【文献】
吉田哲男(他3名),光学異性体ポリ乳酸を用いた超多層圧電素子の具現化を目指した基盤研究,静電気学会講演論文集2011 第35回静電気学会全国大会,日本,静電気学会,2011年 9月,p.273−278
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高分子圧電材料の主面側に形成された前記第2の導電体の面に厚み方向に沿って、少なくとも一層のフィルム状の他の高分子圧電材料と前記他の高分子圧電材料の主面側の第3の導電体とが順に積層され、
前記他の高分子圧電材料の幅方向の一方の端面に前記第1の端面導電体が延びると共に、前記他の高分子圧電材料の幅方向の他方の端面に前記第2の端面導電体が延びており、
前記第3の導電体が、前記他の高分子圧電材料の主面に幅方向の他方の端部を除いて設けられており、前記第1の端面導電体と導通されると共に、前記第2の端面導電体と接触しないように配置されている、請求項1に記載の圧電デバイス。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
《第1実施形態》
以下、図面を参照して本発明に係る圧電デバイスの第1実施形態について説明する。なお、本願発明の圧電デバイスは後述の第1実施形態のような主面に導電体が配置された1つの高分子圧電材料のみからなるものに限定されず、第1実施形態を繰り返し積層したような、後述するような高分子圧電材料を2層以上積層した圧電デバイスも含まれる。
【0012】
<圧電デバイス10の構成>
図1には、第1実施形態の圧電デバイス10が断面図にて示されている。
【0013】
図1に示されるように、圧電デバイス10は、フィルム状の第1の高分子圧電材料(高分子圧電材料)12と、第1の高分子圧電材料12の主面(本実施形態では裏面12D)に設けられた第1の導電体14と、第1の高分子圧電材料12の表面12C(第1の導電体14と反対側の面)に設けられた第2の導電体16と、を備えている。
【0014】
第1の高分子圧電材料12は、平面視にて略矩形状に形成されている。第1の高分子圧電材料12の幅方向(矢印Bに示す主面に対して平行方向)の一方の端部12Aに沿った表面12Cには、第2の導電体16は形成されていない。第1の高分子圧電材料12のその他の表面12C、すなわち第1の高分子圧電材料12の幅方向の他方の端部12B側を含む表面12Cに第2の導電体16が形成されている。第1の高分子圧電材料12の幅方向の他方の端部12Bに沿った裏面12Dには、第1の導電体14は形成されていない。第1の高分子圧電材料12のその他の裏面12D、すなわち第1の高分子圧電材料12の幅方向の一方の端部12A側を含む裏面12Dに第1の導電体14が形成されている。
【0015】
さらに、圧電デバイス10は、第1の高分子圧電材料12の幅方向(矢印Bに示す主面に対して平行方向)の一方の端面12Eに設けられた第1の端面導電体30と、第1の高分子圧電材料12の幅方向の他方の端面(一方の端面12E以外の他方の端面)12Fに設けられた第2の端面導電体32と、を備えている。第1の端面導電体30は、第1の導電体14と接触して導通されると共に、第2の導電体16と接触しないように配置されている。第2の端面導電体32は、第2の導電体16と接触して導通されると共に、第1の導電体14と接触しないように配置されている。本実施形態では、第1の端面導電体30と第2の端面導電体32は、第1の高分子圧電材料12の幅方向の両側に設けられており、両者は接触していない。
【0016】
なお、第2の端面導電体32は、第1の高分子圧電材料12の幅方向の他方の端面12Fに限定するものではなく、例えば、第1の高分子圧電材料12の一方の端面12Eと直交する端面(一方の端面12E以外の他方の端面)に設けられていてもよい。その場合、第1の端面導電体30と第2の端面導電体32は、接触しないように設けることが好ましい。
【0017】
圧電デバイス10では、第1の導電体14と第1の端面導電体30とで一方の電極62(本実施形態では、例えば−電極)が形成され、第2の導電体16と第2の端面導電体32とで他方の電極64(本実施形態では、例えば+電極)が形成されている。電極62を構成する第1の端面導電体30と電極64を構成する第2の端面導電体32には、リード線44を介して電気回路46が接続されている。電気回路46は、例えば、電極62と電極64に所定の電圧を印加することで、第1の高分子圧電材料12を主として厚み方向と直交する方向に変形させる。
【0018】
圧電デバイス10では、第1の高分子圧電材料12の主面(裏面12D)に設けられた第1の導電体14の面積と、第1の高分子圧電材料12の反対側の面(表面12C)に設けられた第2の導電体16の面積の和をD1とする。また、第1の高分子圧電材料12の主面(裏面12D)の第1の導電体14の設けられていない部分の面積と、第1の高分子圧電材料12の反対側の面(表面12C)の第2の導電体16の設けられていない部分の面積の和をD2とする。このとき、D1/D2が10以上となるように構成されていることが好ましい。D1/D2は、15以上であることがより好ましく、17以上であることがさらに好ましい。なお、D1/D2が前記範囲内ならば、導電体の形状や主面の導電体が設けられていない部分の面積の形状は制限されない。
【0019】
また、第1の高分子圧電材料12は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子を含んでなり、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%とされていることが好ましい。また前記ヘリカルキラル高分子ではなく強誘電性高分子であるPVDF、及びP(VDF−TrFE)を含む態様も好ましい。また高分子圧電材料は1種類の材質で構成されている必要はなく、例えば、2つの高分子圧電材料が導電体を介さないで積層させたものも、本願発明の高分子圧電材料として用いることができる。
【0020】
圧電デバイス10を上記構成とすることで、第1の高分子圧電材料12の幅方向両側の端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、第1の高分子圧電材料12の圧電定数d
14が大きく低下しない。
なお、本実施形態において、高分子圧電材料とは、通常、25℃において変位法で測定した圧電定数d
14が1pm/V以上であるものをいう。
【0021】
ここで、「圧電定数d
14」とは、圧電率のテンソルの一つであり、延伸した材料の延伸軸方向に、ずり応力を印加したとき、ずり応力の方向に分極が生じるとき、単位ずり応力あたりの発生電荷密度をd
14と定義する。圧電定数d
14の数値が大きいほど圧電性が高いことを表す。
【0022】
本実施形態において、単に『圧電定数』と称するときは、「圧電定数d
14」を指す。
ここで、圧電定数d
14は、以下の方法で算出される値である。すなわち、延伸方向に対して、斜め45°の方向を長手方向とした矩形フィルムを試験片とする。この試験片の主面の表裏全面に電極層を設け、この電極に印加電圧E(V)を加えたとき、フィルムの長手方向の歪量をXとする。印加電圧E(V)をフィルムの厚さt(m)で割った値を電界強度E(V/m)とし、E(V)印加したときのフィルムの長手方向の歪量をXとしたとき、d
14は、2×歪量X/電界強度E(V/m)で定義される値である。
また、複素圧電率d
14は、「d
14=d
14’―id
14’’」として算出され、「d
14’」と「id
14’’」は東洋精機製作所社製「レオログラフソリッドS−1型」より得られる。「d
14’」は、複素圧電率の実数部を表し、「id
14’’」は、複素圧電率の虚数部を表し、d
14’(複素圧電率の実数部)は本実施形態における圧電定数d
14に相当する。
尚、複素圧電率の実数部が高いほど圧電性に優れることを示す。
圧電定数d
14には変位法で測定されるもの(単位:pm/V)と、共振法により測定されるもの(単位:pC/N)とがある。
【0023】
<第1実施形態の圧電デバイスの製造方法>
次に、本発明に係る圧電デバイスの製造方法について、第1実施形態を例として説明する。
第1の高分子圧電材料12の表面12Cに、幅方向の一方の端部12A側を除いて第2の導電体16を設ける。第2の導電体16は、例えば、第1の高分子圧電材料12の表面の端部12A側をマスクし、金属蒸着又は導電性ポリマーによって形成する。なお、第2の導電体16を接着剤による接着層を介して第1の高分子圧電材料12の表面に接着してもよい。
さらに、第1の高分子圧電材料12の裏面12Dに、幅方向の他方の端部12B側を除いて第1の導電体14を設ける。第1の導電体14は、第2の導電体16と同様の方法によって形成する。
【0024】
その後、第1の高分子圧電材料12の幅方向の一方の端面12Eに第1の端面導電体30を形成する。第1の端面導電体30は、第1の導電体14と接触させると共に、第2の導電体16と接触しないように形成する。
【0025】
また、第1の高分子圧電材料12の幅方向の他方の端面12Fに第2の端面導電体32を形成する。第2の端面導電体32は、第2の導電体16と接触させると共に、第1の導電体14と接触しないように形成する。
第1の端面導電体30と第2の端面導電体32は、例えば、第1の高分子圧電材料12幅方向両側の端面に導電ペーストを塗布することによって形成する。
【0026】
このような圧電デバイス10の製造方法によれば、第1の高分子圧電材料12の幅方向両側の端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下しない。
【0027】
<本実施形態の高分子圧電材料>
