特許第6186507号(P6186507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186507
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】逆流防止弁およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/04 20130101AFI20170814BHJP
【FI】
   A61F2/04
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-533358(P2016-533358)
(86)(22)【出願日】2014年8月4日
(65)【公表番号】特表2016-527053(P2016-527053A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】US2014049587
(87)【国際公開番号】WO2015020951
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年2月25日
(31)【優先権主張番号】61/863,149
(32)【優先日】2013年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン、シェーン
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−263436(JP,A)
【文献】 特表2005−504602(JP,A)
【文献】 米国特許第06440164(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0177270(US,A1)
【文献】 特表2011−528256(JP,A)
【文献】 特表2011−524776(JP,A)
【文献】 特表2003−525695(JP,A)
【文献】 特表2003−518984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0110253(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆流防止弁であって、
複数のフィラメントを含むとともにスキャフォールド先端部を有するメッシュスキャフォールドと、
前記複数のフィラメントのうちの単一のフィラメントであって、前記スキャフォールド先端部から距離をなして延びるとともに、単一のフィラメントの単一の交差部を有する単一のループを形成する単一のフィラメントと、
前記メッシュスキャフォールドおよび単一のループの上を延びる被覆部と、
前記スキャフォールド先端部を越えて先端側に延びる弁区分であって、前記メッシュスキャフォールドに接続されるとともに該メッシュスキャフォールドから長手方向に延びる弁を有している弁区分と、
を備えており、
前記弁が前記被覆部の延長部であり、かつ、前記単一のループを有しており、前記弁区分が前記複数のフィラメントのうちの前記単一のフィラメントのみを有している逆流防止弁。
【請求項2】
記被覆部が、前記メッシュスキャフォールドの外面を覆って延び、かつ、該メッシュスキャフォールドによって形成される複数の開口部を閉塞している、請求項1に記載の逆流防止弁。
【請求項3】
前記単一のループを形成する前記単一のフィラメントが、残りのフィラメンより長い長さを有している、請求項1に記載の逆流防止弁。
【請求項4】
逆流防止弁であって、
メッシュスキャフォールド区分であって、
スキャフォールド先端部を有するメッシュスキャフォールドを形成している複数のフィラメントであって、前記スキャフォールド先端部が前記メッシュスキャフォールド区分の端部である複数のフィラメントと、
前記メッシュスキャフォールド上を延びる被覆部と、を有しているメッシュスキャフォールド区分と、
前記メッシュスキャフォールド区分のスキャフォールド先端部を越えて先端側に延びる弁区分であって、
前記被覆部の延長部である弁と、
単一のループであって、前記複数のフィラメントのうちの単一のフィラメントであって、前記弁に沿って前記スキャフォールド先端部から距離をなして先端側に延びる単一のフィラメントにより形成されることで、長手方向の長さを有するとともに、前記単一のフィラメントの単一の交差部を有する単一のループと、を有している弁区分と、
を備えている逆流防止弁。
【請求項5】
前記複数のフィラメントがポリエチレンテレフタレート(PET)から形成され、前記弁がシリコーンから形成されている、請求項1または4に記載の逆流防止弁。
【請求項6】
前記メッシュスキャフォールドが、スキャフォールド基端領域、スキャフォールド中間領域およびスキャフォールド先端領域を有しており、前記スキャフォールド中間領域が前記スキャフォールド基端領域およびスキャフォールド先端領域よりも小さい直径を有している、請求項1または4に記載の逆流防止弁。
【請求項7】
前記単一のループの長手方向の長さが、前記弁の長手方向の長さに略等しい、請求項1または4に記載の逆流防止弁。
【請求項8】
前記単一のフィラメントの一部が、前記スキャフォールド先端部を出てから再度スキャフォールド先端部に挿入されて前記単一のループを形成する、請求項1または4に記載の逆流防止弁。
【請求項9】
逆流防止弁の形成方法であって、
複数のフィラメントからメッシュスキャフォールドを形成することであって、前記複数のフィラメントのうちの単一のフィラメントスキャフォールド端部から距離をおいて長手方向に延びる前記単一のフィラメントの単一の交差部を有する単一のループを形成することと、
ポリマー材から弁を形成することであって、該弁が前記スキャフォールド先端部を越えて長手方向かつ先端側に延びるとともに前記単一のループを有することと、
からなる逆流防止弁の形成方法。
【請求項10】
