(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記背景部材の外周面には、前記背景部材を形成する基材の外周面に塗装を行っていない非塗装領域と、前記基材の外周面に前記基材とは異なる色の塗装を行った塗装領域と、が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
前記背景部材の外周面には少なくとも、黒色の領域と白色または金属色の領域とが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
前記互いに異なる色を有する2つ以上の領域は、前記背景部材の側面毎に分かれて形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
前記背景部材の軸方向から見た外接円の半径をrとすると、前記背景部材の回転中心は、前記背景部材の上方空間の上面を形成する部材からr以上の距離を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、プリンター(インクジェット記録装置)100は、プリンター本体1の内部下方に用紙収容部である給紙カセット2aが配置されている。給紙カセット2aの内部には、記録媒体の一例である印刷前のカットペーパーなどの用紙Pが所定枚数(例えば500枚程度)積載して収容されている。給紙カセット2aの用紙搬送方向下流側、すなわち
図1における給紙カセット2aの右側の上方には給紙装置3aが配置されている。この給紙装置3aにより、用紙Pは
図1において給紙カセット2aの右上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット2aはプリンター本体1の正面側から水平に引き出して用紙Pを補充することが可能である。
【0018】
プリンター本体1の右側面外部には手差し給紙トレイ(記録媒体積載部)2bが備えられている。手差し給紙トレイ2bには給紙カセット2a内の用紙Pとは異なるサイズの用紙や、厚紙、OHPシート、封筒、ハガキ、送り状のように屈曲した搬送経路を通過するのが困難な記録媒体、1枚ずつ手で送り込みたい記録媒体などが載置される。手差し給紙トレイ2bの用紙搬送方向下流側、すなわち
図1における手差し給紙トレイ2bの左側には給紙装置3bが配置されている。この給紙装置3bにより、手差し給紙トレイ2b上の用紙は
図1において左方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。
【0019】
また、プリンター100はその内部に第1用紙搬送路4aを備えている。第1用紙搬送路4aは、給紙カセット2aに関して言えばその給紙方向である右上方に位置し、手差し給紙トレイ2bに関して言えばその左方に位置する。給紙カセット2aから送り出された用紙Pは第1用紙搬送路4aによりプリンター本体1の側面に沿って垂直上方に、手差し給紙トレイ2bから送り出された用紙は略水平左方に向けて搬送される。
【0020】
用紙搬送方向に対し第1用紙搬送路4aの下流端にはレジストローラー対13が備えられている。さらにレジストローラー対13の用紙搬送方向下流側には第1ベルト搬送部5及び記録部9が配置されている。給紙カセット2a(または手差し給紙トレイ2b)から送り出された用紙Pは第1用紙搬送路4aを通ってレジストローラー対13に到達する。レジストローラー対13は用紙Pの斜め送りを矯正しつつ記録部9が実行するインク吐出動作とのタイミングを計り、第1ベルト搬送部5に向かって用紙Pを送り出す。なお、第1用紙搬送路4aには用紙Pを搬送するための搬送ローラー対が適所に設けられている。
【0021】
また、レジストローラー対13と第1ベルト搬送部5との間には、用紙Pの幅方向(用紙搬送方向に対して垂直方向)の端部の位置を検出するための端部位置検出センサー60および多角柱状(ここでは四角柱状)の背景部材61が配置されている。端部位置検出センサー60および背景部材61周辺の詳細構造については、後述する。
【0022】
第1ベルト搬送部5は
図2に示すように、第1駆動ローラー6と、第1従動ローラー7とに巻き掛けられた無端状の第1搬送ベルト8を備えている。第1搬送ベルト8は第1駆動ローラー6により
