特許第6186442号(P6186442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6186442特に尿素を生成する造粒塔および顆粒化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186442
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】特に尿素を生成する造粒塔および顆粒化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 273/14 20060101AFI20170814BHJP
   B01J 2/02 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   C07C273/14
   B01J2/02 A
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-536279(P2015-536279)
(86)(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公表番号】特表2016-500678(P2016-500678A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】IB2013059373
(87)【国際公開番号】WO2014060951
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年9月14日
(31)【優先権主張番号】MI2012A001733
(32)【優先日】2012年10月15日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514008239
【氏名又は名称】サイペム エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ルオ ビン
(72)【発明者】
【氏名】シエ ゾンピン
(72)【発明者】
【氏名】リン フイシュン
(72)【発明者】
【氏名】リーノ カルレッシ
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−018653(JP,A)
【文献】 特開2000−017077(JP,A)
【文献】 特表2003−531259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 273/14
B01J 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素を生成する造粒塔(1)であって、軸(A)に沿って該軸(A)周りに延在し内側処理チャンバ(4)を備えるケーシング(2)と、該ケーシング(2)の上部軸方向端(5)に配置され前記チャンバ(4)内に溶融尿素の液相を供給する噴霧デバイス(7)と、前記ケーシング(2)の底部軸方向端(8)に置かれ前記チャンバ(4)内に空気を供給する窓(11)と、前記窓(11)の下の前記ケーシング(2)の前記底部軸方向端(8)に配置され前記チャンバ(4)内で形成された顆粒形状の固体生産物を収集して該顆粒を底部出口(12)の方に向けて運搬する運搬構造(9)とを備え、
前記運搬構造(9)が、同軸であり、前記軸(A)に沿って互いに対して整列され、前記軸(A)に沿って連続して配置され、下方に前記軸(A)の方に向かって収束する複数のフレア状セクタ(20)を備え、前記運搬構造(9)が、前記運搬構造(9)の上部端(13)に置かれる上部セクタ(20A)と、前記運搬構造(9)の底部端(15)に置かれる底部セクタ(20B)と、前記上部セクタ(20A)と前記底部セクタ(20B)との間に配置される少なくとも1つの中間セクタ(20C)とを備え、
前記運搬構造(9)は機械式スクレーパを有さず、該セクタ(20)が、軸方向および径方向の両方において互いに部分的に挿入され、前記軸(A)に沿って連続するセクタ(20)の各対が、一方の内側に他方が挿入される周囲縁(21、22)をそれぞれ有する2つのセクタ(20)によって形成され、前記軸(A)に沿って他方の上に配置される前記対の前記上方セクタ(20)が、下にある前記セクタ(20)の上部周囲縁(21)の下方かつ径方向内側に配置される周囲底部縁(22)を有し、内側側面(29)に堆積した前記顆粒を重力の影響だけで前記底部出口(12)の方に向かって滑らせるように傾斜された前記内側側面(29)をそれぞれ有し、前記セクタ(20)が、水平面に対して、45°よりも大きな傾斜を有し、
