(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186437
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】基板の照射処理装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20170814BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20170814BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20170814BHJP
B01D 45/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B01J19/12 C
B05C9/14
H01L21/30 567
B01D45/02
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-528895(P2015-528895)
(86)(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公表番号】特表2015-536809(P2015-536809A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】EP2013002228
(87)【国際公開番号】WO2014032754
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年7月14日
(31)【優先権主張番号】102012017230.3
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516082866
【氏名又は名称】エリコン サーフェス ソリューションズ アーゲー、 プフェフィコン
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】リベイロ カルロス
【審査官】
関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−288334(JP,A)
【文献】
特開2001−137800(JP,A)
【文献】
特開平01−000738(JP,A)
【文献】
実開昭62−114613(JP,U)
【文献】
実開昭63−115417(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/12
B01D 45/02
B05C 9/14
H01L 21/027
F24F 7/00−10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内にて、処理される基板を取り付けるための基板ホルダーの上に少なくとも1つの放射線源を保有する基板の照射処理装置であって、
前記チャンバーは、少なくとも1つのガス流入口及び少なくとも1つのガス流出口を備えた前記チャンバー内でガス流を維持する手段を保有している、装置において、
少なくとも1つのガス流入口が前記基板ホルダーの領域に配置されていて、それによって前記少なくとも1つのガス流入口から流入してくるガスが、まず前記基板ホルダーの周りを流れ、その後前記ガス流出口を通じて、直接又は前記少なくとも1つの放射線源の周りを流れてから、前記チャンバーから流れ出、
前記チャンバーの下方縁に複数の窪みが装備されており、それによって前記窪みの領域でガス流が滞り、従って前記窪みは集塵機として機能することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ガス流出口が前記少なくとも1つの放射線源の領域に装備されており、それによってガスが前記ガス流出口を通じて前記チャンバーから流出する前に、前記基板ホルダーの周りを流れた後で、前記少なくとも1つの放射線源の周りを流れることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガス流出口が、前記基板ホルダーと少なくとも1つの放射線源の間の高さに装備されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの放射線源の領域に第2のガス流入口が装備されていて、それによって前記第2の流入口を通じて流入してくるガスが、まず前記少なくとも1つの放射線源の周りを流れ、その後前記基板ホルダーから流れてくるガスにぶつかり、それと一緒にガス流出口を通じて前記チャンバーから流出することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記窪みに少なくとも部分的に、取り出し可能な容器が装備されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば基板を乾燥させる為に利用される赤外線(IR照射)及び/又は紫外線によって硬化する塗料の硬化(網状結合)の為に利用される紫外線(UV照射)などといった電磁波で基板を照射する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、例えば塗装装置の構成部品として利用される。このような塗装装置においては、典型的には最初のステップで基板の表面が洗浄される。これは、例えば空気圧の利用及び/又は表面のイオン化剤を用いて行われ、又は液状の媒体、例えば水や水性溶液もしくはアルコール溶液又は溶剤を含む溶液、又はブラスティング材料やCO2のような固体で行うか、又は基板を水性溶液もしくはアルコール溶液又は溶剤を含む溶液に浸したり、場合によっては例えば超音波又はマイクロ波などの波動作用で表面の浄化処理が行われている。
