(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気圧式アクチュエータが、前記容器から送出された前記流体を使用して前記空気圧式アクチュエータを伸長および格納させる、複動シリンダを含むことを特徴とする請求項1記載のローラ対。
前記空気圧式アクチュエータが、伸長方向に対応する前記空気圧式アクチュエータの注入ポートに流体連通している伸長ノズルと、格納方向に対応する前記空気圧式アクチュエータの注入ポートに流体連通している格納ノズルとをさらに含み、前記伸長ノズルおよび前記格納ノズルが前記空気圧式アクチュエータの伸長速度および格納速度を夫々制限するように、前記伸長ノズルおよび前記格納ノズルが夫々の前記注入ポートよりも小さい流体通過速度を有することを特徴とする請求項2記載のローラ対。
前記作動システムが、前記第2のローラアセンブリの前記接触ホイールを前記ガラスリボンから引き離すものに対応する方向に前記第2のローラアセンブリに力を印加する、力部材をさらに含むことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のローラ対。
前記第1のローラアセンブリおよび前記第2のローラアセンブリのうちの少なくとも1つが、前記シャフトに連結されかつ前記接触ホイールの回転を制御する、駆動モータをさらに備えていることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のローラ対。
前記支持フレームから前記空気圧式アクチュエータへの伝導経路が金属要素の分断を含むように、前記断熱部材が遮熱部を画成することを特徴とする請求項7記載のローラ対。
前記ローラ対の夫々の前記空気圧式アクチュエータが、伸長方向に対応する前記空気圧式アクチュエータの注入ポートに流体連通している伸長ノズルと、格納方向に対応する前記空気圧式アクチュエータの注入ポートに流体連通している格納ノズルとをさらに含み、前記伸長ノズルおよび前記格納ノズルが前記空気圧式アクチュエータの伸長速度および格納速度を夫々制限するように、前記伸長ノズルおよび前記格納ノズルが夫々の前記注入ポートよりも小さい流体通過速度を有することを特徴とする請求項9記載の延伸装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、ガラスリボンの製造作業において使用されるローラ対および延伸装置の実施形態を詳細に参照する。可能な限り、図面を通じて、同じまたは類似の部分の参照に同じ参照番号を使用する。
図1は、延伸作業でガラスの製造に使用されるガラス製造装置を概して描いたものである。ガラス製造装置ではバッチ材料を処理して溶融ガラスとし、この溶融ガラスを成形装置に導入し、成形装置から溶融ガラスが流れてガラスリボンが成形される。ガラスリボンには、ガラスリボンに近接して位置決めされた複数のローラ対が接触する。ローラ対はガラスリボンに接触してガラスリボンに力を印加し、後の固化されたガラスリボンの線速度および厚さなどのパラメータを制御する。
【0015】
本開示による延伸装置は、空気圧式アクチュエータを備えたローラ対を組み込み、この空気圧式アクチュエータが、ローラ対内の少なくとも1つのローラの位置決めを制御する。空気圧式アクチュエータはさらに、対応するローラ対内のローラ間のガラスリボンに印加される挟力も制御する。ローラ対の空気圧式アクチュエータおよび構成要素は、その格納および伸長時の並進運動において低摩擦を示すことができるため、より高摩擦の他の挟力制御システムに比べてこの空気圧式アクチュエータは、ガラスリボンに印加される張力の変動を減少させることができる。さらに、空気圧式アクチュエータを延伸装置に沿った様々な位置に組み込んでガラスリボンに接触させてもよく、それによりガラスリボンに沿った複数の位置でガラスリボンの張力を管理することができる。空気圧式アクチュエータは、信頼できかつ繰返し可能な挟力制御をガラスリボンに沿って提供することができ、それによりガラスリボンに安定した均一な力プロファイルを提供し、優れたシート属性を可能にすることができる。さらに、空気圧式アクチュエータによって遠隔作動が可能になり、プロセスの摂動に対する迅速な応答が可能になる。
【0016】
ここで
図1を参照すると、フュージョンプロセスを組み込んでガラスリボン105を製造する、ガラス製造装置100が描かれている。ガラス製造装置100は、溶解槽110、清澄槽115、混合槽120、送出槽125、成形装置135、延伸装置200、および切断装置150を含む。ガラス製造装置100は、バッチ材料を溶解および混合して溶融ガラスとし、溶融ガラスを分布させて予備的な形状にすることによってバッチ材料から連続的なガラスリボン105を生成し、ガラスが冷えて粘度が増加するときにガラスリボン105に張力を印加してガラスリボン105の寸法を制御し、さらにガラスが粘弾性転移を経てガラスシート155に安定した寸法特性を与える機械的性質を備えた後に、ガラスリボン105から個別のガラスシート155を切断する。
