(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186522
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】接触力のレンジ及び方向の情報をフィードバックする血管内介入触覚プローブ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20170814BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
A61M25/01
A61M25/00 520
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-567964(P2016-567964)
(86)(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公表番号】特表2017-510392(P2017-510392A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】CN2015074146
(87)【国際公開番号】WO2015143998
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】201410123074.4
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516288055
【氏名又は名称】シャンハイ カデンツァ メディカル テクノロジー シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI CADENZA MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】ジャ,ルゥオチー
(72)【発明者】
【氏名】ジャ,ゾォンイ
【審査官】
和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第01/070117(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0191830(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103041495(CN,A)
【文献】
特開平09−135905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/01
A61M 25/00
A61B 1/00
A61B 5/00
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延びる中心柱と、
中心柱の外周に均一に配置される多数の側壁電極と、
周方向に沿って中心柱の外周を取り囲む導電性のあるコンタクトスリーブであって、
頂部と側壁を有し、前記頂部は、弾性体により前記中心柱の前端に接続され、前記側壁の第一端は、前記頂部に接続され、第二端は、周方向に沿って前記多数の側壁電極の外周を取り囲み、且つ、前記側壁と各前記側壁電極の間には、径方向における隙間が存在する、コンタクトスリーブと、
前記中心柱に接続され、且つ、前記コンタクトスリーブの頂部との間に第1軸方向距離を有する頂部電極と、
前記中心柱に固定され、且つ、軸方向においてコンタクトスリーブと頂部電極の後方に位置される予備警報電極と、
を有し、
前記コンタクトスリーブは、前記中心柱に対して径方向に移動することができ、且つ、多数の側壁電極のうちの少なくとも一つと電気的な接続が形成されることで、側面接点信号を発生させることができ、
前記コンタクトスリーブは、前記中心柱に対して軸方向に移動することができ、前記コンタクトスリーブの前記中心柱に対する軸方向の移動が前記第1軸方向距離に達した時に、前記コンタクトスリーブと前記頂部電極の電気的な接続が形成されて頂部接点信号を発生され、
前記コンタクトスリーブが前記中心柱に対して軸方向に移動されて、前記第1軸方向距離より大きい第2軸方向距離に達した時に、前記コンタクトスリーブと前記予備警報電極の電気的な接続が形成されて予備警報信号を発生させる構成とする、
ことを特徴とする触覚プローブ。
【請求項2】
前記頂部電極は、可動式で前記中心柱に接続され、
前記コンタクトスリーブが前記中心柱に対して軸方向に移動して、移動の距離が第1軸方向距離より大きい時に、
前記頂部電極は、前記コンタクトスリーブと一緒に中心柱に対して軸方向に移動ができる、
ことを特徴とする請求項1に記載の触覚プローブ。
【請求項3】
前記中心柱に固定される側壁電極基台を有し、
前記多数の側壁電極及び前記予備警報電極は、いずれも前記側壁電極基台に設置され、且つ、
前記予備警報電極の少なくとも一部分が軸方向において前記コンタクトスリーブの側壁と正確に位置が合わせされ、
前記予備警報電極と前記コンタクトスリーブの側壁の第二端の間に、前記第2軸方向距離が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の触覚プローブ。
【請求項4】
前記多数の側壁電極は、いずれも前記側壁電極基台の前表面に設置され、
前記予備警報電極は、環状電極であり、前記側壁電極基台の外周に設置され、且つ、軸方向において前記コンタクトスリーブの側壁と正確に位置が合わせされる、
ことを特徴とする請求項3に記載の触覚プローブ。
【請求項5】
前記多数の側壁電極は、いずれも前記側壁電極基台の前表面に設置され、
前記予備警報電極は、シート状電極であり、同様に前記側壁電極基台の前表面に設置され、且つ、軸方向において前記コンタクトスリーブの側壁と正確に位置が合わせされる、
ことを特徴とする請求項3に記載の触覚プローブ。
【請求項6】
前記多数の側壁電極は、いずれも前記側壁電極基台の外周に設置され、
前記予備警報電極は、前記側壁電極基台の後表面に設置され、且つ、環状の径方向の延伸部を有し、
