特許第6186328号(P6186328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 天満紙器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6186328-筒状容器の製造方法 図000002
  • 特許6186328-筒状容器の製造方法 図000003
  • 特許6186328-筒状容器の製造方法 図000004
  • 特許6186328-筒状容器の製造方法 図000005
  • 特許6186328-筒状容器の製造方法 図000006
  • 特許6186328-筒状容器の製造方法 図000007
  • 特許6186328-筒状容器の製造方法 図000008
  • 特許6186328-筒状容器の製造方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186328
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】筒状容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 8/04 20060101AFI20170814BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20170814BHJP
   B31C 5/00 20060101ALI20170814BHJP
   B65D 8/08 20060101ALI20170814BHJP
   A47G 7/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B65D8/04 H
   B65D85/50 G
   B31C5/00
   B65D8/08
   A47G7/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-192784(P2014-192784)
(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公開番号】特開2016-60539(P2016-60539A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】393000180
【氏名又は名称】天満紙器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】天満 隆
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−269813(JP,A)
【文献】 実開平06−053433(JP,U)
【文献】 米国特許第02176955(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0808779(EP,A1)
【文献】 特許第2881680(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 8/04
A47G 7/02
B31C 5/00
B65D 8/08
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明の合成樹脂シートにより矩形シートを形成し、
該矩形シートの1辺を上下方向として、その上下方向の中途部を除く上部印刷領域及び下部印刷領域に印刷加工し、
該矩形シートを、その上下方向の中間位置で切断して上半部シートと下半部シートとを形成し、
上半部シートと下半部シートとの切断個所を突き合わせて当該切断個所を片面接着テープにて貼付することにより上半部シートと下半部シートとを連結して矩形シートの形態に戻し、
矩形シートの一方の側端部における上部印刷領域内及び下部印刷領域内のそれぞれに、一方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、
糊代部となる矩形シートの他方の側端部における上端から前記中間位置まで及び当該中間位置から下端までのそれぞれに、前記他方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、
前記一方の側端部に貼付した上側の両面接着テープに平行に、上部印刷領域内に収まる紙管よりなる上部補強筒を接着し、前記一方の側端部に貼付した下側の両面接着テープに平行に、下部印刷領域内に収まる紙管よりなる下部補強筒を接着し、
