(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抜け止め部材の押圧部は、前記挿通孔に前記負圧弁の軸部が挿通されて、前記係合部が前記被係合部に係合したときに、前記軸部の先端が当接するように構成されている請求項1記載のチェックバルブ。
前記正圧弁の開口部の裏側からは、前記負圧弁の軸部外周を囲むと共に、前記負圧弁用バネ内に挿入される、ガイド筒が延設されている請求項1又は2記載のチェックバルブ。
前記正圧弁は、前記負圧弁座の外周に立設された筒状部を有しており、該筒状部の先端面が、前記ケーシングの正圧弁座に接離する当接部をなしている請求項1〜4のいずれか1つに記載のチェックバルブ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明のチェックバルブの一実施形態について説明する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、このチェックバルブ10は、ケーシング本体20及びサブケーシング30からなり、内部に弁室Vが形成されたケーシング15と、該ケーシング15の弁室V内にスライド可能に収容される正圧弁40と、この正圧弁40に組付けられる負圧弁50と、正圧弁40を正圧弁座24(
図2参照)に当接するように付勢する正圧弁用バネS1と、負圧弁50を負圧弁座44(
図2参照)に当接するように付勢する負圧弁用バネS2とを有している。
【0018】
前記ケーシング本体20は、一端に接続管22が一体的に延設されると共に、他端開口部に前記サブケーシング30が組付けられる円筒状の筒体21を有している。前記接続管22の外周には、燃料タンク内に連通する配管が接続され、同接続管22の内部が燃料タンクへの連通路23をなしている。また、接続管22の基部側には、テーパ面を介して、ケーシング内方に向けて環状に突出した突部を有しており、該突部が正圧弁40が接離する正圧弁座24をなしている。更に筒体21の他端開口部の外周に、環状のフランジ部25が形成され、このフランジ部25のサブケーシング30側の端面には、環状凹部25aが設けられている。
【0019】
一方、サブケーシング30は、前記ケーシング本体20の筒体21の他端開口部に組付けられると共に、その中心に燃料タンク外に連通し、テーパ状の内周面を有する開口部32が形成された円盤状の蓋体31と、前記開口部32の外側周縁から延設された接続管33とを有している。この接続管33の外周に、燃料タンク外に配置されるキャニスタ等に接続された図示しない外部配管が接続される。また、前記蓋体31の外周縁寄りの位置には、ケーシング本体20の環状凹部25aに係合する環状凸部34が突設され、その内側が、正圧弁用バネS1の一端を支持するバネ支持部35をなしている。
【0020】
図2及び
図3に示すように、上記ケーシング15の弁室V内に配置される正圧弁40は、内部を貫通する貫通路41を有する略円筒状をなしている。この正圧弁40の先端側の壁部43の中央には、正圧弁内部に連通する開口部43aが形成されており、該開口部43aの表側周縁からは、環状突起状をなした負圧弁座44が突設されている。
【0021】
また、壁部43の開口部43aの裏側周縁からは、円筒状をなしたガイド筒45が、正圧弁外周壁に対して所定隙間を介して同心状に突設されている。このガイド筒45は、負圧弁50の軸部53(
図2参照)の外周を囲むと共に、負圧弁用バネS2の内部に挿入され、同負圧弁用バネS2の他端が、壁部43の開口部43aの裏側であって、ガイド筒45の外周側で支持されるようになっている。
【0022】
更にガイド筒45の内周には、
図7(a)に示すように、周方向に均等な間隔を設けて、複数のリブ45aが軸方向に伸びており、これによりガイド筒45と負圧弁50の軸部53との隙間が確保され、空気等の流通路が構成されるようになっている(
図10参照)。また、正圧弁の壁部43の外周縁からは、環状の筒状部46が立設されており、その先端部が、前記正圧弁座24に接離する当接部をなしている(
図9及び
図10参照)。更に、正圧弁40の外周であって、基端開口寄りの位置には、正圧弁用バネS1の他端を支持するための、環状のバネ受けフランジ47が設けられている。
【0023】
また、
図3に示すように、正圧弁40の外周には、周方向に均等な間隔をあけて、複数のガイドリブ48が軸方向に所定長さで延設されており、正圧弁40のスライドガイドをなすと共に、ケーシング本体20の筒体21との隙間が確保されて、燃料蒸気等の流通路が構成されるようになっている(
