(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186510
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】自転車全般に適用可能なエリプティカル駆動機構および操舵機構に導入された改良
(51)【国際特許分類】
B62M 1/28 20130101AFI20170814BHJP
B62M 3/06 20060101ALI20170814BHJP
B62K 3/00 20060101ALI20170814BHJP
B62K 5/00 20130101ALI20170814BHJP
【FI】
B62M1/28
B62M3/06
B62K3/00
B62K5/00
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-539366(P2016-539366)
(86)(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公表番号】特表2016-529160(P2016-529160A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】BR2013000474
(87)【国際公開番号】WO2015051426
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】BR1020130258407
(32)【優先日】2013年10月7日
(33)【優先権主張国】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】514227911
【氏名又は名称】アルアナ エネルギア エス/アー
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ブルーワー,ブライアン レイ
(72)【発明者】
【氏名】マッキノン,ロバート ジェームズ
【審査官】
山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0248117(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0039613(US,A1)
【文献】
国際公開第2006/054774(WO,A1)
【文献】
特開2005−225362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 1/28
B62K 3/00
B62K 5/00
B62M 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車型または三輪車型の自転車(1)のためのエリプティカル駆動機構(M1)ならびに操舵機構(M2)に関し、前記自転車(1)は、
前記自転車(1)の基本構成要素、すなわち
フォーク(2b)、
管状ハンドルバー取付部(2c)、
前輪、
1または2つの後輪、
センタースプロケット
スプロケットクランク、および
ラチェット
が取り付けられた管状クロスメンバー(2A)を持っており、
さらに具体的には、前記駆動機構(M1)は、前記自転車の前記スプロケットクランクと関連付けられた各滑動ブロック(4)の滑動軌道として機能するガイドロッド(3)を含み、
一方、前記操舵機構(M2)は、前記自転車の前記管状ハンドルバー取付部(2c)に装着された運動送出組立品(8)を含み、
この前記運動送出組立品(8)は、2線式可撓コマンドケーブル(9)によって、前記自転車の前記後輪の上部フォーク取付部に装着された運動受入組立品(10)と相互接続されており、
前記自転車(1)の前記管状クロスメンバー(2A)が、端部に、
短い管状横軸と、
前記管状横軸の端部に装着された管状接続部(3a)と、
各接続部に取り付けられた前記ガイドロッド(3)と、
を含むことを特徴とし、
前記端部は、
前記自転車(1)が1つの前記後輪を有する場合には、前記後輪の中心の鉛直上方にあり、
前記自転車(1)が2つの前記後輪を有する場合には、前記2つの後輪の中心を結ぶ線の中心の鉛直上方にあり、
各ガイドロッド(3)は前記管状クロスメンバー(2A)に平行であり、各滑動ブロック(4)は、底部をクランクアームに取り付けることのできる足場を構成し、