ここで、本実施形態の高分子圧電材料について説明する。高分子圧電材料は、上述のように、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子を含んでなり、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%とされていることが好ましい。また高分子圧電材料が、強誘電性高分子であるPVDF、及びP(VDF−TrFE)を含む態様も好ましい。なお、本願では主に特に好ましい態様として高分子圧電材料がヘリカルキラル高分子を含む態様について説明するが、高分子圧電材料がヘリカルキラル高分子を含まず強誘電性高分子であるPVDF、及びP(VDF−TrFE)を含む態様を除外するものではない。
【0028】
〔光学活性を有するヘリカルキラル高分子〕
光学活性を有するヘリカルキラル高分子とは、分子構造が螺旋構造である分子光学活性を有する高分子をいう。
光学活性を有するヘリカルキラル高分子(以下、「光学活性高分子」ともいう)としては、例えば、ポリペプチド、セルロース誘導体、ポリ乳酸系樹脂、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β―ヒドロキシ酪酸)等を挙げることができる。
前記ポリペプチドとしては、例えば、ポリ(グルタル酸γ−ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ−メチル)等が挙げられる。
前記セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロース、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
【0029】
光学活性高分子は、高分子圧電材料の圧電性を向上する観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましく、99.00%ee以上であることがより好ましく、99.99%ee以上であることがさらに好ましい。望ましくは100.00%eeである。光学活性高分子の光学純度を上記範囲とすることで、圧電性を発現する高分子結晶のパッキング性が高くなり、その結果、圧電性が高くなるものと考えられる。
本実施形態において、光学活性高分子の光学純度は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%ee)=100×|L体量−D体量|/(L体量+D体量)
すなわち、『「光学活性高分子のL体の量〔質量%〕と光学活性高分子のD体の量〔質量%〕との量差(絶対値)」を「光学活性高分子のL体の量〔質量%〕と光学活性高分子のD体の量〔質量%〕との合計量」で割った(除した)数値』に、『100』をかけた(乗じた)値を、光学純度とする。
なお、光学活性高分子のL体の量〔質量%〕と光学活性高分子のD体の量〔質量%〕は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法により得られる値を用いる。具体的な測定の詳細については後述する。
【0030】
以上の光学活性高分子の中でも、光学純度を上げ、圧電性を向上させる観点から、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有する化合物が好ましい。
【0031】
【化2】
【0032】
前記式(1)で表される繰り返し単位を主鎖とする化合物としては、ポリ乳酸系樹脂が挙げられる。中でも、ポリ乳酸が好ましく、L−乳酸のホモポリマー(PLLA)またはD−乳酸のホモポリマー(PDLA)が最も好ましい。
【0033】
前記ポリ乳酸系樹脂とは、「ポリ乳酸」、「L−乳酸またはD−乳酸と、共重合可能な多官能性化合物とのコポリマー」、又は、両者の混合物をいう。
前記「ポリ乳酸」は、乳酸がエステル結合によって重合し、長く繋がった高分子であり、ラクチドを経由するラクチド法と、溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法などによって製造できることが知られている。前記「ポリ乳酸」としては、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸およびD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むブロックコポリマー、及び、L−乳酸およびD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むグラフトコポリマーが挙げられる。
【0034】
前記「共重合可能な多官能性化合物」としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸、グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸、及びこれらの無水物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール、セルロース等の多糖類、及び、α−アミノ酸等のアミノカルボン酸等を挙げることができる。
【0035】
前記「乳酸と共重合可能な多官能性化合物とのコポリマー」としては、らせん結晶を生成可能なポリ乳酸シーケンスを有する、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーが挙げられる。
前記ポリ乳酸系樹脂は、例えば、特開昭59−096123号公報、及び特開平7−033861号公報に記載されている乳酸を直接脱水縮合して得る方法や、米国特許2,668,182号及び4,057,357号等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法などにより製造することができる。
さらに、前記の各製造方法により得られた光学活性高分子は、光学純度を95.00%ee以上とするために、例えば、ポリ乳酸をラクチド法で製造する場合、晶析操作により光学純度を95.00%ee以上の光学純度に向上させたラクチドを、重合することが好ましい。
【0036】
〔光学活性高分子の重量平均分子量〕
本実施形態に係る光学活性高分子は、重量平均分子量(Mw)が、5万〜100万である。
光学活性高分子の重量平均分子量の下限が、5万未満であると光学活性高分子を成型体としたときの機械的強度が不十分となる。光学活性高分子の重量平均分子量の下限は、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。一方、光学活性高分子の重量平均分子量の上限が100万を超えると、光学活性高分子を成型体としたときのフィルムなどの押出成型などの成形をすることが難しくなる。重量平均分子量の上限は、80万以下であることが好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。
また、前記光学活性高分子の分子量分布(Mw/Mn)は、高分子圧電材料の強度の観点から、1.1〜5であることが好ましく、1.2〜4であることがより好ましい。さらに1.4〜3であることが好ましい。
なお、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量Mwと、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、下記GPC測定方法により、測定される。
【0037】
−GPC測定装置−
Waters社製GPC−100
−カラム−
昭和電工社製、Shodex LF−804
−サンプルの調製−
ポリ乳酸系高分子を40℃で溶媒(例えば、クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mlのサンプル溶液を準備する。
【0038】
−測定条件−
サンプル溶液0.1mlを溶媒〔クロロホルム〕、温度40℃、1ml/分の流速でカラムに導入する。
カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定する。ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を算出する。
ポリ乳酸系高分子は、市販のポリ乳酸を用いてもよく、例えば、PURAC社製のPURASORB(PD、PL)、三井化学社製のLACEA(H−100、H−400)等が挙げられる。
光学活性高分子としてポリ乳酸系樹脂を用いるとき、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)を5万以上とするためには、ラクチド法、または直接重合法により光学活性高分子を製造することが好ましい。
【0039】
〔その他の成分〕
本実施形態の高分子圧電材料は、本実施形態の効果を損なわない限度において、ヘリカルキラル高分子以外に、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン樹脂やポリスチレン樹脂に代表される公知の樹脂や、シリカ、ヒドロキシアパタイト、モンモリロナイト等の無機フィラー、フタロシアニン等の公知の結晶核剤等他の成分を含有していてもよい。
【0040】
−無機フィラー−
例えば、高分子圧電材料を、気泡等のボイドの発生を抑えた透明なフィルムとするために、高分子圧電材料中に、ヒドロキシアパタイト等の無機フィラーをナノ分散してもよいが、無機のフィラーをナノ分散させるためには、凝集塊の解砕に大きなエネルギーが必要であり、また、フィラーがナノ分散しない場合、フィルムの透明度が低下する場合がある。本実施形態に係る高分子圧電材料が無機フィラーを含有するとき、高分子圧電材料全質量に対する無機フィラーの含有量は、1質量%未満とすることが好ましい。
