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特許6186445光OFDMA通信ネットワークでのレンジング用プリアンブルの設計及び検波
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186445
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】光OFDMA通信ネットワークでのレンジング用プリアンブルの設計及び検波
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20170814BHJP
   H04L 7/04 20060101ALI20170814BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20170814BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20170814BHJP
【FI】
   H04L27/26 110
   H04L7/04 200
   H04L12/44 200
   H04B10/272
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-544366(P2015-544366)
(86)(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公表番号】特表2016-506643(P2016-506643A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2012074085
(87)【国際公開番号】WO2014082679
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】507210281
【氏名又は名称】フラウンホファー‐ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・アンゲヴァンテン・フォルシュング・エー・ファウ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(72)【発明者】
【氏名】ラツムトウツ・エム.エスシー・アリ
【審査官】 大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/136745(WO,A2)
【文献】 特開2008−306471(JP,A)
【文献】 特開2005−175849(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/108294(WO,A1)
【文献】 特表2010−531572(JP,A)
【文献】 Han Wang et al.,A Novel Synchronization Algorithm for OFDM Systems with Weighted CAZAC Sequence,Journal of Computational Information Systems,Binarry Information Press,2012年 3月,Vol.8, 6,2275-2283,URL,http://www.jofcis.com/publishedpapers/2012_8_6_2275_2283.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04B 10/272
H04L 7/04
H04L 12/44
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−複数の加入者接続装置(ONU)(2a〜2n)であって、それぞれが、複数の前記ONU(2a〜2n)の上り同期のためのレンジング系列(20b〜20n)を生成する、複数の加入者接続装置(ONU)(2a〜2n)と、
−複数の前記ONU(2a〜2n)の信号を受信する受信装置(5)であって、複数の前記ONU(2a〜2n)の前記レンジング系列(20b〜20n)を受信する、受信装置(5)と、
を備えた、光OFDMA通信ネットワークであって、
前記受信装置(5)は、複数のレンジング系列(611)が記憶された相関部(61)を有し、
前記受信装置(5)は、前記記憶されたレンジング系列(611)のうちの少なくとも1つを用いて複数の前記受信したレンジング系列(20b〜20n)の相関処理を実行することを含む、レンジング検出処理を実行し、さらに、当該相関処理の結果に応じたレンジング応答を、複数の前記ONU(2a〜2n)に送信する、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項2】
請求項1に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、当該OFDMA通信ネットワーク(1)が、受動光ネットワーク(PON)である、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記受信装置(5)が、局側終端装置(OLT)である、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記相関処理が、前記記憶されたレンジング系列(611)のうちの少なくとも1つを用いて、複数の前記受信したレンジング系列(20b〜20n)の自己相関と相互相関のいずれか一方または両方を実行することを含む、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項5】