前記弁を形成する前記ポリマー材がさらに前記メッシュスキャフォールドを覆っている、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のフィラメントがポリエチレンテレフタレート(PET)から形成され、前記ポリマー材がシリコーンである、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記メッシュスキャフォールドが基端領域、中間領域および先端領域を有し、前記中間領域が前記基端領域および先端領域よりも小さい直径を有している、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記単一のループを形成する前記単一のフィラメントが、残りのフィラメントより長い長さを有している、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記単一のループの長手方向の長さが、前記弁の長手方向の長さに略等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記単一のフィラメントの一部が、前記スキャフォールド先端部を出てから再度スキャフォールド先端部に挿入されて前記単一のループを形成する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆流防止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
食道、胆管、結腸または十二指腸において難治性かつ良性の狭窄、穿孔もしくは漏洩が発生している患者の多くは逆流症状に悩まされている。逆流が患者に与える不快感は大きい。逆流防止弁を配置することにより、食物を胃に向かって移動させる蠕動運動によって移動する食物が弁を通って移動することを許容しつつも、胆汁が食道を通って上昇することを防止できるため、不快感が軽減される。
【0003】
本開示の範囲を限定することなく、いくつかの実施形態の概要が以下に記載される。これらの実施形態および/または他の実施形態のより詳細な説明は、以下の「発明を実施するための形態」に記載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、逆流防止弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1つの実施形態において、逆流防止弁は、メッシュスキャフォールドと、メッシュスキャフォールドから延びるとともにループにより支持されている弁とを有する。いくつかの実施形態において、ループはメッシュスキャフォールドから延びるフィラメントによって形成されている。他の実施形態においては、メッシュスキャフォールドを形成するフィラメントとは別のループフィラメントによってループが形成される。
【0006】
本開示を特徴付けるこれらの実施形態および他の実施形態は、本明細書の一部である添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。しかし、開示内容のさらなる理解のために、本明細書の一部である図面および付随する説明が参照される。これらには、本開示の実施形態が図示および記載されている。
【0007】
本開示の詳細な説明を、図面を参照して以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】逆流防止弁の模式図。
図1A】逆流防止弁の模式図。
図2】マンドレル上の逆流防止弁の模式図。
図3】マンドレル上の逆流防止弁の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は多くの異なる形態で実施することができるが、本明細書においては、本開示の特定の実施形態の詳細が記載される。以下の記載は、本開示の趣旨を例示するものであり、本開示を記載された特定の実施形態に限定するものではない。
【0010】
開示を目的として、他に示されない限り、図中の同様の参照符号は同様の特徴を指す。
本明細書における「基端側」および「先端側」は、胃腸管の入り口または始まりを基準とする。逆流防止弁10の「基端側」端部は、逆流防止弁が胃腸管に植え込まれた状態において、逆流防止弁の「先端側」端部よりも胃腸管の入り口または始まりに近い。
【0011】
本明細書における「区分」は長手方向の長さを有し、外周の全体を含む。
本明細書における「斜角」は90度を含む。
A.逆流防止弁
いくつかの実施形態において、逆流防止弁10は、弁基端12と、弁先端14と、少なくとも1本のフィラメント28により形成されたメッシュスキャフォールド16と、ループ34に支持された弁36とを有する。他の実施形態において、逆流防止弁10は、メッシュスキャフォールド区分32と、メッシュスキャフォールド区分32から長手方向に延びる弁区分38とを備える。いくつかの実施形態において、メッシュスキャフォールド区分32は、メッシュスキャフォールド16と被覆部30とを有し、弁区分38は、被覆部30の一部とループ34とを有する。本実施形態においては、メッシュスキャフォールド区分32が弁基端12を形成し、弁区分38が弁先端14を形成する。一実施形態において、逆流防止弁10は、1つのみのメッシュスキャフォールド区分32と、1つのみの弁区分38とを有し、弁区分38は、メッシュスキャフォールド区分から長手方向に延びる。メッシュスキャフォールド16,32、被覆部30およびループ34を有する弁36の詳細は以下に記載する。
【0012】
図1に示すように、メッシュスキャフォールド16および弁36は管状であり、逆流防止弁10の管腔を区画している。図1に示すように、メッシュスキャフォールド16は弁基端12を形成し、弁36は弁先端14を形成している。
【0013】
逆流防止弁10は、狭窄、穿孔および/または漏洩の位置に応じて、患者の食道、結腸、十二指腸または胆管内への植え込みに適した寸法を有する。少なくとも1つの実施形態において、植え込まれた逆流防止弁10は食道の内面に沿い、食道の膨張および収縮に合わせて膨張および収縮する。
