【実施例1】
【0022】
図1及び
図2において、Aは筒状容器を示し、該筒状容器Aは、容器本体10、上部補強筒20、下部補強筒30、上蓋50及び底蓋60から構成される。
【0023】
容器本体10は、後述する製造方法に記載のように、厚みが300μmの透明な合成樹脂シート、例えばポリプロピレンシートにより長さ500mm、幅220mmの矩形シート10aを作成し、長さ方向を上下方向として幅方向に矩形シート10aを巻回して筒状に形成したものである。そして、矩形シート10aの上部印刷領域10b及び下部印刷領域10cには印刷が施されて内部が透視できないようになっており、上部印刷領域10bと下部印刷領域10cとの間の中途部40は透明のままであるため、この中途部40から容器本体10の内部が目視できるようになっている。
【0024】
上部補強筒20及び下部補強筒30は、いずれも厚みが1.4mmであって、内面に合成樹脂フィルム、例えばポリエチレンフィルムをラミネートしてなる厚紙よりなる紙管にて構成される。そして、上部補強筒20は上部印刷領域10b内に収まるように両面接着テープにより容器本体10の上部内側に添設されている。また、下部補強筒30は
下部印刷領域10c内に収まるように両面接着テープにより容器本体10の
下部内側に添設されている。なお、容器本体10に対する上部補強筒20及び下部補強筒30の接着方法は両面接着テープに限られるものではなく、接着剤塗布により上部補強筒20及び下部補強筒30を容器本体10に接着してもよい。
【0025】
なお、上記の合成樹脂シート及び紙管に関して、コスト低減及び必要な強度を保持するためには、矩形シート10aを構成する合成樹脂シートの厚みは100μm〜300μmの範囲であることが望ましい。また、上部補強筒20及び下部補強筒30を構成する紙管は本来的に製造コストが安価であるが、その厚みは1mm〜2mmの範囲であることが望ましい。合成樹脂シートの厚みが100μm未満であると、容器本体10としての保形性に乏しくなり、上下に補強筒20、30を添設しても補強筒20、30が添設されていない中途部40において筒状容器Aが折れ曲がるおそれがある。合成樹脂シートの厚みが300μmを越えると材料コストが高くなる。紙管の厚みが1mm未満であると、厚みが100μm〜300μmの範囲にある合成樹脂シートに対して補強効果が低下する。紙管の厚みが2mmを越えると、材料コストが高くなる上に筒状容器10の内容積が小さくなって収納効率が低下する。
【0026】
また、上下に補強筒20、30を構成する紙管は、その内面に合成樹脂フィルムをラミネートしてなるため、筒状容器A内の収納物が切花のように水分が含まれていても、その水分が紙管に滲入しないので、水分滲入による補強筒20、30の軟弱化を防止することができる。
【0027】
さらに、筒状容器Aは、その中間位置において上部筒11と下部筒12とに分離可能に切断されており、その切断個所11a、12aに片面接着テープ13が貼付されており、当該片面接着テープ13を取り外すことにより、筒状容器Aから上部筒11を取り除くことができるようになっている。上部筒11を取り除いて下部筒12のみとすると、筒状容器のAの内部に収納されていた切花Bの上部の花部分が露出するので、簡易な花器として使用することが可能となる。なお、本実施例のように、下部筒12の上端から下部補強筒30の上端が突出していることが望ましく、そのように構成すると、上部筒11の下部が下部補強筒30の突出部に嵌合して上部筒11と下部筒12との連結が安定する。
【0028】
筒状容器Aの上端開口部に嵌め込まれた上蓋50及び下端開口部に嵌め込まれた底蓋60は、筒状容器Aの内部に収納物を出し入れする際に開閉することを可能にするものである。なお、本実施例においては、切花を収納物の例としているため、上蓋50及び底蓋60に通気孔50a、60aを設けているので、切花の鮮度が低下しない効果がある。この底蓋60の通気孔60aを利用し、紐等の連結具を介して通気孔60aと収納物とを連結することにより、収納物が筒状容器A内で動かないように収納物を固定するようにしてもよい。なお、収納物によっては、通気孔50a、60aを設けなくてもよい。
【0029】
上記のように構成すると、容器本体10の強度が乏しくても、容器本体10の上部と下部とのそれぞれに補強筒20、30が存在するため、筒状の容器全体10の強度が高くなり、搬送や配達する際に押し潰されるおそれがない。
【0030】
また、上記のように構成すると、容器本体10の中途部40である上下の補強筒20、30が存在しない個所においては、内部が透視できるため収納物例えば切花が目視できるので、収納物の状態の確認ができ、かつ、配達間違いが生じることがなく、また、切花が収納された筒状容器を受け取るものに喜びを与える。