請求項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記受信装置(5)が、前記自己相関および前記相互相関を実行することによってそれぞれ生成された信号のピークを検出するピーク検出部(63)を有する、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項6】
請求項4または5に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記自己相関と前記相互相関のいずれか一方または両方が、時間領域で実行される、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記受信装置(5)が、前記複数のレンジング系列(20b〜20n)の前記自己相関または相互相関を順次実行する、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記受信装置(5)が、前記複数のレンジング系列(20b〜20n)の前記自己相関または相互相関を並列に実行する、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記ONU(2a〜2n)のうちの少なくとも1つが、定振幅零自己相関(CAZAC)系列を含むレンジング系列(20b〜20n)を生成する、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、複数の前記ONU(2a〜2n)のそれぞれにより生成される前記レンジング系列(20b〜20n)は、前記受信したレンジング系列(20b〜20n)を前記受信装置(5)が前記ONU(2a〜2n)に対応付けるように、当該ONU(2a〜2n)のそれぞれに特有な疑似雑音(PN)系列を含む、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項11】
請求項に従属する請求項10に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記ONU(2a〜2n)のそれぞれにより生成される前記レンジング系列(20b〜20n)が、前記特有なPN系列によって乗算されたCAZAC系列を含む、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記相関部(61)に記憶された前記レンジング系列(611)のそれぞれが、前記ONU(2a〜2n)のそれぞれに対応付けられ、かつ、前記ONU(2a〜2n)のそれぞれに特有な疑似雑音(PN)系列を含み、前記相関処理が、前記対応付けられたレンジング系列(611)を用いて、前記受信したレンジング系列それぞれに対して実行される、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記レンジング系列(20b〜20n)が、開始系列のスペクトル補間を実行することによって生成される、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項14】
請求項13に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記スペクトル補間の補間次数が、前記レンジング系列(20b〜20n)の送信用に設けられたサブキャリアの数と当該光OFDMA通信ネットワーク(1)により設けられたサブキャリアの総数との比に依存する、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記レンジング系列(20b〜20n)が、開始系列に指数関数を乗算することによって生成される、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記レンジング応答が、時間、周波数および出力のいずれか1または複数について必要な変更に関する情報を含み、前記ONU(2a〜2n)は、当該レンジング応答を受け取ると、データ送信を開始する前に、そのレンジング応答に含まれる前記情報に応じて、タイミング、周波数および出力のいずれか1つまたは複数の設定を変更する、光OFDMA通信ネットワーク。
【請求項17】
光OFDMA通信ネットワークを動作させる方法であって、
−複数の加入者接続装置(ONU)(2a〜2n)により、複数のレンジング系列(20b〜20n)を生成する過程と、
−受信装置(5)により、複数の前記ONU(2a〜2n)の前記レンジング系列(20b〜20n)を受信する過程であって、当該受信装置(5)が、複数のレンジング系列(611)が記憶された相関部(61)を有する、過程と、
−レンジング検出処理を実行する過程であって、前記記憶されたレンジング系列(611)のうちの少なくとも1つを用いて、複数の前記受信したレンジング系列(20b〜20n)の相関処理を実行することを含む過程と、
−前記相関処理の結果に応じたレンジング応答を、前記ONU(2a〜2n)に送信する過程と、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載の光OFDMA通信ネットワークを動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の光OFDMA通信ネットワーク、および請求項17に記載の光OFDMA通信ネットワークを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、複数の加入者接続装置(ONU)を局側終端装置(OLT)等の受信装置に接続してなる、受動光ネットワーク(PON)のような光通信ネットワークが知られている。