前記コンタクトスリーブの側壁と正確に位置が合わせされる、
ことを特徴とする請求項3に記載の触覚プローブ。
【請求項7】
軸方向に沿って延びる中心柱と、
前記中心柱の外周に均一に配置される多数の側壁電極と、
周方向に沿って前記中心柱の外周を取り囲むようにほぼ環状を呈し、且つ、導電性を有するコンタクトスリーブであって、弾性体により前記中心柱の前端に接続される第一端と、前記多数の側壁電極の外周を周方向に取り囲む第二端と、を有し、各前記側壁電極の間に径方向の隙間を有する、コンタクトスリーブと、
前記中心柱に接続され、且つ、前記コンタクトスリーブの第二端との間に第1軸方向距離を有する頂部電極と、
前記中心柱に固定され、且つ、軸方向においてコンタクトスリーブと頂部電極の後方に位置される予備警報電極と、
を有する触覚プローブであって、
前記コンタクトスリーブは、前記中心柱に対して径方向に移動することができ、且つ、多数の側壁電極のうちの少なくとも一つと電気的な接続を形成して側面接点信号を発生させることができ、
前記コンタクトスリーブは前記中心柱に対して軸方向に移動することができ、前記コンタクトスリーブが前記中心柱に対して軸方向に移動して前記第1軸方向距離に達した時に、前記コンタクトスリーブは、前記頂部電極と電気的な接続を形成し、頂部接点信号を発生させ、
前記コンタクトスリーブが前記中心柱に対して軸方向に移動し、前記第1軸方向距離より大きい第2軸方向距離に達した時に、前記コンタクトスリーブは前記予備警報電極と電気的な接続を形成するとともに、予備警報信号を発生させる構成とする、
ことを特徴とする触覚プローブ。
【請求項8】
側壁電極基台であって、
前記多数の側壁電極及び前記頂部電極は、いずれも前記側壁電極基台に固定され、
前記側壁電極基台、頂部電極、多数の側壁電極のうちの一つが弾性コンポーネントにより前記中心柱と接続され、
前記コンタクトスリーブが前記中心柱に対して軸方向に移動してその距離が第1軸方向距離より大きくなった時に、
前記側壁電極基台、頂部電極、多数の側壁電極は、前記コンタクトスリーブと一緒に中心柱に対して軸方向に移動することができることとする、側壁電極基台と、
固定座であって、前記予備警報電極を前記中心柱に固定させるためのものであって、前記頂部電極の少なくとも一部分が軸方向において前記予備警報電極と正確に位置が合わせされることとする、固定座と、
をさらに有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の触覚プローブ。
【請求項9】
前記多数の側壁電極は、いずれも前記側壁電極基台の前表面に設置され、
前記側壁電極基台は、前記弾性コンポーネントにより前記中心柱に接続され、
前記頂部電極は、環状電極であって前記側壁電極基台の外周に設置され、且つ、軸方向において前記コンタクトスリーブの第二端と正確に位置が合わせされる、
ことを特徴とする請求項8に記載の触覚プローブ。
【請求項10】
前記固定座の断面がU字型であり、前記側壁電極基台の断面が逆U字型である、
ことを特徴とする請求項9に記載の触覚プローブ。
【請求項11】
前記多数の側壁電極は、前記側壁電極基台の外周に設置され、
前記頂部電極は、前記側壁電極基台の後表面に設置され、且つ、環状の径方向の延伸部を有し、前記コンタクトスリーブの第二端と正確に位置が合わせされ、
前記頂部電極は、弾性コンポーネントにより前記中心柱に接続される、
ことを特徴とする請求項8に記載の触覚プローブ。
【請求項12】
前記固定座の断面がU字型で、前記頂部電極の断面が逆U字型である、
ことを特徴とする請求項11に記載の触覚プローブ。
【請求項13】
前記頂部電極と前記弾性コンポーネントの間は、絶縁層により隔離される、或いは、前記弾性コンポーネントは絶縁材料で作られる、
ことを特徴とする請求項11に記載の触覚プローブ。
【請求項14】
前記予備警報電極は、前記固定座の外周に設置される環状電極であり、
前記コンタクトスリーブが前記中心柱に対して軸方向に移動して第二軸方向距離に達した時に、
前記コンタクトスリーブの第二端は、前記頂部電極により前記予備警報電極と電気的な接続を形成する、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の触覚プローブ。
【請求項15】
前記予備警報電極は、前記固定座の前表面に設置されるシート状電極であり、
前記コンタクトスリーブが前記中心柱に対して軸方向に移動して第二軸方向距離に達した時に、
前記コンタクトスリーブの第二端は、前記頂部電極により前記予備警報電極と電気的な接続を形成する、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の触覚プローブ。
【請求項16】
前記頂部電極と前記予備警報電極は、それぞれ、いずれも側壁電極と接触しない、或いは、絶縁層により前記多数の側壁電極と隔離される、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の触覚プローブ。
【請求項17】
前記側壁電極の各形状は、柱状、シート状、ドット状、或いは、放射針状である、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の触覚プローブ。
【請求項18】
前記コンタクトスリーブは、前記頂部に接続されるキャップを有し、
前記中心柱の前端及び前記弾性体が前記キャップに覆われる、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の触覚プローブ。
【請求項19】
前記中心柱は中空の柱であり、
治療装置の提供及び/又は薬物を通過させるために、前記コンタクトスリーブのキャップの前端には孔が設けられる、
ことを特徴とする請求項18に記載の触覚プローブ。
【請求項20】
前記中心柱は中実の柱であり、
治療装置の提供及び/又は薬物を通過させるため、前記中心柱の底端の側表面には開孔が設けられる、
