(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記LEDデバイスが、支柱によって支持され、前記支柱の上面の表面積が、前記底部電流拡散層ピラーの底面の表面積よりも小さい、請求項1に記載のLEDデバイス。
前記底部電流拡散層が、GaPを含み、前記底部クラッド層が、AlInP、AlGaInP、及びAlGaAsからなる群から選択される材料を含む、請求項8に記載のLEDデバイス。
前記LEDデバイスが、ディスプレイ基板に、前記ディスプレイ基板の表示区域内部で接合され、前記LEDデバイスが、前記ディスプレイ基板内の作動回路機構と電気的に接続する、請求項1に記載のLEDデバイス。
前記LEDデバイスが、ディスプレイ基板に、前記ディスプレイ基板の表示区域内部で接合され、前記LEDデバイスが、前記表示区域内部で前記ディスプレイ基板に接合されたマイクロチップと電気的に接続する、請求項1に記載のLEDデバイス。
前記底部クラッド層が、非ドープの電流閉じ込め領域によって横方向で包囲された、ドープされた電流注入領域を含み、前記ドープされた電流注入領域が、前記第1のドーパント型でドープされる、請求項1に記載のLEDデバイス。
前記p−nダイオード層をパターニングすることが、上部電流拡散層、上部クラッド層、1つ以上の量子井戸層、及び前記底部クラッド層を貫通してエッチングすることにより、前記犠牲剥離層を露出させることを含む、請求項16に記載の方法。
前記底部電流拡散層ピラーのアレイ及び前記底部クラッド層の上に、前記犠牲剥離層を形成する前に、底部導電性コンタクトのアレイを、前記底部電流拡散層ピラーのアレイ上に、電気的に接触させて形成することを更に含む、請求項16に記載の方法。
前記キャリア基板に前記LED基板を接合する前に、前記犠牲剥離層をパターニングして、前記底部電流拡散層ピラーのアレイの上の前記犠牲剥離層内に、開口部のアレイを形成することと、
前記キャリア基板に、接合材料で前記LED基板を接合することにより、前記接合材料が、前記犠牲剥離層内の前記開口部のアレイ内部に配置されることと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
前記LED基板の前記パターン化p−nダイオード層をアニールすることにより、前記底部電流拡散層ピラーのアレイから、前記底部クラッド層内に、ドーパントを追い出すことを更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態は、閉じ込め電流注入区域を有する、LEDデバイス及びLEDデバイスを形成する方式を説明する。具体的には、本発明の一部の実施形態は、閉じ込め電流注入区域を有する、マイクロLEDデバイス及びマイクロLEDデバイスを形成する方式に関連し得る。
【0022】
様々な実施形態では、図を参照して説明が実施される。しかしながら、特定の実施形態は、これらの具体的な詳細のうちの1つ以上を伴わずに、あるいは他の既知の方法及び構成と組み合わせて、実践することができる。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、具体的な構成、寸法、及びプロセスなどの、数多くの具体的な詳細が記載される。他の例では、本発明を不必要に曖昧にしないために、周知の半導体のプロセス及び製造技術は、特に詳細には説明されていない。本明細書の全体を通じた「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の機構、構造体、構成、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するものである。それゆえ、本明細書の全体を通じて、様々な個所で語句「一実施形態では」が現れる場合、必ずしも、本発明の同じ実施形態を言及するものではない。更には、それらの特定の機構、構造体、構成、又は特性は、1つ以上の実施形態で、任意の好適な方式で組み合わせることができる。
【0023】
用語「〜に広がる」、「〜の上」、「〜に」、「〜の間」、及び「〜上」とは、本明細書で使用するとき、1つの層の、他の層に対する相対位置に言及し得るものである。別の層「に広がる」、別の層「の上」、若しくは別の層「上」の1つの層、又は別の層「に」接合する、若しくは別の層と「接触」する1つの層は、その別の層と直接接触する場合もあれば、あるいは1つ以上の介在層を有する場合もある。層「の間」の1つの層は、それらの層と直接接触する場合もあれば、又は1つ以上の介在層を有する場合もある。
【0024】
一態様では、本発明の実施形態は、LEDデバイスが、静電転写ヘッドアセンブリを使用して、キャリア基板から転写され、転写先基板に接合される、LEDデバイス統合化設計を説明する。本発明の実施形態によれば、LEDデバイスに対する把持圧力を発生させるために、静電転写ヘッドに吸引電圧が印加される。マイクロデバイスのサイズが、約300μm以下、又はより具体的には、約100μm以下などの、真空チャック機器の特定の限界寸法未満に低減される場合、真空チャック機器を使用して、マイクロデバイスをピックアップするための十分な把持圧力を発生させることは、困難又は不可能な場合があることが認められている。更には、本発明の実施形態に係る静電転写ヘッドを使用することにより、真空チャック機器に関連付けられる1atmの圧力よりも、遥かに大きい把持圧力を生成することができる。例えば、本発明の実施形態によれば、2atm以上、又は更に20atm以上の把持圧力を使用することができるしたがって、一態様では、本発明の実施形態により、現在の真空チャック機器では統合化が不可能な用途へと、マイクロLEDデバイスを転写及び統合する能力が提供される。一部の実施形態では、用語「マイクロ」LEDデバイス又は構造体とは、本明細書で使用するとき、特定のデバイス又は構造体の記述的サイズ、例えば、長さ又は幅を指すことができる。一部の実施形態では、「マイクロ」LEDデバイス又は構造体は、多くの用途では、1μm〜約300μm、又は100μm以下の規模とすることができる。しかしながら、本発明の実施形態は、必ずしもそのように限定されるものではなく、それらの実施形態の特定の態様は、より大きいマイクロLEDデバイス又は構造体、また恐らくは、より小さいサイズの規模に適用可能とすることができる点を理解されたい。
【0025】
一態様では、本発明の実施形態は、ピックアップの準備が整い、1つ以上の安定化支柱によって支持される、LEDデバイスを説明する。本発明の実施形態によれば、LEDデバイスに対する把持圧力を発生させ、そのLEDデバイスをピックアップするために、転写ヘッドに吸引電圧が印加される。本発明の実施形態によれば、安定化支柱からLEDデバイスをピックアップするために必要とされる、最少量のピックアップ圧力は、安定化支柱を形成する接着接合材料とLEDデバイス(又は、任意の中間層)との接着強度、並びに、安定化支柱の上面とLEDデバイスとの接触面積によって決定することができる。例えば、LEDデバイスをピックアップするために克服しなければならない接着強度は、等式(1)で提供されるような、転写ヘッドによって発生される最小ピックアップ圧力に関連する:
【数1】
式中、P
1は、転写ヘッドによって発生させることが必要とされる、最小把持圧力であり、A
1は、転写ヘッドの接触表面とLEDデバイスの接触表面との接触面積であり、A
2は、安定化支柱の上面上の接触面積であり、P
2は、安定化支柱の上面上の接着強度である。一実施形態では、1気圧超の把持圧力が、転写ヘッドによって発生される。例えば、各転写ヘッドは、転写ヘッドの絶縁破壊による短絡を伴うことなく、2気圧以上、又は更に20気圧以上の把持圧力を発生させることができる。より小さい面積により、転写ヘッドによって発生する把持圧力よりも高い圧力が、対応する安定化支柱の上面で実現される。
【0026】
別の態様では、本発明の実施形態は、閉じ込め電流注入区域を含む、マイクロLEDデバイスとすることが可能なLEDデバイスを説明する。一実施形態では、LEDデバイスは、第1のドーパント型でドープされた第1の(例えば、底部)電流拡散層ピラーと、その底部電流拡散層上の第1の(例えば、底部)クラッド層と、その底部クラッド層上の活性層と、その活性層上の第2の(例えば、上部)クラッド層と、第1のドーパント型とは反対の第2のドーパント型でドープされた第2の(例えば、上部)電流拡散層とを含む。底部電流拡散層ピラーは、底部クラッド層から離れる方向に突出し、底部クラッド層は、底部電流拡散層ピラーよりも幅広である。本発明の実施形態によれば、活性層もまた、底部電流拡散層ピラーよりも幅広である。上部クラッド層及び上部電流拡散層もまた、底部電流拡散層ピラーよりも幅広とすることができる。この方式で、上部電流拡散層と底部電流拡散層ピラーとにわたって電位が印加されると、底部電流拡散層ピラーの面積と上部電流拡散層の面積との関係によって、活性層内部の電流注入区域が修正される。動作時には、電流注入区域は、底部電流拡散層ピラー構成の面積が縮小されると共に、縮小される。この方式で、活性層内部で、活性層の外表面又は側面から離して、電流注入区域を内部に閉じ込めることができる。
【0027】
他の実施形態では、電流閉じ込め領域が、電流注入領域を横方向で包囲することにより、活性層を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部から離して閉じ込める。メサ再成長技術、電流分配層又はクラッド層のドーパント修正若しくは陽子修正、量子井戸の混合、並びに閉じ込め層の横方向の酸化を含めた、様々な構成が可能である。更には、本明細書で説明される幾つかの電流閉じ込め構成のうちの多くは、単一のLEDデバイス内部で組み合わせることができる。
【0028】
更には、p−nダイオード層の上部表面積が、活性層内部の電流閉じ込め領域の表面積よりも大きい、LEDデバイスを設計することが可能である。このことにより、静電転写ヘッドアセンブリを使用してLEDデバイスを転写するために有益であり得る、より大きいLEDデバイスを製造することが可能となると共に、閉じ込め電流注入区域が電流密度の増大をもたらし、また、特にLEDデバイスの内部量子効率曲線の前ドループ領域未満又はその領域付近の注入電流及び注入電流密度で動作している場合に、そのLEDデバイスの効率の増大をもたらす、構造体もまた提供される。
【0029】
別の態様では、活性層の外部表面に沿って(例えば、LEDデバイスの側壁部に沿って)非発光性再結合が発生し得ることが認められている。そのような非発光性再結合は、欠陥の結果であり得ると考えられ、例えば、その欠陥は、LEDデバイスのアレイを形成するためにp−nダイオード層を貫通してメサ溝を形成する結果であるか、あるいは、電流フロー及び非発光性再結合を可能にし得る、終端表面でのダングリングボンドによる表面準位の結果であり得る。この非発光性再結合はまた、電子及び正孔を非発光的に結合するまで閉じ込めることが可能な状態密度をもたらす、表面でのバンド曲りの結果でもあり得る。そのような非発光性再結合は、特に、それらの欠陥を飽和させることが不可能な電流でLEDデバイスが駆動される、IQE曲線の前ドループ領域内での低い電流密度では、そのLEDデバイスの効率に対して著しい影響を及ぼす恐れがある。本発明の実施形態によれば、より多量の欠陥が存在し得る、活性層の外部表面又は側面へと、電流が横方向に拡散しないように、活性層内部で、電流注入区域を内部に閉じ込めることができる。結果として、活性層の外部表面又は側面付近での、非発光性再結合の量を低減することができ、LEDデバイスの効率が増大する。
【0030】
本発明の実施形態に係るLEDデバイスは、発光の効率が高く、LCD又はOLEDディスプレイ技術と比較して、消費する電力を極めて小さくすることができる。例えば、従来のディスプレイパネルは、100〜750cd/m
2の、全画面が白色の輝度を達成することができる。日光下で読み取り可能な画面に関しては、686cd/m
2超の輝度が必要となり得ることが理解されよう。本発明の一部の実施形態によれば、OLEDディスプレイパネル用に使用される薄膜トランジスタ(TFT)基板バックプレーンなどの、ディスプレイバックプレーンに、LEDデバイスを転写及び接合することができ、その半導体ベースのLEDデバイスが、OLEDディスプレイの有機LED膜に置き換わる。この方式で、高効率の半導体ベースのLEDデバイスが、より低い効率の有機LED膜に置き換わる。更には、半導体ベースのLEDデバイスの幅/長さは、典型的には有機LED膜で充填される、ディスプレイパネルの割り当てサブピクセル区域よりも、遥かに小さいものとすることができる。他の実施形態では、LEDデバイスは、複数のマイクロチップを含む基板と統合され、それらのマイクロチップは、TFT基板バックプレーン内部に典型的に形成される、作動回路(例えば、サブピクセル駆動回路)に置き換わるものである。
【0031】
本発明の実施形態に係るLEDデバイスは、標準的なLEDに関する通常動作条件又は設計動作条件を大きく下回る条件で、動作することができる。LEDデバイスはまた、レーザとは根本的に異なるものでもあり、レーザよりも著しく低い電流で動作することができる。例えば、本発明の実施形態に係るLEDデバイスに関する放出の原理は、レーザに特有の、誘導されたコヒーレント光と比較して、自発的な無指向性の光子放出とすることができる。レーザは、典型的には、レーザ発振としても既知のコヒーレント発光を誘導するための、活性層の両側上の分布ブラッグ反射(DBR)層を含む。レーザ発振は、本発明の実施形態に係るLEDデバイス動作に関しては必須ではない。結果として、LEDデバイスは、典型的なレーザよりも薄くすることができ、コヒーレント発光を誘導するための、活性層の両側上の反射層を必要としない。
【0032】
例示の目的のために、本発明の実施形態によれば、LEDデバイスは、従来のOLEDディスプレイパネルと同様の駆動回路機構、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを使用して駆動することができる点が想到される。しかしながら、実施形態は、そのように限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、LEDデバイスは、転写先基板に同じく静電的に転写される、マイクロチップによって駆動される。注入電流25nAのサブピクセル動作特性を想定すると、1μm