【0017】
動作時には、ガラスを成形するためのバッチ材料が矢印112で示されているように溶解槽110内に導入され、溶解されて溶融ガラス126が形成される。溶融ガラス126は、溶解槽110の温度を超える温度で維持されている清澄槽115内へと流れる。清澄槽115から溶融ガラス126は混合槽120内へと流れ、ここで溶融ガラス126は、溶融ガラス126を均質化するための混合プロセスを受ける。溶融ガラス126は混合槽120から送出槽125へと流れ、ここで溶融ガラス126は下降管130を通じて注入口132へ、さらに成形装置135内へと送出される。
【0018】
図1に描かれている成形装置135をフュージョンドロープロセスで使用すると、表面品質が高くかつ厚さの変動が小さいガラスリボン105が生成される。成形装置135は、溶融ガラス126を受け入れる開口136を含む。溶融ガラス126はトラフ137内へと流れた後に溢れ出て、トラフ137の両側面を2つの部分的なリボン部分の状態で流れ落ち、その後成形装置135の底部139の下方で融合する。依然溶融ガラス126の状態の2つの部分的なリボン部分は、成形装置135の底部139の下方の位置で互いに再結合する(例えば融合)し、それによりガラスリボン105が形成される。ガラスリボン105は延伸装置200によって、成形装置から下向きに延伸される。本書ではフュージョンドロープロセスを実施する成形装置135を図示および説明するが、限定するものではないが、スロット延伸装置などを含む他の成形装置を使用してもよいことを理解されたい。
【0019】
図1に示されているように延伸装置200は、ガラスリボン105が延伸装置200を通過するときにガラスリボン105に接触するように延伸装置200に沿った位置に配置された。複数のローラ対210を含む。
図1に描かれている実施形態においてローラ対210は、ガラスリボン105の幅の一部分のみを横切って延在しかつガラスリボン105のエッジに近接して位置決めされた、ローラ212を含む。他の実施形態(図示なし)においてローラ対210は、ガラスリボン105の全幅を横切って延在するローラを含み得る。ローラ対210は、ガラスリボン105の厚さで隔てられたガラスリボン105の対向する両表面上で、ガラスリボン105に接触する。
【0020】
以下でより詳細に論じるが、延伸装置200、ローラ対210の複数の実施形態は、ガラスリボンが延伸装置200を通過するときにガラスリボン105に接触するローラ対210の要素にトルクを与えるように適合された、駆動モータ222を含む。延伸装置200の種々のローラ対210は、その動作をガラスリボン105のパラメータを管理するように変化させるように適合される。例えばローラ対210のある高度で、駆動モータ222はガラスリボン105に、駆動モータ222のトルクの印加の方向に対応する牽引力を導入することができる。ローラ対210の別の高度で、駆動モータ222は印加するトルクとその方向を変化させて、ガラスリボン105の線速度を管理することができる。ローラ対210のさらに別の高度で、駆動モータはトルクの印加と方向を、ガラスリボン105に沿った張力を厚さおよび幅を制御するように維持するように変化させてもよい。
【0021】
ローラ対210の一実施の形態が、より詳細に
図2に描かれている。延伸装置200の各ローラ対210は、
図2に描かれているように以下の要素を含み得ることを理解されたい。
図2に描かれている実施形態において第1のローラアセンブリ220は、シャフト214に連結された駆動モータ222を含む。駆動モータ222は、シャフト214を通じて接触ホイール216にトルクを与えるように適合されている。接触ホイール216がガラスリボン105に接触した状態のままであるとき、接触ホイール216はガラスリボン105に牽引力を導入する。この牽引力がガラスリボン105の重量による重力と合わさって、ガラスリボン105の張力をガラスリボン105の延伸方向106およびガラスリボン105の横延伸方向108において維持することができる。
【0022】