図2において反時計回り方向に回転する。レジストローラー対13によって送り出された用紙Pは第1搬送ベルト8の搬送面8a(
図2において上面)に保持され、
図2の矢印X方向(右方から左方)へと搬送される。
【0023】
第1搬送ベルト8の内側であって第1搬送ベルト8の搬送面8aの裏側に対向する箇所には第1用紙吸引部30が備えられている。第1用紙吸引部30は、上面に多数の空気吸引用の孔30aが設けられ、内部にはファン30bを備えており、上面から下方に向かって空気を吸引することができる。また、第1搬送ベルト8にも多数の空気吸引用の通気孔8b(
図7参照)が設けられている。上記の構成により、第1ベルト搬送部5は第1搬送ベルト8の搬送面8aに用紙Pを吸着保持しながら搬送する。
【0024】
記録部9は、搬送面8aに吸着保持されて搬送される用紙Pに画像の記録を行うラインヘッド11C、11M、11Y及び11Kを備えている。外部コンピューター等から受信した画像データの情報に対応して、第1搬送ベルト8に吸着された用紙Pに向かって各ラインヘッド11C〜11Kからそれぞれのインクを順次吐出することにより、用紙Pにはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが重ね合わされたフルカラー画像が記録される。なお、プリンター100ではモノクロ画像を記録することも可能である。
【0025】
なお、記録ヘッド17a〜17cからのインクの吐出方式としては、例えば、図示しないピエゾ素子を用いてインクを押し出すピエゾ方式や、発熱体によって気泡を発生させ、圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式など、各種方式を適用することができる。
【0026】
用紙搬送方向に対し第1ベルト搬送部5の下流側(
図1の左側)には第2ベルト搬送部12が配置されている。記録部9にてインク画像が記録された用紙Pは第2ベルト搬送部12へと送られ、第2ベルト搬送部12を通過する間に用紙P表面に吐出されたインクが乾燥される。
【0027】
第2ベルト搬送部12は、第2駆動ローラー41と第2従動ローラー42とに巻き掛けられた無端状の第2搬送ベルト40を備えている。第2搬送ベルト40は第2駆動ローラー41により
図2において反時計回り方向に回転する。記録部9によって画像が記録され、第1ベルト搬送部5によって矢印X方向へ搬送された用紙Pは第2搬送ベルト40に受け渡され、
図2の矢印Z方向へと搬送される。
【0028】
第2搬送ベルト40の内側であって第2搬送ベルト40の搬送面40aの裏側に対向する箇所には第2用紙吸引部43が備えられている。第2用紙吸引部43は、上面に多数の空気吸引用の孔43aが設けられ、内部にはファン43bを備えており、上面から下方に向かって空気を吸引することができる。また、第2搬送ベルト40にも多数の空気吸引用の通気孔(図示せず)が設けられている。上記の構成により、第2ベルト搬送部12は第2搬送ベルト40の搬送面40aに用紙Pを吸着保持しながら搬送する。
【0029】
また、第2搬送ベルト40の搬送面40aに対向する位置には、搬送ガイド部50が設けられている。搬送ガイド部50は、第2搬送ベルト40の搬送面40aと共に用紙搬送経路を構成しており、第2用紙吸引部43によって搬送面40aに吸着保持された用紙Pの反りやばたつきを抑制する。
【0030】
用紙搬送方向に対し第2ベルト搬送部12の下流側であってプリンター本体1の左側面近傍にはデカーラー部14が備えられている。第2ベルト搬送部12にてインクが乾燥された用紙Pはデカーラー部14へと送られ、用紙幅方向に並んだ複数のローラーを用いて用紙Pに生じたカールが矯正される。
【0031】
用紙搬送方向に対しデカーラー部14の下流側(
図1の上方)には第2用紙搬送路4bが備えられている。デカーラー部14を通過した用紙Pは両面記録を行わない場合、第2用紙搬送路4bから排出ローラー対を介してプリンター100の左側面外部に設けられた用紙排出トレイ15に排出される。
【0032】
また、第2ベルト搬送部12の下方にはメンテナンスユニット19が配置されている。メンテナンスユニット19は、パージを実行する際に記録部9の下方に移動し、記録ヘッド17a〜17cのインク吐出ノズル18(
