特許第6186350号(P6186350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6186350ルーレット抽選装置およびそのタイミング制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186350
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】ルーレット抽選装置およびそのタイミング制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/02 20060101AFI20170814BHJP
【FI】
   A63F5/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-512199(P2014-512199)
(86)(22)【出願日】2013年9月11日
(86)【国際出願番号】JP2013074590
(87)【国際公開番号】WO2015037092
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】513178621
【氏名又は名称】セガサミークリエイション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 崇
(72)【発明者】
【氏名】宮野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】芦ケ谷 宏樹
【審査官】 佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0120488(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0124966(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0102507(US,A1)
【文献】 特開平11−137770(JP,A)
【文献】 特開2007−000451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に対して傾斜する回転中心線に対して周回可能に構成された第1回転体であって、前記回転中心線から放射方向に第1の距離だけ離間した第1円周領域に第1ポケットが円周方向に複数連設された第1回転体と、
第1抽選球を前記複数の第1ポケットのいずれか1つに案内する第1案内機構であって、前記複数の第1ポケットが周回移動する前記第1円周領域の最下点を少なくとも含む領域で前記第1抽選球を案内する第1案内機構と、
前記第1案内機構に前記第1抽選球を導入する第1抽選球導入機構と、
前記第1抽選球を導入するタイミングを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の第1ポケットの総数をN1個(N1は自然数)、M1を所定の自然数とした場合に、0からM1*N1までの自然数のうちの1つの数P1を乱数演算により求め、前記第1回転体の基準位置から角度P1*2π/(M1*N1)だけ回転した時に前記第1抽選球を導入する
ルーレット抽選装置。
【請求項2】
前記回転中心線に対して周回可能に構成された第2回転体であって、前記回転中心線から放射方向に第2の距離だけ離間した第2円周領域に第2ポケットが円周方向に複数連設された第2回転体と、
第2抽選球を前記複数の第2ポケットのいずれか1つに案内する第2案内機構であって、前記複数の第2ポケットが周回移動する前記第2円周領域の最下点を少なくとも含む領域で前記第2抽選球を案内する第2案内機構と、
前記第2案内機構に前記第2抽選球を導入する第2抽選球導入機構と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記複数の第2ポケットの総数をN2個(N2は自然数)とした場合に、2π/N2より小さい角度を単位として前記第2抽選球を導入するタイミングを制御する、
請求項1に記載のルーレット抽選装置。
【請求項3】
前記制御部は、
M2を所定の自然数とした場合に、0からM2*N2までの自然数のうちの1つの数P2を乱数演算により求め、前記第2回転体の基準位置から角度P2*2π/(M2*N2)だけ回転した時に前記第2抽選球を導入する、
請求項に記載のルーレット抽選装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1回転体の前記複数の第1ポケットのいずれかに前記第1抽選球が案内された後に、前記第2抽選球を導入する、
請求項2または3に記載のルーレット抽選装置。
【請求項5】
ルーレット抽選装置のタイミング制御プログラムであって、
前記ルーレット抽選装置は、
鉛直方向に対して傾斜する回転中心線に対して周回可能に構成された第1回転体であって、前記回転中心線から放射方向に第1の距離だけ離間した第1円周領域に第1ポケットが円周方向に複数連設された第1回転体と、
第1抽選球を前記複数の第1ポケットのいずれか1つに案内する第1案内機構であって、前記複数の第1ポケットが周回移動する前記第1円周領域の最下点を少なくとも含む領域で前記第1抽選球を案内する第1案内機構と、
前記第1案内機構に前記第1抽選球を導入する第1抽選球導入機構と、
前記第1抽選球を導入するタイミングを制御する制御部と、を備え、
前記複数の第1ポケットの総数をN1個(N1は自然数)とし、M1を所定の自然数とした場合に、0からM1*N1までの自然数のうちの1つの数P1を乱数演算により求める機能と、
前記第1回転体の基準位置からの回転角度を計測する機能と、
前記第1回転体の前記基準位置から角度P1*2π/(M1*N1)だけ回転した時に前記第1抽選球を導入する機能と、
を前記制御部に実行させるための、
ルーレット抽選装置のタイミング制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーレットゲームを機械的に実施するルーレット抽選装置に関し、特に、ルーレットに係る回転体の回転中心線を鉛直方向から傾けたルーレット抽選装置およびそのタイミング制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ルーレットゲームは、ルーレット体(ウィル、ホイール等とも呼ばれる)に形成された複数のポケットのどこにボールが入るかを賭けの対象にした遊技機である。ルーレット体には、「0」、「1」〜「36」の数字が付されたポケット、場合によってはさらに「00」が付されたポケットが設けられており、ボールが入ったポケットの番号が当選番号となる。
【0003】
従来、ルーレットゲームをコンピュータ等の制御で機械的に実施するように構成した装置が開発されていた。例えば、特許文献1(特開2008−220815号公報)には、ルーレットゲームが実施されるルーレット装置3と、ルーレットゲームと並行してスロットゲームが実施される画像表示装置10と、少なくとも一方で実施されるゲームの結果を予測してBET操作可能な画像表示装置10に表示される操作部と、ルーレットゲーム及びスロットゲームにおける遊技動作を制御すると共に、操作部からのBET操作、及び配当に応じた遊技価値の払出し処理を制御する制御部とを有し、制御部が、ルーレットゲームでの結果を、スロットゲームに適用して、スロットゲームの結果が成立するように制御するように構成されたゲーム装置が開示されている(図1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−220815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の発明では、本物のルーレットゲームと同様にルーレット体を水平に配置していたため、プレイヤが操作する画像表示装置が設けられるサテライトは、ルーレット体が視認できるように、ルーレット体を取り囲むように配置せざるを得ず、サテライトの数を増やすことができなかった。
【0006】
ここで、特許文献1に記載されているようなルーレット装置では、ルーレット体が水平に配置されているので、投げ入れられたボールがルーレット体や受け皿の突起に何度も衝突して、複数のポケットの各々に入る確率が平均化されていたので、たとえルーレット体の機械的精度が悪くても、ボールが投げ入れられるタイミングによって特定のポケットに入り易くなるといった事象は生じなかった。
【0007】
上記に鑑みると、多数のプレイヤに視認しやすいように、ルーレット体の回転軸を鉛直方向から傾けることが考えられる。ところが、ルーレット体の回転軸を鉛直方向から傾けた場合、ボールを高速に投げ入れて何度も衝突させるようなことができなくなる。ボールの衝突が無い場合、ボールが複数のポケットの各々に入る確率が、機械的な精度の粗さの影響を受け、均等な確率とならない可能性が高い。
【0008】
そこで、本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、多数のプレイヤに視認可能であり、かつ、複数のポケットの各々に遊技球が入賞する確率を均等にすることのできるルーレット抽選装置およびルーレット抽選装置のタイミング制御プログラムを提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係るルーレット抽選装置は、鉛直方向に対して傾斜する回転中心線に対して周回可能に構成された第1回転体であって、前記回転中心線から放射方向に第1の距離だけ離間した第1円周領域に第1ポケットが円周方向に複数連設された第1回転体と、第1抽選球を前記複数の第1ポケットのいずれか1つに案内する第1案内機構であって、前記複数の第1ポケットが周回移動する前記第1円周領域の最下点を少なくとも含む領域で前記第1抽選球を案内する第1案内機構と、前記第1案内機構に前記第1抽選球を導入する第1抽選球導入機構と、前記第1抽選球を導入するタイミングを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記複数の第1ポケットの総数をN1個(N1は自然数)、M1を所定の自然数とした場合に、0からM1*N1までの自然数のうちの1つの数P1を乱数演算により求め、前記第1回転体の基準位置から角度P1*2π/(M1*N1)だけ回転した時に前記第1抽選球を導入する
【0011】
本実施形態は所望により以下の態様を備えていてもよい。