具体的には、このような光通信ネットワークでのデータ送信には、非特許文献1(「次世代光アクセスネットワーク用のOFDM」という論文)に記載されているように直交周波数分割多元接続(OFDMA)方式を採用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"OFDM for Next-Generation Optical Access Networks(次世代光アクセスネットワークのためのOFDM)", N. Cvijetic, J. of Lightwave Technology, vol. 30, No. 4, p. 384-398, Feb. 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上り性能の優れた光通信ネットワークを提供することである。また、そのような光通信ネットワークを動作させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの課題は、請求項1に記載の光通信ネットワークおよび請求項17に記載の方法によって解決される。本発明の各実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0006】
すなわち、
−複数の加入者接続装置(ONU)であって、それぞれが、複数の前記ONUの上り同期のためのレンジング系列を生成する、複数の加入者接続装置と、
−複数の前記ONUの信号を受信する受信装置であって、複数の前記ONUの前記レンジング系列を受信する受信装置と、
を備える、光通信ネットワークであって、
前記受信装置は、複数のレンジング系列が記憶された相関部を有し、
前記受信装置(5)は、前記記憶された前記レンジング系列(611)のうちの少なくとも1つを用いて複数の前記受信したレンジング系列(20b〜20n)の相関処理を実行することを含む、レンジング検出処理を実行し、さらに、当該相関処理の結果に応じたレンジング応答を、複数の前記ONU(2a〜2n)に送信する、光通信ネットワークを提供する。
【0007】
本発明にかかる光通信ネットワークで実行可能なレンジング手順により、上り信号(すなわち、複数のONUから前記受信装置に送信される信号)を、その受信装置のローカルな時間基準および/または周波数基準に同期させることができる。その結果、各ONUと受信装置との間の通信リンクの特性(例えば、各ONUと前記受信装置との間の距離など)を考慮することになる。具体的には、上り信号を同期させることにより、多元接続干渉(MAI)および/またはシンボルタイミングオフセット(STO)および/またはキャリア周波数オフセット(CFO)および/またはシンボル間干渉(ISI)等による上り信号の品質低下を防止、あるいは、少なくとも軽減することができる。
【0008】
本発明にかかる光通信ネットワークは、直交周波数分割多元接続(OFDMA)方式に従って動作する。OFDMAネットワークは、高速のデータレートおよび高いスペクトル効率を提供可能なネットワークであり、例えば多値変調方式などを利用することができる。また、サイクリックプリフィックス(CP)を用いることにより、光ファイバ中での波長分散(CD)や偏波モード分散(PMD)に対するネットワーク耐性を高めることができる。
【0009】
また、OFDMAネットワークでは、波長分割多重(WDM)ネットワークと異なり、ユーザのその時々の要件に応じて、例えば割り当てるサブキャリア数を調整し、かつ/または、異なる変調方式を利用する等により、各ユーザ(例えば、ONUなど)に対して帯域幅を動的かつ柔軟に割り当てることができる。例えば、各ユーザに割り当てられるサブキャリア数を、OFDMAシンボルごとに異らせることが可能である。
【0010】
ただし、OFDMネットワークでは、OFDM信号の正確な検波・復調を確実に行えるように、データ送信に用いられる異なるサブキャリア間の直交性を出来る限り良好に維持する必要がある。そのため、OFDMネットワーク/OFDMAネットワークでは、特にそのレンジング手順により、異なるサブキャリア間の、データ送信に用いられる直交性が、ONUから受信装置への伝送中確実に維持されるようにする。
【0011】
本発明にかかる光通信ネットワークは、受動光ネットワーク(PON)であってもよい。また、前記受信装置は、局側終端装置(OLT)であってもよい。前記ONUにより生成・送信されたレンジング系列は、前記受信装置のレンジング手段によって受信されてもよい。このレンジング手段は、自己相関および相互相関を実行してもよい。このレンジング手段は、前記受信装置のコンピュータ装置内に含まれたコンピュータコードによって実現可能である。また、特定用途向け集積回路(ASIC)等の特定のハードウェアデバイスによっても実現可能である。
【0012】
前記受信装置により実行される前記相関処理は、例えば、前記記憶されたレンジング系列のうちの少なくとも1つを用いて、複数の前記受信したレンジング系列の自己相関および/または相互相関を実行することを含む。具体的には、前記受信装置は、前記ONUのそれぞれに特有な記憶されたレンジング系列を用いて、前記受信したレンジング系列の自己相関および相互相関を実行する。
【0013】
例えば、前記加入者接続装置のうちの少なくとも1つは、定振幅零自己相関(CAZAC)系列を含むレンジング系列を生成する。後述するが、具体例として、前記加入者接続装置のうちの少なくとも1つは、CAZAC系列を疑似雑音(PN)系列と組み合わせる。CAZAC系列は振幅が一定なので、ピーク対平均出力比が0dBになる。また、CAZAC系列の自己相関値は、中央値以外の数値が僅かな数値にしかならない。さらに、CAZAC系列を(離散)フーリエ変換しても再びCAZAC系列になる。つまり、CAZAC系列は、時間領域および周波数領域のいずれにも使うことができる。CAZAC系列を同期アルゴリズムに用いることの一般原理は、H. Wang達による“A Novel Synchronization Algorithm for OFDM Systems with Weighted CASAC Sequence(重み付きCAZAC系列を用いる、OFDMシステム用の新規の同期アルゴリズム)”(J. of Computational Information Systems 8, p. 2275-2283, March 2012)という論文に記載されている。なお、この論文については、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【0014】
