(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド部は、前記光ファイバホルダに設けられた被係合部に凹凸により係合した状態で前記光ファイバホルダが前記一方向に移動可能となる構造を有する、請求項1または2に記載の光ファイバホルダ用アダプタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
まず、
図5を参照しつつ、本発明の実施形態の光ファイバホルダ用アダプタに保持される光ファイバホルダの一例である光ファイバホルダ80について説明する。
以下の説明では、XYZ直交座標系を設定する。
図5において、X方向はホルダ本体50の長さ方向である。Y方向は第1面51を含む面内においてX方向に直交する幅方向である。Z方向はX方向およびY方向に直交する厚さ方向である。
【0010】
X方向の一方を+X方向(一方向)といい、+X方向の反対の方向を−X方向という。+X方向を前方といい、−X方向を後方ということがある。
Y方向の一方(ホルダ本体50の一側部50aから他側部50bに向かう方向)を+Y方向といい、+Y方向の反対の方向を−Y方向という。Z方向の一方(ホルダ本体50の第2面52に対して第1面51の方向。
図5において上方)を+Z方向といい、+Z方向の反対の方向を−Z方向という。
図5以外の図では、X方向の一方および他方のうち矢印で示す方向がプラス方向(+X方向)である。Y方向およびZ方向についても、矢印で示す方向がプラス方向(+Y方向、+Z方向)である。
【0011】
[光ファイバホルダ]
図5は、本発明の一実施形態に係る光ファイバホルダ用アダプタに保持される光ファイバホルダの一例である光ファイバホルダ80を示す。
光ファイバホルダ80は、板状のホルダ本体50と、ホルダ本体50に回動自在に連結された蓋部材60とを有する。
【0012】
ホルダ本体50は、平面視において長方形の板状とされている。ホルダ本体50の第1面51には、第1面51の幅方向の中央部に、第1面51の長さ方向(X方向)に延在する光ファイバ溝54が形成されている。
光ファイバ溝54は、例えば断面V字形の溝である。光ファイバ溝54は、光ファイバ70を位置決め可能なものであればよく、例えば、断面半円状のU溝等であってもよい。
【0013】
図5〜
図7に示すように、ホルダ本体50の第2面52の一方および他方の側縁部には、それぞれホルダ本体50の長さ方向(X方向)に延在する案内壁部53,53が形成されている。案内壁部53,53は、第2面52からホルダ本体50の厚さ方向(−Z方向)に突出している。
案内壁部53,53の内側面は、光ファイバホルダ80の係合凸部38が溝部56に係合した状態で係合凸部38の側面(
図6および
図7参照)に対面し、光ファイバホルダ80の幅方向の移動を規制できる。
【0014】
図7に示すように、第2面52のうち一対の案内壁部53,53の間の領域は、光ファイバホルダ80が対板部30に沿ってスライド移動する際に対板部30のスライド面33cに当接するスライド面52aである。
案内壁部53,53の内側面とスライド面52aとで形成される溝状構造は、対板部30(主板部33)の一部である係合凸部38が入り込む溝部56(被係合部)である。案内壁部53,53間の幅方向(Y方向)の距離を幅W1という。
【0015】
図5に示すように、蓋部材60は、蓋基部61と、蓋基部61の先端側に設けられた蓋主板部62とを有する。
蓋基部61は、ホルダ本体50の一側部50aの前部に、X方向に沿う回転軸65により回動可能に取り付けられている。
蓋主板部62は、蓋基部61に比べて長さ方向(X方向)の寸法が大きい。そのため、蓋基部61に対して、蓋基部61の長さ方向(X方向)に張り出して形成されている。詳しくは、蓋主板部62は、蓋基部61に対して、X方向の両方向(
図5における+X方向および−X方向)に張り出して形成されている。この張り出した部分を張出し部分63,63という。蓋基部61の前縁61aはY方向に沿って形成され、張出し部分63の側縁63aはX方向に沿って形成されている。
蓋基部61の前縁61aと張出し部分63の側縁63aによって形成される凹所を切欠き凹所64という。
【0016】