図9参照)。
【0024】
更に
図3及び
図7(a)に示すように、バネ受けフランジ47の内周側であって、複数のガイドリブ48,48の間には、燃料蒸気等の流通路をなすスリット49が形成されており、これにより燃料蒸気等は正圧弁用バネS1を横切らずに通過するようになっている(
図9参照)。
【0025】
なお、前記正圧弁用バネS1は、一端が前記サブケーシング30のバネ支持部35により支持され、他端が前記正圧弁40のバネ受けフランジ47により支持されて、弁室V内で圧縮状態で配置され、それによって、正圧弁40をケーシング15の正圧弁座24に向けて付勢して、筒状部46の先端部が正圧弁座24に常時当接するようになっている(
図2参照)。
【0026】
そして、燃料蒸気等により燃料タンク内の圧力が所定値以上に上昇したときに、正圧弁40が押圧されて、弁室V内をスライド動作して、正圧弁40の筒状部46の先端部が正圧弁座24から離れる(
図9参照)。その結果、
図9の矢印に示すように、連通路23から流入した燃料蒸気等が、正圧弁40のガイドリブ48と筒体21との隙間や、正圧弁40のスリット49(
図7(a)参照)を通って、サブケーシング30の開口部32内に流入して、接続管33や図示しない配管を介して燃料タンク外に排出されるようになっている。
【0027】
上記構造をなした正圧弁40に組付けられる負圧弁50は、
図1〜3に示すように、正圧弁40の開口部43aの表側に配置され、負圧弁座44に接離する頭部51と、該頭部51から延出され、開口部43aを通って正圧弁40内に挿入される軸部53と、この軸部53の先端外周から突設した係合部55とを有している。
【0028】
前記頭部51は、先端側が出っ張り、その外周が斜め外方に向けて傘型に広がる形状をなしており、その裏側の周縁部が前記正圧弁40の負圧弁座44に接離するようになっている(
図9及び
図10参照)。また、軸部53は、頭部51の裏側中心から所定長さで、円柱状に垂設されると共に、その先端寄りの部分が縮径して窪み部53aが形成され、この窪み部53aよりも更に先端側に前記係合部55が突設されている。
図2及び
図6に示すように、この係合部55は、その外周が軸部先端に向けて次第に縮径する先細形状をなしていると共に、その先端56が軸部53の軸方向に直交する平坦面をなしており、この先端56が抜け止め部材60の押圧部70に当接するようになっている。この先端56が、本発明における「軸部の先端」をなしている。
【0029】
上記負圧弁50は、抜け止め部材60によって、正圧弁40に対して抜け止め保持されるようになっている。
【0030】
図4〜6を参照して説明すると、この抜け止め部材60は、正圧弁40の開口部43aの裏側に配置される基部61と、負圧弁用バネS2の一端を支持するバネ支持部64と、係合部55が被係合部に係合したときに、軸部53の先端56が当接する押圧部70とを有している。
【0031】
この実施形態の基部61は、負圧弁50の軸部53が挿通される挿通孔63を設けた、略円筒状をなしており、その軸方向の先端外周からは、負圧弁用バネS2の一端を支持する、環状フランジ状をなしたバネ支持部64が突設されている。
【0032】
また、基部61の周壁の、周方向に対向した箇所には、略コ字状をなしたスリット65,65が形成されており、該スリット65,65を介して、撓み可能とされた一対の弾性係止片67,67がそれぞれ設けられている。
【0033】
図4及び
図6に示すように、この実施形態における各弾性係止片67は、その基端が基部61の軸方向先端内周に連結され、同基部61の軸方向に沿って平行に伸びると共に、先端部67aが基部61の径方向内方に向けて略L字状に屈曲した形状をなしており、先端部67a,67aどうしが、隙間を介して対向配置されている。これらの先端部67a,67aが、負圧弁50の軸部53の窪み部53aに入り込んで、係合部55に係合するようになっている(
図6参照)。すなわち、この実施形態では、前記弾性係止片67が本発明における「係合部」をなしている。また、各弾性係止片67の基端側内面にはテーパ面67bがそれぞれ形成されており、一対の弾性係止片67,67の間に、負圧弁50の軸部先端を差し込みやすくなっている。なお、各弾性係止片67の内周面(基端から先端部67bに至る部分)は、負圧弁50の軸部53に適合した円弧形状をなしており(
図4(a)及び
図5参照)、該弾性係止片67の内周面が軸部53にほぼ隙間なく当接するようになっている(
図2及び
図6参照)。
【0034】
