(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0016】
<実施形態1>
図1は、第1の実施の形態の模様付シート10を示す。本実施形態の模様付シート10は、繊維基材層11を有する。模様付シート10は、繊維基材層11上にフィルム層が設けられていない第1の領域10Aと、繊維基材層11上にフィルム層が1層設けられた第2の領域10Bとを有する。一例として、模様付シート10は、複数の第1の領域10Aと、複数の第2の領域10Bとを有し、第1の領域10Aと第2の領域10Bの各々の形状は正方形である。複数の第1の領域10Aと、複数の第2の領域10Bの各々は格子状に配置され、全体として市松模様となっている。
【0017】
なお、第1の領域10Aと第2の領域10Bとが市松模様を構成しているとしているのは一例であり、例えば、第1の領域10Aと第2の領域10Bによって、縞模様、チェック模様、水玉模様、アニマル柄(ヒョウ柄、キリン柄、ゼブラ模様等)、ロゴマーク、イラスト等が構成されていてもよい。以下の実施形態についても同様である。
【0018】
第1の領域10Aは、
図2に示すように、繊維基材層11で構成されている。また、第2の領域10Bは、
図2に示すように、繊維基材層11とフィルム層12とが積層された構成を有する。
【0019】
(繊維基材層11)
繊維基材層11としては、織物、編物、不織布等が挙げられる。織物としては、例えば、平織、綾織、朱子織、からみ織、模紗織、斜紋織、二重織等が挙げられる。編物としては、例えば、丸編、トリコット、ラッセル等が挙げられる。不織布としては、例えば、短繊維不織布(乾式不織布、湿式不織布)、長繊維不織布、ニードルパンチ不織布、抄造不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、エレクトロスピニング不織布等が挙げられる。
【0020】
繊維基材層11を構成する繊維の材料としては、綿、羊毛、麻、絹、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアラミド系繊維、ポリエーテルエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等が挙げられる。ポリエステル系繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。ポリアミド系繊維としては、たとえばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12等が挙げられる。
【0021】
繊維基材層11は、編物、織物、不織布のうちの複数枚が積層された構成であってもよい。例えば、不織布と織物、または不織布と編物を積層することにより、繊維基材層11の形態安定性を向上することができる。
【0022】
繊維基材層11は、表面に毛羽立ち加工がなされていてもよい。また、繊維基材層11には、撥水加工等の処理がされていてもよい。
【0023】
(フィルム層12)
フィルム層12は、接着層12aと、表面層12bとの2層で構成されている。
【0024】
接着層12aは、例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、またはポリカーボネート系の熱可塑性ポリウレタン樹脂等の溶融接着性の樹脂で形成されている。あるいは、接着層12aは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレンプロピレンターポリマー(EPDM)、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、変成ナイロン樹脂等の樹脂と熱可塑性ポリウレタン樹脂等の溶融接着性の樹脂を混合した樹脂で形成されている。接着層12aの厚さは、繊維基材層11を構成する繊維の径より大きいことが好ましい。例えば、繊維基材層11としてマイクロファイバー等を用いた場合には、接着層12aの厚さは、0.1μm以上であることが好ましい。また、接着層12aが厚くなりすぎるとフィルム層12が剥離する虞がある観点から、接着層12aの厚さは390μm以下であることが好ましい。
【0025】
表面層12bは、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリウレタン(PU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等で形成されている。表面層12bは、これらのうち1種類で形成されていてもよく、2種類以上を併用して形成されていてもよい。これらの中でも、柔軟性等の特性に優れている点から、表面層12bを構成する樹脂としてはポリウレタンが好ましい。ポリウレタンとしては、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリマーポリオール系ポリウレタン等を用いることができる。表面層12bは、1層であってもよく、複数層が積層された構成であってもよい。表面層12bの厚さは、例えば、10〜350μmである。
【0026】
表面層12bを構成する材料は、無孔質であっても、多孔質であっても、いずれでもよい。模様付シート10の風合いが柔軟になる点からは、表面層12bを構成する材料は、多孔質であることが好ましい。
【0027】
フィルム層12の厚さは、例えば、20μm〜400μmである。フィルム層12の厚さは、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは40μm以上であり、さらに好ましくは60μm以上である。フィルム層12の厚さが20μm未満の場合には、フィルム層12の耐摩耗性が低く、摩耗によって外観が劣化する虞がある。また、フィルム層12の厚さが10μm未満の場合には、フィルム層12が繊維基材層11の繊維間に埋もれてしまって所望の外観が得られない虞がある。一方、フィルム層12の厚さは、好ましくは400μm以下であり、より好ましくは350μm以下である。表面層12bの厚さが400μmより大きい場合には、模様付シート10全体としての柔軟性が損なわれる虞がある。また、フィルム層12の厚さが400μmより大きい場合には、フィルム層12が存在しない領域(第1の領域10A)と存在する領域(第2の領域10B)とで厚さの差が大きくなり、フィルム層12が剥離しやすくなってしまう虞がある。
【0028】
フィルム層12には、必要に応じて、架橋剤、蛋白質(コラーゲン、フィブロイン等)、酸化防止剤、耐候剤(紫外線吸収剤等)、顔料、染料、難燃剤、撥水剤等が配合されていてもよい。
【0029】
表面層12bの表面には、シボ模様12cが形成されている。シボ模様12cは、例えば、天然皮革表面に見られるような凹凸により形成される模様のことである。シボ模様12cの凹凸の大きさ(凹部を基準にしたときの凸部の突出高さ)は、例えば、0.01〜100μmである。フィルム層12の表面にシボ模様12cが形成されていることにより、模様付シート10の外観が立体的となると共に、天然皮革の外観に近づくことによって高級感を持たせることができる。シボ模様12cは、後述するように、シボ付き離型紙を利用して形成される。
【0030】
なお、
図2において、便宜上、シボ模様を構成する凹凸のうち凹部に符号12cを付して示しているが、実際には、凹凸全体として構成される模様をシボ模様と称している。
