なわれると、居住者からのクレームが発生するなど、需要家の事業に対して不利益を及ぼすこととなるため、需要家にとっては継続的にデマンドレスポンスに協力することが困難になるという問題があった。
【0010】
本発明はこのような問題を解決するためのものであり、需要家に対し不利益の少ない状態で消費電力を削減することのできる消費電力削減装置および消費電力削減方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明は
、所要温度の熱源水と熱交換を行う
とともに電力を使用して室内空間への給気風量を操作する負荷機器(7)と、電力を使用して前記所要温度の熱源水を生成して前記負荷機器(7)へ供給する第1の熱源システム(RP1)と、電力以外のエネルギーを使用して前記所要温度の熱源水を生成して前記負荷機器(7)へ供給する第2の熱源システム(RP2)とを備えた設備において消費される電力を削減する消費電力削減装置(13)であって、外部から受信した消費電力抑制要求(D1)に応じて
、前記第1の熱源システム(RP1)を通過する熱源水の流量を予め設定された最小通過流量まで低減するとともに前記第2の熱源システム(RP2)を通過する熱源水の流量を増大させることにより、前記第1の熱源システム(RP1)により生成する熱量と前記第2の熱源システム(RP2)により生成する熱量との割合を変更し、
前記第1の熱源システム(RP1)および前記第2の熱源システム(RP2)の全体によって生成する熱量の総量を変えずに前記第1の熱源システム(RP1)が消費する電力を抑制する
負荷配分変更部(131)と、前記
負荷配分変更部(131)によって前記第1の熱源システム(RP1)により消費する電力を抑制している状態において、外部から
消費電力削減要求を受信したときに、前記第2の熱源システム(RP2)の出力に余裕があるか否かを判定し、前記出力に余裕がある場合に前記給気風量を低減させて、前記負荷機器(7)が消費する電力を削減するとともに、
この負荷機器(7)が消費する電力を削減する前後において前記負荷機器(7)によって熱交換される熱量が一定となるように、前記第2の熱源システム(RP2)により生成する熱量を増大させて前記負荷機器(7)に供給する制御部(132)とを備えるようにする。
【0014】
さらに本発明において
、所要温度の熱源水と熱交換を行う
とともに電力を使用して室内空間への給気風量を操作する負荷機器(7)と、電力を使用して前記所要温度の熱源水を生成して前記負荷機器(7)へ供給する第1の熱源システム(RP1)と、電力以外のエネルギーを使用して前記所要温度の熱源水を生成して前記負荷機器(7)へ供給する第2の熱源システム(RP2)とを備えた設備において消費される電力を削減する消費電力削減方法であって、外部から受信した消費電力抑制要求(D1)に応じて
、前記第1の熱源システム(RP1)を通過する熱源水の流量を予め設定された最小通過流量まで低減するとともに前記第2の熱源システム(RP2)を通過する熱源水の流量を増大させることにより、前記第1の熱源システム(RP1)により生成する熱量と前記第2の熱源システム(RP2)により生成する熱量との割合を変更し、
前記第1の熱源システム(RP1)および前記第2の熱源システム(RP2)の全体によって生成する熱量の総量を変えずに前記第1の熱源システム(RP1)が消費する電力を抑制する
負荷配分変更ステップと、前記
負荷配分変更ステップによって前記第1の熱源システム(RP1)により消費する電力を抑制している状態において、外部から
消費電力削減要求を受信したときに、前記第2の熱源システム(RP2)の出力に余裕があるか否かを判定し、前記出力に余裕がある場合に前記給気風量を低減させて、前記負荷機器(7)が消費する電力を削減するとともに、
この負荷機器(7)が消費する電力を削減する前後において前記負荷機器(7)によって熱交換される熱量が一定となるように、前記第2の熱源システム(RP2)により生成する熱量を増大させて前記負荷機器(7)に供給する制御ステップとを
含むようにする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1の熱源システム(RP1)が消費する電力を抑制している状態を維持したまま、負荷機器(7)が消費する電力を削減するとともに、負荷機器(7)で熱交換されるべき熱量を第2の熱源システムにより生成して供給するので、需要家にとって不利益の少ない状態で消費電力を削減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