ことを特徴とする請求項18に記載の触覚プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器械の分野に属し、特に、接触力のレンジ及び方向の情報をフィードバックする血管内介入触覚プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血管内介入による医学の進歩は、人類の医学史において大きな飛躍であるが、現在、血管内介入、即ち、ガイドカテーテルの挿入の多くは、オペレーターの手触りと経験により盲目的に挿入されるため、血管壁が損傷することがよく発生する。よりひどい者は、血管を破裂させ、大出血の医療事故を引き起こしてしまう。このため、血管内壁が損傷するのを避けるために、臨床に応用できるセンシング機能を有する介入カテーテルを開発することが、本分野において切実に必要とされている。
【0003】
本出願人が提出した発明特許の公開番号CN103041495Aは、血管内介入触覚プローブを開示し、電極スイッチ式センサを用いることにより、血管壁に対するプローブの十七種のコンタクト方向に感知でき、それによって、従来の盲目的な挿入のために介入カテーテルの血管内壁との接触を正確に感知できない問題と、コンタクト方向を識別することができない問題と、が解決された。
【0004】
しかし、このような触覚プローブを使用する際に、当該プローブは、血管壁に接触するカテーテルの方位を示すことができるが、この接触力の大きさを知ることができない、ことがわかった。実際の操作中において、介入カテーテルが血管内の障害物に接触することによく遭遇することがあり、それは例えば、血管は生理的、又は、病理的な要因により狭い部分が形成された場合であるが、この場合には少し力を入れれば障害物を通過することができ、これにより、介入による手術をやり続けさせることもできるし、血管内壁も傷つけることもない。 当該プローブは、障害物の存在しか感知できず、この時に、少し力を入れることにより通過できるかどうかについては知る方法がないため、血管内介入による手術を続けられなくなってしまう。
【0005】
以上に鑑み、接触力のそれぞれの方向を明らかに識別できることはもちろん、接触力の大きさも感知できる血管内介入触覚プローブを提供するために、上記のプローブに対して改善をする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術問題は、コンタクト方向を識別することもでき、また、接触力の大きさを示すこともできる血管内介入触覚プローブを、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術問題を解決するために、本発明の第1態様により提供される触覚プローブは、軸方向に沿って延びる中心柱と、中心柱の外周に均一に配置される多数の側壁電極と、導電性を有し、周方向に沿って中心柱の外周を取り囲むコンタクトスリーブと、を含み、前記コンタクトスリーブは、頂部と側壁を含み、前記頂部は、弾性体により前記中心柱の前端に接続され、前記側壁の第一端は、前記頂部に接続され、第二端は、周方向に沿って前記多数の側壁電極の外周を取り囲み、且つ、前記側壁と各前記側壁電極の間には、径方向における隙間がある。前記中心柱に接続され、且つ、コンタクトスリーブの頂部との間に第1軸方向距離を有する頂部電極と、前記中心柱に固定され、且つ、軸方向においてコンタクトスリーブと頂部電極の後方に位置される予備警報電極と、を含み、そのうち、前記コンタクトスリーブは、中心柱に対して径方向に移動することができ、且つ、多数の側壁電極の中の少なくとも一つと電気的な接続が形成されて、側面接点信号を発生させることができ、そのうち、前記コンタクトスリーブは、中心柱に対して軸方向に移動することができ、前記コンタクトスリーブを中心柱に対して軸方向に移動させて、前記第1軸方向距離に達した時に、前記コンタクトスリーブは前記頂部電極と電気的な接続が形成され、頂部接点信号を発生させ、及び、前記コンタクトスリーブを中心柱に対して軸方向に移動させて、前記第1軸方向距離より大きい第2軸方向距離に達した時に、前記コンタクトスリーブは前記予備警報電極と電気的な接続が形成されるとともに、予備警報信号を発生させる構成とする。
【0008】
上記の技術問題を解決するために、本発明の第2様態により、触覚プローブが提供され、軸方向に沿って延びる中心柱と、中心柱の外周に均一に配置される多数の側壁電極と、ほぼ環状を呈し、且つ、導電性を有し、周方向に沿って中心柱の外周を取り囲むコンタクトスリーブと、を含み、前記コンタクトスリーブは、弾性体により前記中心柱の前端に接続される第一端と、及び、周方向に沿って前記多数の側壁電極の外周を取り囲む第二端と、を有し、且つ、前記コンタクトスリーブと各前記側壁電極の間には、径方向の隙間がある。前記中心柱に接続され、且つ、コンタクトスリーブの第二端との間に第1軸方向距離を有する頂部電極と、前記中心柱に固定され、且つ、軸方向においてコンタクトスリーブと頂部電極の後方に位置される予備警報電極と、を含み、そのうち、前記コンタクトスリーブは、中心柱に対して径方向に移動することができ、且つ、多数の側壁電極の中の少なくとも一つと電気的な接続が形成されて、側面接点信号を発生させることができ、そのうち、前記コンタクトスリーブは、中心柱に対して軸方向に移動することができ、前記コンタクトスリーブを中心柱に対して軸方向に移動させて、前記第1軸方向距離に達した時に、前記コンタクトスリーブは前記頂部電極と電気的な接続が形成されて、頂部接点信号を発生させ、及び、前記コンタクトスリーブを中心柱に対して軸方向に移動させて、前記第1軸方向距離より大きい第2軸方向距離に達した時に、前記コンタクトスリーブは前記予備警報電極と電気的な接続が形成されるとともに、予備警報信号を発生させる構成とする。
【0009】