2の閉じ込め電流注入区域を有する例示的LEDデバイスは、2.5A/cm
2の電流密度に概ね対応し、25μm
2の閉じ込め電流注入区域を有する例示的LEDデバイスは、0.1A/cm
2の電流密度に概ね対応し、100μm
2の閉じ込め電流注入区域を有する例示的LEDデバイスは、0.025A/cm
2の電流密度に概ね対応する。
図1を参照すると、本発明の実施形態によれば、これらの低い注入電流及び電流密度は、特性効率曲線の前ドループ領域に対応し得る。これは、標準的なLEDに関する通常動作条件又は設計動作条件を大きく下回る。更には、一部の実施形態では、それらの低い注入電流及び電流密度は、このLEDデバイスに関する特性効率曲線の前ドループ領域上の、その曲線の傾きが1:1よりも大きい部分に対応し得るものであるため、電流密度の微増は、このLEDデバイスのIQEの、またそれゆえEQEの、より大きい増大をもたらす。したがって、本発明の実施形態によれば、著しい効率の増大は、LEDデバイスの電流注入区域を閉じ込めることによって得られ、そのLEDデバイスの発光効率及び輝度の増大をもたらすことができる。一部の実施形態では、閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスは、屋内ディスプレイ用途に関する約300Nit、及び屋外ディスプレイ用途に関する最大約2,000Nitの目標輝度値に関して設計された、ディスプレイパネル用途へと実装される。注入電流及びディスプレイ用途を含めた上記の例は、本質的に、本発明の実施形態の実装に関するコンテキストを提供するための、例示的なものであり、実施形態は、そのように限定されるものではなく、他の動作条件で使用することができ、実施形態は、ディスプレイ用途又はTFTバックプレーンに限定されるものではないことを理解されたい。
【0033】
以下の説明では、マイクロLEDデバイスとすることが可能なLEDデバイスのアレイを形成するための、例示的な加工処理シーケンスが説明される。ここで
図2Aを参照すると、本発明の実施形態に係る、バルクLED基板100の側断面図が提供される。例えば、
図2Aに示されるバルクLED基板は、赤色の原色光(例えば、620〜750nmの波長)、緑色の原色光(例えば、495〜570nmの波長)、又は青色の原色光(例えば、450〜495nmの波長)の放出用に設計することができるが、本発明の実施形態は、これらの例示的な発光スペクトルに限定されるものではない。一実施形態では、バルクLED基板100は、成長基板102上に形成されたp−nダイオード層115を含む。p−nダイオード層115は、スペクトル内の特定領域に対応するバンドギャップを有する、様々な化合物半導体で形成することができる。例えば、p−nダイオード層115は、II−VI族材料(例えば、ZnSe)、あるいは、III−V族窒化物材料(例えば、GaN、AlN、InN、InGaN、及びそれらの合金)及びIII−Vリン化物材料(例えば、GaP、AlGaInP、及びそれらの合金)を含めたIII−V族材料に基づく、1つ以上の層を含み得る。成長基板102としては、限定するものではないが、シリコン、SiC、GaAs、GaN、及びサファイアなどの、任意の好適な基板を挙げることができる。
【0034】
具体的には、赤色発光LEDデバイスのアレイを形成するための、例示的な一次加工処理シーケンスが説明される。赤色発光LEDデバイスに関する一次加工処理シーケンスが説明されるが、この例示的な一次加工処理シーケンスは、異なる発光スペクトルを有するLEDデバイスに関して使用することができ、特に、異なる材料を加工処理する場合、特定の修正が想到されることを理解されたい。更には、異なる材料では、IQE曲線の形状は異なり得るものであり、具体的には、そのピークは、
図1に示されるもの以外の電流密度で発生し得る。一実施形態では、バルクLED基板100は、赤色光の放出用に設計され、成長基板102は、GaAsで形成される。成長基板102は、任意選択的にドープすることができる。図示の実施形態では、成長基板102は、n型にドープされるが、代替的実施形態では、成長基板102は、p型にドープされる。電流拡散層104が、成長基板102上に、第1のドーパント型で形成される。一実施形態では、電流拡散層104は、n型にドープされたGaAsであるが、他の材料、及び反対のドーパント型を使用することもできる。図示のように、クラッド層106が、電流拡散層104の上に形成される。クラッド層106は、活性層108内部に電流を閉じ込める機能を果たし、活性層よりも大きいバンドギャップエネルギーを保有することができる。クラッド層106は、ドープされる場合もあれば、又はドープされない場合もある。一実施形態では、クラッド層106は、AlInP、AlGaInP、又はAlGaAsなどの材料で形成される。クラッド層106は、任意選択的に、ドープされる場合もあれば、又はドープされない場合もある。クラッド層106は、例えば、電流拡散層114と同じドーパント型で、任意選択的にドープすることができる例えば、クラッド層106のドーピングにより、活性層108内への垂直の電流注入を改善することができる。
【0035】
活性層108が、クラッド層106上に形成される。活性層108は、多重量子井戸(MQW)構成、又は単一量子井戸(SQW)構成を含み得る。本発明の実施形態によれば、量子井戸の数の低減は、横方向の電流拡散に対するより大きい抵抗、より高いキャリア密度を提供することができ、完成したLEDデバイス内で電流を内部に閉じ込めるために役立ち得る。一実施形態では、活性層108は、SQWを含む。一実施形態では、活性層108は、10個未満の量子井戸層を有する、MQW構成を含む。1つ以上のバリア層などの追加層もまた、活性層108内に含めることができる。例えば、MQW構成は、バリア層によって隔てられた、複数の量子井戸層を含み得る。
図2Bは、本発明の実施形態に係る、3つの量子井戸を含むMQW構成の図である。図示のように、量子井戸層108aは、バリア層108bによって隔てられている。量子井戸層108aを形成する材料は、量子井戸内部にキャリアを捕捉して閉じ込めるために、バリア層108bを形成する材料よりも低いバンドギャップを有する。活性層108は、(Al
xGa
1-x)
yIn
1-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)、AlGaAs、InGaPなどの材料、又は他の好適な材料で形成することができる。例えば、量子井戸層108a及びバリア層108bは、異なるx及び/又はyの値を有する、(Al
xGa
1-x)
yIn
1-yP(0≦x≦1,0≦y≦1)で形成することにより、所望のバンドギャップエネルギーを達成することができる。本発明の実施形態によれば、活性層108を形成する材料(単数又は複数)は、活性層108の両側上の双方のクラッド層106、110よりも、小さいバンドギャップエネルギーを有する。
【0036】
図2Aを再び参照すると、活性層108上にクラッド層110が形成され、このクラッド層110上に、電流拡散層114が形成される。本発明の実施形態によれば、クラッド層108の材料及び厚さは、目標動作電流で所望の抵抗率を達成するように選択することができ、それにより、クラッド層110は、電流拡散層ピラーが形成される電流拡散層114よりも高い抵抗率を有する。この方式で、クラッド層110が、ある程度まで横方向の電流拡散に抵抗することにより、完成したLEDデバイス内で、電流が内部に閉じ込められる。クラッド層106と同様に、クラッド層110は、活性層108内部に電子及び正孔を閉じ込める機能を果たし、活性層よりも大きいバンドギャップエネルギーを保有することができる。一実施形態では、電流拡散層114は、電流拡散層104とは反対のドーパント型でドープされる。例えば、電流拡散層114は、電流拡散層104がn型にドープされる場合、p型にドープすることができ、逆もまた同様である。一実施形態では、電流拡散層114は、GaPである。一実施形態では、電流拡散層114は、複数の層で形成される。一実施形態では、電流拡散層114は、上部のp型ドープGaP層112と、下層の、クラッド層110上のInGaPエッチング停止層113とを含む。一実施形態では、クラッド層110は、AlInP、AlGaInP、又はAlGaAsなどの材料で形成される。クラッド層110は、ドープされる場合もあれば、又はドープされない場合もある。クラッド層110は、例えば、電流拡散層114と同じドーパント型で、任意選択的にドープすることができる一実施形態では、クラッド層110は、クラッド層106のドーパント濃度よりも低い(ドーピングなしを含めた)ドーパント濃度を有する。
【0037】
一実施形態では、バルクLED基板100は、厚さ250〜500μmの成長基板102、厚さ0.1〜1.0μmの電流拡散層104、厚さ0.05〜0.5μmのクラッド層106、活性層108、厚さ0.05〜0.5μmのクラッド層110、及び厚さ0.1〜1.5μmの電流拡散層114を含む。これらの厚さは例示的なものであり、本発明の実施形態は、これらの例示的厚さに限定されるものではない。
【0038】
ここで
図3を参照すると、本発明の実施形態に従って、電流拡散層閉じ込め溝116のアレイが、電流拡散層114を貫通して形成される。図示のように、これらの電流拡散層閉じ込め溝が、電流拡散層114を完全に貫通してエッチングされることにより、電流拡散層ピラー118のアレイを形成することができる。一実施形態では、エッチングは、クラッド層110上で停止する。別の実施形態では、クラッド層110は、電流拡散層114の完全除去を確実にするために、部分的にエッチングされる。本発明の実施形態によれば、エッチングは、活性層108に到達する前に停止される。エッチングは、湿式エッチング技術又は乾式エッチング技術などの、好適な技術を使用して実行することができる。例えば、反応性イオンエッチング(RIE)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE)、及び化学支援イオンビームエッチング(CAIBE)などの、乾式エッチング技術を使用することができる。これらのエッチング化学作用は、Cl
2、BCl
3、又はSiCl
4などの化学種を含む、ハロゲン系のものとすることができる。これらのエッチング化学作用はまた、Br
2又はHIO
4などの化学種を含む、湿式化学作用とすることもできる。一実施形態では、電流拡散層114は、上部のp型ドープGaP層112と、下層の、クラッド層110上のInGaPエッチング停止層113とを含む。そのような実施形態では、上部のp型ドープGaP層112は、Br2又はHIO4を含む湿式エッチング化学作用を使用して、湿式エッチングされ、InGaPで形成されたエッチング停止層113上で停止する。次いで、HCl+H
3PO
4の溶液中で湿式エッチングすることによって、エッチング停止層113を除去することができる。あるいは、時限乾式エッチング技術を使用して、GaP112層及びInGaP113層の双方をエッチングすることができる。
【0039】
以下の説明でより明らかとなるように、LEDデバイス内部の電流密度を増大させる能力、並びに、LEDデバイス内部に、及び非発光性再結合が発生し得る外側側壁部から離して、電流を内部に閉じ込める能力は、電流拡散層ピラー118の幅が少なくとも部分的に決定する。ある程度の横方向の電流拡散が、デバイス内部で発生するが、本発明の実施形態は、全般的に、この閉じ込め電流区域を、電流拡散層ピラー118の直上の量子井戸の区域と称する。電流拡散層ピラー118の幅はまた、LEDデバイスの幅にも関連し得る。一部の実施形態では、電流拡散層ピラー118は、1〜10μmの幅を有する。一部の実施形態では、電流拡散層ピラー118は、約2.5μmの幅又は直径を有する。
【0040】
図4は、本発明の実施形態に係る、電流拡散層ピラー118のアレイの上に形成された、パターン化パッシベーション層120の側断面図である。一実施形態では、パッシベーション層120は、酸化物又は窒化物などの、絶縁材料で形成される。一実施形態では、パッシベーション層は、厚さ約50オングストローム〜3,000オングストロームのAl
2O
3である。一実施形態では、パッシベーション層120は、原子層堆積(ALD)などの、高品質の薄膜堆積手順を使用して形成される。以下の説明でより明らかとなるように、高品質の薄膜堆積手順により、犠牲剥離層エッチング操作の間、パッシベーション層120の完全性を防護することができる。一実施形態では、パッシベーション層120は、ALDによって堆積された、厚さ約200オングストロームのAl
2O
3である。次いで、リソグラフィ及びエッチングなどの好適なパターニング技術を使用して、電流拡散層ピラー118の上に開口部122を形成することにより、電流拡散層ピラーの最上部表面を露出させることができる。図示の実施形態では、電流拡散層ピラー118の側壁部に沿って、及びクラッド層110上に、パターン化パッシベーション層120が形成される。他の実施形態では、パッシベーション層120は形成されない。
【0041】
ここで
図5を参照すると、本発明の実施形態に従って、底部導電性コンタクト124のアレイが、電流拡散層ピラー118のアレイの上に形成される。導電性コンタクト124は、金属、導電性酸化物、及び導電性ポリマーを含めた、様々な導電材料で形成することができる。一実施形態では、導電性コンタクト124は、蒸着又はスパッタリングなどの、好適な技術を使用して形成される。一実施形態では、導電性コンタクト124は、BeAu金属合金、又はAu/GeAu/Ni/Au層の金属スタックを含み得る。一実施形態では、導電性コンタクト124は、電流拡散層ピラー118とオーム接触するための第1の層と、キャリア基板に接合するために使用される安定化層との接着を制御するための、金などの第2の接合−剥離層とを含む。底部導電性コンタクト124の形成、又は少なくともオーミック層の形成に続けて、例えば510℃で10分間にわたって、この基板スタックをアニールすることにより、オーム接触を作り出すことができる。