[熱源システムの構成]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る電力抑制装置13は、複数の熱源システムRP1、RP2および負荷機器7を備えた需要家の施設における消費電力を、外部のアグリゲータから通知される消費電力抑制要求D1、消費電力削減要求D2、D3に応じて抑制する装置である。
【0019】
図1に示すように、電力抑制の対象となる需要家の施設は、2種類の熱源システムRP1、RP2を備えている。このうち、第1の熱源システムRP1は、電力を使用して所要温度の熱源水を生成して負荷機器7へ供給する電気系熱源システムである。この第1の熱源システムは、電気エネルギーを使用して所要温度の熱源水を生成する電気熱源機R1と、この熱源水を電気エネルギーを使用して往ヘッダ4に送り出すポンプP1とを備えている。電気熱源機R1は、例えば、ターボ冷凍機である。以下、第1の熱源システムRP1を「電気熱源システムRP1」ということがある。
【0020】
また、第2の熱源システムRP2は、電力以外のエネルギーを使用して所要温度の熱源水を生成して負荷機器7へ供給する燃料系熱源システムである。この第2の熱源システムは、電気エネルギーとは種類が異なるエネルギー、例えばガス等の燃料エネルギーを使用して所要温度の熱源水を生成して負荷機器7へ供給する燃料系熱源機R2と、この熱源水を電気エネルギーを使用して往ヘッダ4に送り出すポンプP2とを備えている。燃料系熱源機R2は、例えば、吸収式冷凍機である。以下、第2の熱源システムRP2を「燃料系熱源システムRP2」ということがある。
【0021】
これらの熱源システムRP1、RP2は、それぞれ、電気熱源機R1、燃料系熱源機R2によって生成した所要温度の熱源水をポンプP1、ポンプP2によって往ヘッダ4および往水管路5を介して負荷機器7へ供給する。
【0022】
一方、負荷機器7は、ファン7aを備え、熱源水と空気との間で熱交換をおこなうファンコイルユニット、およびファン7aの風量を増減制御するインバータ装置7bなどを備えた空調機である。
【0023】
このような構成の施設において、ポンプP1およびP2によって圧送され、電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2によってそれぞれ生成された所要温度の熱源水は、往ヘッダ4において混合され、往水管路5を介して負荷機器7に供給される。負荷機器7において熱交換された熱源水は、還水管路8を介して還ヘッダ9へ戻される。還ヘッダ9へ戻された熱源水は、再びポンプP1、P2によって圧送され、電気熱源機R1および燃料系熱源機R2に至り、以下、上述した経路を循環する。
【0024】
往水管路5には、往ヘッダ4を介して負荷機器7へ送られる熱源水の温度を送水温度TSとして計測する送水温度センサ10が設けられている。また、還水管路8には、負荷機器7から還ヘッダ9へ戻される熱源水の温度を還水温度TRとして計測する還水温度センサ11、および、負荷機器7に供給された熱源水の流量(負荷流量)Fを計測する流量計12が設けられている。また、往ヘッダ4と還ヘッダ9とは、バイパス管路15によって接続されている。
【0025】
なお、本実施の形態の説明においては、説明の簡略化のため、
図1に示すように、第1の熱源システムが1台の電気熱源機R1を備え、第2の熱源システムが1台の燃料系熱源機R2を備えた熱源システムを例に説明するが、本発明においては、熱源システムとして、電気熱源システムおよび燃料系熱源システムがそれぞれ複数系統設けられていてもよい。
【0026】
[電力抑制装置の構成]
本実施の形態に係る電力抑制装置13は、外部のアグリゲータから通知される消費電力抑制要求D1、消費電力削減要求D2、D3に応じて、第1の熱源システムRP1および第2の熱源システムRP2並びに負荷機器7の消費電力を削減する制御を行う。
【0027】
より具体的には、本実施の形態において、この電力抑制装置13により消費電力の削減対象となる機器は電気熱源システムRP1の電気熱源機R1およびポンプP1、燃料系熱源システムRP2の燃料系熱源機R2およびポンプP2、並びに負荷機器7のファン7aである。
【0028】
また、本実施の形態においては、電力抑制装置13は、消費電力抑制要求D1、消費電力削減要求D2、D3が通知されていないときには、送水温度TS、還水温度TRおよび流量計12からの負荷流量Fに基づいて電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の運転(起動/停止)を制御する制御装置としても動作する。具体的には、電力抑制装置13は、送水温度センサ10からの送水温度TSと、還水温度センサ11からの還水温度TRとから、下記の式