CAZAC系列を用いると構成には、無線通信ネットワークにおける従来のレンジング手順よりも短いレンジング系列を使用することができるので、検波の複雑度合が低いという利点がある。また、CAZAC系列を用いることにより、検出が容易な相関信号を生成することができる。さらに、CAZAC系列は、望ましくない信号対雑音比に対してロバスト(頑健)である。
【0015】
前記レンジング系列のそれぞれは、CAZAC系列の一種であるZadoff−Chu系列を含んでもよい。例えば、下記の式で表されるZadoff−Chu系列が使われる:
【0016】
【数1】
【0017】
(式中、Lは長さであり、rは系列番号である。)
【0018】
前記レンジング系列は、データ信号のプリアンブルであってもよい。一例として、前記レンジング系列は、OFDMシンボル、例えば4種類の部分で構成されるOFDMシンボルであるとする。
【0019】
前記レンジング系列は、開始系列(starting sequence)Z(例えば、Zadoff−Chu系列)を繰り返すことで形成されたものであってもよい。これにより、急峻な相関信号を得ることができる。一例として、前記開始系列Zを4回繰り返すことにより、系列:T={Z Z Z Z}が形成される。
【0020】
また、前記加入者接続装置のそれぞれにより生成される前記レンジング系列は、受信したレンジング系列を、当該レンジング系列を生成した加入者接続装置に前記受信装置が対応付けるように、当該加入者接続装置のそれぞれに特有な疑似雑音(PN)系列を含んでもよい。詳細には、そのPN系列は、CAZAC系列と組み合わせられる。具体例として、CAZAC系列をその特有なPN系列によって乗算することにより、これらPN系列とCAZAC系列とが組み合わされる。例えば、前記相関部に記憶された前記レンジング系列のそれぞれが、前記ONUのそれぞれに対応付けられ、かつ、前記ONUのそれぞれに特有なPN系列を含む。前記相関処理は、前記対応付けられたレンジング系列を用いて、前記受信したレンジング系列それぞれに対して実行される。
【0021】
一具体例として、前述した開始系列(例えば、Zadoff−Chu開始系列)のうちの1番目の要素と3番目の要素を、PN系列(長さL)によって乗算することにより、(変更後の)開始系列:S={ZPN Z ZPN Z}が得られる。
【0022】
また、前記レンジング系列が、開始系列(例えば、サンプリングされた開始系列)のスペクトル補間を実行することによって生成されてもよい。前記スペクトル補間の補間次数(degree)は、前記レンジング系列の送信用に(具体的には、前記OLTによって)設けられた(割り当てられた)サブキャリアの数(サブキャリア数)と前記光通信ネットワークによって設けられたサブキャリアの総数(総サブキャリア数)との比に依存する。
【0023】
また、前記レンジング系列が、前記開始系列に指数関数を乗算することによって生成されてもよい。これにより、当該系列を、周波数領域において(例えば、前記OLTによりレンジング目的で規定される)所定の周波数範囲にシフトさせることができる。したがって、高効率なレンジング手順を確立することができる。このようなレンジング手順は、ONUが定期的に省出力モードに切り替わるため、レンジング手順を繰り返す必要があるPONにおいて極めて望ましい。例えば、前記光通信ネットワークは、1つまたはいくつかの同期済みONUを備えている。
【0024】
一具体例では、前記開始系列:S={ZPN Z ZPN Z}を用いて、以下のレンジング系列が生成される:
【0025】
【数2】
【0026】
(式中、Eは、前記レンジング系列の送信用に設けられたサブキャリアの数と前記光通信ネットワークにより設けられたサブキャリアの総数との比に依存する、前述の補間次数である。)
【0027】
上記の補間は、前記受信装置によって実行されてもよい。あるいは上記の補間が、類似の要素によって実行されてもよい。
【0028】
留意すべきは、無線通信ネットワークに用いられる従来のレンジング手順は、PONに採用できないという点である。その理由として、PONのクロックレートが、通常極めて高いことが挙げられる。具体的には、従来のレンジング手順は、サイクリックプレフィックスの長さを最大遅延時間よりも長く設定するという同期概念に基づいている。しかし、PONでは、OFDMシンボルが短く、ラウンドトリップ遅延が長いことから、そのような同期概念を採用することができない。
【0029】
前記受信装置は、前記自己相関および前記相互相関を実行することによってそれぞれ生成された信号(相関信号)のピークを検出するピーク検出部を有してもよい。このピーク検出部は、相関信号の強度が所定の閾値を超えた場合にピークを検出してもよい。このピーク検出部により検出された(時間スケール上のまたは周波数スケール上の)少なくとも1つのピークの位置に応じて、レンジング応答信号が、対応する1つまたは複数のONUに送信されてもよい。具体的には、その相関信号のうちの、時間軸上で検出されるピークの位置(または周波数軸上で検出されるピークの位置)は、ONUから受信装置へと伝送される間所信号に生じる遅延時間(または周波数シフト)に比例する。