上部補強筒及び下部補強筒を内側にして矩形シートを巻回して、合成樹脂シートの他方の側端部の糊代部の両面接着テープを合成樹脂シートの一方の側端部の外側に貼付することにより、上部内側の上部補強筒及び下部内側の下部補強筒を添設すると共に容器本体を形成し、
該容器本体の上端開口部に上蓋を嵌め込み、下端開口部に底蓋を嵌め込むことにより製造する
ことを特徴とする筒状容器の製造方法。
【請求項2】
透明の合成樹脂シートにより矩形シートを形成し、
該矩形シートの1辺を上下方向として、その上下方向の中間位置で切断して上半部シートと下半部シートとを形成し、
上半部シートと下半部シートとの切断個所を突き合わせて当該切断個所を片面接着テープにて貼付することにより上半部シートと下半部シートとを連結して矩形シートの形態に戻し、
矩形シートの一方の側端部における上部領域及び下部領域のそれぞれに、一方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、
糊代部となる矩形シートの他方の側端部における上端から前記中間位置まで及び当該中間位置から下端までのそれぞれに、前記他方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、
前記一方の側端部に貼付した上側の両面接着テープに平行に、上部領域内に収まる紙管よりなる上部補強筒を接着し、前記一方の側端部に貼付した下側の両面接着テープに平行に、下部領域内に収まる紙管よりなる下部補強筒を接着し、
上部補強筒及び下部補強筒を内側にして矩形シートを巻回して、合成樹脂シートの他方の側端部の糊代部の両面接着テープを合成樹脂シートの一方の側端部の外側に貼付することにより、上部内側の上部補強筒及び下部内側の下部補強筒を添設すると共に容器本体を形成し、
該容器本体の上端開口部に上蓋を嵌め込み、下端開口部に底蓋を嵌め込むことにより製造する
ことを特徴とする筒状容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状容器及びその製造方法に関し、特に切花を収納して搬送及び配達することに適した筒状容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献に示されるように、切花を収納するための筒状容器が知られている。
【0003】
下記特許文献1には、75μm〜350μmのポリエチレンテレフタレート製で、折り畳み可能な透明筒よりなる薄合成樹脂フィルム製密封透明ケースが示されている。
【0004】
下記特許文献2には、全部又は一部が透明のポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂からなる容器本体であって、容器本体の長手方向の略中間部円周上に帯状の切除可能部を設け、この切除可能部に、容器本体の側面に突出する導出帯を連結し、導出帯を引っ張ることにより容器本体を上部と下部とに分割可能な花卉用容器が示されている
下記特許文献3には、筒状の主体に筒状の蓋体を嵌合してなるボール紙製のフラワーボックスが示されている。
【0005】
下記特許文献4には、切花を収納する厚さ0.7mmの有色の塩ビ製の円筒状ケースと、円筒状ケースの内側下部に挿入され、円筒状ケースの少なくとも下から全体の2/3の部分を目隠しする耐水性のペーパロールを有する切花収納筒が示されている。
【0006】
下記特許文献5には、肉厚のシートからなる筒状の下部材と肉厚のシートからなる筒状の上部材とからなる包装容器であって、上部材は下部材の外側に摺動可能に嵌合された花の包装容器が示されており、上部材を上方に配置した状態では内部に収納された花束を外部から目視できないように遮蔽した花の包装容器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3054340号公報
【特許文献2】実開平6−53733号公報
【特許文献3】実開平6−23420号
【特許文献4】実開平3−19832号公報
【特許文献5】特許第2881680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜5に記載されている筒状容器は、いずれも補強筒を備えておらず、したがって、筒状容器を構成する筒自体が使用に耐える強度を備えておく必要がある。特許文献4には、円筒状ケース内下部のみにペーパロールを有する構成が示されているが、このペーパーロールはデザイン性を向上させるためのものであり、肉厚のペーパロールを使用して円筒状ケースを補強する記載がないことから、円筒状ケース自体が使用に耐える強度を備えておく必要がある。特許文献5に示される包装容器を構成する筒状の下部材及び筒状の上部材は、それ自体が肉厚であり、補強筒を使用する必要がないものであり、しかも収納されている花束が透視できない構造のものである。