【0031】
上記の構成の模様付シート10は、例えば、衣料、家具、自動車の内装用シート、雑貨等に好適に用いられる。
【0032】
(模様付シートの製造方法)
製造方法の説明に先行し、模様付きシートの製造に用いる製造装置について説明する。
図3に示す製造装置100Aは、離型紙供給ローラー141及び離型紙巻き取りローラー142を含む、ロールツーロール方式の装置である。製造装置100Aは、上流側から、樹脂塗布部143,コーター144,乾燥部145,樹脂塗布部146、コーター147及び乾燥部148を含む。
【0033】
図4に示す製造装置100Bは、離型紙供給ローラー151、中間ローラー152、離型紙巻き取りローラー153及びプロッター154を備える。製造装置100Bは、ロールツーロール方式の装置である。プロッター154は、中間ローラー152の上方に設けられている。プロッター154は、例えば、コンピュータのデータを元にしてカッティングシートに切り込みを入れ、ステッカーを作るために用いられる装置である。プロッター154は、カッター155を有する。カッター155は、刃が中間ロール152に向くように配置されている。
【0034】
(ステップS4)
図5に示す製造装置100Cは、繊維基材層供給部101、フィルム層供給部102,一対の圧着ローラー103,加熱ローラー104,圧着ローラー105,離型紙回収部106及び巻き取り部107の各ローラーを含む。繊維基材層供給部101には、前記ステップS1において準備した繊維基材層11を巻きかける。また、フィルム層供給部102には、前記ステップS3において作製したフィルム層12付きの離型紙R3を巻きかける。
【0035】
次に、模様付シート10の製造方法について説明する。模様付シート10の製造工程は、
図6に示すように、繊維基材層11を準備する工程(ステップS1)、樹脂溶液を調製する工程(ステップS21)、離型紙Rを準備する工程(ステップS22)、フィルム層12を作製する工程(ステップS3)及びフィルム層12を貼り合わせる工程(ステップS4)を含む。
【0036】
(ステップS1)
まず、ステップS1において、繊維基材層11を準備する。繊維基材層11は、上記説明したように、織物であっても、編物であっても、不織布であってもよい。必要に応じて、繊維基材層11に、毛羽立ち加工、撥水加工、プレス加工等を行う。
【0037】
(ステップS21,S22)
ステップS1とは独立に、ステップS21において、接着層12aとなる接着層用樹脂溶液及び表面層12bとなる表面層用樹脂溶液を調製する。
【0038】
また、ステップS1及びステップS21とは独立に、ステップS22において、表面にシボ模様を有する離型紙Rを準備する。離型紙Rには、少なくとも一方の面(第1の面)にシボ模様が形成されていればよい。離型紙Rの表面に形成されているシボ模様は、模様付シート10の表面に形成しようとするシボ模様12cと、凹凸が逆になっているものである。
【0039】
(ステップS3)
次に、ステップS3において、離型紙Rの表面にフィルム層12(表面層12b及び接着層12a)を形成する。フィルム層12を形成するステップS3は、表面層用樹脂溶液を塗布する工程(ステップS31)、それを乾燥する工程(ステップS32)、接着層用樹脂溶液を塗布する工程(ステップS33)、それを乾燥する工程(ステップS34)、フィルム層に切り込みを入れる工程(ステップS35)、及び不要部分のフィルム層を除去する工程(ステップS36)を含む。ステップS31からステップS34では、
図3に示す製造装置100Aを用いる。ステップS35では、
図4に示す製造装置100Bを用いる。
【0040】
ステップS3の工程について詳細に説明する。まず、製造装置100Aの離型紙供給ローラー141及び離型紙巻き取りローラー142に離型紙Rを巻きかける。そして、ステップS31において、塗布部143において、調製した表面層用樹脂溶液を離型紙Rの表面に塗布する。離型紙Rが、離型紙Rの第1の面にのみシボ模様を有する場合には、離型紙Rの第1の面に樹脂溶液を塗布する。このとき、例えばインクジェット法を用いて表面層用樹脂溶液の塗布を行う。塗布部143において塗布された表面層用樹脂溶液は、コーター144において、均一な厚さとなるように調整される。そして、ステップS32において、乾燥部145において、塗布した表面層用樹脂溶液を所定時間加熱乾燥し、表面層12bを形成する。
【0041】
続いて、ステップS33において、塗布部146において、表面層12bの表面に、接着層12aとなる接着層用樹脂溶液を塗布する。このとき、例えばインクジェット法を用いて樹脂材料の塗布を行う。塗布部146において塗布された接着層用樹脂溶液は、コーター147において、均一な厚さとなるように調整される。そして、ステップS34において、乾燥部148において、塗布した接着層用樹脂溶液を所定時間加熱乾燥し、接着層12aを形成する。これにより、
図7に示すように、離型紙Rの表面の全面にフィルム層12が形成された状態となる(この状態の離型紙Rを、「離型紙R1」の符号で説明する。)。離型紙R1は、
図3に示すように、離型紙巻き取りローラー142に巻き取られる。
【0042】
次に、
図4に示すように、製造装置100Bの離型紙供給ローラー151、中間ローラー152及び離型紙巻き取りローラー153に離型紙R1を巻きかける。そして、ステップS35において、中間ローラー152を通過する離型紙R1のフィルム層12に、フィルム層12が所望のパターンとなるように、プロッター154でパターンの枠に沿って切り込みを入れる。なお、ステップS35において、製造装置100Bを用いず、カッターナイフを用いて手作業でフィルム層12に切り込みを入れてもよい。
【0043】
離型紙R1上のフィルム層12は、中間ローラー152を通過した後は、任意のパターンの枠に沿って切り込みが入った状態となっている。中間ローラー152を通過した後の離型紙Rを「離型紙R2」の符号で説明する。中間ローラー152及び離型紙巻き取りローラー153の中間部分156において、離型紙R2のフィルム層12の不要部分(模様付シート10の第1の領域10Aに相当する領域)を除去する(ステップS36)。これにより、離型紙R上には、模様付シート10の第2の領域10Bにのみフィルム層12が形成された状態となる(この状態の離型紙Rを、「離型紙R3」の符号で説明する。)。離型紙R3は、
図4に示すように、離型紙巻き取りローラー153に巻き取られる。
【0044】
以下、製造装置100Cを用いた繊維基材層11とフィルム層12との貼り合わせについて説明する。繊維基材層供給部101から送り出された繊維基材層11と、フィルム層供給部102から送り出されたフィルム層12付きの離型紙R3とは、
図5に示すように、一対の圧着ローラー103に挟まれる。このとき、離型紙R3のうちフィルム層12が形成された面が、繊維基材層11に接触する。そして、両者が一対の圧着ローラー103で圧着されて一体となる。
【0045】
一対の圧着ローラー103で圧着されて一体となった繊維基材層11とフィルム層12付きの離型紙R3とは、次に、加熱ローラー104に送られて、加熱される。このときの加熱温度は、使用する繊維基材層11の表面の風合いや、繊維基材層11自体の風合いを阻害しない程度の温度であればよく、例えば、50〜250℃である。これにより、接着層12aが溶融して繊維基材層11と接着し、繊維基材層11とフィルム層12とが完全に一体となる。