図5に示される実施形態では、導電性コンタクト124は、隣り合う電流拡散層ピラー118の間に、完全には広がらない。一実施形態では、導電性コンタクト124は、パッシベーション層120によって覆われた、電流拡散層ピラー118の側壁部に沿って広がる。一実施形態では、導電性コンタクト124は、電流拡散層ピラー118の側壁部に沿って広がらない。
【0042】
次いで、
図6に示されるように、電流拡散層ピラー118のアレイの上に、犠牲剥離層126を形成することができる。図示の特定の実施形態では、犠牲剥離層126は、電流閉じ込め溝116内部に形成される。一実施形態では、犠牲剥離層126は、蒸気(例えば、蒸気HF)エッチング又はプラズマエッチングで容易かつ選択的に除去することが可能な、材料で形成される。一実施形態では、この犠牲剥離層は、0.2μm〜2μmの厚さを有する、酸化物(例えば、SiO
2)又は窒化物(例えば、SiN
x)で形成される。一実施形態では、この犠牲剥離層は、パッシベーション層120と比較して、相対的に低品質の膜形成技術を使用して形成される。一実施形態では、犠牲剥離層126は、スパッタリング、低温のプラズマ増強化学気相成長(PECVD)、又は電子ビーム蒸着によって形成される。
【0043】
更に
図6を参照すると、犠牲剥離層126をパターニングして、電流拡散層ピラー118のアレイの上に、開口部128のアレイを形成する。一実施形態では、各開口部128は、下層の導電性コンタクト124を露出させる。以下の説明でより明らかとなるように、この犠牲剥離層126内の開口部128の寸法は、形成される安定化支柱の寸法及び接触面積に対応するものであり、また結果的に、安定化支柱のアレイによって支持され、それらのアレイから採取される準備が整ったLEDデバイスのアレイを、ピックアップするために克服しなければならない、接着強度に対応するものである。一実施形態では、開口部128は、リソグラフィ技術を使用して形成され、約0.5μm×0.5μmの長さ及び幅を有するが、これらの開口部は、より大きく、又はより小さくすることもできる。一実施形態では、開口部128は、電流拡散層ピラー118の幅(又は、面積)よりも小さい幅(又は、面積)を有する。
【0044】
ここで
図7A、
図7Bを参照すると、一部の実施形態では、パターン化犠牲剥離層126の上に、安定化層130が形成され、このパターン化バルクLED基板100は、キャリア基板140に接合される。本発明の実施形態によれば、安定化層130は、接着接合材料で形成することができる。一実施形態では、この接着接合材料は、ベンゾシクロブテン(BCB)又はエポキシなどの、熱硬化性材料である。例えば、この熱硬化性材料は、形成されるLEDデバイス上の導電性コンタクト124から離層することがないように、硬化の間の10%以下の体積収縮、又は、より詳細には、硬化の間の6%以下の体積収縮を伴い得る。接着を向上させるためには、BCB安定化層の場合、下層の構造体を調整するために、Dow Chemical Companyより入手可能なAP3000などの接着促進剤で、その下層の構造体を処理することができる。パターン化犠牲剥離層126の上に安定化層130を塗布する前に、AP3000を、例えば、その下層の構造体上にスピンコーティングして、ソフトベーク(例えば、100℃)又は遠心脱水することにより、溶媒を除去することができる。
【0045】
一実施形態では、安定化層130は、パターン化犠牲剥離層126の上に、スピンコーティング又はスプレーコーティングされるが、他の塗布技術を使用することもできる。安定化層130の塗布に続けて、この安定化層をプリベークすることにより、溶媒を除去することができる。安定化層130のプリベークの後、このパターン化バルクLED基板100は、その安定化層130で、キャリア基板140に接合される。一実施形態では、接合は、安定化層130を硬化させることを含む。安定化層130がBCBで形成される場合、硬化温度は、約350℃を超過するべきではなく、この温度は、BCBが分解を開始する温度を表すものである。安定化層の100%の完全硬化を達成することは、本発明の実施形態によれば、必要とされない場合がある。一実施形態では、安定化層130は、十分な硬化率(例えば、BCBに関しては70%以上)まで硬化され、この時点で、安定化層130は、もはやリフローすることはない。更には、部分的に硬化したBCBは、キャリア基板140及びパターン化犠牲剥離層126との、十分な接着強度を保有し得ることが認められている。一実施形態では、安定化層は、犠牲剥離層の剥離操作に十分抵抗するように、十分に硬化させることができる。
【0046】
一実施形態では、安定化層130は、電流拡散層ピラー118、及びパターン化犠牲剥離層126内の開口部128の高さよりも厚い。この方式で、開口部128を充填する安定化層の厚さが、安定化支柱132となり、充填された開口部128の上の、安定化層130の厚さの残部が、パターン化バルクLED基板100をキャリア基板140に接着接合する機能を果たし得る。
【0047】
図7Aに示される実施形態では、キャリア基板140に接合された後、安定化層130の連続部分が、キャリア基板140の上に維持される。
図7Bに示される実施形態では、形成される安定化支柱132の下方に、安定化層130の厚さが存在しないように、犠牲剥離層126(又は、別の中間層)が、接合の間、キャリア基板140に押し付けられる。そのような実施形態では、閉じ込め溝116は、接合の間、安定化層に関する越流空洞部として機能し得る。
【0048】
キャリア基板140へのパターン化バルクLED基板100の接合に続けて、
図8に示されるように、ハンドル基板
102が除去される。ハンドル基板102の除去は、成長基板102の材料選択に応じて、レーザリフトオフ(LLO)、研削、及びエッチングを含めた、様々な方法によって達成することができる。ハンドル基板102が、GaAsで形成された成長基板である、図示の特定の実施形態では、エッチング、又は研削とエッチングとの組み合わせによって、除去を達成することができる。例えば、GaAs成長基板102は、H
2SO
4+H
2O
2溶液、NH
4OH+H
2O
2溶液、又はCH
3OH+Br
2の化学作用で除去することができる。
【0049】
ここで
図9を参照すると、成長基板102の除去に続けて、上部導電性コンタクト層152を形成することができる。上部導電性コンタクト層152は、金属、導電性酸化物、及び導電性ポリマーを含めた、様々な導電材料で形成することができる。一実施形態では、導電性コンタクト層152は、蒸着又はスパッタリングなどの、好適な技術を使用して形成される。一実施形態では、導電性コンタクト層152は、透明電極材料で形成される。導電性コンタクト層152は、BeAu金属合金、又はAu/GeAu/Ni/Au層の金属スタックを含み得る。導電性コンタクト層152はまた、インジウムスズ酸化物(ITO)などの、透明導電性酸化物(TCO)とすることもできる。導電性コンタクト層152はまた、1つ以上の金属層と導電性酸化物との組み合わせとすることもできる。一実施形態では、導電性コンタクト層152は、厚さ約300オングストロームのITOである。一実施形態では、導電性コンタクト層152の形成の後、この基板スタックをアニールすることにより、導電性コンタクト層と電流拡散層104との間にオーム接触を生成する。安定化層130がBCBで形成される場合、アニール温度は、約350℃未満とすることができ、この時点でBCBが分解する。一実施形態では、アニール処理は、200℃〜350℃、より詳細には、約320℃で、約10分間実行される。
【0050】
一実施形態では、上部導電性コンタクト層152の形成の前に、オーム接触層150を任意選択的に形成することにより、電流拡散層104とオーム接触させることができる。一実施形態では、オーム接触層150は、金属層とすることができる。一実施形態では、オーム接触層150は、薄いGeAu層である。例えば、オーム接触層150は、厚さ50オングストロームとすることができる。図示の特定の実施形態では、オーム接触層150は、LEDデバイス内に光が反射して戻り、潜在的に発光を低減させることがないように、LEDデバイス内部の電流閉じ込め区域に対応する、電流拡散層ピラー118の真上には形成されない。一部の実施形態では、オーム接触層150は、電流拡散層ピラー118の周囲にリングを形成する。
【0051】
ここで
図10を参照すると、本発明の実施形態に従って、犠牲剥離層内に埋め込まれたLEDデバイス156のアレイを形成するように、アレイ
のメサ溝154が、LEDデバイス層115内に形成される。図示の実施形態では、メサ溝154は、電流拡散層ピラー118のアレイの間で横方向に、上部導電性コンタクト層152及びLEDデバイス層115を貫通して延在し、犠牲剥離層上で停止することにより、LEDデバイス156のアレイを形成する。図示のように、各LEDデバイス156は、デバイス層115を貫通して形成された側壁部168と、電流拡散層ピラーのアレイのうちの1つの電流拡散層ピラー118とを有する、メサ構造体を含む。一実施形態では、電流拡散層ピラー118は、LEDデバイス156の側壁部168から等しく電流を閉じ込めるように、LEDデバイス156の中央部を中心として配置される。この時点で、得られた構造体は、後続の犠牲層除去及び静電ピックアップに関して基板を準備するための、取り扱い及び洗浄操作に対しては、依然として堅牢である。エッチングは、乾式エッチングなどの、好適な技術を使用して実行することができる。例えば、反応性イオンエッチング(RIE)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE)、及び化学支援イオンビームエッチング(CAIBE)などの、乾式エッチング技術を使用することができる。これらのエッチング化学作用は、Cl
2、BCl
3、又はSiCl
4などの化学種を含む、ハロゲン系のものとすることができる。一実施形態では、エッチングは、パッシベーション層120を貫通して継続され、犠牲剥離層126上で停止する。
【0052】
更に
図10を参照すると、一実施形態では、各LEDデバイス156上の上部導電性コンタクト152は、各LEDデバイス156の上面全体を実質的に覆う。そのような構成では、
図15A〜
図15Eでより詳細に説明されるように、上部導電性コンタクト152は、静電転写ヘッドとの接触のための大きい平坦表面を提供するように、最大利用可能表面積を実質的に覆う。このことにより、静電転写ヘッドアセンブリの、ある程度の位置合わせの許容誤差が可能となり得る。
【0053】
個別の、横方向に分離したLEDデバイス156の形成に続けて、犠牲剥離層126を除去することができる。
図11Aは、本発明の実施形態に係る、犠牲剥離層の除去後の、安定化支柱132のアレイによって支持されたLEDデバイス156のアレイの側断面図である。図示の実施形態では、犠牲剥離層126が完全に除去されることにより、各LEDデバイス156の下方に、開放空間がもたらされる。HF蒸気、又はCF
4若しくはSF
6プラズマなどの、好適なエッチング化学作用を使用して、SiO
2又はSiN
x犠牲剥離層126をエッチングすることができる。一実施形態では、LEDデバイス156のアレイは、安定化支柱132のアレイ上に存在し、安定化支柱132のアレイのみによって支持される。図示の実施形態では、犠牲剥離層126の除去の間に、パッシベーション層120は除去されない。一実施形態では、パッシベーション層120は、Al
2O
3で形成され、SiO
2又はSiN
x犠牲剥離層126が、蒸気HFで選択的に除去される。
【0054】
更に
図11Aを参照すると、このLEDデバイスは、第1の電流拡散層ピラー118と第2の電流拡散層104との間に、活性層108を含み、第1の電流拡散層ピラー118は、第1のドーパント型でドープされ、第2の電流拡散層104は、第1のドーパント型とは反対の、第2のドーパント型でドープされる。第1のクラッド層110が、第1の電流拡散層ピラー118と活性層108との間に存在する。第2のクラッド層106が、第2の電流拡散層104と活性層108との間に存在する。第1の電流拡散層ピラーは、第1のクラッド層110から離れる方向に突出し、第1のクラッド層110は、第1の電流拡散層ピラー118よりも幅広である。一実施形態では、第1の電流拡散層ピラー118は、底部電流拡散層ピラーであり、第1のクラッド層110は、底部クラッド層であり、第2のクラッド層106は、上部クラッド層であり、第2の電流拡散層は、このLEDデバイスの上部電流拡散層である。図示のように、パッシベーション層120が、底部クラッド層110の底面、及び底部電流拡散層ピラー118の側壁部に沿って、広がり得る。底部電流拡散層ピラー118の底面上のパッシベーション層120内に、開口部が形成される。底部導電性コンタクト124が、このパッシベーション層内の開口部内部に、底部電流拡散層ピラー118と電気的に接触して形成される。一実施形態では、この底部導電性コンタクトは、底部クラッド層110とは直接電気的に接触しない。一実施形態では、上部電流拡散層104の上面162は、底部電流拡散層ピラー118の底面よりも幅広である。このことは、電流を閉じ込める構造体に加えて、静電ピックアップのための、より大きい表面積を可能にし得る。一実施形態では、LEDデバイス156は、支柱132によって支持され、この支柱132の上面の表面積は、底部電流拡散層ピラー118の表面積よりも小さい。
【0055】
本発明の実施形態によれば、LEDデバイス156は、マイクロLEDデバイスとすることができる。一実施形態では、LEDデバイス156は、300μm以下、又はより具体的には約100μm以下の、上部電流拡散層104の上面162での最大幅又は最大長さを有する。LEDデバイス156内部の活性区域は、底部電流拡散層ピラー118の場所により、上面162よりも小さいものとすることができる。一実施形態では、上面162は、1〜100μm、1〜50μm、又はより具体的には、3〜20μmの最大寸法を有する。一実施形態では、キャリア基板上でのLEDデバイス15