複数のローラ対210の動作は、例えば限定するものではないが、ガラスリボン105に印加されるトルクや、第1および第2のローラアセンブリ220、230の回転速度など、様々な条件に合わせて制御される。ガラスリボン105が依然粘弾性状態にある間に複数のローラ対210によってガラスリボン105に印加される牽引力が、ガラスリボン105を牽引または引き伸ばし、従って、ガラスリボン105が延伸装置200を通過するときにガラスリボン105に印加される張力を制御することによって、ガラスリボン105の幾何学的寸法を制御する。ガラスリボン105が延伸装置200を通って延伸されるとき、ガラスは冷える機会を得る。複数のローラ対210を備えているガラス製造装置は、ガラスリボン105が粘弾性転移を経るエリアにおいて、横方向延伸張力および/または下方延伸張力の制御および一貫性を向上させることができる。このエリアは、応力および平坦度がガラスリボン105内に設定される「設定ゾーン」と定義される。
【0023】
さらに
図2を参照すると、延伸装置200の図示の実施形態の第1のローラアセンブリ220は、延伸装置200の支持フレーム300に連結されている。この実施形態において、駆動モータ222は支持フレーム300にブラケット(図示なし)によって堅く連結され、このブラケットは、接触ホイール216に力が印加されるときに駆動モータ222の歪み、従って第1のローラアセンブリ220のシャフト214および接触ホイール216の歪みを防ぐ。
【0024】
延伸装置200の図示の実施形態の第2のローラアセンブリ230は、ガラスリボン105に対する第2のローラアセンブリ230の厚さ方向103における位置を制御する、作動システム240を含む。作動システム240は、第2のローラアセンブリ230のシャフト214に連結された、ガラスリボン105の延伸方向を横切る方向にシャフト214を並進させることができる、位置変更可能な支持部材242を含む。
図2に描かれている実施形態において、位置変更可能な支持部材242は、直線軸受部材244および可動フレーム246を含む。可動フレーム246は、直線軸受部材244に沿って延伸方向を横切る方向に摺動する(ここでは可動フレーム246は、ガラスリボン105の厚さ方向103に並進する)。
【0025】
第2のローラアセンブリ230は、延伸装置200の支持フレーム300と第2のローラアセンブリ230の可動フレーム246とに連結された、空気圧式アクチュエータ248をさらに含む。空気圧式アクチュエータ248は、ガラスリボン105に対する第2のローラアセンブリ230のシャフト214の位置と、従って接触ホイール216の位置とを制御する。空気圧式アクチュエータ248は伸長および格納して、それによりガラスリボン105に対する接触ホイール216の位置を変更するように適合されている。さらに空気圧式アクチュエータ248は、第1のローラアセンブリ220および第2のローラアセンブリ230の接触ホイール216がガラスリボン105への挟力を維持するように、接触ホイール216とガラスリボン105との間の力を維持するように適合されている。
【0026】
図2に描かれている実施形態において、第1のローラアセンブリ220の接触ホイール216は駆動モータ222によって能動的に制御され、一方第2のローラアセンブリ230の接触ホイール216は自由に回転する。この実施形態において第2のローラアセンブリ230の接触ホイール216は、ガラスリボン105にトルクを与えないが第1および第2のローラアセンブリ220、230の間に挟力を提供して、それにより第1のローラアセンブリ220の接触ホイール216でガラスリボン105に印加される牽引力を変化させる、アイドルローラである。図示されていないが第2のローラアセンブリ230は、シャフト214および接触ホイール216に同様に連結された、接触ホイール216がガラスリボン105に接触するときに接触ホイール216にトルクを提供する、駆動モータをさらに含み得ることを理解されたい。このような実施形態において第1および第2のローラアセンブリ220、230は、ローラ対210の両方の駆動モータがガラスリボン105の張力に寄与するように夫々の駆動モータによって能動的に駆動される。
【0027】
さらに
図2のローラ対210の実施形態では、空気圧式アクチュエータ248は、挟力が印加される方向に伸長および格納するように位置変更可能な支持部材242に対して配向されるように描かれているが、空気圧式アクチュエータ248は、空気圧式アクチュエータ248の運動の方向を変化させる様々な固体結合またはケーブル結合を通じて、位置変更可能な支持部材242に連結させ得ることを理解されたい。こういった実施形態(図示なし)において空気圧式アクチュエータは、第2のローラアセンブリのシャフトおよび接触ホイールの位置決めを、空気圧式アクチュエータ自体の向きに関係なく制御し続ける。
【0028】
さらに
