(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のテレケリックポリマー成分が、ブチルアクリレート−co−エチルアクリレート、ブチルアクリレート−co−エチルアクリレート−co−メトキシエチルアクリレートおよびそれらの組み合わせから選択される主鎖を有する、請求項1または2に記載の組成物。
第2のテレケリックポリマー成分が、ブチルアクリレート−co−エチルアクリレート、ブチルアクリレート−co−エチルアクリレート−co−メトキシエチルアクリレートおよびそれらの組み合わせから選択される主鎖を有する、請求項1または2に記載の組成物。
第1のまたは第2のテレケリックポリマー成分が、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、n−ブチルアクリレートならびにそれらのホモポリマーおよびコポリマーから選択される主鎖を有する、請求項1または2に記載の組成物。
第1のまたは第2のテレケリックポリマー成分が、ポリウレタン、スチレンおよび/またはアクリロニトリルならびにそれらの組み合わせのセグメントから選択される主鎖を有する、請求項1または2に記載の組成物。
第1のおよび第2のテレケリックポリマーが、ポリウレタン、スチレン、アクリルアミドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるセグメントを含む主鎖を有する、請求項1または2に記載の組成物。
前記第1のおよび/または第2のテレケリックポリマー成分が、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸およびテトラヒドロフラン(メタ)アクリレート、テトラヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、(メタ)アクリルアミドおよび置換(メタ)アクリルアミドならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーから調製されたポリマーである、請求項1または2に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は一般に、機械部品および産業部品の自動車ガスケットにおける使用のためなどの、改良された圧縮性、シール材および接着特性を提供する、(メタ)アクリル含有成分のブレンドを含むシール材組成物または接着剤組成物を対象とする。
【0016】
用語「(メタ)アクリレート」または「(メタ)アクリルオキシ」は、それぞれ、メタクリレートおよびアクリレートならびにメタクリルオキシおよびアクリルオキシを包含する。「(メタ)アクリル含有成分のブレンド」または「ブレンド」は、異なる分子量を有する少なくとも2種の「(メタ)アクリル系テレケリックポリマー」のブレンド(混合物)を意味する。(メタ)アクリル系テレケリックポリマーは、本明細書において使用される場合、異なる分子量を有する同じポリマー材料または異なる分子量を有する異なるポリマー材料であり得るブレンドの少なくとも2種のポリマーを意味する。ブレンドは、2から10種までの(メタ)アクリル含有テレケリックポリマー、例えば、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーおよび最大10種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含み得る。他の実施形態において、ブレンドは、2〜4種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含有する。
【0017】
本明細書において使用される場合、「テレケリックポリマー」は、両端が同じ官能基性を有する両末端官能性ポリマーである。
【0018】
本発明の組成物は、例えば、キュアインプレース用途に有用であり得る。それらは、物品、例えばガスケットなどにシールを適用するために使用することができる。より特には、未硬化組成物を、シールされるべき物品または表面に直接塗布し、UVまたは可視光線に曝露することにより、組成物を硬化させてシールを形成することができる。
【0019】
用語「硬化する(「cure」)」または「硬化すること(「curing」)」は、本明細書において使用される場合、少なくとも1つの可変因子、例えば、時間、温度、湿気、放射線、このような材料中における硬化触媒もしくは促進剤の存在および量などによって必ずではないが通常は誘発される材料における状態、条件および/または構造の変化を意味する。これらの用語は、部分的硬化および完全硬化を網羅する。本発明の目的においては、これらの用語は、少なくとも部分的に架橋されること、より望ましい実施形態においては、実質的にまたは完全に架橋されることを意味する。
【0020】
例示的な(メタ)アクリル系テレケリックポリマーとしては、H
2C=CGCO
2R[式中、Gは、水素、ハロゲン、ニトリル、または1個から約4個までの炭素原子のアルキルであることができ、Rは、1個から約16個までの炭素原子のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択されることができ、それらのいずれもが、場合によっては、任意により、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、ウレア、ウレタン、カルバメート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンなどで置換または介在されていてもよい]によって表される多種多様なモノマーに由来するポリマーが挙げられる。特定の(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、望ましくはトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、例えば、エトキシ化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(「EBIPA」または「EBIPMA」)ならびにテトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、シトロネリルアクリレートおよびシトロネリルメタクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(「HDDA」または「HDDMA」)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(「ETTA」)、トリエチレングリコールジアクリレートならびにトリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)が挙げられる。テレケリックポリマーは、上記のモノマーのコポリマーから作成することもできる。例示的な(メタ)アクリレートとしては、H
2C=CGCO
2R[式中、Gは、水素、ハロゲン、ニトリル、または1〜約4個の炭素原子のアルキルであることができ、Rは、1〜約16個の炭素原子のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択されることができ、それらのいずれもが、場合によって、任意により、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、ウレア、ウレタン、カルバメート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンなどで置換または介在されていてもよい]によって表される多種多様な材料が挙げられる。
【0021】