6のアレイのピッチは、(1〜300μm)×(1〜300μm)、又はより具体的には(1〜100μm)×(1〜100μm)、例えば、20μm×20μm、10μm×10μm、若しくは5μm×5μmとすることができる。例示的実施形態では、キャリア基板上でのLEDデバイス156のアレイのピッチは、11μm×11μmである。そのような例示的実施形態では、上面162の幅/長さは、約9〜10μmであり、隣り合うLEDデバイス156間の間隔は、約1〜2μmである。底部電流拡散層ピラー118のサイズ決定は、LEDデバイス15
6の幅、及びLEDデバイス15
6の所望の効率に応じて変化し得る。
【0056】
上記の例示的実施形態では、電流拡散層ピラーを含むLEDデバイス156を形成するための方式が説明される。上記の実施形態では、電流拡散層ピラーは、ハンドル基板からキャリア基板にp−nダイオード層を転写する前にピラーが形成される、片面プロセスを使用して、電流拡散層114から形成される。他の実施形態では、電流拡散層ピラーは、ハンドル基板からキャリア基板にp−nダイオード層を転写した後にピラーが形成される、両面プロセスを使用して、電流拡散層104から形成することができる。したがって、一部の実施形態では、このLEDデバイスのピラー構造体は、反転させることができる。しかしながら、反転したLEDデバイスのピラー構造体は、
図32A〜
図32Eに関連して説明されるような、転写先基板への転写操作に関する、より大きい接触面積を提供し得ない。
【0057】
ここで
図11B〜
図11Dを参照すると、本発明の実施形態に係る、種々の側壁部構成を有するLEDデバイスの、上部−底部の組み合わせ概略図が提供される。図示のように、各LEDデバイスは、メサ構造体側壁部168及び電流拡散層ピラー118を含み得る。側壁部は、それらの形状の中でも特に、
図11Bに示されるような矩形若しくは正方形、
図11Cに示されるような三角形、又は
図11Dに示されるような円形などの、様々な構成を含み得る。電流拡散層ピラー118もまた、矩形、正方形、三角形、円形などを含めた、様々な形状を呈し得る。この方式で、本発明の実施形態は、様々な形状のLEDデバイスと共に使用することができ、それらの様々な形状は、そのLEDデバイスの光抽出及びEQEに影響を及ぼし得る。上述のように、電流拡散層ピラー118は、LEDデバイスの底部から突出し得るものであり、又は、デバイスは反転される場合もあり、電流拡散層ピラー118は、LEDデバイスの上部から突出する。
【0058】
図12Aは、本発明の実施形態に係る、異なる幅を有するLEDデバイスの中心からの距離の関数としての、発光性再結合のプロットである。具体的には、
図12Aは、実線で示されるような、幅10μmのLEDデバイス及び幅100μmのLEDデバイスに関する、300nA/μm
2(30A/cm
2)の動作電流密度でのシミュレーションデータを示す。
図12Aで提供されるシミュレーションデータは、底部電流拡散層内でのピラー形成を伴わない、一定の幅のLEDデバイスに基づくものである。ここで、幅100μmのLEDデバイスに関するシミュレーションデータを具体的に参照すると、(発光をもたらす)発光性再結合は、0μmの距離によって示されるLEDデバイスの中心で、ピーク値となる。このピーク値は、非発光性ゾーンが開始して、発光性再結合が低下を開始する、中心から約40μmまでは、中心から離れる方向に移動しても、比較的一定である。それゆえ、このことは、活性層の外部表面に沿って(例えば、LEDデバイスの側壁部に沿って)非発光性再結合が発生し得ることを示唆するものである。この幅100μmのLEDデバイスに関するシミュレーションデータは、この非発光性ゾーンが、外側側壁部から約10μmで生じ始めることを示唆するものであり、これは、そのLEDデバイスの20%が、非発光性再結合ゾーンの影響を受けることを説明し得る。幅10μmのLEDデバイスに関するシミュレーションデータは、(発光をもたらす)発光性再結合のピーク値が、LEDデバイスの中心でピーク値となり、中心から離れる方向に移動すると、即座に劣化を開始することを示す。更には、この発光性再結合のピーク値は、同じ300nA/μm
2の電流密度で駆動されるにもかかわらず、幅100μmのLEDデバイスに関する発光性再結合のピーク値を大きく下回る。このことは、10μmのLEDデバイス内部では、エッジ効果による非発光性再結合が、LEDデバイスの中心の範囲内であっても支配的であることを示唆するものである、それゆえ、このLEDデバイスの100%が、より低い効率又はEQEをもたらす非発光性再結合ゾーンの影響を受ける恐れがある。
【0059】
図12Bは、本発明の実施形態に係る、異なる幅を有するLEDデバイスの中心からの距離の関数としての、発光性再結合のプロットである。具体的には、
図12Bは、実線で示されるような、幅5μm、10μm、20μm、50μm、及び350μmのLEDデバイスに関する、10nA/μm
2(1A/cm
2)の動作電流密度でのシミュレーションデータを示す。
図12Bで提供されるシミュレーションデータは、円筒形状としての、底部電流拡散層内でのピラー形成を伴わない、一定の幅のLEDデバイスに基づくものである。LEDデバイスのサイズに関わりなく、上部量子井戸内での表面再結合に関する理論値が、約11×10
-23cm
-3秒
-1の値を有する点線として示される。ここで、幅50μmのLEDデバイスに関するシミュレーションデータを具体的に参照すると、(発光をもたらす)発光性再結合は、0μmの距離によって示されるLEDデバイスの中心で、ピーク値となる。このピーク値は、非発光性ゾーンが開始して、発光性再結合が低下を開始する、中心から約15μmまでは、中心から離れる方向に移動しても、比較的一定である。それゆえ、このことは、活性層の外部表面に沿って(例えば、LEDデバイスの側壁部に沿って)非発光性再結合が発生し得ることを示唆するものである。この幅50μmのLEDデバイスに関するシミュレーションデータは、この非発光性ゾーンが、外側側壁部から約10μmで生じ始めることを示唆するものであり、これは、そのLEDデバイスの40%が、非発光性再結合ゾーンの影響を受けることを説明し得る。
【0060】
図12Cは、本発明の実施形態に係る、10nA/μm
2の電流密度での、
図12BのLEDデバイスの最大発光性再結合のプロットである。幅50μmのLEDデバイスに関するシミュレーションデータは、幅350μmのLEDデバイスと比較して、LEDデバイスの中心での発光性再結合の軽度の減少を示す。幅350μmのLEDデバイスに関する8.9、及び幅50μmのLEDデバイスに関する7.5の測定発光性再結合を想定すると、この低減は、中心での約15.7%の低減に及ぶものではあるが、これらのシミュレーション結果は、発光性再結合のピーク値が、中心から更に離れる方向で劣化する前に、LEDデバイスの中心から約15マイクロメートルにわたって維持されることを示すものである、幅20μmのLEDデバイスに関するシミュレーションデータは、幅350μmのLEDデバイスと比較して、LEDデバイスの中心での、より大きい発光性再結合の減少を示す。幅350μmのLEDデバイスに関する8.9、及び幅20μmのLEDデバイスに関する1.2の測定発光性再結合を想定すると、この低減は、中心で約86.5%に及ぶものである。このことは、20μmのLEDデバイス内部では、エッジ効果による非発光性再結合が、LEDデバイスの中心の範囲内であっても支配的であることを示唆するものである、それゆえ、幅20μmのLEDデバイスの100%が、より低い効率又はEQEをもたらす非発光性再結合ゾーンの影響を受ける恐れがある。更に
図12Cを参照すると、発光性再結合による上部量子井戸の光子生成の急速な下落が、幅約50μm以下のLEDデバイスで認められ、LEDデバイスのサイズが縮小される場合の、LEDデバイスの効率に対するエッジ効果の影響を示している。
【0061】
そのような非発光性再結合は、欠陥の結果であり得ると考えられ、例えば、その欠陥は、LEDデバイスのアレイを形成するためにp−nダイオード層を貫通してメサ溝を形成する結果であるか、あるいは、電流フロー及び非発光性再結合を可能にし得る、終端表面でのダングリングボンドによる表面準位の結果であり得る。そのような非発光性再結合は、特に、それらの欠陥を飽和させることが不可能な電流でLEDデバイスが駆動される、IQE曲線の前ドループ領域内での低い電流密度では、そのLEDデバイスの効率に対して著しい影響を及ぼす恐れがある。上記のシミュレーションデータで示されるように、内部閉じ込め電流注入区域を有さないLEDデバイスに関しては、LEDデバイスの幅(及び、活性層の幅)が、約10〜20μmを超えて増大されると、そのデバイスの中心での(発光をもたらす)発光性再結合は、ピーク値が表面再結合に関する理論値に到達するまで、幅の増大と共に増大すると予想される。本発明の実施形態によれば、より多量の欠陥が存在し得る、活性層の外部表面又は側面へと、電流が横方向に拡散しないように、様々な異なる構造体を使用して、活性層内部で、電流注入区域を内部に閉じ込めることができる。結果として、活性層の外側側壁部表面付近の非発光性ゾーン内での、エッジ効果による非発光性再結合の量を低減するか、又は排除することができ、LEDデバイスの効率が増大する。
【0062】
図13は、本発明の実施形態に係る、異なる幅(1μm、2μm、4μm、6μm、8μm、及び10μm)の電流拡散層ピラー(p型ドープ)を有する、例示的な幅10μmのLEDデバイス(量子井戸の幅)に関する、電流密度の関数としての内部量子効率のプロットである。図示のように、これらのデバイスに関するIQEは、ピラーのサイズが10μm(ピラーなし)から1μmへと縮小されると共に増大する。このことは、特に、IQEが欠陥によって支配される恐れがある、IQE曲線の前ドループ領域内の低い電流密度では、このピラー構成が、LEDデバイス内部で、側壁部から離して、注入電流を内部に閉じ込めることに成功していることを示唆するものである。
【0063】
図14は、本発明の実施形態に係る、異なるドーピングの電流拡散層ピラーを有する例示的LEDデバイスに関する、電流密度の関数としての内部量子効率のプロットである。具体的には、
図14で提供されるシミュレーションデータは、幅2μmの電流拡散層ピラーを有する、幅10μmのLEDデバイス(量子井戸の幅)に関するものであり、n型ピラーのシミュレーションデータが、
図13からの幅2μmのp型ピラーのデータと共に提示される。このシミュレーションデータは、p型ピラー構成及びn型ピラー構成の双方に関してIQEが増大し、p型ピラー構成が、より大きいIQEを得ることを示唆するものである。このことは、電子よりも低い移動性を有する正孔に起因し得るものであり、より低い移動性の正孔は、より効果的に閉じ込めることができる点を示唆するものである。
【0064】
図15A〜
図21Aは、本発明の実施形態に係る、ピラー構造体のアレイを形成するためのp−nダイオード層の一部分のエッチング除去に続けた、メサ再成長を含む、LEDデバイスのアレイを形成するための方式の側断面図である。
図15A、
図15Bを参照すると、p−nダイオード層を部分的又は完全に貫通して、メサ再成長溝171をエッチングすることにより、ピラー構造体170を形成することができる。
図15Aを参照すると、ピラー構造体170は、電流拡散層114、クラッド層110、及び活性層108を完全に貫通してエッチングして、クラッド層106上で停止させることによって形成される。例えば、このことは、時限エッチング又は選択的エッチングで達成することができる。一実施形態では、ピラー構造体170をエッチングするために、パターン化マスク176が使用される。例えば、好適なマスク材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、及び窒化アルミニウムとすることができる。
図15Bを参照すると、ピラー構造体170は、p−nダイオード層を完全に貫通してエッチングすることによって形成される。ピラー構造体170は、一部の実施形態によれば、メサ再成長溝171のエッチングが活性層108を越えて進行する限りは、様々な層を含み得る。それゆえ、エッチングは、活性層108を越えた任意の場所で終了させることができる。一実施形態では、エッチングは、電流拡散層104を貫通する完全なエッチングを確実にするために、基板102内に、例えば、数百ナノメートル継続される。エッチングは、電流拡散層閉じ込め溝116の形成に関して上述された、湿式エッチング技術又は乾式エッチング技術などの、好適な技術を使用して実行することができる。例えば、反応性イオンエッチング(RIE)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE)、及び化学支援イオンビームエッチング(CAIBE)などの、乾式エッチング技術を使用することができる。ピラー構造体170を形成するための閉じ込め溝のエッチングに続けて、閉じ込めバリア充填部172が、メサ再成長溝171内部に形成される。
【0065】
図16A、
図16Bに示される実施形態では、閉じ込めバリア充填部172は、
図15A、
図15Bでそれぞれ形成されたメサ再成長溝171を完全に充填して、ピラー構造体170の側壁部174に広がる。
図16Aに示されるように、閉じ込めバリア充填部172は、各ピラー構造体170に関する、電流拡散層114、クラッド層110、及び活性層108の側壁部に広がる。
図16Bに示されるように、閉じ込めバリア充填部172は、各ピラー構造体170に関する、電流拡散層114、クラッド層110、活性層108、クラッド層106、及び電流拡散層104の側壁部に広がる。再成長させた閉じ込めバリア充填部172の所望の高さを達成するために、再成長の後に、マスク176を自己整合エッチングマスクとして使用して、較正された時限エッチングを任意選択的に実行することができる。他の実施形態では、閉じ込めバリア充填部172は、活性層108の側面を覆うために必要な高さまでのみ、形成される。それゆえ、クラッド層110及び電流拡散層114の側面は、閉じ込めバリア充填部172によって包囲されない場合がある。一実施形態では、ピラー構造体170を形成するために使用されたパターン化マスク176はまた、ピラー構造体の頂部上での再成長を阻止するために、並びに、自己整合プロセスを使用して閉じ込めバリア充填部172を形成するために、閉じ込めバリア充填部172の成長の間にも使用される。