Q=F×(TR−TS)×熱源水の比熱
により、負荷熱量Qを求め、この求めた負荷熱量Qに応じて電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の運転(起動/停止)を制御する。
【0029】
なお、電気熱源機R1が起動/停止されれば、これに連動してポンプP1も起動/停止され、燃料系熱源機R2が起動/停止されれば、これに連動してポンプP2も起動/停止される。
【0030】
本実施の形態においては、説明の便宜上、電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の能力は等しいものとする。電気熱源機R1は電気を主なエネルギー源とし、燃料系熱源機R2は例えばガス等の燃料を主なエネルギー源とするため、例え能力が同じであっても、燃料系熱源機R2の方が電気熱源機Rよりも電力消費が少ない。但し、電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の能力は必ずしも等しい必要はなく、電気熱源機R1の方が燃料系熱源機R2よりも能力が高い場合や、その逆に、燃料系熱源機R2の方が電気熱源機R1よりも能力が高い場合であっても良い。
【0031】
次に、
図2および
図3を参照して、電力抑制装置13のハードウェア構成および機能について説明する。
【0032】
図2に示すように、電力抑制装置13は、CPU(Central Processing Unit)13a、RAM(Random Access Memory)13b、ハードディスク等の記憶装置13c及びインタフェース13d、13eからなるコンピュータ(ハードウェア)にプログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現される。
【0033】
電力抑制装置13のCPU13aは、インタフェース13dを介して与えられる送水温度TS、還水温度TR、負荷流量Fなどの入力情報を得て、RAM13bにアクセスしながら、記憶装置13cに格納されているプログラムと各種ハードウェア資源とが協働することによって後述する消費電力削減処理等の各種処理を実行する。
【0034】
記憶装置13cには、本実施の形態特有のプログラムとして、電気熱源機R1、燃料系熱源機R2および負荷機器7の運転を制御することにより消費電力を削減する消費電力削減プログラムが格納されている。この消費電力削減プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体(例えばCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory))や記憶装置(例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ)に格納された状態で提供されても良く、或いは電気通信回線を介して提供されても良い。
【0035】
CPU13aは、消費電力削減プログラムにしたがって電気熱源システムRP1、燃料系熱源機システムRP2および負荷機器7の運転を制御する。CPU13aがこの消費電力削減プログラムにしたがって電気熱源システムRP1、燃料系熱源機システムRP2および負荷機器7の運転を制御して消費電力を削減する機能構成を
図3に示す。
【0036】
このCPU13aは、電気熱源システムRP1および燃料系熱源機システムRP2の電力抑制時の負荷配分を予め決められた割合に変更する負荷配分変更部131、電気熱源システムRP1、燃料系熱源システムRP2、負荷危機7に対する消費電力の削減制御を行う制御部132を消費電力削減プログラムに従って構成する。
【0037】
負荷配分変更部132は、外部のアグリゲータから通知される消費電力抑制要求D1にしたがって、電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2の負荷配分を予め決められた割合に変更させるための負荷配分変更命令S1、S2を生成し、これらを電気熱源システムRP1、燃料系熱源システムRP2および制御部132へ出力するものである。制御部132は、負荷配分変更部132から負荷配分変更命令S1、S2の供給を受けることにより、電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2の負荷配分を認識する。
【0038】
この制御部132は、負荷機器7の消費電力を削減させるとともに燃料系熱源システムRP2によって生成する熱量を増大させて負荷機器7に供給する第1の制御部132aと、燃料系熱源システムRP2によって生成する熱量を増大させることなく負荷機器7の消費電力を削減する第2の制御部132bとを備えている。