図3参照)から吐出されたインクを拭き取り、拭き取られたインクを回収する。
【0033】
プリンター本体1の上部であって記録部9及び第2ベルト搬送部12の上方には両面記録を行うための反転搬送路16が備えられている。両面記録を行う場合には第一面への記録が終了して第2ベルト搬送部12及びデカーラー部14を通過した用紙Pが第2用紙搬送路4bを通って反転搬送路16へと送られる。反転搬送路16へ送られた用紙Pは、続いて第二面の記録のために搬送方向が切り替えられ、プリンター本体1の上部を通過して右側に向かって送られ、第1用紙搬送路4a、及びレジストローラー対13を経て第二面を上向きにした状態で再度第1ベルト搬送部5へと送られる。なお、第2用紙搬送路4b、反転搬送路16には、第1用紙搬送路4aと同様に、用紙Pを搬送するための搬送ローラー対が適所に設けられている。
【0034】
記録部9は
図3および
図4に示すように、ヘッドハウジング10と、ヘッドハウジング10に保持されたラインヘッド11C、11M、11Y、及び11Kを備えている。これらのラインヘッド11C〜11Kは、第1搬送ベルト8の搬送面8aに対して所定の間隔(例えば1mm)が形成されるような高さに支持され、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(
図3の上下方向)に沿って複数(ここでは3個)の記録ヘッド17a〜17cが千鳥状に配列されている。ラインヘッド11C〜11Kは、搬送される用紙Pの幅以上の記録領域を有しており、第1搬送ベルト8上を搬送される用紙Pに対して、印字位置に対応したインク吐出ノズル18からインクを吐出できるようになっている。
【0035】
図5及び
図6に示すように、記録ヘッド17a〜17cのインク吐出面Fにはインク吐出ノズル18が多数配列されたノズル領域Rが設けられている。なお、記録ヘッド17a〜17cは同一の形状及び構成であるため、
図5及び
図6では記録ヘッド17a〜17cを一つの図で示している。また、
図3及び
図4に示すように、同一のラインヘッド11C〜11Kを構成する3個の記録ヘッド17a〜17cは、各記録ヘッド17a〜17cに設けられたインク吐出ノズル18の一部が用紙搬送方向に重複するように端部をオーバーラップさせて配置されている。
【0036】
各ラインヘッド11C〜11Kを構成する記録ヘッド17a〜17cには、それぞれインクタンク(図示せず)に貯留されている4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のインクがラインヘッド11C〜11Kの色毎に供給される。
【0037】
各記録ヘッド17a〜17cは、外部コンピューター等から受信した画像データに応じて、第1搬送ベルト8の搬送面8aに吸着保持されて搬送される用紙Pに向かってインク吐出ノズル18からインクを吐出する。これにより、第1搬送ベルト8上の用紙Pにはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクが重ね合わされたカラー画像が形成される。
【0038】
次に、端部位置検出センサー60および背景部材61周辺の詳細構造について説明する。
【0039】
端部位置検出センサー60は
図1および
図7に示すように、第1ベルト搬送部5に対して用紙搬送方向上流側に配置されており、背景部材61は、端部位置検出センサー60の検出面(
図1の下面)に対向配置されている。
【0040】
また
図8に示すように、端部位置検出センサー60の直下には、コンタクトガラス62が配置されており、背景部材61の用紙搬送方向の上流側および下流側には、搬送ガイド部材(上流側搬送ガイド部材)65aおよび搬送ガイド部材(下流側搬送ガイド部材)65bがそれぞれ配置されている。そして、コンタクトガラス62の下面と搬送ガイド部材65aおよび65bの上面(用紙搬送面S)とによって、用紙搬送経路(用紙搬送空間)の一部が形成されている。なお、コンタクトガラス62は、用紙搬送面S(搬送ガイド部材65aおよび65bの上面)から上方に距離H(約2mm)だけ隔てて配置されている。
【0041】
端部位置検出センサー60は
図7に示すように、用紙通過領域よりも用紙幅方向に短く形成されているとともに、用紙幅方向(