)上記(1)において、前記回転中心線に対して周回可能に構成された第2回転体であって、前記回転中心線から放射方向に第2の距離だけ離間した第2円周領域に第2ポケットが円周方向に複数連設された第2回転体と、第2抽選球を前記複数の第2ポケットのいずれか1つに案内する第2案内機構であって、前記複数の第2ポケットが周回移動する前記第2円周領域の最下点を少なくとも含む領域で前記第2抽選球を案内する第2案内機構と、前記第2案内機構に前記第2抽選球を導入する第2抽選球導入機構と、をさらに備え、前記制御部は、前記複数の第2ポケットの総数をN2個(N2は自然数)とした場合に、2π/N2より小さい角度を単位として前記第2抽選球を導入するタイミングを制御すること。
【0012】
)上記()において、前記制御部は、M2を所定の自然数とした場合に、0からM2*N2までの自然数のうちの1つの数P2を乱数演算により求め、前記第2回転体の基準位置から角度P2*2π/(M2*N2)だけ回転した時に前記第2抽選球を導入すること。
【0013】
)上記()または()において、前記制御部は、前記第1回転体の前記複数の第1ポケットのいずれかに前記第1抽選球が案内された後に、前記第2抽選球を導入すること。
【0014】
(6)ルーレット抽選装置のタイミング制御プログラムであって、前記ルーレット抽選装置は、鉛直方向に対して傾斜する回転中心線に対して周回可能に構成された第1回転体であって、前記回転中心線から放射方向に第1の距離だけ離間した第1円周領域に第1ポケットが円周方向に複数連設された第1回転体と、第1抽選球を前記複数の第1ポケットのいずれか1つに案内する第1案内機構であって、前記複数の第1ポケットが周回移動する前記第1円周領域の最下点を少なくとも含む領域で前記第1抽選球を案内する第1案内機構と、前記第1案内機構に前記第1抽選球を導入する第1抽選球導入機構と、前記第1抽選球を導入するタイミングを制御する制御部と、を備える。当該タイミング制御プログラムは、前記複数の第1ポケットの総数をN1個(N1は自然数)とし、M1を所定の自然数とした場合に、0からM1*N1までの自然数のうちの1つの数P1を乱数演算により求める機能と、前記第1回転体の基準位置からの回転角度を計測する機能と、前記第1回転体の前記基準位置から角度P1*2π/(M1*N1)だけ回転した時に前記第1抽選球を導入する機能と、を前記制御部に実行させること。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態におけるルーレットゲームシステムのシステムブロック図である。
図2】ルーレットゲームシステムの構成例を示す全体外観図である。
図3】抽選時におけるルーレット抽選装置を斜め前から見た図である。
図4】ルーレットゲームシステムにおけるゲームの流れの一例を、ベット時のステーション機におけるベットの様子と、抽選時のルーレット抽選装置におけるルーレット体等の様子とともに示す図である。
図5】ルーレット抽選装置の内部構造を示す正面図である。
図6】ルーレット抽選装置の内部構造であり、図5の切断線A−Aで切断した断面図である。
図7】ルーレット抽選装置100の内部構造の斜視図であり、図5の切断線A−Aで切断した断面を含む斜視図である。
図8図7の一部を拡大してボールレール周辺の構成を詳細に示す図である。
図9】ボールリリース装置の斜視図である。
図10】ボールリリース装置の内部の構成を示す図である。
図11】ボールリセット装置の斜視図である。
図12】ボールリセット装置の内部の構成を示す図である。
図13】ルーレットゲームシステムのブロック図である。
図14】ルーレット体における番号表示に対する角度設定の基本図である。
図15図14のルーレット体における番号表示に対する角度設定の一部拡大図であり、通常のタイミング制御例を示す図である。
図16図14のルーレット体における番号表示に対する角度設定の一部拡大図であり、本発明のタイミング制御例を示す図である。
図17】通常のタイミング制御における入賞回数のばらつきと本発明のタイミング制御における入賞回数のばらつきを比較するヒストグラムである。
図18】ルーレットゲームシステムにおける一連の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。またさらに、必要に応じて示す上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図示の表示に基づくものとする。さらにまた、図面における各種の寸法比率は、その図示の比率に限定されるものではない。また、以下においては、理解を容易にするべく、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施の形態を例にとって説明するが、上述の如く、本発明はそれに限定されない。
【0017】
(0.定義)
本明細書では、以下のように用語を定義する。
「回転中心線」:回転の中心となる軸であって幾何学的な概念上の仮想的な軸であり、物理的な軸が存在することを要しない。
「回転体」:回転中心線を中心として回動または回転する構造体をいう。特に、本実施形態ではルーレット体が相当し、互いに径の異なる複数の環状回転体の各々または複数を意味し、各々が同一の回転中心線を中心として回転するように設けられているものをいう。
「円周領域」:回転中心線から放射方向に所定距離だけ離間した領域で、放射方向に所定の幅を有する領域である。この領域には、例えば、番号表示およびポケットが配置される。
「抽選球」:ルーレット抽選装置の抽選に係る移動物体で載置された面の傾斜に応じて重力を受け自由に転がるものをいい、典型的には球体であり、実施形態ではボールが相当する。ただし、球体に限定されない。
「ポケット」:円周領域に設けられ、円周方向に連設して設けられる開口であって抽選球(ボール)が入りうる大きさを有する。
「案内レール」:重力を受けた抽選球(ボール)が円周方向に転がって揺動運動する範囲を規定する案内機構である。
「導入」:案内レールの面上で抽選球(ボール)の拘束を解く(リリースする)ことをいい、案内レールの面上で抽選球(ボール)の係止を解くことや案内レール上に抽選球(ボール)を落下させることを含む。
「基準位置」:回転体(ルーレット体)の回転量(回転角度)を計測するための基点となる位置(角度)をいう。例えば、本実施形態では、ルーレット体を立てた場合の6時の位置を基準位置とする。
「タイミング」:基準位置から計測した角度、時間、またはこれらの相対値であり、エンコーダー等の検出手段が検出手段であり、コンピュータが制御可能な数値である。
【0018】
「チップ」:当選番号の予測を表明するためにプレイヤが使用する仮想的な貨幣をいう。1つの「チップ」は一定額のクレジットまたはポイントを有する。
「ベッティングボード」:プレイヤの当選番号予測を表明するためにチップが配置される仮想的なテーブルをいう。
「ベット」:プレイヤの当選番号予測を表明することをいい、具体的には、チップをベッティングボードに配置することをいう。
「ベット位置」:ベッティングボード上でチップを配置する位置をいい、ゲームの種類に応じてそれぞれ異なるベット位置が設定されている。
「ベット量」:同一のベット位置に配置されたチップのクレジットまたはポイントの合計数をいう。同一のベット位置に配置した同一プレイヤによるベットの小計数、または、同一のベット位置に配置した総てのプレイヤによるベットの総計数をいう。
「ベット状況」:ベッティングボードのどのベット位置にどのようなベット量でベットされているかの状況をいう。
【0019】
(1.構成)
本発明の実施形態は、ルーレットゲームを実施可能に構成されたルーレットゲームシステムに関する。
【0020】
(1−1.ルーレットゲームシステム全体構成)
図1に、本発明によるルーレットゲームシステムの好適な一実施形態を示すシステムブロック図を示す。図1に示すように、本実施形態のルーレットゲームシステム1000は、ルーレット抽選装置100、各ステーション機200−N(以下、各ステーション機を特定する必要がない場合には、単に「ステーション機200」と呼ぶ)、およびマスター機300とを備えている。ルーレット抽選装置100、各ステーション機200−N、およびマスター機300は、LAN (Local Area Network)やWAN (Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク400を介してそれぞれ有線及び/又は無線によって通信可能に接続されている。ネットワーク400は、無線LANまたは有線LANのいずれかまたは組合せであってもよく、無線LAN装置または有線LAN装置は、上記各機器の内部に装着されていても、LANカードの如く外部デバイスとして接続されていてもよい。
【0021】
図2に、本実施形態のルーレットゲームシステム1000の構成例を示す全体外観図を示す。図3に、抽選時におけるルーレット抽選装置100の斜視図を示す。図2に示すように、ルーレットゲームシステム1000は、ルーレット抽選装置100を中央として、ルーレット抽選装置100を視認可能に中央に配置し、その正面および左右に複数のステーション機200を配置して構成されている。ルーレット抽選装置100の左右であって複数のステーション機200の正面には、サイドモニター500が設けられている。ルーレット抽選装置100は、基台2上に固定されている。
【0022】
ルーレット抽選装置100は、ルーレットゲームのルールに則った抽選を実施する抽選手段である。各ステーション機200は、各プレイヤが着座して、予想したルーレットの当選番号に応じたベット処理を行う操作表示用コンソールである。
【0023】
マスター機300は、ルーレット抽選装置100におけるルーレット抽選を制御するととともに、各ステーション機200のベット状況その他の操作情報を更新可能に受信し、それらを統合した統合操作状況を配信可能に構成されたサーバ装置である。
【0024】
なお、ゲームシステムの内容によっては、マスター機300を省略して、ルーレット抽選装置100と複数のステーション機200とを相互に接続してゲームシステムを構成することも可能である。また、マスター機300は、各ステーション機200およびルーレット抽選装置100と通信可能であればよく、その設置位置に限定は無いが、ルーレット抽選装置100の基台2等に設置することは好ましい。ルーレット抽選装置100は、視覚的にルーレットゲームシステム1000の象徴をなすものであるため、いずれのステーション機200からも視認可能な、システムの中央に配置される。マスター機300をルーレット抽選装置100の基台2等に設置すれば、各ステーション機200とのネットワーク400が敷設し易く、ルーレット抽選装置100との通信接続を簡略化でき、ライブスクリーン画像を表示させるサイドモニター500への接続も近距離となり簡便である。