なお、高分子圧電材料がヘリカルキラル高分子以外の成分を含む場合、ヘリカルキラル高分子以外の成分の含有量は、高分子圧電材料全質量中に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0041】
−結晶促進剤(結晶核剤)−
結晶促進剤は、結晶化促進の効果が認められるものであれば、特に限定されないが、ポリ乳酸の結晶格子の面間隔に近い面間隔を持つ結晶構造を有する物質を選択することが望ましい。面間隔が近い物質ほど核剤としての効果が高いからである。
例えば、有機系物質であるフェニルスルホン酸亜鉛、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート、フェニルホスホン酸亜鉛、フェニルホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸マグネシウム、無機系物質のタルク、クレー等が挙げられる。
それらのうちでも、最も面間隔がポリ乳酸の面間隔に類似し、良好な結晶形成促進効果が得られるフェニルホスホン酸亜鉛が好ましい。なお、使用する結晶促進剤は、市販されているものを用いることができる。具体的には例えば、フェニルホスホン酸亜鉛;エコプロモート(日産化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0042】
結晶核剤の含有量は、ヘリカルキラル高分子100重量部に対して通常0.01〜1.0重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部、より良好な結晶促進効果とバイオマス度維持の観点から特に好ましくは0.02〜0.2重量部である。結晶核剤の上記含有量が、0.01重量部未満では結晶促進の効果が十分でなく、1.0重量部を超えると結晶化の速度を制御しにくくなり、高分子圧電材料の透明性が低下する傾向にある。
なお、高分子圧電材料は、透明性の観点からは、ヘリカルキラル高分子以外の成分を含まないことが好ましい。
【0043】
<高分子圧電材料の製造>
本実施形態の高分子圧電材料は、既述のポリ乳酸系高分子などのヘリカルキラル高分子、並びに、必要に応じて他の成分を混合して、混合物とすることにより得られる。
混合物は溶融混練することが好ましい。
具体的には、例えば、2種類のヘリカルキラル高分子を混合する場合やヘリカルキラル高分子に上述の無機フィラーや結晶核剤を混合する場合は、混合するヘリカルキラル高分子を、溶融混練機〔東洋精機社製、ラボプラストミキサー〕を用い、ミキサー回転数30rpm〜70rpm、180℃〜250℃の条件で、5分〜20分間溶融混練することで、複数種のヘリカルキラル高分子のブレンド体やヘリカルキラル高分子と無機フィラーなどの他の成分とのブレンド体を得ることができる。
【0044】
<高分子圧電材料の製造方法>
本実施形態の高分子圧電材料は、例えば、ヘリカルキラル高分子を含む非晶状態のシートを加熱して予備結晶化シートを得る第一の工程と、前記予備結晶化シートを主として1軸方向に延伸する第二の工程と、を含む、製造方法によって製造されうる。具体的には、日本国特許4934235号公報や国際公開第2010/104196パンフレットに記載の方法で製造することができる。
【0045】
<高分子圧電材料の物性>
本実施形態の高分子圧電材料を用いることで、高分子圧電材料の幅方向両側の端面に一対の端面導電体(電極)を形成したとき、高分子圧電材料の圧電定数d
14が大きく低下しない。
【0046】
〔圧電定数(変位法)〕
本実施形態において、高分子圧電材料の圧電定数は、次のようにして測定される値をいう。
高分子圧電材料を、延伸方向(MD方向)に40mm、延伸方向に直交する方向(TD方向)に40mmでそれぞれカットして、矩形の試験片を作製する。
アルバック社製スパッタ薄膜形成装置JSP−8000の試験台に、得られた試験片をセットし、ロータリーポンプによりコータチャンバー内を真空状態(例えば、10
−3Pa以下)にする。その後、Ag(銀)ターゲットに、印加電圧280V、スパッタリング電流0.4A)の条件で、試験片の一方の面に500秒間スパッタリング処理をする。次いで、試験片の他方の面を、同様の条件で500秒間スパッタリング処理をして、試験片の両面にAgを被覆し、Agの導電層を形成する。
両面にAgの導電層が形成された40mm×40mmの試験片を、高分子圧電材料の延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に32mm、45°なす方向に直交する方向に5mmにカットして、32mm×5mmの矩形のフィルムを切り出す。これを、圧電定数測定用サンプルとする。
【0047】
得られたサンプルに、10Hz、300Vppの交流電圧を印加したときの、フィルムの変位の最大値と最小値の差分距離を、キーエンス社製レーザ分光干渉型変位計SI−1000により計測する。計測した変位量(mp−p)を、フィルムの基準長30mmで割った値を歪量とし、この歪量をフィルムに印加した電界強度((印加電圧(V))/(フィルム厚))で割った値に2を乗じた値を圧電定数d
14とする。
圧電定数は高ければ高いほど、高分子圧電材料に印加される電圧に対する前記材料の変位、逆に高分子圧電材料に印加される力に対し発生する電圧が大きくなり、高分子圧電材料としては有用である。
具体的には、25℃における変位法で測定した圧電定数d
14は4pm/V以上が好ましく、5pm/V以上がより好ましく、6pm/V以上がさらに好ましく、8pm/V以上がさらにより好ましい。
圧電定数の上限は特に限定されないが、後述する透明性などのバランスの観点からは、ヘリカルキラル高分子を用いた圧電材料では50pm/V以下が好ましく、30pm/V以下がより好ましい。
【0048】
〔結晶化度〕
高分子圧電材料の結晶化度は、DSC法によって求められるものであり、本実施形態の高分子圧電材料の結晶化度は20〜80%であり、50〜70%が好ましい。前記範囲に結晶化度があれば、高分子圧電材料の圧電性、透明性のバランスがよく、また高分子圧電材料を延伸するときに、白化や破断がおきにくく製造しやすい。
【0049】
〔透明性(内部ヘイズ)〕
高分子圧電材料の透明性は、例えば、目視観察やヘイズ測定により評価することができる。高分子圧電材料のヘイズは、可視光線に対する透過ヘイズが0.0%〜50%であることが好ましく、0.05%〜30%であることがより好ましい。ここで、ヘイズは、厚さ0.05mmの高分子圧電材料に対して、JIS−K7105に準拠して、ヘイズ測定機〔(有)東京電色製、TC−HIII DPK〕を用いて25℃で測定したときの値であり、測定方法の詳細は実施例において後述する。高分子圧電材料のヘイズは、低ければ低いほどよいが、圧電定数などとのバランスの観点からは、0.01%〜10%であることが好ましく、0.1%〜5%であることがさらに好ましい。なお本願でいう「ヘイズ」または「透過へイズ」とは、本発明の高分子圧電材料の内部へイズをいう。内部へイズとは、実施例において後述するように前記高分子圧電材料の外表面の形状によるヘイズを除外したヘイズである。
【0050】
<圧電デバイスの構造>
本願発明の圧電デバイスは、高分子圧電材料の主面に設けられた導電体の面積と、高分子圧電材料の反対側の面に設けられた導電体の面積の和をD1とする。また、高分子圧電材料の主面の導電体の設けられていない部分の面積と、高分子圧電材料の反対側の面の導電体の設けられていない部分の面積の和をD2とする。このとき、D1をD2で除したD1/D2が、10以上であることが好ましい。D1/D2は、15以上であることがより好ましく、17以上であることがさらに好ましい。なお、D1/D2が前記範囲内ならば、導電体の形状や主面の導電体が設けられていない部分の面積の形状は制限されない。
【0051】
本願発明の圧電デバイスでは、高分子圧電材料の片面しか導電体の無い部分の面積であるD2に対応する部位は、片面電極となる範囲であり、ほとんど変形しない部位である。このD2に対応する部位の体積の割合が多いと、高分子圧電材料の変形が押さえ込まれると考えられる。すなわち、ほとんど変形しない部位であるD2に対応する部位の近傍は、高分子圧電材料の変形が押さえ込まれるため、D1/D2は大きいほうが好ましい。D1/D2が10以上であると、高分子圧電材料の変形が押さえ込まれにくく、圧電性が高くなる。
【0052】
また、本願発明の圧電デバイスの導電体(電極)としては、特に制限されないが、例えば、ITO、ZnO、IZO(登録商標)、アルミニウム等の金属、導電性ポリマー等が用いられる。高分子圧電材料の主面(特に表面側)に設けられる導電体(電極)は、透明性のある導電体であることが好ましい。ここで、導電体について、透明性があるとは、具体的には、内部ヘイズが20%以下(全光線透過率が80%以上)であることをいう。
【0053】
本実施形態の圧電デバイス10では、第1の高分子圧電材料12の幅方向両側の端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下しない。
【0054】
<接着層を形成する接着剤>
図示を省略するが、第1の高分子圧電材料12の裏面12Dと第1の導電体14、第1の高分子圧電材料12の表面12Cと第2の導電体16とは、接着層を介して接合してもよい。接着層(
図2の接着層18、
図3の接着層18、24も同様)を形成する接着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン−エポキシ系、塩化ビニル樹脂、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、シリコーン系、変性シリコーン系、水性高分子-イソシアネート系、スチレン-ブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、臭素樹脂、デンプン系、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が用いられる。