2つの連続したセクタ(20)の互いに挿入される前記周囲縁(21、22)が、直接接触せず、前記対の前記2つのセクタ(20)間に前記軸(A)周りの環状スロット(25)を画成するように、互いに軸方向にずらされかつ径方向に間隔を置いて配置され、
各セクタ(20)が、前記スロット(25)を画成する環状ギャップ(27)だけ前記軸(A)に沿って次にくる前記セクタ(20)から間隔を置いて配置され、
前記スロット(25)が、前記軸(A)に対して垂直なアクセス開口(26)を有し、前記スロット(25)を画成する前記ギャップ(27)を通って、追加の空気の流れが供給される造粒塔(1)。
【請求項2】
前記軸(A)に沿って連続するセクタ(20)の対ごとに、互いに対向し互いに径方向に間隔を置いて配置される前記対の上方セクタ(20)の外側側面(28)と前記対の下方セクタ(20)の内側側面(29)によって、前記ギャップ(27)の範囲が定められる、請求項に記載の造粒塔。
【請求項3】
前記セクタ(20)が、前記軸(A)周りに置かれ下方に前記軸(A)の方に向かって前記軸(A)に対して傾斜される側壁(30)をそれぞれ有し、前記セクタ(20)のすべての前記側壁(30)が、前記軸(A)および前記軸(A)に垂直な水平面に対して同じ傾斜を有する、請求項1または2に記載の造粒塔。
【請求項4】
前記セクタ(20)が、水平面に対して、50°よりも大きな傾斜、例えば約55°の傾斜を有する側壁(30)をそれぞれ有する、請求項1からのいずれか一項に記載の造粒塔。
【請求項5】
前記セクタ(20)が、前記軸(A)に対して、約30°〜約40°の範囲の傾斜、例えば約35°の傾斜を有する側壁(30)をそれぞれ有する、請求項1からのいずれか一項に記載の造粒塔。
【請求項6】
前記セクタ(20)が、円錐台形状または多角形ベースの切頭形のピラミッド形状を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の造粒塔。
【請求項7】
尿素を生成する顆粒化方法であって、造粒塔(1)の上部軸方向端(5)から溶融尿素の液相を導入するステップと、底部軸方向端(8)に配置される窓(11)を通じて前記造粒塔の前記底部軸方向端(8)から空気を供給するステップと、前記液相を向流で前記空気に接触させて前記液相を凝固させて顆粒を形成するステップと、前記窓(11)の下方で前記造粒塔(1)の前記底部軸方向端(8)に置かれた運搬構造(9)に前記顆粒を収集するステップとを含み、
前記運搬構造(9)が、同軸であり前記軸(A)に沿って互いに整列され前記軸(A)に沿って連続して配置され前記軸(A)の方に向かってかつ底部出口(12)を備える前記運搬構造(9)の底部端(15)の方に向かって収束する、複数のフレア状セクタ(20)を備え、前記運搬構造(9)が、前記運搬構造(9)の上部端(13)に置かれる上部セクタ(20A)と、前記運搬構造(9)の底部端(15)に置かれる底部セクタ(20B)と、前記上部セクタ(20A)と前記底部セクタ(20B)との間に配置される少なくとも1つの中間セクタ(20C)とを備え、
該セクタ(20)が、軸方向および径方向の両方において互いに部分的に挿入され、前記軸(A)に沿って連続するセクタ(20)の各対が、一方の内側に他方が挿入される周囲縁(21、22)をそれぞれ有する2つのセクタ(20)によって形成され、前記軸(A)に沿って他方の上に配置される前記対の前記上方セクタ(20)が、下にある前記セクタ(20)の上部周囲縁(21)の下方かつ径方向内側に配置される周囲底部縁(22)を有し、内側側面(29)に堆積した前記顆粒を重力の影響だけで前記底部出口(12)の方に向かって滑らせるように傾斜された前記内側側面(29)をそれぞれ有し、前記セクタ(20)が、水平面に対して45°よりも大きな傾斜を有する側壁(30)を有し、前記顆粒が、前記セクタ(20)の前記内側側面(29)に収集され、したがって、機械式スクレーパ・デバイスの援助なしに前記底部出口(12)まで前記内側側面(29)上を滑
2つの連続したセクタ(20)の互いに挿入される前記周囲縁(21、22)が、直接接触せず、前記対の前記2つのセクタ(20)間に前記軸(A)周りの環状スロット(25)を画成するように、互いに軸方向にずらされかつ径方向に間隔を置いて配置され、
各セクタ(20)が、前記スロット(25)を画成する環状ギャップ(27)だけ前記軸(A)に沿って次にくる前記セクタ(20)から間隔を置いて配置され、
前記スロット(25)が、前記軸(A)に対して垂直なアクセス開口(26)を有し、
前記方法が、前記スロット(25)を通って追加の空気の流れを供給するステップを含む顆粒化方法。
【請求項8】
前記軸(A)に沿って連続するセクタ(20)の対ごとに、互いに対向し互いに径方向に間隔を置いて配置される前記対の上方セクタ(20)の外側側面(28)と前記対の下方セクタ(20)の内側側面(29)によって、前記ギャップ(27)の範囲が定められる、請求項に記載の顆粒化方法。