【0014】
逆流防止弁10は、弁基端12から弁先端14まで延びる長手方向の長さを有する。逆流防止弁10の長手方向の長さは、メッシュスキャフォールド16の長手方向の長さおよび弁36の長手方向の長さにより決定される。これについては以下にさらに詳細に記載する。少なくとも1つの実施形態において、逆流防止弁10の長手方向の長さは約90mm〜約230mmである。したがって、いくつかの実施形態において、逆流防止弁10の長手方向の最大長さは90mmであり、他の実施形態においては、逆流防止弁の長手方向の最大長さは190mmであり、さらに別の実施形態においては、逆流防止弁の長手方向の最大長さは230mmである。
【0015】
少なくとも1つの実施形態において、逆流防止弁は送達カテーテルによって所望の植え込み部位に送達される。いくつかの実施形態において、逆流防止弁10は送達状態から植え込み状態に径方向に拡張可能である。いくつかの実施形態において、弁基端は、植え込み部位からの逆流防止弁の除去を補助する回収ループ(図示しない)を有する。
【0016】
少なくとも1つの実施形態において、逆流防止弁10、送達システムまたはアセンブリの他の部分は、X線、MRI、超音波等の画像診断法によって検出可能である1つまたは複数の領域、バンド、コーティング、部材等を有する。いくつかの実施形態において、逆流防止弁10および/または近傍のアセンブリの少なくとも一部が、少なくとも部分的に放射線不透過性を有している。
【0017】
いくつかの実施形態において、逆流防止弁10の少なくとも一部は、治療薬の送達のための1つまたは複数の機構を有するように構成されている。多くの場合、治療薬は、逆流防止弁10の表面領域上に配置されたコーティングまたは他の単層(または複数層)の材料として配置され、植え込み位置またはその近傍部位にて溶出するよう構成されている。本明細書において、被覆材30は治療薬のコーティングとは異なるコーティングである。
【0018】
治療薬は、非遺伝子治療薬、遺伝子治療薬、細胞物質等の薬剤または他の医薬品であってもよい。好適な非遺伝子治療薬の例としては、ヘパリン等の抗血栓剤、ヘパリン誘導体、血管細胞増殖促進剤、成長因子阻害剤、パクリタキセル等が挙げられるが、これらに限定されない。薬剤が遺伝子治療薬を含む場合、遺伝子治療薬はDNA、RNAおよびこれらそれぞれの誘導体および/または成分、ヘッジホッグタンパク質等を含んでいてもよいが、これらに限定されない。治療薬が細胞物質を含む場合、細胞物質は、ヒト由来および/または非ヒト由来の細胞ならびにこれらそれぞれの成分および/または誘導体を含んでいてもよいが、これらに限定されない。治療薬がポリマー剤を含む場合、ポリマー剤は、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロック共重合体(SIBS)、ポリエチレンオキシド、シリコーンゴムおよび/または他の好適な基質である。
【0019】
1.メッシュスキャフォールド
メッシュスキャフォールド16は例えば図1に示されている。前述したように,メッシュスキャフォールド16は、逆流防止弁10のメッシュスキャフォールド区分32の一部を形成している。メッシュスキャフォールド16の好適な材料については後述する。
【0020】
いくつかの実施形態において、メッシュスキャフォールド16は単一のフィラメント28によって形成される。他の実施形態においては、メッシュスキャフォールド16は複数のフィラメント28によって形成される。以下、「フィラメント」は、単一のフィラメントまたは複数のフィラメントを指す。一実施形態において、フィラメント28は単一のフィラメント(モノフィラメント)である。別の実施形態において、フィラメント28はマルチフィラメントである。一実施形態において、フィラメント28の直径は0.3〜0.4mmである。いくつかの実施形態において、フィラメント28が編組、製織または製編等によって編み込まれメッシュスキャフォールド16を形成している。少なくとも1つの実施形態においては、メッシュスキャフォールド16は、複数の開口部またはメッシュを形成している。
【0021】
メッシュスキャフォールド16は、スキャフォールド基端部18およびスキャフォールド先端部26を有する。いくつかの実施形態において、メッシュスキャフォールド16の、スキャフォールド基端部18からスキャフォールド先端部26までの長手方向の長さは約60〜150mmである。したがって、一実施形態においては、メッシュスキャフォールド16の長手方向の最大長さは60mmであり、別の実施形態においては、メッシュスキャフォールド16の長手方向の最大長さは150mmである。少なくとも1つの実施形態において、メッシュスキャフォールド16は、スキャフォールド基端部18に複数の巻回部を有し、スキャフォールド先端部26に複数の巻回部を有する。いくつかの実施形態において、スキャフォールド基端部18およびスキャフォールド先端部26が複数の巻回部を有していることにより、メッシュスキャフォールド16が非外傷性の端部を有している。一実施形態においては、メッシュスキャフォールドを形成するフィラメントの端部がスキャフォールド基端部18およびスキャフォールド先端部26の間に配置されることにより、メッシュスキャフォールドが非外傷性の端部を有している。
【0022】