【0066】
上述のように、非発光性再結合は、欠陥の結果であり得ると考えられ、例えば、その欠陥は、p−nダイオード層を貫通してエッチングする結果であるか、あるいは、電流フロー及び非発光性再結合を可能にし得る、終端表面でのダングリングボンドによる表面準位の結果であり得る。そのような非発光性再結合は、特に、それらの欠陥を飽和させることが不可能な電流でLEDデバイスが駆動される、IQE曲線の前ドループ領域内での低い電流密度では、そのLEDデバイスの効率に対して著しい影響を及ぼす恐れがある。一実施形態では、閉じ込めバリア充填部172は、ピラー構造体170に沿った、特に活性層108に沿った、利用可能な表面準位を占有するために、MBE又はMOCVDなどの、エピタキシャル成長技術を使用して形成される。この方式で、ピラー構造体170を形成する層よりも、大きいバンドギャップ及び/又は高い抵抗率を保有する、連続的結晶構造体を、ピラー構造体170の横方向周囲に形成することができ、ピラー構造体170を形成する活性層108の周囲には、個別の側壁部は形成されない。本発明の一部の実施形態によれば、閉じ込めバリア充填部172は、活性層108を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部から離して閉じ込めるために、電流注入領域を形成するピラー構造体を横方向で包囲する、電流閉じ込め領域を形成する。
【0067】
一実施形態では、閉じ込めバリア充填部172は、活性層108を形成する材料よりも、大きいバンドギャップ及び/又は大きい抵抗率を有する。一実施形態では、閉じ込めバリア充填部172は、電流拡散層114よりも、大きいバンドギャップ及び/又は大きい抵抗率を有する。閉じ込めバリア充填部172はまた、クラッド層110よりも、大きいバンドギャップ及び/又は大きい抵抗率を有し得る。活性領域よりも大きいバンドギャップを有する閉じ込めバリア充填部172を含むことは、2つの効果を有し得る。1つは、より大きいバンドギャップは、活性層から放出される光に対して透明であり得ることである。もう1つの効果は、より大きいバンドギャップ及び/又はより大きい抵抗率は、再成長させた閉じ込めバリア充填部172を電流が通過して漏洩することを阻止する、ヘテロバリアを作り出すことである。閉じ込めバリア充填部172に関する特定の再成長材料の適合性には、バンドギャップ及び/又は抵抗率に加えて、格子整合などの他の考慮事項が織り込まれる。本明細書で説明される例示的な赤色発光LEDデバイスに関する、例示的材料としては、適合性の順に、GaP、AlP、AlGaP、AlAs、AlGaAs、AlInGaP、AlGaAsPが挙げられ、いずれのAs−P−Al−Ga−Inも、活性層108を形成する材料(単数又は複数)よりも大きいバンドギャップを可能にし得る。潜在的に好適な更なる材料としては、GaN、InN、InGaN、AlN、AlGaN、及び、活性層108を形成する材料(単数又は複数)よりも大きいバンドギャップを有する、任意の窒化合金が挙げられる。赤色発光LEDデバイスに関する閉じ込めバリア充填部172は、更に、ドーパント材料でドープする(例えば、その場でドープする)ことにより、抵抗率を増大させるか、又は、その閉じ込めバリア充填部172を半絶縁性にさせることができる。例えば、本明細書で説明される赤色発光LEDデバイスは、Cr、Ni、又はFeなどの材料でドープすることができる。本明細書で説明される例示的な青色又は緑色発光LEDデバイスに関する、例示的材料としては、GaN、AlGaN、InGaN、AlN、InAlN、AlInGaNが挙げられる。青色又は緑色発光LEDデバイスに関する閉じ込めバリア充填部172は、更に、Fe又はCなどの材料でドープする(例えば、その場でドープする)ことができる。
【0068】
閉じ込めバリア充填部172の形成の後、このp−nダイオード層を、ハンドル基板102からキャリア基板140に転写することができる。
図17Aは、本発明の実施形態に係る、電流拡散層114、クラッド層110、及び活性層108を備えるピラー構造体
170と、そのピラー構造体170を横方向で包囲する、閉じ込めバリア充填部172とを含む、LEDデバイスの側断面図である。
図17Bは、本発明の実施形態に係る、電流拡散層114、クラッド層110、活性層108、クラッド層106、及び電流拡散層104を備えるピラー構造体
170と、そのピラー構造体170を横方向で包囲する、閉じ込めバリア充填部172とを含む、LEDデバイスの側断面図である。
図17A、
図17Bに示される実施形態では、閉じ込めバリア充填部172は、活性層108を通過して流れる電流を、LEDデバイス156の内側部分に、及びLEDデバイスの外側側壁部168から離して閉じ込めるために、ピラー構造体170によって特徴付けられる電流注入領域を横方向で包囲する、電流閉じ込め領域を表す。更には、この閉じ込めバリア充填部172の形成の方式により、ピラー構造体170に沿った、特に活性層108に沿った、利用可能な表面準位が占有される。この方式で、ピラー構造体170と閉じ込めバリア充填部172との間の材料遷移部は、活性層108の周囲に個別の側壁部が形成されない、連続的な結晶構造体となる。結果として、この材料遷移部に沿ったエッジ効果が軽減される。
【0069】
図17A、
図17Bに示される構造体は、
図5〜
図10に関連して上述されたものと同様の加工処理シーケンスを使用して、形成することができる。簡潔性のために、それらの加工処理シーケンスは、別個に説明及び図示されない。支柱132によって支持されたLEDデバイスのアレイを含む、
図17A、
図17Bに示される構造体の形成に続けて、それらのLEDデバイスのアレイを、ピックアップ及び転写先基板への転写の準備が整うように調整するために、LEDデバイス156のアレイ間及び直下に広がる犠牲剥離層126を、
図11Aに関連する上記の説明と同様に、除去することができる。
【0070】
ここで
図18〜
図21Aを参照すると、メサ再成長溝171内部に形成された、多層閉じ込めバリア充填部172を含む構造体が示される。
図18は、バッファ層173と、そのバッファ層173の上面上に成長されたバリア層175とを含む、多層閉じ込めバリア充填部172の図であり、バリア層175は、活性層を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部168から離して閉じ込めるために、活性層108を含むピラー構造体170の側壁部174に、横方向で隣接して形成される。一実施形態では、バッファ層173は、成長基板102とバリア層175との間の、格子遷移層としての役割を果たす。一実施形態では、バッファ層173は、高品質なバリア層175の成長を促進するために、成長基板の組成とバリア層175の組成との間で遷移する、傾斜層である。このことにより、ピラー構造体170に沿った、特に活性層108に沿った、利用可能な表面準位を占有する、バリア層175の形成を促進することができ、それにより、ピラー構造体170と閉じ込めバリア充填部との間の材料遷移部は、活性層108の周囲に個別の側壁部が形成されない、連続的な結晶構造体となる。一実施形態では、バッファ層173は、バリア層175と同じ材料で形成される。一部の実施形態では、バリア層175は、
図16A、
図16Bの閉じ込めバリア充填部172に関連して上述されたように、ドープすることができる。同様に、バッファ層173を、任意選択的にドープすることもできる。一部の実施形態では、バッファ層173の形成は、成長基板102の非意図的なドープ領域103の形成をもたらし得る。
図18を参照すると、一実施形態では、バリア層175は、活性層108の横方向周囲に高品質なバリア層175を形成するために、メサ再成長溝171内部で、活性層108の少なくとも約200ナノメートル下方に成長される。したがって、バッファ層173
からの遷移は、その遷移が、活性層108の少なくとも約200ナノメートル下方で生じる限りは、電流拡散層104又はクラッド層106に横方向で隣接して生じ得る。更には、バリア層175は、
図18に示される活性層108を越えて/上方に、成長が継続される限りは、メサ再成長溝171を完全に充填する必要はない。
【0071】
例示的な赤色発光LEDデバイス構造体では、成長基板102は、GaAsで形成され、バッファ層173は、GaAsからGaPへと傾斜する傾斜層、又はGaPであり、バリア層175は、GaPで形成される。一実施形態では、バリア層175は、活性層108を形成する材料(単数又は複数)よりも、大きいバンドギャップ及び/又は大きい抵抗率を有する。前述のように、バリア層175を、例えば、Cr、Ni、又はFeドーパントでドープすることにより、抵抗率を増大させるか、又は、そのバリア層175を半絶縁性にさせることができる。
【0072】
閉じ込めバリア充填部172の形成の後、このp−nダイオード層を、ハンドル基板102からキャリア基板140に転写することができる。
図19は、本発明の実施形態に係る、ピラー構造体
170と、そのピラー構造体170を横方向で包囲する多層閉じ込めバリア充填部172とを含む、LEDデバイスの側断面図である。
図19に示される構造体は、
図5〜
図10に関連して上述されたものと同様の加工処理シーケンスを使用して、形成することができる。簡潔性のために、その加工処理シーケンスは、別個に説明及び図示されない。支柱132によって支持されたLEDデバイスのアレイを含む、
図19に示される構造体の形成に続けて、それらのLEDデバイスのアレイを、ピックアップ及び転写先基板への転写の準備が整うように調整するために、LEDデバイス156のアレイ間及び直下に広がる犠牲剥離層126を、
図11Aに関連する上記の説明と同様に、除去することができる。
【0073】
図20は、活性層を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部168から離して閉じ込めるための、2つのp−n接合を含む多層閉じ込めバリア充填部172の図である。
図20での多層閉じ込めバリア充填部172は、
図18の多層閉じ込めバリア充填部172と同様に形成することができるが、1つの相違点は、
図18のバリア層175が、p−n−p逆バイアス接合を形成する層192、193、194で置き換えられていることである。この方式で、p−n−p接合を含む閉じ込めバリア充填部172を通過する電路は、ピラー構造体170を通過する電路よりも高い抵抗によって特徴付けることができる。層192、193、194は、バリア層175と同じ材料で形成することができるが、唯一の相違点は、ドーピングである。一実施形態では、バリア充填層192、194は、その場でp型にドープされ(例えば、As/P材料に関しては、Zn、Mg、若しくはC、又は窒化物材料に関しては、Mg)、バリア充填層193は、その場でn型にドープされる(例えば、窒化物材料に関しては、Si、又はAs/P材料に関しては、Si、Sn、S、Se、若しくはTe)。例えば、層192、193、194は、p型ドープGaP(Znドーパント)及びn型ドープGaP(Siドーパント)で形成することができる。層192、193、194は、更に、活性層108を形成する材料(単数又は複数)よりも大きいバンドギャップの材料で形成することにより、放出光に対する透明性を提供することができる。
図20に示されるように、一実施形態では、p型ドープバリア充填層192は、活性層108の上方に成長される。一実施形態では、p型ドープバリア充填層192は、活性層108の上方及び下方の双方に成長されることにより、p型ドープバリア充填層192は、活性層108を完全に横方向で包囲する。再成長構造体を通過する導電性及び電流漏洩に関連するような、より詳細な再成長層192、193、194の説明を、
図21A〜
図21Cに関連して、より詳細に説明する。
【0074】
閉じ込めバリア充填部172の形成の後、このp−nダイオード層を、ハンドル基板102からキャリア基板140に転写することができる。
図21Aは、本発明の実施形態に係る、ピラー構造体
170と、そのピラー構造体170を横方向で包囲する多層閉じ込めバリア充填部172とを含む、LEDデバイスの側断面図である。
図21Aに示される構造体は、
図5〜
図10に関連して上述されたものと同様の加工処理シーケンスを使用して、形成することができる。簡潔性のために、その加工処理シーケンスは、別個に説明及び図示されない。支柱132によって支持されたLEDデバイスのアレイを含む、
図21Aに示される構造体の形成に続けて、それらのLEDデバイスのアレイを、ピックアップ及び転写先基板への転写の準備が整うように調整するために、LEDデバイス156のアレイ間及び直下に広がる犠牲剥離層126を、
図11Aに関連する上記の説明と同様に、除去することができる。
【0075】
図21Bは、本発明の実施形態に係る、ピラー構造体を横方向で包囲する、p−n−p接合を備える閉じ込めバリア充填部172を含む、LEDの拡大断面図である。図示の特定の実施形態では、この特定の構造体が、再成長構造体を通過する導電性及び電流漏洩をどのように阻止するかを実証するために、例示的なドーピング特性が、層によって提供される。図示のように、このp−n−p接合ブロッキング層192、193、194の層を含むメサ再成長構造体は、その再成長構造体を通過する垂直の導電性を阻止する。バッファ層173は、
図21Bでは、任意選択的にn型とすることができる。ピラー構造体内部の活性層108に対する、このブロッキング層192、193、194の特定の場所はまた、再成長構造体内への横方向の漏洩も阻止する。
【0076】
図21Bに示される特定の実施形態では、ピラー構造体170と閉じ込めバリア充填部172との間に、p−p接続型が形成される。p−p接続型では、p型電流拡散層114(又は、p型クラッド層110)が、p型ブロッキング層192に横方向で隣接する。p−p接続型は、ピラー構造体170と閉じ込めバリア充填部172との間に、同等のn−n接続型よりも小さい、デバイス内での電流漏洩をもたらすことが予想される。このことは、n型ブロッキング層が、p型ブロッキング層よりも低い抵抗率を有することに起因し得る。更に