蓋部材60は、回転軸65を中心とする回転によって、ホルダ本体50の第1面51に対して閉じた状態(実線で示す)と、開いた状態(仮想線で示す)とを切り替え可能である。蓋部材60は、ホルダ本体50の第1面51に閉じられたときに、光ファイバ溝54に配置された光ファイバ70をホルダ本体50に押さえ込んで保持することができる。
【0017】
ホルダ本体50と蓋部材60との少なくとも一方には磁石55が設けられている。例えば、
図5に示す光ファイバホルダ80では、磁石55はホルダ本体50の第1面51に設けられ、蓋部材60は磁性材料からなる。
【0018】
磁石55は磁性材料からなる。磁石55としては、永久磁石または電磁石を用いることができる。永久磁石としては、例えばフェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石などを使用できる。磁石55は、磁力により蓋部材60に吸着することによって、蓋部材60の開方向への回転を規制して、蓋部材60が閉じた状態を保つ。
【0019】
前述の磁性材料としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などを含む金属材料(例えばFe−Cr合金、Fe−Ni−Cr合金等)などが挙げられる。具体的には、SUS410Sなどのマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS430などのフェライト系ステンレス鋼を用いることができる。磁性材料は、前述の金属材料等からなる粉体と樹脂とを含む材料でもよい。
【0020】
なお、ホルダ本体50に対する蓋部材60の閉状態を保つための構造は、図示例に限定されない。この構造としては、ホルダ本体50と蓋部材60とのうち一方に設けられた係合爪部と、他方に設けられた、前記係合爪部に係合可能な係合受部とを有する構造を例示できる。
【0021】
[光ファイバホルダ用アダプタ]
図1〜
図4は、本発明の一実施形態に係る光ファイバホルダ用アダプタ10(以下、単にアダプタ10という)を示す。
アダプタ10は、基板部20と、基板部20に対して少なくとも一部が対面配置された対板部30と、基板部20と対板部30とを連結する連結部40とを備えている。
図1〜
図4および
図6において、X方向は基板部20および対板部30の長さ方向であり、Y方向は基板部20の内面21を含む面内においてX方向に直交する幅方向であり、Z方向はX方向およびY方向に直交する厚さ方向である。
基板部20の内面21は、対板部30に対向する側の面であり、外面22は内面21とは反対の面である。
【0022】
図3に示すように、基板部20は、平面視において、概略長方形とされている。基板部20は、一方の側部20aの前部に形成された前部凹部23と、後縁20fに形成された通過凹部24を有する。
【0023】
前部凹部23は、基板部20の一方の側縁20cの前部と前縁20eの一部とを含む位置に形成されている。
通過凹部24は、後縁20fから前方(+X方向)に向かう凹状とされている。通過凹部24の幅は、光ファイバ70が通過可能となるように定められる。通過凹部24の幅は長さ方向(X方向)にほぼ一定であることが好ましい。
通過凹部24は、光ファイバホルダ80から厚さ方向に離れて延出する光ファイバ70が通過可能であるため、対板部30の長さが短い場合でも、光ファイバホルダ80をアダプタ10内の所定の位置(
図6参照)に配置する操作が容易となる。対板部30を短くできるため、アダプタ10は、基板部20を下にして水平な載置面に載置したときの安定性が高くなる。
【0024】
図3および
図4に示すように、基板部20の外面22には、磁石25が設けられている。磁石25は、長板状とされ、基板部20の他方の側部20bに形成されている。
磁石25は磁性材料からなる。磁石25としては、永久磁石または電磁石を用いることができる。永久磁石としては、例えばフェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石などを使用できる。
磁石25は、平面視において基板部20の他方の側縁20dを含む位置に、基板部20の前部から後部にかけて、基板部20の長さ方向(X方向)に延在して設けられている。
【0025】
図4および