図2を参照すると、作動システム240は、空気圧式アクチュエータ248に流体連通している空気圧容器250をさらに含む。空気圧容器250は、各ローラ対210(
図1参照)の空気圧式アクチュエータ248の夫々に周囲圧力よりも高い圧力で流体を供給するように適合されている。空気圧容器250は延伸装置200の空気圧式アクチュエータ248の夫々に、流体マニホールド252を通じて連結され得る。流体マニホールド252は、流体を空気圧式アクチュエータ248の夫々に送出して空気圧式アクチュエータ248の動作を制御するよう、空気圧容器250を空気圧式アクチュエータ248の夫々に流体連通させる。従って流体マニホールド252は、単一のオペレータステーションからの複数の空気圧式アクチュエータ248の遠隔作動を可能にする。
【0029】
第1および第2のローラアセンブリ220、230の接触ホイール216は、概して円筒状の形状である。しかしながら、接触ホイール216の寸法、特に接触ホイール216がその周りで回転する軸受(図示なし)と接触ホイール216との同心度の変動は、ガラスリボン105に接触している表面の振れの変動につながり得る。こういった変動は、ローラ対210の接触ホイール216間の距離を周期的に増加および減少させるため、ガラスリボン105に印加される垂直力の周期的な変動につながり得る。ガラスリボン105に印加される垂直力は、同様の周期的な変動に従う。ガラスリボン105に印加される垂直力の変動が減少すると、ガラスリボン105で所望の張力を維持しながらローラ対210によって印加される平均垂直力を低下させることができ、またガラスリボン105自体の変動を減少させることができる。本書で説明されるような第2のローラアセンブリ230を含む延伸装置200の実施形態は、接触ホイール216の変動に基づいて空気圧式アクチュエータ248が第2のローラアセンブリ230を自律的に位置変更させることができるような、摩擦の減少を示すことができる。従って、第2のローラアセンブリ230の低摩擦の性質は、第2のローラアセンブリ230をガラスリボン105と第1のローラアセンブリ220とに対して浮動させることによって、対向する接触ホイール216により印加される垂直力の変動を減少させることができる。いくつかの実施形態において、本開示による第1および第2のローラアセンブリ220、230を組み込んだ延伸装置200は、ガラスリボン105に印加される力の変動を、約3重量ポンド(1.361kg)未満、例えば約2重量ポンド(0.907kg)未満、例えば約1重量ポンド(0.454グラム)未満に制限することができる。
【0030】
ここで
図3を参照すると、延伸装置の作動システムに組み込まれる空気圧式アクチュエータ248の概略図が描かれている。この実施形態において空気圧式アクチュエータ248は、空気圧容器から供給された流体がピストン268の2つの側面沿いに作用するように、伸長注入ポート262および格納注入ポート264を組み込んだ複動シリンダ260である。伸長注入ポート262および格納注入ポート264は、ピストン268の対向する面沿いの圧力の平衡に基づいて伸長および格納するピストン268を挟んで、相対して位置決めされる。シリンダ260内の伸長注入ポート262に近接した流体の圧力が、シリンダ260内の格納注入ポート264に近接した流体の圧力よりも大きい場合、ピストン268は伸長する傾向がある。本書では、「伸長」方向および「格納」方向と特に述べたが、これらの方向は、
図2に描いたような接触ホイールの伸長方向および格納方向を参照したものであることを理解されたい。従って、この伸長方向および格納方向は、ピストン268の伸長方向および格納方向に対応しない可能性がある。シリンダ260内の伸長注入ポート262に近接した流体の圧力が、シリンダ260内の格納注入ポート264に近接した流体の圧力を下回る場合、ピストン268は格納する傾向がある。従って、ピストン268を横切る圧力の平衡によって、ピストン268をシリンダ260内で伸長および格納することができる。
【0031】