【0031】
[筒状容器の製造方法1]
次に上記実施例1の筒状容器Aの製造方法について、
図3〜
図8に基づいて説明する。
【0032】
実施例1に示す筒状容器Aは、透明の合成樹脂シートにより、
図3に示す矩形シート10aを作成する。そして、
図4に示すように、矩形シート10aの1辺(図おいて両側端の辺)を上下方向として、その上下方向の中途部40を除く上部印刷領域10b及び下部印刷領域10cに印刷加工する。下部印刷領域10cは、後述する上半部シートにはみ出るように設計する。次に、
図5に示すように、矩形シート10aを、その上下方向の中間位置11a、12aにおいて切断し、上半部シート11と下半部シート12とを形成する。そして、
図6に示すように、上半部シート11と下半部シート12との切断個所11a、12aを突き合わせて当該切断個所11a、12aを片面接着テープ13にて貼付することにより上半部シート11と下半部シート12とを連結して矩形シート10aの形態に戻す。
【0033】
そこで、
図7に示すように、矩形シート10aの一方の側端部における上部印刷領域10b内に、一方の側端部に沿って上側の両面接着テープ14を貼付し、下部印刷領域10c内に、一方の側端部に沿って下側の両面接着テープ15を貼付する。また、糊代部16となる矩形シート10aの他方の側端部における上端から前記中間位置11aに至るまで前記他方の側端部に沿って上半部の両面接着テープ17を貼付し、中間位置12aから下端に至る前記他方の側端部に沿って下半部の両面接着テープ18を貼付する。
【0034】
そして、
図8に示すように、前記一方の側端部に貼付した上側の両面接着テープ14に平行に、上部印刷領域10b内に収まる長さの紙管よりなる上部補強筒20を接着し、前記一方の側端部に貼付した下側の両面接着テープ15に平行に、下部印刷領域10c内に収まる紙管よりなる下部補強筒30を、若干上半部シート11にはみ出るようにして接着する。
【0035】
上記のようにして矩形シート10aに接着した上部補強筒20及び下部補強筒30を内側にして矩形シート10aを巻回し、矩形シート10aの他方の側端部の糊代部16の両面接着テープ17、18を矩形シート10aの一方の側端部の外側に貼付すると、上部内側の上部補強筒及び下部内側の下部補強筒を添設した容器本体10が作成され、この容器本体10の上端開口部に上蓋50を嵌め込み、下端開口部に底蓋60を嵌め込むことにより、
図1に示す筒状容器Aが完成する。
【0036】
[筒状容器の製造方法2]
当該製造方法2は、図示は省略するが、上記の製造方法1における矩形シート10aの印刷加工を施さない方法である。
【0037】
すなわち、透明の合成樹脂シートにより矩形シートを形成し、該矩形シートの1辺を上下方向として、その上下方向の中間位置で切断して上半部シートと下半部シートとを形成する。そして、上半部シートと下半部シートとの切断個所を突き合わせて当該切断個所を片面接着テープにて貼付することにより上半部シートと下半部シートとを連結して矩形シートの形態に戻す。
【0038】
次に、矩形シートの一方の側端部における上部領域及び下部領域のそれぞれに、一方の側端部に沿って両面接着テープを貼付し、糊代部となる矩形シートの他方の側端部における上端から前記中間位置まで及び当該中間位置から下端までのそれぞれに、前記他方の側端部に沿って両面接着テープを貼付する。
【0039】
そこで、前記一方の側端部に貼付した上側の両面接着テープに平行に、上部領域内に収まる紙管よりなる上部補強筒を接着し、前記一方の側端部に貼付した下側の両面接着テープに平行に、下部領域内に収まる紙管よりなる下部補強筒を接着する。この場合に使用する紙管はその表面に装飾紙が貼付されているものを使用するのがデザイン的に好ましいが、白あるいはその他の色一色のものを使用してもよい。
【0040】
そして、上部補強筒及び下部補強筒を内側にして矩形シートを巻回して、合成樹脂シートの他方の側端部の糊代部の両面接着テープを合成樹脂シートの一方の側端部の外側に貼付することにより、上部内側の上部補強筒及び下部内側の下部補強筒を添設すると共に容器本体を形成し、該容器本体の上端開口部に上蓋を嵌め込み、下端開口部に底蓋を嵌め込むことにより製造する。
【0041】
上記の製造方法1及び2のいずれも、材料コストが安く、かつ、軽作業により組み立てることができるので組立作業費も安くでき、したがって、全体の製造コストが安価となる。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。