【0030】
したがって、前記1つまたは複数のONUに送信される前記レンジング応答は、時間および/または周波数および/または出力について必要なシフトに関する情報を含み得る。そして、前記加入者接続装置は、当該レンジング応答を受け取ると、データ送信を開始する前に、そのレンジング応答に含まれる前記情報に応じて、タイミングおよび/または周波数および/または出力の設定を変更する。
【0031】
他の例において、前記受信装置は、(前記ONUにより生成・送信された)前記複数のレンジング系列の前記自己相関または相互相関を順次実行する。さらに、または代わりに、前記受信装置は、(2つの異なる前記ONUにより生成・送信された)少なくとも2つの異なるレンジング系列の前記自己相関または相互相関を並列に実行してもよい。例えば、前記レンジング手段は、複数の相関部(それぞれが個別のONUに対応付けられてもよい)を有する。
【0032】
本発明は、さらに、光OFDMA通信ネットワークを動作させる方法、特に、請求項1から16に記載の光OFDMA通信ネットワークを使用する方法であって、
−複数の加入者接続装置(ONU)により、複数のレンジング系列を生成する過程と、
−受信装置により、前記加入者接続装置の前記レンジング系列を受信する過程であって、当該受信装置が、複数のレンジング系列が記憶された相関部を有する、過程と、
−レンジング検出処理を実行する過程であって、前記記憶されたレンジング系列のうちの少なくとも1つを用いて、複数の前記受信したレンジング系列の相関処理を実行することを含む過程と、
−前記レンジング検出処理の結果に応じたレンジング応答を、前記加入者接続装置に送信する過程と、
を含む、方法に関する。
【0033】
これまでに説明した光通信ネットワークに関する本発明の実施形態は、本発明にかかる方法に対しても同様に適用可能である。
【0034】
以下では図面を参照しながら、実施形態を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態にかかる通信ネットワークの概略図である。
図2】本発明にかかる動作方法を示す図である。
図3】本発明にかかる通信ネットワークに用いられるレンジング手段の概略図である。
図4】複数のレンジング系列を受信した受信装置による相関処理の結果を示す図である。
図5】1フレーム内のレンジング対象ONUの数に対する、同期済みONUのEVM(誤差ベクトルの大きさ)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に、本発明にかかる光通信ネットワークである受動光ネットワーク(PON)1を示す。この受動光ネットワーク1は、複数(3つ)の加入者接続装置(ONU)2a〜2cを備える。一例として、ONU2aは、プライベートユーザによって使用されるONU(例えば、データレートが1〜25GbpsであるONU)とされ、ONU2bは、ビジネスユーザによって使用されるONU(例えば、データレートが1〜50GbpsであるONU)とされ、ONU2cは、モバイルバックホールによって使用されるONU(例えば、データレートが1〜100GbpsであるONU)とされる。つまり、ONU2a〜2cは、互いに異なり且つ変動する帯域幅要件を有する。当然ながら、図2に示すように、4つ以上のONUが設けられてもよい。
【0037】
通信ネットワーク1は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)方式の下で動作するものであり、ONU2a〜2cのそれぞれに複数のサブキャリアが割り当てられる。異なるサブキャリアに、異なる変調方式を適用することも可能である。例えば、ONU2aは四位相偏移変調(QPSK)方式を利用し、ONU2b及びONU2cは直交振幅変調(QAM)を利用してもよい。
【0038】
ONU2a〜2cは、グラスファイバケーブル3a〜3cおよび光スプリッタ4を介して、局側終端装置(OLT)5(例えば、1〜100Gbpsのデータレートを実現可能なOLT)の形態の受信装置に接続されている。ONU2a〜2cとOLT5との間の各グラスファイバリンクは、特性が互いに異なるために、ONU2a〜2cからファイバリンク30を経てOLT5へと送信される(光)上り信号(US(upstream signal))は、互いに異なる遅延時間でOLT5に到達する。
【0039】
具体的には、これらONU2a〜2cは、(ロード)データ送信の開始を許可される前に、当該ONU2a〜2cにより送信される信号間の直交性が当該ONU2a〜2cからOLT5へと伝送される間維持されるように、上り方向において同期される必要がある。この目的のために、レンジング手順が実行される。具体的には、同期されるべきONUが、レンジング系列の形態のレンジング信号を生成し、当該レンジング信号をOLT5に送信する。このように上り方向で同期されるべきONUのうちの少なくとも1つが、前記レンジング系列を生成する前に、例えば専用の制御チャネル等を介して下り同期(DS)が完了していてもよい。この下り同期の結果に応じて、前記レンジング系列が基礎とする開始系列が規定されてもよい。
【0040】
一例として、前記レンジング系列は、図2に示すようにデータ信号のレンジング用プリアンブル20a〜20nとして送信される。例えば、ONU2b〜2n間の互いに異なる距離により、プリアンブル20b〜20nが互いに異なる遅延時間でOLT5に到達する。
【0041】
図2の例では、光通信ネットワーク1のONU2a〜2nのうちの1つ(ONU2a)が同期済みであり、上りデータ送信(データ系列20)を既に開始している。したがって、同期されるべきONUはONU2b〜2nのみであり、これらONU2b〜2nがレンジング用プリアンブル20b〜20nを送信する。レンジング用プリアンブル20b〜20nは、同期済みONU2aのデータ信号と共にOLT5によって受信される。OLT5は、レンジング用プリアンブル20a〜20nを処理するレンジング手段6を含む。図3に、レンジング手段6の詳細を示す。
