(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6186526
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20170814BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
B65D81/02
B65D81/05 400
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-29917(P2017-29917)
(22)【出願日】2017年2月21日
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-104100(P2016-104100)
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315001202
【氏名又は名称】大日本パックェージ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】310014735
【氏名又は名称】五十嵐 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 秀夫
【審査官】
佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−535744(JP,A)
【文献】
特開2002−166965(JP,A)
【文献】
特表2011−524827(JP,A)
【文献】
特開2005−090529(JP,A)
【文献】
特開2000−218718(JP,A)
【文献】
特開2005−162268(JP,A)
【文献】
特開2005−015060(JP,A)
【文献】
特開2010−070232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02
B65D 81/05
B65D 30/24
B65D 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の樹脂シートまたはフィルムを所要のパターンで複数個所貼り合わせて内部に空気室を形成すると共に、周縁部を貼り合わせて袋状に形成したエアー緩衝材であって、
前記所要のパターンで複数個所貼り合わせる部分と周縁部の貼り合わせ部分の全てを接着剤を塗布して形成すると共に、
前記周縁部の張り合わせ部分に袋状の内部へ空気を注入及び排出できる内側開口部と、該開口部の両側から内側へ延びて連通孔となる延長部を形成し、該両側の延長部から交互に所要角度傾斜し且つ連通孔の中心を通るC−C線に達する長さの複数の逆止片部からなる逆止弁機能部とを形成したこと
を特徴とする一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材。
【請求項2】
前記連通孔の内側開口部の形状を半円弧状に拡がる先端部又は切欠状部に形成し、該半円弧状に拡がる内側に所要間隔をもって抑制部を設けて二股に分かれた空気道を形成したこと
を特徴とする請求項1に記載の一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材。
【請求項3】
前記所要のパターンは、複数の円形状の配列と線状または枠状の組み合わせであること
を特徴とする請求項1乃至2に記載の一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材。
【請求項4】
前記逆止弁機能部は、対を成す逆止片部であること
を特徴とする請求項1乃至3に記載の一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管時または携帯時には小さく折り畳み、使用時にエアーを吹き込んで所要の大きさ形状を維持させて使用することができる一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の緩衝材としては、複数の公知技術が知られている。第1の公知技術としては、矩形状を呈する2枚の樹脂フィルムを重ね合わせ、逆止弁構造を有するエアー吹き込み部材を取り付けたエアバック式の包装用緩衝材であって、該包装用緩衝材の外周縁部は熱シールによって熱シール部を形成し、前記2枚の樹脂フィルムのうち少なくとも一方の所定の位置に接着剤を印刷して空気の流通と被包装物に当接して緩衝機能を付与する空気室とを形成するための区画用シール部は接着シール部で形成した構成を有する包装用緩衝材である(特許文献1参照)。
【0003】
この公知技術の包装用緩衝材においては、熱シール部を加熱する電極と、前記所定の位置の加熱とを分けることにより、熱シールする所を少なくし、高温を必要とする熱シール部を熱シールさせるための電極の形状を単純化することができ、接着シール部については、接着剤を印刷し接着させるという簡単な作業により接着させるという簡単な作業衣より接着させることができるので、熱シールさせるための電極を製造するコストを削減できると共に、全体として均一に且つ正確に接着できる、というものである。