本発明における触覚プローブが障害物に遭遇した時に、コンタクトスリーブが頂部電極と多数の側壁電極の中の1つ、若しくは、複数との接触により、発生された信号は、接触の方向を正確に示すことができ、オペレーターが、障害物の逆方向に向け回避させるように、介入カテーテルをコントロールするのに便利であり、障害物から離れさせ、障害物を回避させ、引き続き前進するように、介入カテーテルを気軽にコントロールする。限界予備警報電極を設置することにより、接触力の大きさを感知する機能が実現され、プローブの第一抵抗力信号(即ち、頂部接点信号)が発生された時に、プローブの真正面、或いは、斜め前方には、障害物があることを表明するが、コントロールできる範囲内では、まだ前進し続けることができ、プローブの第二信号(即ち予備警報信号)が発生された時に、プローブが出会った抵抗力は、すでに限界に至っていることを表明し、そのまま進むと血管壁を損傷させるので、前進を停止すべきである。
【0010】
そのほか、本装置は、巧妙な構想と、安価な材料と、単純な製造プロセスを用いるため、低コストで製造することができ、血管内治療用使い捨ての消耗品の要件が満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1〜6は、本発明の第一実施例による触覚プローブの断面を示す図である。
【0012】
図7は、本発明の第一実施例による側壁電極の配列を示す図である。
【0013】
図8Aと
図8Bは、限界予備警報電極の変化形式である。
【0014】
図9は、介入カテーテルの開口が側面に位置されていることを示す図である。
【0015】
図10は、本発明の第二実施例による触覚プローブの断面を示す図である。
【0016】
図11〜15は、本発明の第三実施例による触覚プローブの断面を示す図である。
【0017】
図16は、本発明の第四実施例による触覚プローブの断面を示す図である。
【0018】
図17と
図18は、本発明の第三実施例の変化の形態を示す図面である。
【0019】
図19は、本発明の第四実施例の変化の形態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の上記の目的、特徴や優れた点をさらにわかりやすくするために、以下の添付図面を参照しながら、本発明の具体的な実施方法について詳しく説明する。すべての添付図面を非常に簡略化され、又、非正確な比率が用いられているが、本発明の実施例を便利に、明晰に補足説明するためである。
【0021】
血管内介入による手術の臨床経験によると、カテーテルを血管に挿入させる過程において、血管壁に対する損傷は、主に介入カテーテルの真正面、或いは、斜め前方向きの押す力に起因する。しかし、血管は、一定の弾力性を有するため、前記押す力が適切な範囲内でコントロールできるのであれば、血管壁を損傷させない、或いは、非常に軽微な損傷だけを生じさせる。
従って、本発明のコアコンセプトは、介入カテーテルの前端におけるプローブに対して改善をすることであり、当該力の大きさが依然としてコントロールできる範囲内にあるかを識別するために、当該プローブを、真正面、又は、斜め前方から受ける圧力の大小に対して、つまり、真正面、又は、斜め前方における血管壁、もしくは、障害物の押す力の大小に対して、指示させることができるようにし、それによって、一方では、介入カテーテルを血管内で進行させのに役立たせ、もう一方では、介入カテーテルが血管壁に対して損傷を与えるのを防ぐのに有効とさせる。
【0022】
第一実施例
図1は、本発明の第一実施例による触覚プローブの断面を示す図であり、当該触覚プローブは、血管内介入カテーテルの一部分として、介入カテーテルの最前端に取り付けられる。
図1に示すように、当該触覚プローブは、縦軸X−Xに沿って延びる中心柱7と、高分子弾性体5により中心柱7の前端に接続される導電性のあるコンタクトスリーブ1を含み、当該コンタクトスリーブ1は、例えば、電流が通れる環状金属により作られることができる。具体的には、コンタクトスリーブ1は、頂部11と環状側壁12を含み、頂部11は、おおよそ円板形であり、中心柱7の外周にセットさせるために、中央には開孔13を有し、さらに、開孔13の穴径を中心柱7の外径より大きくすることで、コンタクトスリーブ1を中心柱7に対して径方向に移動させることができる移動空間が提供される。
コンタクトスリーブ1の頂部11と環状側壁12は、それぞれ分けて製作して組み合わせることもでき、一体成型することもできる。前記高分子弾性体5は、弾性のある薄膜とすることができ、その中央は、中心柱7の前端に固定され、縁は、コンタクトスリーブ1の頂部11に固定される。高分子弾性体5は、弾力を有するため、コンタクトスリーブ1を中心柱7に対して軸X−X(矢印F2に示される)に沿って前後に移動させ、また、径方向(矢印F1に示される)に移動させる。
図2は、コンタクトスリーブ1が軸方向と径方向に沿って同時に一定の距離を移動した後の状態を示す図である。コンタクトスリーブ1は、全体の触覚プローブの信号入力装置として、ワイヤー(図示せず)により電気信号入力端子に接続される。
【0023】
図1に示すように、触覚プローブは、中心柱7の外周に均一に配置される多数の側壁電極2をさらに有し、前記多数の側壁電極2は、いずれも側壁電極基台9の前表面、即ち、中心柱7の前端を向く表面の上に均一に設置され、側壁電極基台9により中心柱7に固定される。側壁電極2の形は、柱状、シート状、ドット状或いは、放射針状とすることができる。本実施例においては、4つの側壁電極を例とするものであり、
図7は、中心柱7の周りに配列される側壁電極2を示す図であり、
図7に示すように、4つの側壁電極2は、環状となるように等間隔に配列される。コンタクト方向信号の出力装置として、各側壁電極2は、いずれもワイヤー(図示せず)により相応する電気信号出力端子に接続され、コンタクトスリーブ1と協動し、プローブの側方向に障害物があることを示す側面接点信号を出力させるために用いられる。
【0024】
引き続き