【0009】
ところで、内部の花が透視できるようにするためには、透明の合成樹脂シートを使用する必要があるが、肉厚の合成樹脂シートは使い捨ての包装材として使用するにはコストが高いという問題がある。
【0010】
そこで、本発明者は、製造コストが安く、かつ、収納されている花を透視することが可能であり、搬送や配達時においての必要な強度を備えた筒状容器を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により製造される筒状容器は、筒状に形成された容器本体と、筒状容器本体の中心軸を上下方向として、容器本体の中途部を除く上部内側に添設された上部補強筒と、容器本体の前記中途部を除く下部内側に添設された下部補強筒とからなることを特徴とするものである。このように構成すると、容器本体の強度が乏しくても、容器本体の上部と下部とのそれぞれに補強筒が存在するため、筒状の容器全体の強度が高くなり、搬送や配達する際に押し潰されるおそれがない。
【0012】
また、上記の容器本体が透明の合成樹脂シートを巻回して円筒状に形成され、上部補強筒及び下部補強筒は紙管により形成されてなる構成とすれば、紙管は製造コストが安価であるためコスト低減となるので望ましい。また、このように構成すると、容器本体の中途部である上下の補強筒が存在しない個所においては、内部が透視できるため収納物例えば切花が目視できるので、収納物の状態の確認ができ、かつ、配達間違いが生じることがなく、また、切花が収納された筒状容器を受け取るものに喜びを与える。
【0013】
さらに、上記の容器本体を構成する合成樹脂シートの厚みは100μm〜300μmであり、上部補強筒及び下部補強筒を構成する紙管の厚みは1mm〜2mmである構成とすれば、コスト低減及び必要な強度を保持するためにさらに望ましい。合成樹脂シートの厚みが100μm未満であると、容器本体としての保形性に乏しくなり、上下に補強筒を添設しても補強筒が添設されていない中途部において筒状容器が折れ曲がるおそれがある。合成樹脂シートの厚みが300μmを越えると材料コストが高くなる。紙管の厚みが1mm未満であると、厚みが100μm〜300μmの合成樹脂シートに対して補強効果が低下する。紙管の厚みが2mmを越えると、材料コストが高くなる上に筒状容器の内容積が小さくなって収納効率が低下する。
【0014】
上記に加えて、内面に合成樹脂フィルムをラミネートしてなる紙管を使用した構成とすれば、収納物に水分が含まれている場合、例えば切花においては、その水分が紙管に滲入しないので、水分滲入による上下の補強筒の軟弱化を防止することができる。
【0015】
さらにまた、容器本体が上下方向の中間位置で上部筒と下部筒とに分離可能に構成すれば、上部筒を取り除くと下部筒が簡易な花器として使用できる。
【0016】
本発明に係る筒状容器の製造方法は、透明の合成樹脂シートにより矩形シートを作成し、該矩形シートの1辺を上下方向として、その上下方向の中途部を除く上部印刷領域及び下部印刷領域に印刷加工し、該矩形シートを、その上下方向の中間位置で切断して上半部シートと下半部シートとを形成し、上半部シートと下半部シートとの切断個所を突き合わせて当該切断個所を片面接着テープにて貼付することにより上半部シートと下半部シートとを連結して矩形シートの形態に戻し、矩形シートの一方の側端部における上部印刷領域内及び下部印刷領域内のそれぞれに、一方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、糊代部となる矩形シートの他方の側端部における上端から前記中間位置まで及び当該中間位置から下端までのそれぞれに、前記他方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、前記一方の側端部に貼付した上側の両面接着テープに平行に、上部印刷領域内に収まる紙管よりなる上部補強筒を接着し、前記一方の側端部に貼付した下側の両面接着テープに平行に、下部印刷領域内に収まる紙管よりなる下部補強筒を接着し、上部補強筒及び下部補強筒を内側にして矩形シートを巻回して、合成樹脂シートの他方の側端部の糊代部の両面接着テープを合成樹脂シートの一方の側端部の外側に貼付することにより、上部内側の上部補強筒及び下部内側の下部補強筒を添設すると共に容器本体を形成し、該容器本体の上端開口部に上蓋を嵌め込み、下端開口部に底蓋を嵌め込むことにより製造することