特許第6186324号(P6186324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186324
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20170814BHJP
   F24C 15/16 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   F24C7/02 551L
   F24C15/16 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-170029(P2014-170029)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-44898(P2016-44898A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】山谷 遼
(72)【発明者】
【氏名】公平 淳
(72)【発明者】
【氏名】西野 俊久
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−087842(JP,A)
【文献】 特開2004−360987(JP,A)
【文献】 実開昭63−148262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
F24C 15/16
B60J 7/043
A47J 27/00−27/13
A47J 27/20−29/06
A47J 33/00−36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の壁に棚を有した加熱室を備え、
被調理物を載置する食品載置部と該食品載置部の外周に前記棚に載せるフランジ部とを有し、前記フランジ部は下方に張り出した接地部を有した調理皿を備え、
該調理皿のフランジ部の角部下方には、該角部を形成する2辺の側面とその下面とを覆い、前記フランジ部の接地部を収納する溝部を有した耐熱樹脂からなる保護ピースを備え、
前記溝部の周方向における端部の側面に前記接地部と接触するリブを備えたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータによって食品を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の加熱調理器においては、加熱室内において被調理物を支持するための様々な調理皿を備えたものが普及している。
【0003】
特許文献1には、角形の調理皿の全周に、加熱室の調理皿載置部(棚)に載置するための折曲げ部を形成されているのが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−40076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された加熱調理器においては、調理皿載置部と接触する折り曲げ部の仕上がり部に細かな凹凸が整形され、調理皿にグラタンなどの重たい被加熱物を載置して、加熱室の調理皿載置部を滑らせて調理皿を載置すると調理皿載置部に傷が付く課題が有った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、例えば特許請求の範囲に記載された構成を採用する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、調理皿を加熱室の棚に出し入れする際に、加熱室や棚に傷を付けにくくする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の加熱調理器の外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態の加熱調理器の中央断面図(図1のA−A断面図)である。
図3】本発明の実施形態の加熱調理器のキャビネット(後述)を取り外し、ドアを開けた状態の外観斜視図である。
図4】本発明の実施形態の調理皿の外観斜視図である。
図5】本発明の実施形態の調理皿の外観上面図である。
図6】本発明の実施形態の調理皿の外観下面図である。
図7】本発明の実施形態の調理皿の断面(図5のB−B断面図)説明図である。
図8】本発明の実施形態の調理皿の保護ピース単品の外観斜視図である。
図9】本発明の実施形態の調理皿を加熱調理器内部に挿入したときの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に本発明の実施形態の加熱調理器の外観斜視図を示す。図2に加熱調理器本体1の正面から見た中央断面図、図3に加熱調理器本体1のドア2を開いた状態で外枠7をはずした状態の外観斜視図を示す。
【0010】
加熱調理器本体1は、加熱室12に加熱する食品(被加熱物)を入れて食品を加熱調理する。
【0011】