【0042】
図3に示すように、レンジング手段6は、バンドパスフィルタ621と間引き部622とを含むフィルタ手段62を有する。バンドパスフィルタ621は、受信装置5に到達するデータサブキャリアDSCから、前記レンジング系列の送信用に設けられた、(図2のレンジングサブキャリアRSC)を抽出する。間引き部622は、前記レンジング系列の補間の逆を行う。すなわち、間引き部622は、その系列を維持したまま、そのサンプル数を減らす。このようにして抽出された、レンジング用プリアンブル20b〜20nを搬送するレンジングサブキャリアRSCは、レンジング手段6の相関バンク(correlator bank)61の形態の相関部に受け取られる。
【0043】
相関バンク61は、疑似雑音(PN)系列611の形態の複数のレンジング系列を記憶して、かつ、その記憶されたPN系列611のうちの少なくとも1つを用いて、レンジング手段6が受信したレンジング用プリアンブル20b〜20nの自己相関および/または相互相関を実行する。相関バンク61が自己相関または相互相関を実行することによって生成された相関信号は、ピーク検出部63に送信される。ピーク検出部63は、所定の閾値612に応じて前記相関信号のピークを検出する。
【0044】
前記相関信号内の検出されたピークの位置(時間位置)は、対応するONUにより送信される信号がOLT5へと伝送される間に当該信号に生じる時間遅延量に正比例する(前記ピークの位置は、その時間遅延量に対して一意的関係を有する)。さらに、前記相関信号内の検出されたピークの大きさ(振幅)は、対応するONUの送信出力に対応する。したがって、検出されたピークの前記位置及び前記大きさを用いることにより、ONUのデータ送信を同期するために各ONUが実行すべきタイミング設定(タイミングオフセット)についての変更および/または出力についての変更に関する情報を含む補正信号(レンジング応答)を生成し、当該補正信号を各ONUに送信することができる。自己相関および相互相関による相関信号から周波数シフトを導き出し、当該周波数シフトを用いることで、必要な周波数シフトに関する情報を含むレンジング応答を生成してもよい。図4に、相関信号の一例を示す。
【0045】
ONU2b〜2cにより生成されるレンジング用プリアンブル20b〜20nは、それぞれ、定振幅零自己相関(CAZAC)系列と、無作為に選ばれ得る疑似雑音(PN)系列との前述したような組合せを含んでもよい。このPN系列は、対応するレンジング用プリアンブルを生成・送信したONUをレンジング手段6が識別するために使用される。異なるレンジング用プリアンブル20b〜20n同士の衝突は、これらレンジング用プリアンブル20b〜20nの直交性により許容可能である。一具体例として、レンジング用プリアンブル20b〜20nは、CAZAC系列とPN系列とを含む開始系列から生成され、かつ、その開始系列は、スペクトル補間される。これにより、特に、それらレンジング用プリアンブルを送信するのに必要な周波数帯域幅、つまり、レンジングサブキャリアRSCが占める周波数帯域幅(図2)を抑制する(小さくする)ことができる。また、CAZAC系列とPN系列とを含む前記開始系列は、前記レンジング系列を所望の周波数にシフトするための周波数シフトfに応じた、つまり、レンジングサブキャリアに応じた指数関数によって乗算されてもよい。具体的には、その所望の周波数は、前記レンジング用プリアンブル20b〜20nがデータサブキャリアDSCに干渉しないように、(ロード)データ送信に用いられるサブキャリア(図2の同期済みONU2aのサブキャリアDSC)から十分な周波数間隔を置いた周波数とされてもよい。
【0046】
一具体例として、相関バンク61は、レンジング用プリアンブル20b〜20nのそれぞれについて、タイミングメトリックG(d)を算出する。ここで、タイミングメトリックG(d)は、下記の式で表される:
【0047】
【数3】
【0048】
(式中、dは時間遅延量(又は周波数シフト)であり、W(d)とR(d)は下記の式で表される。)
【0049】
【数4】
【0050】
(式中、PNはm個目のONUのレンジング用プリアンブルのPN系列であり、Sはそのレンジング用プリアンブルのCAZAC系列であり、Nはプリアンブルのサンプル数であり、N=N/4は使用されたPN系列の長さ(サンプル数)に相当する。)
【0051】
ピーク検出部63は、相関信号(すなわち、前記タイミングメトリック)のピークを、それが閾値612を超えた場合に検出する。すなわち、レンジング用プリアンブルが検波されて、下記の式を満たす時間遅延位置(タイミングオフセット)が特定される。
【0052】
【数5】
【0053】
レンジング手段6は、このように算出された時間遅延量および大きさG)に応じて、必要なタイミングオフセットτおよび出力についての変更ρを含むレンジング応答信号を生成する。同様に、必要な周波数シフトΔを算出することも可能である。対応するONUに前記レンジング応答信号が送られると、この対応するONUは、同期データ送信を開始する前に、タイミングおよび/または出力および/または周波数の設定を変更する。
【0054】
あるONUのレンジング用プリアンブルが検波されない場合(すなわち、このONUがレンジング応答を受信していない場合)、そのONUは、同じレンジング用プリアンブルを(例えば、一定のバックオフ時間後に)より高い出力で再送信してもよい。
【0055】