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明に係る筒状容器の製造方法として、透明の合成樹脂シートにより矩形シートを形成し、該矩形シートの1辺を上下方向として、その上下方向の中間位置で切断して上半部シートと下半部シートとを形成し、上半部シートと下半部シートとの切断個所を突き合わせて当該切断個所を片面接着テープにて貼付することにより上半部シートと下半部シートとを連結して矩形シートの形態に戻し、矩形シートの一方の側端部における上部領域及び下部領域のそれぞれに、一方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、糊代部となる矩形シートの他方の側端部における上端から前記中間位置まで及び当該中間位置から下端までのそれぞれに、前記他方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、前記一方の側端部に貼付した上側の両面接着テープに平行に、上部領域内に収まる紙管よりなる上部補強筒を接着し、前記一方の側端部に貼付した下側の両面接着テープに平行に、下部領域内に収まる紙管よりなる下部補強筒を接着し、上部補強筒及び下部補強筒を内側にして矩形シートを巻回して、合成樹脂シートの他方の側端部の糊代部の両面接着テープを合成樹脂シートの一方の側端部の外側に貼付することにより、上部内側の上部補強筒及び下部内側の下部補強筒を添設すると共に容器本体を形成し、該容器本体の上端開口部に上蓋を嵌め込み、下端開口部に底蓋を嵌め込むことにより製造するようにしてもよい。
【0018】
上記のようないずれの製造方法であっても、材料コストが安く、かつ、軽作業により組み立てることができるので組立作業費も安くでき、したがって、全体の製造コストが安価となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る筒状容器は、上記のように構成したことにより、製造コストが安く、かつ、収納物、例えば切花を透視することが可能であり、搬送及び配達時における必要な強度を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1に係る筒状容器の切花を収納した斜視図である。
図2】実施例1に係る筒状容器のII−II線縦断面図である。
図3】実施例1における容器本体の製造方法を示し、矩形シートの内面側の平面図である。
図4】実施例1における容器本体の製造方法を示し、矩形シートの内面側に印刷加工した状態を示す内面側の平面図である。
図5】実施例1における容器本体の製造方法を示し、矩形シートを切断して上半部シートと下半部シートとに分離した状態を示す内面側の平面図である。
図6】実施例1における容器本体の製造方法を示し、上半部シートと下半部シートとを突き合わせ、その外面側に片面接着テープを貼付して連結した状態を示す外面側の平面図である。
図7】実施例1における容器本体の製造方法を示し、矩形シートの内面側に両面接着シートを貼付した状態を示す内面側の平面図である。
図8】実施例1における容器本体の製造方法を示し、矩形シートの内面側に貼付した両面接着シートに上部補強筒及び下部補強筒を貼付した状態を示す内面側の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る筒状容器の好適な実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1及び図2において、Aは筒状容器を示し、該筒状容器Aは、容器本体10、上部補強筒20、下部補強筒30、上蓋50及び底蓋60から構成される。
【0023】
容器本体10は、後述する製造方法に記載のように、厚みが300μmの透明な合成樹脂シート、例えばポリプロピレンシートにより長さ500mm、幅220mmの矩形シート10aを作成し、長さ方向を上下方向として幅方向に矩形シート10aを巻回して筒状に形成したものである。そして、矩形シート10aの上部印刷領域10b及び下部印刷領域10cには印刷が施されて内部が透視できないようになっており、上部印刷領域10bと下部印刷領域10cとの間の中途部40は透明のままであるため、この中途部40から容器本体10の内部が目視できるようになっている。
【0024】
上部補強筒20及び下部補強筒30は、いずれも厚みが1.4mmであって、内面に合成樹脂フィルム、例えばポリエチレンフィルムをラミネートしてなる厚紙よりなる紙管にて構成される。そして、上部補強筒20は上部印刷領域10b内に収まるように両面接着テープにより容器本体10の上部内側に添設されている。また、下部補強筒30は部印刷領域10c内に収まるように両面接着テープにより容器本体10の部内側に添設されている。なお、容器本体10に対する上部補強筒20及び下部補強筒30の接着方法は両面接着テープに限られるものではなく、接着剤塗布により上部補強筒20及び下部補強筒30を容器本体10に接着してもよい。