少なくとも1つの実施形態において、メッシュスキャフォールド16は、スキャフォールド基端領域20、スキャフォールド先端領域24およびスキャフォールド中間領域22を有する。スキャフォールド中間領域22はスキャフォールド基端領域20とスキャフォールド先端領域24との間に延び、これらを接続している。前述したように、いくつかの実施形態において、逆流防止弁10は食道内に植え込まれる。このような実施形態において、メッシュスキャフォールド16の直径は15〜20mmである。いくつかの実施形態においては、スキャフォールド基端領域20およびスキャフォールド先端領域24がフレア状であり、スキャフォールド基端領域20およびスキャフォールド先端領域24の直径がスキャフォールド中間領域22の直径よりも大きくなっている。少なくとも1つの実施形態において、スキャフォールド基端領域20の直径はスキャフォールド中間領域22の直径よりも約17%大きく、スキャフォールド先端領域24の直径はスキャフォールド中間領域22の直径よりも最大で17%大きい。いくつかの実施形態において、スキャフォールド基端領域20およびスキャフォールド先端領域24の直径は、スキャフォールド中間領域22の直径よりも最大で10%大きい。他の実施形態においては、スキャフォールド基端領域20およびスキャフォールド先端領域24の直径は、スキャフォールド中間領域22の直径よりも最大で5%大きい。
【0023】
2.被覆部
いくつかの実施形態において、メッシュスキャフォールド16の外面は被覆材30に完全に覆われており、被覆材30がスキャフォールド基端部18からスキャフォールド先端部26まで延びている。したがって、図1に示すように、被覆材はメッシュスキャフォールド16によって区画されたメッシュのすべてを閉塞している。他の実施形態においては、メッシュスキャフォールド16の長手方向の長さの一部のみが被覆材30に覆われている(図示しない)。非限定的な例においては、メッシュスキャフォールド16の基端部は被覆材30に覆われておらず、メッシュスキャフォールド16の先端部は被覆材30に覆われている。したがって、この実施形態においては、メッシュスキャフォールド16により区画されるメッシュのいくつかのみが被覆材30に覆われている。いずれの実施形態においても、前述したように、被覆材30はメッシュスキャフォールド区分32の一部を形成している。
【0024】
少なくとも1つの実施形態において、被覆材30はスリーブである。いくつかの実施形態において、被覆材30によりメッシュスキャフォールド16の外面が平坦状に形成されている。他の実施形態においては、外面は平坦ではない。例えば、メッシュスキャフォールドが被覆材よりも厚い場合は、不均一な外面または凹凸のある外面になることがある。このような例は、例えば図1Aに示されている。
【0025】
いくつかの実施形態において、逆流防止弁10の外面の全面が被覆部30によって形成され、逆流防止弁10の内面は、一部分が被覆部30によって形成されるとともに他の一部分がメッシュスキャフォールド16によって形成される。この実施形態においては、被覆部30の長手方向の長さは、逆流防止弁10の長手方向の長さに等しい。
【0026】
別の態様においては、メッシュスキャフォールド16の内面に被覆部が設けられている(図示しない)。内側被覆部の長手方向の最大長さは、メッシュスキャフォールド16の長手方向の長さに等しい。この実施形態においては、逆流防止弁10の外面の全面が被覆部30によって形成され、逆流防止弁10の内面はメッシュスキャフォールドの内側被覆部により部分的に形成される。被覆部30が弁36を形成する実施形態においては、逆流防止弁10の内面の一部は被覆部30によりさらに形成されている。
【0027】
少なくとも1つの実施形態において、被覆部30の長手方向の長さは約60〜190mmである。したがって、いくつかの実施形態において、被覆部30の長手方向の最大長さは60mmである。他の実施形態においては、被覆部の長手方向の最大長さは100mmである。さらに別の実施形態においては、被覆部の長手方向の最大長さは190mmである。さらに別の実施形態においては、被覆部の長手方向の最大長さは230mmである。いくつかの実施形態において、被覆部30の厚さは少なくとも3〜4mmである。被覆部30の好適な材料については後述する。
【0028】
3.弁
弁36は、スキャフォールド先端部26から弁先端14まで長手方向に延びる。弁36は弁基端40および弁先端42を有する。弁36は逆流防止弁10の弁区分38の一部を形成する。いくつかの実施形態において、弁36の直径は可変である。他の実施形態においては、弁36は非円筒状である。
【0029】
少なくとも1つの実施形態においては、被覆材30のスキャフォールド先端部26を越えて延びる部分により弁36が形成されている。いくつかの実施形態においては、弁36を形成する被覆材30は、メッシュスキャフォールド16を覆っている材料と同じである。この実施形態においては、被覆材30の長手方向の長さは逆流防止弁10の長手方向の長さに等しい。他の実施形態においては、被覆材30からなる第1被覆部がメッシュスキャフォールド16を覆い、別の被覆材からなる第2被覆部/スリーブがメッシュスキャフォールド16に連結されてメッシュスキャフォールド16から延び、弁36を形成している(図示しない)。この実施形態においては、両方の被覆部の長手方向の長さは逆流防止弁10の長手方向の長さよりも短い。
【0030】
前述したように、弁36はループ34を有している。少なくとも1つの実施形態において、ループ34は食物の摂取のために弁36が開放することを容易にする。理論に制限されることなく、植え込まれた状態の逆流防止弁10においては、蠕動運動中に弁36が拡張することにより食物が弁36を通過することができる。ループ34は、食物が弁36を通過できるように弁36の径を拡張させる補助を行う骨組構造として機能する。弁36の支持が単一のループ34により行われているため、ループ34がもたらす径方向の力により、食道の平常時には弁36が折り畳まれ、蠕動運動中にはループ34がバネとして機能して弁が食道内腔の直径まで広がることが可能になっている。このように、ループ34は、蠕動運動時の弁の開放を補助し、蠕動運動中の弁の閉塞を抑制している。
【0031】