特定の(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、望ましくはトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、例えば、エトキシ化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(「EBIPA」または「EBIPMA」)ならびにテトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、シトロネリルアクリレートおよびシトロネリルメタクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(「HDDA」または「HDDMA」)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(「ETTA」)、トリエチレングリコールジアクリレートならびにトリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)が挙げられる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、(メタ)アクリル含有テレケリックポリマー成分は、アルキル(メタ)アクリレートポリマーであり得る。より特には、アルキル(メタ)アクリレートポリマーは、C
1〜C
10(メタ)アクリレートのホモポリマーまたはC
1〜C
10(メタ)アクリレートのコポリマーであり得る。好適なアルキルアクリレートとしては、これらに限定されるわけではないが、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよびメトキシエチルアクリレートが挙げられる。
【0023】
共反応性成分
(一度、ブレンドが調製された後の)本発明のブレンド組成物中への組み込みのために好適な追加のモノマーとしては、これらに限定されるわけではないが、アクリレート、ハロゲン化アクリレート、メタクリレート、ハロゲン置換アルケン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルスルホン、ビニルケトン、ビニルスルホキシド、ビニルアルデヒド、ビニルニトリル、スチレンおよび任意の他のモノマーが挙げられる。これらのモノマーは、置換されていてもよい。モノマーの組み合わせを使用することができる。モノマーのブレンドは、本発明の実施形態を使用して重合することができる。モノマーは、反応容器中でブレンドしてもよい。一例として、ある特定のアクリレートは類似の反応性を示すので、本発明の方法によってアクリレートモノマーのブレンドを使用してもよく、それにより、最終生成物はより高い予測精度を有し得る。所望であれば、2種のコポリマーのブレンド、2種のホモポリマーのブレンド、および少なくとも1種のコポリマーと少なくとも1種のホモポリマーとの組み合わせのような最終ポリマー生成物のブレンドをブレンドしてもよい。さらに、ブレンドされたポリマーを、最終生成物として作成することもできる。ブレンドされたコポリマーは、ガスケット用途において良好な耐油性を提供し促進し得るので、ブレンドされたポリマー生成物は、他のものよりも好ましい場合がある。特には、追加のモノマーは、例えば、アルキル(メタ)アクリレート;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;塩化ビニリデン;スチレン系モノマー;アルキルおよびアルコキシアルキルフマレートおよびマレエートならびにそれらのハーフエステル、シンナメート;およびアクリルアミド;N−アルキルおよびアリールマレイミド(メタ)アクリル酸;フマル酸、マレイン酸;ケイ皮酸;ならびにそれらの組み合わせのうちの1種または複数であり得る。より特には、本発明の実施形態によってポリマーを作り出すために使用されるモノマーは、任意の特定の種に限定されないが、そのようなものとして、様々なモノマー、例えば:(メタ)アクリル酸モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸−エチレンオキサイド付加体、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレートおよび2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート;スチレン系モノマー、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびそれらの塩;フッ素含有ビニルモノマー、例えば、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデン;ケイ素含有ビニルモノマー、例えば、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシラン;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸モノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;マレイミドモノマー、例えば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド;ニトリル含有ビニルモノマー、例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル;アミド含有ビニルモノマー、例えば、アクリルアミドおよびメタクリルアミド;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニルおよびケイ皮酸ビニル;アルケン、例えば、エチレンおよびプロピレン;共役ジエン、例えば、ブタジエンおよびイソプレン;ビニル化合物、例えば、ハロゲン化ビニル、例えば、塩化ビニル、ビニリデンハライド、アリルハライド、アリルアルコール等が挙げられる。前述のモノマーは、個々に、連続してまたは組み合わせて使用することができる。生成物の物理特性の望ましさから、1種または複数種のモノマーが好ましい場合がある。
【0024】
硬化系
本発明の独創的ブレンドは、様々な硬化系、例えば、これに限定されるわけではないが、ラジカル硬化、湿気硬化、熱硬化およびレドックス反応による硬化で配合することができる。フリーラジカル硬化系には、室温および熱硬化メカニズムならびに光硬化メカニズムが含まれる。硬化に有用なレドックス反応には、嫌気性硬化系が含まれる。ヒドロシリル化基による熱硬化も含まれる。硬化系の選択は、主に、存在する官能基のタイプならびに組成物の特定の用途または最終用途によって決まる。
【0025】
所望であれば、複合的な硬化系を用いることもできる。例えば、本発明のブレンドから、光硬化および湿気硬化組成物を調製することができる。
【0026】
本発明の組成物は、硬化開始剤(または光開始剤)、例えば、UV開始剤、可視光開始剤またはUVおよび可視光開始剤の組み合わせも含み得る。
【0027】
様々なUV開始剤を用いることができる。UV開始剤は、一般的に、200から400nmまでの範囲、特に、不可視光およびこれを少し超える可視部分に広がるスペクトルの部分、例えば、>200nmから約390nmまでにおいて有効である。
【0028】
UV照射に反応して(メタ)アクリル官能化硬化性成分の硬化を開始および誘発する開始剤は、本発明において有用であり、そのような開始剤としては、これらに限定されるわけではないが、ベンゾフェノンおよび置換ベンゾフェノン、アセトフェノンおよび置換アセトフェノン、ベンゾインおよびそのアルキルエステル、キサントンおよび置換キサントン、ホスフィンオキサイド、ジエトキシ−アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロ−チオ−キサントン、N−メチルジエタノール−アミン−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