【0046】
加熱ローラー104で加熱されて貼り合わされた繊維基材層11とフィルム層12とは、圧着ローラー105を経て、離型紙Rと繊維基材層11及びフィルム層12とが分離される。剥離された離型紙Rは、離型紙回収部106で回収される。残りの繊維基材層11及びフィルム層12の積層体が作製した模様付シート10であり、模様付シート10は、
図5に示すように、巻き取り部107に送られて巻き取られる。
【0047】
なお、ステップS4において、上記説明した製造方法の他、例えば、プレス機を用いて繊維基材層11とフィルム層12とを接着してもよい。
【0048】
(実施形態1の効果)
本実施形態の模様付シート10によれば、繊維基材層11の所定の部分にフィルム層12を接着して任意のデザインを施すことができるので、自由度の高いパターンの模様付シート10を得ることができる。また、第2の領域10Bに接着するフィルム層12には表面にシボ模様12cが形成されているので、第2の領域10Bの表面の質感も、任意の質感となるように設計することができる。
【0049】
また、実施形態1の模様付シート10によれば、第2の領域10Bがフィルム層12で覆われている一方で、第1の領域10Aはフィルム層で覆われないで、繊維基材層11がむき出しとなっている。そのため、模様付シート10全体として、良好な通気性が得られる。模様付シート10が良好な通気性を有するので、例えば、自動車のシートカバーとして使用される場合に好適である。
【0050】
さらに、実施形態1の模様付シート10によれば、繊維基材層11にフィルム層12を接着することにより第2の領域10Bが形成されているので、模様付シート10に2種類の素材が存在するにもかかわらず、第1の領域10Aと第2領域10Bとの間で、継ぎ目のないデザインとすることができる。
【0051】
(実施形態1の変形例)
本実施形態では、模様付シート10の第1の領域10Aはフィルム層で覆われず、第2の領域10Bはフィルム層12で覆われると説明したが、第2の領域10Bが、2層以上のフィルム層で覆われていてもよい。この場合でも、本実施形態の効果が得られる。
【0052】
また、本実施形態の模様付シート10の第2の領域10Bに接着するフィルム層12として、2種類のフィルム層が接着されていてもよい。つまり、第2の領域10Bの一部にフィルム層が設けられ、第2の領域10Bの残りの部分に別の種類のフィルム層が設けられていてもよい。この場合には、本実施形態よりもさらに複雑なデザインの模様付シートが得られる。
【0053】
<実施形態2>
次に、第2の実施の形態の模様付シート20について説明する。模様付シート20は、一例として、
図8に示すように、実施形態1の模様付シート10と同様、第1の領域20Aと第2の領域20Bとが格子状に配置され、全体として市松模様となっている。
【0054】
実施形態1と同様に、第1の領域20Aは、
図9に示すように、繊維基材層21で構成されている。また、第2の領域20Bは、
図9に示すように、繊維基材層21とフィルム層22とが積層された構成を有する。繊維基材層21は、実施形態1の繊維基材層11と同一の構成を有する。
【0055】
(フィルム層22)
フィルム層22は、接着成分を含んだ樹脂層で構成されている。具体的には、フィルム層22は、例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、またはポリカーボネート系の熱可塑性ポリウレタン樹脂等の溶融接着性の樹脂で形成されている。あるいは、フィルム層22は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリウレタン(PU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂と熱可塑性ポリウレタン樹脂等の溶融接着性の樹脂を混合した樹脂で形成されている。なお、優れた柔軟性を有する点からは、フィルム層22は、ポリウレタンで形成されていることが好ましい。フィルム層22の厚さは、例えば、10〜350μmである。
【0056】
模様付シート20は、接着成分を含んだ樹脂層でフィルム層22を形成することを除いて、実施形態1の模様付シート10と同一の方法で形成することができる。
【0057】
(実施形態2の効果)
フィルム層22の厚さは、上述したように、接着成分を含む樹脂層で構成されている。このため、フィルム層22は、実施形態1のように独立した接着層を含まず、フィルム層22の全体としての厚さを実施形態1のフィルム層12の厚さよりも小さく形成することが可能となる。従って、第1の領域20Aと第2の領域20Bとの厚さの差が、実施形態1の場合と比較して小さくなっている。結果として、第1の領域20Aと第2の領域20Bの境界における模様付シート20の表面の段差が小さく、自然な触感が得られる。
【0058】
模様付シート20により得られるその他の効果は、実施形態1と同様である。
【0059】
<実施形態3>
次に、第3の実施の形態の模様付シート120について説明する。模様付シート120は、実施形態2の模様付シート20と同様の構成を有する。すなわち、模様付シート120は、一例として、
図10に示すように、実施形態1の模様付シート10と同様、第1の領域120Aと第2の領域120Bとが格子状に配置され、全体として市松模様となっている。
【0060】
また、実施形態1と同様に、第1の領域120Aは、
図11に示すように、繊維基材層121で構成されている。また、第2の領域120Bは、
図11に示すように、繊維基材層121とフィルム層122とが積層された構成を有する。繊維基材層121及びフィルム層122は、実施形態2の繊維基材層21及びフィルム層22と同一の構成を有する。
【0061】
(模様付シート120の製造方法)
模様付シート120の製造方法の説明に先行し、模様付きシート120の製造に用いる製造装置について説明する。
図12は、模様付シート120の製造工程において、フィルム層122の形成に用いる製造装置200を示す。
図12に示す製造装置200は、離型紙供給ローラー201、スクリーン版設置部202,樹脂塗布部203,乾燥部204,及び離型紙巻き取りローラー205を含む。離型紙供給ローラー201及び離型紙巻き取りローラー205には、前記ステップS22において準備した離型紙Rを巻きかける。スクリーン版設置部202には、ステップS23において準備したスクリーン版P1を設置する。樹脂塗布部203は、スクリーン版設置部202に設置されたスクリーン版P1の近傍に設けられている。製造装置200を用いたフィルム層122の形成の工程は、樹脂溶液をスクリーン印刷する工程(ステップS301)及び乾燥工程(ステップS302)を含む。
【0062】
次に、模様付シート120の製造方法について説明する。模様付シート120の製造工程は、
図13に示すように、繊維基材層121を準備する工程(ステップS1)、樹脂溶液を準備する工程(ステップS21)、離型紙Rを準備する工程(ステップS22)、スクリーン版を準備する工程(ステップS23)、フィルム層122を作製する工程(ステップS30)及びフィルム層122を貼り合わせる工程(ステップS4)を含む。
【0063】
(ステップS1)