更に基部61の周壁の内周であって、前記一対の弾性係止片67,67に直交した位置には、一対のリブ71,71が、基部61の基端側から先端側に向けて、軸方向に沿って互いに平行に伸びており、それらの先端部どうしが押圧部70により連結されている(
図4(b)及び
図5参照)。
【0035】
前記押圧部70は、挿通孔63に負圧弁50の軸部53が挿通されて、その係合部55が被係合部である弾性係止片67に係合したときに、軸部53の先端56よりも、挿通方向先端側に位置するように構成されている。
【0036】
この実施形態の押圧部70は帯状をなしており、その両端が、基部61の先端面の周方向に対向する箇所、ここでは一対のリブ71,71の先端部にそれぞれ連結された構造となっている。具体的には
図4(b)に示すように、押圧部70は、基部61の先端面から最も離れた位置に形成された板状の当接部70aと、該当接部70aの両端から基部61の先端面に向けて斜めに伸びる側辺部70b,70bとからなり、側方から見て略台形のアーチ状をなしている。なお、
図5に示すように、押圧部70は、前記一対の弾性係止片67,67に対して直交して配置されるようになっている。また、各リブ71の基端側内面にはテーパ面71aが形成されており、一対のリブ71,71の間に、負圧弁50の軸部先端を差し込みやすくなっている。
【0037】
そして、抜け止め部材60の挿通孔63を通して、一対の弾性係止片67,67及び一対のリブ71,71の間に、負圧弁50の軸部53が挿入されると、その先端側の係合部55により先端部67a,67aが押圧されて、一対の弾性係止片67,67が互いに広がる方向に撓み変形し、先端部67a,67aが軸部53の窪み部53aに至ると、各弾性係止片67が弾性復帰して、各先端部67aが窪み部53aに入り込んで係合部55に係合すると共に、軸部53の先端56が押圧部70の当接部70aのほぼ中央に当接して、軸部53のそれ以上の押し込みが規制されるようになっている(
図6参照)。
【0038】
また、基部61の周壁の外周面には、軸方向に伸びるリブ73が複数形成されている。更に、基部61の内周であって、弾性係止片67とリブ71との間には、隙間75が形成されており(
図4(a)及び
図5参照)、これにより、軸部53に抜け止め部材60が係合した状態での、軸部53と基部61との隙間が確保されて、空気等の流通路が構成されるようになっている(
図10参照)。
【0039】
なお、前記負圧弁用バネS2は、一端が抜け止め部材60のバネ支持部64に支持され、他端が、正圧弁40の壁部43の開口部43aの裏側であって、ガイド筒45の外周側に支持されて、正圧弁40内において圧縮状態で配置され、それによって、負圧弁50が正圧弁40に向けて付勢されて、負圧弁50の頭部51の裏側周縁部が、正圧弁40の負圧弁座44に常時当接するようになっている(
図2参照)。
【0040】
そして、燃料タンク内の圧力が外気圧よりも所定値以下に低下したときに、外気により負圧弁50が押圧されて、負圧弁用バネS2の付勢力に抗して正圧弁40に対してスライド動作して、負圧弁50の頭部51が負圧弁座44から離れる(
図10参照)。その結果、
図10の矢印に示すように、燃料タンク外から弁室V内に流入した外気が、抜け止め部材60の弾性係止片67とリブ71との隙間75(
図4(a)及び
図5参照)や、ガイド筒45と負圧弁50の軸部53との隙間(
図7(a)参照)を通って、接続管22や図示しない配管を介して燃料タンク内に流入するようになっている。
【0041】
なお、この実施形態における基部61は筒状をなしているが、例えば、板状や、肉厚の盤状等をなしていてもよい。また、負圧弁の係合部に係合する「被係合部」としては、弾性係止片67としなくても、例えば、基部61内周から突設した爪や凸部等としてもよく、係合部に係合可能であればよい。
【0042】
更に弾性係止片67としては、例えば、基端が基部61の内周に連結され、斜め内方に向けて伸びる形状等としてもよく、その形状に特に限定はなく、設置個数も1個でもよいし、3個以上でもよい。
【0043】
また、押圧部70は、その両端が基部61の先端に連結された帯状をなし、かつ、側方から見てアーチ状をなしているが、例えば、略コ字形の門形状としたり、一端が基部61の先端面に連結された舌片状等としたりしてもよく、負圧弁の係合部が、抜け止め部材の被係合部に係合したときに、押圧部が、軸部先端よりも挿通方向先端側に位置する構造であればよく、係合部が被係合部に係合するまで、常に、挿通方向先端側から抜け止め部材を押圧可能であればよい。