図8に示すように、基板部20には、光ファイバホルダ80を位置決めする位置決め凸部26が設けられている。
図8に示すように、位置決め凸部26は、球体27と、球体27を付勢するスプリング28(付勢体)と、スプリング28を収容する収容空間29aを有するハウジング29とを備えている。
図4に示すように、位置決め凸部26は、基板部20の内面21から、基板部20の厚さ方向(−Z方向)に突出して形成されている。
【0026】
図8に示すように、ハウジング29の収容空間29aは、中心軸方向が基板部20の厚さ方向(Z方向)と一致する円筒形とすることができる。
スプリング28としては、コイルスプリングが好適である。スプリング28は、中心軸が収容空間29aの中心軸に沿うように収容空間29aに収容される。スプリング28は、球体27を、ハウジング29から離れる方向(−Z方向)に付勢可能である。
球体27は、一部がハウジング29の開口端部29bから突出し、他部が収容空間29aに収容されている。球体27は、基板部20の厚さ方向(Z方向)に移動可能である。
球体27が収容空間29aの深さ方向(+Z方向)に移動すると、スプリング28は圧縮に伴って球体27に対する付勢力を高める。球体27が深さ方向とは反対の方向(−Z方向)に移動すると、スプリング28は伸長に伴って球体27に対する付勢力を低くする。
【0027】
図4に示すように、保持空間39に光ファイバホルダ80がない状態における球体27と対板部30とのZ方向の距離は、ホルダ本体50の厚さ寸法(第1面51とスライド面52aとのZ方向の距離)よりやや小さい。
そのため、
図7に示すように、位置決め凸部26は、圧縮状態のスプリング28の弾性力によって付勢された球体27により、前進規制位置(後述)にある光ファイバホルダ80の第1面51を対板部30に向けて押圧することができる。これによって、光ファイバホルダ80を、対板部30に隙間なく当接した状態で位置決めすることができる。
【0028】
図4、
図6および
図7に示すように、対板部30は、長板状の主板部33と、主板部33の一方の側面33aから側方に延出する延出板部34とを備えている。
主板部33は、長さ方向が基板部20の長さ方向(X方向)に一致していることが好ましい。
図7に示すように、主板部33の幅W2(Y方向の寸法)は、光ファイバホルダ80の案内壁部53,53間の幅W1とほぼ同じか、または幅W1よりやや小さいことが好ましい。
【0029】
図1〜
図4および
図6に示すように、延出板部34は、主板部33の側面33aの前部から側方(−Y方向)に延出する主延出部35と、主板部33の側面33aの後部から側方(−Y方向)に延出する後部延出部36とを有する。
後部延出部36の、主板部33からの側方への延出寸法は、主延出部35の側方への延出寸法より小さい。
【0030】
延出板部34は、主板部33より薄く形成されている。そのため、対板部30の内面31において、主板部33の一方の側面33aの一部は、主板部33と延出板部34との厚さの差により、全長にわたって段部37となっている。
【0031】
延出板部34から厚さ方向に突出した部分の主板部33は、光ファイバホルダ80の溝部56に入り込んで凹凸により係合する係合凸部38(係合部)となる。係合凸部38は、X方向に沿って形成されているため、光ファイバホルダ80の溝部56と凹凸係合した状態で、光ファイバホルダ80がX方向に移動可能となる構造である。係合凸部38は、光ファイバホルダ80を前方(+X方向)に案内するガイド部として機能する。
係合凸部38の幅W3(Y方向の寸法)は、光ファイバホルダ80の案内壁部53,53間の幅W1とほぼ同じか、または幅W1よりやや小さいことが好ましい。
主板部33の外面と延出板部34の外面は面一とすることができる。
【0032】
なお、アダプタ10は、光ファイバホルダ80の溝部56に係合する係合凸部38を有するが、アダプタは、逆に、光ファイバホルダに形成された凸部(被係合部)に係合する凹状(X方向に沿う溝状)の係合部(ガイド部)を有していてもよい。
【0033】
主板部33の内面(係合凸部38の内面。基板部20に対向する面)は、光ファイバホルダ80が主板部33の長さ方向(X方向)に沿ってスライド移動する際に光ファイバホルダ80に摺動するスライド面33cである。