また、導電体と接着層は両方の機能を持つ同一の材料を用いても良い。そのような導電性接着剤としては、例えば、導電性フィラーを分散させた熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、導電性高分子を分散させた熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などが用いられる。
導電性フィラーとしてはカーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンブラック、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、フラーレンなどのカーボン化合物、金、銀、銅、アルミニウムの等の金属、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ITO等の金属酸化物が挙げられる。
導電性高分子としてはポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン(またはそれにポリスチレンスルホン酸をドープしたもの)などが挙げられる。
【0055】
〔接着剤の動的粘弾性及び損失正接の測定〕
接着剤の動的粘弾性及び損失正接の測定方法は、乾燥後、25℃において自立フィルム化が可能な接着剤(25℃で固体の接着剤)と、25℃において自立フィルム化が不可能な接着剤(25℃で液状に近い状態の接着剤)とで異なる。
乾燥後、25℃において自立フィルム化が可能な接着剤の場合は、テフロン(登録商標)製フィルム上に接着剤を塗布してさらにテフロン(登録商標)製フィルムを重ねた後、80℃に設定したプレス機で30分間プレスして乾燥し、接着剤フィルムを得る。このフィルムを5mm×30mmに切り出し、動的固体粘弾性(引張モード)を測定装置(レオメトリクス社製RSA2)を用い、測定温度25℃、測定周波数0.01Hzの条件で測定し、引張貯蔵弾性率E’(Pa)と損失正接を得る。
【0056】
一方、乾燥後、25℃において自立フィルム化が不可能な接着剤の場合、すなわち25℃において液状に近い状態の接着剤の場合は、測定治具上に接着剤を塗布した後、80℃に設定したオーブンで30分間乾燥し、測定治具上に接着層を形成する。この接着層の動的固体粘弾性(せん断モード)を測定装置(TAインスツルメンツ社製ARES)を用い、測定温度25℃、測定周波数0.01Hzの条件で測定し、せん断貯蔵弾性率G’(Pa)と損失正接を得る。
【0057】
動的固体粘弾性測定では、弾性に相当する貯蔵弾性率E’もしくはG’(Pa)、粘性に相当する損失弾性率E”もしくはG”(Pa)、および損失弾性率E”もしくはG”と貯蔵弾性率E’もしくはG’の比であり、振動吸収性を反映する損失正接(tanδ)を測定する。
ここで、動的固体粘弾性測定からせん断貯蔵弾性率G’が得られる場合は、「E’=G’×3」の式を用い、せん断貯蔵弾性率G’の3倍の値であるE’に換算できる。
【0058】
接着層の周波数0.01Hzで測定した25℃における動的粘弾性測定から得られる引張貯蔵弾性率E’(せん断貯蔵弾性率G’が得られる場合は、せん断貯蔵弾性率G’の3倍の値「G’×3」)は、1×10
2〜1×10
9Paであることが好ましく、1×10
3〜1×10
8Paであることがより好ましく、1×10
4〜1×10
7Paであることがさらに好ましい。引張貯蔵弾性率E’が1×10
2Pa以上であると、物理的な力に対する積層フィルムの耐性が高くなる(壊れにくい)。引張貯蔵弾性率E’が1×10
9Pa以下であると、圧電デバイスが変位しやすくなり、圧電性が高くなる。言い換えると、引張貯蔵弾性率E’が1×10
2Paより小さいと、物理的な力に対する積層フィルムの耐性が足りなくなる可能性があり、引張貯蔵弾性率E’が1×10
9Paより大きいと、圧電デバイスが変位しにくくなる。
【0059】
また、接着層の周波数0.01Hzで測定した25℃における動的粘弾性測定から得られる引張貯蔵弾性率E’が1×10
6Pa以上であり、かつ損失正接が0.03以上であることが好ましい。測定される圧電デバイスの変位量は、高分子圧電材料の厚み方向に対して直交する方向の変位量である。接着層は、高分子圧電材料の厚み方向に存在するため、測定される変位量に対して、変位を伝達する役割を担っていない。むしろ、圧電デバイスの導電体が形成されていない部分(面積はD2)と同じように、接着層が高分子圧電材料の変位を押さえ込むかどうかがポイントとなる。すなわち、引張貯蔵弾性率E’が低い接着剤(例えば、1×10
5Pa以下)、又は引張貯蔵弾性率E’が高くても損失正接が大きく、高分子圧電材料の変位に対して追随できるような接着剤を用いることが好ましい。引張貯蔵弾性率E’が高い接着剤の場合(例えば、1×10
6Pa以上)、損失正接は0.03以上が好ましく、0.08以上がより好ましく、0.40以上がさらに好ましい。
【0060】
〔積層フィルム中の接着層の厚み〕
下記式に従い、圧電デバイスを構成する積層フィルム中の接着層の厚みを計算する。
接着層の厚み=積層フィルムの厚み−接着剤塗布前のフィルム厚の和
ここで、接着剤塗布前のフィルム厚の和とは、接着剤塗布前の各フィルム単体の厚みの和をいう。なお、接着剤塗布前のフィルム厚の和は、高分子圧電材料が単層フィルムからなる場合は、高分子圧電材料単体の厚みをいう。
接着層の厚みは、高分子圧電材料の変位の押さえ込みを抑制するためには、なるべく薄いほうが好ましいと考えられるが、引張貯蔵弾性率E’もしくはせん断貯蔵弾性率G’の3倍の値G’×3や損失正接によって、好適な接着層の厚みが異なる。
【0061】
以上説明したように、本願発明の圧電デバイスでは、圧電定数d
14が大きく、透明性に優れた高分子圧電材料が用いられている。このため、圧電デバイスは、スピーカー、ヘッドホン、マイクロホン、水中マイクロホン、超音波トランスデューサ、超音波応用計測器、圧電振動子、機械的フィルター、圧電トランス、遅延装置、センサー、加速度センサー、衝撃センサー、振動センサー、感圧センサー、触覚センサー、電界センサー、音圧センサー、ディスプレイ、ファン、ポンプ、可変焦点ミラー、遮音材料、防音材料、キーボード、音響機器、情報処理機、計測機器、医用機器などの種々の分野で利用することができる。
【0062】
また、本願発明の圧電デバイスは、高分子圧電材料の幅方向両側の端面に一対の端面導電体(電極)を形成したとき、高分子圧電材料の圧電定数d
14が大きく低下しない。このため、スピーカーやタッチパネル等、上述の種々の圧電デバイスに応用することができる。特に、本願発明の圧電デバイスは、端面電極にリード線を接続した場合、圧電デバイスの主面にリード線が配置されないので、圧電デバイスの主面方向の透明性が要求される用途に好適である。具体的には、透明性のある導電体(電極)を備えた圧電デバイスは、スピーカー、タッチパネル、アクチュエータ等への応用に好適である。
【0063】
《第2実施形態》
次に、本発明に係る圧電デバイスの第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0064】
図2に示されるように、圧電デバイス50は、フィルム状の第1の高分子圧電材料(高分子圧電材料)12と、第1の高分子圧電材料12の主面(本実施形態では裏面12D)に設けられた第1の導電体14と、第1の高分子圧電材料12の表面12C(第1の導電体14と反対側の面)に設けられた第2の導電体16と、を備えている。また、圧電デバイス50は、第1の高分子圧電材料12の表面12Cに設けられた第2の導電体16表面に、接着層18を介して接着されたフィルム状の第2の高分子圧電材料(他の高分子圧電材料)20を備えている。圧電デバイス50は、第2の高分子圧電材料20の表面20C(接着層18と反対側の面)に厚み方向に設けられた第3の導電体22を備えている。
【0065】
また、圧電デバイス50は、第1の高分子圧電材料12及び第2の高分子圧電材料20の幅方向(矢印Bに示す主面に対して平行方向)の一方の端面12E、20Eに連続して設けられた第1の端面導電体30を備えている。さらに、圧電デバイス50は、第1の高分子圧電材料12及び第2の高分子圧電材料20の幅方向の他方の端面12F、20Fに連続して設けられた第2の端面導電体32を備えている。第1の端面導電体30は、第1の導電体14及び第3の導電体22と接触して導通されると共に、第2の導電体16と接触しないように配置されている。第2の端面導電体32は、第2の導電体16と接触して導通されると共に、第1の導電体14及び第3の導電体22と接触しないように配置されている。
【0066】
圧電デバイス50では、第1の導電体14と第3の導電体22と第1の端面導電体30とで一方の電極52(本実施形態では、例えば−電極)が形成されており、第2の導電体16と第2の端面導電体32とで他方の電極54(本実施形態では、例えば+電極)が形成されている。電極52を構成する第1の端面導電体30と電極54を構成する第2の端面導電体32には、リード線44を介して電気回路46が接続されている。
【0067】
圧電デバイス50では、第1の高分子圧電材料12(又は第2の高分子圧電材料20)の主面に設けられた導電体の面積と、第1の高分子圧電材料12(又は第2の高分子圧電材料20)の反対側の面に設けられた導電体の面積の和をD1とする。また、第1の高分子圧電材料12(又は第2の高分子圧電材料20)の主面の導電体の設けられていない部分の面積と、第1の高分子圧電材料12(又は第2の高分子圧電材料20)の反対側の面の導電体の設けられていない部分の面積の和をD2とする。このとき、D1をD2で除したD1/D2が、10以上であることが好ましい。