【0003】
液状の媒体で洗浄を行う場合、続けて行われる乾燥処理に赤外線熱放射が利用されることがある。
【0004】
2番目のステップとして、実際の塗料層が例えば塗料散布へのスプレーによって塗布される。その次のステップとして、既に塗装された基板が焼かれる。対流加熱及び/又は例えば50〜80℃の温度で赤外線(IR)照射という手段を利用して処理される。このプロセスでは、通常では塗料散布に残る溶剤が実質的に蒸発する。今日広範囲に普及しているUV硬化塗料の場合、つまり紫外線の光によって硬化する塗料の場合、この硬化工程は溶剤が蒸発した後に続くステップで行われる。アプリケーションに応じて、これらプロセスステップにおいては赤外線及び/又は紫外線ランプが利用される。本明細書においては、この赤外線照射による乾燥プロセス及び/又は紫外線照射による硬化プロセスは統一して照射処理と称することとする。
【0005】
溶剤が周囲環境もしくは作業環境へと制限なく蒸発することを防ぐために、このようなプロセスは従来技術によれば処理チャンバー内にて実施される。そのプロセスでは、例えば基板周囲における溶剤濃度を低く抑えるために、したがって乾燥及び/又は硬化プロセスも迅速化するために常時ガス交換されることが保証されるべきである。
【0006】
従来技術によれば、
図1にて図式表示される様に、密閉されているチャンバー1内にて照射処理が行われる。この場合、チャンバー1の上方部分に放射線源9、9’、9’’が配置されており、下方部分には基板が取り付けられる基板ホルダー11、11’が装備されている。
図1においては、照射されるコンポーネントが取り付けられる2つのスピンドルが、基板ホルダーとして表示されている。基板ホルダー11、11’の下方部にこの放射線源9、9’、9’’を配置することも可能ではあるが、基板から垂れ落ちてくる塗料の残りによって放射線源9、9’、9’’に汚れが生じるリスクが生じないように、通常では避けている。
【0007】
従来技術によれば、チャンバーの天井部に流入部7が装備されており、この部分を通して、例えば空気のようなガスが、流入口3から供給されて、チャンバー内に流入する。このガスは、従来技術によれば、放射線源9、9’、9’’の脇を流れ、その後基板11、11’の脇を通り、チャンバーの下方部分へと流れていき、ここで流出口5を通じてチャンバー1から引き出される。
【0008】
従来技術に即したこの配置により、気流と重力が作用し合い、例えば埃や溶剤といった汚れが効率的に取り除かれることになる。
図1では、ガスの流れとその方向が矢印で図式的に描写されている。
【0009】
しかし、この従来技術による配置での不利益な点は、基板の脇を通るガス流がまず放射線源の脇を通過しなければならないということである。通常これらは運転中に熱くなり、そのために制御不可能なガス流の加熱をもたらすことになる。これはつまり、基板ホルダー11、11’に温度が定義されていないガス流が当てられ、そのため基板ホルダーの幅全面に渡って温度勾配が生じてしまう可能性があることを意味する。しかしながら、乾燥及び/又は硬化のプロセスは、環境温度に強く影響されるプロセスである。したがって、定義されない(不明確な)温度条件はすぐに制御不可能なプロセスとなってしまう。特に温度勾配が生じると、不均一性が生じてしまう。この問題は、放射線源自身が一般に温度的に安定しないということからさらに悪化する。初期段階では放射線源はどちらかと言えば冷たいであろうが、長時間稼働の後は著しく加熱する。この問題は、放射線源での明確な冷却措置によって減少できるかもしれないが、このような措置は技術的に非常に手間がかかることになり、コストも高くなってしまう。
【0010】
上記の様に、前述した従来技術における問題が緩和され、好ましくは完全に克服できるような照射処理装置が提示されることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従ってそのような装置を提示することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、上記の問題は請求項1による装置によって解決されることになる。従属請求項では、本発明の好ましい実施形態が説明されている。本発明によれば基本的にこの課題は、ガス流がチャンバー内への流入直後に基板の脇を流れるような仕組みがチャンバー内に構築されることによって解決されることになる。ガス流が場合によっては熱を放出する放射線源の脇を先に流れなくて済むため、ガス流の温度は良好に定義可能で、所望の安定値に簡単に設定可能となる。