【請求項9】
前記セクタ(20)が、前記軸(A)周りに置かれ下方に前記軸(A)の方に向かって前記軸(A)に対して傾斜される側壁(30)をそれぞれ有し、前記セクタ(20)のすべての前記側壁(30)が、前記軸(A)および前記軸(A)に垂直な水平面に対して同じ傾斜を有する、請求項7または8に記載の顆粒化方法。
【請求項10】
前記セクタ(20)が、水平面に対して50°よりも大きな傾斜、例えば約55°の傾斜を有する側壁(30)をそれぞれ有する、請求項からのいずれか一項に記載の顆粒化方法。
【請求項11】
前記セクタ(20)が、前記軸(A)に対して、約30°〜約40°の範囲の傾斜、例えば約35°の傾斜を有する側壁(30)をそれぞれ有する、請求項から10のいずれか一項に記載の顆粒化方法。
【請求項12】
前記セクタ(20)が、円錐台形状または多角形ベースの切頭形のピラミッド形状を有する、請求項から11のいずれか一項に記載の顆粒化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に尿素を生成する造粒塔(prilling tower)および顆粒化方法(prilling process)に関する。顆粒化(またはペレット化)という用語は、物質をその液相から凝固させる方法を示す。この作業は、一般的に、造粒塔内で実施され、(通常、凝縮され高温の)液相が塔の上部から噴霧されると共に、(通常、周囲温度の)空気が塔の底部から供給されて液相に対して向流で上昇し、これによって、典型的には直径が数ミリメートルの全体的に球状の凝集粒子(「顆粒」)が形成される。
【0002】
典型的には、顆粒化は、尿素の製造に適用される。
【背景技術】
【0003】
既知のように、尿素は、二酸化炭素とカルバミン酸アンモニウムの形のアンモニアとの反応、および尿素と水をもたらすこれに続くカルバミン酸アンモニウムの分解反応に基づいた方法により、工業規模で製造される。
【0004】
最終生成物である固体尿素は、一般的に、凝固によって、具体的には、顆粒化方法によって、あるいは、造粒方法(granulation process)によって得られる。
【0005】
一般的に、凝固方法は、最終生成物の幾何学的な特徴を左右する。実際、造粒でも顆粒化でも、全体的に丸みのある粒子が得られるが、第1の(造粒の)場合、寸法および厚さがより大きな細粒が得られ、その一方で、第2の(顆粒化の)場合、寸法および厚さがより小さな粒子(顆粒)が得られる。最終生成物の品質は、一般的に、両方のタイプのプロセスともに良好であるが、それにもかかわらず、顆粒化は、商業的に必要な化学的−物理的な特性を有する固体尿素の製造に適用される工業技術がより単純なままである。
【0006】
添付の図1には、参照番号101でその全体が示されている既知のタイプの典型的な造粒塔が概略的に示されている。造粒塔101は、処理チャンバ104の境界を定めるケーシング102と、ケーシング102の上部端に配置され処理チャンバ104内に液相(溶融尿素)を供給する噴霧デバイス107と、ケーシングの底部端においてケーシング102の側壁103に形成される、処理チャンバ104内に空気を供給するための調節可能窓111と、ケーシング102の底部端に配置され塔101の底部に集められた固体生成物を出口開口の方に向けて動かす機械式スクレーパ・デバイス100とを備える。
【0007】
液相(溶融尿素)は、造粒塔101の(高さ数十メートルのところにある)上部から噴霧され、造粒塔の底部において窓111から周囲温度および湿度の空気が供給され、この空気が液相に対して向流で上昇する。これによって尿素の粒子すなわち顆粒が形成される。顆粒は、凝固し冷却された後、塔101の底部に集められ、コンベヤーベルトにより拾われて、通常、最終加工または処理後のセクションでの特別なステップなしに、バッグに収集される。
【0008】
一般的に、造粒塔において実行される方法は、洗浄ステップを含む。その目的は、造粒塔の壁部に形成される、最適な品質の最終生成物の取得を妨げる尿素堆積物をなくすことである。洗浄に使用された尿素を含む水は収集され、尿素形成セクションに戻される。場合によっては、顆粒化方法の前に溶融尿素に固化防止剤が加えられ、貯蔵中に製品が固まらないようにする。
【0009】
本質的に、顆粒化方法は単純であるが、それにもかかわらず、顆粒化方法には
− スクレーパの使用、および(冷却用の空気にも含まれ、溶融状態の尿素にも依然として含まれる)湿度の存在による、固化現象、
− 生成された尿素の剥離に伴う、スクレーパと塔底部との間の摩擦の存在、ならびに、
− スクレーパを動作させるためのエネルギー消費、
という、いくつかの技術的な問題がある。
【0010】