なお、2層構造ではそれぞれの高分子圧電材料について、D1/D2が、10以上であることが好ましい。D1/D2は、15以上であることがより好ましく、17以上であることがさらに好ましい。なお、D1/D2が前記範囲内ならば、導電体の形状や主面の導電体が設けられていない部分の面積の形状は制限されない。
【0068】
また、一般的に、圧電デバイスを構成する高分子圧電材料は、圧電定数d
14が同じであれば、その変位量は電界強度に比例する。また、同じ電源を用いた場合、高分子圧電材料の厚みが1/2となると、高分子圧電材料の変位量は約2倍となる。このため、高分子圧電材料を積層すると、変位が大きく、見かけの圧電定数d
14が大きくなる。例えば、高分子圧電材料を2層に積層すると、理想的には、見かけの圧電定数d
14は約2倍に近づくと考えられる。
しかし、一般的には、複数の高分子圧電材料を積層する場合、各々の高分子圧電材料の間に導電体(電極)を介在させる必要があるため、電極の配置と、電極への配線の接続を効率よく行うことが難しい。
【0069】
圧電デバイス50を上記構成とすることで、第1の高分子圧電材料12及び第2の高分子圧電材料20の積層フィルムの幅方向両側の端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下しない。また、積層フィルムの端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下しないため、高分子圧電材料を積層させても効率的に電圧の印加又は電流の取出しが可能となる。
【0070】
<圧電デバイス50の製造方法>
次に、本発明に係る圧電デバイス50の製造方法の第2実施形態について説明する。
第2の高分子圧電材料20の表面20Cに、幅方向の他方の端部20B側を除いて第3の導電体22を設ける。第3の導電体22は、例えば、第2の高分子圧電材料20の表面の端部20B側をマスクし、金属蒸着又は導電性ポリマーによって形成する。なお、第3の導電体22を接着剤による接着層を介して第2の高分子圧電材料20の表面に接着してもよい。
【0071】
第1の高分子圧電材料12の表面12Cに、幅方向の一方の端部12A側を除いて第2の導電体16を設ける。第2の導電体16は、第3の導電体22と同様の方法によって形成する。なお、第2の導電体16を接着剤による接着層を介して第1の高分子圧電材料12の表面に接着してもよい。
さらに、第1の高分子圧電材料12の裏面12Dに、幅方向の他方の端部12B側を除いて第1の導電体14を設ける。第1の導電体14は、第2の導電体16と同様の方法によって形成する。
【0072】
その後、第2の高分子圧電材料20の裏面に接着層18を形成するための接着剤を塗布し、第1の高分子圧電材料12の表面12Cの第2の導電体16を貼り合わせる。
【0073】
さらに、第1の高分子圧電材料12及び第2の高分子圧電材料20等が積層された積層フィルムの幅方向の一方の端面12E、20E側に厚み方向に沿って第1の端面導電体30を形成する。第1の端面導電体30は、第1の導電体14及び第3の導電体22と接触させると共に、第2の導電体16と接触しないように形成する。
【0074】
また、第1の高分子圧電材料12、及び第2の高分子圧電材料20等が積層された積層フィルムの幅方向の他方の端面12F、20F側に厚み方向に沿って第2の端面導電体32を形成する。第2の端面導電体32は、第2の導電体16と接触させると共に、第1の導電体14及び第3の導電体22と接触しないように形成する。
第1の端面導電体30と第2の端面導電体32は、例えば、第1の高分子圧電材料12及び第2の高分子圧電材料20等が積層された積層フィルムの端面に導電ペーストを塗布することによって形成する。
【0075】
このような圧電デバイス50の製造方法によれば、第1の高分子圧電材料12及び第2の高分子圧電材料20等が積層させた積層フィルムの幅方向両側の端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下しない。また、積層フィルムの端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下しないため、高分子圧電材料を積層させても効率的に電圧の印加又は電流の取出しが可能となる。
【0076】
《第3実施形態》
次に、本発明に係る圧電デバイスの第3実施形態について説明する。なお、前述した第1及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0077】
<圧電デバイス100の構成>
図3には、第3実施形態の圧電デバイス100が断面図にて示されている。
図4には、第3実施形態の圧電デバイス100が分解構成図にて示されている。
【0078】
図3及び
図4に示されるように、圧電デバイス100は、フィルム状の高分子圧電材料の一例としての第1の高分子圧電材料12と、第1の高分子圧電材料12の主面(本実施形態では裏面12D)に厚み方向に設けられた第1の導電体14と、第1の高分子圧電材料12の表面12C(第1の導電体14と反対側の面)に厚み方向に設けられた第2の導電体16と、を備えている。また、圧電デバイス100は、第1の高分子圧電材料12の表面12Cに設けられた第2の導電体16表面に、接着層18を介して接着されたフィルム状の第2の高分子圧電材料(他の高分子圧電材料)20を備えている。また、圧電デバイス100は、第2の高分子圧電材料20の表面20C(接着層18と反対側の面)に厚み方向に設けられた第3の導電体22を備えている。
【0079】
また、圧電デバイス100は、第2の高分子圧電材料20の表面20Cに設けられた第3の導電体22表面に、接着層24を介して接着されたフィルム状の第3の高分子圧電材料26を備えている。さらに、圧電デバイス100は、第3の高分子圧電材料26の表面26C(接着層24と反対側の面)に厚み方向に設けられた第4の導電体28を備えている。
【0080】
すなわち、圧電デバイス100では、第1の高分子圧電材料12の裏面12D(主面)に対して直交する方向(矢印Aに示す厚み方向)に、第1の導電体14と、第1の高分子圧電材料12と、第2の導電体16と、接着層18と、第2の高分子圧電材料20と、第3の導電体22と、接着層24と、第3の高分子圧電材料26と、第4の導電体28と、が順番に積層されている。この圧電デバイス100は、第1の高分子圧電材料12と第2の高分子圧電材料20と第3の高分子圧電材料26とを備えた3層構造とされている。
【0081】
第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26は、平面視にてそれぞれ略矩形状に形成されている(
図7A、
図7B、
図7C参照)。第1の高分子圧電材料12の幅方向(矢印Bに示す主面に対して平行方向)の一方の端部12Aに沿った表面12Cには、第2の導電体16は形成されていない(
図7C参照)。第1の高分子圧電材料12のその他の表面12C、すなわち第1の高分子圧電材料12の幅方向の他方の端部12B側を含む表面12Cに第2の導電体16が形成されている。第1の高分子圧電材料12の幅方向の他方の端部12Bに沿った裏面12Dには、第1の導電体14は形成されていない(
図8C参照)。第1の高分子圧電材料12のその他の裏面12D、すなわち第1の高分子圧電材料12の幅方向の一方の端部12A側を含む裏面12Dに第1の導電体14が形成されている。
【0082】
第2の高分子圧電材料20の幅方向の他方の端部20Bに沿った表面20Cには、第3の導電体22は形成されていない(
図7B参照)。第2の高分子圧電材料20のその他の表面20C、すなわち第2の高分子圧電材料20の幅方向の一方の端部20A側を含む表面20Cに第3の導電体22が形成されている。
【0083】
第3の高分子圧電材料26の幅方向の一方の端部26Aに沿った表面26Cには、第4の導電体28は形成されていない(
図7A参照)。第3の高分子圧電材料26のその他の表面26C、すなわち第3の高分子圧電材料26の幅方向の他方の端部26B側を含む表面26Cに第4の導電体28が形成されている。
【0084】
さらに、
図3に示されるように、圧電デバイス100は、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26の幅方向(矢印Bに示す主面に対して平行方向)の一方の端面12E、20E、26Eに連続して設けられた第1の端面導電体30を備えている。圧電デバイス100は、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26の幅方向の他方の端面12F、20F、26Fに連続して設けられた第2の端面導電体32を備えている。第1の端面導電体30は、第1の導電体14及び第3の導電体22と接触して導通されると共に、第2の導電体16及び第4の導電体28と接触しないように配置されている。第2の端面導電体32は、第2の導電体16及び第4の導電体28と接触して導通されると共に、第1の導電体14及び第3の導電体22と接触しないように配置されている。
【0085】
圧電デバイス100では、第1の導電体14と第3の導電体22と第1の端面導電体30とで一方の電極40(本実施形態では、例えば−電極)が形成されており、第2の導電体16と第4の導電体28と第2の端面導電体32とで他方の電極42(本実施形態では、例えば+電極)が形成されている。電極40を構成する第1の端面導電体30と電極42を構成する第2の端面導電体32には、リード線44を介して電気回路46が接続されている。電気回路46は、例えば、電極40と電極42に所定の電圧を印加することで、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26を主として厚み方向と直交する方向に変形させる。