図21Bを参照すると、閉じ込めバリア充填部172を通過する漏洩電流路は、n型ブロッキング層193によって制限され、このn型ブロッキング層193は、コンタクト124、150/152からキャリアが直接供給されない、電気的浮遊領域である。p型電流拡散層114(又は、p型クラッド層110)とのp型ブロッキング層192の重なり合い/接続の長さが短いほど、電流閉じ込めは良好であり、漏洩電流は低い。更には、種々のn型ブロッキング層及びp型ブロッキング層の、ドーピングレベルを制御することが重要である。極めて高い(ピラー構造体170内の、対応の電流拡散層及びクラッド層よりも高い)ドーピングレベルは、そのブロッキング領域内での電荷キャリアの移動性を低減し、逆バイアス接合でのビルトイン電位を増大させることにより、漏洩を低減する。レーザとは異なり、本発明の実施形態に係るLEDでは、極めて高いドーピングレベルによる自由キャリア吸収からの光損失は、問題とはならない。これらのブロッキング層に関しては、著しい光吸収を防止するため、並びに、ブロッキング領域を通過するバリアハイトを増大させて、閉じ込めを促進するためには、より大きいバンドギャップの材料が有益である。
図21Cは、反転したドーピングをピラー構造体170内部に含む、LEDデバイスの実施形態を示すものであり、ピラー構造体170と、ブロッキング層196(n型)、197(p型)、198(n型)を含む閉じ込めバリア充填部172との間に、p−p接続型が維持される。バッファ層173は、
図21Cでは、任意選択的にp型とすることができる。図示のように、
図21Cのn型ブロッキング層196は、
図21Bのn型ブロッキング層193と同様に浮遊している。同様に、p型電流拡散層104(又は、p型クラッド層106)とのp型ブロッキング層197の重なり合い/接続の長さが短いほど、電流閉じ込めは良好であり、漏洩電流は低い。
【0077】
ここで
図22〜
図25を参照すると、電流拡散層104内への注入又は拡散によって、活性層を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部から離して閉じ込めるための、実施形態が示される。
図22を参照すると、限定するものではないが、酸化シリコン又は窒化シリコンなどの、パターン化注入マスク176が、電流分配層114の上に形成された後に、注入により、電流注入領域180を横方向で包囲する、修正閉じ込めバリア領域178を形成する。図示のように、未修正の電流注入領域180が、電流拡散層114内部に維持され、修正閉じ込め電流バリア領域178が、電流拡散層114内部に形成されて、その注入領域180を横方向で包囲する。修正閉じ込めバリア領域1
78は、部分的にクラッド層110内に延在し得る。一実施形態では、修正閉じ込めバリア領域178は、活性層108内部の1つ以上の量子井戸内には延在しない。代替的実施形態では、修正閉じ込めバリア領域178は、活性層108を貫通して延在する。
【0078】
図23を参照すると、一実施形態では、注入は、一連の注入操作で達成される。例えば、実線の濃度プロファイルによって示されるように、高エネルギー注入操作を初回として、その後、より均一な注入濃度を電流拡散層114内部で達成するために、より低い注入操作を連続させることができる。一実施形態では、この注入は、活性層内の1つ以上の量子井戸内には延在しないが、これは、1つ以上の量子井戸内での欠陥の生成が、非発光性再結合に関する部位をもたらす恐れがあると予想されるためである。代替的実施形態では、この注入は、活性層を貫通して延在する。
【0079】
様々な化学種を、電流拡散層114内に注入することができる。一実施形態では、電流拡散に対する欠陥を作り出すために、中性種が電流拡散層114内に注入される。例えば、プロトン衝撃又はプロトン注入としても既知のように、He又はHを注入することができる。このプロトン衝撃によって作り出された損傷が、注入された材料の抵抗率を増大させることになる。一実施形態では、注入は、活性層108を貫通して延在する。そのような実施形態では、損傷の量は、電流閉じ込めに関する抵抗率を増大させるために十分に有意なものであるが、非発光性再結合に関する有意な発生源としての役割を果たすほど、過度に大きい損傷ではない。
【0080】
一実施形態では、電流拡散層114内にドーパントが注入されることにより、その電流拡散層の抵抗率を増大させ、その電流拡散層を半絶縁性にさせるか、又は、その層の再定義されるドーパント型を(例えば、p型からn型に)変更する。例えば、p型ドープ電流拡散層114内には、Siを注入することができ、n型ドープ電流拡散層114内には、Zn又はMgを注入することができる。又は、Fe、Cr、若しくは何らかの他のそのようなドーパントを添加することにより、その層を半絶縁性にさせることができる。
【0081】
図24を参照すると、修正閉じ込めバリア領域178はまた、ドナー層182からの熱拡散によっても形成することができる。ドナー層182の上に、キャッピング層184(例えば、酸化物)を任意選択的に形成することにより、電流分配層114内に拡散を方向付けることができる。一実施形態では、電流拡散層114内にドーパントが拡散されることにより、その電流拡散層の抵抗率を増大させ、その電流拡散層を半絶縁性にさせるか、又は、その層の再定義されるドーパント型を(例えば、p型からn型に)変更する。例えば、p型ドープ電流拡散層114内には、シリコンドナー層182から、Siを拡散させることができ、n型ドープ電流拡散層114内には、Zn又はMgドナー層182から、Zn又はMgを注入することができる。この拡散操作に続けて、ドナー層182及びキャッピング層184が除去される。
【0082】
修正閉じ込めバリア領域178を形成するための、これらの注入操作又は拡散操作に続けて、
図5〜
図10に関連して上述されたものと同様の加工処理シーケンスを使用して、このp−nダイオード層を、ハンドル基板102からキャリア基板140に転写することにより、
図25に示される構造体をもたらすことができる。簡潔性のために、その加工処理シーケンスは、別個に説明及び図示されない。
【0083】
図26Aを参照すると、一実施形態では、修正閉じ込めバリア領域179は、活性層108の1つ以上の量子井戸を貫通して延在するように、高速熱アニールを伴う拡散又は注入を通じて製造されることにより、量子井戸の混合を達成することができ、この量子井戸の混合は、活性層を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部から離して閉じ込めるための、より大きいバンドギャップを有し、かつ電流注入領域181を横方向で包囲する、活性層108の修正閉じ込めバリア領域179を作り出す。1つ以上の量子井戸の混合は、修正閉じ込めバリア領域178に関連して前述されたように、RTAを伴う拡散又は注入を使用して、達成することができる。同様に、そのような実施形態では、未修正の注入領域181、及び修正閉じ込めバリア領域179が、量子井戸層108内部に形成される。量子井戸の混合に関する
図26Aの修正閉じ込めバリア領域179と、電流分配層の隔離に関する
図25の修正閉じ込めバリア領域178との1つの相違点は、
図26Aの修正閉じ込めバリア領域179は、量子井戸の混合を作り出すために、活性層108内に、又は活性層108周辺に、大部分を集中させることができる点である。したがって、活性層108の外側で、均一な陽子又は不純物の濃度プロファイルを達成することは必須ではない。一実施形態では、活性領域108内部に、著しい濃度の陽子又は不純物が注入されることにより、量子井戸と閉じ込めバリアとの間での、Al及びGaの相互拡散が促進される。一実施形態では、この不純物はSiである。
【0084】
量子井戸の混合は、バリア層によって隔てられた複数の量子井戸を、元の量子井戸よりも大きいバンドギャップを有する、単一の混合層に変換する結果をもたらし得る。
図26Bは、本発明の実施形態に係る、量子井戸の混合の前の、それぞれがバリア層の間に挟み込まれた、3つの量子井戸に関する、伝導帯と価電子帯との間のバンドギャップエネルギーのグラフ図を提供する。例えば、これらの量子井戸層及びバリア層は、
図2Bに関連して上述されたものと同様のものとすることができる。3つの量子井戸の層が示されるが、そのような実施形態は例示的なものであり、活性層は、1つ以上の量子井戸層を含み得ることを理解されたい。
図26Cは、量子井戸の混合後の
図26Aの構造体の、伝導帯と価電子帯との間のバンドギャップエネルギーのグラフ図を提供する。図示のように、原子は、結晶構造体内で、注入又は拡散によって作り出された点欠陥に沿って優先的に拡散することにより、従前は別個であった複数の量子井戸及びバリア層を、それらの元の井戸及びバリアの組成の平均である均一な組成を有する、混合修正閉じ込めバリア領域179へと変換させる。この方式で、その新たな層は、元の1つ以上の量子井戸よりも、全体として大きいバンドギャップを有する。このバンドギャップの増大により、注入領域181内部での横方向の電流閉じ込めが可能となる。アルミニウムは特に、高い拡散係数を有することが認められている。一実施形態では、量子井戸の混合は、隣接する量子井戸層よりも高いアルミニウム濃度を含有する1つ以上のバリア層からの、アルミニウムの拡散によって達成される。一実施形態では、アルミニウムは、周囲のアルミニウム含有クラッド層106、108から、活性層内に拡散される。
【0085】
ここで
図27、
図28を参照すると、本発明の実施形態に係る、1つ以上の酸化閉じ込め層を含むLEDデバイスのアレイを形成するための、片面プロセスに関する側断面図が提供される。
図27を参照すると、このLEDデバイスは、上述のような片面加工処理技術に従って製造することができる。
図27に示されるLEDデバイスは、犠牲剥離層126の除去前の、電流閉じ込め構造体が形成されていない、本質的に機能化されたLEDデバイスである。しかしながら、1つの相違点は、1つ以上の被酸化性閉じ込め層185を含むことである。1つ以上の被酸化性閉じ込め層は、クラッド層の上方又は下方のいずれかなどの、LEDデバイス内部の様々な場所に配置することができる。例えば、被酸化性閉じ込め層185は、閉じ込め層106と電流分配層104との間に存在するように示される。しかしながら、他の構成も可能である。例えば、被酸化性閉じ込め層185は、閉じ込め層110と活性層108との間に存在するように示される。様々な場所が可能であり、実施形態は、それらの具体的に示されるものには限定されない。一実施形態では、1つ以上の被酸化性閉じ込め層185は、LEDデバイス内部の他の層よりも容易に酸化される。例えば、1つ以上の被酸化性閉じ込め層185は、p−nダイオード構造体115内部の他の層よりも、比較的高いアルミニウム濃度によって特徴付けることができる。そのような構成では、電流注入領域は、被酸化性閉じ込め層内部に配置された、第1の電流注入領域を含み、電流閉じ込め領域は、その第1の電流注入領域を横方向で包囲する、被酸化性閉じ込め層の第1の酸化領域を含む。ここで
図28を参照すると、犠牲剥離層126の除去の前に、LEDデバイスは、1つ以上の閉じ込め層185を横方向で酸化させるために、酸化操作、例えば、湿式酸化操作に供される。図示のように、閉じ込め層185の横方向の酸化は、活性層108を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部168から離して閉じ込めるために、被酸化性閉じ込め層185の第1の電流注入領域188を横方向で包囲する、第1の酸化領域186(電流閉じ込め領域)をもたらす。
【0086】
1つ以上の被酸化性閉じ込め層185の横方向の酸化に続けて、LEDデバイスのアレイを、ピックアップ及び転写先基板への転写の準備が整うように調整するために、それらのLEDデバイスのアレイ間及び直下に広がる犠牲剥離層126を、
図11Aに関連する上記の説明と同様に、除去することができる。一実施形態では、酸化領域186は、Al
2O
3を含み、犠牲剥離層126は、SiO
2を含む。そのような実施形態では、SiO
2犠牲剥離層126を、Al
2O
3領域186に関連して、選択的に除去することができる。
【0087】
一実施形態では、LEDデバイスの側壁部168に沿って、側壁パッシベーション層を形成することができる。例えば、側壁パッシベーション層を使用して、犠牲剥離層126の除去の間のエッチングから、酸化領域186を防護することができる。側壁パッシベーション層は、転写先基板への転写の際に上部コンタクト層を形成する場合の短絡、及び、静電転写操作の間の隣り合うLEDデバイス間の短絡から、活性層を防護することなどの、他の目的に役立ち得る。側壁パッシベーション層は、前述のような片面プロセスで形成することができる。一実施形態では、側壁パッシベーション
層は、
図29〜
図32に関連して説明されるような、両面プロセスを使用して形成される。
図29を参照すると、ハンドル(成長)基板102によって支持されている間に、p−nダイオード層105を貫通して、メサ溝154が形成される。メサ溝154の形成に続けて、メサ構造体は、
図30に示されるように、1つ以上の被酸化性閉じ込め層185を横方向で酸化させるために、酸化操作、例えば、湿式酸化操作に供される。
【0088】
図31を参照すると、側壁パッシベーション層120が、メサ構造体の上に形成され、そのパッシベーション層120内に開口部が形成されることにより、コンタクト124を露出させる。次いで、犠牲剥離層126が、パッシベーション層120の上に形成され、コンタクト124を露出させる開口部を形成するように、パターニングされる。次いで、転写先基板に接合するために、この構造体の上に、安定化層130を形成することができる。
図32は、本発明の実施形態に係る、転写先基板への転写後、かつ犠牲剥離層126の除去前の、酸化閉じ込め層185を含むLEDデバイスのアレイの側断面図である。詳細には示されないが、オーム接触層150及び導電性コンタクト152が、成長基板102の除去の後に形成される。