図1に参照されるように、コンタクトスリーブ1の環状側壁12の後端は、前記多数の側壁電極2の外周を周方向に取り囲んでおり、しかも、前記環状側壁12と各側壁電極2の間には、径方向の隙間が設けられる。コンタクトスリーブ1が側方向で障害物と接触した場合には、接触面圧が発生し、コンタクトスリーブ1が障害物と接触してその方位で受ける押圧力は、コンタクトスリーブ1を中心柱7に対して径方向へ移動させ、側壁電極2との隙間を減少させ、コンタクトスリーブの側壁12と多数の側壁電極2のある一つ、或いは、ある二つの電極と接触するまで移動することにより、回路がオンになる。
図2は、コンタクトスリーブの側壁12と側壁電極2の一つの接触の発生を示す図である。コンタクトスリーブ1と接触する当該一つ或いは二つの側壁電極2が出力した電気信号により、すぐにコンタクトスリーブ1が障害物と接触した具体的な側方向を示すことができる。各側壁電極2とコンタクトスリーブ1の側壁12の間における径方向の隙間の大きさを調整することにより、プローブが感知する側壁接触の力の大小を調整することができる。本実施例においては、4つの側壁電極しか使用しないが、側壁電極の数はこれに限らず、側壁電極の数が多ければ多いほど、感知される側面のコンタクト方向がより正確になることは、容易に理解される。
【0025】
引き続き
図1に参照されるように、触覚プローブは、さらに、頂部電極3と限界予備警報電極4を有する。当該頂部電極3は、中心柱7の外周にセットされ、側壁電極2とコンタクトスリーブ1の頂部11の間に位置し、ばね6により中心柱7と接続され、中心柱7に対して軸X−Xに沿って前後に移動させることができる。ばね6の一端は、頂部電極3に固定され、他端は、直接に中心柱7に固定させることもでき、或いは、ばね座60により中心柱7に固定させることもできる。当該ばね座60は、中心柱7の外にセットする円環でもよく、一定の剛性を有し、一端は、側壁電極基台9の前表面に支えられており、他端は、ばね6を固定させるために用いられる。
前記限界予備警報電極4は、側壁電極基台9の外周にセットされた金属電極であり、側壁電極2とは互いに接触せず、さらに、コンタクトスリーブ1の環状側壁12とは軸方向において正確に位置が合わせされ、限界予備警報電極4は、中心柱7に対して固定的な位置に配置される。
側壁電極2と同様にするように、頂部電極3と限界予備警報電極4も、それぞれワイヤー(図示せず)により相応する電気信号出力端子に接続され、コンタクトスリーブ1と協動し、プローブの真正面に障害物があることを示す頂部接点信号、及び、介入カテーテルが血管壁に対して加えた真正面、或いは、斜め前方の押す力がすでに限界に達していることを示す予備警報信号を、それぞれ出力させるために用いられる。
【0026】
頂部電極3は、真正面向きの、即ち、コンタクトスリーブの頂部11の方向に向く前表面31を有し、例えば、金属薄片により作られる。好ましく、頂部電極3は、さらに環状保持部32を有することができ、前表面31の縁に接続されることにより、支承する作用が果たされ、頂部電極3が外力の影響を受けた時に大きな変形が発生するのを防ぐ。
【0027】
初期状態において、即ち、コンタクトスリーブ1がいかなる外力の影響を受けない状態において、頂部電極3の前表面31からコンタクトスリーブの頂部11までの軸方向の距離はd1であり、限界予備警報電極4からコンタクトスリーブの側壁12までの軸方向の距離はd2である。コンタクトスリーブ1が真正面で障害物に遭遇した時には、障害物がコンタクトスリーブ1に対して発生させた応力によって、コンタクトスリーブ1を軸X−Xに沿って後方に向かうように駆使する、即ち、頂部電極3の方向に向かって移動させ、移動距離がd1に達した時に、
図3に示すように、コンタクトスリーブの頂部11が頂部電極3の前表面31と接触し、これにより、回路をオンにさせ、頂部電極3より頂部接点信号が出力される。
コンタクトスリーブ1が真正面での接触力の影響で、更に、軸X−Xに沿って後方に移動されるにつれて、コンタクトスリーブ1の頂部11が頂部電極3に向け、後方の圧力を加え、ばね6を圧縮させ、それによって、頂部電極3をコンタクトスリーブ1と一緒に後方に移動し続けるように促進させる。移動距離がd2に達した時に、
図4に示すように、コンタクトスリーブの側壁12は限界予備警報電極4と接続し、それによって、回路をオンにさせ、限界予備警報電極4により予備警報信号が出力され、その時に、プローブは既に限界の圧力にあることを示すため、介入カテーテルを引き続き深く入れることを停止すべきである。
【0028】
図3と
図4は、プローブが真正面で圧力を受け、後方に移動する状況を示すだけであるが、当業者であれば容易に理解できるであろうが、プローブが斜め前方で圧力を受ける時に、軸方向分力と径方向分力が発生され、 コンタクトスリーブ1を軸X−Xに沿って後ろ向きに移動させる以外に、径方向にも沿って移動させ、径方向で一つ或いは、二つの側壁電極2に接触した時に、側面接点信号が同時に発生する。
図5と
図6は、それぞれ、プローブが左側正面で圧力を受けた後にコンタクトスリーブ1が頂部電極3と側壁電極2に接触することを示す図、コンタクトスリーブ1が同時に頂部電極3と側壁電極2と限界予備警告電極4と接触することを示す図である。
【0029】
ここで,設置された4つの側壁電極の状況に対して,仮に、4つの側壁電極がそれぞれ東、南、西、北の4つ方向を表すとすると、当該触覚プローブは、以下26種の指示信号を出すことができる。
前、東、南、西、北、東南、東北、西南、西北、東前、南前、西前、北前、東南前、東北前、西南前、西北前、限界前、限界東前、限界南前、限界西前、限界北前、限界東南前、限界東北前、限界西南前、限界西北前。
側壁電極の数が増えるにつれて、プローブの指示信号はまたさらに増える。
【0030】
そのほか、
図1に示すように、触覚プローブの最前端にさらに、コンタクトスリーブキャップ8を設置することができ、当該コンタクトスリーブキャップ8は、コンタクトスリーブ1と粘着されて一体となるものであり,高分子弾性体5の縁をコンタクトスリーブキャップ8とコンタクトスリーブ1の間に粘着により固定することができる。触覚プローブが障害物に遭遇した時には、コンタクトスリーブキャップ8は、コンタクトスリーブ1と一緒に同時に移動される。コンタクトスリーブキャップ8により、中心柱7の前端と高分子弾性体5をその中に覆い被せることができ、保護作用が果たされる。