前記滑動ブロック(4)が有する各プレート(4a)の底面は少なくとも2対の取付部(4d)を有し、前記少なくとも2対の取付部(4d)は、逆「L」字形断面を持ち、前記プレート(4a)の外側縁に位置して、プーリー(7)を支持し、前記操舵機構(M2)の前記2線式可撓コマンドケーブル(9)は、前記運動送出組立品(8)と前記運動受入組立品(10)とを、前記自転車の前記管状ハンドルバー取付部、前記フォーク、および前記管状クロスメンバーを通じて相互接続する、自転車。
【請求項2】
断面が各ガイドロッド(3)の断面と対応するプーリー(7)を特徴とする請求項1に記載の自転車。
【請求項3】
ピン、クリップ等の形のラッチが取り付けられたヒンジ(2d)によって、前記フォーク(2b)と接続される前記管状ハンドルバー取付部(2c)を特徴とする請求項1に記載の自転車。
【請求項4】
管状クロスメンバー(2A)で形成された構造フレーム(2)を含む二輪車(Bp1)を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自転車であって、
前記管状クロスメンバー(2A)の先端は、「C」字形分岐部分(2e)を有して前記フォーク(2b)に接続されており、
前記フォーク(2b)は、前記後輪の直径(x)よりも大きな直径(x2)を有し、
このフォーク(2b)には折り畳み式ハンドルバー取付部(2c)が取り付けられる、自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
【0002】
本特許は、自転車全般、特に二輪車、三輪車、およびスクーターに適用可能なエリプティカル(楕円形の)駆動機構および操舵機構に導入された改良に関する。具体的には、前述の駆動機構および操舵機構は、駆動機構の結果として全移動距離にわたって直立姿勢の使用者の安定性を向上させる革新的な構造的特性を有し、操舵機構は、自転車の輸送において、またベースに対する前チューブおよびハンドルバーの関節による自転車の構造フレーム構成の削減において革新と安全性をもたらす特性を有し、その結果、自転車の輸送および保管が容易になる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
【0004】
エリプティカル牽引機構またはエリプティカル駆動機構は、歩行運動および/または走行運動の模擬を通じて様々な筋肉群の関与を可能にすることに加えて、ローインパクトエクササイズの成果を高めるという限りにおいて、使用者に無数の利点を提供し、この事実のために、二輪車型および/または三輪車型の自転車においてますます用いられるようになっていることが知られている。
エリプティカル牽引機構を二輪車および/または三輪車に含めることにより、こうした自転車を使用者が立位で操作する限り、座席の装着が不要になる。
【0005】
基本的に、エリプティカル機構により提供される駆動力を持つこうした自転車は、構造フレーム構成および前に1つと後ろにもう一つの、少なくとも2つの車輪から構成される基本構造を有することに加えて、二輪車および/または三輪車のクランクセットの端部から延び得る管状延長部に装着された、使用者の足のための1対の支持足場から構成される機構を含む。従って、各支持足場が高い位置と低い位置の間を交互に動くことによって、自転車が前進する。
【0006】
それでもなお、エリプティカル機構の装着には大抵、基本構成要素の構成の変更に加えて、主にラチェット機構、フォーク、およびハンドルバーの配置に関して、二輪車および/または三輪車の構造フレーム構成の変更が必要になり、交換部品を用いた起こり得る保守手順の完了が妨げられる。
【0007】
例えば、「エリプティゴー(Elliptigo)」(米国)と呼ばれるエリプティカル二輪車は、前輪用のフォークと、ハンドルバーと、後輪と、駆動機構とが装着された、長くうねった構造フレームを有し、その駆動機構は、クランクセット延長部に達するまで続く管状延長部に取り付けられた1対の足場から構成され、クランクセット延長部は、二輪車の構造フレームの後部に位置する横軸に取り付けられた固定スプロケットに装着される。このスプロケットには、二輪車を前方へ駆動するために後輪を動かすチェーンが装備される。
【0008】