【0013】
本発明及びその有益な実施形態をここで、図を元に詳しく説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】第1の実施形態による本発明に係る基板の照射処理装置を示す。
【
図3】第2の実施形態による本発明に係る基板の照射処理装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、第1の実施形態による本発明に係る装置を示す。ここでは放射線源9、9’、9’’及び照射される基板11、11’が配置されているチャンバー201が描かれている。チャンバー内の底部には、基板11、11’の近くにガス流入口203が装備されている。この実施形態によれば、ガス排出口205がチャンバー天井の領域に装備され、その上流に天井チャンバー207が配置されてもよい。この装置の稼働中、ガスは、チャンバー内に流入した後にまず基板11、11’の脇を流れ、その後放射線源9、9’、9’’の周囲を流れ、オプションとしてある天井チャンバー207を通じてガス流出口205から外に流れる。このようにして、基板11、11’の脇を流れるガスの温度が明確に定義され、処理が正確に規定された安定的な温度条件の元で実行されることになる。チャンバーの縁部分に集塵機の機能を果たす窪み209を装備することが有益である。
【0016】
本発明の有益な第2の実施形態が
図3にて描かれている。ここでは、基板11、11’上に配置されている放射線源9、9’、9’’を備えたチャンバー301に、基板11、11’の下にあるチャンバーの下方領域の第1の流入口303と、放射線源9、9’、9’’の上にあるチャンバーの上方領域の第2の流入口305の両方を通ってガス流が適用される。好都合には対称的に配置された流出口311、311’が、このチャンバーの半分の高さの所に装備されていると好ましい。この実施形態においては、この両方のガス流は、図に矢印を使って示されている様に、約半分の高さの所で、つまり放射線源9、9’、9’’と基板11、11’の間でぶつかり合い、側面に配置されている流出口311、311’を通じてチャンバー内部より排出される。本発明の特に好ましいこの実施形態は、特にガス流と共に運ばれてくる埃粒子がチャンバーの縁に向かって運ばれる傾向がある点で有利である。加えて、集塵機の機能を果たすことが可能な窪み309がそこに配置される場合、場合によってはチャンバー内に存在し、主に流出口311、311’の方向へと運ばれて行き、その途中でガス流から離れた埃は、主に集塵機に収集されることになる。特に好ましい実施形態によると、取り出し可能な容器313が窪み309のそれぞれに装備されており、それによって埃がこの容器に溜まり、この容器を取り出して空にすることで埃を簡単に捨てられる様になる。もちろんこのような容器は、本発明の他の実施形態においても有利な態様で利用可能である。
【0017】
本実施形態では、チャンバー内にて、処理される基板を取り付けるための基板ホルダーの上に少なくとも1つの放射線源を保有する基板の照射処理装置であって、前記チャンバーは、少なくとも1つのガス流入口及び少なくとも1つのガス流出口を備えた前記チャンバー内でガス流を維持する手段を保有している、装置において、少なくとも1つのガス流入口が前記基板ホルダーの領域に配置されていて、それによって前記少なくとも1つのガス流入口から流入してくるガスが、まず前記基板ホルダーの周りを流れ、その後前記ガス流出口を通じて、直
接又は前記少なくとも1つの放射線源の周りを流れてから、前記チャンバーか
ら流れ出ることを特徴とする装置が開示された。
【0018】
この装置においては、ガス流出口を少なくとも1つの放射線源の領域に装備することが可能で、それによってガスが、ガス流出口を通じてチャンバーから流出する前に、基板ホルダーの周りを流れた後で、少なくとも1つの放射線源の周りを流れるようになる。
【0019】
このガス流出口は基板ホルダーと少なくとも1つの放射線源の間の高さに装備することが可能である。
【0020】
少なくとも1つの放射線源の領域に第2のガス流入口を装備することが可能で、それによって第2の流入口を通じて流入してくるガスが、まず少なくとも1つの放射線源の周りを流れ、その後基板ホルダーから流れてくるガスにぶつかり、それと一緒にガス流出口を通じてチャンバーから流出するようになる。
【0021】
チャンバーの下方縁に複数の窪みを装備することが可能で、それによって窪みの領域で流れが滞り(減少し)、従って窪みは集塵機として機能するようになる。
【0022】
窪みに取り出し可能な容器を装備することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
9、9’、9’’ 放射線源
11、11’ 基板
201 チャンバー
203 ガス流入口
205 ガス流出口
207 天井チャンバー
209 窪み