【0034】
対板部30の少なくとも一部は、磁性材料からなることが好ましい。磁性材料としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などを含む金属材料(例えばFe−Cr合金、Fe−Ni−Cr合金等)などが挙げられる。具体的には、SUS410Sなどのマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS430などのフェライト系ステンレス鋼を用いることができる。磁性材料は、前述の金属材料等からなる粉体と樹脂とを含む材料でもよい。
【0035】
対板部30は、基板部20の厚さ方向に間隔をおいて、基板部20と平行に設けられている。基板部20と対板部30との間の空間は、光ファイバホルダ80が配置される保持空間39である。対板部30の内面31は基板部20の内面21と平行である。
図7に示すように、基板部20と対板部30との間隔S1は、光ファイバホルダ80の厚さ寸法T1より大きいことが好ましい。これによって、光ファイバホルダ80を保持空間39に配置するのが容易になる。
なお、間隔S1は、保持空間39のZ方向寸法であり、基板部20の内面21と、対板部30の主板部33のスライド面33cとのZ方向の距離である。光ファイバホルダ80の厚さ寸法T1は、ホルダ本体50の第2面52(スライド面52a)と、蓋部材60の外面66とのZ方向の距離である。
【0036】
図1〜
図4および
図7に示すように、連結部40は、基板部20の長さ方向(X方向)に並ぶ複数の連結柱41,41を有する。連結柱41は、一端41aおよび他端41bがそれぞれ基板部20および対板部30に固定されている。連結柱41は、例えば円柱状とすることができる。アダプタ10は、連結柱41の数は2つであるが、連結柱の数はこれには限定されず、1または3以上の任意の数としてよい。
基板部20と対板部30とは、連結部40によって、相対的に位置決めされる。
【0037】
[光ファイバホルダ用アダプタの使用方法]
次に、アダプタ10の使用方法の一例を説明する。以下、
図13に示すように、先端処理装置である光ファイバカッター130を用いて光ファイバ70を切断した後、
図10に示す測定装置100を用いて光ファイバ70の特性を測定する方法を説明する。
【0038】
(光ファイバの先端処理)
図5に示すように、光ファイバ70を光ファイバ溝54に配置し、蓋部材60によってホルダ本体50に押さえ込むことによって光ファイバホルダ80に保持する。
【0039】
次いで、
図13に示すように、光ファイバホルダ80を、光ファイバカッター130の設置台131の上に載置し、光ファイバ70を切断刃132によって切断する。これによって、光ファイバホルダ80の前端から延出する光ファイバ70(以下、前方延出部70aという)の延出長さを、
図10に示す測定装置100における測定に適した長さとする。
なお、先端処理装置は、光ファイバカッターに限らず、光ファイバ融着機などであってもよい。
【0040】
(光ファイバホルダ用アダプタへの光ファイバホルダの装着)
図6および
図7に示すように、光ファイバホルダ80を、アダプタ10の保持空間39に配置する。この際、光ファイバホルダ80は、ホルダ本体50の第1面51を基板部20側に向け、第2面52を対板部30に向けた姿勢とする。
【0041】
図6に示すように、光ファイバホルダ80は、アダプタ10の後部において、案内壁部53,53の間の溝部56に係合凸部38が入り込むように対板部30に当接させる。これにより、ホルダ本体50のスライド面52aが主板部33のスライド面33cに当接する。案内壁部53,53の内側面は、主板部33の一方の側面33aと、他方の側面33bとに対面する。
アダプタ10の係合凸部38が溝部56に入り込んでいるため、案内壁部53,53によって、光ファイバホルダ80の幅方向(Y方向)の移動は規制される。
【0042】
対板部30の少なくとも一部が磁性材料からなる場合には、ホルダ本体50に設けられた磁石55の磁力によって、光ファイバホルダ80は対板部30に吸着される。そのため、光ファイバホルダ80は対板部30に当接した状態が維持される。
【0043】