【0004】
また、第2の公知技術としては、重ね合わせた2枚の非通気性薄膜の側縁をシールし、内側に線状シールを断続的に且つ格子状に設けて互いに連通する多数の小室を区画形成し、側縁に合成樹脂薄膜製逆止弁を取着してなる緩衝体であって、線状シール部は交差部において非シール部を有し、交差部の中央に独立した点状シール部が設けられている包装用緩衝体である(特許文献2参照)。
【0005】
この公知技術の包装用緩衝体においては、軽量で嵩/使用材料費が大きく、緩衝吸収性、密着固定制等被収納物品の保護性に優れ、反復脂溶性、断熱性及び包装形状任意性が高く、廃棄処分時定公害性で不使用時の保管及び輸送にスペースを取らないという一般的な利点特質を具備するのみならず、逆止弁を介して空気を圧入したとき独立した点状のヒートシールの存在により、球状膨出を形成する非ヒートシール部が左右に分断され、その結果折り曲げに対して大きな抵抗を示す球状が阻害され、換言すると、独立した点状のヒートシールの両側にきわめて微少な円筒状芒種粒を形成するに止まるので、線状ヒートシールの部分で折り曲げることが容易であり、かつ例えばダンボール製外装箱による締め付け力のごとき僅かな力でも折り曲げ後の箱形、筒形形状を容易に維持することができる。外装箱を併用する場合、折り曲げ状態を維持、固定するためのテープ、紐等包装資材の使用を省略することも可能である、というものである。
【0006】
さらに、第3の公知技術としては、方形状の熱融着性プラスチックフィルムを重ね合わせ、その周縁を熱融着して空気を充填封入する包装用緩衝材本体を形成し、該本体の相対向する前後の側縁から短巾の寸法を隔てた内側位置において、該本体を左右方向の複数個所で前後に洗浄に熱融着して、広巾の空気の充填封入部と、少なくとも一つの挟巾の空気の充填封入部から成る包装物の載置部とを交互に形成すると共に、該各空気の充填封入部の前後両端部において、通気間隙をそれぞれ残存させて左右方向に折曲用熱融着部を設け、該前後の折曲用熱融着部の各外側に折曲起立可能な空気の充填封入部を設けると共に,本体の周縁適所に空気の充填封入用の逆止弁を設け、該逆止弁から供給される空気を上記各通気間隙を経て上記各空気の充填封入部に導入可能に構成した包装用緩衝材である(特許文献3参照)。
【0007】
この公知技術の包装用緩衝材においては、空気を充填封入した際に、膨満した挟巾の空気の充填封入部から成る包装物の差一部は、その両側の膨満した広巾の空気の充填部の中間高さ位置に設けられているので、包装物を安定した状態で保持し得ると共に、包装物の下側部及び両側部を感傷的に抱時した状態で保護できる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−182332号公報
【特許文献2】実開平5−94164号公報
【特許文献3】実開平7−31661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記第1〜第3のいずれの公知技術においても、2枚の樹脂シート材またはフィルム材(以下、シーラント材という)を重ね合わせて周縁部及び中間部分の仕切部を熱融着、即ちヒートシールすることにより、気体溜まりセルまたは空気室を形成する緩衝材等であるが、いずれにしても、同一材料のフィルム材で別体に形成した逆止弁を取り付けることが必須であり、しかも、この逆止弁の取り付けは、構造上機械的に行えないので手作業によって行われているため、作業性が悪く生産効率が低下しているので、生産コストが高くなるという問題点を有している。
【0010】
ところで、製袋機によるヒートシール加工は、シールバーが必要であると共に、大型で複雑なデザインによる加工は、シール面積、シール盤の平行度、当たり精度、電気容量等を考慮して設定しなければならず、特に、シール個所は一般的に連続ではなくタック加工で行うのであり、予熱・本熱・冷却と同一個所を三度加工することにより安定した製品を製造するため、加工スピードは、2〜6m/分程度が一般的であり、加工能力が上がらず、それによっても、生産性が悪く結局コストアップに繋がるという問題点を有していたのである。
【0011】
その問題点を解決したのが、本願の発明者と同一発明者が発明した公知技術に係る包装用緩衝材であって、ヒートシール部と接着剤による接着剤シール部とを組み合わせて複雑なデザインによる緩衝材であっても簡単に製造できるようにしたのである。即ち、外周縁部はヒートシールで形成し、収納部となる内面側には、2枚重ねの一方の内面に接着剤を印刷し、被包装物の収納部となる部分にそれぞれ空気室と、該空気室に繋がる空気通路とを形成する区画用のシール部を接着剤シール部で形成するようにして、加工性を向上させてコストダウンを図ったのである(特許第3917066号公報参照)。
【0012】
しかしながら、それでも逆止弁の取り付けは、両面シールのため、電気的なヒートシールはできないので、その取り付け位置は、逆止弁の幅よりも少し広めに残(非シール部)しておき、それでも逆止弁は手作業で接着剤を使用して1つ1つ取り付けることになり、取り付け後においてシール部に空気漏れが無いかを確認しなければならないので、管理が厄介であると共に、作業性が悪いという共通の問題点が生じている。