図3に描かれているように、空気圧式アクチュエータ248は、伸長注入ポート262に流体連通している伸長ノズル263と格納注入ポート264に流体連通している格納ノズル265とをさらに含み得る。伸長ノズル263および格納ノズル265の各通過流径266は、流体マニホールド252の直径、さらに夫々伸長注入ポート262および格納注入ポート264の直径よりも小さい。伸長ノズル263および格納ノズル265の通過流径266は、ノズルを通って流れる流体を制限することができ、それによりシリンダ260に対して流入および流出する流体を制限することができる。シリンダ260に対して流入および流出する流体を制限することによって、ピストン268の伸長速度および/または格納速度を夫々最大の伸長速度および格納速度から減少させることができると同時に、空気圧容器から供給される流体の圧力に基づきガラスリボンへの挟力を維持することができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、複数のシリンダ260の1つに流体連通している少なくとも1つの伸長ノズル263の流体通過速度は、別のシリンダ260に流体連通している別の伸長ノズル263の流体通過速度よりも少なくとも10%小さくてもよい。伸長ノズル263の流体通過速度が減少すると、流体通過速度が高いシリンダ260に比べてピストン268の伸長速度を減少させることができる。ピストン268の伸長速度が減少すると、ガラスリボンに挟力を印加するときの速度を減少させることができる。ピストン268の伸長速度が減少すると、ガラスリボン接触のタイミングを複数のローラ対に亘って管理することも可能になり得、全てのピストンに空気圧容器から流体を供給した状態で、流体通過速度を減少させた伸長ノズルを含むローラ対は流体通過速度がより高い伸長ノズルを含むローラ対よりも、遅い時点でガラスリボンに接触することができる。
【0033】
空気圧式アクチュエータ248は、ピストン268とシリンダ260との間に位置決めされた流体軸受269をさらに含み得る。流体軸受269は空気圧式アクチュエータ248の内部摩擦を、機械的に接触しているピストンリングを有する空気圧式アクチュエータに比べて減少させることができる。
【0034】
作動システム240は、第2のローラアセンブリ230の接触ホイールをガラスリボンから引き離し易くするような力を第2のローラアセンブリ230に対し接触ホイールの格納に対応する方向に印加する、力部材267をさらに含んでもよい。一実施の形態において力部材267は、第2のローラアセンブリ230のシリンダ260のピストン268に連結された軸ばねでもよい。力部材267はピストン268に対し、接触ホイールをガラスリボンから格納するものに対応する方向に力を印加する。力部材267は、空気圧容器からの流体供給の圧力が万が一失われた場合に、ガラスリボンからの接触ホイールの自動格納を可能にする。
【0035】
ここで
図4を参照すると、空気圧容器と少なくとも1つの空気圧式アクチュエータとに流体連通している作動スイッチ280が描かれている。作動スイッチ280は作動部材282を含み、これによりオペレータは、空気圧式アクチュエータのピストンを選択的に伸長または格納するように、作動スイッチ280自体を通じて流体流を選択的に導くことができる。作動スイッチ280はさらに、付勢要素286と位置変更可能な戻り止め288とを含むロック部材284を含む。付勢要素は、位置変更可能な戻り止め288に係合して、ガラスリボンからの接触ホイールの格納に対応する第1の方向283に作動部材282を並進させることができる一方、ガラスリボンへの接触ホイールの伸長に対応する第2の方向285に並進しないように作動部材282を制限する。オペレータは、位置変更可能な戻り止め288が作動部材282から間隔が隔てられるように、手動でまたは自律的に、付勢要素286に勝ることによって位置変更可能な戻り止め288を位置変更させることができ、それにより作動部材282は、接触ホイールのガラスリボンとの係合に資する方向にシリンダに流体流を導くことが可能になる。従って、位置変更可能な戻り止め288は、オペレータが接触ホイールを単一の動作(すなわち、作動部材282の移動)でガラスリボンから格納することを可能とし、かつオペレータが接触ホイールを単一の動作でガラスリボンへと伸長させることを防ぐ。代わりに作動スイッチ280は、オペレータに複数の動作(すなわち、位置変更可能な戻り止め288を位置変更し、かつ作動部材282を移動させる)を行って接触ホイールをガラスリボンに向けて伸長させるよう強制する、冗長機構を提供する。従って、作動スイッチ280はオペレータに、接触ホイールを格納するためには単純なインターフェースを提供し、また接触ホイールを伸長させるためにはより複雑なインターフェースを提供して、それにより接触ホイールをガラスリボンへと不用意に伸長させる可能性を低減させる。
【0036】
作動システムは以上に説明したような作動スイッチ280を組み込み得るが、作動システムは空気圧式アクチュエータの動作を管理するために、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な電気的な、電気機械的な、または水圧式の、制御系を組み込み得ることを理解されたい。
【0037】
ここで