【0039】
電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2は、負荷配分変更部132から供給された負荷配分変更命令S1、S2にしたがって、電力を主なエネルギー源として使用する電気熱源システムRP1の電気熱源機R1の負荷を下限まで低減させ、燃料を主なエネルギー源として使用する燃料系熱源システムRP2の負荷をその分だけ増大させる。これにより、電気熱源システムRP1の電力消費を負荷配分変更前よりも大幅に削減することができる。
【0040】
ここで電気熱源機R1の負荷の下限とは、当該電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の双方によって生成し混合した状態で負荷機器7へ供給する熱源水のうち、電気熱源機R1だけで最小限生成しなければならない熱源水の流量である。
【0041】
ここで電気熱源機R1の負荷を下限まで低減させる際には、特許文献2(特許第5015523号)の熱源機運転制御方法に開示されている方法を用いることができる。この場合、電気熱源機R1に予め設定された、負荷を下限まで低減させるための最小通過流量αに基づいて当該電気熱源機R1への熱源水の流量がポンプP1により設定される。すなわち、電気熱源システムRP1によって生成される熱量が低減される。
【0042】
一方、電気熱源機R1の熱源水の流量が現時点の負荷流量から最小通過流量αにまで低減された分だけ、燃料系熱源機R2への熱源水の流量がポンプP2により増大して設定される。すなわち、燃料系熱源システムRP2によって生成される熱量が増大される。したがって、電気熱源システムRP1によって生成される熱量が低減される一方、燃料系熱源システムRP2によって生成される熱量が増大されるため、電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2の全体によって生成される熱量は変わらない。
【0043】
ところで、アグリゲータから通知される消費電力抑制要求D1に応じて電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2の負荷配分を上述のように変更し、当該電気熱源システムRP1の電力消費を削減したにも拘らず、アグリゲータにより電力抑制が不十分であると判断された場合には当該アグリゲータから次に消費電力削減要求D2が通知される。
【0044】
制御部132における第1の制御部132aは、負荷配分変更部131を介して消費電力削減要求D2を受け取ると、当該消費電力削減要求D2にしたがって負荷機器7の消費電力を削減させる消費電力削減命令S3を当該負荷機器7へ出力する。
【0045】
同時に第1の制御部132aは、電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2によって生成する熱量を制御するための制御命令S5、S6を当該電気熱源システムRP1および当該燃料系熱源システムRP2へ出力する。この場合、電気熱源システムRP1の電気熱源機R1は、制御命令S5にしたがって当該電気熱源機R1の負荷が下限まで低減された状態を維持する。燃料系熱源システムRP2の燃料系熱源機R2は、制御命令S6にしたがって燃料系熱源システムRP2の負荷を増大する。
【0046】
続いて、第1の制御部132aからの消費電力削減命令S3にしたがって負荷機器7の消費電力が削減された場合でも、アグリゲータにより電力抑制が未だ不十分であると判断された場合には当該アグリゲータから更に消費電力削減要求D3が通知される。
【0047】
制御部132における第2の制御部132bは、負荷配分変更部131を介して消費電力削減要求D3を受け取ると、当該消費電力削減要求D3にしたがって負荷機器7の消費電力を更に削減させる消費電力削減命令S4を当該負荷機器7へ出力する。
【0048】
同時に第2の制御部132bは、電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2によって生成する熱量を制御するための制御命令S7、S8を当該電気熱源システムRP1および当該燃料系熱源システムRP2へ出力する。この場合、電気熱源システムRP1の電気熱源機R1は、制御命令S7にしたがって当該電気熱源機R1の負荷が下限まで低減された状態を維持する。燃料系熱源システムRP2の燃料系熱源機R2は、制御命令S8にしたがって燃料系熱源機システムRP2の負荷を低減させる。
【0049】