まず、ステップS1において、繊維基材層121を準備する。繊維基材層121は、上記説明したように、織物であっても、編物であっても、不織布であってもよい。必要に応じて、繊維基材層121に、毛羽立ち加工、撥水加工、プレス加工等を行う。
【0064】
(ステップS21、S22、S23)
ステップS1とは独立に、ステップS21において、樹脂溶液を準備する。この樹脂溶液は、フィルム層122を構成する。樹脂溶液は、接着成分を含んでいる。ここで準備した樹脂溶液の粘度は、例えば、2〜70Pa・sである。また、樹脂溶液のTi値(チキソトロピーインデックス)は、1.5以上であることが好ましい。ここで、Ti値とは、物質の粘度の時間依存性を含めたパラメーターである。具体的には、Ti値は、回転粘度計を用いて所定速度及び所定速度の1/10の速度における粘度を同一のローターを用いて計測し、1/10の速度における計測値を所定速度での計測値で除した値である。樹脂溶液のTi値が1.5よりも低い場合には、塗布した樹脂溶液が流れてしまい、フィルム層を所望のパターンに形成できなくなる虞がある。また、樹脂溶液の所定速度での濃度が70Pa・sより高い場合には、塗布膜中に気泡が発生する虞がある。
【0065】
また、ステップS1及びステップS21とは独立に、ステップS22において、表面にシボ模様を有する離型紙Rを準備する。離型紙Rには、少なくとも一方の面(第1の面)にシボ模様が形成されていればよい。離型紙Rの表面に形成されているシボ模様は、模様付シート120の表面に形成しようとするシボ模様122cと、凹凸が逆になっているものである。
【0066】
(ステップS23)
また、ステップS1、ステップS21及びステップS22とは独立に、ステップS23において、スクリーン版P1を準備する。スクリーン版としては、例えば、平板状のスクリーン版P1を準備する。スクリーン版P1には、一方の面から反対の面に樹脂が浸透可能な領域と、浸透不可能な領域が設けられている。樹脂が浸透可能な領域は、樹脂を形成する任意のパターンと一致するように配置されている。
【0067】
スクリーン版P1の構造について説明する。スクリーン版P1は、スクリーン版本体と、コーティング層を含む。スクリーン版本体の全面には、複数の穴が形成され、メッシュ構造となっている。コーティング層は、スクリーン版本体のメッシュ構造の表面に形成されている。コーティング層は、スクリーン版本体の表面の一部分に形成されている。スクリーン版本体の表面にコーティング層が形成された領域は、スクリーン版本体のメッシュ孔がふさがれて、樹脂が浸透不可能な領域を構成している。コーティング層は、例えば、光硬化性樹脂で形成されている。
【0068】
スクリーン版P1の作製方法の一例を説明する。まず、表面に複数のメッシュ孔を有するスクリーン版本体の表面のうち一部の領域をマスクで覆う。ここで、マスクで覆う領域が、形成しようとする任意のパターンに対応する。そして、マスクで覆われなかった領域に、光硬化性樹脂を塗布する。光硬化性樹脂を塗布した後、光硬化性樹脂に対して紫外線を照射する。これにより、形成しようとする任意のパターンとは逆パターンのコーティング層が形成される。最後に、マスクを除去することにより、形成しようとする任意のパターンに対応した樹脂浸透領域が現れる。こうして、スクリーン版P1が得られる。
【0069】
なお、スクリーン版P1の樹脂浸透領域は、コンピュータを用いて自動的に任意のデザインに形成することが可能である。
【0070】
なお、一度作製したスクリーン版P1からコーティング層を剥離し、スクリーン版本体を再利用することも可能である。
【0071】
(ステップS30)
ステップS301において、樹脂塗布部203において、スクリーン版P1を介して、離型紙Rに樹脂溶液を塗布する。すなわち、樹脂溶液を離型紙Rにスクリーン印刷する。これにより、スクリーン版P1のうち樹脂が浸透可能な領域のみから樹脂が離型紙Rに到達し、任意のパターンとなるように樹脂溶液を塗布することができる。
【0072】
ステップS301で樹脂溶液がスクリーン印刷された離型紙Rは、製造装置200の乾燥部204に送られる。そして、ステップS302において、塗布した樹脂溶液を所定時間加熱乾燥する。これにより、離型紙Rの一部の領域(模様付シート120の第2の領域120Bに相当する領域)にフィルム層122が形成される。最後に、フィルム層122が形成された離型紙Rを、離型紙巻き取りローラー205で回収する。
【0073】
(ステップS4)
続いて、ステップS4において、離型紙Rから繊維基材層121の表面にフィルム層122の転写を行う。ここでは、実施形態1で説明した製造装置100Cと同様の装置を用いることができる。
【0074】
以下、製造装置100Cを用いた繊維基材層121とフィルム層122との貼り合わせについて説明する。まず、繊維基材層121を繊維基材層供給部101にセットする。また、ステップS30において離型紙巻き取りローラー205で回収した離型紙Rを、フィルム層供給部102にセットする。そして、繊維基材層供給部101から送り出された繊維基材層121と、フィルム層供給部102から送り出されたフィルム層122付きの離型紙Rとは、一対の圧着ローラー103に挟まれる。このとき、離型紙Rのうちフィルム層122が形成された面が、繊維基材層121に接触する。そして、両者が一対の圧着ローラー103で圧着されて一体となる。
【0075】
一対の圧着ローラー103で圧着されて一体となった繊維基材層121とフィルム層122付きの離型紙Rとは、次に、加熱ローラー104に送られて、加熱される。このときの加熱温度は、使用する繊維基材層121の表面の風合いや、繊維基材層121自体の風合いを阻害しない程度の温度であればよく、例えば、50〜250℃である。これにより、フィルム層122に含まれる接着成分が溶融して繊維基材層121と接着し、繊維基材層121とフィルム層122とが完全に一体となる。
【0076】
加熱ローラー104で加熱されて貼り合わされた繊維基材層121とフィルム層122とは、圧着ローラー105を経て、離型紙Rから分離される。剥離された離型紙Rは、離型紙回収部106で回収される。残りの繊維基材層121及びフィルム層122の積層体が作製した模様付シート120であり、模様付シート120は、巻き取り部107に送られて巻き取られる。
【0077】
(実施形態3の効果)
本実施形態によれば、スクリーン印刷によってフィルム層122を任意のパターンとなるように形成するので、離型紙R上から不要な部分(第1の領域120A)に相当する部分のフィルム層を剥離する作業を省略することができる。したがって、模様付シートを作製するにあたって、歩留まりを向上させることができる。
【0078】
(実施形態3の変形例)
実施形態3では、製造装置200において表面にフィルム層122が形成された離型紙Rを離型紙巻き取りローラー205で回収し、それを、製造装置100Cのフィルム層供給部102にセットすると説明したが、
図14に示すような、製造装置200と製造装置100Cとが一体になった製造装置300を用いてもよい。つまり、乾燥部204から送られた離型紙Rを、一旦ローラーに回収することなく、フィルム層122を繊維基材層121へ転写してもよい。
【0079】