【0025】
なお、以下の説明では、ルーレット抽選装置100からみて、プレイヤの位置する側(ステーション機200が配置されている側)を正面、その反対側を背面と呼んで前後方向を示す。水平面内にて前後方向(正面と背面とを結ぶ方向)に直交する方向は左右方向である。また、ルーレット抽選装置100において、同様の機能・構造を有する装置・部材が複数存在する場合、そのような複数の装置・部材のそれぞれに関する構成であることを示すときは、それぞれ、各符号にA、BまたはCの符号を併記して示す。またいずれかを特定せずに各ルーレット体に共通の説明をする場合には、A、BまたはCの符号を併記せず、数字符号のみを示して説明する。例えば、本実施形態の複数のルーレット体のうちのいずれかを特定する際には、「大ルーレット体51A」、「中ルーレット体51B」、「小ルーレット体51C」というように称し、任意のルーレット体を特定する際には「ルーレット体51」というように称する。
【0026】
図2に示すように、ルーレット抽選装置100は、プレイヤに視認可能な構成として、化粧フレーム3、中央プロジェクタ−7、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、小ルーレット体51C、大案内レール55A、中案内レール55B、および小案内レール55Cを備えている。なお、プレイヤから認識されない支持構造等については後述する。
【0027】
化粧フレーム3は、後述する固定部材20の正面を覆う化粧板である。化粧フレーム3には、高音用および低音用の筐体スピーカー6Hおよび6L、並びに照明装置8が左右に設けられ、中央上部に履歴表示部9が設けられている。筐体スピーカー6Hおよび6Lは、ルーレットゲームに係る背景音(BGM)や効果音を出力する音響発生手段である。中央プロジェクター7は、新たな抽選結果が出るたびに、抽選結果に係る番号を表示する演出用ディスプレイである。照明装置8は、ルーレットゲームの進行に合わせてスポットライトを照射可能な照明手段である。履歴表示部9は、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、小ルーレット体51Cのそれぞれで実施されたルーレットゲームの抽選結果である3つの当選番号を順番に表示する当選番号表示手段である。
【0028】
ルーレット体51は、同一の回転中心線Cを中心として回動または周回可能に構成されたルーレットゲームの中心的構成部材であり、本願発明の「回転体」に相当する。ルーレット体51には、物理的な回転軸が設定されておらず、仮想的な回転軸、すなわち「回転中心線」Cを中心として回動または回転するように構成されている。案内レール55は、複数のポケット52が周回移動する円周領域の最下点を少なくとも含む領域でボール59を案内するガイド手段であり、本願発明の「案内機構」に相当する。
【0029】
具体的に、大ルーレット体51Aは、回転中心線Cから第1の距離R1だけ離間した位置に大番号表示部53Aと仕切羽根52aで仕切られた複数の大ポケット52Aとを備えている。大番号表示部53Aは、N個(Nは自然数)の番号表示が円周方向に連設されて構成されている。大ポケット52Aは、1つの番号表示に1つのポケットが対応するように設けられ、N個のポケットが円周方向に連設されて構成されている。
【0030】
中ルーレット体51Bは、回転中心線Cから第2の距離R2だけ離間した位置に中番号表示部53Bと仕切羽根52aで仕切られた複数の中ポケット52Bとを備えている。中番号表示部53Bは、N個の番号表示が円周方向に連設されて構成されている。中ポケット52Bは、1つの番号表示に1つのポケットが対応するように設けられ、N個のポケットが円周方向に連設されて構成されている。
【0031】
小ルーレット体51Cは、回転中心線Cから第3の距離R3だけ離間した位置に小番号表示部53Cと仕切羽根52aで仕切られた複数の小ポケット52Cとを備えている。小番号表示部53Cは、N個の番号表示が円周方向に連設されて構成されている。小ポケット52Cは、1つの番号表示に1つのポケットが対応するように設けられ、N個のポケットが円周方向に連設されて構成されている。
【0032】
図3に示すように、後述するボールリリース装置60からリリースされたボール59は、案内レール55の面に沿って左右へ揺動し、摩擦等により運動エネルギーを喪失して徐々に振り幅を狭くしていく。そして案内レール55から落下して、ルーレット体51のいずれかのポケット52に入り込む。この際のボール59の動きは各種因子(ボール59の大きさ、重さ、リリース時の速度、ルーレット体51の大きさ、ボールポケット52の大きさ、仕切り羽根52aの大きさや形状、水平面を基準とした場合のルーレット体51の回転中心線の背面側への傾斜角度等)により様々であり、いずれかのポケット52にすんなりと入り込む場合もあれば、仕切り羽根52aに弾かれて長らくゆらゆらと揺れ動く場合もある。このようなボール59の動きは従来のルーレットゲーム装置におけるそれとは大きく異なっており、それを視認するプレイヤに新鮮さや興趣深い印象を与えうるものである。なお、案内レール55には各々、ボール59の脱落を防止するための脱落防止用ガード57が設けられている。
【0033】
(1−2.ルーレットゲームの概要)
本実施形態のルーレットゲームシステム1000は、複数のプレイヤがいずれかのステーション機200に着座して各自のステーション機を操作しながら、単一のルーレット抽選装置100によって実施される抽選結果に基づくルーレットゲームを同時に楽しむという、新たな興趣のあるゲームを提供するものである。
【0034】
図4に、本ルーレットゲームシステム1000におけるルーレットゲームの概要を示す。図4の左側のフローチャートは、ルーレットゲーム1ラウンドの流れを示し、右側上段には、ステーション機200におけるベット状況、右側下段には、ルーレット抽選装置100におけるルーレット体51の抽選の状態を示す。
【0035】
図4左側のフローチャートに示すように、本実施形態のルーレットゲームは、大きく、ベットモード(S1〜S2)、抽選モード(S3〜S5)、および配当精算モード(S6)により、1ラウンドのゲームが構成されている。
【0036】
(ベットモード)
まずステップS1においてルーレットゲームがスタートすると、ステップS2において、マスター機300は、所定の長さのベット期間を設定する。各ステーション機200に着座するプレイヤは、各ステーション機200の筐体201に設けられた表示部203に表示されるベットテーブル(操作部)205を見ながら、各ルーレット体51における当選番号を予測して操作部205を操作して予測当選番号にベットする。ベットされた予測当選番号は、ベット状況としてマスター機300に送信される。マスター機300は、各ステーション機200におけるベット状況を統合してサイドモニター500に、ライブスクリーン画像として表示する。なお、本実施形態において、操作部205は、表示部203に重ねて設けられるタッチパネルとして構成されているが、その他の形式の入力手段、例えばトラックボール、ジョイスティック、キーボード等であってもよい。
【0037】
(抽選モード)
ベット期間が終了すると、マスター機300は、各ステーション機200におけるベット操作を禁止し、ルーレット抽選装置100における抽選を開始させる。まずステップS3において、大ルーレット体51Aにおける抽選が行われ、大案内レール55Aに導入された大ボール59Aが入った大ポケット52Aに対応する大番号表示部53Aの番号が第1当選番号として決定され、履歴表示部9に表示される。次いでステップS4において、中ルーレット体51Bにおける抽選が行われ、中案内レール55Bに導入された中ボール59Bが入った中ポケット52Bに対応する中番号表示部53Bの番号が第2当選番号として決定され、履歴表示部9に表示される。次いでステップS5において、小ルーレット体51Cにおける抽選が行われ、小案内レール55Cに導入された小ボール59Cが入った小ポケット52Cに対応する小番号表示部53Cの番号が第3当選番号として決定され、履歴表示部9に表示される。
【0038】
(配当精算モード)
以上により3つのルーレットゲームの当選番号の組合せが決定するので、ステップS6に移行し、マスター機300は、各ステーション機200から送信されたプレイヤのベット状況に応じて配当を計算し、各ステーション機200に配当総額を送信する。これに対応して、各ステーション機200では、各プレイヤに対するチップの支払い等を実施する。
【0039】
(1−3.ルーレット抽選装置)
図5にルーレット抽選装置100の内部構造の正面図を示す。図6図5の切断線A−Aで切断した断面図を示す。図7図5の切断線A−Aで切断したルーレット抽選装置100の内部構造の斜視図を示す。図8図7の一部を拡大した案内レール周辺の構成の詳細図を示す。
【0040】
図5に示すように、ルーレット抽選装置100は、支持構造体としての支持フレーム10により、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、および小ルーレット体51Cが支持されて構成されている。支持フレーム10は、図5に示すように、縦方向には縦フレーム11、横方向には横フレーム12を備える。また支持フレーム10は、図6に示すように、ルーレット体51を背後から支える傾斜フレーム14、傾斜フレーム14を背面側から支持する前後フレーム13を備える。また図6に示すように、本実施形態のルーレット抽選装置100においては、ルーレット体51の回転中心線が水平面を基準として10°傾いた状態(Y=80°の状態)となっている。回転中心線を若干傾けることで、案内レール55内を揺動するボール59の軌道を一定の範囲に制限することが可能である。またルーレット抽選装置100の外径は、例えば約3mとなっている。このような大きな外径とすることで、プレイヤに驚きを与え、視覚的に楽しませることができる。
【0041】