【0031】
異なる設計の要求に応じて、中心柱7は、中実にしてもよいし、中空にしてもよい。
図1乃至
図6に示されたのは、中空の中心柱7であり,対応して,高分子弾性体5の中央には穴があいており、コンタクトスリーブキャップ8の前端にも穴があいている(図示せず)。中空の中心柱を使用することにより、介入カテーテルの開口70を真正面に位置させることができる。当該開口70は、介入器械の出入りや水剤薬物の放出に用いることができ、血管壁に対し、なんらの損傷を与えない。仮に中実の中心柱が使用された場合は、介入カテーテルの前端は中実の中心柱により封鎖されるので、介入カテーテルの開口70’は側面に位置される(
図9参照)。この場合、高分子弾性体5’の中央とコンタクトスリーブキャップ8の前端には孔を開ける必要がない。
【0032】
図1乃至
図7に示された側壁電極2と中心柱7の間、及び、側壁電極2とばね座60の間には、比較的小さな隙間があるが、実際に製作する場合には、側壁電極2を中心柱7、或いは、ばね座60に接触させることができる(
図8Aと
図8B参照)。側壁電極2は金属材料で作られるので、一定の剛性を有し、中心柱7の前端にも一定の剛性を持つようにし、それにより、外力の影響により基本的に側壁電極2が曲がることがなく、コンタクトスリーブの側壁12と限界予備警報電極4が軸方向で接触できることが保証される。中実の中心柱を使用した場合には、中心柱の材料について、力を受けても変形しないという要求は、中空の中心柱の場合よりも低い。
【0033】
変化の形態として、
図8Aに示すように、限界予備警報電極4は、側壁電極基台9の前表面に設置されるシート状電極4aであってもよく、又は、
図8Bにおける電極4bに示すように、側壁電極基台9の前表面と側面に同時に形成するものでもよく、又は、限界予備警報電極4が側壁電極2と接触せず、或いは、絶縁層により隔離され、さらに、限界予備警報電極4がコンタクトスリーブの側壁12と軸方向において正確に位置あわせがなされることを確保するのであれば、いかなるふさわしい形状でもよい。
【0034】
第二実施例
本実施例における触覚プローブは、
図10に示すとおりであり、第一実施例と同じ構造は同じ番号で表示する。本発明の第二実施例によれば、触覚プローブは、縦軸X−Xに沿って延びる中心柱7と、高分子弾性体5により中心柱7前端に接続されるコンタクトスリーブ1と、中心柱7の外周に均一に配置される多数の側壁電極2と、ばね6により中心柱7に固定される頂部電極3と、側壁電極基台9’に固定される限界予備警報電極4’と、を有する。第一実施例と異なるのは、本実施例における多数の側壁電極2は周方向に沿って側壁電極基台9’の側壁に均一に配置される一方、限界予備警報電極4’は、側壁電極基台9’の底部に固定され、径方向に沿って外側に向けて伸び、限界予備警報電極4’の少なくとも一部分をコンタクトスリーブ1の環状側壁12の後端に向けさせて、この後端に対し正確に位置が合わさせる。
【0035】
第二実施例の構造を採用することにより、プローブの縦向き(軸方向)の長さを短縮させることができ、プローブの構造が一層コンパクト化され、且つ、ばね6の後端を直接側壁電極基台9’に固定させることができ、それによって、
図1におけるばね座60が省略される。側壁電極2と限界予備警報電極4’の間における電気的な隔離を実現するため、本実施例ではさらに、側壁電極2と限界予備警報電極4’の間に絶縁層10を設けることで、接触信号が混信するのを避ける。そのほか、当該触覚プローブは、さらに、コンタクトスリーブ1と粘着され一体となるコンタクトスリーブキャップ8を含む。
【0036】
本実施例の触覚プローブと第一実施例の動作原理は類似であり、コンタクトスリーブ1を信号入力装置とし、側壁電極2、頂部電極3、限界予備警報電極4’を信号出力装置とする。
図10に示すように、初期状態において、即ち、コンタクトスリーブ1がいかなる外力の影響を受けない状態において、頂部電極3の前表面31からコンタクトスリーブの頂部11までの軸方向の距離はd1であり、限界予備警報電極4’からコンタクトスリーブの側壁12までの軸方向の距離はd2である。コンタクトスリーブ1が真正面で障害物に遭遇した時に、障害物がコンタクトスリーブ1に対して発生した応力によって、コンタクトスリーブ1を軸X−Xに沿って後方に向かうようにように駆使させ、移動距離がd1に達した時に、コンタクトスリーブ1の頂部11が頂部電極3の前表面31と接触され、それによって、回路をオンにさせ、頂部電極3により頂部接点信号が出力される。コンタクトスリーブ1が真正面での接触力の影響で、更に、軸X−Xに沿って後方に移動されるにつれて、ばね6が力を受けて圧縮され、頂部電極3がすぐに、コンタクトスリーブ1に続き、一緒に後方に移動し続ける。移動距離がd2に達した時に、コンタクトスリーブの側壁12は限界予備警報電極4’と接続し、それによって、回路をオンにさせ、限界予備警報電極4’により予備警報信号が出力され、その時に、プローブは既に限界の圧力にあることを示すため、介入カテーテルを引き続き深く入れることを停止すべきである。コンタクトスリーブ1が斜め前方で圧力を受けた時に、コンタクトスリーブ1は、軸X−Xに沿って後方に移動するほかに、径方向にも移動し、径方向で側壁電極2のそのうち一つ又は二つに接触した時に、相応する回路はオンにされ、当該一つ又は二つの側壁電極2により側面接点信号が発生される。
【0037】
第三実施例
本実施例の触覚プローブは、
図11乃至
図15に示すとおりであり、第一実施例と同じ構造は同じ番号で表示される。本発明の第三実施例によれば、触覚プローブは、縦軸X−Xに沿って延びる中心柱7と、高分子弾性体5により中心柱7前端に接続されるコンタクトスリーブ1’と、ばね6により中心柱7に接続され、且つ、中心柱7に対して軸方向に移動される側壁電極基台9と、周方向に沿って、中心柱7の周りに均一に配置され、且つ、側壁電極基台9の前表面に固定される多数の側壁電極2と、側壁電極基台9に設置される頂部電極3’と、固定座40により頂部電極3’の後方に固定される限界予備警報電極4と、を有する。