図7の左右方向)の両側に1つずつ配置されている。また、端部位置検出センサー60は、発光部および受光部を有する検出部60aが用紙幅方向に多数個配置されたコンタクトイメージセンサーからなる。そして、端部位置検出センサー60は、背景部材61からの反射光と用紙Pからの反射光との強度差に基づいて、用紙Pの幅方向端部の位置を検出する。なお、端部位置検出センサー60による用紙Pの幅方向端部の検出は、用紙1枚に対して1回だけ行われる。
【0042】
背景部材61は、用紙通過領域よりも用紙幅方向に長く形成されているとともに、用紙幅方向に沿って延びる軸を中心として回転可能に形成されている。具体的には
図9に示すように、背景部材61は、用紙幅方向に沿って延びる本体部61aと、本体部61aの両端に設けられた軸部61bと、を含んでいる。
【0043】
軸部61bは、例えばプリンター本体1に回転可能に支持されており、背景部材61は、軸部61bを中心として回転する。
【0044】
本体部61aは、中実または中空の正四角柱状に形成されている。また、本体部61aは、樹脂または金属により形成されている。
【0045】
図8に示すように、本体部61aが所定の回転角度で停止した状態における上面は、端部位置検出センサー60の検出面に対向配置される対向面となる。本体部61aは、後述する制御部64によって、対向面が用紙搬送面Sに対して傾斜するように停止される。具体的には、対向面の用紙搬送方向上流側の上流側端部61eは、用紙搬送面Sよりも下側に配置される。また、対向面の用紙搬送方向下流側の下流側端部61fは、上流側端部61eよりも上側で、かつ、用紙搬送面S上又は用紙搬送面Sよりも下側に配置される。
【0046】
例えば、本体部61aは、1辺の長さが9.6mm〜12.3mmの正方形の断面を有するように形成されている。そして、上流側端部61eは、下流側端部61fよりも1mm〜2mm下側に配置される。対向面は、用紙搬送面Sに対して5°〜12°程度傾斜して配置される。
【0047】
なお、本体部61aの最上位置(下流側端部61f)は、用紙搬送面Sと同じ高さまたは用紙搬送面Sよりも少しだけ低い位置になるように配置されていることが好ましい。
【0048】
また、背景部材61の軸方向から見た外接円(
図8の2点鎖線)の半径をrとすると、背景部材61の回転中心O61は、背景部材61の上方空間(用紙搬送経路)の上面を形成する部材(コンタクトガラス62)から下側にr以上の距離(例えばr+0.1mm)を隔てて配置されている。
【0049】
また、搬送ガイド部材65aのうちの用紙搬送方向下流側の端部65cは、対向面の上流側端部61eよりも上側になるように配置される。また、搬送ガイド部材65bの用紙搬送方向上流側の端部65dは、対向面の下流側端部61fよりも下側になるように配置される。
【0050】
図9に示すように、本体部61aの外周面には、少なくとも端部位置検出センサー60に対向する領域に、互いに異なる色を有するとともに用紙幅方向に延びる2つの領域61cおよび61dが外周面を周方向に分割するように形成されている。すなわち、互いに異なる色を有する領域61cおよび61dは、背景部材61の側面(四角柱の側面)毎に分かれて形成されている。領域61cは、反射光の強度が高くなる(反射率が高くなる)ように例えば白色に形成されており、領域61dは、反射光の強度が低くなる(反射率が低くなる)ように例えば黒色に形成されている。
【0051】
例えば、領域61cは、本体部61aを形成する基材の材料の色を利用して形成されていてもよい。すなわち、領域61cは、本体部61aを形成する白色樹脂からなる基材の外周面に塗装を行っていない非塗装領域であってもよい。また、領域61dは、本体部61aの外周面に塗装を行うことにより着色されていてもよい。すなわち、領域61dは、本体部61aの外周面に基材とは異なる色の塗装を行った塗装領域であってもよい。
【0052】
なお、領域61cおよび61dの両方が塗装領域であってもよい。また、領域61cおよび61dは、塗装ではなく、所定の色を有する樹脂フィルム等のシート材を本体部61aの外周面に貼り付けることにより形成されていてもよい。
【0053】
背景部材61には