【0044】
この実施形態では、負圧弁50の係合部55が、抜け止め部材60の弾性係止片67(被係合部)に係合したときに、押圧部70の当接部70aのほぼ中央に、軸部53の先端56が当接するようになっているが、これに限定されず、軸部53の先端56を押圧可能なようにカバーできればよく、また、係合部55が弾性係止片67に係合したときに、軸部53の先端56が、押圧部70に当接せず、所定のクリアランスが確保されるようにしてもよい。
【0045】
次に上記構成からなるチェックバルブ10の組付け工程について、その一例を
図8を併せて参照しながら説明する。
【0046】
まず、正圧弁40の開口部43aの表側開口から、負圧弁50の軸部53を挿入して、ガイド筒45内を通して、その先端開口から軸部53を突出させておく。この状態で、負圧弁用バネS2の他端内側にガイド筒45を挿入し、同負圧弁用バネS2の他端を、正圧弁40の壁部43の開口部43aの裏側であって、ガイド筒45の外周部分に当接させて支持させる。
【0047】
この状態を保持しながら、
図8に示すように、正圧弁40をひっくり返して、筒状部46の先端面を作業台Wに設置して、正圧弁40を立てた状態に維持する。この状態で、抜け止め部材60の挿通孔63に、負圧弁50の軸部53を整合させて、
図8に示すように、抜け止め部材60の外周を把持しつつ、帯状をなした押圧部70を押して、負圧弁50に対して抜け止め部材60を押し込んでいく。
【0048】
すると、抜け止め部材60の一対の弾性係止片67,67及び一対のリブ71,71の間に、負圧弁50の軸部53が挿入されて(
図7(b)参照)、各弾性係止片67及び各リブ71によって、軸部53がガイドされながら押し込まれていき、更に軸部先端側の係合部55によって、先端部67a,67aが押圧されて、一対の弾性係止片67,67が押し広げられる。
【0049】
このとき、各弾性係止片67は、基端が基部61の軸方向基端内周に連結され、同基部61の軸方向に沿って平行に伸びる片持ちバリ状をなしているので、負圧弁50の係合部55によって、先端部67aが押圧されて、各弾性係止片67が押し広げられて撓み変形する際に、弾性係止片67の撓み支点(基端側)と作用点(先端部67a側)との長さを長く確保することができ、弾性係止片67を撓ませやすくすることができる。
【0050】
そして、先端部67a,67aが軸部53の窪み部53aに至ると、一対の弾性係止片67,67が弾性復帰して、各先端部67aが窪み部53aに入り込んで係合部55に係合すると共に、軸部53の先端56が押圧部70の当接部70aに当接して、軸部53のそれ以上の押し込みが規制され(
図6参照)、更に負圧弁用バネS2の一端が抜け止め部材60のバネ支持部64に当接して支持されて、
図6に示すように、正圧弁40に対して、負圧弁用バネS2を介装した状態で、負圧弁50を抜け止めした状態で組付けることができる。
【0051】
ところで、上記特許文献1に記載のチェックバルブにおいては、複数の係合爪の先端部どうしの間が空隙を介して配置されているため、この部分は押すことができず、抜け止め部材の外周を把持しつつ押し込む必要があり、抜け止め部材が小さい場合には、その作業性に問題があった。
【0052】
しかしながら、本発明に係るチェックバルブ10においては、抜け止め部材60に、挿通孔63に負圧弁50の軸部53が挿通されて、係合部55が弾性係止片67(被係合部)に係合したときに、軸部53の先端56よりも、挿通方向先端側に位置する押圧部70を設けたことにより、この押圧部70を押すことによって、抜け止め部材60を押し込むことができるので、抜け止め部材60が小さくて把持しにくい場合であっても、抜け止め部材60を効率よく押し込んで、抜け止め部材60を負圧弁50にスムーズに係合させることができ、正圧弁40に対する負圧弁50の組付け作業性を高めることができる。
【0053】
このとき、この実施形態においては、抜け止め部材60の押圧部70は、挿通孔63に負圧弁50の軸部53が挿通されて、係合部55が弾性係止片67に係合したときに、軸部53の先端56が当接するように構成されているので、抜け止め部材60の押し込み過ぎを確実に防止することができると共に、組付け作業性が完了したことを作業者が把握することができ、その作業性をより高めることができる。
【0054】
また、この実施形態においては、正圧弁40に筒状部46を設けたことにより、正圧弁40に負圧弁50を組付けるときに、正圧弁40をひっくり返して、筒状部46の先端面を作業台等に設置することによって、正圧弁40を立てた状態に維持することができるので(