【0086】
図3に示されるように、圧電デバイス100では、第1の高分子圧電材料12(又は第2の高分子圧電材料20、又は第3の高分子圧電材料26)の主面に設けられた導電体の面積と、第1の高分子圧電材料12(又は第2の高分子圧電材料20、又は第3の高分子圧電材料26)の反対側の面に設けられた導電体の面積の和をD1とする。また、第1の高分子圧電材料12(又は第2の高分子圧電材料20、又は第3の高分子圧電材料26)の主面の導電体の設けられていない部分の面積と、第1の高分子圧電材料12(又は第2の高分子圧電材料20、又は第3の高分子圧電材料26)の反対側の面の導電体の設けられていない部分の面積の和をD2とする。このとき、D1をD2で除したD1/D2が、10以上であることが好ましい。
なお、3層構造ではそれぞれの高分子圧電材料について、D1/D2が、10以上であることが好ましい。またD1/D2は、15以上であることがより好ましく、17以上であることがさらに好ましい。なお、D1/D2が前記範囲内ならば、導電体の形状や主面の導電体が設けられていない部分の面積の形状は制限されない。
【0087】
また、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子を含んでなり、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%とされている。
【0088】
圧電デバイス100を上記構成とすることで、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26を積層した積層フィルムの幅方向両側の端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26の圧電定数d
14が大きく低下しない。また、積層フィルムの端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下しないため、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26を積層させても効率的に電圧の印加又は電流の取出しが可能となる。
【0089】
<圧電デバイス100の製造方法>
次に、圧電デバイスの製造方法の第3実施形態について説明する。
図7A〜
図7C、及び
図8A〜
図8Cには、圧電デバイス100の製造方法の第3実施形態が示されている。
図7Aに示されるように、フィルム状の第3の高分子圧電材料26は、平面視にて(第3の高分子圧電材料26の表面26Cから見て)矩形状に形成されている。すなわち、第3の高分子圧電材料26は、対向して配置される一対の長辺1a、1cと、長辺1a、1cと略直交する一対の短辺1b、1dと、を備えている。第3の高分子圧電材料26の長辺1aは、例えば、第3の高分子圧電材料26の一軸延伸方向E(MD方向)に対して図中の下方側に約45°をなす方向に配置されている。なお、第3の高分子圧電材料26の一軸延伸方向E(MD方向)については、本実施形態に限定されるものではなく、変更可能である。
【0090】
第3の高分子圧電材料26の表面26Cには、幅方向における一方の長辺1c側の端部を除いて第4の導電体28が設けられている。第4の導電体28は、例えば、第3の高分子圧電材料26の表面26Cの長辺1c側の端部をマスクし、金属蒸着、又は導電性ポリマーを設けることによって形成する。なお、第4の導電体28を接着剤による接着層を介して第3の高分子圧電材料26の表面26Cに接着してもよい。また、
図8Aに示されるように、第3の高分子圧電材料26の裏面26Dには、導電体は形成されていない。
【0091】
図7Bに示されるように、フィルム状の第2の高分子圧電材料20は、平面視にて矩形状に形成されており、長辺2a、2cと短辺2b、2dとを備えている。第2の高分子圧電材料20の長辺2aは、例えば、第2の高分子圧電材料20の一軸延伸方向F(MD方向)に対して図中の上方側に約45°をなす方向に配置されている。すなわち、第2の高分子圧電材料20の一軸延伸方向F(MD方向)は、第3の高分子圧電材料26の一軸延伸方向E(MD方向)に対して交差(本実施形態では直交)する方向とされている。なお、第2の高分子圧電材料20の一軸延伸方向F(MD方向)については、本実施形態に限定されるものではなく、変更可能である。
【0092】
第2の高分子圧電材料20の表面20Cには、幅方向における他方の長辺2a側の端部を除いて第3の導電体22が設けられている。第3の導電体22は、第4の導電体28と同様の方法によって形成する。なお、第3の導電体22を接着剤による接着層を介して第2の高分子圧電材料20の表面20Cに接着してもよい。
図8Bに示されるように、第2の高分子圧電材料20の裏面20Dには、導電体は形成されていない。
【0093】
図7Cに示されるように、フィルム状の第1の高分子圧電材料12は、平面視にて矩形状に形成されており、長辺3a、3cと短辺3b、3dとを備えている。第1の高分子圧電材料12の長辺3aは、例えば、第1の高分子圧電材料12の一軸延伸方向E(MD方向)に対して図中の下方側に約45°をなす方向に配置されている。第1の高分子圧電材料12の一軸延伸方向E(MD方向)は、第3の高分子圧電材料26の一軸延伸方向E(MD方向)とほぼ同方向とされている。なお、第1の高分子圧電材料12の一軸延伸方向E(MD方向)については、本実施形態に限定されるものではなく、変更可能である。
【0094】
第1の高分子圧電材料12の表面12Cには、長辺3c側の端部を除いて第2の導電体16が設けられている。第2の導電体16は、第4の導電体28と同様の方法によって形成する。なお、第2の導電体16を接着剤による接着層を介して第1の高分子圧電材料12の表面12Cに接着してもよい。
【0095】
図8Cに示されるように、第1の高分子圧電材料12の裏面12Dには、長辺3a側の端部を除いて第1の導電体14が設けられている。第1の導電体14は、第2の導電体16と同様の方法によって形成する。
【0096】
その後、
図3及び
図4に示されるように、第2の高分子圧電材料20の裏面20Dに接着層18を形成するための接着剤を塗布し、第1の高分子圧電材料12の表面12Cの第2の導電体16を貼り合わせる。その際、長辺3aと長辺2a、長辺3cと長辺2c、短辺3bと短辺2b、短辺3dと短辺2dとが重なるように貼り合わせる。さらに、第3の高分子圧電材料26の裏面26Dに接着層24を形成するための接着剤を塗布し、第2の高分子圧電材料20の表面20Cの第3の導電体22を貼り合わせる。接着層18、24を形成する接着剤については、後に説明する。
【0097】
さらに、
図3及び
図4に示されるように、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20、及び第3の高分子圧電材料26等が積層された積層フィルムの幅方向の一方(長辺3c、2c、1c側)の端面12E、20E、26Eに厚み方向に沿って第1の端面導電体30を形成する。また、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20、及び第3の高分子圧電材料26等が積層された積層フィルムの幅方向の他方(長辺3a、2a、1a側)の端面12F、20F、26Fに厚み方向に沿って第2の端面導電体32を形成する。第1の端面導電体30と第2の端面導電体32は、例えば、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20、及び第3の高分子圧電材料26の端面に導電ペーストを塗布することによって形成する。
【0098】
このような圧電デバイス100の製造方法によれば、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26等が積層させた積層フィルムの幅方向両側の端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26の圧電定数d
14が大きく低下しない。また、積層フィルムの端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32とを形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下しないため、高分子圧電材料を積層させても効率的に電圧の印加又は電流の取出しが可能となる。
【0099】
また、圧電デバイス100では、高分子圧電材料として、例えば、ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層、又はヘリカルキラル高分子のD体を主たる成分とする層を用いた場合、電界の向きを逆向きにすると、逆の変形が起こる。また、ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層と、ヘリカルキラル高分子のD体を主たる成分とする層とは、電界に対して逆の変形となる。このため、高分子圧電材料を積層する場合、電圧の向きと、高分子圧電材料の一軸延伸方向(MD方向)と、ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層、又はヘリカルキラル高分子のD体を主たる成分とする層を考慮し、それぞれの高分子圧電材料の変位の向きを揃えるように配置する必要がある。
ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層として、例えば、L−乳酸のホモポリマー(PLLA)などを主成分とする層があり、ヘリカルキラル高分子のD体を主たる成分とする層としては、例えば、D−乳酸のホモポリマー(PDLA)を主成分とする層がある。