図5図7において、載置フレーム15には、ボールリリース装置60A、60B、および60Cが固定されている。ボールリリース装置60Aは、大ボール59Aを大案内レール55Aの所定位置に導入するリリース手段である。ボールリリース装置60Bは、中ボール59Bを中案内レール55Bの所定位置に導入するリリース手段である。ボールリリース装置60Cは、小ボール59Cを小案内レール55Cの所定位置に導入するリリース手段である。これらボールリリース装置60は、後述するボールリリース制御部84が制御するタイミングでボール59を案内レール55に解放(リリース)するように構成されている。ボールリリース装置60がボール59を導入する案内レール55上の位置は、ボール59に作用する重力によりボール59が案内レール55上を円周方向に沿って揺動するような位置、例えば、図5の正面図において9時付近の位置とすることが好ましい。導入位置を9時付近から6時側に移動させるほど、ボール59に作用する重力の影響が緩和されて揺動範囲が狭くなる傾向にあり、9時付近から12時側に移動させると解放直後にボール59が自由落下して案内レール55に衝突して損傷を与えたり跳ね上がって脱落したりするおそれがあるからである。ボールリリース装置60の詳細な構造については図9および図10にて後述する。
【0042】
ボールリセット装置70は、ルーレット体51を挟んでボールリリース装置60に対向する位置に配置されている。ボールリセット装置70Aは、大ルーレット体51Aにおいて1つのポケット52Aに入った大ボール59Aが大ルーレット体51Aの回転によりリローディングされてきたら、ポケット52Aに入っている大ボール59Aを押し出してボールリリース装置60Aにローディングする押出手段である。ボールリセット装置70Bは、中ルーレット体51Bにおいて1つのポケット52Bに入ったボール59Bが中ルーレット体51Bの回転によりリローディングされてきたら、ポケット52Bに入っている中ボール59Bを押し出してボールリリース装置60Bにローディングする押出手段である。ボールリセット装置70Cは、小ルーレット体51Cにおいて1つのポケット52Cに入ったボール59Cが小ルーレット体51Cの回転によりリローディングされてきたら、ポケット52Cに入っている小ボール59Cを押し出してボールリリース装置60Cにローディングする押出手段である。ボールリセット装置70の詳細な構造については図11および図12にて後述する。
【0043】
図5において、駆動系40は、ルーレット体51を回転させる駆動手段であり、ルーレット体駆動モーター41(図13参照)、図示しない出力軸、出力軸に取り付けられたスプロケット(ピニオン)を備える。駆動系40は、ルーレット盤51の内輪に設けられた図示しない内輪ギアにスプロケットが歯合するように取り付けられ、ルーレット体駆動モーター41の駆動に応じてルーレット体51を時計回りまたは反時計回りに回転させることが可能に構成されている。駆動系40Aは大ルーレット体51Aを駆動し、駆動系40Bは中ルーレット体51Bを駆動し、駆動系40Cは小ルーレット体51Cを駆動するよう構成されている。図5では、駆動系40Cのみが示されている。
【0044】
駆動系40には、後述するエンコーダー43が設けられている。エンコーダー43は、ルーレット体51の基準位置θからの回転角を検出する回転検出手段である。エンコーダー43Aは大ルーレット体51Aの基準位置からの回転角を検出し、エンコーダー43Bは中ルーレット体51Bの基準位置からの回転角を検出し、エンコーダー43Cは小ルーレット体51Cの基準位置からの回転角を検出するようになっている。
【0045】
図8に示すように、傾斜フレーム14には、ホイールベース21が直接取り付けられている。ルーレット体51は、ホイールベース21に複数のブラケット22を介して複数箇所で固定されている。固定ベース23には、複数の固定部材20が一定間隔で取り付けられ、複数の固定部材20には、大案内レール55Aが複数箇所で支持されるように固定されている。ホイールベース21Aには、中案内レール55Bが複数箇所で支持されるように固定されている。ホイールベース21Bには、小案内レール55Cが複数箇所で支持されるように固定されている。
【0046】
番号表示部53は、複数の番号プレートを連設して構成されている。1つの番号プレートは、樹脂やガラス等の透明部材で構成された略台形状をしており、その長辺がルーレット体51の構造部材に固定され、長辺に接する2辺が隣接する番号プレートと接するように配置されている。各々の番号プレートは、背景部分がルーレットの数字の一般的な背景色、例えば、赤色または黒色、数字「0」および「00」では緑色に塗装され、数字部分がプレイヤに認識容易な色、例えば、白色に塗装されている。
【0047】
番号表示部53の背後には、LED(Light Emitting Diode)56が複数円周方向に連設されている。LED56は、後述するルーレット体制御部83の制御により、番号プレート単位で、全点灯、半点灯、消灯を任意に変更可能に構成されている。
【0048】
なお、図5図8では、大ボール59A、中ボール59B、小ボール59Cがともに揺動しているように図示されているが、これに限られない。例えば、本実施形態の動作としては、小ルーレット体51Cの複数の小ポケット52Cのいずれかに小ボール59Cが入った後に、中ボール59Bを導入して揺動させ、中ルーレット体51Bの複数の中ポケット52Bのいずれかに中小ボール59Bが入った後に、大ボール59Aを導入して揺動させるように処理している。複数のルーレット体51が存在する場合、1つのルーレット体51においてボール59がポケット52に入って当選番号が確定してから次のルーレット体51においてボール59が解放されるように演出した方が、当選数字が順に揃っていく宝くじの当選番号発表のような効果があり、プレイヤをより激しく興奮させることが可能である。
【0049】
(1−4.ボールリリース装置60)
ボールリリース装置60は、ルーレット抽選時、スタンバイ状態のボール59をリリースして発射する装置であり、本願発明の「抽選球導入機構」に相当する。本実施形態のボールリリース装置60は、保持しているボール59を案内レール55に向けてリリースするのに適した位置、例えばルーレット体51に向かって見た場合の9時あたりの位置において、載置フレーム15を介して支持フレーム10に固定されている(図5図7参照)。以下、このようなボールリリース装置60の一構成例を説明する。
【0050】
図9に本実施形態のボールリリース装置60の斜視図を示す。図10に本実施形態のボールリリース装置60の内部の構成図を示す。図10に示すように、ボールリリース装置60は、ソレノイド61、ソレノイドセンサー62、ローラー63、リリースセンサー64、セットセンサー65、ローラー支持レバー66a、リンク66c、伝達用レバー66d、コイルスプリング67等の部材を備えている。図9に示すように、これらの部材は、2枚の板状部材が角度を付けて組み合わされた取付用プレート68、取付用プレート68からみてルーレット抽選装置100の正面側に配置される目隠しプレート69に取り付けられている。取付用プレート68、目隠しプレート69の内部には、ボール59の通過スペースが形成されている。
【0051】
ソレノイドセンサー62は、ボール通過スペースから退避させた状態のローラー63またはローラー支持レバー66aを検出するセンサーで、ローラー63が所定の動作をしたことを検出する検出手段である。セットセンサー65は、スタンバイ位置SBにおけるボール59の有無を検出する検出手段である。リリースセンサー64は、ボールリリース装置60におけるボール落下口の近傍に設けられており、ボール59がリリースされて落下したことを検出する検出手段である。
【0052】
図10に示すように、支点66bを中心に回転可能なローラー支持レバー66aの先端には、ボール59を規制するローラー63が取り付けられている。ローラー支持レバー66aは、その基端側をコイルスプリング67で引っ張り付勢され、ボール59の通過スペースにローラー63を突出させた状態(スタンバイ状態)となっている。また、ローラー支持レバー66aは、リンク66cおよび伝達用レバー66dを介してソレノイド61のプランジャー61aに接続されている。
【0053】
ボールリリース装置60の一連の動作を簡単にまとめると次のようになる。まず、後述する制御部80のボールリリース制御部84の制御に基づき、ソレノイド61に通電されると、プランジャー61aが図10の矢印方向に牽引され、伝達用レバー66dが支点66eを中心にして図10で時計回りに揺動し、リンク66cを介してローラー支持レバー66aに動きが伝達される。動きが伝達されたローラー支持レバー66aは、支点66bを中心にして時計回りに揺動し、ローラー63をボール通過スペースから図10で矢印方向に退避させる。ローラー63が退避すると、スタンバイ状態のボール59は支えを失い、ボール59が落下、すなわち解放(リリース)される。
【0054】
ボールリリース装置60からリリースされたボール59は、案内レール55の面に沿って左右へ揺動し、摩擦等により運動エネルギーを喪失して徐々に振り幅を狭くし、終いには、案内レール55から落下して、ルーレット体51のいずれかのポケット52に入り込む(図3参照)。その後(一例として、3つのルーレット体51A〜51Cのすべてにおいてボール59がポケット52に入り込んで出目が決定した後)、ポケット52に落下したボール59を回収するべく、後述する制御部80の駆動系制御部82の制御により、ルーレット体51は図2図5で時計回りに回転し、ボール59をボールリセット装置70の直前の位置(回収位置)まで移動させる。
【0055】
(1−5.ボールリセット装置70)
ボールリセット装置70は、回収位置まで移動したボール59をルーレット抽選装置100の正面側へ押し出し、スタンバイ位置SBまで移動させてリセットする(スタンバイ状態へ戻す)装置である。本実施形態のボールリセット装置70は、ボール59をボールリリース装置60へと押し出すのに適した位置、例えばボールリリース装置60の背面側となる位置に、図示しないボールリセット装置固定用フレームを介して支持フレーム10に固定されている。以下、このようなボールリセット装置70の一構成例を説明する。
【0056】
図11に本実施形態のボールリセット装置の斜視図を示す。図12に本実施形態のボールリセット装置の内部の構成図を示す。図12に示すように、ボールリセット装置70は、ボールリセット用モーター71、ギア列72、トルクリミッター73、ボールネジ74、チェンジナット75、ボール押出しロッド76、センサードグ76a、ホームセンサー77、リミットセンサー78等の部材を備えている。これらの部材は、図示しない取付用フレーム部材を介して支持フレーム10に取り付けられている。
【0057】