「ストリートストライダー(Streetstrider)」(米国)として知られる別のエリプティカル二輪車モデルは、構造フレームと平行に取り付けられた縦長チューブに装着された、使用者の足のための1対の支持足場を含み、各縦長チューブの各端部が、スプロケット軸に位置するクランクセットに接続している。各縦長チューブの反対端はアームに接続され、アームは、垂直に延び、交差する管状ガイドロッド部材を経て、ハンドルバーを支持しており、各アームの自由端は、それぞれのブレーキレバーおよびハンドルを含む。
【0009】
前述したエリプティカル二輪車モデルは、エリプティカルエクササイズの成果を高めるものの、複雑な構造的特色を特徴としており、そのため、起こり得る修理が困難になることに加えて、自転車のコストも増加しがちである。
【0010】
技術の現状の分析
本出願人は、自転車等の装置のための機構を開発する分野に携わっており、プロトコル文書(protocol document)BR10.2012.0266939を出願した。同文書は、立位のサイクリストによる操作を可能にする特有の駆動組立品を有する二輪車に関し、この駆動組立品にはペダル板が含まれ、各ペダル板は、前端においてそれぞれのクランクの端に枢動可能に取り付けられており、各ペダル板はガイドロッドに延びている。ガイドロッドは後部滑動取付組立品に支持され、この組立品は、フレームと水平に一体化された横チューブで構成され、各端部にローラーが取り付けられており、ガイドロッドの断面に対応するようにローラーの溝が設計されている。
【0011】
専門のデータベースにて実施した検索により、使用者が二輪車の管状フレームに対して直立するように直立姿勢を取る二輪車駆動機構および関連品に関する文書を確認できた。
【0012】
例えば、米国特許第7686317号明細書は、従来の二輪車の前フォークおよびヘッドチューブと、二輪車の前部に溶接された2本の平行チューブ部分と、クランクの端部がギアボックスの端を越えて延びた状態で、ギアボックス前部に回転可能に取り付けられたクランク軸と、クランク軸の各外側端の固定クランクアームと、各クランクアームの端部に取り付けられた軸と、各軸に回転可能に取り付けられた1組のペダルであって、前述のペダル組の中央付近で取り付けられた1組のペダルと、前述のギアボックスの後端付近の、ギアボックスの各側の締付ボルト型のローラー軸受と、前述のペダルビームの後部付近で前述の各ペダルビームの内側に沿ってリベット締めされた、角度のついたスチール部と、各ローラーに配置された各スチールアングル内に固定された軸とを含む二輪車に関する。
【0013】
現状の技術を示す別の文書、すなわち韓国特許第100975760号明細書は、クランクアームのための回転中央軸と、ばねガイドと、ばねと、後輪クランクアーム保持機構とを含む二輪車を操作するためのある種の機構に関する。ばねは、ばねガイド軌道に沿ってクランクアームおよびペダルを持ち上げる。クランクアーム保持機構は、クランクアームの可動域を制御し、クランクアームが下へ落ちるのを防ぐ。後輪クランクアーム保持機構は車輪の中央に取り付けられる。ローラー軸受が、軸および後輪の中央に組み込まれ、二輪車のフレーム上のローラー軸受ボックスに固定される。方向性ギア機構が後輪軸の中央に装着される。
【0014】
現状の技術に関する他の既存文書は、使用者が直立姿勢で乗れるように開発された伝達機構の使用という点でも引用可能であり、例えば国際公開第2010135341号、米国特許出願公開第2008116655号明細書、中国実用新案出願第202379042号明細書、米国特許出願公開第20030193158号明細書、米国特許第6659486号明細書、および米国特許第7784808号明細書などである。
【0015】
上に示した文書は、「エリプティカル」駆動を提供する機構が装備された、さらに具体的には、使用者が「垂直かつ直立の姿勢」でエクササイズを行う二輪車および三輪車について記載しているにもかかわらず、これら上述の機構は、主に、滑動ブロックと、ハンドルバーを用いて操作されるスチールケーブルを持つ操舵系とを含まないという理由から、本件の革新的な伝達機構とは異なる。
【発明の概要】
【0016】
現状の技術を分析した後、本出願人は、エリプティカル自転車全般、特に二輪車、三輪車、またはスクーターの類いに導入される改良を開発した。