図5〜7を参照すると、ローラ対への作動システム240の種々の取付け構成が描かれている。延伸装置において処理されているガラスリボンは高温であるため、延伸装置の構成要素は(作動システム240の構成要素を含めて)ガラスリボンに近接していることに起因して温度が高くなりやすい。延伸装置の構成要素と、特に作動システム240の空気圧式アクチュエータ248の温度が高くなると、例えば空気圧式アクチュエータ248の摩擦が増加して構成要素の性能が低下し得る。一例において、空気圧式アクチュエータの構成要素の温度が上昇すると、種々の構成要素の熱膨張係数の違いによって、ピストン268の寸法およびピストン268の一部分を包囲するピストンシールの寸法の、変化につながり得る。これらの構成要素の寸法の変化は、空気圧式アクチュエータ248の摩擦の増加に資する可能性がある隙間嵌めの縮小や、あるいは空気圧式アクチュエータ248からの流体漏出の増加に資する可能性がある隙間嵌めの拡大につながり得る。本書で上述したように、空気圧式アクチュエータ248の摩擦の増加は、ガラスリボンに印加される平均挟力を増加させ得、またガラスリボンに印加される挟力のばらつきを増加させ得る。空気圧式アクチュエータ248からの流体の漏出は、同様にガラスリボンに印加される挟力のばらつきを増加させ得、従って接触ホイールとガラスリボンとの間のすべりの可能性を低減するために平均挟力の増加が必要となり得る。さらに空気圧式アクチュエータ248からの流体の漏出は、ガラスリボンから離れる熱伝達を局所的に減少させる可能性があり、これがガラスリボンに局所的な応力を誘導して、ガラスリボンから作られる部品の性質に悪影響を与える可能性がある。
【0038】
図5〜7に描かれている作動システム240の取付け構成は、ガラスリボンが延伸装置200を通過するときにガラスリボンから空気圧式アクチュエータ248内へと導かれる、熱伝達を減少させる。これらの取付け構成の夫々は、ガラスリボンから空気圧式アクチュエータ248への熱注入に対する耐熱性を向上させる、非金属材料などの断熱材料から作製された断熱部材310を含む。このような断熱材料の例として、マサチューセッツ州ピッツフィールド所在のサビック(Sabic)から入手可能なUltem樹脂などのポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ジョージア州アルファレッタ所在のSolvay Advanced Polymers社から入手可能なRadel樹脂などのポリフェニルスルホン(PPSU)樹脂、Solvay Advanced Polymers社から入手可能なTorlon樹脂などのポリアミドイミド(PAI)樹脂、および、アイオワ州ポストビル(Postville)所在のNorplex-Micarta Industrial Compositesから入手可能なGaroliteなどのマイカルタ積層複合体が挙げられる。断熱材料は様々な商業メーカーおよび/または販売者から入手可能であろう。断熱材料の熱伝導率は、支持フレームを構成するアルミニウム合金および合金鋼の熱伝導率を下回るものでもよい。
【0039】
ここで
図5を参照すると、断熱部材310の一実施の形態は、空気圧式アクチュエータ248の据付け面249と支持フレーム300の合わせ面302との間に位置決めされた、複数のスペーサ312と、空気圧式アクチュエータ248を支持フレーム300に連結する周辺留め具304とを含む。スペーサ312は、据付け面249と合わせ面302との間の接触エリアの接触面を減少させることによって、支持フレーム300の合わせ面302から空気圧式アクチュエータ248の据付け面249への熱伝達を低減する。
【0040】
ここで
図6を参照すると、断熱部材310の別の実施形態は、空気圧式アクチュエータ248の据付け面249と支持フレーム300の合わせ面302との間に位置決めされた、スペーサ平面320を含む。スペーサ平面320は、空気圧式アクチュエータ248を支持フレーム300に連結する留め具304が中を通って延在する、複数の貫通孔322を含む。
【0041】
ここで