ボールリセット用モーター71は、ギア列72を介して駆動力を伝達し、ボールネジ74を回転させる。ボールネジ74は取付用フレーム部材79に回転可能に支持されており、当該ボールネジ74上のチェンジナット75に取り付けられたボール押出しロッド76を前後方向(ルーレット抽選装置100の正面方向または背面方向)に動作させる。
【0058】
ボール押出しロッド76は、ホーム位置(初期位置)から正面方向に前進してボール59をボールリリース装置60側へ押し出し、その後、背面方向に後進してホーム位置に戻る。ボール押出しロッド76の前後の前後への動きは、ボールリセット用モーター71の回転方向(正転または反転)により決まる。センサードグ76aは、ボール押出しロッド76に取り付けられており、取付用フレーム部材79に設けられたホームセンサー77およびリミットセンサー78のいずれか一方を通過するように構成されている。
【0059】
ホームセンサー77は、ボール押出しロッド76がホーム位置まで後退したことを検出する。リミットセンサー78は、ボール押出しロッド76が所定のボール押出し位置(リミット位置)まで前進したことを検出する。また、トルクリミッター73はボールネジ74の軸に取り付けられており、オーバーランや過負荷等の不具合発生時、ボール押出しロッド76およびボールリセット用モーター71を保護する。
【0060】
ボールリセット装置70の一連の動作を簡単にまとめると次のようになる。まず、ホームセンサー77を確認し、ボール押出しロッド76がホーム位置にあることを確認する。次に、ボールリセット用モーター71を回転させ、ボール押出しロッド76を前進させる。リミットセンサー78がセンサードグ76aを検出したら、該ボール押出しロッド76がリミット位置まで前進したと判断し、ボールリセット用モーター71を停止させる。定時間経過後、ボールリセット用モーター71を反転させ、ボール押出しロッド76を後進させる。ホームセンサー77がセンサードグ76aを検出したら、ボール押出しロッド76がホーム位置に戻ったと判断し、ボールリセット用モーター71を停止させる。
【0061】
(2.ルーレットゲームシステムの機能ブロック)
図13に、本ルーレットゲームシステム1000のブロック図を示す。図13に示すように、マスター機300は、コンピュータ装置である制御部80を備える。制御部80は、ハードウェアとしては、図示しないCPU、RAM、ROM、大容量記憶装置、インターフェース回路等を備えて構成されている。制御部80は、機能的に、ゲーム制御部81、駆動系制御部82、ルーレット体制御部83、ボールリリース制御部84、ボールリセット部85、表示制御部86、サウンド制御部87、照明制御部88、および記憶部90を備える。
【0062】
なお、これらの機能ブロックは、マスター機300の実行する機能を便宜的に分割して定義したものに過ぎないため、任意の複数の機能ブロックを1つに統合して構成しても、1つの機能ブロックをさらに細かい機能単位のブロックに分解してもよい。またこれら機能ブロックは、コンピュータ装置が所定のコンピュータソフトウェアプログラムを実行することによって実現されるが、機能ブロックの一部または全部をハードウェアで構成してもよい。
【0063】
ゲーム制御部81は、制御部80が記憶部90のゲームプログラム91のうち、ゲーム進行に係るプログラムモジュールを実行することにより機能的に実現される機能ブロックであり、設定部81a、判定部81b、支払い部81c、および演算部81dを備える。
【0064】
設定部81aは、ゲームの進行に合わせてルーレットゲームの進行を制御するとともに、ゲームの進行に必要なデータの格納・読み出し・変更を実施する。例えば、ルーレットゲームがベットモードである場合、設定部81aは、ステーション機200の操作部205から送信される各プレイヤのベット状況をベットデータ92として記憶部90に格納する。
【0065】
判定部81bは、ボールセンサー58による検出信号に基づき、ルーレット抽選装置100の抽選結果である当選番号(ボール59が落下したボールポケット52に対応した数字)を判定する。また判定部81bは、記憶部90に格納されたベットデータ92を読み出してステーション機200ごとのベット状況を参照し、プレイヤによる予測番号と当選番号とを比較して、一致するか否かを判定する。判定部81bは、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、小ルーレット体51Cのそれぞれについて一致するか否かを判定し、3つの当選番号の組を出力する。
【0066】
演算部81dは、記憶部90に格納されたペイアウト率データ94を参照して配当総額を演算する。ペイアウト率データ94としては、ベットテーブルのベット位置に応じて定まるオッズデータ、および、それぞれのベット位置に対応して当選数に応じて定まる配当倍率データがある。オッズは、例えば、ストレートアップ(1点掛け)、スプリット(2点掛け)、ストリート(3点掛け)、コーナー(4点掛け)、ファイルナンバー(5点掛け)、ライン(6点掛け、コラム(12点掛け)、ダズン(12点掛け)、ロウ/ハイ(18点掛け)、およびイーブン/オッド(18点掛け)等である。配当倍率は、例えば、1ヒット、2ヒット、3ヒットに応じた倍率である。例えば、オッズが1点掛けである場合、1ヒットなら10倍、2ヒットなら50倍、3ヒットなら5000倍というように設定されている。演算部81dは、当選番号に係るベット位置からオッズOを特定し、いくつのルーレットゲームで当選したかに応じて配当倍率Nを特定し、ベット状況に基づきベットされたチップ額であるベット量Aを特定し、O×N×Aを演算して、1つのチップについての払出額mを決定する。そして演算部81dは、ベットされた総てのチップについての払出額mを累計し、ステーション機200ごとの配当総額Mを演算する。
【0067】
支払い部81cは、演算部81dの演算した配当総額Mを各ステーション機200に送信する。各ステーション機200では、送信された配当総額Mに対応するチップの支払い(クレジット加算)が実施される。
【0068】
駆動系制御部82は、制御部80が、記憶部90に格納されているゲームプログラム91のうち、ルーレット抽選装置100の駆動系40の制御に係るプログラムモジュールを実行することにより機能的に実現される機能ブロックである。駆動系制御部82は、エンコーダー43からの検出信号を参照してルーレット体51の現在位置を特定し、ルーレット体駆動モーター41に制御信号を出力し、指定された回転方向、回転速度、始動タイミング、および停止タイミングでルーレット体51が動作するように制御する。
【0069】
ルーレット体制御部83は、制御部80が、記憶部90に格納されているゲームプログラム91のうち、ルーレット抽選装置100のルーレット体51の制御に係るプログラムモジュールを実行することにより機能的に実現される機能ブロックである。ルーレット体制御部83は、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、および小ルーレット体51Cのそれぞれについて、回転方向および回転速度を決定し、決定した回転方向および回転速度でルーレット体51が駆動されるように駆動系制御部82を制御する。またルーレット体制御部83は、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、および小ルーレット体51Cの駆動順序を決定し、この駆動順序に従ってルーレット体51が駆動されるように駆動系制御部82を制御する。本実施形態では、ルーレット体制御部83は、小ルーレット体51C、中ルーレット体51B、および大ルーレット体51Aの順序で駆動するように決定し、最初の小ルーレット体51Cを所定の始動タイミングで始動させる。最初の小ルーレット体51Cのポケット52に小ボール59Cが入ったことを検出すると小ルーレット体51Cを停止させ、次の中ルーレット体51Bを始動させる。そしてルーレット体制御部83は、次の中ルーレット体51Bのポケット52に中ボール59Bが入ったことを検出すると中ルーレット体51Bを停止させ、最後の大ルーレット体51Aを始動させる。そして最後の大ルーレット体51Aのポケット52に大ボール59Aが入ったことを検出すると、最後の大ルーレット体51Aを停止させる。
【0070】
ボールリリース制御部84は、制御部80が、記憶部90に格納されているゲームプログラム91のうち、ルーレット抽選装置100のボールリリース装置60の制御に係るプログラムモジュールを実行することにより機能的に実現される機能ブロックである。当該プログラムモジュールは、本発明に係るタイミング制御プログラムに相当するものであり、項目(3.ルーレット抽選装置のタイミング制御)にて詳述する。
【0071】
ボールリセット制御部85は、制御部80が、記憶部90に格納されているゲームプログラム91のうち、ルーレット抽選装置100のボールリセット装置70の制御に係るプログラムモジュールを実行することにより機能的に実現される機能ブロックである。ボールリセット制御部85は、ボールリセット装置70のホームセンサー77からの検出信号を参照して、ボール押出しロッド76がホーム位置にあることを確認したら、駆動信号を供給してボールリセット用モーター71を回転させ、ボール押出しロッド76を前進させる。次いでボールリセット制御部85は、リミットセンサー78からの検出信号を参照して、ボール押出しロッド76がリミット位置まで前進したと判断したら、駆動信号の送出を停止してボールリセット用モーター71を停止させる。次いでボールリセット制御部85は、定時間経過後、駆動信号を供給してボールリセット用モーター71を反転させ、ボール押出しロッド76を後進させ、ホームセンサー77からの検出信号を参照して、ボール押出しロッド76がホーム位置に戻ったと判断したら、駆動信号の送出を停止してボールリセット用モーター71を停止させる。
【0072】
表示制御部86は、制御部80が、記憶部90に格納されているゲームプログラム91のうち、ルーレット抽選装置100の中央プロジェクター7および履歴表示部9の制御、並びにサイドモニター500への画像制御に係るプログラムモジュールを実行することにより機能的に実現される機能ブロックである。表示制御部86は、抽選モードにおいて、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、および小ルーレット体51Cのいずれかにおいてポケット52にボール59が入り、当選番号が確定する度に、確定した当選番号を所定時間、中央プロジェクター7に表示させる。また表示制御部86は、抽選モードにおいて、確定した当選番号を順に履歴表示部9に表示する。さらに表示制御部86は、記憶部90のベットデータ92を参照して総てのステーション機200におけるベット状況を統合し、1つのベットボードに総てのプレイヤがチップをベットしたようなシミュレーション画像(ライブスクリーン画像)を生成し、サイドモニター500に表示する。