【0100】
図3に示す圧電デバイス100では、電極40を構成する第1の導電体14、第1の高分子圧電材料12、電極42を構成する第2の導電体16、第2の高分子圧電材料20、電極40を構成する第3の導電体22、第3の高分子圧電材料26、電極42を構成する第4の導電体28の順で配置されている。このため、第2の高分子圧電材料20の電圧の向きが、第1の高分子圧電材料12、第3の高分子圧電材料26の電圧の向きと逆になる。
例えば、
図5に示されるように、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26が、ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層から形成されているときは、第2の高分子圧電材料20の一軸延伸方向F(MD方向)を、第1の高分子圧電材料12、第3の高分子圧電材料26の一軸延伸方向E(MD方向)と交差(本実施形態では直交)するように配置することが好ましい。これにより、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26の変位の向きを揃えることができる。なお、「ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層」であれば、他の成分を含んでいてもよく、例えば、L体とD体とを含むものであってもよい。ここで、ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層には、少なくともヘリカルキラル高分子のL体が70%以上含まれていることが好ましい。
【0101】
また、例えば、
図6に示されるように、第1の高分子圧電材料12及び第3の高分子圧電材料26が、ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層から形成されると共に、第2の高分子圧電材料20が、ヘリカルキラル高分子のD体を主たる成分とする層から形成されているときは、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26の一軸延伸方向E(MD方向)をほぼ同方向に配置することが好ましい。これにより、第1の高分子圧電材料12、第2の高分子圧電材料20及び第3の高分子圧電材料26の変位の向きを揃えることができる。
ここで、ヘリカルキラル高分子のD体を主たる成分とする層には、少なくともヘリカルキラル高分子のD体が70%以上含まれていることが好ましい。なお、「ヘリカルキラル高分子のL体を主たる成分とする層」、又は「ヘリカルキラル高分子のD体を主たる成分とする層」であれば、他の成分を含んでいてもよく、例えば、L体とD体とを含むものであってもよい。
【0102】
《他の実施形態》
なお、第1実施形態〜第3実施形態の圧電デバイスでは、高分子圧電材料が1層、2層、3層の場合について説明したが、これらに限定されず、高分子圧電材料が4層以上積層される構造であってもよい。すなわち、本発明は、高分子圧電材料が1層又は2層に限定するものではなく、高分子圧電材料が3層以上であっても、本発明の構成を具備するものであれば適用可能である。
高分子圧電材料が4層以上積層される構造では、それぞれの高分子圧電材料の主面側間に導電体が介在された積層フィルムとすることが好ましい。さらに、それぞれの高分子圧電材料の間に厚み方向に配置された複数の導電体は、交互に第1の端面導電体(一方の電極)、第2の端面導電体(他方の電極)と導通させることが好ましい。これにより、4層以上の高分子圧電材料を積層した場合でも、電極を効率よく配置することができる。
【0103】
また、第1実施形態〜第3実施形態の圧電デバイスでは、矩形状の高分子圧電材料の主面の端部に長手方向に沿って導電体が設けられていない部位を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、
図9に示されるように、矩形状の高分子圧電材料112の主面の端部に長手方向と直交する方向に沿って、導電体114が設けられていない部位116を設けてもよい。この場合、例えば、高分子圧電材料112の長手方向の両側の端面に第1の端面導電体30と第2の端面導電体32を設けることが好ましい。
【0104】
また、第1実施形態〜第3実施形態の圧電デバイスでは、矩形状の高分子圧電材料の長手方向と直交する方向の両側に第1の端面導電体と第2の端面導電体を備えているが、これらに限定されるものではない。例えば、高分子圧電材料の長手方向の端面に第1の端面導電体又は第2の端面導電体を備える構成でもよい。すなわち、高分子圧電材料の「幅方向」は、高分子圧電材料の長手方向と直交する方向に限定するものではなく、高分子圧電材料の長手方向を含む意味である。
【0105】
また、
図10に示されるように、高分子圧電材料12の幅方向(長手方向と直交する方向)の一方の端面に第1の端面導電体130を備えると共に、高分子圧電材料12の一方の端面以外の他方の端面(例えば、一方の端面と直交する端面)に、第1の端面導電体130と接触しないように第2の端面導電体132を備える構成でもよい。同様に、
図11に示されるように、高分子圧電材料112の幅方向(長手方向)の一方の端面に第1の端面導電体134を備えると共に、高分子圧電材料112の一方の端面以外の他方の端面(例えば、一方の端面と直交する端面)に、第1の端面導電体134と接触しないように第2の端面導電体136を備える構成でもよい。
【実施例】
【0106】
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本実施形態はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0107】
〔製造例1〕
三井化学(株)製ポリ乳酸系樹脂(登録商標LACEA、H−400(重量平均分子量Mw:20万)10gとクロロホルム(和光純薬工業株式会社製、和光一級)200gを室温で溶解させポリ乳酸溶液を作成する。次に、安定化剤(B)であるカルボジイミド化合物としてカルボジライド(日清紡ケミカル株式会社、LA−1)を前記ポリ乳酸100重量部に対し1重量部と、クロロホルム10gとを室温で溶解させ、安定化剤溶液を作成する。
【0108】
前記ポリ乳酸溶液と前記安定化剤溶液を室温で混合し、30分攪拌した。この溶液を50℃、0.2気圧で12時間放置し、乾燥させ混合固体を得た。混合固体を205℃で熱プレスを1分間行った後に、20℃に設定したプレス機でプレスして急冷フィルムを得た。前記急冷フィルムの対向する2辺をクリップで固定し、固定した2辺と直交する方向(MD方向)に70℃に加熱しながら3.3倍まで一軸延伸し延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムを、130℃で600秒アニールした後、急冷し、フィルム状の高分子圧電材料を得た。
【0109】
〔実施例1〕
製造例1で作製したフィルム状の高分子圧電材料を表面から見て、高分子圧電材料の一軸延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に30mm、45°なす方向と直交する方向に40mmの長さにカットして、幅30mm×長さ40mmのフィルムを切り出した。この時、フィルムの4辺を
図7Aに示すように1a、1b、1c、1dとする。フィルムの1c側の端部の幅2mm×長さ40mmをカプトンテープ(日東電工株式会社、P−221)でマスクし、フィルム表面に対して蒸着装置(株式会社昭和真空、SIP−600)を用いてアルミニウム(導電体)蒸着してフィルムA(第3の高分子圧電材料26に相当)を作製した。
なお、
図8Aに示すように、フィルムAの裏面には、アルミニウムは蒸着されていない。
【0110】
製造例1で作製したフィルム状の高分子圧電材料を表面から見て、高分子圧電材料の延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向と直交する方向に30mm、45°なす方向に40mmの長さにカットして、幅30mm×長さ40mmのフィルムを切り出した。この時、フィルムの4辺を
図7Bに示すように2a、2b、2c、2dとする。フィルムの2a側の端部幅2mm×長さ40mmをカプトンテープでマスクし、フィルム表面に対して蒸着装置を用いてアルミニウムを蒸着してフィルムB(第2の高分子圧電材料20に相当)を作製した。
なお、
図8Bに示すように、フィルムBの裏面には、アルミニウムは蒸着されていない。
【0111】
製造例1で作製したフィルム状の高分子圧電材料を表面から見て、高分子圧電材料の延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に30mm、45°なす方向と直交する方向に40mmの長さにカットして、幅30mm×長さ40mmのフィルムを切り出した。この時、フィルムの4辺を
図7Cに示すように3a、3b、3c、3dとする。フィルムの3c側の端部の幅2mm×長さ40mmをカプトンテープでマスクし、フィルム表面に対して蒸着装置を用いてアルミニウムを蒸着した。
さらに、
図8Cに示すように、フィルム裏面に対して3a側の端部の幅2mm×長さ40mmをカプトンテープでマスクし、フィルム裏面に対して蒸着装置を用いてアルミニウムを蒸着してフィルムC(第1の高分子圧電材料12に相当)を作製した。
【0112】