【0017】
前述のエリプティカル自転車は、管状クロスメンバーで作られた構造フレームに装着されたエリプティカル駆動機構および操舵機構を有し、管状クロスメンバーには、自転車の基本構成要素、すなわちフォーク、ハンドルバー取付部、前輪、後輪、およびセンタースプロケットが取り付けられる。
【0018】
装着されて後輪の中心に位置合わせされたクロスメンバーの後部には横軸がある。前述の横軸の両端には管状接続部が装着され、各管状接続部はそれぞれの滑動ブロックのためのガイドロッドを支持し、滑動ブロックは自転車のそれぞれのクランクに取り付けられる。各滑動ブロックは、上部滑り止め面を持つ足場を載せることのできる構造フレームのような形をしており、また、ナイロンなどの好適な材料で作られた少なくとも3つのプーリーマウンティングを滑動ブロックの底面に有し、その断面は、各ガイドロッドの断面と対応していて、滑動ブロックとガイドロッドとの間が完全に滑動するようになっている。
【0019】
各ガイドロッドの端部は後部の横軸に取り付けられ連結されており、各ガイドロッド上をブロックが滑動することによってガイドロッドの上下動が生じ、その回転運動がクランクへ伝わって、その結果、センタースプロケットが回転し、そのチェーン系によってラチェット機構(または複数のラチェット機構)、ひいては自転車の車輪が駆動され、これにより革新的な駆動機構が提供される。
【0020】
操舵機構は、二輪車の(または三輪車の)ハンドルバーによって操作される、軸に装着された運動送出組立品を含む。この運動送出組立品は、自転車の後輪に装着された運動受入組立品と2線式可撓ケーブルによって相互接続される。この目的のため、運動送出組立品は、可撓制御ケーブルの両端を操作する、ハンドルバーのための管状取付部上のキー固定スプロケットを含み、可撓制御ケーブルは、自転車のハンドルバー取付部、フォーク、およびクロスメンバーを通じて延びて、可撓制御ケーブルの他端が運動受入組立品の管状取付部上のキー固定スプロケットに達する。
【0021】
好ましいオプションによれば、可撓制御ケーブルの各2線式端部にはチェーン片が装備されて、運動を送出し受け入れるための各組立品のスプロケット歯との位置決めがさらに効果的になる。
【0022】
従って、使用者がハンドルバーを左または右に動かすと、チェーン片をずらすように運動送出スプロケットが回転し、それにより可撓ケーブルの2線式端部の一方が引っ張られる。端部の一方の引っ張りは、ケーブルにより、受入スプロケットに取り付けられた他端へ伝えられるが、受入スプロケットはそれぞれのチェーン片によって回されるので、これにより後輪フォークの回転が生じる。
【0023】
上の説明から分かるように、前輪は、ハンドルバーの回転にかかわらず、自転車のクロスメンバーとの位置関係を保ち、後輪は、ハンドルバーを動かすことによって操られる。この構成により、ハンドルバーで行われるカーブが、使用者にとって緩やかかつ穏やかで、極めて安全なものになる。
さらなる差別化特徴として、本自転車は、そのフレームに取り付けられた、自転車を折り畳んで輸送および保管を容易にすることのできる関節機構を含む。
【0024】
駆動機構および操舵機構を構造フレームに配置すること、ならびに後輪および前輪の革新的な構成要素は、少なくとも2つの二輪車モデル、3つの三輪車モデル、および1つのスクーターに用いられる。
【0025】
これらの自転車の主な利点は、以下の事実に存在する。すなわち、これらの自転車は、クランク動作および操舵動作に関してかなりの設計変更があるにもかかわらず、単純化された構造を有しており、そのため低コストで、確実な購入可能性があり、自転車の基本部品の構造が改変されていないのでそれらの代替または交換が容易な、市場の他の製品とは著しく異なる製品が実現される、という事実である。
【0026】
前述の自転車のもう1つの利点は、ハンドルバー取付部の関節によって二輪車および/または三輪車の寸法が小さくなり、従って保管および輸送が容易になる、という事実に帰せられる。
【0027】
主要な二輪車および三輪車によって特にもたらされるもう1つの利点は、操舵制御がハンドルバー、可撓ケーブル、および後輪の回転によって提供されるので、最小の半径での旋回が可能になり、自転車を十分に制御できるようになる、という事実からなる。