【0013】
本発明の主たる目的は、これらの問題点を全て解消し、作業性(生産性)を向上させ、高品質で安価なエアー緩衝材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記目的を達成するための具体的手段として、2枚の樹脂シートまたはフィルムを所要のパターンで複数個所貼り合わせて内部に空気室を形成すると共に、周縁部を貼り合わせて袋状に形成したエアー緩衝材であって、前記所要のパターンで複数個所貼り合わせる部分と周縁部の貼り合わせ部分の全てを接着剤を塗布して形成すると共に、前記周縁部の張り合わせ部分に袋状の内部へ空気を注入及び排出できる内側開口部と、
該開口部の両側から内側へ延びて連通孔となる延長部を形成し、該両側の延長部から交互に所要角度傾斜し且つ連通孔の中心を通るC−C線に達する長さの複数の逆止片部からなる逆止弁機能部とを
形成したことを特徴とする一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材を提供するものである。
【0015】
また、本発明
のエアー緩衝材に係る逆止弁機能部の連通孔において、
該連通孔の内側開口部の形状を半円弧状に拡がる先端部又は切欠状部に形成し、該半円弧状に拡がる内側に所要間隔をもって抑制部を設けて二股に分かれた空気道を形成したことを含むものである。
【0016】
さらに、本発明においては、前記所要のパターンは、複数の円形状の配列と線状または枠状の組み合わせであること;および、前記逆止弁機能部は、対を成す逆止片部であること、を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るエアー緩衝材によれば、全てを接着剤の印刷技術によって形成できるので、従来行っていた外周縁部および区画部のヒートシールを止めて、ラインスピードが10倍以上の印刷技術で逆止弁機能部も含めて、一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材が簡単に製造でき、しかも、品質が均一良品で強度的にも優れたエアー緩衝材を効率良く低コストで生産できるばかりでなく、使用されるシーラント材の制限を受けないという優れた効果を奏する。
【0018】
さらに、安価で強度的に優れたエアー緩衝材の緩衝機能と断熱・保温機能とを利用して生活日用品や医療補助品および災害時に使用される種々の製品を作ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る基本的なエアー緩衝材を示すもので、一例として示したエアーマットの平面図である。
【
図2】同実施の形態に係るエアー緩衝材における逆止弁機能部を拡大して示した説明図(平面図)である。
【
図3】本発明の他の実施の形態に係るエアー緩衝材であって、他の使用例としてボトル(瓶)用の緩衝材を示す展開平面図である。
【
図4】さらに他の実施の形態に係るエアー緩衝材であって、携帯用の座布団に係る緩衝材を示す平面図である。
【
図5】同実施の形態に係るエアー緩衝材における逆止弁機能部を拡大して示した説明図(平面図)である。
【
図6】前記
図1のエアーマットの他の実施の形態を示す平面図である。
【
図7】同実施の形態に係るエアー緩衝材の逆止弁機能部を拡大して示した説明図(平面図)である。
【
図8】前記
図3の実施の形態に係る他の逆止弁機能部を取り付けたボトル(瓶)用の緩衝材を示す展開平面図である。
【
図9】前記
図4の携帯用の座布団に係るエアー緩衝材であって、他の逆止弁機能部を取り付け状態を示す平面図である。
【
図10】同実施の形態に係るエアー緩衝材における逆止弁構造を拡大して示した説明図(平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。まず、
図1において、基本的な一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材1を示すものであって、該エアー緩衝材1が、例えば、長方形で所要大きさのエアーマットとして使用できるものである。この場合に、エアー緩衝材1は、2枚の樹脂シートまたはフィルム2、3を重ね合わせて所要のパターンで袋状に接着させたものであり、2枚の樹脂シートまたはフィルムの内の一方の内面側となる面に所要形状、例えば、複数の円形状の接着剤4を一つのパターン化させた状態でプリントすると共に、周縁部側は周縁に沿って連続的に所要幅(細いベルト状)の枠状の接着剤5をプリントし、これら接着剤4、5を接着することにより2枚の樹脂シートまたはフィルム2、3が貼り合わされて全体として袋状に形成され、円形状の接着剤4の周囲と枠状の接着剤5で囲われた内側の全てが空気室となるのである。
【0021】