【0038】
第一実施例と異なるのは、本実施例におけるコンタクトスリーブ1’は、環状側壁の部分だけを有し、
図1における頂部11が省略される。頂部電極3’は、環状電極であり、且つ、コンタクトスリーブ1’の後方に位置され、側壁電極基台9の外周に設置され、頂部電極3’がコンタクトスリーブ1’と軸方向において正確に位置が合わされる。そのほか、第三実施例では、第一実施例を基礎として、一つの断面がおおよそU字型を呈する固定座40を加え、前記ばね6の一端が側壁電極基台9の底部に固定され、他端がU字型の固定座40に固定される。限界予備警報電極4は環状電極であり、且つ、固定座40の外周に固定され、限界予備警報電極4が頂部電極3’と軸方向において正確に位置が合わされる。
【0039】
本実施例の触覚プローブと第一実施例の動作原理は類似であり、コンタクトスリーブ1’を信号入力装置とし、側壁電極2、頂部電極3’、限界予備警報電極4を信号出力装置とする。
図11に示すように、初期状態において、即ち、コンタクトスリーブ1’がいかなる外力の影響を受けない状態において、コンタクトスリーブ1’の底部から頂部電極3’の頂部までの軸方向の距離はd1であり、頂部電極3’の底部から限界予備警報電極4までの軸方向距離はd0である。コンタクトスリーブ1’が真正面で障害物に遭遇した時に、障害物がコンタクトスリーブ1’に対して発生する応力により、コンタクトスリーブ1’を軸X−Xに沿って後方に駆使させる、即ち、頂部電極3’に向かう方向に駆使させ、移動距離がd1に達した時に、
図12に示すように、コンタクトスリーブ1’の底部が頂部電極3’の頂部と接触し、それにより、回路をオンにさせ、頂部電極3’によって頂部接点信号が出力される。コンタクトスリーブ1’が真正面での接触力の影響で、更に、軸X−Xに沿って後方に移動されるにつれて、コンタクトスリーブ1’の底部が頂部電極3’及び頂部電極3’を固定する側壁電極基台9に向けて、後方の圧力を加えてばね6を圧縮させ、それにより、頂部電極3’及び側壁電極基台9を、側壁電極基台9の前表面に固定される多数の側壁電極2と一緒に後方に移動し続けるように促進させる。続いて距離d0を移動した時に、d1+d0を臨界値に達させる、つまり、第一、第二実施例における距離d2に等しくなった時に、
図13示すように、頂部電極3’の底部が限界予備警報電極4に接触し、それにより、コンタクトスリーブ1’を限界予備警報電極4と間接的に接触させる。コンタクトスリーブ1’、頂部電極3’、限界予備警報電極4がいずれも導電性を有するため、相応する回路をオンにさせ、頂部電極3’が続いて頂部接点信号を出力すると同時に、限界予備警報電極4も予備警報信号を出力し、その時に、プローブはもう限界の圧力に到ったということで、介入カテーテルを引き続き深く入れることを停止すべきということになる。上記固定座40の断面をU字型に設計したメリットは、固定座40の前表面において溝が形成されることによって、ばね6を収納するスペースを提供し、頂部電極3’と限界予備警報電極4を接触させるのに適することである。
【0040】
図12と
図13では、プローブが真正面で圧力を受け、後方に移動される状況だけを示したが、プローブが斜め前方で圧力を受ける時に、軸方向分力と径方向分力が発生し、コンタクトスリーブ1’を軸X−Xに沿って後方に移動させるほか、径方向にも移動させ、径方向において一つ、或いは、二つの側壁電極2と接触した時に、側面接点信号が同時に発生されることは、当業者であれば容易に理解することができる。
図14と
図15は、それぞれ、プローブが右側正面で圧力を受けた後に、コンタクトスリーブ1’が頂部電極3’、及び、側壁電極2に接触することを示す図、コンタクトスリーブ1’が頂部電極3’、側壁電極2、限界予備警報電極4と伝導されることを示す図、を示す。
【0041】
そのほか、当該触覚プローブは、さらに、最前端に位置されるコンタクトスリーブキャップ8を有することができる。中心柱7は、中空であっても、中実であってもよい。限界予備警報電極4は、
図8Aに示したシート状電極4aを用いることができ、
図8Bに示した形状4bを用いることもでき、或いは、いかなる適合な形状を用いることもできる。
【0042】
第四実施例
本実施例における触覚プローブは、
図16に示すとおりであり、第三実施例と同じ構造は同じ番号で表示する。本発明の第四実施例によれば、触覚プローブは、縦軸X−Xに沿って延びる中心柱7と、高分子弾性体5により中心柱7前端に接続されるコンタクトスリーブ1’と、側壁電極基台9’と、周方向に沿って中心柱7の外周に均一に配置され、且つ、側壁電極基台9’に固定される多数の側壁電極2と、側壁電極基台9’の底部に設置され、且つ、ばね6により中心柱7に接続される頂部電極3”と、固定座40により頂部電極3”の後方に固定される限界予備警報電極4と、を有する。第三実施例と異なるのは、本実施例における多数の側壁電極2は、周方向に沿って側壁電極基台9’の側壁に設置され、頂部電極3”は、側壁電極基台9’の底部に固定され、且つ、径方向に沿って外側に向かって延び、頂部電極3”の前表面の少なくとも一部分をコンタクトスリーブ1’の環状側壁の後端に向けさせ、且つ、この後端と正確に位置が合わさせ、また、頂部電極3”の後表面の少なくとも一部分を限界予備警報電極4に向けさせ、且つ、これと正確に位置が合わさせる。
【0043】
第四実施例の構造を採用することにより、プローブの縦向き(軸方向)長さを短縮させることができ、プローブの構造が一層コンパクト化される。側壁電極2と頂部電極3”の間における電気的な隔離を実現するため、本実施例では、さらに、側壁電極2と限界予備警報電極3”の間に絶縁層10を設け、それによって、接触信号が混信するのを避ける。そのほか、当該触覚プローブは、さらに、コンタクトスリーブ1’と粘着され一体となるコンタクトスリーブキャップ8を有する。
【0044】