実施形態3では、製造装置200がスクリーン版設置部202及び樹脂塗布部203を1組備えると説明したが、製造装置200が、スクリーン版設置部202及び樹脂塗布部203を複数セット備えていてもよい。この場合、複数のスクリーン版設置部202及び樹脂塗布部203は、直列に配置される。例えば、製造装置200が3セットのスクリーン版設置部202及び樹脂塗布部203を備えている場合、1つ目の樹脂塗布部203において離型紙Rに赤色のフィルム層12を形成し、2つ目の樹脂塗布部203において離型紙Rに黄色のフィルム層12を形成し、3つ目の樹脂塗布部203において離型紙Rに緑色のフィルム層12を形成することができる。これにより、異なる色や異なる素材のフィルム層12を離型紙R上に形成することが可能となる。
【0080】
実施形態3で用いた製造装置200は、平板状のスクリーン版P1を備えると説明したが、スクリーン版が平板状以外の形状であってもよい。例えば、
図15に示すように、円筒状のスクリーン版P2であってもよい。
図15に示すスクリーン版P2の例では、スクリーン版P2は、花柄の模様が形成されている。花柄模様の花弁部分には、スクリーン版本体P2aのメッシュが露出している。花柄模様の花弁部分以外の領域においては、スクリーン版本体P2aはコーティング層P2bで覆われている。そのため、
図16のスクリーン版P2は、花柄模様の花弁部分において、円筒の内部から外部に樹脂溶液を透過させることができる。その結果、
図16に示すようなパターンとなるように、花柄模様の花弁部分のみに樹脂溶液を塗布することができる。なお、
図16中の破線は、スクリーン版P2が一回転したときの幅を示している。
【0081】
なお、円筒状のスクリーン版の筒径が大きい場合には、樹脂溶液を塗布しようとするパターンのピッチ(
図16に示す破線と破線の間の距離)を大きくすることができる。
【0082】
本実施形態で説明した製造装置200は、さらに、スクリーン版を作製するスクリーン版作製部を備えていてもよい。
図17は、スクリーン版作製部210の一例を示す。スクリーン版作製部210は、画像読取部211、マスク形成部212、マスク固定部213、スクリーン版本体固定部214,及びコーティング部215を備える。
【0083】
画像読取部211は、模様付シートに形成しようとする任意のパターンを、コンピュータ内に読み込む。マスク形成部212は、画像読取部211で読み込んだ画像のデータを元に、対応するマスクを形成する。ここで形成するマスクは、形成するパターンに対応した形状の開口を有する。マスク固定部213は、マスク形成部212で形成したマスクを固定する。スクリーン版本体固定部214は、スクリーン版本体を固定する。マスク固定部213とスクリーン版本体固定部214とは、マスク固定部213に固定されたマスクがスクリーン版本体固定部214に固定されたスクリーン版本体を覆う位置関係となるように配置されている。コーティング部215は、マスク固定部213に固定されたマスクを介して、スクリーン版本体固定部214に固定されたスクリーン版本体の表面にコーティング層を形成する。
【0084】
<実施形態4>
次に、第4の実施の形態の模様付シート30について説明する。模様付シート30は、一例として、
図18に示すように、実施形態1の模様付シート10と同様、第1の領域30Aと第2の領域30Bとが格子状に配置され、全体として市松模様となっている。
【0085】
第1の領域30Aは、
図19に示すように、繊維基材層31及び第1フィルム層32で構成されている。また、第2の領域30Bは、
図19に示すように、繊維基材層31、第1フィルム層32、及び第2フィルム層33が積層された構成を有する。言い換えると、模様付シート30は、繊維基材層31及び第1フィルム層32からなるシート部材34上に、第2の領域30Bにのみ第2フィルム層33が設けられた構成となっている。
【0086】
(シート部材)
シート部材34は、上述のように、繊維基材層31及び第1フィルム層32が積層された構成を有する。繊維基材層31は、実施形態1の繊維基材層11と同一の構成を有する。
【0087】
第1フィルム層32は、
図19に示すように、接着層32a及び表面層32bで形成されている。接着層32aは、実施形態1のフィルム層12の接着層12aと同様の材料で構成されている。接着層32aの厚さは、例えば、0.1〜1000μmである。また、表面層32bは、実施形態1のフィルム層12の表面層12bと同様の材料で構成されている。表面層32bの厚さは、例えば、10〜400μmである。また、第1フィルム層32全体としては、例えば、20〜1400μmである。
【0088】
表面層32bの表面には、シボ模様32cが形成されている。なお、
図19において、便宜上、シボ模様を構成する凹凸のうち凹部に符号32cを付して示しているが、実際には、凹凸全体として構成される模様をシボ模様と称している。
【0089】
第2のフィルム層33は、実施形態1のフィルム層12と同様、接着層33a及び表面層33bが積層された構成を有する。接着層33a、及び表面層33bの各構成については、実施形態1の接着層13a、及び表面層13bと同様である。第2フィルム層33の厚さは、例えば、20〜400μmである。
【0090】
表面層33bの表面には、シボ模様33cが形成されている。なお、
図19において、便宜上、シボ模様を構成する凹凸のうち凹部に符号33cを付して示しているが、実際には、凹凸全体として構成される模様をシボ模様と称している。表面層33bにシボ模様33cが形成されているので、外観、質感共に天然皮革のような高級感が得られる。
【0091】
シボ模様33cは、第1フィルム層32の表面層32bに形成されたシボ模様32cと同一であっても、異なっていてもよい。第2フィルム層33のシボ模様33cのパターンが第1フィルム層32のシボ模様32cのパターンと異なっている場合は、当然、シボ模様32cとシボ模様33cとは非連続の模様となっている。第2フィルム層33のシボ模様33cのパターンが第1フィルム層32のシボ模様32cのパターンと同一である場合でも、第1フィルム層32上に第2フィルム層33を接着する際に、シボ模様33cが厳密にシボ模様32cと重なるように位置合わせしない限り、シボ模様32cとシボ模様33cとは非連続の模様となっている。
【0092】
なお、第2の領域30Bにおいて、第1フィルム層32が第2フィルム層33で覆われていても、第1フィルム層32のシボ模様32cは、第2フィルム層33の下層に形成された状態となっている。従って、
図19に示すように、模様付シート30の断面図において、第2の領域30Bでも第1フィルム層32のシボ模様32cを観察することができる。
【0093】
(模様付シート30の製造方法)
次に、実施形態4の模様付シート30の製造方法を説明する。この製造方法は、実施形態1の模様付シート10の製造方法のステップS1において、繊維基材層11の代わりにシート部材34を準備する点が異なっている。ステップS1において、繊維基材層31の上に第1フィルム層32が設けられたシート部材34を準備する。シート部材34は、従来公知の合成皮革の製造方法に従って作製することができる。
【0094】
ステップS2〜ステップS4の各工程については、実施形態1と同様である。これにより、模様付シート30が得られる。
【0095】
(実施形態4の効果)