【0028】
もう1つの利点は、主要な三輪車の構造的特性により、ショッピングセンターのような人口密度の高い領域での三輪車の使用が可能となり、乗り手が安全に移動しつつ直立姿勢によって乗り手の視野が広がった状態で、警備の目的に使用できるようになる、という事実に帰せられる。
本発明の構造および動作は、本発明のさらなる利点とともに、添付の図面および以下の説明を参照してより十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1-1A】自転車の二輪車バージョンに従って自転車の斜視図および上面図を提供する図である。
【
図2-2A】二輪車の別バージョンに従って自転車の斜視図および上面図を提供する図である。
【
図3-3A】自転車の三輪車バージョンに従って自転車の斜視図および上面図を描写する図である。
【
図3B】三輪車の上面図を描写し、三輪車の操舵機構の動作を説明する図である。
【
図3C】三輪車の運動送出組立品および運動受入組立品の詳細図および斜視図を示す図である。
【
図4-4A】三輪車の第2バージョンに従って自転車の斜視図および上面図を描写する図である。
【
図4B】三輪車の第2バージョンの側面図を示す図である。
【
図5A】三輪車の第3バージョンに従って自転車の斜視図を提供する図である。
【
図5B】関連の詳細な態様の拡大図とともに第3のバージョンに従って自転車の底面図を提供する図である。
【
図6-6A】スクーターバージョンに従って自転車の斜視図および上面図を提供する図である。
【
図6B】スクーターバージョンに従って自転車の上面図を示す図である。
【
図7-7A】上面および底面から見た滑動ブロックの斜視図を描写する図である。
【
図7B】
図1に示された、A−Aと特定された断面の図を提供し、ガイドロッドへの靴状部の装着を説明する図である。
【
図8】二輪車の形の自転車の側面図を、エリプティカル駆動機構によって生成される動きを描写する詳細部分とともに提供する図である。
【
図9】動作順序を表す駆動機構の側面図を提供する図である。
【
図11】二輪車の形の自転車の上面図を提供する図であり、操舵機構の送出組立品および受入組立品の動作が表されている。
【
図12】関節型のハンドルバー取付を示す自転車の側面図を、関連の拡大詳細図とともに提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面を参照すると、本発明は「自転車全般に適用可能なエリプティカル駆動機構および操舵機構に導入された改良」に関し、さらに具体的には、本発明は、基本構成要素、すなわちフォーク(2b)、ハンドルバー取付部(2c)、前輪、後輪、センタースプロケット、およびクランクが取り付けられた管状クロスメンバー(2A)と、エリプティカル駆動機構と、操舵機構とを持つ二輪車、三輪車、およびスクーターの部類に属するエリプティカル自転車(1)に関する。
【0032】
本発明によれば、構造フレーム(2)は、後輪の仮想中心に端部が位置合わせされたクロスメンバー(2A)と、短い管状横軸と、横軸の端部に装着された管状接続部(3a)とを有し、一方、各ブロック(4)の滑動経路として機能するガイドロッド(3)が各接続部に取り付けられる。各ガイドロッド(3)はクロスメンバー(2A)に平行であり、各滑動ブロック(4)は、底部をクランクアームに取り付けることのできる足場を構成し、クランクアームは、チェーン(5)を駆動するために自転車(1)のセンタースプロケットに位置し、チェーン(5)は、ラチェット機構に動きを伝達する役割を担う。
【0033】
各滑動ブロック(4)は、好ましくは使用者の片方の足を支持することのできる細長い形状の滑り止め上面(4b)を持つプレート(4a)を含む。このプレート(4a)は、例えば前部止め具(4c)のような、使用者の足のための安全具を含む。
【0034】
各プレート(4)の底面は、少なくとも2対の、逆「L」字形断面の取付部(4d)を有し、取付部(4d)は、プレート(4a)の外側縁に装着されて、好ましくはナイロンなどの好適な材料で作られた、断面が各ガイドロッド(3)の断面と一致するプーリー(7)を支持する。
【0035】