いくつかの実施形態においては、メッシュスキャフォールド16を形成しているフィラメント28の一部が、スキャフォールド先端部26を出てから再度スキャフォールド先端部26に挿入されてループ34を形成している。メッシュスキャフォールド16が複数のフィラメント28を編み込むことにより形成されているいくつかの実施形態においては、フィラメント28のうちの1本がループ34を形成するためにより長い長さを有している。ループ34を形成するフィラメント28の長さは、ループ34の直径と、ループ34からスキャフォールド先端部26までの距離とに少なくとも左右される。
【0032】
少なくとも1つの実施形態において、ループ34を形成するフィラメントは、メッシュスキャフォールド16に編み込まれることによってメッシュスキャフォールド16に固定されている。いくつかの実施形態においては、メッシュスキャフォールド16に編み込まれているループ34を形成するフィラメントの各部分が、メッシュスキャフォールド16を形成するフィラメントと平行である。少なくとも1つの実施形態においては、ループ34を形成するフィラメントはメッシュスキャフォールド16に結合もされている。一実施形態においては、被覆材30が、ループ34を形成するフィラメントをメッシュスキャフォールド16に結合させている。図1に示すフィラメントは、メッシュスキャフォールド16に編み込まれるとともに、被覆材30によりメッシュスキャフォールド16に結合されている。
【0033】
一実施形態においては、フィラメントがメッシュスキャフォールド16から出る位置と、メッシュスキャフォールド16に再進入する位置とが180度離れている。つまり、メッシュスキャフォールド16に対するフィラメントの出口と再進入の入口とは互いに反対側に位置している。
【0034】
他の実施形態においては、メッシュスキャフォールドを形成するフィラメント28とは別のループフィラメントがループ34を形成している。したがって、この実施形態において、ループフィラメントは、メッシュフィラメント28とは別の異なる部材である。この実施形態において、ループフィラメントの端部領域はメッシュスキャフォールド16に固定され、ループフィラメントの中間領域がループ34を形成している。ループフィラメントの端部領域は、ループフィラメントの交差部からメッシュスキャフォールド16まで延びる。ループフィラメントの端部領域は、ループ34を形成するフィラメント28について前述したようにメッシュスキャフォールド16に固定することができる。一実施形態において、ループフィラメントは、フィラメント28とは異なる材料で作られている。フィラメント28に関して前述したように、ループフィラメントの直径は0.3〜0.4mmであり、単一のフィラメント(モノフィラメント)またはマルチフィラメントである。
【0035】
少なくとも1つの実施形態において、ループ34は弁36を形成する被覆材に固定されている。いくつかの実施形態においては、ループ34は弁36を支持している。図に示すように、ループ34は単一のループである。つまり、例えば図1〜3に示すように、ループ34を形成するフィラメントは単一の交差部を有している。一実施形態において、単一の交差部はスキャフォールド先端部26と弁先端14との間に配置される。少なくとも1つの実施形態において、ループ34を形成するフィラメントの直径は0.3〜0.4mmである。弁36およびループ34の好適な材料については後述する。いくつかの実施形態において、ループ34はX線、MRI、超音波等の画像診断法により検出可能である。一実施形態において、ループ34は放射線不透過性を有している。
【0036】
少なくとも1つの実施形態において、ループ34は、ループ34がメッシュスキャフォールド16を出る箇所からループ34の長手方向における最長範囲までの長さである長手方向の長さ(L)を有する。ループ34の長手方向の長さは約30〜40mmである。少なくとも1つの実施形態において、ループ34の最大直径はスキャフォールド先端領域24の直径に等しい。少なくとも1つの実施形態において、ループ34は逆流防止弁10の長手方向軸線に対して斜角をなす。
【0037】
例えば図1に示すように、いくつかの実施形態において、ループ34の長手方向の長さは弁36の長手方向の長さにほぼ等しい。このようの実施形態においては、弁36の弁基端40から弁先端42までの長手方向の長さは約30〜40mmである。したがって、いくつかの実施形態において、弁36の長手方向の最大長さは30mmであり、他の実施形態においては、弁36の長手方向の最大長さは40mmである。
【0038】
他の実施形態において、弁36を形成する被覆材30はループ34を越えて30〜40mm延びる(図示しない)。これらの実施形態においては、弁36の弁基端40から弁先端42までの長手方向の長さは約60〜80mmである。したがって、いくつかの実施形態において、弁36の長手方向の最大長さは60mmであり、他の実施形態においては、弁36の長手方向の最大長さは80mmである。
【0039】
B.逆流防止弁の形成
少なくとも1つの実施形態において、前述の逆流防止弁10は以下の工程の少なくともいくつかの組み合わせにより形成される。
【0040】
1)メッシュスキャフォールド16を形成する。
いくつかの実施形態において、メッシュスキャフォールド16を形成することは、単一のフィラメント28または複数のフィラメント28を編み込むことと、単一のフィラメント28または複数のフィラメント28のうちの1本をスキャフォールド先端部26を越えて延ばすことによりループ34を形成することと、メッシュスキャフォールド16にループフィラメントを編み込むこととを含む。
【0041】
他の実施形態においては、メッシュスキャフォールド16を形成することは、単一のフィラメント28または複数のフィラメント28を編み込むことと、ループフィラメントからループ34を形成することとを含む。この実施形態において、ループフィラメントの端部領域はメッシュスキャフォールド16に固定され、ループフィラメントの中間領域がループ34を形成する。
【0042】