図7に示すように、図示しない伝達ギア等を介して回転駆動部62から回転駆動力が伝達される。回転駆動部62は、駆動モーター等からなり、用紙センサー(記録媒体センサー)63に電気的に接続された制御部64からの信号が入力されるように構成されている。なお、制御部64は、プリンター100全体の動作を制御する。
【0054】
用紙センサー63は、用紙Pの反射率を検出するメディアセンサーまたは用紙Pの色を検出するカラーセンサーによって構成されており、検出結果を制御部64に出力する。用紙センサー63は、端部位置検出センサー60よりも用紙搬送方向上流側に配置されていればよく、例えばレジストローラー対13の近傍(第1用紙搬送路4aと反転搬送路16との合流部)に配置される。なお、用紙センサー63は、端部位置検出センサー60とは異なり、用紙Pの例えば1点(又は1つの領域)だけを検出できればよい。
【0055】
制御部64は、用紙センサー63の検出結果に応じて回転駆動部62を駆動し、用紙Pが背景部材61上に搬送されるまでの間に、背景部材61を所定角度回転させる。具体的には、制御部64は、用紙センサー63の検出結果から、用紙Pの反射率が高い(用紙Pからの反射光の強度が高くなる)と判断した場合、背景部材61からの反射光の強度が低くなるように、背景部材61を回転させて領域61dを端部位置検出センサー60側(上側)に向ける。一方、制御部64は、用紙センサー63の検出結果から、用紙Pの反射率が低い(用紙Pからの反射光の強度が低くなる)と判断した場合、背景部材61からの反射光の強度が高くなるように、背景部材61を回転させて領域61cを端部位置検出センサー60側に向ける。このようにして、背景部材61のうちの端部位置検出センサー60の検出面に対向する部分の色が変更され、用紙Pの反射率や色にかかわらず、背景部材61からの反射光と用紙Pからの反射光との強度差が小さくなるのを抑制することができる。また、制御部64は、用紙Pが背景部材61上を通過している期間中は背景部材61を回転させないように構成されている。なお、背景部材61の回転量を検出する検出部が設けられていてもよい。
【0056】
また、制御部64は、端部位置検出センサー60や記録部9にも電気的に接続されている。制御部64は、端部位置検出センサー60の検出結果が入力されると、その検出結果から用紙Pのサイズや位置ずれを導き出し、用紙Pの印字領域に対応するインク吐出ノズル18からインク吐出を行う。
【0057】
次に、本実施形態の効果を確認するために行った確認実験について説明する。この確認実験は、上記実施形態に対応した実施例1、2と、比較例1と、について行った。
【0058】
(実施例1)
背景部材61の本体部61aの外周面に黒色のルミラー(登録商標)を貼り付けることにより、黒色の領域61dを形成した。そして、領域61dを端部位置検出センサー60側(上側)に向けて配置し、端部位置検出センサー60と背景部材61との間に白色の用紙Pを通紙した。実施例1のその他の構成は、上記実施形態と同様にした。
【0059】
(実施例2)
白色樹脂からなる基材を用いて本体部61aを形成し、基材の材料の色を利用して白色の領域61cを形成した。そして、領域61cを端部位置検出センサー60側(上側)に向けて配置し、端部位置検出センサー60と背景部材61との間に濃いグレーの用紙Pを通紙した。実施例2のその他の構成は、実施例1と同様にした。
【0060】
(比較例1)
本体部61aの外周面に黒色のルミラー(登録商標)を貼り付けることにより、黒色の領域61dを形成した。そして、領域61dを端部位置検出センサー60側(上側)に向けて配置し、端部位置検出センサー60と背景部材61との間に濃いグレーの用紙Pを通紙した。比較例1のその他の構成は、実施例1と同様にした。
【0061】
そして、実施例1、2および比較例1について、端部位置検出センサー60で検出される反射光強度を測定した。その結果を、
図10、
図11、
図12にそれぞれ示す。
【0062】
実施例1では
図10に示すように、背景部材61の黒色の領域61dからの反射光強度は閾値αよりも低く、白色の用紙Pからの反射光強度は閾値αよりも高くなった。このため、反射光強度の変化点(反射光強度が閾値αを跨ぐ位置)に基づいて、用紙Pの幅方向の端部の位置を検出できた。
【0063】
実施例2では