【0025】
なお、上記の合成樹脂シート及び紙管に関して、コスト低減及び必要な強度を保持するためには、矩形シート10aを構成する合成樹脂シートの厚みは100μm〜300μmの範囲であることが望ましい。また、上部補強筒20及び下部補強筒30を構成する紙管は本来的に製造コストが安価であるが、その厚みは1mm〜2mmの範囲であることが望ましい。合成樹脂シートの厚みが100μm未満であると、容器本体10としての保形性に乏しくなり、上下に補強筒20、30を添設しても補強筒20、30が添設されていない中途部40において筒状容器Aが折れ曲がるおそれがある。合成樹脂シートの厚みが300μmを越えると材料コストが高くなる。紙管の厚みが1mm未満であると、厚みが100μm〜300μmの範囲にある合成樹脂シートに対して補強効果が低下する。紙管の厚みが2mmを越えると、材料コストが高くなる上に筒状容器10の内容積が小さくなって収納効率が低下する。
【0026】
また、上下に補強筒20、30を構成する紙管は、その内面に合成樹脂フィルムをラミネートしてなるため、筒状容器A内の収納物が切花のように水分が含まれていても、その水分が紙管に滲入しないので、水分滲入による補強筒20、30の軟弱化を防止することができる。
【0027】
さらに、筒状容器Aは、その中間位置において上部筒11と下部筒12とに分離可能に切断されており、その切断個所11a、12aに片面接着テープ13が貼付されており、当該片面接着テープ13を取り外すことにより、筒状容器Aから上部筒11を取り除くことができるようになっている。上部筒11を取り除いて下部筒12のみとすると、筒状容器のAの内部に収納されていた切花Bの上部の花部分が露出するので、簡易な花器として使用することが可能となる。なお、本実施例のように、下部筒12の上端から下部補強筒30の上端が突出していることが望ましく、そのように構成すると、上部筒11の下部が下部補強筒30の突出部に嵌合して上部筒11と下部筒12との連結が安定する。
【0028】
筒状容器Aの上端開口部に嵌め込まれた上蓋50及び下端開口部に嵌め込まれた底蓋60は、筒状容器Aの内部に収納物を出し入れする際に開閉することを可能にするものである。なお、本実施例においては、切花を収納物の例としているため、上蓋50及び底蓋60に通気孔50a、60aを設けているので、切花の鮮度が低下しない効果がある。この底蓋60の通気孔60aを利用し、紐等の連結具を介して通気孔60aと収納物とを連結することにより、収納物が筒状容器A内で動かないように収納物を固定するようにしてもよい。なお、収納物によっては、通気孔50a、60aを設けなくてもよい。
【0029】
上記のように構成すると、容器本体10の強度が乏しくても、容器本体10の上部と下部とのそれぞれに補強筒20、30が存在するため、筒状の容器全体10の強度が高くなり、搬送や配達する際に押し潰されるおそれがない。
【0030】
また、上記のように構成すると、容器本体10の中途部40である上下の補強筒20、30が存在しない個所においては、内部が透視できるため収納物例えば切花が目視できるので、収納物の状態の確認ができ、かつ、配達間違いが生じることがなく、また、切花が収納された筒状容器を受け取るものに喜びを与える。
【0031】
[筒状容器の製造方法1]
次に上記実施例1の筒状容器Aの製造方法について、図3図8に基づいて説明する。
【0032】
実施例1に示す筒状容器Aは、透明の合成樹脂シートにより、図3に示す矩形シート10aを作成する。そして、図4に示すように、矩形シート10aの1辺(図おいて両側端の辺)を上下方向として、その上下方向の中途部40を除く上部印刷領域10b及び下部印刷領域10cに印刷加工する。下部印刷領域10cは、後述する上半部シートにはみ出るように設計する。次に、図5に示すように、矩形シート10aを、その上下方向の中間位置11a、12aにおいて切断し、上半部シート11と下半部シート12とを形成する。そして、図6に示すように、上半部シート11と下半部シート12との切断個所11a、12aを突き合わせて当該切断個所11a、12aを片面接着テープ13にて貼付することにより上半部シート11と下半部シート12とを連結して矩形シート10aの形態に戻す。
【0033】