図4に、レンジング手段6の相関バンク61からの出力のシミュレーションを示す。このシミュレーションでは、レンジング手段6が、(上り方向で同期されるべき6つのONUに対応する)6つのレンジング用プリアンブルを受信・処理する場合を想定した。また、このシミュレーションでは、(レンジング手段6の)各種信号処理部、さらには、OFDM通信ネットワーク内の各種光学構成要素も考慮に入れた。また、このシミュレーションに用いた通信ネットワークは、同期されるべき6つのONU(すなわち、「レンジング対象ONU」)に加えて、1つの同期済みONUをさらに備えている。
【0056】
また、1フレームあたり10個のOFDMシンボルを、12ギガサンプル/秒のサンプリングレートおよび1GHzの帯域幅で、スタンダードモードファイバにより20キロメートルの距離にわたって送信した。前記同期済みONUは、データ送信用に250個のサブキャリアを用いる。このシミュレーションでのサブキャリアの総数(つまり、FFT長さ)は1024である。さらに、1フレーム内のレンジング用プリアンブルの数を様々に変えてシミュレーションを行った。
【0057】
このシミュレーションにおけるタイミングメトリック(y軸:前述したタイミングメトリックG(d)に相当)のピークP1〜P6は、異なるレンジング対象ONUの各レンジング用プリアンブルに対応付けできる。時間軸(x軸)上のピークP1〜P6の位置は、それらレンジング用プリアンブル(例えば、図2のレンジング用プリアンブル20b〜20n)の送信時間、すなわち、それらレンジング用プリアンブルが対応するONUから受信装置5へと伝送されるのに必要な時間に比例し得る。前述したように、ピークは、その大きさが所与の閾値を超えた場合に検出される。したがって、レンジング対象ONUにより送信されるレンジング用プリアンブルは、その大きさを、相関信号(タイミングメトリック)の対応するピークが閾値を超えるように十分に大きく設定されなければならない。その一方、同期済みONUにより用いられるデータサブキャリアに干渉しないように過度に大きく設定されるべきでもない。
【0058】
図5に、レンジング対象ONUの数に対する、同期済みONUの誤差ベクトルの大きさ(EVM)(y軸)を示す。図中のEVMは、レンジング対象ONUの数(x軸)が増えるにつれて上昇しているが、レンジング対象ONUを12個設けたことによるEVMの上昇率は約1%とごく僅かである。この結果は、本発明にかかる光ネットワークで実行可能なレンジング手順が、データサブキャリアにごく僅かしか干渉しないことを示唆している。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
−複数の加入者接続装置(ONU)(2a〜2n)であって、それぞれが、複数の前記ONU(2a〜2n)の上り同期のためのレンジング系列(20b〜20n)を生成する、複数の加入者接続装置(ONU)(2a〜2n)と、
−複数の前記ONU(2a〜2n)の信号を受信する受信装置(5)であって、複数の前記ONU(2a〜2n)の前記レンジング系列(20b〜20n)を受信する、受信装置(5)と、
を備えた、光OFDMA通信ネットワークであって、
前記受信装置(5)は、複数のレンジング系列(611)が記憶された相関部(61)を有し、
前記受信装置(5)は、前記記憶されたレンジング系列(611)のうちの少なくとも1つを用いて複数の前記受信したレンジング系列(20b〜20n)の相関処理を実行することを含む、レンジング検出処理を実行し、さらに、当該相関処理の結果に応じたレンジング応答を、複数の前記ONU(2a〜2n)に送信する、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様2〕
態様1に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、当該OFDMA光通信ネットワーク(1)が、受動光ネットワーク(PON)である、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様3〕
態様1または2に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記受信装置(5)が、局側終端装置(OLT)である、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様4〕
態様1から3のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記相関処理が、前記記憶されたレンジング系列(611)のうちの少なくとも1つを用いて、複数の前記受信したレンジング系列(20b〜20n)の自己相関と相互相関のいずれか一方または両方を実行することを含む、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様5〕
態様1から4のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記ONU(2a〜2n)のうちの少なくとも1つが、定振幅零自己相関(CAZAC)系列を含むレンジング系列(20b〜20n)を生成する、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様6〕
態様1から5のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、複数の前記ONU(2a〜2n)のそれぞれにより生成される前記レンジング系列(20b〜20n)は、前記受信したレンジング系列(20b〜20n)を前記受信装置(5)が前記ONU(2a〜2n)に対応付けるように、当該ONU(2a〜2n)のそれぞれに特有な疑似雑音(PN)系列を含む、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様7〕