ブロック(4)がクランクアームの端部に取り付けられているため、各ガイドロッド(3)上のブロック同士の滑動は逆向きであり、またガイドロッド(3)が横軸に連結されているため、ガイドロッドは、交互に上下の角運動を行って、クランクに回転運動を伝え、その結果、センタースプロケットと、チェーン(5)と、本例では後輪に取り付けられたラチェット機構(
図8および
図9を参照せよ)との回転能力を生成し、エリプティカル駆動機構を構成する。
【0036】
好ましい構造上のバージョンにおいて、各ガイドロッド(3)(
図7Bを参照せよ)は、各プーリー(7)のそれぞれの対応する三角形断面とつながるような三角形断面を有する。
【0037】
操舵機構(M2)(
図10および
図11を参照せよ)は、二輪車(または三輪車)の管状ハンドルバー取付部(2c)に装着された運動送出組立品(8)を含み、送出組立品(8)は、2線式可撓ケーブル(9)によって、自転車の後輪フォークの上部取付部に装着された運動受入組立品(10)と相互接続される。この目的のため、運動送出組立品(8)は、可撓制御ケーブル(9)の2線式上端(9A)を駆動するキー固定スプロケット(8A)を管状ハンドルバー取付部(2c)に含み、可撓制御ケーブル(9)は、自転車のハンドルバー取付部、自転車のフォーク、および自転車のクロスメンバーを通じて延びて、他方の下端(9B)が運動受入組立品(10)の管状取付部のキー固定スプロケット(10A)まで延びるようになっている。
【0038】
好ましいオプションによれば、可撓2線式制御ケーブル(9)の各2線式端部(9A)および(9B)には、運動送出(8)および運動受入(10)のための各運動伝達組立品のスプロケット歯(8A)および(10A)とより密接にかみ合うようにするため、チェーン片が装備される。
【0039】
使用者(図示しない)によるハンドルバーの動き(
図11を参照せよ)により、取付部(2c)に、ひいてはスプロケット(8A)に動きが伝えられ、スプロケット(8A)がチェーン片を動かして可撓ケーブル(9)の一方の端部(9A)を前方に引っ張り、前述の引っ張りによって、ケーブル(9)の他方の端部(9B)が移動して他方のチェーン片が動き、運動受入組立品(10)のスプロケット(10A)、ひいては後輪フォーク(2b)が回転して後輪の角度が変わり、その結果、二輪車/三輪車が所望の側へ操舵される。
【0040】
好ましいオプション(
図12を参照せよ)として、自転車を小さくするために、ハンドルバー取付部(2c)は、とりわけピンまたはループの形のロックを装備したヒンジ(2d)によってフォーク(2b)に接続される。ロックの解除により取付部(2C)が90°折れ、自転車(1)がコンパクトになる。
【0041】
構造フレーム(2)上の機構(M1)および(M2)の配置、ならびに前輪および後輪の構成は、少なくとも2つの二輪車モデル、3つの三輪車モデル、および1つのスクーターモデルを構成し、これらは以下のように定められ得る。
【0042】
I.二輪車(
図1および
図1Aを参照せよ)
・中央クロスメンバー(2A)で形成された構造フレーム(2)を含み、中央クロスメンバー(2A)の先端は、「C」字形分岐部分(2e)を有するとともに前輪フォーク(2b)に接続され、前輪フォーク(2b)は、後輪の直径(x)よりも大きな直径(x2)を有する(
図1Bを参照せよ)。このフォーク(2b)は折り畳み式ハンドルバー取付部(2c)を含む。
【0043】
・クロスメンバー(2A)の反対端は管状要素(2f)を含み、管状要素(2f)には、滑動ブロック(4)のための管状接続部(3a)をガイドロッド(3)に取り付けるために、横軸が装着される。
【0044】
・スプロケットおよびクランクがクロスメンバー(2A)の中央部に装着され、スプロケットおよびクランクに前述のガイドロッド(3)上の各滑動ブロック(4)が取り付けられる。
・運動送出組立品(8)はハンドルバー取付部(2c)に装着され、運動受入組立品(10)は後輪フォーク(2b)に装着される。
【0045】
II.二輪車(
図2、
図2A、および
図2Bを参照せよ)
・クロスメンバー(2A)で形成された構造フレーム(2)を含み、クロスメンバー(2A)は、端部が前輪フォーク(2b)に固定された1対の屈曲管状要素から構成される。
・クロスメンバーの反対端は、ガイドロッド(3)を取り付ける横軸を有する。