少なくとも1つの実施形態において、メッシュスキャフォールド16はマンドレル50上にて形成される。いくつかの実施形態において、マンドレル50は第1マンドレル端部領域52、マンドレル中間領域54および第2マンドレル端部領域56を有する。少なくとも1つの実施形態においては、第1および第2マンドレル端部領域52,56はマンドレル中間領域54よりも大きい直径を有する。いくつかの実施形態において、マンドレル50の直径は15〜20mmである。いくつかの実施形態において、第1および第2マンドレル端部領域52,56がフレア状であることにより、第1および第2マンドレル端部領域52,56の直径がマンドレル中間領域54の直径よりも大きくなっている。少なくとも1つの実施形態において、第1マンドレル端部領域52の直径はマンドレル中間領域54の直径よりも約17%大きく、第2マンドレル端部領域56の直径は、マンドレル中間領域54の直径よりも最大で17%大きい。いくつかの実施形態において、マンドレル端部領域52,56の直径はマンドレル中間領域54の直径よりも最大で10%大きい。他の実施形態において、マンドレル端部領域52,56の直径はマンドレル中間領域54の直径よりも最大で5%大きい。
【0043】
少なくとも1つの実施形態において、第2マンドレル端部領域56は、所望の長手方向の長さを有する弁36,38を形成するに足る長手方向の長さを有している。少なくとも1つの実施形態において、マンドレル50の外面は平坦である。
【0044】
一実施形態において、フィラメント28は、上下交互のパターンにて編み込まれている。
または、メッシュスキャフォールド16は、管材から模様を切断またはエッチングすることにより形成されてもよいし、平坦なシート部材を切断またはエッチングしてから丸めることにより形成されてもよい。本明細書に開示されたメッシュスキャフォールド16の製造には、当業者に周知の方法および今後開発される方法のうちのいかなる方法を用いてもよい。
【0045】
2)メッシュスキャフォールド16に被覆材30を被覆する。
少なくとも1つの実施形態において、マンドレル50上に置かれた状態のメッシュスキャフォールド16にコーティングが施される。いくつかの実施形態において、メッシュスキャフォールド16は被覆材30によって完全に覆われている。一実施形態において、被覆材30がループ34をメッシュスキャフォールド16に結合している。
【0046】
被覆材30は、任意の好適な方法によりメッシュスキャフォールド16に施すことができる。
3)弁36を形成する。
【0047】
少なくとも1つの実施形態において、メッシュスキャフォールド16およびループ34がマンドレル50上に配置された状態において弁36が形成される。
いくつかの実施形態において、弁36は被覆材30をスキャフォールド先端部26を越えてループ34を覆うように施すことにより形成される。
【0048】
他の実施形態においては、メッシュスキャフォールドを覆っている被覆材30に対して、第2の被覆材を結合させるように第2の被覆材をメッシュスキャフォールドに施し、かつ、第2の被覆材がスキャフォールド先端部を越えてループを覆うように第2の被覆材を施すことにより、弁36が形成されている。
【0049】
C.好適な材料
フィラメント28(単体または複数)および/またはループフィラメントは、1つ以上のポリマー、1つ以上の金属またはポリマーおよび金属の組み合わせ等の好適な生体適合性材料から作製できる。好適な材料の例としては、生体適合性を有する生分解性材料が挙げられる。生分解性材料は、通常の生物学的作用の一過程において無害な化合物に分解される材料である。好適な生分解性材料の例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、コラーゲンもしくはその他の結合タンパク質や天然材料、ポリカプロラクトン、ヒアルロン酸、接着タンパク質、これらの材料の共重合体、複合材料および組み合わせならびに他の生分解性ポリマーの組み合わせが挙げられる。使用可能な他のポリマーの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性ポリマー、ポリエステルおよびポリカーボネート共重合体が挙げられる。好適な金属の例としては、ステンレス鋼、チタン、タンタル、白金、タングステン、金および上記金属の合金等が挙げられるがこれらに限定されない。好適な合金の例としては、白金イリジウム合金、Elgiloy(登録商標)およびPhynox(登録商標)等のコバルトクロム合金、MP35N合金、ニチノール等のニッケルチタン合金が挙げられる。
【0050】
フィラメント(単体または複数)28および/またはループフィラメントは、ニチノール等の形状記憶特性を有する材料から形成してもよいし、ニチノール等の超弾性特性を有する材料から形成してもよいし、塑性変形可能な材料から形成してもよい。形状記憶特性を有する材料を使用した場合は、メッシュスキャフォールド16が記憶された形状を有し、直径が小さくされた形状に変形されてもよい。メッシュスキャフォールド16は、メッシュスキャフォールド16に対する拘束が取り除かれた後に、遷移温度に加熱されると記憶された形状に自然に戻る。
【0051】
弁36および/または被覆材30に適した材料の例としては、シリコーン、ウレタン、ポリウレタン、ポリアミドおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、シリコーングレード4840/4830/4820がメッシュスキャフォールド16の被覆および弁36の形成に使用される。
【0052】
少なくとも1つの実施形態において、弁36は第1の材料と、第1の材料とは異なる第2の材料とにより形成される。いくつかの実施形態においては、第1の材料はシリコーンであり、第2の材料はポリエチレンテレフタレート(PET)である。一実施形態においては、スリーブ30は第1の材料により形成され、ループ34は第2の材料により形成される。
【0053】