図11に示すように、背景部材61の白色の領域61cからの反射光強度は閾値αよりも高く、濃いグレーの用紙Pからの反射光強度は閾値αよりも低くなった。このため、反射光強度の変化点(反射光強度が閾値αを跨ぐ位置)に基づいて、用紙Pの幅方向の端部の位置を検出できた。
【0064】
比較例1では
図12に示すように、背景部材61の黒色の領域61dからの反射光強度は閾値αよりも低く、濃いグレーの用紙Pからの反射光強度も閾値αより低くなった。このため、反射光強度の変化が小さく、反射光強度が閾値αを跨がないので、用紙Pの幅方向の端部の位置を検出できなかった。
【0065】
本実施形態では、上記のように、用紙Pの幅方向の端部の位置を、反射光を利用して検出する端部位置検出センサー60と、端部位置検出センサー60の検出面に対向配置される背景部材61と、を備える。これにより、背景部材61からの反射光と用紙Pからの反射光との強度差に基づいて、用紙Pの幅方向の端部の位置が検出される。
【0066】
そして、背景部材61の外周面には、少なくとも端部位置検出センサー60の検出面に対向する領域に、互いに異なる色を有する2つの領域61c、61dが外周面を周方向に分割するように形成されている。これにより、背景部材61を回転させて背景部材61のうちの端部位置検出センサー60の検出面に対向する領域を変更することによって、用紙Pの反射率や色にかかわらず、背景部材61からの反射光と用紙Pからの反射光との強度差が小さくなるのを抑制することができる。このため、用紙Pの幅方向の端部の位置を精度良く検出することができる。
【0067】
また、背景部材61の対向面の上流側端部61eは、用紙搬送面Sよりも下側に配置される。これにより、背景部材61の上流側の部分における上方空間(用紙搬送空間)を広げることができるので、用紙Pが背景部材61に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0068】
また、背景部材61の対向面の下流側端部61fは、上流側端部61eよりも上側に配置される。これにより、用紙Pの下面を支持する背景部材61の対向面が用紙搬送方向に向かって上向きの傾斜となるので、用紙Pが背景部材61側に撓むのを抑制することができる。また、対向面の下流側端部61fは、用紙搬送面S上又は用紙搬送面Sよりも下側に配置される。これにより、背景部材61の下流側の部分における上方空間(用紙搬送空間)を確保することができる。
【0069】
また、上記のように、用紙Pの反射率または色を検出する用紙センサー63を設ける。これにより、用紙Pの反射率や色に基づいて、背景部材61のうちの端部位置検出センサー60の検出面に対向する部分の色を自動で変更することができるので、背景部材61からの反射光と用紙Pからの反射光との強度差が小さくなるのを容易に抑制することができる。このため、用紙Pの幅方向の端部の位置を容易に精度良く検出することができる。
【0070】
また、上記のように、領域61cは、本体部61aを形成する白色樹脂からなる基材の外周面に塗装を行っていない非塗装領域であってもよいし、領域61dは、本体部61aの外周面に基材とは異なる色の塗装を行った塗装領域であってもよい。このように構成すれば、基材の材料の色を利用して非塗装領域(領域61c)を形成することができるので、背景部材61の構造を簡単にすることができる。また、塗装を行うことにより非塗装領域(領域61c)とは異なる色の領域61dを形成することができるので、背景部材61を容易に形成することができる。
【0071】
また、上記のように、背景部材61の外周面には、例えば黒色の領域61dと白色の領域61cとが形成されている。これにより、例えば、用紙Pが白色の場合は背景部材61の黒色の領域61dを端部位置検出センサー60側に向け、用紙Pが黒色または濃いグレーの場合は背景部材61の白色の領域61cを端部位置検出センサー60側に向けることによって、背景部材61からの反射光と用紙Pからの反射光との強度差が小さくなるのを容易に抑制することができる。
【0072】
また、上記のように、複数サイズの用紙Pを載置可能な手差し給紙トレイ2bを用いる場合、種々のサイズの用紙が供給されるので、本発明を用いて用紙の幅方向の端部の位置を精度良く検出することは、特に有効である。
【0073】