[電力抑制装置の電力抑制動作]
次に、
図4のフローチャートを参照しながら、上述した消費電力削減プログラムにしたがった電力抑制装置13の消費電力削減処理手順を説明する。
【0050】
消費電力削減処理を開始した電力抑制装置13のCPU13aは、電気熱源システムRP1の電気熱源機R1および燃料系熱源システムRP2の燃料系熱源機R2の双方が運転中であるか否かを判定する(ステップSP1)。
【0051】
ここでCPU13aは、2種類の電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の双方にON指令を出していれば肯定結果(ステップSP1:YES)を得るが、2種類の電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の何れか一方にだけON指令を出しているか、あるいは、その双方ともにON指令を出していない場合には否定結果(ステップSP1:NO)を得る。
【0052】
したがって、ステップSP1において電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の何れか一方だけしか運転していない状況または電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の双方ともに運転していない状況の場合(ステップSP1:NO)には消費電力削減処理手順を終了する。これに対して、電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の双方ともに運転している場合(ステップSP1:YES)には、CPU13aによる処理は次のステップSP2へ移る。
【0053】
ステップSP2においてCPU13aは、外部のアグリゲータから通知される消費電力抑制要求D1に基づいてデマンドレスポンスのためのデマンド警報が現在発令中であるか否かを判定する。このとき、外部から消費電力抑制要求D1が受信されていない場合にはデマンド警報が発令されていないため否定結果(ステップSP2:NO)を得、ステップSP2以降の消費電力削減処理手順を実行することなく終了するが、肯定結果(ステップSP2:YES)が得られると次のステップSP3へ移る。
【0054】
ステップSP3においてCPU13aは、デマンド警報が発令中であるため、使用電力を抑制すべく、現在運転中の電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2のうち、負荷配分変更命令S1にしたがって電気熱源システムRP1の負荷を下限まで低減させる。
【0055】
一方、CPU13aは、電気熱源システムRP1の負荷を下限まで低減させた分だけ燃料系熱源システムRP2の負荷を負荷配分変更命令S2にしたがって増大させる。これにより電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2全体の負荷配分割合を燃料系熱源システムRP2に偏らせる。
【0056】
この場合、
図5および
図6に示すように、電気熱源システムRP1に予め設定された、電気熱源機R1の出力を下限まで低減させるための最小通過流量αに基づいて当該電気熱源機R1への熱源水の流量がポンプP1により設定される。一方、電気熱源機R1の熱源水の流量が現時点の負荷流量から最小通過流量αにまで低減された分だけ、燃料系熱源機システムRP2の燃料系熱源機R2の出力を上げるとともに、燃料系熱源機R2への熱源水の流量がポンプP2により増大して設定される。
【0057】
このように電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2の双方が同時運転中にデマンド警報が発令されると、電気熱源機R1への熱源水の流量を下限(α)まで減少させ、燃料系熱源機R2への熱源水の流量をその分だけ増大させるため、電気熱源機R1による電気エネルギーの使用量が減り、燃料系熱源機R2による燃料エネルギーの使用量が増える。
【0058】
この場合、電気熱源機R1からの負荷機器7への供給熱量が減少し、燃料系熱源機R2からの負荷機器7への供給熱量が増大するため、負荷機器7への供給熱量は一定のまま増減が生じることがなく、すなわち室内環境の快適性を悪化させることなく、電気エネルギーの使用量だけが抑制される。
【0059】
なお、電気熱源システムRP1および燃料系熱源システムRP2の負荷配分を変更する際には、特許文献1(特許第5140341号)の熱源制御装置に開示されている方法を用いてもよい。すなわち、複数台の電気熱源機R1および複数台の燃料系熱源機R2を備えている場合、電力需要のピークにあたる時間帯の電力消費を低く抑えるためのピークカット時間帯に入る直前の入替準備時間帯において、運転中の複数台の電気熱源機R1と停止中の複数台の燃料系熱源機R2とを入れ替える際、1台ずつ時間差を設けた状態で行う。