光ファイバホルダ80を、係合凸部38に沿って前方(+X方向)にスライド移動させる。光ファイバホルダ80の移動過程では、案内壁部53,53が光ファイバホルダ80の幅方向の移動を規制するため、幅方向の位置ずれは起こりにくい。
【0044】
図9に示すように、光ファイバホルダ80は、切欠き凹所64の内縁(蓋基部61の前縁61a)が位置決め凸部26に当接した状態で、位置決め凸部26により前進が規制され、前後方向の位置が定められる。この光ファイバホルダ80の位置を前進規制位置という。位置決め凸部26は張出し部分63の側縁63aに当接して幅方向の変位を規制することもできる。
【0045】
図7に示すように、位置決め凸部26は、圧縮状態のスプリング28により付勢された球体27により、前進規制位置にある光ファイバホルダ80のホルダ本体50の第1面51を対板部30に向けて押圧することができる。そのため、光ファイバホルダ80は、対板部30から離れる方向の変位が規制され、対板部30に当接した状態が維持される。
【0046】
位置決め凸部26の球体27がホルダ本体50に乗り上げる際には、球体27が基板部20に向けて変位するとともに、スプリング28は伸長状態から圧縮状態となる。そのため、操作者は、球体27がホルダ本体50に乗り上げる際に得られるクリック感によって、光ファイバホルダ80が前進規制位置に近づいたことを認識できる。
【0047】
光ファイバホルダ80と、光ファイバホルダ80を保持するアダプタ10とを、光ファイバホルダユニット90(アダプタ付き光ファイバホルダ)という。
【0048】
(光ファイバの特性の測定)
図10は、光ファイバ70の特性を測定可能な測定装置100の一部を示す斜視図である。測定装置100で測定される特性とは、例えば偏心度、モードフィールド、減衰などである。
図11は、測定装置100の一部を示す後面図である。
【0049】
図10および
図11に示すように、測定装置100は、基台110と、基台110の上面110aに、上面110aに対して垂直に立設された一対の側壁111,112と、側壁111,112の前端に設けられた前壁113とを備えている。側壁111,112は、Y方向に間隔をおいて形成されている。
側壁111,112と前壁113とで区画される空間は、光ファイバホルダユニット90を収容する収容空間114となっている。
前壁113には、光ファイバホルダ80から前方に延出する光ファイバ70(前方延出部70a)が通過可能な通過口115が形成されている。
【0050】
基台110の材質は特に限定されないが、少なくともアダプタ10の磁石25に対面する領域は、磁石25に対して斥力または吸引力を作用させる磁石からなる構成とすることができる。磁石としては、永久磁石または電磁石を用いることができる。永久磁石としては、例えばフェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石などを使用できる。
図11では、基台110の上面110aの、磁石25に対面する領域に、磁石121が設けられている。
【0051】
測定装置100の一部、例えば前壁113は、少なくとも一部が磁石からなる構成であってもよい。これにより、アダプタ10に対して吸引力を作用させ、光ファイバホルダユニット90に前方への力を加え、光ファイバ70の弛みをなくすことができる。
ボビン等への巻き付けによる巻きくせなどにより光ファイバ70に曲がりが生じると、測定装置100における測定精度に影響が及ぶおそれがあるが、前述の吸引力により光ファイバ70の弛みをなくすことによって、測定精度の低下を回避することができる。
【0052】
一方の側壁111は、主壁部116と、主壁部116の上縁116aから側壁112に向けて延出する上壁117とを有する。
主壁部116は、収容空間114内に光ファイバホルダユニット90があるときに、内側面116bが、基板部20の一方の側縁20cおよび対板部30の一方の側面30a(延出板部34の延出縁34aの側面)に近接する位置に形成されている。そのため、側壁111によって、光ファイバホルダユニット90の側方移動は規制される。
【0053】
他方の側壁112は、主壁部118と、主壁部118の上縁118aから側壁111に向けて延出する上壁119とを有する。