【0073】
サウンド制御部87は、制御部80が、記憶部90に格納されているゲームプログラム91のうち、ルーレット抽選装置100の筐体スピーカー6への音響制御に係るプログラムモジュールを実行することにより機能的に実現される機能ブロックである。サウンド制御部87は、ルーレットゲームの進行に合わせた背景音楽(BGM)や効果音、音声を送出するための音響信号を筐体スピーカー6に供給して音響を発生させる。
【0074】
照明制御部88は、制御部80が、記憶部90に格納されているゲームプログラム91のうち、ルーレット抽選装置100の照明装置8およびLED56の制御に係るプログラムモジュールを実行することにより機能的に実現される機能ブロックである。照明制御装置88は、照明装置8に対する電力供給を制御して、照明装置8の点灯、点滅、消灯を制御する。また照明制御装置88は、LED56に対する電力供給を制御して、番号表示部53の番号プレート単位で、全点灯、半点灯、消灯を制御可能になっている。
【0075】
(3.ルーレット抽選装置のタイミング制御)
本発明は、ルーレット抽選装置においてボールを導入(リリース)するタイミングの制御に特徴がある。以下、本実施形態のボールリリース制御部84の動作を例にとって説明する。
【0076】
ボールリリース制御部84は、本発明のタイミング制御方法を実施可能に構成されている。具体的に、ボールリリース制御部84は、複数のポケット52の総数をN個(Nは自然数)とした場合に、2π/Nより小さい角度を単位としてボール59を導入するタイミングを制御する。以下、図14図17を参照してさらに具体的に説明する。
【0077】
図14にルーレット体51における番号表示に対する角度設定の基本図を示す。図14は番号表示部53の番号表示のみを示した概念図である。図14に示すように、本実施形態では、ルーレット体51の番号表示部53には、「1」〜「36」までの自然数に番号「0」および「00」を加えた合計38の数字が設けられている。このような38個の番号の組合せからなるルーレットは、一般にアメリカンスタイルと呼ばれている。もう一つ、「1」〜「36」までの自然数に番号「0」を加えた合計37の数字が設けられているルーレットもある。このような37個の番号の組合せからなるルーレットは、一般にヨーロピアンスタイルと呼ばれている。アメリカンスタイルのルーレットでは上記N=38となり、ヨーロピアンスタイルのルーレットでは上記N=37となる。
【0078】
ルーレット体51の回転位置を特定するには、基準位置からの変位により特定することが考えられる。例えば、変位を角度θで定義することにし、基準位置θを最下部(ルーレット体51の6時の位置、図14では番号「00」の位置)と定める場合、基準位置θからn番目の番号の角度θ(0≦n≦N−1)は、θ=n・2π/Nと特定できる。なお、角度θを基準位置θから時計回りに数えるか反時計回りに数えるかは定義する必要がある。図14に示すように、本実施形態では、反時計回りに角度を数えるものとする。
【0079】
さて、任意の位置に特定の番号プレートを位置させるためには、角度2π/N単位でルーレット体51の回転位置を特定し、駆動制御しなければならない。例えば、N=38である場合には、図14に示すように2π/38を単位(分解能)として回転位置を特定し駆動制御する必要がある。
【0080】
図15に、図14の番号「00」付近の丸囲みした部分の拡大図を示す。N=38とする場合、角度2π/38を単位としてルーレット体51の案内レール55にボール59を導入するタイミングを制御することになる。この場合、番号表示部53を構成する複数の番号プレートの各々に対して1つの角度、例えば、図15に示すように、番号プレートの中心位置(2つの仕切り羽根52aの中間位置)に当該番号を特定する角度位置を設定して制御すればよいことになる。
【0081】
ところが、本願発明者が鋭意研究したところ、本実施形態のようにルーレット体の回転中心線を鉛直方向に対して傾斜させた場合には、機械的精度や歪み等の影響で、いくつかの番号のポケット52にはボールが入り易い一方、その他のポケット52にはボールが全く入らない状態となることが判った。すなわち、それぞれの番号に対応するポケット52にボールが入る確率に著しい偏りが生ずるのである。このようなルーレット抽選装置で、1つの番号に対して1つの角度を割り当ててルーレット体51の案内レール55にボール59を導入するタイミングを制御するものとすれば、当選番号の抽選確率に著しい偏りが生じ、プレイヤの射幸心を激減させるだけでなく、ルーレットゲーム自体の成立性が阻害されることになる。
【0082】
そこで、本実施形態では、上記2π/Nより小さい角度を単位としてルーレット体51の案内レール55にボール59を導入するタイミングを制御することを特徴としている。具体的に、本実施形態では、Mを所定の自然数とした場合に、角度2π/(M・N)を単位として、ルーレット体51の回転角を特定し、駆動制御するようにしている。このことは、最低の単位である2π/NをさらにM分割して角度制御することを意味している。
【0083】
図16に、図14の番号「00」付近の丸囲みした部分の拡大図であって、M=3とした場合の角度設定を示す。N=38とする場合、角度2π/114(=3*38)を単位としてルーレット体51の案内レール55にボール59を導入するタイミングを制御することになる。この場合、番号プレートに対して3つの角度、例えば、図16に示すように、番号プレートの幅を規定する2つの仕切り羽根52aの間に3つの角度位置を設定して制御すればよいことになる。
【0084】
図17に、角度2π/38を単位としてボールを導入した場合の入賞回数のばらつきと、角度2π/114を単位としてボールを導入した場合の入賞回数のばらつきを比較するヒストグラムを示す。ヒストグラムh0は、角度2π/38を単位としてボールを導入した場合の入賞回数のばらつきを示しており、ヒストグラムh1は、角度2π/114を単位としてボールを導入した場合の入賞回数のばらつきを示している。
【0085】
具体的に、ヒストグラムh0は、番号「0」が基準位置θに達したタイミングでボールを導入した場合に、ルーレット体のそれぞれの番号のポケットにボールが入った回数を計測したものである。すなわち図15に示す位置である。これに対し、ヒストグラムh1は、番号「0」が位置θ3n−1、θ、またはθのいずれかに達したタイミングでボールを導入した場合に、ルーレット体のそれぞれの番号のポケットにボールが入った回数を計測したものである。
【0086】
図17に示すように、角度2π/38を単位としてボールを導入した場合(ヒストグラムh0)に比べて角度2π/114を単位としてボールを導入した場合(ヒストグラムh1)の方が、それぞれの番号に入賞する回数が明らかに平均化されていることが判る。
【0087】
そして、本実施形態のボールリリース装置84は、0からM*Nまでのうちの1つの整数Pを乱数演算により求め、ルーレット体51の基準位置から角度P*2π/(M*N)だけ回転した時にボール59を導入するように構成されている。具体的に、図16の例では、乱数Pの取り得る範囲は、0≦P<M*N=114であり、角度θの取り得る範囲は、2π/114の分解能で0≦θn<2πの範囲である。
【0088】
ここで自然数Mは、2以上であるが、Mが多ければ多いほど、ヒストグラムは平準化されていくが、制御単位が多くなるために処理負担が多くなる傾向にある。そのため、自然数Mはこのトレードオフの関係から妥当な値、例えばM=3またはM=4と定めればよい。
【0089】
なお、図17のヒストグラムでは、ボールをリリースする番号を特定の「0」と定めた場合にどれだけ入賞回数の偏りが緩和されるかを示したが、本実施形態では、ボールをリリースする番号を特定の番号に限定せず、最大数N(=38)の中のいずれかとし、リリースタイミングを分割数M×最大数N(=3×38=114)の中から1つ選択する。このため、入賞回数の偏りは図17のものよりも大幅に緩和され、ほぼ平準化される。
【0090】
また、本実施形態において、角度検出にはエンコーダー43を用いる。一般にエンコーダーはビット数で定まる分解能のデジタル値を角度の相対値として出力するので、タイミング制御方法としては、エンコーダー43の検出するデジタル値に基づいてボール59のリリースタイミングを特定すればよい。
【0091】
(4.ルーレットゲームシステムの動作)
続いて、本実施形態のルーレット抽選装置100におけるルーレットゲームに係る一連の動作を、ステーション機200における動作とともに説明する。図18に、本実施形態のルーレットゲームシステム1000における一連の動作を説明するフローチャートを示す。図18は、ベットモード、抽選モード、および配当精算モードに至るルーレットゲーム1ラウンドにおける、ルーレット抽選装置100、ステーション機200、およびマスター機300のそれぞれについての動作を並べて示したフローチャートである。当該フローチャートの一連の処理は、新たなゲームラウンドのたびに実施される。
【0092】
(4−1.ベットモード)
ステップS301において、マスター機300は、総てのボール59がボールリリース装置60にリローディングされる等のゲーム開始準備が整うまで、ベット期間を開始させるタイミングを待つ(S301:NO)。ベット期間を開始させるタイミングになったら(S301:YES)ステップS302に移行し、マスター機300はベット期間をスタートさせる旨のコマンドをルーレット抽選装置100およびステーション機200に送信する。ステップS201において、当該コマンドを受信したステーション機200は、表示部203にベット期間中の演出画像を表示させ、プレイヤにベットすべき旨を告知する。ステップS101において、当該コマンドを受信したルーレット抽選装置100は、ベットモード演出を実施する。具体的には、制御部80が、中央プロジェクター7にベットモードにおける演出画像を表示させ、照明装置8にベットモードにおける照明演出をさせ、履歴表示部9にベットモードにおける演出画像を表示させ、LED56にベットモードにおけるライティング演出をさせ、筐体スピーカー6からベットモードにおける音響演出を送出させる。