【0089】
ここで
図33〜
図35を参照すると、電流拡散層ピラーに隣接するクラッド層内部に
形成される電流閉じ込め領域
を含むLEDデバイスのアレイを形成する方式に関する、側断面図が提供される。
図33は、本発明の実施形態に係る、ドープされた電流拡散層114の側断面図である。
図33は、
図2Aに関連して図示及び説明された構造体と、実質的に同様とすることができるが、1つの相違点は、電流拡散層114及び/又はクラッド層110内部のドーピングである。
図33に示される実施形態では、高度にドープされた電流拡散層114が、非ドープのクラッド層110の上に形成される。例えば、p型ドープ電流拡散層114は、Zn又はMgドーパントで、高度にドープすることができる。
図34を参照すると、次いで、ドープされた電流拡散層114は、
図3に関連する説明と同様に、電流拡散層ピラー190のアレイを形成するようにパターニングされ、その後、アニールすることにより、電流拡散層ピラー190から、下層のクラッド層110内にドーパントを追い出して、クラッド層110内部に、非ドープの電流閉じ込め領域191によって横方向で包囲された、ドープされた電流注入領域192を形成することにより、活性層108を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部から離して閉じ込める。クラッド層110内へのドーパントの拡散に続けて、
図4〜
図10に関連して上述されたように、この構造体をパターニングすることにより、
図35に示される構造体をもたらすができる。
【0090】
図36A〜
図36Eは、本発明の実施形態に係る、マイクロLEDデバイスとすることが可能な、LEDデバイス156を、キャリア基板140から転写先基板300に転写する、静電転写ヘッド204のアレイの側断面図である。
図36A〜
図36Eは、
図11Aの特定のLEDデバイスの転写及び統合を示すが、これは例示であることを意図するものであり、
図36A〜
図36Eで説明及び図示される転写及び統合のシーケンスは、本明細書で説明されるLEDデバイスのうちのいずれの転写及び統合に関しても、使用することができる。
図36Aは、基板200によって支持され、LEDデバイス156のアレイの上に位置決めされた、マイクロデバイス転写ヘッド204のアレイの側断面図であり、LEDデバイス156のアレイは、キャリア基板140上の安定化層130の安定化支柱132上で、安定化されている。次いで、LEDデバイス156のアレイは、
図36Bに示されるように、転写ヘッド204のアレイと接触される。図示のように、転写ヘッド204のアレイのピッチは、LEDデバイス156のアレイのピッチの整数倍である。転写ヘッド204のアレイに、電圧が印加される。この電圧は、ビア207を通じて転写ヘッドのアレイと電気的に接続する、転写ヘッドアセンブリ206内部の作動回路機構から印加することができる。次いで、LEDデバイス156のアレイは、
図36Cに示されるように、転写ヘッド204のアレイでピックアップされる。次いで、LEDデバイス156のアレイは、
図36Dに示されるように、転写先基板300上のコンタクトパッド302(例えば、金、インジウム、スズなど)と接触して定置される。次いで、LEDデバイス156のアレイは、
図36Eに示されるように、転写先基板300上のコンタクトパッド302上に解除される。例えば、転写先基板は、限定するものではないが、ディスプレイ基板、照明基板、トランジスタ若しくはICなどの機能デバイスを有する基板、又は金属再配線を有する基板とすることができる。
【0091】
本発明の実施形態によれば、これらのピックアップ操作、転写操作、及び接合操作の間、キャリア基板、転写ヘッドアセンブリ、又は転写先基板に、熱を適用することができる。例えば、ピックアップ操作及び転写操作の間、転写ヘッドアセンブリを通じて熱を適用することができ、この熱は、LEDデバイスの接合層を溶解させる場合もあれば、又は溶解させない場合もある。転写ヘッドアセンブリは、更に、接合操作の間、転写先基板上に熱を適用することができ、この熱は、LEDデバイス上の接合層又は転写先基板上の接合層のうちの一方を溶解させて、それらの接合層間の拡散を引き起こす場合もあれば、そうではない場合もある。
【0092】
LEDデバイスのアレイに対する把持圧力を作り出すために電圧を印加する操作は、様々な順序で実行することができる。例えば、LEDデバイスのアレイを転写ヘッドのアレイと接触させる前、LEDデバイスを転写ヘッドのアレイと接触させている間、又はLEDデバイスを転写ヘッドのアレイと接触させた後に、電圧を印加することができる。この電圧はまた、接合層に熱を適用する前、適用している間、又は適用した後に、印加することもできる。
【0093】
転写ヘッド204が、2極型電極を含む場合には、一方の電極に負の電圧が印加される特定の時点で、対の他方の電極に正の電圧が印加されるように、また逆も同様に、各転写ヘッド204内の1対の電極にわたって交流電圧を印加することにより、ピックアップ圧力を生成することができる。LEDデバイスのアレイを転写ヘッド204から解除することは、電圧源をオフにすること、電極の対にわたる電圧
を低下
させること、AC電圧の波形を変更すること、及び電圧源を接地することを含めた、様々な方法で達成することができる。
【0094】
ここで
図37A、
図37Bを参照すると、一実施形態では、LEDデバイスのアレイは、ディスプレイ基板に転写及び接合される。例えば、ディスプレイ基板302は、アクティブマトリクスOLEDディスプレイパネル内で使用されるものと同様の、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ基板(すなわち、バックプレーン)とすることができる。
図37Aは、本発明の実施形態に係る、ディスプレイパネル
3700の上面図である。
図37Bは、本発明の実施形態に係る、線X−X及び線Y−Yに沿った
図37Aのディスプレイパネル3700の側面図である。そのような実施形態では、下層のTFT基板300は、各サブピクセル328を独立して駆動するための、作動回路機構(例えば、トランジスタ、コンデンサなど)を含み得る。基板300は、非ピクセル区域と、ピクセル内に配置構成されたサブピクセル328を含むピクセル区域304(例えば、表示区域)とを含み得る。非ピクセル区域は、データ信号(Vdata)をサブピクセルに送信することを可能にするための、各サブピクセルのデータ線に接続されたデータ駆動回路310と、走査信号(Vscan)をサブピクセルに送信することを可能にするための、サブピクセルの走査線に接続された走査駆動回路312と、電力信号(Vdd)をTFTに送信するための電力供給線314と、接地信号(Vss)をサブピクセルのアレイに送信するための接地リング316とを含み得る。図示のように、データ駆動回路、走査駆動回路、電力供給線、及び接地リングは全て、フレキシブル回路基板(FCB)313に接続されており、このフレキシブル回路基板313は、電力供給線314に電力を供給するための電源、及び接地リング316に電気的に接続された電源接地線を含む。このことは、ディスプレイパネルに関する例示的一実施形態であり、代替的構成が可能であることを理解されたい。例えば、駆動回路のうちのいずれかを、ディスプレイ基板300から離れて配置することができ、又はあるいは、ディスプレイ基板300の背面上に配置することもできる。同様に、基板300内部に形成される作動回路機構(例えば、トランジスタ、コンデンサなど)は、
図37Cに示されるように、基板300の上面に接合されるマイクロチップ350と置き換えることができる。
図37A〜
図37Cは、
図11Aの特定のLEDデバイスの統合を示すが、これは例示であることを意図するものであり、
図37A〜
図37Cで説明及び図示される統合のシーケンスは、本明細書で説明されるLEDデバイスのうちのいずれの転写及び統合に関しても、使用することができる。
【0095】
図示の特定の実施形態では、TFT基板300は、データ駆動回路310からのデータ線に接続されるスイッチングトランジスタT1、及び電力供給線314に接続された電力線に接続される駆動トランジスタT2を含む。スイッチングトランジスタT1のゲートはまた、走査駆動回路312からの走査線にも接続することができる。バンク開口部327を含むパターン化バンク層326が、基板300の上に形成される。一実施形態では、バンク開口部327は、サブピクセル328に対応する。バンク層326は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ラミネーション、スピンコーティング、CVD、PVDなどの様々な技術によって形成することができ、不透明、透明、又は半透明の材料で形成することができる。一実施形態では、バンク層326は、絶縁材料で形成される。一実施形態では、バンク層は、放出光又は環境光を吸収するように、ブラックマトリクス材料で形成される。バンク層326の厚さ、及びバンク開口部327の幅は、それらの開口部内部に転写及び接合されるLEDデバイス156の高さ、静電転写ヘッドの高さ、及びディスプレイパネルの解像度に応じて決定することができる。一実施形態では、バンク層326の例示的な厚さは、1μm〜50μmである。
【0096】
導電性底部電極342、接地連絡線344、及び接地リング316を、任意選択的に、ディスプレイ基板300の上に形成することができる。図示の実施形態では、接地連絡線344の配置構成は、ディスプレイパネル3700のピクセル区域304内の、バンク開口部32
7の間に走るものである。接地連絡線344は、バンク層326上に形成することができ、又はあるいは、バンク層326内に開口部332を形成して、バンク層326の下の接地連絡線344を露出させることもできる。一実施形態では、接地連絡線344は、ピクセル区域内のバンク開口部327の間に形成され、非表示区域内の接地リング316又は接地線に電気的に接続される。この方式で、Vss信号が、サブピクセルのマトリクスに、より均一に印加されることにより、ディスプレイパネル3700の全域にわたって、より均一な明度をもたらすことができる。
【0097】
バンク開口部327内部のLEDデバイス156の周囲に形成されるパッシベーション層348は、上部電極層318と底部電極層342との間の電気短絡を防止すること、及び、上部導電性コンタクト152と接地連絡線344との間の、上部電極層318の適切な段差被覆性を提供することなどの、機能を実行することができる。パッシベーション層348はまた、上部電極層318との短絡を未然に防ぐために、底部電極層342の任意の部分を覆うこともできる。本発明の実施形態によれば、パッシベーション層348は、限定するものではないが、エポキシ、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などのアクリル(ポリアクリレート)、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド、及びポリエステルなどの、様々な材料で形成することができる。一実施形態では、パッシベーション層348は、バンク開口部327によって画定されたサブピクセル区域を充填するように、LEDデバイス156の周囲に、インクジェット印刷又はスクリーン印刷することによって形成される。
【0098】
具体的な用途に応じて、上部電極層318は、不透明、反射性、透明、又は半透明とすることができる。上面発光型ディスプレイパネルでは、上部電極層318は、アモルファスシリコン、透明導電性ポリマー、又は透明導電性酸化物などの、透明な導電材料とすることができる。上部電極層318の形成に続けて、基板300の上に、カプセル化層346が形成される。例えば、カプセル化層346は、可撓性のカプセル化層、又は剛体層とすることができる。本発明の一部の実施形態によれば、環境光の反射を抑制するための、円偏光子が必要とされない場合がある。結果として、本発明の実施形態に係るディスプレイパネル
3700は、円偏光子を有さずにパッケージ化されることにより、そのディスプレイパネルの輝度の増大をもたらすことができる。
【0099】
一実施形態では、1つ以上のLEDデバイス156が、1つのサブピクセル回路内に配置構成される。LEDデバイス156の第1の端子(例えば、底部導電性コンタクト)が、駆動トランジスタと結合される。例えば、LEDデバイス156は、駆動トランジスタと結合されたボンディングパッドに結合することができる。一実施形態では、LEDデバイス156の冗長対が、駆動トランジスタT2と結合された底部電極342に接合される。1つ以上のLEDデバイス156は、閉じ込め電流注入区域を含む、本明細書で説明されるLEDデバイスのうちのいずれかとすることができる。接地線が、1つ以上のLEDデバイスに関する第2の端子(例えば、上部導電性コンタクト)と結合される。
【0100】
電流は、例えば駆動トランジスタT2から、1つ以上のLEDデバイスを通過させて駆動することができる。ハイサイド駆動構成では、1つ以上のLEDデバイスは、サブピクセル回路が、LEDデバイスのp端子を通じて電流を押し出すように、PMOS駆動トランジスタのドレイン側、又はNMOS駆動トランジスタのソース側に存在し得る。あるいは、サブピクセル回路は、ローサイド駆動構成で配置構成することもでき、この場合、接地線が電力線となり、電流は、LEDデバイスのn端子を通じて引き込まれる。
【0101】
本発明の実施形態によれば、サブピクセル回路は、LEDデバイスの特性効率曲線の前ドループ範囲内の、又は前ドループ範囲を越えた最大効率値付近の、比較的低い電流若しくは電流密度で動作し得る。それゆえ、効率を増大させるためにLEDデバイスのサイズを増大させるのではなく、LEDデバイス内部での電流密度を増大させるために、電流注入区域の有効サイズが制限される。LEDデバイスがディスプレイ用途で利用される実施形態では、高出力用途とは対照的に、LEDデバイスは、比較的低い電流範囲で動作することができ、電流密度の微増により、そのLEDデバイスのIQE及びEQEの著しい改善をもたらすことができる。