本実施形態の模様付シート30によれば、シート部材34の所定の部分に第2フィルム層33を接着して任意のデザインを施すことができるので、自由度の高いパターンの模様付シート30を得ることができる。第1フィルム層32のシボ模様32cと第2フィルム層33cのシボ模様33cとは同一のパターンであっても、異なっていても、いずれでもよいので、本実施形態の方法によって模様付シート30を形成することにより、第2の領域30Bの表面の質感を、第1の領域30Aとは独立に任意に設計することができる。
【0096】
(実施形態4の変形例)
第2フィルム層33が接着層33aと表面層33bとで構成されると説明したが、第2フィルム層33が実施形態2のフィルム層22と同様、接着成分を含む樹脂層で形成されていてもよい。この場合、接着層33aと表面層33bとで第2フィルム層33を構成するよりも厚さを小さくすることができ、第1の領域30Aと第2の領域30Bの境界においても、自然な触感の模様付シート30とすることができる。
【0097】
本実施形態では、模様付シート30の第1の領域30Aが第1フィルム層32で、第2の領域30Bが第1フィルム層32及び第2フィルム層33で覆われていると説明したが、第1の領域30Aが第1フィルム層32で、第2の領域30Bが第1フィルム層32及び第2フィルム層33を含む3層以上のフィルム層で覆われていてもよい。この場合でも、実施形態4と同様の効果を得ることができる。ただし、第2の領域30Bにおいて第1フィルム層32の上に2層以上のフィルム層を積層することにより、第1の領域30Aと第2の領域30Bとの厚さの差が大きくなる点からは、第2の領域30Bは2層のフィルム層で構成されていることが好ましい。
【0098】
また、本実施形態では、模様付シート30の第1の領域30Aと第2の領域30Bとが共通の第1フィルム層32で覆われていると説明したが、第1の領域30Aと第2の領域30Bを共通して覆うフィルム層が、第1フィルム層32を含む2層以上のフィルム層であってもよい。つまり、この場合、第1の領域30Aが2層のフィルム層で覆われ、第2の領域30Bが3層のフィルム層で覆われることとなる。
【0099】
<実施形態5>
実施形態1〜実施形態3では、第1の領域10A、20Aにフィルム層が0層、及び第2の領域10B、20Bにフィルム層11,21が1層形成されている場合について、実施形態4では、第1の領域30Aにフィルム層が1層(第1フィルム層32)、及び第2の領域30Bにフィルム層が2層(第1フィルム層32及び第2フィルム層33)形成されている場合について説明したが、特に、これらに限定されない。例えば、本発明の模様付シートが、フィルム層が3層以上積層された第3の領域を含んでいてもよい。以下、第5の実施の形態の模様付シート40について説明する。
図20は、模様付シート40の平面図である。また、
図21は、
図20のXXI−XXI線における模様付シート40の断面図である。
【0100】
模様付シート40は、繊維基材層41を有する。模様付シート40は、繊維基材層41上にフィルム層が1層設けられた第1の領域40Aと、繊維基材層41上にフィルム層が2層設けられた第2の領域40Bと、繊維基材層41上にフィルム層が3層設けられた第3の領域40Cとを有する。
【0101】
第1の領域40Aは、
図21に示すように、繊維基材層41及び第1フィルム層42で構成されている。また、第2の領域40Bは、
図21に示すように、繊維基材層41、第1フィルム層42、及び第2フィルム層43が積層された構成、または、繊維基材層41、第1フィルム層42、及び第3フィルム層44が積層された構成を有する。さらに、第3の領域40Cは、
図21に示すように、繊維基材層41、第1フィルム層42、第2フィルム層43、及び第3フィルム層44が積層された構成を有する。言い換えると、模様付シート40は、第2の領域40Bにおいて、繊維基材層41及び第1フィルム層42からなるシート部材45上に、第2フィルム層43又は第3フィルム層44が設けられた構成を有する。また、模様付シート40は、第3の領域40Cにおいて、繊維基材層41及び第1フィルム層42からなるシート部材45上に、第2フィルム層43及び第3フィルム層44が設けられた構成を有する。
【0102】
シート部材45は、実施形態4のシート部材34と同様の構成を有する。また、第2フィルム層43及び第3フィルム層44は、実施形態4の第2フィルム層33と同様の構成を有する。第1フィルム層42,第2フィルム層43,及び第3フィルム層44の表面には、それぞれ、シボ模様42c、43c、44cが形成されている。模様付シート40により得られる効果については、実施形態4の模様付シート30と同一である。
【0103】
<実施形態6>
実施形態3の変形例では、複数回のスクリーン印刷を行うことによって1枚の離型紙Rに複数色の樹脂溶液を塗布し、これにより、繊維基材層121上に複数色のフィルム層122を形成することができると説明したが、他の方法によって、繊維基材層上に複数色のフィルム層を形成することも可能である。
【0104】
以下、第6の実施の形態にかかる模様付シート140について説明する。模様付シート140は、
図22に示すように、第1の領域140A及び第2の領域140Bを含む。第2の領域140Bは、例えば、赤色領域140Br,黄色領域140By、緑色領域140Bgを含む。赤色領域140Br、黄色領域140By及び緑色領域140Bgの各々は、例えば、矩形に形成されている。また、赤色領域140Br、黄色領域140By及び緑色領域140Bgの各々は、互いに隣接して配置されている。なお、
図22で示した第2の領域140Bの形状、配色及び配置は本発明の一例であり、これらに限定されない。
【0105】
模様付シート140は、
図23に示すように、繊維基材層141とフィルム層142とが積層された構成を有する。フィルム層142は、接着層142aと表面層142bとが積層された構成を有する。フィルム層142は、第2の領域140Bにのみ形成されている。つまり、第1の領域140Aでは、繊維基材層141はフィルム層142で覆われない。また、第2の領域140Bでは、繊維基材層141はフィルム層142に覆われた構成となっている。繊維基材層141及び接着層142aは、実施形態1と同一の構成を有する。
【0106】
表面層142bは、赤色表面層142br、黄色表面層142by、及び緑色表面層142bgを含む。赤色表面層142brは、赤色領域140Brに形成されている。黄色表面層142byは、黄色領域140Byに形成されている。緑色表面層142bgは、緑色領域140Bgに形成されている。赤色表面層142br、黄色表面層142by、及び緑色表面層142bgの表面には、各々、シボ模様142cが形成されている。赤色表面層142br、黄色表面層142by、及び緑色表面層142bgの各々の表面に形成されるシボ模様142cは、同一の模様である。また、赤色表面層142br、黄色表面層142by、及び緑色表面層142bgの各々の表面に形成されるシボ模様142cは、互いに、連続した模様となっている。
【0107】
模様付シート140は、離型紙R上に塗布する樹脂溶液として、赤色、黄色、及び緑色の3種類を用いることを除いて、実施形態1と同様に作製することができる。離型紙Rへの各樹脂の塗布は、例えば、インクジェット法を用いて行うことができる。
【0108】
本実施形態によれば、シボ模様142cは、1枚の離型紙のシボ模様に従った形状となる。そのため、複数の色のフィルム層142を有するにもかかわらず、各色のフィルム層142上に形成されたシボ模様142cを同一の形状、且つ連続した形状とすることができる。つまり、模様付シート140の表面が単一の素材であるかのような触感を維持しつつ、色彩の自由度を高めたデザインとすることができる。