ドア2は、加熱室12に食品を出し入れするために開閉するもので、ドア2を閉めることで加熱室12を密閉状態にし、食品を加熱する時に使用する高周波の漏洩を防止し、ヒータの熱を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。ドア2にはハンドル10を設け、手で握りやすく、ドア2の開閉を容易にすることができる。
【0012】
加熱の入力手段は、ドア2や本体1などに操作パネル4が設けられ、操作パネル4に、高周波加熱やヒータ加熱等の加熱手段や加熱強さや加熱時間等を入力するための操作部6と、操作部6から入力された内容や調理の進行状態を表示する表示部5が構成されている。
【0013】
外枠7は、加熱調理器の本体1の上面と左右側面を覆うキャビネットである。
【0014】
後板11は、外枠7の後面を形成するものであり、上部に排気口8を備えた外部排気ダクト9が取り付けられ、食品から排出した蒸気や本体1の内部の部品を冷却した後の冷却風を排出する。排気口8は上部方向を向いていることが望ましく、排気を本体1の上部方向で且つ前面側に排気することができ、本体1の背面を壁面に寄せた時でも排気によって壁面を汚すことがない。
【0015】
機械室14は、加熱室12側面と外枠7の空間部に設けられ、機械室14には食品を加熱するための高周波を発生させるマグネトロン15,マグネトロン15に接続された導波管22,加熱手段や加熱時間などを制御する制御手段が組み込まれた制御基板(図示せず)、その他後述する各種部品、これらの各種部品を冷却するファン装置18等が取り付けられている。
【0016】
加熱室12底面は、ガラスもしくはセラミック製のテーブルプレート19で構成されており、テーブルプレート19の略中央の下方に回転アンテナ20が設置され、マグネトロン15より放射される高周波エネルギーは、導波管22,回転アンテナ駆動手段21の出力軸が貫通する開孔部を通して回転アンテナ20の下面に流入し、回転アンテナ20で拡散されて加熱室12内に放射される。回転アンテナ20は回転アンテナ駆動手段21の出力軸に連結されている。
【0017】
加熱室12の天面の裏側には、上ヒータ16が取り付けられている。上ヒータ16は、マイカ板にヒータ線を巻き付けて平面状に形成し、加熱室12の天面裏側に押し付けて固定し、加熱室12の天面を加熱して加熱室12内の食品を輻射熱によって加熱する。
【0018】
加熱室12の底面のテーブルプレート19の下方に設け、回転アンテナ20の周囲には、管状の下ヒータ17が設けられている下ヒータ17が発した熱はテーブルプレート19を透過し加熱室12内の食品を加熱する。
【0019】
また、タンク23やボイラ26を備えてもよい。ボイラ26を備えることで加熱室12内の食品に高温の水蒸気を噴射し、食品を水蒸気の皮膜で覆い食品を加熱することができる。加熱室12の下に着脱自在に備えたタンク23の水を、パイプ24を通してポンプ(図示なし)で吸い上げてボイラ26に水を供給し、ボイラ26で水を加熱して水蒸気を発生し、ボイラ26に設けた蒸気口27を加熱室12側面から吐出させ、加熱室12内部に水蒸気を送ることができる。
【0020】
これらのマグネトロン15を使用した高周波による加熱、上ヒータ16、下ヒータ17を使用した加熱、ボイラ26による加熱は制御手段25によって制御され、それぞれを組み合わせて食品に合った加熱をすることができる。
【0021】
ファン装置18は、後板11に取り付けた冷却モータに連結されており、このファン装置18によって発生する冷却風は、機械室14内で自己発熱するマグネトロン15やマグネトロン15に供給する電力を作るインバータ基板を冷却後に、加熱室12の外側と外枠7の間を流れて外枠7と後板11を冷却して外部排気ダクト9の外部排気口8より排出される。
【0022】
図4に本発明の実施形態の加熱調理器に付属する調理皿51の外観斜視図、図5に調理皿51の上面図、図6に調理皿51の下面図、図7にネジ部断面図、図8に調理皿51の保護ピース53の外観斜視図、図9に調理皿51を加熱室12内に挿入した際の外観正面図を示す。
【0023】
調理皿51は、調理皿本体52と保護ピース53とで構成し、調理皿本体52は、食品を載せる食品載置部52aと、載せた食品が落ちないように食品載置部52aの周囲一体に立ち上げ壁と棚13に載置するための下方に張り出した接地部52cとで構成されたフランジ部52bから成り、フランジ部52bの角部の4か所には、皿ネジ54の頭部54aを収めるすり鉢状のネジ収め部52dとネジ部54bを通す穴52eが設けられている。また調理皿本体52は金属で形成され、調理皿本体52は錆防止や清掃性を向上のため琺瑯加工が施されている。
【0024】
また、フランジ部52bの前記角部の下方(接地部52cの下方)には、角部と各辺を覆うように保護ピース53が皿ネジ54で固定されている。
【0025】
保護ピース53は、調理皿51のフランジ部52bが加熱室12の壁面や棚に触れないように、フランジ部52bの角部の側面および下面を覆う形状とし、材料は、加熱室12の壁面、棚13を構成している鋼板に傷を付けにくい材料で、オーブン加熱時の温度に耐えるPPSのような耐熱樹脂で形成されている。
【0026】