図7を参照すると、断熱部材310の別の実施形態は、空気圧式アクチュエータ248の据付け面249と支持フレーム300の合わせ面302との間に位置決めされた、閉止スペーサプレート330を含む。閉止スペーサプレート330は複数の貫通孔332を含む。閉止貫通孔332の第1の組334は、閉止スペーサプレート330を空気圧式アクチュエータ248に連結するために留め具に対してクリアランスを提供する。閉止貫通孔332の第2の組336は、閉止スペーサプレート330を支持フレーム300に連結するために留め具に対してクリアランスを提供する。閉止スペーサプレート330を空気圧式アクチュエータ248に連結する留め具を、閉止スペーサプレート330を支持フレーム300に連結する留め具から分離させることによって、空気圧式アクチュエータ248と支持フレーム300との両方に接触する金属要素(例えば、留め具304)が存在しないように、閉止スペーサプレート330は空気圧式アクチュエータ248の据付け面249と支持フレーム300の合わせ面302との間の伝導経路に遮熱部338を生成する。従って、閉止スペーサプレート330の遮熱部338を横切る熱は、空気圧式アクチュエータ248への熱伝達速度を減少させるよう、留め具304よりも伝導性熱伝達に対する抵抗が大きい閉止スペーサプレート330の断熱材料を通過する。
【0042】
さらに
図7を参照すると、作動システム240は調節可能な止め具700を含み得る。調節可能な止め具700は、空気圧式アクチュエータ248のピストンの並進を、少なくとも1つの方向において制限する。
図7に描かれているように、調節可能な止め具は位置決め部材712およびロック部材710を含む。図示の実施形態において、位置決め部材712は支持フレーム300に接触しており、それにより可動フレーム246の並進を制限する。ロック部材710は位置決め部材712に押し付けて固定され、可動フレーム246に対する位置決め部材712の位置を維持する。延伸装置のオペレータは、調節可能な止め具700aを制限位置に位置決めすることによって可動フレーム246の並進を制限するように、あるいは調節可能な止め具700bをクリアランス位置に位置決めすることによって可動フレーム246のフルストロークを可能にするように、調節可能な止め具700を選択的に位置決めすることができる。可動フレーム246の並進の制限は、例えば、延伸装置の構成要素の修理または交換の際に有用になり得る。
図2に描かれている延伸装置の接触ホイールは摩耗しやすく、従って定期的に交換される。支持フレーム300に対して制限位置に調節可能な止め具700aを位置決めすることによって、オペレータは可動フレーム246を、従って接触ホイールを、交換作業のために固定することができる。
【0043】
ここで、空気圧式アクチュエータを組み込んだ延伸装置およびローラ対は、低摩擦の作動システムを提示して、ガラスリボンが延伸装置を通過するときに対向する接触ローラによってガラスリボンに印加される挟力を管理することを理解されたい。挟力の変動が減少すると、接触ローラによるガラスリボンのすべりの可能性を最小限に抑えながら、ガラスリボンに印加する必要がある平均の力を減少させることができる。延伸装置内の各ローラ対は、各ローラ対に亘って挟力を制御する空気圧容器に流体連通している、空気圧式アクチュエータを含み得る。さらに各空気圧式アクチュエータは、ガラスリボンに印加される挟力を一人のオペレータで管理することができるよう、同時にまた遠隔で作動させることができる。
【0044】
第1の態様において本開示は、延伸方向に移動しているガラスリボンに力を印加するためのローラ対であって、ガラスリボンの対向する面に沿って位置決めされた、夫々がシャフトとシャフトに連結された接触ホイールとを備えている、第1のローラアセンブリおよび第2のローラアセンブリを備え、第1のローラアセンブリのシャフトが支持フレームに連結され、かつ第2のローラアセンブリのシャフトが作動システムに連結され、作動システムが、ガラスリボンの延伸方向を横切る方向における第2のローラアセンブリのシャフトの並進を可能にする、位置変更可能な支持部材と、ガラスリボンの延伸方向を横切る方向における第2のローラアセンブリの接触ホイールの位置を制御する、空気圧式アクチュエータと、流体を高圧で空気圧式アクチュエータに送出する、空気圧式アクチュエータに流体連通している空気圧容器とを備えている、ローラ対を提供する。
【0045】
第2の態様において本開示は、延伸方向に移動しているガラスリボンに力を印加するための延伸装置であって、支持フレーム、および、延伸方向において複数の位置に配置された複数のローラ対、を含み、この複数のローラ対の夫々が、ガラスリボンの対向する面に沿って位置決めされた、夫々がシャフトとシャフトに連結された接触ホイールとを備えている、第1のローラアセンブリおよび第2のローラアセンブリを備え、第1のローラアセンブリのシャフトが支持フレームに連結され、かつ第2のローラアセンブリのシャフトが作動システムに連結され、作動システムが、ガラスリボンの延伸方向を横切る方向における第2のローラアセンブリのシャフトの並進を可能にする、位置変更可能な支持部材と、ガラスリボンの延伸方向を横切る方向における第2のローラアセンブリの接触ホイールの位置を制御する、空気圧式アクチュエータと、空気圧容器と、ローラ対の夫々の空気圧式アクチュエータおよび空気圧容器に連結され、空気圧容器をローラ対の夫々の空気圧式アクチュエータに流体連通させる、流体マニホールドとを備えている、延伸装置を提供する。