【0109】
(実施形態6の変形例)
実施形態6において
図22に示すように複数色のフィルム層142が形成された模様付シート140は、
図24に示す構成であってもよい。つまり、フィルム層142が、接着層142a、表面層142b及びカラー層142dで構成されていてもよい。カラー層142dは表面層142bの上層に設けられている。カラー層142dは、赤色層142dr、黄色層142dy、及び緑色層142dgを含む。カラー層142dは、例えば、インクジェット法等で離型紙Rの表面に印刷することにより、形成することができる。
【0110】
また、実施形態6では、フィルム層142が接着層142aと表面層142bとを含むと説明したが、フィルム層142が接着成分を含む樹脂で1層の構成として形成されていてもよい。つまり、フィルム層142は、接着層142aが無くてもよい。
【0111】
(その他の変形例)
上記の実施形態1〜実施形態6においては、シボ模様は天然皮革表面に見られるような凹凸により形成される模様のことであると説明したが、本発明における「シボ模様」は、フィルム層の表面に凹凸がない、すなわち、フィルム層の表面が平坦である場合をも含む。例えば、フィルム層の表面に着色の濃淡や表面の質感の加工によって、天然皮革の表面に見られる凹凸で形成される模様を表した模様も、本発明の「シボ模様」に含まれる。従って、上記の実施形態で説明したようにフィルム層の表面に凹凸が形成されていることは必須の要件ではなく、フィルム層の表面が平坦であってもよい。フィルム層の表面が平坦である場合には、フィルム層の表面には、例えば着色の濃淡や表面の質感の加工によって、シボ模様が形成されている。
【0112】
また、上記の実施形態においては、シボ模様は天然皮革表面に見られるような凹凸により形成される模様である場合を説明したが、本発明における「シボ模様」は、梨地、幾何学模様、微細模様、ロゴデザイン、線、布柄、木目等を表すものであってもよい。
【0113】
以上、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0114】
本発明の模様付シートは、繊維基材層上に、表面にシボ模様を有するフィルム層が0層以上設けられた第1の領域と、繊維基材層上に、表面にシボ模様を有するフィルム層が1層以上設けられた第2の領域と、を含み、第1の領域及び第2の領域のうち、フィルム層が2層以上重ねられている場合には、各層の表面にシボ模様が形成されている。
【0115】
本発明の模様付シートの第1の領域は、フィルム層が0層であってもよい。
【0116】
第1の領域においてフィルム層が0層の場合、第2の領域のフィルム層の厚さは、20〜400μmであることが好ましい。
【0117】
本発明の模様付シートは、第1の領域は、フィルム層が1層であり、第2の領域は、フィルム層が2層であってもよい。
【0118】
第1の領域は、フィルム層が1層であり、第2の領域は、フィルム層が2層である場合、第1の領域のフィルム層の厚さは、20〜1400μmであり、第2の領域の2層のフィルム層のうち、表面に設けられたフィルム層の厚さは、20〜400μmであることが好ましい。
【0119】
本発明の模様付シートの第1の領域の表面に形成されたシボ模様と、第2の領域の表面に形成されたシボ模様とは、異なる模様であってもよい。
【0120】
本発明の模様付シートの繊維基材層の、織物、編物、又は不織布であってもよい。
【0121】
本発明の模様付シートの製造方法は、繊維基材層の一方の面に、表面にシボ模様を有する0層以上の第1のフィルム層を形成する第1の工程と、繊維基材層の一方の面の一部又は第1のフィルム層の表面の一部に、表面にシボ模様を有する第2のフィルム層を1層以上形成する第2の工程と、を含む。
【0122】
本発明の模様付シートの製造方法の第2の工程は、第2のフィルム層の表面にシボ模様を形成するシボ模様形成工程と、繊維基材層の一方の面又は第1のフィルム層の表面の一部に、第2のフィルム層を接着する貼り合わせ工程と、を含むことが好ましい。
【0123】
本発明の模様付シートの製造方法のシボ模様形成工程は、貼り合わせ工程に先行して行なわれることが好ましい。
【0124】
この場合、本発明の模様付シートの製造方法は、シボ模様形成工程において、離型紙の面のうちシボ模様が形成された第1の面に、任意のパターンの第2のフィルム層を設けることにより、第2のフィルム層の離型紙側の表面にシボ模様を形成し、貼り合わせ工程において、繊維基材層の一方の面又は第1のフィルム層の表面に、第2のフィルム層の離型紙側とは反対側の面を重ね合わせ、第2のフィルム層を繊維基材層又は第1のフィルム層に転写することにより第2フィルム層を接着することが好ましい。
【0125】
シボ模様形成工程において離型紙を用いる場合、本発明の模様付シートの製造方法は、シボ模様形成工程において、第1の面に第2のフィルム層を1層以上形成するステップと、離型紙上に形成された第2のフィルム層の一部を除去することにより、第2のフィルム層を任意のパターンにするステップと、を経て、離型紙へ第2のフィルム層を形成してもよい。
【0126】
また、シボ模様形成工程において離型紙を用いる場合、本発明の模様付シートの製造方法は、シボ模様形成工程において、第1の面のうち、任意のパターンとなる領域に樹脂を塗布することにより、離型紙へ第2のフィルム層を形成してもよい。
【0127】
この場合、本発明の模様付シートの製造方法は、シボ模様形成工程において、スクリーン版を用いたスクリーン印刷法を用いて第1の面へ樹脂を塗布することが好ましい。
【0128】
シボ模様形成工程においてスクリーン印刷法を用いる場合、本発明の模様付きシートの製造方法において用いるスクリーン版は、複数のメッシュ孔を有するスクリーン版本体と、スクリーン版本体の表面に、樹脂を塗布しようとする任意のパターンとは逆のパターンとなるように形成されたコーティング層と、を有することが好ましい。
【0129】
シボ模様形成工程において、第1の面のうち、任意のパターンとなる領域に樹脂を塗布することにより、離型紙へ第2のフィルム層を形成する場合、本発明の模様付きシートの製造方法において用いる樹脂は、接着成分を含んでいることが好ましい。
【0130】
本発明の一実施形態に係る模様付シートの製造装置は、表面にシボ模様を有する離型紙の表面の一部に樹脂を塗布して、シボ模様を有するフィルム層を形成するフィルム層形成部と、フィルム層形成部で形成したフィルム層を繊維基材層又は繊維基材層上に形成されたフィルム層に接着すると共に離型紙を剥離するフィルム層転写部と、を備える。
【0131】
本発明の別の実施形態に係る模様付シートの製造装置は、繊維基材層の一部にフィルム層を形成するフィルム層形成部と、フィルム層形成部で形成したフィルム層の表面にシボ模様を形成するシボ模様形成部と、を備える。
【実施例】
【0132】
以下、本発明の実施例として作製した模様付シート(実施例1〜実施例4)について詳細に説明する。
【0133】
(実施例1)
上記説明した実施形態1の模様付シート10の製造方法(
図6のフローチャートを参照。)に従って模様付シート50を作製し、これを実施例1とした。形成した模様付シート50は、
図25に示すように、複数の第1の領域50Aと第2の領域50Bとが交互に縞状に並んだデザインのものであった。