そのようなUV開始剤の例としては、Ciba Specialty Chemicals Inc.から「IRGACURE」および「DAROCUR」の商標において市販されている開始剤、特に「IRGACURE」184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、369(2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン)、500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびベンゾフェノンの組み合わせ)、651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキサイドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組み合わせ)、および819[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド]、ならびに「DAROCUR」1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン)および4265(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキサイドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組み合わせ);ならびに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF Corp.からLUCIRINTPOとして市販されている)が挙げられる。当然のことながら、これらの物質の組み合わせも、本発明において用いることができる。当然のことながら、本明細書においてUV光開始剤として分類されるこれらの光開始剤のいくつかは、可視範囲中に尾を引く吸収を有しており、したがって、UV光および可視光硬化開始剤の間の境界線にまたがっているが、それにもかかわらず、本明細書において本発明の一部として含まれることは理解される。
【0030】
本発明での使用にとって好適である、可視光に反応して硬化を開始および誘発する開始剤としては、これらに限定されるわけではないが、カンファーキノンパーオキシエステル開始剤、9−フルオレンカルボン酸パーオキシエステル、可視光[青色]光開始剤、dl−カンファーキノン、「IRGACURE」784DC(置換チタノセンをベースとする光開始剤)およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
他の好適な光開始剤系としては、以下の特許または刊行物のそれぞれにおいて開示されているものが挙げられ、これらの文献のそれぞれを、参照によりその全体が本明細書に組み入れる。参照により本明細書に組み入れられるTamotoらの米国特許第4,505,793号では、3−ケト−置換クマリン化合物および活性ハロゲノ化合物の組み合わせを含む光重合開始剤が開示されている。いくつかの例示的な化合物が開示されている。そのような光重合開始剤は、約180nmから600nmの間の範囲の波長を有する光に曝露させることによって硬化する。参照により本明細書に組み入れられるNagashimaらの米国特許第4,258,123号では、活性光線の照射においてフリーラジカルを生じる開始剤成分を含む感光性樹脂組成物が開示されている。そのような成分としては、前記文献により詳しく記載されるように、様々なトリアジン化合物が挙げられる。
【0032】
熱硬化性組成物は、本発明の様々な実施形態の1つである。有用な熱硬化触媒としては、これらに限定されるわけではないが、ヒドロシリル化触媒、例えば、白金、ロジウム、およびそれらのそれぞれの有機炭化水素錯体が挙げられる。これらの熱硬化触媒は、総組成物の約0.01重量%から約10重量%までの量、より望ましくは総組成物の約0.1重量%から約5重量%までの量において存在し得る。本発明の組成物において有用な湿気硬化触媒としては、これらに限定されるわけではないが、有機金属錯体、例えば、有機チタネート(例えば、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラブトキシオルトチタネート)、金属カルボキシレート、例えば、ジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジオクトエートならびにそれらの組み合わせが挙げられる。湿気硬化触媒が、意図される硬化を達成するための任意の有効量において存在していてもよい。望ましくは、それらは、総組成物の約0.1重量%から約5重量%までの量において組み入れられる。
【0033】
本発明の重合性組成物の配合において有用なラジカル開始剤としては、これらに限定されるわけではないが、パーオキシおよびパーエステル化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド(CHP)、ジ−t−ブチルパーオキサイドおよびジクミルパーオキサイド、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)2,5−ジメチルヘキサンが挙げられる。ラジカル開始剤は、所望の反応または硬化を達成するために有用な任意の量において組み入れてよい。望ましくは、それらは、総組成物の約0.01重量%から約10重量%までの量において存在する。ラジカル開始剤の組み合わせも有用である。
【0034】
貯蔵寿命を延ばし時期尚早の反応を防ぐための有用な抑制剤を、様々なキレート剤と同様に、必要に応じて様々な態様に加えてもよい。例えば、様々なキノン化合物、例えば、ヒドロキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、フェナントラキノン、アントラキノンおよびそれらの置換体ならびに様々なフェノール化合物、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを用いてもよい。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤を用いてもよい。含有および種類の選択ならびに使用される量は、選択された態様に応じて変わるであろう。
【0035】
熱硬化触媒としては、本明細書に記載したような過酸化物、およびアゾ化合物、例えば:1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN);2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AAPH);2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN);4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(ACVA)が挙げられる。熱硬化触媒は、総組成物の約0.1重量%から約10重量%までの量において使用され得る。
【0036】
嫌気的に硬化させるために設計された配合において、本明細書に記載されるように、適切な嫌気性開始剤、促進剤成分および抑制剤またはキレート化成分を用いてもよい。
【0037】
本発明の組成物から作成された嫌気的硬化性組成物のための触媒および促進剤は、任意の既知の触媒および促進剤を含む。例えば、スルホン化合物、例えば、ビス(フェニルスルホンメチル)アミン、N−メチル−ビス−(フェニルスルホンメチル)アミン、ビス(p−トリルスルホンメチル)アミン、N−メチル−ビス(p−トリルスルホンメチル)アミン、N−エチル−ビス(p−トリルスルホンメチル)アミン、N−エタノール−ビス(p−トリルスルホンメチル)アミン、N−フェニル−pトリルスルホンメチル−アミン、N−フェニル−N−メチル−p−トリルスルホンメチル−アミン、N−フェニル−N−エチル−p−トリルスルホンメチル−アミン、N−P−トリル−N−メチル−p−トリルスルホンメチル−アミン、ビス−(p−トリルスルホンメチル)エチレンジアミン、テトラキス−(p−トリルスルホンメチル)エチレンジアミン、ビス−(p−トリルスルホンメチル)ヒドラジン、N−(p−クロロフェニル)−p−トリルスルホンメチル−アミン、およびN−(p−カルボエトキシフェニル)−(p−トリルスルホンメチル)アミンを用いることができる。ほとんどの適用にとって、触媒は、総組成物の約0.05から10.0重量%まで、好ましくは約0.1から2重量%までの量において使用される。
【0038】
本発明の嫌気性組成物のための触媒は、嫌気性系において単独で使用することができ、または促進剤、例えば、オルトスルホベンズイミド(サッカリン)は、モノマーの約0.05から5.0重量%までの量において用いることができる。
【0039】