保護ピース53は、フランジ部52bの角部に、該角部を形成する2辺の端部側面とその底面を覆う形状として、フランジ部52bの接地部52cを覆うU溝部53cとネジで固定するためのネジ穴53aとが設けられている。
【0027】
フランジ部52bに設けられた略U字状に曲げられた接地部52cは、構造上曲げ時に多くのしわや凸凹が生じ、また曲げ後のU字部の太さにバラツキが生じる。特に、この曲げ時に生じたしわや凸凹によって、棚13を滑らせて載置した時に加熱室12の壁面や棚に傷が付きやすい。
【0028】
保護ピース53に設けたU溝部53cは、接地部52cの太さのバラツキの最大寸法が入る寸法とする。U溝部53cは、フランジ部52bの周方向における両端かつ側面部に、接地部52cの太さのバラツキの最小寸法が入る寸法となるようにリブ53dを設けている。このリブ53dはU溝部53cの側面内側に設けても側面外側に設けてもよい。
【0029】
前述した接地部52cの太さが太い調理皿本体52と組み合わせる時は、保護ピース53を皿ネジ54で締め付ける段階で、接地部52cがリブ53dを潰してU溝部53cに収まるようにしている。接地部52cの太さが細い調理皿本体52と組み合わせる時は、保護ピース53のU溝部53cの湾曲部分ではU溝部53cの側面と接地部52cとの隙間が生じるが、U溝部53cの両端部ではU溝部53cの側面と接地部52cとが接触しておりU溝部53cの両端部で接地部52cを隙間無く収納できる。そのため、曲げられた接地部52cの太さにバラツキが生じても、保護ピース53のU溝部53cの両端部で接地部52cを支持できるので、固定後に保護ピース53のガタツキが生じる事が無い。また隙間が発生することが無い。
【0030】
また、調理皿本体52の表面は琺瑯が施されているため、皿ネジ54を締め付けた時に琺瑯が割れて外観不良となりやすい。そこで、保護ピース53を調理皿本体52に皿ネジ54で固定する場合、フランジ部52bに設けたネジ収め部52dの穴52eの下端部と、保護ピース53のネジ穴53aの周囲に設けた平らな平面部53bとが接し、前記穴52eの下端部を皿ネジ54の頭部54aのネジ部54b側の端部54cで締め付けて固定している。調理皿本体52のフランジ部52bと皿ネジ54とは、皿ネジ54の端部54cとだけ接触し、皿ネジ54の頭部54aとフランジ部52bに設けたネジ収め部52dとは略接触しない寸法としている。そのため、皿ネジ54で締め付けられている穴52e近傍の琺瑯が欠けたとしても損傷面積を小さくすることができ、琺瑯が欠けた部分は皿ネジ54の頭部54aに隠すことができる。
【0031】
調理皿本体52と保護ピース53の固定には、皿ネジ54を使用せず、爪状の形を形成してはめ込み式で固定しても良い。
【0032】
加熱室12の内側の左右側面には、凸状に成型された複数段の棚13が対向するように設けられ、棚13に調理皿51を設置することができる。本実施形態の棚13は図3に示すとおり上下2段であるが、1段でも良いし、3段以上設けても良い。
【0033】
調理皿51を加熱室12内に設置する際は、保護ピース53を加熱室12の棚13と加熱室12側面の壁に沿わせるようにして挿入する。保護ピース53を設けることにより、調理皿本体52の琺瑯部分と加熱室12の側面及び棚13とが直接触れないため、加熱室12内部に傷つき防止の加工や塗装を施さない場合でも、調理皿51が加熱室12内部の壁を傷つけにくい。特に近年は、加熱室の材質を表面硬度が固いステンレスからより柔らかなアルミメッキ鋼板を使用しているため、何らかの傷つき防止を施す必要がある。
【0034】
調理皿51の幅は加熱室12壁面より小さく、棚13の凸部に載置される大きさが必要である。調理皿51を全て金属で形成した場合、加熱室壁面の絞り・曲げのばらつきに対し調理皿51の幅を調整することが困難であるが、保護ピース53を設けたことによって保護ピース53の形状変更により調理皿52の変更をせず容易に調理皿51の幅の調整が可能となる。
【0035】
また、保護ピース53は、フランジ部52bの図5のように両端部側に設けているので、調理皿51を棚13に載置する時に、角部が加熱室12の壁面に当たっても傷が付きにくい。また加熱室12に調理皿51を斜めに入れた時に、加熱室12の壁面と調理皿51の対角の角部でかじる事無くスムーズに加熱室12に入れることが可能となる。
【0036】
さらに、調理皿本体52のフランジ部52bは材料端面で指を切らないよう材料端面を下方側からカールしているが、角部は成型上しわになりやすく食品カスなどの異物の混入や、意匠性を損なうおそれがある。しわになる部分を保護ピース53で覆うことでしわを隠すことができ、異物の混入を防止し、意匠性を高めることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 加熱調理器本体
2 ドア
4 パネル
5 表示部
6 操作部
12 加熱室
13 棚
15 マグネトロン
16 上ヒータ
17 下ヒータ
25 制御手段
51 調理皿
52 調理皿本体
52a 食品載置部
52b フランジ部
53 保護ピース
54 皿ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9