【0093】
ステーション機200では、プレイヤが操作部205を操作してベッティングボードにチップをベットするたびに、ベット状況が更新データとしてマスター機300に送信される(ステップS202)。マスター機300では、各ステーション機200からベット状況の更新データが送信されるたびに、記憶部90のベットデータ92を更新する(ステップS303)。ベットデータ92が更新されるたびに、マスター機300は、サイドモニター500に表示されるライブスクリーン画像を更新する。
【0094】
ステップS304において、マスター機300はベット期間の残存時間を判定し、ベット期間中である場合には(S304:NO)、ステーション機200からのベット状況の更新データを受け付ける(ステップS303)。ベット期間が終了したら(ステップS304:YES)、ステップS305に移行し、マスター機300は、ステーション機200にベットモードを終了させる旨のコマンドを送信する。当該コマンドを受けたステーション機200は、操作部205へのプレイヤの入力受付を禁止し、ベット期間終了の演出画像を表示部203に表示する。
【0095】
またマスター機は、ステップS305において、ルーレット抽選装置100にベットモードを終了させ、抽選モードに移行すべき旨のコマンドを送信する。当該コマンドを受けたルーレット抽選装置100は、ベットモード演出を停止し、抽選モード演出を開始する(ステップS102)。具体的には、制御部80が、中央プロジェクター7に抽選モードにおける演出画像を表示させ、照明装置8に抽選モードにおける照明演出をさせ、履歴表示部9に抽選モードにおける演出画像を表示させ、LED56に抽選モードにおけるライティング演出をさせ、筐体スピーカー6から抽選モードにおける音響演出を送出させる。
【0096】
(4−2.抽選モード)
抽選モードに入ると、ルーレット抽選装置100はステップS103に移行し、ボール59の導入タイミングを決定する。具体的には、上記(3.ルーレット抽選装置のタイミング制御)にて説明したように、制御部80のボールリリース制御部85が乱数Pを発生させ、基準位置θ0からのボール59のリリースタイミングを1つ決定する。リリースタイミングは、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、および小ルーレット体51Cの3つについてそれぞれ決定する。
【0097】
そしてステップS104に移行し、ルーレット抽選装置100は、小ルーレット体51Cを始動させる。具体的には、制御部80のルーレット体制御部83が始動タイミングを決定し、駆動系制御部82が駆動系40Cに駆動信号を出力する。これに対応して、小ルーレット体51Cの回転が開始する。
【0098】
所定の待ち時間経過後、ルーレット抽選装置100は、小ボール59Cを導入する(ステップS105)。具体的には、ボールリリース制御部85がステップS103で決定したリリースタイミングに達したことを検出して小ボール59Cをリリースする旨の制御信号を出力し、ボールリリース装置60Cがソレノイド61を駆動させて、スタンバイ位置SBにあった小ボール59Cをリリースする。これに対応して、小ボール59Cが小案内レール55Cに導入され、左右に揺動を始める。
【0099】
小ボール59Cの揺動の幅が小さくなって小ルーレット体51Cのいずれかのポケット52Cに入ると、小ボール59Cが入ったポケット52のボールセンサー58が検出信号を出力する。この検出信号を受けたルーレット抽選装置100は、ステップS106に移行し、当選した番号を特定し、第1当選番号としてマスター機300およびステーション機200に送信する。
【0100】
第1当選番号の通知を受けたマスター機300は、第1当選番号確定に係る演出をする(ステップS306)。具体的に、制御部80は、中央プロジェクター7に第1当選番号を表示させ、照明装置8に第1当選番号確定の照明演出をさせ、履歴表示部9に第1当選番号を表示させ、筐体スピーカー6から第1当選番号確定に係る音響演出を送出させる。また制御部80は、第1当選番号に対応する番号プレートに係るLED56を点灯させ、その他の番号プレートに係るLED56を消灯させる。さらに制御部80は、第1当選番号に対応する番号プレートが基準位置(6時の位置)に達するまで小ルーレット体51Cを駆動してから、その回転を停止させる。
【0101】
第1当選番号の通知を受けたステーション機200は、ステップS204に移行し、表示部203に第1当選番号確定に係る画像演出を表示させる。
【0102】
第1当選番号が確定したら、ルーレット抽選装置100は、ステップS107に移行し、中ルーレット体51Bを始動させる。具体的には、制御部80のルーレット体制御部83が始動タイミングを決定し、駆動系制御部82が駆動系40Bに駆動信号を出力する。これに対応して、中ルーレット体51Bの回転が開始する。
【0103】
所定の待ち時間経過後、ルーレット抽選装置100は、中ボール59Bを導入する(ステップS108)。具体的には、ボールリリース制御部85がステップS103で決定したリリースタイミングに達したことを検出して中ボール59Bをリリースする旨の制御信号を出力し、ボールリリース装置60Bがソレノイド61を駆動させて、スタンバイ位置SBにあった中ボール59Bをリリースする。これに対応して、中ボール59Bが中案内レール55Bに導入され、左右に揺動を始める。
【0104】
中ボール59Bの揺動の幅が小さくなって中ルーレット体51Bのいずれかのポケット52Bに入ると、中ボール59Bが入ったポケット52のボールセンサー58が検出信号を出力する。この検出信号を受けたルーレット抽選装置100は、ステップS109に移行し、当選した番号を特定し、第2当選番号としてマスター機300およびステーション機200に送信する。
【0105】
第2当選番号の通知を受けたマスター機300は、第2当選番号確定に係る演出をする(ステップS307)。具体的に、制御部80は、中央プロジェクター7に第2当選番号を表示させ、照明装置8に第2当選番号確定の照明演出をさせ、履歴表示部9に第2当選番号を表示させ、筐体スピーカー6から第2当選番号確定に係る音響演出を送出させる。また制御部80は、第2当選番号に対応する番号プレートに係るLED56を点灯させ、その他の番号プレートに係るLED56を消灯させる。さらに制御部80は、第2当選番号に対応する番号プレートが基準位置(6時の位置)に達するまで中ルーレット体51Bを駆動してから、その回転を停止させる。
【0106】
第2当選番号の通知を受けたステーション機200は、ステップS205に移行し、表示部203に第2当選番号確定に係る画像演出を表示させる。
【0107】
第1当選番号が確定したら、さらにルーレット抽選装置100は、ステップS110に移行し、大ルーレット体51Aを始動させる。具体的には、制御部80のルーレット体制御部83が始動タイミングを決定し、駆動系制御部82が駆動系40Aに駆動信号を出力する。これに対応して、大ルーレット体51Aの回転が開始する。
【0108】
所定の待ち時間経過後、ルーレット抽選装置100は、大ボール59Aを導入する(ステップS111)。具体的には、ボールリリース制御部85がステップS103で決定したリリースタイミングに達したことを検出して大ボール59Aをリリースする旨の制御信号を出力し、ボールリリース装置60Aがソレノイド61を駆動させて、スタンバイ位置SBにあった大ボール59Aをリリースする。これに対応して、大ボール59Aが大案内レール55Aに導入され、左右に揺動を始める。
【0109】
大ボール59Aの揺動の幅が小さくなって大ルーレット体51Aのいずれかのポケット52Aに入ると、大ボール59Aが入ったポケット52のボールセンサー58が検出信号を出力する。この検出信号を受けたルーレット抽選装置100は、ステップS112に移行し、当選した番号を特定し、第3当選番号としてマスター機300およびステーション機200に送信する。
【0110】
第3当選番号の通知を受けたマスター機300は、第3当選番号確定に係る演出をする(ステップS308)。具体的に、制御部80は、中央プロジェクター7に第3当選番号を表示させ、照明装置8に第3当選番号確定の照明演出をさせ、履歴表示部9に第3当選番号を表示させ、筐体スピーカー6から第3当選番号確定に係る音響演出を送出させる。また制御部80は、第3当選番号に対応する番号プレートに係るLED56を点灯させ、その他の番号プレートに係るLED56を消灯させる。さらに制御部80は、第3当選番号に対応する番号プレートが基準位置(6時の位置)に達するまで大ルーレット体51Aを駆動してから、その回転を停止させる。
【0111】
第3当選番号の通知を受けたステーション機200は、ステップS206に移行し、表示部203に第3当選番号確定に係る画像演出を表示させる。
【0112】
上記処理によれば、第1〜第3当選番号の総てがルーレット体51の6時の位置に留め置かれ、ルーレットLEDでライトアップされているので、プレイヤに抽選結果を容易に認識させることができる(図4の右側下段参照)。
【0113】
(4−3.配当精算モード)
マスター機300は、3つのルーレット体51におけるルーレット抽選による3つの当選番号が確定した結果、いずれかのステーション機200においてジャックポット(JP、大当たり役)が発生しているか否かを判定する(ステップS309)。そしていずれのステーション機200においてジャックポットが発生したと判定した場合(ステップS309:YES)、マスター機300は、ジャックポット演出を行うべき旨のコマンドを、ジャックポットゲームを実施するステーション機200に送信する(ステップS310)。
【0114】