嫌気性組成物において、組成物の貯蔵寿命をさらに長くするために、酸化防止剤、熱安定化剤またはラジカル阻害剤、例えば、第三級アミン、ヒドロキノンなどを用いることが望ましい場合もある。特に、立体障害フェノール、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、または商標Ionox 220(Shell)、Santonox R(Monsanto)、Irganox 1010およびIrganox 1076(Ciba−Geigy)などにおいて市販されているような安定化剤を加えることが、好ましい場合がある。
【0040】
本発明の嫌気性組成物は、任意の一連の嫌気性条件下において満足に硬化するであろうが、結合される成分の表面上における選択された金属の存在は、硬化速度を著しく増加させるであろう。これらの嫌気性組成物で有効な好適な金属としては、鉄、銅、スズ、アルミニウム、銀およびそれらの合金が挙げられる。金属、合金およびそれらのメッキによって提供され、これらの組成物の硬化促進において有用である表面は、便宜上、「活性金属」表面なる用語に分類され、そのようなものとしては、これらに限定されるわけではないが、上記において言及された金属の存在全てが挙げられることは理解されるであろう。これらの活性金属を含まない結合する成分(例えば、プラスチック、ガラス、非活性金属表面)において、これらの表面をモノマー−触媒混合物に可溶な活性金属化合物、例えば、塩化第二鉄およびコバルト、マンガン、鉛、銅ならびに鉄「石けん」、例えば、2−エチルヘキサン酸コバルト、酪酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ラウリン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸マンガン、酪酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ラウリン酸マンガン、2−エチルヘキサン酸鉛、酪酸鉛、ナフテン酸鉛、ラウリン酸鉛などおよびそれらの混合物で前処理することによって、硬化を促進することが望ましい場合があることにさらに留意されたい。これらの活性金属化合物は、例えば、表面を、トリクロロエチレンなどの揮発性溶媒中の、金属化合物の希釈溶液で濡らし、次いで溶媒を蒸発させることによって、表面に容易に塗布することができる。この方式で処理された非活性表面は、活性金属表面と同じくらい急速に、本発明のシール材と結合することができる。
【0041】
上記開始剤は、例示目的のみであり、決して本発明において使用することができる開始剤を限定することを意味するものではない。
【0042】
開始剤は、総組成物の約0.1重量%から約10重量%までの量において用いることができる。より望ましくは、開始剤は、総組成物の0.5重量%から約5重量%までの量において存在する。
【0043】
本発明の組成物は、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、充填剤、可塑剤、安定化剤、酸化防止剤、硬化剤、架橋剤、触媒、顔料、エラストマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される1種または複数種の成分を含み得る。
【0044】
任意選択である添加剤、例えば、これらに限定されるわけではないが、安定化剤、阻害剤、酸素捕捉剤、充填剤、染料、着色剤、顔料、接着促進剤、強化剤、補強剤、蛍光剤、レオロジー制御剤、湿潤剤、酸化防止剤およびそれらの組み合わせも、本発明の組成物中に含めることができる。
【0045】
本発明の特に有用な一態様において、ブレンド中の両ポリマーの主鎖は、様々な一官能性(メタ)アクリレートモノマーから形成されたポリマー、例えば、一官能性C
1〜10アルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーおよび一官能性C
1〜10アルキル(メタ)アクリレートのコポリマーである。その中で、使用される特に有用なモノマーとしては、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ならびにそれらのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。有用なモノマーの追加例としては、(メタ)アクリル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、γ−(メタクリルオキソオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸−エチレンオキサイド付加体、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレートなど;スチレン系モノマー、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩;フッ素含有ビニルモノマー、例えば、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなど;ケイ素含有ビニルモノマー、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなど;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;フマル酸、ならびにフマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;マレイミドモノマー、例えば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなど;ニトリル含有ビニルモノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;アミド含有ビニルモノマー、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミドなど;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニルなど;アルケン、例えば、エチレン、プロピレンなど;共役ジエン、例えば、ブタジエン、イソプレンなど;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロリドおよびアリルアルコールが挙げられる。これらのモノマーは、それぞれ単独において使用してもよく、あるいは複数のそれらを共重合させてもよい。これらの中で、生成物の物理特性の観点から、スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。望ましいのは、アクリル酸エステルモノマーおよびメタクリル酸エステルモノマーである。本発明において、これらの好ましいモノマーは、他のモノマーと共重合させてもよく、ただし、そのような場合、前記の好ましいモノマーは、総組成物の40重量%を占め得る。
【0046】
さらに、本発明の反応性ブレンドの主鎖は、ポリウレタン、スチレン、ポリオレフィン、アクリルアミド、ナイロン、ならびに/あるいは(メタ)アクリロニトリルおよび置換(メタ)アクリロニトリルの1つまたは複数のセグメントまたはユニットから形成され得るか、またはそれらを含み得る。
【0047】
一実施形態において、(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、ブチルアクリレート−co−エチルアクリレート、ブチルアクリレート−co−エチルアクリレート−co−メトキシエチルアクリレートおよびそれらの組み合わせから選択される主鎖を有する。一実施形態において、(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、メタクリレートで末端封止された75%ブチルアクリレート/20%エチルアクリレート/5%メトキシエチルアクリレートターポリマーである。一実施形態において、ブレンドは、メタクリレートで末端封止された75%ブチルアクリレート/20%エチルアクリレート/5%メトキシエチルアクリレートの分子量30,000のターポリマーである第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーと、メタクリレートで末端が封止された75%ブチルアクリレート/20%エチルアクリレート/5%メトキシエチルアクリレートの分子量10,000のターポリマーである第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーとを含む。