上壁119は、収容空間114内に光ファイバホルダユニット90があるときに、内側面119aが対板部30の他方の側面30bに近接する位置に形成されている。上壁119の内側面119aは、基台110の上面110aに対して垂直とされている。上壁119によって、光ファイバホルダユニット90の側方移動は規制される。
主壁部118は、収容空間114内に光ファイバホルダユニット90があるときに、内側面118bが、蓋部材60の先端に近接することが好ましい。
このように、側壁111,112によって、光ファイバホルダユニット90の変位が規制されるため、光ファイバホルダユニット90は安定に位置決めされる。
【0054】
測定装置100を用いて、光ファイバ70の特性を測定する際には、光ファイバホルダユニット90を測定装置100に向けて前進させて収容空間114に収納する。この際、光ファイバホルダユニット90の基板部20の前縁20eが前壁113に当接して光ファイバホルダユニット90の前方移動が規制されることによって、光ファイバホルダユニット90が位置決めされてもよい。
【0055】
光ファイバホルダユニット90の前方に延出する光ファイバ70(前方延出部70a)は、通過口115を通して前方に延出させる。光ファイバ70(前方延出部70a)について、測定装置100の測定部(図示略)によって、特性を測定する。
上述のように、前方延出部70aは光ファイバホルダ80からの延出長さが適正化されているため、測定装置100における測定を精度よく行うことができる。
【0056】
図11に示すように、磁石121が、収容空間114内の光ファイバホルダユニット90のアダプタ10の磁石25に対して斥力を作用させる場合には、磁石121は、光ファイバホルダユニット90に、基台110から離れる方向(
図11の上方)の力を加える。
この力によって、光ファイバホルダユニット90を基台110から浮上させることができる。この際、光ファイバホルダユニット90は、側壁111,112によって側方変位が規制されるため傾動せず、基板部20および対板部30が上面110aに対して平行な姿勢を維持したまま浮上する。
【0057】
光ファイバ70の特性を測定装置100によって測定する際には、光ファイバホルダユニット90を収容空間114内にセットした直後には、光ファイバホルダユニット90が測定装置100の一部に接触することなどにより前方延出部70aが振動を起こしやすい。
従来、前方延出部が振動を起こすと前方延出部の先端の位置が変動するため正確な測定が難しくなることから、測定にあたっては、前方延出部が静止するのを待つ必要があった。そのため、作業効率を高めるのは難しかった。また、前方延出部の振動は、測定を自動化するシステムを構築する上でも障害となっていた。
【0058】
光ファイバホルダユニット90は、浮上した状態にあるため光ファイバ70の振動を吸収する動作が可能となることから、前方延出部70aの振動を抑制し、短時間で静止させることができる。そのため、測定装置100による測定作業を効率よく行うことができる。
【0059】
アダプタ10は、光ファイバホルダ80をそのまま測定装置100での測定に供することを可能とするため、光ファイバを専用治具に付け替えるなどの作業を不要とし、測定の際の作業効率を高めることができる。
また、光ファイバホルダ80をそのまま使用できるため、前方延出部70aの長さが変わることなどにより測定装置100における測定に問題が生じるのを回避できる。よって、測定精度を高くすることができる。
【0060】
アダプタ10は、一対の板体を基本構成とする簡単な構造であるため、安価である。また、構造が簡単であるため、堅牢化するのが容易であり、耐久性を高めることができる。よって、高価かつ低耐久性の専用治具を用いる場合に比べ、低コスト化を図ることができる。また、光ファイバを専用治具に付け替える作業が不要となるため、工程数を少なくできることから、ランニングコストも削減できる。
【0061】
アダプタ10は、対板部30が磁性材料からなるため、光ファイバホルダ80を磁力により吸着し、係合凸部38に係合させた状態で保持できる。よって、光ファイバホルダ80を対板部30に対して精度よく位置決めでき、測定装置100における測定の精度を高めることができる。