フィルムCの表面に接着剤としてJA−7562(住友スリーエム株式会社)を室温で塗布し、フィルムBの裏面と張り合わせた。この時、3aと2a、3bと2b、3cと2c、3dと2dが重なるように張り合わせた。さらに張り合わせたフィルムの表面にJA−7562を塗布し、フィルムAの裏面と張り合わせた。この時、2aと1a、2bと1b、2cと1c、2dと1dが重なるように張り合わせた。このフィルムを80℃に設定したプレス機で30分間プレスして乾燥した。このフィルムの1a側を幅1mm×長さ40mm、1c側を幅1mm×長さ40mm、1b側を幅28mm×長さ4mm、1d側を幅28mm×長さ4mmカットし、幅28mm×長さ32mmの積層フィルムを得た。さらに、積層フィルムの1a側端面、及び1c側端面の全面に、端面導電体としての銀ペースト(株式会社ニラコ Ag−400150)を塗布し、室温で30分乾燥した。
【0113】
〔実施例2〕
フィルムA、フィルムB、フィルムCの幅を20mmとする以外は実施例1と同様に行い、幅18mm×長さ32mmの積層フィルムを得た。
【0114】
〔比較例1〕
フィルムA、フィルムB、フィルムCの幅を10mmとする以外は実施例1と同様に行い、幅8mm×長さ32mmの積層フィルムを得た。
【0115】
〔実施例3〕
接着剤としてアラビックヤマト(ヤマト株式会社)を使用する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0116】
〔実施例4〕
接着剤としてSKダイン1499(総研化学株式会社)を使用する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0117】
〔比較例2〕
接着剤としてアラビックヤマトを使用する以外は、比較例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0118】
〔比較例3〕
接着剤としてSKダイン1499を使用する以外は、比較例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0119】
〔比較例4〕
接着剤としてEW2050(住友スリーエム株式会社)を使用する以外は、比較例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0120】
<物性測定及び評価>
以上のようにして得られた実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の積層フィルムについて、D1/D2、積層フィルム中の接着層の厚み(μm)、圧電定数d
14(pm/V)を測定した。また、実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の積層フィルムにおいて使用される接着剤の貯蔵弾性率(Pa)、損失正接を測定した。その結果を表1に示す。
また、製造例1で作製したフィルム状の高分子圧電材料(積層前の高分子圧電材料)について、圧電定数d14、結晶化度、及び内部ヘイズを測定した。
なお、具体的には、次のようにして測定した。
【0121】
【表1】
【0122】
〔D1/D2〕
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の積層フィルムにおける高分子圧電材料(3層構造ではそれぞれの高分子圧電材料)の主面に設けられた導電体の面積と、高分子圧電材料(3層構造ではそれぞれの高分子圧電材料)の反対側の面に設けられた導電体の面積の和をD1(mm
2)とする。また、第1の高分子圧電材料12の主面の導電体の設けられていない部分の面積と、第1の高分子圧電材料12の反対側の面の導電体の設けられていない部分の面積の和をD2(mm
2)とする。そして、D1をD2で除したD1/D2を算出する。
【0123】
〔積層フィルム中の接着層の厚み〕
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の積層フィルムの厚み(μm)を測定し、下記式に従い、積層フィルム中の接着層の厚み(μm)を計算する。
接着層の厚み=積層フィルムの厚み−接着剤塗布前のフィルム厚の和
【0124】
〔貯蔵弾性率及び損失正接〕
乾燥後、25℃において自立フィルム化が可能な接着剤の場合は、テフロン(登録商標)製フィルム上に接着剤を塗布してさらにテフロン(登録商標)製フィルムを重ねた後、80℃に設定したプレス機で30分間プレスして乾燥し、接着剤フィルムを得た。このフィルムを5mm×30mmに切り出し、動的固体粘弾性(引張モード)を測定装置(レオメトリクス社製RSA2)を用いて測定温度25℃、測定周波数0.01Hzの条件で測定し、引張貯蔵弾性率E’(Pa)と損失正接を得た。
乾燥後、25℃において自立フィルム化が不可能な接着剤の場合は、測定治具上に接着剤を塗布した後、80℃に設定したオーブンで30分間乾燥し、測定治具上に接着層を形成した。この接着層の動的固体粘弾性(せん断モード)を測定装置(TAインスツルメンツ社製ARES)を用いて測定温度25℃、測定周波数0.01Hzの条件で測定し、せん断貯蔵弾性率G’(Pa)と損失正接を得た。
動的固体粘弾性測定からせん断貯蔵弾性率G’が得られる場合は、「E’=G’×3」の式を用い、せん断貯蔵弾性率G’を3倍してE’に換算した。
【0125】
〔圧電定数d
14(変位法による)〕
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の積層フィルムに、10Hz、300Vppの交流電圧を印加したときの、フィルムの変位の最大値と最小値の差分距離を、キーエンス社製レーザ分光干渉型変位計SI−1000により計測した。
計測した、変位量(mp−p)を、フィルムの基準長30mmで割った値を歪量とし、この歪量をフィルムに印加した電界強度((印加電圧(V))/(フィルム厚))で割った値に2を乗じた値を圧電定数d
14(pm/V)とした。
【0126】
〔結晶化度〕
製造例1のフィルム状の高分子圧電材料を、5mg正確に秤量し、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC−1)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定し、融解吸熱曲線を得た。得られた融解吸熱曲線から結晶化度を得た。
【0127】
〔ヘイズ(内部へイズ)〕
本願でいう「ヘイズ」または「透過へイズ」とは本発明の高分子圧電材料の内部へイズのことをいい、測定方法は一般的な方法で測定される。具体的には、製造例1のフィルム状の高分子圧電材料の内部ヘイズ値は、下記測定条件下で下記装置を用いて、厚さ方向の光透過性を測定することにより、測定した。高分子圧電材料の内部ヘイズ(以下、内部ヘイズ(H1)ともいう)は、予めガラス板2枚の間に、シリコンオイル(信越化学工業株式会社製信越シリコーン(商標)、型番:KF96−100CS)のみを挟んでヘイズ(H2)を測定し、次にシリコンオイルで表面を均一に塗らしたフィルムを、ガラス板2枚で挟んでヘイズ(H3)を測定し、下記式のようにこれらの差をとることで高分子圧電材料の内部ヘイズ(H1)を得た。
内部ヘイズ(H1)=ヘイズ(H3)−ヘイズ(H2)
高分子圧電材料のヘイズ値を測定するためにヘイズ(H2)とヘイズ(H3)とを、下記測定条件下で下記装置を用いて、厚さ方向の光透過性を測定することにより、高分子圧電材料の内部ヘイズ(H1)を算出した。
測定装置:東京電色社製、HAZE METER TC−HIIIDPK
試料サイズ:幅3mm×長さ30mm、厚さ0.05 mm
測定条件:JIS−K7105に準拠
測定温度:室温(25℃)
【0128】
製造例1で作製したフィルム状の高分子圧電材料(積層前の高分子圧電材料)について、圧電定数d14、結晶化度、及び内部ヘイズを測定したところ、圧電定数d
14は6pm/V、結晶化度は37.1%、内部ヘイズ0.7%であった。
【0129】
実施例1、2及び比較例1で使用される接着剤として、JA−7562を単独で測定治具上に塗布して厚み323μmの接着層を形成した後、動的粘弾性測定(せん断モード)の結果得られたせん断貯蔵弾性率G’は1.67×10
4Pa、G’×3(=E’)は5.01×10
4Pa、損失正接は0.485であった。
実施例3及び比較例2で使用される接着剤として、アラビックヤマト単独で厚み237μmのフィルムを作製した後、動的粘弾性測定(引張モード)の結果得られた引張貯蔵弾性率E’は2.37×10
8Pa、損失正接は0.491であった。
実施例4及び比較例3で使用される接着剤として、SKダイン1499を単独で測定治具上に塗布して厚み85μmの接着層を形成した後、動的粘弾性測定(せん断モード)の結果得られたせん断貯蔵弾性率G’は3.22×10
3Pa、G’×3(=E’)は9.66×10
3Pa、損失正接は0.075であった。
比較例4で使用される接着剤として、EW2050単独で厚み91μmのフィルムを作製した後、動的粘弾性測定(引張モード)の結果得られた引張貯蔵弾性率E’は2.48×10
8Pa、損失正接は0.024であった。
【0130】
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の積層フィルムは、高分子圧電材料を3層積層したものである。また、製造例1で作製したフィルム状の高分子圧電材料は、圧電定数d
14が6pm/Vであるため、積層フィルムの圧電定数d
14は、18pm/Vに近いほうが好ましい。
【0131】
また、表1に示す実施例1、2及び比較例1の積層フィルムにおいて、同じ接着剤JA−7562を使用した場合のD1/D2と圧電定数d
14との関係のグラフを
図12に示す。
表1及び
図12に示されるように、実施例1〜4の積層フィルムは、いずれも積層フィルムの幅方向両側の端面に銀ペーストからなる端面導電体を形成したとき、圧電定数d
14が大きく低下していない。
【0132】
日本出願2012−128295の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。