本実施例の触覚プローブと第三実施例の動作原理は類似であり、コンタクトスリーブ1’を信号入力装置とし、側壁電極2、頂部電極3”、限界予備警報電極4を信号出力装置とする。
図16に示すように、初期状態において、即ち、コンタクトスリーブ1’がいかなる外力の影響を受けない状態において、頂部電極3”の前表面からコンタクトスリーブ1’の底部までの軸方向の距離はd1であり、頂部電極3”の後表面から限界予備警報電極4までの軸方向の距離はd0である。コンタクトスリーブ1’が真正面で障害物に遭遇した時に、障害物がコンタクトスリーブ1’に対して発生した応力によって、コンタクトスリーブ1’を軸X−Xに沿って後方に向かうようにように駆使する、即ち、頂部電極3”の方向に向かって移動させ、移動距離がd1に達した時に、コンタクトスリーブ1’の底部と頂部電極3”の前表面が接触し、それによって、回路をオンにさせ、頂部電極3”により頂部接点信号が出力される。コンタクトスリーブ1’が真正面での接触力の影響で、更に、軸X−Xに沿って後方に移動されるにつれて、コンタクトスリーブ1’の底部が頂部電極3”に向け、後方の圧力を加え、ばね6を圧縮させ、それによって、頂部電極3”を側壁電極基台9’、及び、側壁電極基台9’の側面に固定される多数の側壁電極2と一緒に後方に移動し続けるように促進させる。続いて距離d0を移動した時に、d1+d0が臨界値に達する、つまり、第一、第二実施例における距離d2に等しくなった時に、頂部電極3”の後表面が限界予備警報電極4に接触し、それによって、コンタクトスリーブ1’を限界予備警報電極と間接的に接触させる。コンタクトスリーブ1’、頂部電極3”、限界予備警報電極4がいずれも導電性を有するため、相応する回路をオンにさせ、頂部電極3”が続いて頂部接点信号を出力すると同時に、限界予備警報電極4も予備警報信号を出力し、その時に、プローブはもう限界の圧力に到ったということで、介入カテーテルを引き続き深く入れることを停止すべきということになる。コンタクトスリーブ1’が斜め前方で圧力を受けた時に、コンタクトスリーブ1’は軸X−Xに沿って後方に移動するほか、径方向にも移動し、径方向おいて側壁電極2のうち一つ、或いは、二つと接触した時に、相応する回路がオンにされ、当該一つ、或いは、二つの側壁電極2により側面接点信号が発生される。
【0045】
好ましく、ばね6を収納するスペースを提供するため、本実施例における固定座40もU字型に設計し、それによって、頂部電極3”と限界予備警報電極4が接触させるのに適することとする。
【0046】
そのほか、第三実施例の一つの変化の形態として、
図17に示すように、側壁電極基台9の断面をおおよそ逆U字型にすることができ、それによって、側壁電極基台9の底部に溝が形成される。多数の側壁電極2は、側壁電極基台9の前表面に設置され、頂部電極3’は、側壁電極基台9の外周に設置され、ばね6の一端は、側壁電極基台9の底部における溝の中に固定され、その他端は、固定座40に固定される。この構造を用い、同様にばね6のために収納スペースを提供することができ、当該収納スペースは側壁電極基台9の底部に配置される。この場合、固定座40の断面は、長方形であっても、U字型であってもよい。限界予備警報電極4は、環状であっても、シート状であってもよく(図に示されたのは環状である)、ここでは限定しない。
【0047】
第三実施例のもう一つの変化の形態として、
図18に示すように、頂部電極3’の断面をおおよそ逆U字型にすることができ、それにより、頂部電極3’の底部に溝が形成される。側壁電極基台9の後表面には、当該頂部電極3’が設置され、側壁電極基台9の前表面には、多数の側壁電極2が設定され、ばね6の一端が頂部電極3’の底部における溝の中に固定され、その他端は、固定座40に固定される。ばね6は絶縁の弾性材料で作ることもできるが、金属で作ることもでき、ばね6の材料が金属である場合には、電気的な絶縁の役割を果たすために、ばね6の一端と頂部電極3’の間に絶縁層を設置する必要がある。この構造を採用することで、同様に、ばね6のために収納スペースを提供することができ、当該収納スペースは、頂部電極3’の底部に位置される。この場合、固定座40の断面は、長方形であっても、U字型であってもよい。限界予備警報電極4は、環状であっても、シート状であってもよく(図に示されたのは環状である)、ここでは限定しない。本変化実施例中における頂部電極3’と同様に、シート状の限界予備警報電極4を採用する場合、絶縁の弾性材料を用いることにより、ばね6を作ることができる、或いは、ばね6が金属で作られる場合には、ばね6の他端と限界予備警報電極4の間には、絶縁層が設置され、それによって、電気的な絶縁の役割を果たす。
【0048】
そのほか、第四実施例の一つの変化の形態として、
図19に示すように、頂部電極3”の断面をおおよそ逆U字型にすることができ、それによって、頂部電極3”の底部に溝が形成される。当該頂部電極3”は、側壁電極基台9’の後表面に設置されるが、多数の側壁電極2は、側壁電極基台9’の側面に設置され、多数の側壁電極2と頂部電極3”の間は絶縁層10により区切られる。ばね6の一端は、頂部電極3”の底部における溝の中に固定され、その他端は、固定座40に固定される。ばね6は絶縁の弾性材料で作ることもでき、金属で作ることもでき、ばね6の材料が金属である場合には、電気的な絶縁の役割を果たすために、ばね6の一端と頂部電極3”の間に絶縁層を設置する必要がある。この構造を採用することで、同様に、ばね6のために収納スペースを提供することができ、当該収納スペースは、頂部電極3”の底部に位置される。この場合、固定座40の断面は、長方形であっても、U字型であってもよく、限界予備警報電極4は、環状であっても、シート状であってもよく、具体的な参考図は17と18であり、ここでは限定しない。
【0049】
以上述べたのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、すべての本発明の請求範囲に基づいて行われる同等に変更又修正は、すべてがその請求範囲内に属すべきである。