【0048】
ポリマーの数平均分子量は、500から100,000まで、より望ましくは10,000から50,000までであり得る。ブレンドは、低分子量(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーと高分子量(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーとを含む。一実施形態において、低分子量(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、15000未満の分子量を有し、高分子量(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、15000を超える分子量を有する。
【0049】
一実施形態において、ブレンドは、少なくとも約14,000から少なくとも約40,000までの平均分子量(AMWB)を有し得る。
【0050】
調製
ブレンドでの使用のためのポリマーは、当技術分野において公知の標準技術を用いて調製することができ、または好適な商業的供給源から得ることができる。ポリマーは、例えば、一電子移動リビングラジカル重合(SET−LRP)などの制御ラジカル重合法を用いて、カップリングによる可逆的不活性化などの安定フリーラジカル重合(SFRP)によって、または退化的移動(DT)によって、調製することができる。ポリマーは、メタクリレート官能基の使用など当技術分野において公知の方法を使用して、末端封止することができる。
【0051】
本発明のポリマーは、増加した転化率、低い多分散度、最終生成物の高い官能性、および分子量の単峰性分布などの特性を有するポリマーを作り出すために、制御ラジカル重合反応において用いることができる。好ましくは、ポリマーは官能化されているので、それらは、構造のさらなる変更のために、硬化のために、またはそれらの組み合わせのために、追加の成分とのさらなる反応のための部位を提供する。
【0052】
SET、SFRPおよびDTは、本発明のポリマーを構築するための有用な方法である。制御重合プロセスまたはリビング重合プロセスは、連鎖移動反応および停止反応が実質的に存在しないプロセスである。これらの進展は、高い効率および最適化を伴う、特異的で正確な定量的官能性および化学反応性を有するポリマーの製造を可能にする。
【0053】
金属を触媒にした有機ラジカル反応および制御ラジカル重合(LRP)は、非極性溶媒系と極性溶媒系との混合物を含む、極性溶媒系において実施することができる。このメカニズムは、外圏SETプロセスを介してCu(I)Xの不均一化によって形成されるCu(II)X
2によるラジカルの可逆的不活性化を含み得る(
図2を参照のこと)。このプロセスは、非常に低い活性化エネルギーを有しており、したがって、速い活性化および不活性化ステップならびに室温での無視できる程度の二分子停止を伴う。より詳細な説明については、Percec,V.ら;「Ultrafast Syntheses of Ultrahigh Molar Mass Polymers by Metal−Catalyzed Living Radical Polymerization of Acrylates,Methacrylates,and Vinyl Chloride Mediated by SET at 25°」;A.J.AM.Chem.Soc.2006年,128巻,14156〜14165貢(参照によりその全体が本明細書に組み入れる)を参照のこと。
【0054】
制御ラジカル重合の特に有用な方法の1つは、WO2009/155303(A3)として公開され、Henkel Corporationに譲渡された、米国特許出願第PCT/US2009/047479号(参照によりその全体が本明細書に組み入れる)に記載されている。この出願は、反応容器外に収容される固体触媒表面上へ所定の流量において反応混合物を誘導し、ある特定の温度範囲内の反応容器の温度をモニターし、温度範囲が、選択された温度範囲外にある場合には流量を調節して、所望のレベルの転化率が達成されるまで重合を進行させる方法を提供する。この方法は、本明細書に記載されるポリマー組成物の製造において特に有用である。
【0055】
SET−LRPは、低い活性化エネルギーにおいて、したがってより低い温度において、実施することができる。使用される触媒はそれ自体再生されるので、重合プロセスは生きている状態(living)にある。反応混合物の溶媒濃度を増加させることによって、より速い重合が得られる。SET−LRP反応は、Cu(O)種とハロゲン含有基質(開始剤またはハロゲン末端ポリマー鎖)間のSET反応で開始される。重合は、Cu(O)種が電子供与体として作用しかつ主要な開始剤および成長種R−X(Xはハロゲン化物アニオン)が電子受容体として作用する、外圏SETメカニズムによって進行する。
【0056】
制御ラジカル重合を、可能な限り、環境に優しく、ならびに機能性材料の調製のための方法を低コストにするための継続的努力がなされてきた。ポリマーの分子量、分子量分布、組成、構造および官能性に対する制御などの因子は、そのような方法の設計および実行において重要な検討事項である。本発明の方法は、所望の鎖長、多分散度、分子量および官能性が最終生成物中に容易に組み入れられるような、最終ポリマー生成物に対する高度な制御を可能にする。したがって、本発明は、分子量分布に対する乏しい制御、低い官能性、ポリマーレオロジーの乏しい制御、および望ましくない多分散度を克服する。さらに、この方法は、非常に予測可能であるので、高い予測精度で、容易にラージスケールで実施することができ、および/または最終ポリマー生成物の特性を新たな水準へと適合させるために使用することができ、ならびに生成物を、それらの特性に基づいて設計することができる。さらに、停止反応がほとんどないので、ポリマーの構造および組成はより正確であり、最終生成物は、より望ましい特性および特徴を有し、より優れた製品になる。さらに、反応を進めるために必要な触媒の量が非常に少ないので、最終生成物の精製が容易になり、時には不必要である。さらに、前記システムの構成要素を最適化することにより、モノマーの(共)重合をさらにより正確に制御することができる。
【0057】
本明細書において使用される制御重合プロセスまたはリビング重合プロセスにおいて用いられる触媒は、原子移動平衡の位置ならびに休止種と活性種との間の交換の動力学を決定するのに寄与し得る。したがって、用いられる触媒は、好ましくは良好な電子供与体であるべきである。触媒は、当技術分野において公知であるような、例えば、Cu(0);Cu
2S;Cu
2Te;Cu
2Se;Mn;Ni;Pt;Fe;Ru;V;CuCl;CuCl
2;CuBr;CuBr
2;およびそれらの組み合わせなどであり得る。同様に、他の触媒、例えば、Au、Ag、Hg、Rh、Co、Ir、Os、Re、Mn、Cr、Mo、W、Nb、Ta、Zn、ならびにそれらの1種または複数種を含む化合物も本発明の方法で用いることができる。特に有効な触媒の1つは、元素銅金属およびその誘導体である。
【0058】
銅錯体はとりわけ望ましい。一価の銅化合物としては、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅および過塩素酸第一銅などの種が挙げられる。銅触媒が使用される場合、触媒活性を向上させるために、2,2’−ビピリジルもしくはその誘導体、1,10−フェナントロ燐もしくはその誘導体またはポリアミン、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレン−トリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミンなどといった配位子が加えられる。塩化ルテニウム(II)のトリス(トリフェニルホスフィン)錯体(RuCl
2(PPh
3)
3)も、通常の触媒である。触媒としてルテニウム化合物が使用される場合、活性化剤としてアルミニウムアルコキシドが加えられる。さらに、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化鉄(II)錯体(FeCl
2(PPh