また、上記のように、互いに異なる色を有する領域61cおよび61dは、背景部材61の側面毎に分かれて形成されている。これにより、背景部材61に、互いに異なる色を有する領域61cおよび61dを容易に形成することができる。
【0074】
また、上記のように、背景部材61に対して上流側に配置される搬送ガイド部材65aの下流側の端部65cは、対向面の上流側端部61eよりも上側に配置され、背景部材61に対して下流側に配置される搬送ガイド部材65bの上流側の端部65dは、対向面の下流側端部61fよりも下側に配置される。これにより、用紙Pが背景部材61および搬送ガイド部材65bに引っ掛かるのを抑制することができる。
【0075】
また、上記のように、背景部材61の回転中心O61は、コンタクトガラス62からr以上の距離を隔てて配置されている。これにより、背景部材61の回転時に背景部材61がコンタクトガラス62に接触するのを抑制することができる。
【0076】
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0077】
例えば、上記実施形態では、背景部材61の本体部61aの外周面に、白色の領域61cと黒色の領域61dとを形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、白色および黒色以外の色に形成してもよい。例えば、領域61cを、白色の代わりに金属色にしてもよい。この場合、本体部61aを金属により形成し、その外周面に塗装を行わずに領域61cとしてもよい。また、例えば、領域61dを、濃いグレー等の反射率の低い色に形成してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、背景部材61の本体部61aの外周面に、互いに異なる色を有する領域を2つだけ形成した例について示したが、本発明はこれに限らない。本体部61aの外周面に、互いに異なる色を有する領域を3つ以上設けてもよい。この場合、3原色である赤色、緑色、青色の3つの領域を設けてもよい。また、赤色、緑色、青色、黒色の4つの領域を設けてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、背景部材61の本体部61aを四角柱状に形成した例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば
図13に示した本発明の変形例の背景部材61のように、本体部61aを例えば六角柱状などの四角柱状以外の多角柱状に形成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、用紙Pの端部の位置を検出する端部位置検出センサー60として、コンタクトイメージセンサーを用いた例について示したが、CCDなどのコンタクトイメージセンサー以外のセンサーを用いてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、用紙Pの反射率または色を検出する用紙センサー63を設け、用紙センサー63の検出結果に応じて背景部材61を自動で回転させる例について示したが、本発明はこれに限らない。用紙センサー63を設けず、例えば、ユーザーがプリンター100の操作パネル(図示せず)等に用紙Pの色等を入力することにより、制御部64が背景部材61を回転させてもよい。あるいは、パーソナルコンピューター等にインストールされたプリンタードライバーを用いて、印刷に用いる用紙の色を指定(入力)することも可能である。そうすることにより、パーソナルコンピューター等からプリンター100に印刷データを送ると、制御部64は印刷データに含まれる用紙の色に関わるデータを参照して、制御部64が背景部材61を回転させてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、用紙Pの色が黒色や濃いグレーの場合に本発明が有効であることを説明したが、用紙Pとして縁取り用紙を用いる場合などにも本発明は有効である。
【0083】
また、上記実施形態では、端部位置検出センサー60を用紙幅方向の両側に設けた例について説明したが、定型用紙のみを使用するプリンター(インクジェット記録装置)の場合は、端部位置検出センサー60を用紙幅方向の片側のみに設けてもよい。このように構成すれば、コストを削減することが可能である。