【0060】
これにより、負荷機器7へ供給される送水温度の上昇量が小さくなって室内環境の快適性を悪化させることなく、電気エネルギーの使用量だけが抑制される。この場合、最終的には、複数の電気熱源機R1が停止し、複数の燃料系熱源機R2が起動することになるため、電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の全体の負荷配分割合が全て燃料系熱源機R2に偏ることになる。
【0061】
ステップSP4においてCPU13aは、ステップSP3で電気熱源機R1および燃料系熱源機R2の負荷配分を変更し、負荷を燃料系熱源機R2に偏らせた電力抑制中(
図6)に、外部のアグリゲータから1回目の消費電力削減要求D2が通知されたか否かを判定する。
【0062】
ここで、電力抑制中に1回目の消費電力削減要求D2が通知されていない場合には否定結果(ステップSP4:NO)を得て、ステップSP2、ステップSP3の処理へ戻り、デマンド警報の発令が停止されるまで、電気熱源機R1の負荷を下限(α)まで低減させ、かつ燃料系熱源機R2の負荷をその分だけ増大させた電力抑制状態を維持し、アグリゲータの電力抑制の要求に十分応えた状態で電力の使用量を抑制する。
【0063】
これに対してステップSP4において、負荷を燃料系熱源機R2に偏らせた電力抑制中に1回目の消費電力削減要求D2が与えられた場合(ステップSP4:YES)、CPU13aによる処理は次のステップSP5へ移る。
【0064】
ステップSP5においてCPU13aは、負荷流量FおよびポンプP2の設定流量に基づいて、現時点における燃料系熱源機R2の出力に未だ余裕があるか否かを判定し、燃料系熱源機R2の出力に余裕がある場合(ステップSP5:YES)には次のステップSP6へ移るが、燃料系熱源機R2の出力に余裕がない場合(ステップSP5:NO)にはステップSP8へ移る。
【0065】
ここで燃料系熱源機R2の出力に余裕があるというのは、燃料系熱源機R2への熱源水の設定流用を増大することのできる余裕があること、または燃料系熱源機R2からの熱源水温度の設定値を変更する余裕があることを意味する。つまり、燃料系熱源機R2により生成する熱量を今以上に上げられる余裕を有しているということである。
【0066】
アグリゲータからの1回目の消費電力削減要求D2にしたがって負荷機器7の消費電力を削減するためには、電気熱源機R1の負荷率を下限(α)まで低減させた状態、かつ、燃料系熱源機R2の負荷率が例えば90%未満(すなわち燃料系熱源機R2の出力に余裕がある)であることが必要である。
【0067】
ここで、燃料系熱源機R2の負荷率が例えば90%未満でなければならない理由は、燃料系熱源機R2の負荷率が100%に近い状態では当該燃料系熱源機R2によって生成する熱量を更に増大させることができないからである。したがって、当該燃料系熱源機R2によって生成する熱量を更に増大させ、当該燃料系熱源機R2に負荷を更に偏らせる余裕が有りさえすれば、その負荷率については90%でなく例えば80%未満などであっても良い。
【0068】
ステップSP6においてCPU13aは、アグリゲータからの1回目の消費電力削減要求D2にしたがって、負荷機器(空調機)7が設置された空間の快適性を考慮しながら第1の制御部132aにより当該負荷機器(空調機)7に対する負荷を削減した1回目の消費電力削減処理を実行する。
【0069】
具体的には、CPU13aは負荷機器7のインバータ装置7bに対してファン7aのモータに対する電力の周波数の上限値を下げる負荷削減命令S3を第1の制御部132aから出力し、当該ファン7aの給気風量を小風量化することにより当該ファン7aの消費電力を削減する。
【0070】
このとき、
図7に示すように、第1の制御部132aはファン7aの給気風量を低減させるとともに、燃料系熱源機R2により生成される熱量を増大させる。その理由は、第1の制御部132aはファン7aの給気風量を低減させると、負荷機器7の消費電力を削減することはできるものの、そのままでは室内空間の快適性が犠牲になるため、当該負荷機器7の給気温度を低下させ、低温小風量化させる。負荷機器7では、小風量化により当該負荷機器7によって熱交換される熱量は減少するものの、給気温度の低温化により当該負荷機器7によって熱交換される熱量が増大されるため、当該負荷機器7の消費電力を削減する前後において当該負荷機器7によって熱交換される熱量はほぼ一定となる。これにより、第1の制御部132aにより負荷機器7が消費する電力を削減する前後において、負荷機器7によって熱交換される熱量が一定となるため、室内空間の快適性が犠牲になることはない。