従来技術のシステムは、全体的に良好であるが、特に、生成された尿素の品質、エネルギー消費および全体効率の観点で、依然として改善の余地があるように思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、全体効率および最終生成物の品質を向上させることができる、特に尿素を生成する造粒塔および顆粒化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の請求項1および請求項11における本質的事項において定められるような、特に尿素を生成する造粒塔および顆粒化方法に関する。
【0013】
本発明のさらなる好ましい特徴は、従属請求項に示されている。
【0014】
本発明によれば、底部に、いくつかのセクタによって形成され、スクレーパがある従来の解決策に対して機械式スクレーパがない、漏斗形の運搬構造を備える造粒塔が提供される。したがって、本発明は、摩擦および機械的性質の両方の観点から、スクレーパを使用することに関する問題をなくすことができる。この解決策は、(結果的に、供給される空気の量の増加になる)いくつかのセクタを含む漏斗形構造の導入による有効高さの増加とあわせて、最終的に、生成物の最終品質および生産効率を向上させることができる。
【0015】
具体的には、本発明による造粒塔の底部に配置される運搬構造は、新規の構造が、
− (もはや使用されない)スクレーパと造粒塔の底部との間の摩擦を取り除く、
− スクレーパの機械的な欠点を取り除く、および
− スクレーパの使用に関するすべてのエネルギーコストを取り除き、したがって尿素製造の全体的なコストを削減する、
ことを可能にすることにより、(次のマーケティング向けの特定の寸法でなければならない)生成された尿素顆粒の寸法分布の改善を可能にする。
【0016】
さらに、運搬構造は、塔への空気の流入を増加させることができ、これによって顆粒化方法がさらに改善される。実際、有利には、漏斗形の運搬構造を形成する様々なセクタ間の自由空間が空気の供給に使用され得る。
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面にある図を参照して、以下にある非限定的な実施形態の例の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来技術による造粒塔の概略縦断面図である。
図2】本発明による造粒塔の概略縦断面図である。
図3図2の造粒塔の拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示される従来技術の造粒塔については、上記で簡潔に説明した。
【0020】
これに代わって、図2、3には、本発明による造粒塔1が示されている。
【0021】
本発明の造粒塔1は、長手方向の垂直軸Aに沿って垂直軸Aの周りに延在するケーシング2を備える。ケーシング2は、例えば、断面が実質的に円形または多角形であり、軸A周りに処理チャンバ4の境界を定める側壁3を有する。
【0022】
ケーシング2は、側壁3に連結されるカバーリング構造6および処理チャンバ4内に液相(溶融尿素)を供給する噴霧デバイス7を備える上部軸方向端5と、運搬構造9を備える底部軸方向端8との間に延在する。
【0023】
側壁3は、例えば、互いに角度間隔を置いて配置されケーシング2の底部軸方向端8に配置されるシャッタータイプの調節可能スラットである、複数の調節可能窓11を備える。
【0024】
運搬構造9は、窓11の下に置かれ、処理チャンバ4で生成された顆粒形状の固体材料を集め、これを底部出口12の方に向けて運ぶように構成される。
【0025】
図3を具体的に参照すると、運搬構造9は、軸Aに沿って軸Aの周りに、側壁3に接合された端部縁14を有する上部端13と、底部出口12を画成する中央開口を備える底部縁15との間に延在する。
【0026】
運搬構造9は、全体的に漏斗形であり、側壁3から底部出口12まで軸Aの方に向かって底部の方に向かって細くなっている。
【0027】
運搬構造9は、複数のフレア状セクタ20を備える。フレア状セクタ20は、同軸であり、軸Aに沿って整列される。セクタ20は、軸Aに沿って連続して配置され、運搬構造9の底部端15に向けて収束する。
【0028】
セクタ20は、適宜、ケーシング2の断面形状に従って、例えば、円錐台形状または多角形ベースの切頭形のピラミッド形状を有する。
【0029】
セクタ20は、いずれの場合でも、底部の方に軸Aの方に向かって細くなる。
【0030】
各セクタ20は、それぞれセクタの軸方向両端に配置される、上部周囲縁21と底部周囲縁22とを有する。上部周囲縁21は、底部周囲縁よりも大きな断面の範囲を定める。すなわち、上部周囲縁21は、底部周囲縁22よりも大きな直径または相当直径(同じ面積の円形断面が有する直径)を有する。