【0102】
一実施形態では、サブピクセル回路は、駆動トランジスタを備え、閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスの第1の端子(例えば、底部導電性コンタクト)が、この駆動トランジスタと結合され、接地線が、そのLEDデバイスの第2の端子(例えば、上部導電性コンタクト)と結合される。一実施形態では、このLEDデバイスは、駆動トランジスタへの制御信号の送信に応答して、電流をLEDデバイスに通過させて駆動することによって、動作される。一部の実施形態では、この電流は、1nA〜400nAの範囲とすることができる。一実施形態では、この電流は、1nA〜30nAの範囲である。一実施形態では、LEDデバイスは、400ピクセル毎インチ(PPI)の解像度を有するディスプレイ内で、1nA〜30nAの電流で動作される。一実施形態では、この電流は、200nA〜400nAの範囲である。一実施形態では、LEDデバイスは、100PPIの解像度を有するディスプレイ内で、200nA〜400nAの電流で動作される。一部の実施形態では、LEDデバイスは、0.001A/cm
2〜40A/cm
2の閉じ込め電流密度で動作される。一実施形態では、この電流密度は、0.001A/cm
2〜3A/cm
2の範囲である。一実施形態では、そのような電流密度の範囲は、400PPIの解像度を有するディスプレイに適用可能とすることができる。一実施形態では、この電流密度は、0.2A/cm
2〜4A/cm
2の範囲である。一実施形態では、そのような電流密度の範囲は、100PPIの解像度を有するディスプレイに適用可能とすることができる。
【0103】
以下の実施例は、本発明の実施形態に係るLEDデバイスに関する、電流閉じ込めの効果、並びに、効率、電流、及び電流密度の関係を示すために提供される。本発明の実施形態によれば、設計者は、
図1に示される例示的な効率曲線などの、特性効率曲線を有するLEDデバイスの、所望の効率及び輝度を選択することができる。所望の効率及び輝度が選択されると、設計者は、そのLEDデバイス内部での、動作電流、及び閉じ込め電流注入区域のサイズ(例えば、概算的な電流拡散層ピラーの幅)を調整することにより、その所望の効率を達成することができる。
実施例1
【0104】
一実施形態では、ディスプレイパネルは、1920×1800の解像度、及び、63.5μmのRGBピクセルサイズを含む400ピクセル毎インチ(PPI)を有する、5.5インチのフル高精細ディスプレイである。10%のEQEを有するLEDデバイスで、300Nitの出力(白色)を達成するために、このディスプレイパネルは、1つのサブピクセルにつき1つのLEDと想定すると、1つのLED当たり約10nA〜30nAの電流を使用する。10μm×10μmの閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスに関しては、これは、0.01A/cm
2〜0.03A/cm
2の電流密度に対応する。これは、標準的なLEDに関する通常動作条件又は設計動作条件を大きく下回る。
実施例2
【0105】
一実施形態では、実施例1のパラメータは同じであるが、より小さい1μm×1μmの閉じ込め電流注入区域を有する。この縮小された電流注入区域の場合、対応する電流密度は、1A/cm
2〜3A/cm
2に増大する。それゆえ、実施例2は、10nA〜30nAの動作電流での、10μm×10μmから1μm×1μmへの電流注入区域の小さい変化が、電流密度に対する著しい効果を有し得ることを示す。同様に、この電流密度の変化は、LEDデバイスの効率に影響を及ぼし得る。
実施例3
【0106】
一実施形態では、ディスプレイパネルは、1920×1800の解像度、及び、63.5μmのRGBピクセルサイズを含む400ピクセル毎インチ(PPI)を有する、5.5インチのフル高精細ディスプレイである。各サブピクセルは、10μm×10μmの閉じ込め電流注入区域を有する、1つのLEDデバイスを含む。輝度は、300Nitの出力(白色)に維持される。この実施例では、40%のEQEを達成することが所望される。この増大された効率の場合、より低い動作電流を使用することができる。一実施形態では、1つのLED当たり3nA〜6nAの動作電流が選択される。これらのパラメータの場合、10μm×10μmの閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスは、0.003A/cm
2〜0.006A/cm
2で動作し、1μm×1μmの閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスは、0.3A/cm
2〜0.6A/cm
2で動作する。
実施例4
【0107】
一実施形態では、ディスプレイパネルは、254μmのRGBピクセルサイズを含む、より低い100PPIの解像度を有する、5.5インチのディスプレイである。10%のEQEを有するLEDデバイスで、300Nitの出力(白色)を達成するために、このディスプレイパネルは、1つのサブピクセルにつき1つのLEDと想定すると、1つのLED当たり約200nA〜400nAの、より高い動作電流を使用する。10μm×10μmの閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスに関しては、これは、0.2A/cm
2〜0.4A/cm
2の電流密度に対応する。1μm×1μmの閉じ込め電流注入区域は、20A/cm
2〜40A/cm
2の電流密度に対応し、3μm×3μmの閉じ込め電流注入区域は、2A/cm
2〜4A/cm
2の電流密度に対応する。それゆえ、実施例4は、より低い解像度のディスプレイの場合、LEDデバイスの密度がより小さくなり、より高い解像度のディスプレイと同様の明度(300Nit)を達成するためには、より高い動作電流が使用されることを示す。
実施例5
【0108】
一実施形態では、ディスプレイパネルは、35μmのRGBピクセルサイズを含む、716PPIを有する。10%のEQEを有するLEDデバイスで、300Nitの出力(白色)を達成するために、このディスプレイパネルは、約4〜7nAの動作電流を使用する。これらのパラメータの場合、10μm×10μmの閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスは、0.004A/cm
2〜0.007A/cm
2で動作し、1μm×1μmの閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスは、0.4A/cm
2〜0.7A/cm
2で動作する。
実施例6
【0109】
別の実施形態では、必要とされるディスプレイの明度は、3000Nitに増大される。上記の全ての実施例では、同じEQEが目標となる場合には、必要とされる電流は、約10倍に増大する。続いて、電流密度もまた、上記の実施例に関して10倍に増大する。一実施形態では、必要とされる動作明度は、300Nit〜3000Nitの範囲である。電流、及び続いて電流密度は、300Nitの範囲の1〜10倍の範囲にわたる。ここで300Nit〜3000Nitが必要とされる、(上記の)実施例1及び実施例2の場合では、10μm×10μmの閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスは、0.01A/cm
2〜0.3A/cm
2の電流密度で動作し、1μm×1μmの閉じ込め電流注入区域を有するLEDデバイスは、1A/cm
2〜30A/cm
2で動作する。
【0110】
上記の例示的実施形態のそれぞれでは、ディスプレイの明度は、LEDデバイスが、標準的なLEDに典型的ではない、極めて低い電流密度で動作しているような明度である。標準的なLEDの典型的性能は、1A/cm
2未満の電流密度では、低いIQEを示す。本発明の実施形態によれば、電流注入区域は、電流密度を増大させることができるように閉じ込められることにより、IQE及びEQEが最適化される電流密度方式での、LEDデバイスの動作が可能となる。
【0111】
一実施形態では、LEDデバイスは、ディスプレイ基板の表示区域内で、ディスプレイ基板に接合される。例えば、ディスプレイ基板は、上述のLEDデバイスが1つ以上のサブピクセルのアレイ内に組み込まれる、ピクセル構成を有し得る。LEDデバイスのサイズもまた、サブピクセルの利用可能面積と共に、拡大縮小可能とすることができる。一部の実施形態では、LEDデバイスは、100 PPI以上の解像度を有するディスプレイ基板に接合される。上記で提供された実施例では、例示的な35μmの赤−緑−青(RGB)ピクセルサイズが、716 PPIを有するディスプレイに関して説明され、63.5μmのRGBピクセルサイズが、400 PPIを有するディスプレイに関して説明され、254μmのRGBピクセルサイズが、100 PPIを有するディスプレイに関して説明された。一部の実施形態では、LEDデバイスは、100μm以下の最大幅を有する。ディスプレイの解像度が増大すると共に、LEDデバイスに関する利用可能空間が減少する。一部の実施形態では、LEDデバイスは、20μm以下、10μm以下、又は更に5μm以下の最大幅を有する。
図12A〜
図12Cに関連する上記の論考を再び参照すると、活性層の外部表面に沿って(例えば、LEDデバイスの側壁部に沿って)非発光性ゾーンが生じることにより、LEDデバイスの効率に影響を及ぼし得る。本発明の実施形態によれば、電流注入領域は、活性層を通過して流れる電流を、LEDデバイスの内側部分に、及びLEDデバイスの側壁部から離して閉じ込めるように、LEDデバイス内部に形成される。一部の実施形態では、電流注入領域は、ピラー構成の電流拡散層を形成することによって作り出され、この電流拡散層ピラーは、クラッド層から突出し、この電流拡散層ピラーの幅は、活性層の内部の範囲内に電流を閉じ込めるために、LEDデバイスの幅(例えば、活性層の幅)に対して調節することができる。そのような構成では、電流注入領域は、その電流拡散層ピラーの幅又は直径に対応する。他の実施形態では、電流注入領域は、その電流注入領域を横方向で包囲する、電流閉じ込め領域を形成することによって作り出される。例えば、このことは、閉じ込めバリア充填部のメサ再成長、注入若しくは拡散による電流拡散層の修正、量子井戸の混合、及び/又はクラッド層の酸化によって達成することができる。閉じ込め電流注入領域を提供するための上記の実施形態は、別個に説明されているが、それらの実施形態のうちの一部を組み合わせることができる点を理解されたい。一部の実施形態では、電流注入領域は、1〜10μmの幅を有する。一実施形態では、電流注入領域は、約2.5μmの幅又は直径を有する。
【0112】
図38は、一実施形態に係るディスプレイシステム3800を示す。このディスプレイシステムは、プロセッサ3810、データ受信機3820、ディスプレイ3830、並びに、走査駆動IC及びデータ駆動ICとすることが可能な1つ以上のディスプレイ駆動IC3840を収容する。データ受信機3820は、無線又は有線でデータを受信するように構成することができる。無線は、限定するものではないが、Wi−Fi(登録商標)(IEEE 802.11ファミリー)、WiMAX(登録商標)(IEEE 802.16ファミリー)、IEEE 802.20、ロングタームエボリューション(LTE(登録商標))、Ev−DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM(登録商標)、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth(登録商標)、これらの派生物、並びに、3G、4G、5G、及びそれ以上として指定される任意の他の無線プロトコルを含めた、幾つかの無線規格又はプロトコルのうちのいずれかで実装することができる。1つ以上のディスプレイ駆動IC3840は、ディスプレイ3830に、物理的かつ電気的に結合することができる。
【0113】
一部の実施形態では、ディスプレイ3830は、上述の本発明の実施形態に従って形成される、1つ以上のLEDデバイス156を含む。ディスプレイシステム3800は、その用途に応じて、他の構成要素を含み得る。これらの他の構成要素としては、限定するものではないが、メモリ、タッチスクリーンコントローラ、及びバッテリが挙げられる。様々な実装では、ディスプレイシステム3800は、テレビ、タブレット、電話機、ラップトップ、コンピュータモニタ、キオスク、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機、メディアディスプレイ、電子書籍ディスプレイ、又は大面積サイネージディスプレイとすることができる。
【0114】
図39は、一実施形態に係る照明システム3900を示す。この照明システムは、電源3910を収容し、この電源3910は、電力を受信するための受信インタフェース3920、及び光源3940に供給される電力を制御するための電力制御ユニット3930を含み得る。電力は、照明システム3900の外側から、又は照明システム3900内に任意選択的に含まれるバッテリから、供給することができる。一部の実施形態では、光源3940は、上述の本発明の実施形態に従って形成される、1つ以上のLEDデバイス156を含む。様々な実装では、照明システム3900は、広告照明、建物照明、街路照明、電球、及びランプなどの、室内又は室外照明用途とすることができる。
【0115】
本発明の様々な態様を利用する際、当業者には、閉じ込め電流注入区域のいずれか1つを含むLEDデバイスを形成するために、上記の実施形態の組み合わせ又は変形態様が可能であることが、明らかとなるであろう。本発明は、構造的特徴及び/又は方法論的行為に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明は、必ずしも、説明された特定の特徴又は行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、開示される特定の特徴及び行為は、本発明を例示するために有用な、特許請求される発明の特に適切な実装として理解されるべきである。