・前述のガイドロッドの各滑動ブロック(4)が取り付けられたスプロケットおよびクランクが、クロスメンバーの中央部に装着される。
・この二輪車の操舵は、前フォーク(2b)を動かすハンドルバーによって制御される。
【0046】
III.三輪車(
図3、
図3A、
図3B、および
図3Cを参照せよ)
・前輪の直径(y2)に対して小さな直径(y)を有する後輪を取り付けるための後フォーク(2g)が横軸の各端に取り付けられる。
・クロスメンバー(2A)の中央部にスプロケットおよびクランクが装着され、そこに前述のガイドロッド(3)の端部の各滑動ブロックが取り付けられる。
・運動送出組立品(8)はハンドルバー取付部に装着され、運動受入組立品(10)(
図3Bを参照せよ)は、管状要素(2f)に装着された受入スプロケット(10a)を含み、受入スプロケット(10a)は、チェーン(11)が取り付けられたスプロケット(10b)に並置され、チェーン(11)は、後輪の各後フォーク(2g)に装着されたスプロケットに取り付けられる。
【0047】
・ハンドルバーの動きによってケーブル(9)が引っ張られて、スプロケット(10a)がスプロケット(10b)および関連のチェーン(11)とともに動き、それによりスプロケット(12)が回転して、フォーク(2g)、ひいては後輪が動く(
図3Cを参照せよ)。
IV.三輪車(
図4、
図4A、および
図4Bを参照せよ)
【0048】
・管状構造体(13)がクランクの各端に装着される。管状構造体(13)はクロスメンバー(2A)と平行を保ち、管状構造体(13)の反対端(13a)には、ハンドルバーに取り付けられたアーム動作部のための接続部(14a)が取り付けられており、アーム動作部の自由端は、ケーブル(9)の自由端(9a)が装着されたレバー(15)を有する。
【0049】
・レバー(15)を回転させることによって、自由端(9c)およびケーブル(9)が引っ張られ、それによりスプロケット(10a)がスプロケット(10b)および関連のチェーン(11)とともに動かされ、それによりスプロケット(12)が回転して、フォーク(2g)、ひいては後輪が向きを変える。
【0050】
V.三輪車(
図5Aおよび
図5Bを参照せよ)
・管状要素(2h)に先端が接続された中央クロスメンバー(2A)で形成された構造フレームを含み、管状要素(2h)には操舵ロッド端部(2i)が取り付けられ、そのそれぞれに、前輪のガイドに取り付けられた操舵ピン(2j)が装備される。
【0051】
・クロスメンバーの反対端は、後輪軸が取り付けられた「C」字形分岐部分(2e)(
図5を参照せよ)を有し、分岐部分(2e)には「C」字形クランプ(2l)が取り付けられ、そこに、ガイドロッド(3)のための管状接続部(3a)を取り付けるために横軸が設けられる。
・各滑動靴状部(4)が取り付けられたスプロケットおよびクランクが、クロスメンバー(2A)の中央部に装着される。
・三輪車の操舵は、操舵ロッド(2i)、ひいては後輪を動かすハンドルバーによって制御される。
【0052】
VI.スクーター(
図6、
図6A、および
図6Bを参照せよ)
・前輪フォーク(2b)に先端が取り付けられた中央クロスメンバー(2A)で形成された構造フレーム(2)を含み、フォーク(2b)には折り畳み式ハンドルバー取付部(2c)が取り付けられる。
【0053】
・クロスメンバー(2A)の反対端は「C」字形分岐部分(2m)を有し、「C」字形分岐部分の端部は、同様に「C字形」のクランプ(2n)で固定され、その端部に、滑動ブロック(4)のための管状接続部(3a)をガイドロッド(3)に取り付けるために、横軸が取り付けられる。
【0054】
・各ガイドロッド(3)は、プーリー(16)が滑動する軌道を築くように「U」字形断面を有し、一方プーリーは、各滑動靴状部(4)の内面に位置して、ロッド対(18)に取り付けられたそれぞれの軸(17)に固定され、ロッド対(18)の底部は、プーリー(19)により互いに相互接続される。
【0055】
明らかに、本発明が用いられる場合、その構造および形態のいくつかの詳細な態様に関して変更が加えられるであろうが、この状況は、請求の範囲の枠内において明確に立証された基本原理からの逸脱を構成するものではなく、従って、用いられた用語は制限的な目的を何ら持たなかったものと理解されなければならない。