逆流防止弁10の実施形態および態様は、特許請求の範囲に記載される実施形態を含め、任意の方法および組み合わせにて組み合わせることが可能であり、これらの組み合わせも本開示の範囲内である。非限定的な例として、逆流防止弁10の以下の実施形態または態様は任意の方法および組み合わせにて組み合わせることが可能であり、このような組み合わせも本明細書に開示された逆流防止弁10の範囲内である。
【0054】
態様1:逆流防止弁10であって、
フィラメント28であって、
スキャフォールド先端部26を有するメッシュスキャフォールド16と、
スキャフォールド先端部から距離をなして延びるとともに弁36の一部を形成するループ34と、を有するフィラメントを備える逆流防止弁10。
【0055】
態様2:逆流防止弁10であって
メッシュスキャフォールド区分32であって、
メッシュスキャフォールド区分の端部を形成するスキャフォールド先端部26を有するメッシュスキャフォールド16を形成するフィラメント28と、
被覆部30と、を有するメッシュスキャフォールド区分32と、
メッシュスキャフォールド区分16から延びる弁区分38であって、
被覆部30の延長部である弁36であって、スキャフォールド先端部26から距離をなして延びるループ34を含む弁を有する弁区分38と、を備える逆流防止弁10。
【0056】
態様3:支持体16から長手方向に延びる弁36を備え、弁がループ34を有することを特徴とする逆流防止弁10。
態様4:第1の材料のスリーブ30と、第1の材料と異なる第2の材料のループ34とを備え、ループ34が第1の材料のスリーブ30内に固定される逆流防止弁10。
【0057】
態様5:逆流防止弁10を形成する方法であって、
フィラメント28からメッシュスキャフォールド16を形成することであって、フィラメントがスキャフォールド先端部26から距離をなして延びるループ34をさらに形成することと、
ポリマー材30から弁36を形成することであって、弁がメッシュスキャフォールド16から延びるとともにループ34を有することと、を含む方法。
【0058】
態様6:逆流防止弁10を形成する方法であって、
メッシュスキャフォールド区分32を形成することと、
弁区分38を形成することであって、弁区分がメッシュスキャフォールド区分から長手方向に延び、弁区分がメッシュスキャフォールド区分から延びるフィラメント28によって形成されるループ34を含む弁36を有することと、を含む方法。
【0059】
態様7:逆流防止弁10を形成する方法であって、
第1の材料のスリーブ30と、第1の材料とは異なる第2の材料のループ34とを有する弁36を形成することを含む方法。
【0060】
態様8:支持体16の端部に弁36を固定することをさらに含む、態様7に記載の方法。
態様9:メッシュスキャフォールド区分32がマンドレル50上にて形成される、態様2および6に記載の逆流防止弁。
【0061】
態様10:弁区分38がマンドレル50上にて形成される、態様2、6および9に記載の逆流防止弁。
態様11:逆流防止弁10がマンドレル50上にて形成される、態様1〜8に記載の逆流防止弁。
【0062】
態様12:マンドレル50が、第1マンドレル端部領域52、マンドレル中間領域54および第2マンドレル端部領域56を有し、マンドレル中間領域54が第1および第2マンドレル端部領域52,56よりも小さい直径を有する、態様9〜11に記載の逆流防止弁。
【0063】
態様13:第1マンドレル端部領域52の直径がマンドレル中間領域54の直径よりも最大で17%大きく、第2マンドレル端部領域56の直径がマンドレル中間領域54の直径よりも最大で17%大きい、態様12に記載の逆流防止弁。
【0064】
態様14:第1マンドレル端部領域52の直径がマンドレル中間領域54の直径よりも最大で10%大きく、第2マンドレル端部領域56の直径がマンドレル中間領域54の直径よりも最大で10%大きい、態様12および13に記載の逆流防止弁。
【0065】
態様15:第1マンドレル端部領域52の直径がマンドレル中間領域54の直径よりも最大で5%大きく、第2マンドレル端部領域56の直径がマンドレル中間領域54の直径よりも最大で5%大きい、態様12〜14に記載の逆流防止弁。
【0066】
態様16:メッシュスキャフォールド区分32がフィラメント28を編み込むことにより形成される、態様2、6および9に記載の逆流防止弁。
態様17:メッシュスキャフォールド区分32が、メッシュスキャフォールド16および被覆部30を形成するフィラメント28を有する、態様6および9に記載の逆流防止弁。
【0067】
態様18:支持体がメッシュスキャフォールド16である、態様3および8に記載の逆流防止弁。
態様19:メッシュスキャフォールド16がフレア状のスキャフォールド端部領域20、24を有する、態様1、2、5、17および18に記載の逆流防止弁。
【0068】
態様20:スキャフォールド16がスキャフォールド基端領域20、スキャフォールド中間領域22およびスキャフォールド先端領域24を有し、スキャフォールド領域20,22,24の少なくとも1つが、他のスキャフォールド領域20、22、24よりも小さい直径を有する、態様19に記載の逆流防止弁。
【0069】
態様21:スキャフォールド基端領域20およびスキャフォールド先端領域24の直径が、スキャフォールド中間領域22の直径よりも最大で17%大きい、態様20に記載の逆流防止弁。
【0070】
態様22:スキャフォールド基端領域20およびスキャフォールド先端領域24の直径が、スキャフォールド中間領域22の直径よりも最大で10%大きい、態様20および21に記載の逆流防止弁。
【0071】
態様23:スキャフォールド基端領域20およびスキャフォールド先端領域24の直径が、スキャフォールド中間領域22の直径よりも最大で5%大きい、態様20〜22に記載の逆流防止弁。
【0072】