3)
2)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)錯体(NiCl
2(Pph
3)
2)およびビス(トリブチルホスフィンニッケル(II)錯体(NiBr
2(PBU
3)
2)も好適な触媒である。
【0059】
触媒は、1つまたは複数の形態を取り得る。例えば、触媒は、ワイヤ、メッシュ、スクリーン、削りくず、粉末、管形、ペレット、結晶の形態、または他の固体形態であり得る。触媒表面は、先に開示されたような1種もしくは複数種の金属または金属合金であり得る。より特には、触媒は、銅ワイヤ、銅メッシュ、銅スクリーン、銅削りくず、銅粉末、銅網、銅焼結物、銅フィルター、銅細片、銅管、銅結晶、銅ペレット、非反応性材料への銅元素のコーティングおよびこれらの組み合わせの形態であり得る。
【0060】
本明細書において使用される制御重合法は、金属触媒がより高い酸化状態で利用できるように配位子によりその触媒が可溶化され得る程度まで、その触媒の抽出を補助し得る配位子、例えば窒素含有配位子の存在も含んでよい。したがって、分子レベルで反応混合物の様々な成分の混合の促進を補助し得るという意味で、配位子は重合反応を進めるために望ましい場合がある。多種多様な窒素含有配位子が、本発明での使用にとって好適である。これらの化合物としては、第一級、第二級および第三級アルキルまたは芳香族アミン、好ましくは第三級アミン、ならびに直鎖状、分岐状または樹枝状ポリアミンであり得るポリアミン、およびポリアミドが挙げられる。本発明での使用にとって好適な配位子としては、σ結合により遷移金属に配位することができる1つまたは複数の窒素、酸素、リンおよび/または硫黄原子を有する配位子、ならびにπ結合により遷移金属に配位することができる複数の炭素−炭素結合を有する配位子が挙げられる。例えば、好適な配位子は、トリス(2−ジメチルアミノエチル)アミン(Me6−TREN)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、2,2−ビピリジン(bpy)、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)および多くの他のN−配位子が挙げられる。
【0061】
配位子は、遷移金属のレドックス共役体、すなわち、より高い酸化状態の遷移金属を有する可溶性錯体を好ましく形成することができ、成長ラジカル鎖の不活性化において活性な錯体を形成し、これが、ポリマー生成物の狭い分子量分布に貢献し得る。
【0062】
本発明の方法の制御ラジカル重合の開始剤は、ラジカル反応を開始することができ、したがって、反応容器中での成長ポリマー鎖の数に対する寄与因子と見なすことができる。好適な開始剤としては、例えば、ハロゲン含有化合物が挙げられる。開始剤の例としては、クロロホルム、ブロモホルム、ヨードホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、ヘキサハロゲン化エタン、モノ、ジおよびトリハロアセテート、アセトフェノン、ハロゲン化アミド、およびポリアミド、例えばナイロン、ハロゲン化ウレタンおよびそれらのブロックコポリマーを含むポリウレタン、ハロゲン化イミド、アセトン、ならびにATRPおよびSET−LRPを含む従来の金属を触媒としたリビングラジカル重合で機能することが示される任意の他の開始剤が挙げられる。多種多様な開始剤が、本発明での使用にとって好適である。ハロゲン化化合物は、本発明での使用に特に適している。これらの開始剤としては、式「R’C(=O)OR」のR−X[式中、Xはハロゲンであり、RはC1〜C6アルキルである]の化合物が挙げられる。例えば、開始剤は、ジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペート;ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート、エチレングリコールビス(2−ブロモプロピオネート);エチレングリコールモノ−2−ブロモプロピオネート;トリメチロールプロパントリス(2−ブロモプロピオネート);ペンタエリトリトールテトラキス(2−ブロモプロピオネート);2,2−ジクロロアセトフェノン;メチル2−ブロモプロピオネート;メチル2−クロロプロピオネート;N−クロロ−2−ピロリジノン;N−ブロモスクシンイミド;ポリエチレングリコールビス(2−ブロモプロピオネート);ポリエチレングリコールモノ(2−ブロモプロピオネート);2−ブロモプロピオニトリル;ジブロモクロロメタン;2,2−ジブロモ−2−シアノアセトアミド;α,α’−ジブロモ−オルト−キシレン;α,α’’−ジブロモ−メタ−キシレン;α,α’’−ジブロモ−パラ−キシレン;α,α’’−ジクロロ−パラ−キシレン;2−ブロモプロピオン酸;メチルトリクロロアセテート;パラ−トルエンスルホニルクロリド;ビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリド;ジフェニルエーテル−4,4’−ジスルホニルクロリド;ブロモホルム;ヨードホルム;四塩化炭素;およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、開始剤は、アルキル、スルホニルまたはハロゲン化窒素であり得る。ハロゲン化窒素は、ハロゲン化ナイロン、ペプチドまたはタンパク質であってもよい。あるいは、活性ハライド基を含有するポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、クロロメチル基を含有するポリマーまたはポリマーおよびコポリマーのポリクロロメチルスチレンも、開始剤として使用することができる。
【0063】
一旦重合が完了すれば、この方法は、ポリマー上に少なくとも1つの官能性末端基を形成するために、得られたポリマーをさらに反応させる工程を含んでよい。中間体生成物の官能性は、1種または複数種の最終生成物に変換することができる多用途の生成物を作り出す。次いで、最終生成物は、所望され得る場合、様々な市販製品または手段に組み入れられ得る。反応を止めてプロセスを終了させるために、強力な求核試薬を反応混合物に加えることができる。そのような求核試薬としては、例えばチオレート、アミン、アジド、カルボキシレート、アルコキシド、フェノキシドおよびアクリル酸ナトリウムが挙げられる。ポリマー鎖の安定性および無欠陥性を維持しながら反応を停止するために、所望され得る場合、1種または組み合わせの求核試薬を使用することができる。ポリマー上に官能性末端を作り出す工程は、例えば、末端封止反応または置換反応のいずれかを実施することによって、実施することができる。
【0064】
末端封止反応によって最終ポリマー生成物を官能化するために、必要な工程を、初期反応の終了時、後処理の前に、反応容器中においてその場で(in situ)実施することができる。少なくとも1つのポリマー末端の末端封止官能化を実施するために、工程は、最終ポリマー生成物を提供する工程;容器にキャッピング剤を加える工程;反応を停止する工程;および封止されたポリマー生成物を精製する工程を含む。
【0065】
キャッピング剤は、鎖の安定性および無欠陥性を維持しつつ、所望の官能性末端基で最終生成物の末端基を封止することが所望され得る場合、1種の化合物または組み合わせを含み得る。例えば、キャッピング剤は、2アリルアルキルエタノール、アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、1−6ヘプタジエン、シクロオクチルジエン、ノルボルナジエン、およびSET−LRP条件下ではホモポリマーを形成しないことが知られている傾向を有するその他のオレフィンを含み得る。
【0066】
本発明の方法の最終生成物は、例えば、ホモポリマーおよび/または(コ)ポリマーを含み、これらは、ブロック、ランダム、統計、周期、グラジエント、星型、グラフト、くし型、(超)分岐状または樹枝状ポリマーであり得る。従来の専門用語における括弧でくくられた接頭語「(コ)」は、選択肢であり、すなわち(コ)ポリマーは、コポリマーまたはポリマーを意味し、ホモポリマーを含む。同様に、本明細書において使用される場合、「(超)」は、低度の分岐に比べて、比較的高度なコポリマー主鎖に沿った樹枝状分岐を意味する。