態様5に従属する態様6に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記ONU(2a〜2n)のそれぞれにより生成される前記レンジング系列(20b〜20n)が、前記特有なPN系列によって乗算されたCAZAC系列を含む、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様8〕
態様1から7のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記相関部(61)に記憶された前記レンジング系列(611)のそれぞれが、前記ONU(2a〜2n)のそれぞれに対応付けられ、かつ、前記ONU(2a〜2n)のそれぞれに特有な疑似雑音(PN)系列を含み、前記相関処理が、前記対応付けられたレンジング系列(611)を用いて、前記受信したレンジング系列それぞれに対して実行される、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様9〕
態様1から8のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記レンジング系列(20b〜20n)が、開始系列のスペクトル補間を実行することによって生成される、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様10〕
態様9に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記スペクトル補間の補間次数が、前記レンジング系列(20b〜20n)の送信用に設けられたサブキャリアの数と当該光OFDMA通信ネットワーク(1)により設けられたサブキャリアの総数との比に依存する、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様11〕
態様1から10のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記レンジング系列(20b〜20n)が、開始系列に指数関数を乗算することによって生成される、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様12〕
態様1から11のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記受信装置(5)が、前記自己相関および前記相互相関を実行することによってそれぞれ生成された信号のピークを検出するピーク検出部(63)を有する、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様13〕
態様1から12のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記レンジング応答が、時間、周波数および出力のいずれか1または複数について必要な変更に関する情報を含み、前記ONU(2a〜2n)は、当該レンジング応答を受け取ると、データ送信を開始する前に、そのレンジング応答に含まれる前記情報に応じて、タイミング、周波数および出力のいずれか1つまたは複数の設定を変更する、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様14〕
態様1から13のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記自己相関と前記相互相関のいずれか一方または両方が、時間領域で実行される、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様15〕
態様1から14のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記受信装置(5)が、前記複数のレンジング系列(20b〜20n)の前記自己相関または相互相関を順次実行する、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様16〕
態様1から15のいずれか一態様に記載の光OFDMA通信ネットワークにおいて、前記受信装置(5)が、前記複数のレンジング系列(20b〜20n)の前記自己相関または相互相関を並列に実行する、光OFDMA通信ネットワーク。
〔態様17〕
光OFDMA通信ネットワークを動作させる方法(、特に、態様1から16)に記載の光OFDMA通信ネットワークを使用する方法)であって、
−複数の加入者接続装置(ONU)(2a〜2n)により、複数のレンジング系列(20b〜20n)を生成する過程と、
−受信装置(5)により、複数の前記ONU(2a〜2n)の前記レンジング系列(20b〜20n)を受信する過程であって、当該受信装置(5)が、複数のレンジング系列(611)が記憶された相関部(61)を有する、過程と、
−レンジング検出処理を実行する過程であって、前記記憶されたレンジング系列(611)のうちの少なくとも1つを用いて、複数の前記受信したレンジング系列(20b〜20n)の相関処理を実行することを含む過程と、
−前記相関処理の結果に応じたレンジング応答を、前記ONU(2a〜2n)に送信する過程と、
を含む、方法。
【符号の説明】
【0059】
1 通信ネットワーク
2a〜2n ONU
3a〜3n 光ファイバ
4 スプリッタ
5 OLT
6 レンジング手段
20 データ
20a〜20n レンジング用プリアンブル
30 ファイバリンク
61 相関バンク
62 フィルタ手段
63 ピーク検出部
611 記憶されたレンジング系列
612 閾値
621 バンドパスフィルタ
622 間引き部
図1
図2
図3
図4
図5