態様24:メッシュスキャフォールド16を形成するフィラメント28が、スキャフォールド基端部18において複数の巻回部を形成するとともにスキャフォールド先端部26において複数の巻回部を形成することにより、スキャフォールド基端部18およびスキャフォールド先端部26が非外傷性の端部となっている、態様1、2、5および17〜23に記載の逆流防止弁。
【0073】
態様25:メッシュスキャフォールド16を形成するフィラメント28がポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、態様1、2、5および17〜24に記載の逆流防止弁。
【0074】
態様26:メッシュスキャフォールド16を形成するフィラメント28がループ34も形成する、態様1、2、5および17〜25に記載の逆流防止弁。
態様27:ループ34を形成するフィラメントがメッシュスキャフォールド16を形成するフィラメント28ではない、態様1、2、5および17〜25に記載の逆流防止弁。
【0075】
態様28:メッシュスキャフォールド16の長手方向の最大長さが150mmである、態様1、2、5および17〜27に記載の逆流防止弁。
態様29:メッシュスキャフォールド16の長手方向の最大長さが60mmである、態様1、2、5および17〜28に記載の逆流防止弁。
【0076】
態様30:ループ34が支持体16から延びる、態様3、8および18〜29に記載の逆流防止弁。
態様31:ループ34がスキャフォールド先端部26の複数の巻回部のうちの1つではない、態様24〜30に記載の逆流防止弁。
【0077】
態様32:ループ34がフィラメントである、態様2〜4および7〜31に記載の逆流防止弁。
態様33:ループ34の長手方向の最大長さが40mmである、態様1〜32に記載の逆流防止弁。
【0078】
態様34:ループ34の長手方向の最大長さが30mmである、態様1〜33に記載の逆流防止弁。
態様35:フィラメント34の直径が0.3〜0.4mmである、態様32〜34に記載の逆流防止弁。
【0079】
態様36:フィラメント28が複数のフィラメントであり、複数のフィラメントのうちの1本がより長い長さを有してループ34を形成し、他の複数のフィラメントがメッシュスキャフォールド16を形成する、態様1、2、5、6、9〜25、27、28および31〜35に記載の逆流防止弁。
【0080】
態様37:ループ34が単一のフィラメントによって形成される、態様1、2、5、6、9〜25、27、28および31〜36に記載の逆流防止弁。
態様38:フィラメント28,34が単一のフィラメント(モノフィラメント)である、態様1、2、5、6、9〜25、27、28および31〜37に記載の逆流防止弁。
【0081】
態様39:ループ34がフィラメント28の単一の交差部を含む、態様1、2、5、6、9〜25、27、28および31〜38に記載の逆流防止弁。
態様40:単一の交差部がスキャフォールド先端部26と逆流防止弁10の先端14との間に配置される、態様39に記載の逆流防止弁。
【0082】
態様41:ループ34がポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、態様1、2、5、6、9〜25、27、28および31〜40に記載の逆流防止弁。
態様42:ループ34が放射線不透過性である、態様1〜41に記載の逆流防止弁。
【0083】
態様43:フィラメント28,34の直径が0.3〜0.4mmである、態様1、2、5、6、9〜25、27、28および35〜42に記載の逆流防止弁。
態様44:弁36が、メッシュスキャフォールド16上を延びる被覆部30の延長部である、態様1、9、19〜28および31〜43に記載の逆流防止弁。
【0084】
態様45:被覆部30がシリコーンを含む、態様44に記載の逆流防止弁
態様46:弁36を形成するポリマー材がさらにメッシュスキャフォールド16を覆っている、態様5、19〜28および31〜43に記載の逆流防止弁の形成方法。
【0085】
態様47:ポリマー材がシリコーンを含む、態様5および29に記載の逆流防止弁。
態様48:シリコーンが、シリコーングレード4840、シリコーングレード4830、シリコーングレード4820およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、態様47に記載の逆流防止弁。
【0086】
態様49:逆流防止弁10の長手方向の最大長さが190mmである、態様1〜48に記載の逆流防止弁。
態様50:逆流防止弁10の長手方向の最大長さが90mmである、態様1〜49に記載の逆流防止弁。
【0087】
態様51:逆流防止弁10が治療薬のコーティングを有する、態様1〜50に記載の逆流防止弁。
態様52:第1の材料がシリコーンであり、第2の材料がポリエチレンテレフタレート(PET)である、態様4、7、11〜15、31〜35、37〜45および49〜51に記載の逆流防止弁。
【0088】
態様53:シリコーンが、シリコーングレード4840、シリコーングレード4830、シリコーングレード4820およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、態様52に記載の逆流防止弁。
【0089】
態様54:第1の材料のスリーブがループ34のみによって支持されている、態様52および53に記載の逆流防止弁。
態様55:第1の材料のスリーブの端部が支持体に固定されている、態様52〜54に記載の逆流防止弁。
【0090】
態様56:支持体が態様18、24〜28、31、36および44に記載のメッシュスキャフォールド16である、態様55に記載の逆流防止弁。
上記の開示は、網羅的に記載されているものではなく、例示である。本記載は多くの変形例および代替形態を当業者に示唆する。図面および上記の記載により示される様々な要素は任意に組み合わせてもよいし、組み合わせのために変更してもよい。すべての変形例および代替形態が特許請求の範囲の範囲内に含まれる。特許請求の範囲の範囲において、「備える」は「有するが、これらに限定されない」を意味する。
図1
図1A
図2
図3