図26は、模様付シート50の断面写真である。
【0134】
具体的には、繊維基材層51の準備を行った。繊維基材層51となる布としては、長さ100m、巾150cmの起毛された複合短繊維不織布を準備した(
図6に示すステップS1に相当)。この複合短繊維不織布の繊維見掛け密度(JIS K 6550の靴甲用人工皮革試験方法に準じて測定した見掛け密度)は、0.23g/cm
3であった。この複合短繊維不織布に対して、シリコーン系撥水剤をパディングした。その後、乾燥機(株式会社市金工業製、型番:IFT415)を用いて複合短繊維不織布を乾燥させ、繊維基材層51とした。得られた繊維基材層51は、JIS L 1092に準じて行ったはっ水度試験による撥水性の評価が、2級であった。
【0135】
次に、表面層12bとなる表面層用樹脂溶液と、接着層12aとなる接着層用樹脂溶液とを調製した(
図6に示すステップS21に相当)。表面層用樹脂溶液としては、ポリカーボネート系ポリウレタン(DIC株式会社製、商品名:クリスボンMP−865PS、固形分30重量%)100重量部、茶色顔料(DIC株式会社製、商品名:ダイラックブラウン、固形分70重量%)30重量部、及びジメチルホルムアミド(DMF)210重量部を仕込み、これらを攪拌混合して、固形分濃度15重量%の高分子弾性体溶液(20Pa・S)を調製した。接着層用樹脂溶液としては、熱融着型不織布(東洋紡STC株式会社製、商品名:LNS3010、融点100℃)20重量部をメチルエチルケトン(MEK)80重量部に溶解させ、固形分20重量%の接着剤溶液を調整した。
【0136】
次いで、巾155cmの離型紙(リンテック株式会社製、商品名:AR−64)を準備した。このうち200mを取り、フィルム塗工乾燥機(株式会社ヒラノテクシード製、タイプ:PD−RF)に装填した(
図6に示すステップS22に相当)。この離型紙は、表面にシボ模様(シボ模様の凹凸における、凹部分と凸部分の厚さの差が、40〜60μm程度)が形成されたものであった。
【0137】
次に、フィルム塗工乾燥機を2m/分の走行速度で走行させつつ、表面層用樹脂溶液及び接着層用樹脂溶液の塗布を行った(
図6に示すステップS3に相当)。このときのフィルム塗工乾燥機の乾燥温度は130℃であった。はじめに、表面層用樹脂溶液を、固形分で50g/m
2となるように離型紙上へ塗布し、表面層52bとなる樹脂層を形成した。そして、さらにホットメルト形アクリル樹脂(溶融温度:90℃)の接着溶液を塗布し、接着層52aとなる樹脂層を形成した。
【0138】
次いで、カッテイングプロッター(株式会社ミマキエンジニアリング製、型番:CG−160FXII)に、表面層52b及び接着層52a(フィルム層52)を形成した離型紙を装着した。このとき、離型紙の表面に形成された表面層52b及び接着層52a(フィルム層52)が切り込み面となるように装着した。そして、離型紙のロール軸方向に沿ってスリット状のパターンに切り込みを入れた。スリット状のパターンは、スリット幅を5mm、ピッチを20mmとした。つまり、切り込みを入れた後のフィルム層52は、5mm幅と15mm幅の長尺状の部分が交互に並んだ状態に分割された。その後、分割された複数のフィルム層52のうち、5mm幅の部分を取り除いた。これにより、15mm幅のフィルム層52が20mmピッチで縞模様に並んだ状態となった。
【0139】
次に、繊維基材層51と離型紙とを、サーモプリンター(井上金属工業株式会社製、タイプ1001)を用いて重ね合わせ、フィルム層52を繊維基材層51に転写した(
図6に示すステップS4に相当)。このときの走行条件は、フェルトテンション:0.6MPa、加熱温度:150℃、走行速度:1m/分とした。
【0140】
繊維基材層51を冷却した後、離型紙を剥がすと、フィルム層52が接着された領域(第2の領域50B)では、繊維基材層51上に縞状に人工皮革が得られた。人工皮革となっている領域の表面には、シボ模様52c(シボ模様の凹凸における、凹部分と凸部分の厚さの差が、40〜60μm程度)が形成されていた。一方、フィルム層52が接着されていない領域(第1の領域50A)では、繊維基材層51の起毛がそのまま露出していた。
【0141】
図26によれば、模様付シート50が、繊維基材層51が表面に露出した第1の領域50Aと、フィルム層52が表面に露出した第2の領域50Bとを有することが確認できる。また、第2の領域50Bにおいて、d1における厚さとd2における厚さが異なることから、フィルム層52がシボ模様52cを有することも確認できる。
【0142】
(実施例2)
実施例1で使用した繊維基材層を40cm×30cmの矩形に切り取った。また、実施例1で使用した離型紙(樹脂積層体を形成したもの)を40cm×30cmの矩形に切り取った。そして、離型紙の樹脂積層体が形成された表面が繊維基材層に接するようにこれらを重ね合わせ、自動プレス機(奥野電機産業株式会社製、型番:オクサンプレス機AF−43T)で加熱及び加圧した。このときの条件は、加熱温度:160℃、及び加熱時間:40秒であった。
【0143】
自動プレス機を用いて樹脂積層体(フィルム層)と繊維基材層との重ね合わせを行った実施例2においても、実施例1と同様、縞状に繊維基材層(第1の領域50A)と合成皮革(第2の領域50B)とが交互に並んだ模様付シートを得ることができた。
【0144】
(実施例3)
図27は、本発明の実施例3の模様付シート60の断面写真である。模様付シート60は、繊維基材層61と、フィルム層62とを備える。繊維基材層61は、織布である。実施例3の模様付シート60は、実施例2の模様付シート40と同様の工程に従って作製した。
【0145】
繊維基材層61が織布の場合であっても、実施例1と同様に、縞状に繊維基材層61(第1の領域60A)とフィルム層62(第2の領域60B)とが交互に並んだ模様付シート61を得ることができた。
【0146】
(実施例4)
図28は、本発明の実施例4の模様付シート70の断面写真である。模様付シート70は、繊維基材層71と、第1フィルム層72と、第2フィルム層73とを備える。繊維基材層71は、不織布である。第1フィルム層72は、接着層72aと表面層72bとが積層され、表面層72bの表面にシボ模様72c(シボ模様72cのピッチ:400μm程度)が形成されている。第2フィルム層73は、接着剤を含む樹脂層で形成され、表面にシボ模様73c(シボ模様73cのピッチ:600〜800μm程度)が形成されている。第1フィルム層72は、繊維基材層71の全面を覆うように設けた。第2フィルム層73は、第2の領域70Bのみを覆うように設けた。実施例4の模様付シート70は、実施例2の模様付シート40と同様の工程に従って作製した。
【0147】
実施例4では、第1フィルム層72が露出した領域(第1の領域70A)と、第2フィルム層73を設けた領域(第2の領域70B)とを備えた模様付シート70を得ることができた。つまり、1枚の模様付シート70において、2種類の異なるシボ模様72c、73cが表面に形成された模様付シート70とすることができた。また、
図28において、第1フィルム層72の厚さは、d3で示す厚さとd4で示す厚さとで異なっている。このことから、第2の領域70Bにおいて、第2フィルム層73の下層の第1フィルム層72の表面にも、第1フィルム層72のシボ模様72cが存在するのが確認できた。