ジャックポット演出の通知を受けたステーション機200は、ジャックポットゲームを実施する(ステップS207)。またジャックポットが発生していないステーション機200では、ジャックポット期間中である旨の画像演出を表示させる。またマスター機300は、ルーレット抽選装置100にジャックポットに係る演出をさせる(ステップS113)。具体的に、制御部80の演算部81dがステーション機200ごとに配当総額Mを計算し、支払い部81cが配当総額Mを各ステーション機200に送信する。配当総額Mの通知を受けたステーション機200は、それぞれの支払い総額Mに応じた精算処理として、チップの支払いやクレジット額の加算を行う(ステップS208)。またマスター機300は、ルーレット抽選装置100に判定演出をさせる(ステップS114)。具体的に制御部80は、中央プロジェクター7に配当演出画像を表示させ、照明装置8に配当演出の照明演出をさせ、履歴表示部9に配当演出画像を表示させ、筐体スピーカー6から配当演出に係る音響演出を送出させる。また制御部80は、ボール59をスタイバイ状態に戻す。具体的に制御部80は、駆動系40に駆動信号を出力して、大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、小ルーレット体51Cを時計回りに回転させ、ボール59がボールリセット装置70の直前に到達したところでホイールを停止させる。次いでボールリセット装置70を制御して各ボール59を押し出し、ボールリリース装置60内のスタンバイ位置SBに移動させる。
【0115】
(5.本実施形態の効果)
(5−1)本実施形態によれば、ルーレット体(回転体)51の回転中心線を鉛直方向に対して傾斜させた場合であっても、一周(2π)をポケット52の総数Nで分割した角度よりも小さい角度でボール59の導入タイミングを制御するので、多数のプレイヤに視認可能なルーレットゲームを提供しながら、複数のポケット52の各々に対する入賞確率のばらつきを緩和することが可能である。
【0116】
(5−2)本実施形態によれば、ポケット52の総数NをM分割した多数の角度から乱数Pで選択された1つの角度をボール59のリリースタイミングとして決定するので、複数のポケット52の各々に対する入賞確率を均等にすることが可能である。このため、カジノなど、抽選確率の均一性に厳格な環境においても使用可能である。
【0117】
(5−3)本実施形態によれば、1つのルーレット体51による抽選が決定してから次のルーレット体51による抽選を開始するので、徐々に当選番号が決まっていく宝くじの当選発表のような盛り上がる演出を提供可能である。
【0118】
(5−4)本実施形態によれば、複数のルーレット体51による抽選による当選番号の組合せに応じた配当倍率を設定しているので、単独のルーレット体によるゲームに比べて配当が多くなり、プレイヤの射幸心を刺激することができる。
【0119】
(6.変形例)
本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば以下のような変形が可能である。
【0120】
(6−1)上記実施形態では、エンコーダー43の検出する角度(ラジアン)の相対値によってルーレット体51の回転位置を特定していたが、これに限定されない。回転体の回転位置を特定可能であれば、異なる物理量で特定するようにしてもよい。例えば、基準位置を通過した時からの経過時間Tでボール59を導入するタイミングを制御するようにしてもよい。この場合、ルーレット体51の角速度ωや周期Tに基づいて導入タイミングを特定することが可能である。
【0121】
(6−2)上記実施形態では、ルーレットゲームにおけるボールの導入タイミングを制御していたが、これに限定されない。発射タイミングを機械的に制御することで入賞確率に不均衡が生ずるようなゲームであれば、いわゆる伝統的なルーレットゲームを実施可能とした装置に限らず、本発明の技術的思想を適用可能である。
【0122】
(6−3)上記実施形態では、1つの番号当たりの分割数Mを3としていたが、これに限定されない。各ポケット52への入賞確率の不均衡さが許容できるのであれば分割数Mを2としてもよく、逆に各ポケット52への入賞確率の不均衡をさらに是正するのであれば分割数Mを4以上の数とすることも可能である。
【0123】
(6−4)上記実施形態では、番号数N×分割数Mのなかから乱数Pにより1つを選択しボール59の導入タイミングを決定していたが、これに限定されない。例えば、各ポケット52への入賞確率の不均衡さが許容できるのであれば分割数Mのなかから乱数Pにより1つを選択しボール59の導入タイミングを決定するように構成してもよい。この場合には、特定の番号(例えば「00」)の中で導入タイミングを決定するものとして処理する。
【0124】
(6−5)上記実施形態では、3つのルーレット体51A、51B、51Cを有するルーレット抽選装置100を例示したが、これに限定されない。ルーレット体51は、1つまたは2つ、または4つ以上としてもよい。
【0125】
(6−6)上記実施形態では、3つのルーレット体51A、51B、51Cの回転速度を特に規定しなかったが、ルーレット体51の回転速度に限定はない。例えば、小ルーレット体51C、中ルーレット体51B、大ルーレット体51Aの順に回転速度を遅くしていくことが可能である。ルーレット体が大きくなるほど、駆動系その他機械要素に対する負担が大きいため、このような回転速度の設定であれば機械的負担を軽減することができる。またルーレット体が大きくなればなるほど、構造物が回転することについてプレイヤに与える威圧感が増加するので、上記回転速度の設定であればプレイヤに対する威圧感を軽減可能である。さらに3つのルーレット体51A、51B、51Cの回転速度が異なっていれば、プレイヤが目を回す可能性を低減することができる。
【0126】
(6−7)上記実施形態では、3つのルーレット体51A、51B、51Cの回転方向を特に規定しなかったが、各ルーレット体51の回転方向に限定はない。例えば、各ルーレット体51を時計回りに回転させても反時計回りに回転させてもよい。さらに小ルーレット体51C、中ルーレット体51B、大ルーレット体51Aのそれぞれで回転方向を異ならせてもよい。
【0127】
(6−8)上記実施形態では、3つのルーレット体51A、51B、51Cの回転速度を特に規定しなかったが、各ルーレット体51の回転速度に限定はない。例えば、各ルーレット体51の回転速度(角速度)を一定として回転させるほか、回転の途中で速度を増減させたり、断続的に動かしたりするなど、変則的な動きをさせることもできる。
【0128】
(6−9)上記実施形態では、ルーレット抽選装置100の回転中心線を水平面に対して10°傾いたものとしたが、これに限定されない。回転中心線の傾きを鉛直に近づけるほどボール59が揺動する速度を大きくでき、水平に近づけるほどボール59が揺動する速度を小さくすることができる。
【0129】
(6−10)上記実施形態では、マスター機300を中心にシステム制御する例を示したが、マスター機300は必須の構成要素ではない。例えば、マスター機300の機能の総てまたは一部をルーレット抽選装置100に組み込んで構成してもよい。また例えば、各ステーション機200とルーレット抽選装置100とを相互に接続し、ルーレット抽選装置100またはいずれか1以上のステーション機200が上記マスター機300の機能を代替し、または、補完するように構成してもよい。
【0130】
(6−11)上記実施形態では、図1に示すマスター機300やステーション機200は、専用のコンピュータ装置を中心に構成していたが、これに限定されない。例えば、ネットワーク400に接続可能なコンピュータ装置であれば、モバイルコンピュータや携帯端末、ゲーム機などを適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0131】
以上説明したとおり、本発明のルーレット抽選装置およびそのタイミング制御プログラムは、従来のルーレットゲーム等に比べて、ゲームの面白味、興趣性や趣向性を格段に高めることができ、プレイヤのゲームへの参加意識や継続意欲を向上させることが可能となるので、ゲームの提供、実施等に係るソフト及びハード関連の技術全般、さらに、それらの設計、製造、販売等の活動に、広く且つ有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0132】
2…基台、6(6H、6L)…筐体スピーカー(高音用スピーカー、7…中央プロジェクター、8…照明装置、9…履歴表示部
10…支持フレーム、11…縦フレーム、12…横フレーム、13…前後フレーム、14…傾斜フレーム、15…載置フレーム
20…固定部材、21…ホイールレールベース、22…(複数の)ブラケット、23…固定ベース
40…駆動系、41…ルーレット体駆動モーター(駆動源)、43…エンコーダー
50…ルーレット構成部材、51(51A、51B、51C)…ルーレット体(回転体)(大ルーレット体51A、中ルーレット体51B、小ルーレット体51C)、52(52A、52B、52C)…ポケット(大ポケット52A、中ポケット52B、小ポケット52C)、52a…仕切り羽根、53(53A、53B、53C)…番号表示部(大番号表示部53A、中番号表示部53B、小番号表示部53C)、54…ボール周回演出用照明、55(55A、55B、55C)…案内レール(案内機構)(大案内レール55A、中案内レール55B、小案内レール55C)、56…LED(光源)、57…脱落防止用ガード、58…ボールセンサー、59(59A、59B、59C)…ボール(抽選球)(大ボール59A、中ボール59B、小ボール59C)
60…ボールリリース装置、61…ソレノイド、61a…プランジャー、62…ソレノイドセンサー、63…ローラー、64…リリースセンサー、65…セットセンサー、66a…ローラー支持レバー、66b…支点、66c…リンク、66d…伝達用レバー、66e…支点、67…コイルスプリング、68…取付用プレート、69…目隠しプレート
70…ボールリセット装置、71…ボールリセット用モーター、72…ギア列、73…トルクリミッター、74…ボールネジ、75…チェンジナット、76…ボール押出しロッド、76a…センサードグ、77…ホームセンサー、78…リミットセンサー、79…取付用フレーム部材
80…制御部、81…ゲーム制御部、81a…設定部、81b…判定部、81c…支払い部、81d…演算部、82…駆動系制御部、83…ルーレット体制御部、84…ボールリリース制御部、85…ボールリセット制御部、86…表示制御部、87…サウンド制御部、88…照明制御部、90…記憶部、91…ゲームプログラム、92…ベットデータ、93…参考情報、94…ペイアウト率データ
100…ルーレット抽選装置、200(200N)…ステーション機、201…筐体、203…表示部、205…操作部、300…マスター機、400…ネットワーク、500…サイドモニター、1000…ルーレットゲームシステム、θ…ルーレット体の基準位置からn番目の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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