【0067】
本発明は、周期コポリマーまたは交互コポリマーを調製するために使用することができる。本発明の方法は、モノマーのうちの一方が1つまたは2つの嵩高い置換基を有するような交互コポリマーの製造にとって特に有用であり得、そのようなモノマーからは、立体上の理由により、ホモポリマーを調製するのは困難であり得る。電子供与性を有するモノマーと電子受容性を有するモノマーとの共重合は、結果として、主に交互モノマー構造を有する生成物を形成することになる。
【0068】
いわゆる「交互」コポリマーを、本発明の方法を用いて製造することができる。「交互」コポリマーは、電子供与性を有する1種または複数種のモノマーと、電子受容型特性を有する1種または複数種のモノマー(アクリレート、メタクリレート、不飽和ニトリル、不飽和ケトンなど)との共重合によって調製される。本発明のランダムまたは交互コポリマーは、本発明のブロック、星型、グラフト、くし型または超分岐状コポリマーのいずれかにおけるブロックとしての役割も果たすことができる。
【0069】
最終生成物は、分子量、多分散度、単峰性の分子量分布などの1つまたは複数の特徴によって特徴付けられることができる。本発明の方法の1つまたは複数は、2,000から20,000,000g/molまでの分子量を有するポリマー生成物を与え得る。さらに、ポリマー生成物は、単峰性のポリマー分子量分布を有する。さらに、ポリマー生成物は、約1.01から約2までの多分散度も有し得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載された方法によって製造されるポリマーは、少なくとも約500の数平均分子量を有する。さらに他の実施形態において、ポリマーは、少なくとも1,000,000の数平均分子量を有する。
【0070】
様々な添加剤が、単独であるいはブレンドとして、様々な追加のモノマー、開始剤、触媒、希釈剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、および本明細書に記載された他の成分を含む重合性組成物に加えられ得る。本明細書に記載された成分の様々な組み合わせは、本発明の様々な実施形態内に含まれることが意図される。
【0071】
任意により、1種または複数の添加剤成分を本発明の組成物に加えてもよく、そのような添加剤としては、これらに限定されるわけではないが、硬化剤、酸化防止剤(例えば、Ciba(登録商標) Irganox(登録商標) 1010(CIBA Specialty Chemicals,Inc.(バーゼル、スイス)から市販されている)、顔料、促進剤および安定化剤が挙げられる。そのような添加剤は、当業者に既知であり、それらの意図される目的を実現するのに好適な量において存在すべきである。
【0072】
本明細書において使用される場合、「多分散度」(また、「多分散指数」および「分子量分布」として知られる)は、対象のポリマーの重量平均分子量/数平均分子量の比を意味する。この値は、対象のポリマーの分子量分布の広がりの指標を提供する。したがって、重量平均分子量が数平均分子量と等しい単分散ポリマーの場合、この値は1となるであろう。分子量分布の幅が広がると、多分散度は1を超えるであろう。
【0073】
本発明のブレンドの(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、約1.01から約2.50までの、より望ましくは1.01から約1.50までの多分散度を有する。一実施形態において、ブレンドは、第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーの2種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含み、この場合、第1のおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、組成物中において、10:1から1:10まで、例えば、5:1から1:5まで、5:1から2:1までの比率である。一実施形態において、ブレンドは、第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーの2種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含み、この場合、第1のおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、組成物中において、5:1の比率である。一実施形態において、ブレンドは、第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーの2種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含み、この場合、第1のおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、組成物中において、3:1の比率である。一実施形態において、ブレンドは、第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーの2種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含み、この場合、第1のおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、組成物中において、1:1の比率である。一実施形態において、ブレンドは、第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーの2種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含み、この場合、第1のおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、組成物中において、1:2の比率である。一実施形態において、ブレンドは、第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーの2種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含み、この場合、第1のおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、組成物中において、1:4の比率である。一実施形態において、ブレンドは、第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーおよび第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーの2種の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーを含む。
【0074】
一実施形態において、ブレンドは、メタクリレートで末端封止された75%ブチルアクリレート/20%エチルアクリレート/5%メトキシエチルアクリレートの分子量30,000のターポリマーである第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーと、メタクリレートで末端封止された75%ブチルアクリレート/20%エチルアクリレート/5%メトキシエチルアクリレートの分子量10,000のターポリマーである第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーとを含み、この場合、ブレンド中における第1のポリマーと第2のポリマーの重量比は、0:1から1:10まで、例えば、5:1から1:5まで、または例えば、5:1から2:1までである。別の実施形態において、ブレンドは、メタクリレートで末端封止された75%ブチルアクリレート/20%エチルアクリレート/5%メトキシエチルアクリレートの分子量30,000のターポリマーである第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーと、メタクリレートで末端封止された75%ブチルアクリレート/20%エチルアクリレート/5%メトキシエチルアクリレートの分子量10,000のターポリマーである第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーとを含み、この場合、ブレンド中における第1のポリマーと第2のポリマーの重量比は、5:1、3:1、1:1、1:2または1:4の比率から選択される。