【0046】
第3の態様において本開示は、空気圧式アクチュエータが、容器から送出された流体を使用して空気圧式アクチュエータを伸長および格納させる複動シリンダを含む、第1または第2の態様のローラ対を提供する。
【0047】
第4の態様において本開示は、空気圧式アクチュエータが、伸長方向に対応する空気圧式アクチュエータの注入ポートに流体連通している伸長ノズルと、格納方向に対応する空気圧式アクチュエータの注入ポートに流体連通している格納ノズルとをさらに含み、伸長ノズルおよび格納ノズルが空気圧式アクチュエータの伸長速度および格納速度を夫々制限するように、伸長ノズルおよび格納ノズルが夫々の注入ポートよりも小さい流体通過速度を有する、第3の態様のローラ対を提供する。
【0048】
第5の態様において本開示は、作動システムが、空気圧容器と空気圧式アクチュエータとに流体連通している作動スイッチをさらに備え、この作動スイッチが、空気圧式アクチュエータを伸長または格納するために作動スイッチを通る流体流を選択的に導く、作動部材と、付勢要素および位置変更可能な戻り止めを含む、ロック部材とを備え、付勢要素が位置変更可能な戻り止めに係合して、作動部材が第1の方向に並進することを可能としかつ作動部材が第2の方向に並進しないように制限する、第1から第4の態様のいずれか1つのローラ対を提供する。
【0049】
第6の態様において本開示は、作動システムが、第2のローラアセンブリの接触ホイールをガラスリボンから引き離すものに対応する方向に第2のローラアセンブリに力を印加する、力部材をさらに含む、第1から第5の態様のいずれか1つのローラ対を提供する。
【0050】
第7の態様において本開示は、第1のローラアセンブリおよび第2のローラアセンブリのうちの少なくとも1つが、シャフトに連結されかつ接触ホイールの回転を制御する、駆動モータをさらに備えている、第1から第6の態様のいずれか1つのローラ対を提供する。
【0051】
第8の態様において本開示は、空気圧式アクチュエータが支持フレームに連結されている、第1から第7の態様のいずれか1つのローラ対を提供する。
【0052】
第9の態様において本開示は、作動システムが、空気圧式アクチュエータの据付け面と支持フレームの合わせ面との間に位置決めされた断熱部材をさらに含む、第8の態様のローラ対を提供する。
【0053】
第10の態様において本開示は、支持フレームが、金属材料と、支持フレームの金属材料よりも耐熱性が大きい材料を含む断熱部材とを備えている、第9の態様のローラ対を提供する。
【0054】
第11の態様において本開示は、支持フレームから空気圧式アクチュエータへの伝導経路が金属要素の分断を含むように断熱部材が遮熱部を画成する、第10の態様のローラ対を提供する。
【0055】
第12の態様において本開示は、作動システムが、第2のローラアセンブリの接触ホイールをガラスリボンから引き離すものに対応する方向に第2のローラアセンブリに力を印加する、力部材をさらに含む、第
6から第10の態様のいずれか1つのローラ対を提供する。
【0056】
第13の態様において本開示は、少なくとも1つの空気圧式アクチュエータの伸長ノズルの流体通過速度が、別の空気圧式アクチュエータの伸長ノズルの流体通過速度よりも少なくとも10%小さい、第4から第12の態様のいずれか1つのローラ対を提供する。
【0057】
第14の態様において本開示は、空気圧容器とローラ対の夫々の空気圧式アクチュエータとに流体連通している作動スイッチをさらに備え、この作動スイッチが、ローラ対の夫々の空気圧式アクチュエータを伸長または格納するために作動スイッチを通る流体流を選択的に導くよう適合された、作動部材と、付勢要素および位置変更可能な戻り止めを含む、ロック部材とを備え、付勢要素が位置変更可能な戻り止めに係合して、作動部材が第1の方向に並進することを可能としかつ作動部材が第2の方向に並進しないように制限する、第2の態様の延伸装置を提供する。
【0058】
請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、本書において説明された実施形態の種々の改変および変形が作製可能であることは当業者には明らかであろう。従って、本書において説明される種々の実施形態の改変および変形が、添付の請求項およびその同等物の範囲内であるならば、本明細書はこのような改変および変形を含むと意図されている。