また、対板部30に形成された係合凸部38は、凹凸係合により光ファイバホルダ80の溝部56に係合するため、光ファイバホルダ80を対板部30に対してスライド移動させる際に位置ずれを防ぎ、精度よく位置決めすることができる。よって、測定装置100における測定の精度を高めることができる。
【0062】
位置決め凸部26は、球体27によって光ファイバホルダ80を対板部30に押圧できるため、光ファイバホルダ80を対板部30に対して精度よく位置決めすることができる。また、光ファイバホルダ80がアダプタ10から外れるのを防ぐことができる。よって、測定装置100における測定の精度を高めることができる。
【0063】
本発明は前記実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
図11では、測定装置100に設けられた磁石121がアダプタ10の磁石25に対して斥力を作用させる場合を例示したが、磁石121としては、収容空間114内の光ファイバホルダユニット90のアダプタ10の磁石25に対して吸引力を作用させる磁石を用いてもよい。
【0064】
図12に示すように、磁石121が、アダプタ10の磁石25に対して吸引力を作用させる場合には、光ファイバホルダユニット90は基台110の上面110aに当接した状態で位置決めされる。この場合には、光ファイバホルダユニット90を、基台110の上面110aに対して精度よく位置決めできるため、測定装置100による特性の測定の精度を高めることができる。
なお、
図11および
図12では、磁石121が、基板部20に設けられた磁石25に対して斥力または吸引力を作用させる例を挙げたが、磁石は、アダプタの他の部位に設けられていてもよい。
【0065】
図10に示す測定装置100において、収容空間114の後方に、光ファイバホルダユニット90を収容空間114に向けて進行させるための走行路140を設けてもよい。
走行路140は、例えば、X方向に延在する底壁部141と、底壁部141の両側縁に立設された案内壁部142,142とを有し、底壁部141の底面141a(上面)の、少なくとも光ファイバホルダユニット90の磁石25に対面する領域に、磁石25に対して斥力を作用させる磁石(図示略)を設けた構成とすることができる。
【0066】
この構造によれば、光ファイバ70を保持した光ファイバホルダユニット90を、走行路140上で、底面141aから浮上させた状態で前方に向けて走行させ、測定装置100の収容空間114に進入させることができる。そのため、光ファイバホルダユニット90に保持された光ファイバ70の特性の測定を行う作業を効率化することができる。また、測定の自動化システムの構築も容易となる。
【0067】
図5に示す光ファイバホルダ80は、ホルダ本体50と、ホルダ本体50に対して光ファイバ70を押さえ込む蓋部材60とを有する構造であるが、光ファイバホルダの構造はこれに限定されない。光ファイバホルダは、例えば、一対の素子の間に光ファイバを挟み込んで保持する構造であってもよいし、他の手法により光ファイバを位置決めする構造であってもよい。
【0068】
図6に示すように、アダプタ10では、係合凸部38(ガイド部)は、光ファイバホルダ80の溝部56に凹凸により係合する構造としたが、アダプタのガイド部は、光ファイバホルダを一方向に案内することができればよく、その構造は、凹凸により光ファイバホルダの被係合部に係合する構造に限定されない。
【0069】
また、アダプタ10では、対板部30の少なくとも一部が磁性材料からなり、光ファイバホルダ80に設けられた磁石55の磁力により光ファイバホルダ80を対板部30に吸着させる構造を例示したが、アダプタは、逆に、対板部に磁石が設けられ、光ファイバホルダの少なくとも一部が磁性材料からなる構成を採用してもよい。また、対板部と光ファイバホルダの両方に磁石を設けてもよい。これらの構成においても、磁力により光ファイバホルダを対板部に吸着させることができる。
【0070】
図10に示すように、光ファイバホルダユニット90は、基板部20を下にして測定装置100の基台110上に載置されるが、測定装置に対する光ファイバホルダユニットの姿勢は特に限定されず、例えば対板部を下にして測定装置の基台に載置できる構成も可能である。