【0031】
セクタ20は、(軸Aに沿った)軸方向および(軸Aを横切る)径方向の両方において、部分的に互いに挿入される。
【0032】
具体的には、軸Aに沿って連続するセクタ20の各対は、互いに挿入される周囲縁21、22をそれぞれ有する2つのセクタ20によって形成される。対のうちの上方セクタ20は、軸Aに沿って他方の上に配置され、下側のセクタ20の上部周囲縁21の軸Aに沿った下方に配置され、かつ、前述のセクタの径方向内側に配置される底部周囲縁22を有する。
【0033】
2つの連続したセクタ20の互いに挿入される周囲縁21、22は、直接接触せず、対になった2つのセクタ20の間に軸A周りの環状スロット25を画成するように、互いに軸方向にずらされかつ径方向に間隔を置いて配置される。スロットは、軸Aに対して垂直なアクセス開口26を有する。
【0034】
各セクタ20は、このように、スロット25を画成する環状ギャップ27だけ軸Aに沿って次にくるセクタ20から間隔を置いて配置される。
【0035】
連続したセクタ20の対ごとに、互いに対向し互いに径方向に間隔を置いて配置される上方セクタ20の外側側面28と下方セクタ20の内側側面29によって、ギャップ27の範囲が定められる。
【0036】
具体的には、運搬構造9は、運搬構造9の上部端13に置かれる上部セクタ20Aと、運搬構造9の底部端15に置かれる底部セクタ20Bと、上部セクタ20Aと底部セクタ20Bとの間に配置される少なくとも1つの中間セクタ20Cとを備える。
【0037】
運搬構造9は、適宜、上部セクタ20Aと底部セクタ20Bとの間に、内側に次々と配置される、2つ以上の中間セクタ20Cを含むことができる。
【0038】
上部セクタ20Aおよび中間セクタ20C(または、2つ以上の場合は各中間セクタ20C)は、軸Aに沿った次のセクタ20の上部周囲縁21によって取り囲まれる底部周囲縁22をそれぞれ有する。換言すると、上部セクタ20Aの底部周囲縁22および中間セクタ20C(または各中間セクタ20C)の底部周囲縁22は、さらに下に置かれた次のセクタ20の上部周囲縁21の軸方向下方かつ径方向内側に配置される。
【0039】
したがって、概して、(底部セクタ20Bを除いて)各セクタ20は、(軸Aに沿って直下に配置された)次のセクタ20の内側に延在し、次のセクタ20の径方向かつ軸方向内側、正確には次のセクタ20の上部周囲縁21の内側に配置される底部周囲縁22を有する。
【0040】
上部セクタ20Aの上部周囲縁21は、ケーシング2の側壁3に接合され、底部セクタ20Bの底部周囲縁22は、底部出口12の境界を定める。
【0041】
各セクタ20は、軸A周りに配置され軸Aに対して傾斜する、具体的には下方に軸Aの方に向かって傾斜する、側壁30を有する。
【0042】
好ましくは、しかし必ずしも必要ないが、セクタ20の側壁30、具体的にはセクタ20の内側側面29はすべて、軸Aおよび(軸Aに垂直な)水平面に対して同じ傾斜を有する。具体的には、セクタ20の側壁30および/または少なくとも内側側面29は、水平面に対して、45°よりも大きな傾斜、好ましくは50°よりも大きな傾斜、例えば約55°の傾斜を有する。セクタ20の側壁30および/または少なくとも内側側面29は、軸Aに対して、約30°〜約40°の範囲の傾斜、例えば約35°の傾斜を有する。
【0043】
運搬構造9は、フレーム31によって支持される。フレーム31は、具体的には、互いに対する所定の空間位置において少なくともいくつかのセクタ20を支持する。
【0044】
運搬構造9には機械式スクレーパがない。実際、内側側面29は、内側側面29に堆積した顆粒が重力の影響だけで底部出口12の方に向かって滑るように、傾斜している。このように、セクタ20の構造、具体的には内側側面29の傾斜によって、処理チャンバ4内で形成された顆粒がセクタ20に落下し、機械式動作の必要なくして、セクタ20の内側側面29に沿って底部出口12まで滑ることが確実になる。
【0045】
使用時、本発明による方法の実施においては、液相(溶融尿素)が噴霧デバイス7によって塔1の上部から処理チャンバ4内に噴霧されると共に、(周囲温度および湿度の)空気が窓11を通って向流で処理チャンバ4に入れられる。
【0046】
空気の追加流れは、スロット25すなわちギャップ27を通って供給される。
【0047】
降下する液相に対して空気が向流で処理チャンバ4内を上昇する間に、液相は凝固し、顆粒が形成され、セクタ20の内側側面29に落下して底部出口12まで内側側面29の上を滑る。
【0048】
最後に、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の造粒塔および顆粒化方法にさらなる修正および変更を加えることができると理解されよう。
図1
図2
図3