【0071】
ここで負荷機器の給気温度を低下させるには、電気熱源機R1または燃料系熱源機R2の何れかまたは双方により生成する熱量を増大させる必要があるが、電気熱源機R1はその負荷を下限(α)まで低減させた電力抑制状態を維持しているため、燃料系熱源機R2により生成する熱量だけを増大させるのである。
【0072】
燃料系熱源機R2は、自身の負荷率が90%未満(すなわち10%の余裕がある)のため、負荷機器7の給気温度を低下させる際の当該負荷機器7の負荷の増加分を負担し、当該燃料系熱源機R2によって生成する熱量を更に増大させればよい。
【0073】
これにより、電気熱源機R1の電力抑制状態は維持したまま、ファン7aの給気風量を低減させた分だけ確実に負荷機器7の電力消費を削減しながら、低温化分による電力消費の増大分を燃料系熱源機R2に負担させるので、快適性の維持と消費電力削減効果の双方を実現することができる。
【0074】
ステップSP7においてCPU13aは、電気熱源機R1の負荷を下限(α)まで低減させ、かつ燃料系熱源機R2の負荷をその分だけ増大させた電力抑制状態(
図6)に比べ、負荷機器7の低温化分による電力消費の増大分を燃料系熱源機R2に負担させた負荷割合(
図7)において、外部のアグリゲータから2回目の消費電力削減要求D3が通知されたか否かを判定する。
【0075】
ここで、アグリゲータから2回目の消費電力削減要求D3が通知されていない場合(ステップSP7:NO)にはステップSP6に戻り、負荷機器7に対する1回目の消費電力削減要求D2に応じた消費電力削減処理を継続して実行する。
【0076】
これに対しステップSP7において、アグリゲータから2回目の消費電力削減要求D3が通知されていた場合(ステップSP7:YES)にはCPU13aによる処理は次のステップSP8へ移る。
【0077】
ステップSP5で燃料系熱源機R2の出力に余裕が無かった場合や、ステップSP7で2回目の消費電力削減要求D3が与えられた場合というのは、当該燃料系熱源機R2によって生成する熱量を増大させることができない状態であるので、負荷機器7が設置された空間の快適性が犠牲になることがある。このため、ステップSP8においてCPU13aは、第2の制御部132bにより負荷機器7の負荷を削減する。
【0078】
具体的には、
図8に示すように、CPU13aは空調設定温度の緩和、間欠運転、運転停止などを実行させるための消費電力削減命令S4を第2の制御部132bから負荷機器7に対して出力し、当該負荷機器7の負荷を削減する。
【0079】
これにより室内環境の快適性については若干犠牲にされるが、負荷機器7に対する空調設定温度の緩和、間欠運転、運転停止などにより当該負荷機器7の消費電力が削減される。同時にCPU13aは制御命令S7を電気熱源システムRP1へ出力しているので、電気熱源機R1の負荷を下限まで低減させた状態を維持するとともに、制御命令S8を燃料系熱源システムRP2へ出力しているので、負荷機器7の負荷を削減したことに伴い燃料系熱源機R2の負荷を低減させる。
【0080】
これにより、燃料系熱源機R2の負荷が低減されたので、当該燃料系熱源機R2の出力に再度余裕が生まれることになる(
図8)。したがって、アグリゲータから次に消費電力削減要求が再度通知された場合、上述したステップSP6の処理を繰り返し行い、室内環境の快適性の犠牲を最小限に留めながら消費電力を削減することができる。
【0081】
[他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態においては、電気熱源機R1としてターボ冷凍機を用い、燃料系熱源機R2として吸収式冷凍機を用いて冷水を負荷機器7へ供給するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2種類の加熱器を用いて温水を負荷機器7へ供給するようにしてもよい。
【0082】
また、上述した実施の形態においては、エネルギーとして電力消費の抑制を目的とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ガス等の燃料消費の抑制を目的とする場合に適用するようにしてもよい。この場合、
図1に示した熱源システムでは、デマンド警報発令中であれば、燃料系熱源機R2の負荷を減らし、その減らした分の負荷を電気熱源機R1に負担させるようにすればよい。