図8参照)、抜け止め部材60の押し込み作業の作業性を高めることができる。
【0055】
更にこの実施形態においては、正圧弁40の開口部43aの裏側からガイド筒45が延設されているので、上述したように、正圧弁40の開口部43aの表側から裏側に向けて、負圧弁50の軸部53を挿入していくとき、ガイド筒45により支持されて、軸部53の傾きを抑制することができ、軸部先端側の係合部55に、抜け止め部材60の弾性係止片67を係合させやすくすることができる。また、このガイド筒45を負圧弁用バネS2内に挿入することで、ガイド筒45の外周に負圧弁用バネS2が支持されるため、負圧弁用バネS2を傾きにくくした状態で保持することができ、抜け止め部材60を押し込みやすくすることができる。なお、負圧弁50の軸部53は、ガイド筒45のみならず、一対の弾性係止片67,67の先端以外の部分及び一対のリブ71,71も、その外周に配置されるので、それらによって軸部53の傾きを抑制することができる。
【0056】
更にこの実施形態においては、負圧弁50の係合部55に係合する被係合部は、筒状をなした基部61の周壁に、スリット65を介して形成された一対の弾性係止片67,67からなるので、被係合部の外径寸法が、抜け止め部材60の外径側へ広がることを抑制することができ、また、押圧部70は帯状をなし、その両端が基部61の先端面の周方向に対向する箇所に連結されているので、抜け止め部材60の軸方向に対する突出量を抑えることができ、これらによって抜け止め部材60をコンパクトに形成することができる。
【0057】
次に上記構成からなるチェックバルブ10の作用効果について説明する。
【0058】
このチェックバルブ10は、ケーシング本体20の接続管22に、燃料タンク内に配設されカットバルブ等と連結した配管が接続され、サブケーシング30の接続管33に、燃料タンク外に配設されたキャニスタ等に連結した配管が接続された状態で、図示しないクリップやブラケット等によって、燃料タンク内又は燃料タンク外に配設される。
【0059】
そして、燃料タンク内の圧力が所定値以下の場合は、
図2に示すように、正圧弁用バネS1の付勢力により付勢された正圧弁40の筒状部46の先端部が正圧弁座24に当接して、燃料タンクへの連通路23が閉塞されると共に、負圧弁用バネS2の付勢力により付勢された負圧弁50の頭部51の裏側周縁部が、正圧弁40の負圧弁座44に当接して、その開口部43aが閉塞された状態となっている。
【0060】
このとき、この実施形態においては、正圧弁40に設けた筒状部46の先端部が、ケーシング15のケーシング本体20の正圧弁座24に接離する当接部をなしているので、正圧弁座24と筒状部46の先端部との接触面積を大きく確保することができ、正圧弁座24のシール性を高めることができる。
【0061】
上記状態で燃料タンク内の圧力が所定値以上に上昇すると、燃料蒸気等が燃料タンクへの連通路23を通り、正圧弁40が押圧されて、
図9に示すように、正圧弁用バネS1の付勢力に抗して正圧弁40がサブケーシング30側へスライドし、正圧弁40の筒状部46が正圧弁座24から離れる。すると、
図9の矢印に示すように、燃料蒸気が、正圧弁40のガイドリブ48と筒体21との隙間や、正圧弁40のスリット49(
図7(a)参照)を通って、正圧弁用バネS1を横切ることなく、サブケーシング30の開口部32内に流入し、その後、燃料蒸気は、接続管33や図示しない配管を介して燃料タンク外に排出されて、燃料タンク内の圧力を低下させることができる。
【0062】
一方、燃料タンク内の圧力が、外気圧に対して所定値以下に低下すると、サブケーシング30側の接続管33を介し、開口部32を通ってケーシング15の弁室V内に外気が導入される。そして、この外気圧によって負圧弁50が押圧されて、
図10に示すように、負圧弁用バネS2の付勢力に抗して負圧弁50がケーシング本体20の燃料タンクへの連通路23側へスライドし、負圧弁50の頭部51の裏側周縁部が正圧弁40の負圧弁座44から離れる。すると、
図10の矢印に示すように、燃料タンク外から弁室V内に流入した外気が、抜け止め部材60の弾性係止片67とリブ71との隙間75(
図4(a)及び
図5参照)や、ガイド筒45と負圧弁50の軸部53との隙間(
図7(a)参照)を通って、負圧弁用バネS2を横切ることなく、連通路23内へと流動し、更に外気は、接続管22や図示しない配管を介して燃料タンク内に流入し、燃料タンク内の圧力を上昇させることができる。