そこで、図7に示すように、矩形シート10aの一方の側端部における上部印刷領域10b内に、一方の側端部に沿って上側の両面接着テープ14を貼付し、下部印刷領域10c内に、一方の側端部に沿って下側の両面接着テープ15を貼付する。また、糊代部16となる矩形シート10aの他方の側端部における上端から前記中間位置11aに至るまで前記他方の側端部に沿って上半部の両面接着テープ17を貼付し、中間位置12aから下端に至る前記他方の側端部に沿って下半部の両面接着テープ18を貼付する。
【0034】
そして、図8に示すように、前記一方の側端部に貼付した上側の両面接着テープ14に平行に、上部印刷領域10b内に収まる長さの紙管よりなる上部補強筒20を接着し、前記一方の側端部に貼付した下側の両面接着テープ15に平行に、下部印刷領域10c内に収まる紙管よりなる下部補強筒30を、若干上半部シート11にはみ出るようにして接着する。
【0035】
上記のようにして矩形シート10aに接着した上部補強筒20及び下部補強筒30を内側にして矩形シート10aを巻回し、矩形シート10aの他方の側端部の糊代部16の両面接着テープ17、18を矩形シート10aの一方の側端部の外側に貼付すると、上部内側の上部補強筒及び下部内側の下部補強筒を添設した容器本体10が作成され、この容器本体10の上端開口部に上蓋50を嵌め込み、下端開口部に底蓋60を嵌め込むことにより、図1に示す筒状容器Aが完成する。
【0036】
[筒状容器の製造方法2]
当該製造方法2は、図示は省略するが、上記の製造方法1における矩形シート10aの印刷加工を施さない方法である。
【0037】
すなわち、透明の合成樹脂シートにより矩形シートを形成し、該矩形シートの1辺を上下方向として、その上下方向の中間位置で切断して上半部シートと下半部シートとを形成する。そして、上半部シートと下半部シートとの切断個所を突き合わせて当該切断個所を片面接着テープにて貼付することにより上半部シートと下半部シートとを連結して矩形シートの形態に戻す。
【0038】
次に、矩形シートの一方の側端部における上部領域及び下部領域のそれぞれに、一方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、糊代部となる矩形シートの他方の側端部における上端から前記中間位置まで及び当該中間位置から下端までのそれぞれに、前記他方の側端部に沿って両面接着テープを貼付する。
【0039】
そこで、前記一方の側端部に貼付した上側の両面接着テープに平行に、上部領域内に収まる紙管よりなる上部補強筒を接着し、前記一方の側端部に貼付した下側の両面接着テープに平行に、下部領域内に収まる紙管よりなる下部補強筒を接着する。この場合に使用する紙管はその表面に装飾紙が貼付されているものを使用するのがデザイン的に好ましいが、白あるいはその他の色一色のものを使用してもよい。
【0040】
そして、上部補強筒及び下部補強筒を内側にして矩形シートを巻回して、合成樹脂シートの他方の側端部の糊代部の両面接着テープを合成樹脂シートの一方の側端部の外側に貼付することにより、上部内側の上部補強筒及び下部内側の下部補強筒を添設すると共に容器本体を形成し、該容器本体の上端開口部に上蓋を嵌め込み、下端開口部に底蓋を嵌め込むことにより製造する。
【0041】
上記の製造方法1及び2のいずれも、材料コストが安く、かつ、軽作業により組み立てることができるので組立作業費も安くでき、したがって、全体の製造コストが安価となる。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る筒状容器は、切花を収納して搬送及び配達する容器として使用するほか、長尺物などを収納して搬送及び配達する容器としても使用できる。
【符号の説明】
【0044】
A…………筒状容器
B…………切花
10………容器本体
10a……矩形シート(合成樹脂シート)
10b……上部印刷領域
10c……下部印刷領域
11………上部筒(上半部シート)
11a……中間位置の切断個所
12………下部筒(下半部シート)
12a……中間位置の切断個所
13………片面接着テープ
14………上側の両面接着テープ
15………下側の両面接着テープ
16………糊代部
17………上半部の両面接着テープ
18………下半部の両面接着テープ
20………上部補強筒(紙管)
21………合成樹脂フィルム層
30………下部補強筒(紙管)
31………合成樹脂フィルム層
40………中途部
50………上蓋
50a……上蓋の通気孔
60………底蓋
60a……底蓋の通気孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8