【0075】
(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーは、所望の成分の組み合わせに応じて、様々な量において存在し得る。例えば、いくつかの実施形態において、(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーのブレンドは、組成物の約50重量%から約65重量%までの量において存在し得る。本発明の他の実施形態において、(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーのブレンドは、組成物の約50重量%から約95重量%までの量において存在し得る。一実施形態において、組成物は、総組成物の10重量%から約90重量%までの量の第1の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーと、総組成物の90重量%から約10重量%までの量の第2の(メタ)アクリル含有テレケリックポリマーとを有する。
【0076】
実施例に示されるように、少なくとも2種の(メタ)アクリル含有成分ブレンドのブレンドの使用により、引張強度、伸び率および圧縮永久ひずみを含む改良された特性が提供され得る。本出願に記載される組成物は、これらの改良された特性が商業的に明確な利点を有するガスケット用途において、特に有用である。
【0077】
組成物は、基材、例えば、コルク、段ボール、織物、グラファイト、金属、紙、金属、エラストマーまたはそれらのうちの2つ以上の組み合わせのためのシール材および接着剤として使用することができる。一実施形態において、基材は、グラファイトを含むガスケットである。本発明の組成物は、フォームインプレースガスケットとして用いることができる。あるいは、本発明の組成物は、既製のガスケットへのコーティング剤として塗布することができる。本発明の組成物は、構造用接着剤として用いることもできる。
【0078】
本発明は、以下の非制限的な例を参照することによってさらに理解することができる。
【実施例】
【0079】
材料および方法
いくつかの液体ポリアクリレートポリマーを、一電子移動リビングラジカル重合(SET−LRP)によって調製し、次いで、メタクリレート官能基によって末端封止した。異なる分子量(10,000対30,000)のポリマーを作成し、表に示されるような異なる比率でブレンドした。
【0080】
【表1】
【0081】
分子量30,000およびMWD<1.3を有する、メタクリレート(二官能性)で末端封止された75%ブチルアクリレート/20%エチルアクリレート/5%メトキシエチルアクリレートターポリマーを含む樹脂1を調製した。
【0082】
樹脂2は、樹脂1と同じ主鎖組成を有するが、分子量は10,000である。
【0083】
5:1、3:1、1:1、1:2および1:4の重量比で樹脂1および樹脂2のブレンドを調製した。ブレンドを、樹脂1単独および樹脂2単独での使用と比較した。
【0084】
これらのブレンドを、UV硬化ガスケットのモデル配合物に組み入れた。モデル配合物は、73重量%の樹脂ブレンド、20重量%の反応性希釈剤、1重量%の光開始剤、1重量%の酸化防止剤および5重量%の無機充填剤を含有した。結果として得られた配合物をUV硬化させ、70℃および150℃での圧縮永久ひずみ、ならびに室温での引張特性について試験し、以下に記載されるように、動的機械分析(DMA)によっても評価した。
【0085】
例1
この例は、表1の発明組成物3を使用する。1.002gの酸化防止剤Irganox(登録商標) 3052を、20.016gのN,N−ジメチルアクリルアミドに溶解させた。この溶液を、54.749gの樹脂1および18.253gの樹脂2のブレンドに加えた。この混合物に、5.017gのAerosil(登録商標) 380(シリカ充填剤)および1.066gのDarocure(登録商標) 1173(光開始剤)を加えた。全組成物を、DAC400FVZスピードミキサーにおいて2500rpmで3分間混合した。標準的な5×5×0.075インチの試験シートを調製し、Zeta 7216 UVチャンバーにおいて、100mW/cm
2の有効照射量で片面あたり30秒間(合計60秒間)照射することによって硬化させた。試験シートから、ドッグボーン形引張試験片および圧縮永久ひずみディスクをプレスし、動的機械分析(DMA)用に薄い長方形の試験片を切り取った。引張ドッグボーンを、Instronにおいて20インチ/分のクロスヘッド速度で引っ張った。引張破断強度は623psiであり、伸び率は223%であった。圧縮永久ひずみディスクを積み重ねて、0.508インチの初期厚さを得て、次いで、それらを、25%圧縮して、70℃のオーブンに70時間入れた。オーブンから取り出して圧縮を外した後、最終厚さは0.463インチであり、これは、35%の圧縮永久ひずみに相当する。DMAを使用して、tan δのピークと定義されるT
gを測定した。前記組成物の場合、T
g=−24℃であった。
【0086】
例2
この例は、表1の発明組成物2を使用する。1.00gのIrganox(登録商標) 3052を、20.005gのN,N−ジメチルアクリルアミドに溶解させた。この溶液を、60.836gの樹脂1+12.162gの樹脂2のブレンドに加えた。この混合物に、5.010gのAerosil(登録商標) 380および1.001gのDarocure(登録商標) 1173を加えた。組成物を混合し、例1に記載したように試験シートを調製した。この組成物の場合、70℃での70時間後の圧縮永久ひずみは37%であり、引張破断強度および破断伸びは、それぞれ、711psiおよび230%であった。DMAによって測定したガラス転移温度は、−24℃であった。
【0087】
例3
この例は、表1の発明組成物1を使用する。比較樹脂2単独(高分子量、30,000MWのポリマー)。0.502gのIrganox 3052を10.000gのN,N−ジメチルアクリルアミドに溶解させ、36.503gの樹脂1に加えた。この混合物に、2.501gのAerosil(登録商標) 380および0.499gのDarocure(登録商標) 1173を加えた。組成物を混合し、例1に記載したように、試験シートを調製した。
【0088】
例4
この例は、表1の発明組成物7を使用する。比較樹脂1単独(低分子量、10,000MWのポリマー)。1.005gのIrganox(登録商標) 3052を20.002gのN,N−ジメチルアクリルアミドに溶解させ、73.006gの樹脂3に加えた。この混合物に、5.000gのAerosil(登録商標) 380および1.015gのDarocure(登録商標) 1173を加えた。組成物を混合し、例1に記載したように、試験シートを調製した。
【0089】
例1〜4の結果を以下に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
結果は、低分子量樹脂(非ブレンド)が、優れた圧縮永久ひずみを有したが、乏しい引張特性および高いTgを有したことを示している。高分子量樹脂(非ブレンド)は、良好なTgを有したが、より高い圧縮永久ひずみおよび低い引張特性を有した。しかしながら、2種のポリマーを、特に樹脂1:樹脂2=3:1の比率においてブレンドすることにより、許容可能な圧縮永久ひずみを与え、なおまたそれぞれの樹脂単独で与えるものよりも高い引張強度および高い伸び率も与えた。表2に反映されるように、2種の異なる分子量のポリマーの例示的な組成物ブレンドは、単一の分子量のポリマー単独(低分子量または高分子量)の使用と比較して、著しく改善した圧縮特性を提供する。これらの結果に基づき、ブレンドを使用することにより、例えば自動車での使用のため、ならびに他の産業機械での使用のための、改良された圧縮ガスケットを提供することができる。
【0092】
この例示的な組成物で実施された研究の結果を表3にまとめる。
図3〜5に、それぞれ、圧縮、引張りおよび伸び率のデータをプロットする。
【0093】
【表3】