このようにエアーマットのような長尺な長方形を呈するエアー緩衝材1の場合は、略中間付近で折り畳めるように細長い接着剤6をプリントし、さらに前記した枠状の接着剤5の一部に、袋状の内部に連通し空気を導入するための逆止弁機能部7を構成する接着剤をプリントしておく。この逆止弁機能部7の形成位置としては、例えば、エアー緩衝材1の短辺側に設けた方が好ましい。そして、逆止弁機能部7を介して空気の導入作業及び空気の排出作業を行えるように、短辺側の端部には非接着帯部8を設けると共に接着帯部9を設け、該接着帯部9から非接着帯部8に至る切欠部10を形成し、該切欠部10から非接着帯部8を介して逆止弁機能部7を有する連通孔11から空気を入れたり抜き出したりできるのである。なお、全体のバランスを取るために対向する側の端部にも同様の非接着帯部8と接着帯部9及び切欠部10を設けてある。
【0022】
逆止弁機能部7の構成は、
図2に示したように、枠状の接着剤5の一部を分離して内側へ伸びる延長部5a、5bを形成して空気注入口となる連通孔11を形成すると共に、該延長部5a、5bの先端部5c、5d側はやや細く且つ先端部における連通孔の開口部11aが狭くなるように形成される。そして、連通孔11に逆止機能部を付与するために、両側の延長部5a、5bから交互に、開口部11a側へ所要の角度傾斜した略棒状またはバー状を呈する複数の逆止片部12、13、14、15が所要間隔をもってそれぞれ対を成すように形成され、該対を成す逆止片部12、13と、逆止片部14、15の先端部は、連通孔11の中心を通るC−C線に達する長さであって、少なくとも2対を設けるものであり、且つ所要の傾斜角度は少なくとも45°程度である。そして、連通孔11内に逆止弁機能部7を設けるものであって、最初からエアー緩衝材1内に逆止弁機能部7を一体に設けたものである。
【0023】
この場合に、使用される樹脂シートまたはフィルムとしては、エアー緩衝材1として使用するのであるため、ガスバリア性を考慮してナイロン樹脂またはKナイロン樹脂単層またはポリプロピレン樹脂単体若しくは共押製品を使用することができるし、さらに、ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂単体およびこれらの二軸延伸シートまたはフィルムであっても使用可能である。また、本発明で使用される接着剤は、ドライラミネート接着剤であって、例えば、電線被覆のPET//ALや、耐熱性が要求される工業用部材に使用されている東洋モートン株式会社製の「TM−225A/B」若しくは、PET//ALのエンボス加工、ハイレトルト(130℃)用パウチなどに使用されている三井化学株式会社製の「タケラックA−310」のいずれかであり、これらは強固な接着性能と耐久性を有するものであり、接着剤の剥離強度を20N/15
mm〜35N/15
mmに上げることが逆止弁機能をエアー緩衝材本体のシートまたはフィルムに一体に設けることが可能になったのである。
【0024】
前記実施の形態に係る一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材1の基本的な構成は
図1に示した構成であるが、この基本的な構成による機能を利用して、種々の製品、例えば、生活用品などに適用できるのである。
例えば、
図3に示したようなボトル用の緩衝材や、
図4に示したような携帯の座布団用として使用できるのである。
【0025】
これらについて説明すると、
図3に示した実施の形態に係るボトル用のエアー緩衝材21は、2枚の長方形の樹脂シート22,23またはフィルムの略中央部に円形状の接着剤24と、周縁に沿って連続的に所要幅(細いベルト状)の枠状の接着剤25とをプリントすると共に、枠状の接着剤25と連続して一方の短辺側の一部に袋状の内部に連通し空気を導入するための逆止弁機能部7を構成する接着剤をプリントしておくと共に、前記中央部の円形状の接着剤24の周囲にボトルの底部の大きさに略対応する円形状の広さを残して両側に接着剤25a、25bを形成し、全体を袋状に貼り合わせる。なお、逆止弁機能部7については、大きさが異なるけれども、前記実施の形態で説明した構成と同一であるので詳細については説明を省略する。さらに、両端部に非接着帯部28を設けると共に接着帯部29を設け、該接着帯部29から非接着帯部28に至る切欠部30を形成し、該切欠部30から非接着帯部28を介して逆止弁機能部7を有する連通孔11から空気を入れたり抜き出したりできるのである。他方の端部側には切欠部は設けないのである。
【0026】
また、この実施例では、例えば、酒店でお酒の入った1升ビンを買い求めた時に、安全に持ち帰る時の使用するものであって、ビンの上端部における口部側が細くなっているので、それに合わせて両端部側の空気室を縮小するために、所要長さの複数の氷柱状接着部25c、25d、25eを設けてある。そして、エアー緩衝材21として、逆止弁機能部7から空気を入れて膨らました時に、中央部の円形状空気室にビンの底部を乗せ、両側から空気室を起ち上げることによりビンの外周面を覆うように成り、非接着部28に紐を通して円形状に結び取っ手として利用することができるのである。
【0027】
次に、
図4に示した携帯座布団用のエアー緩衝材41について説明する。このエアー緩衝材41は、2枚の正方形の樹脂シート42,43またはフィルムを重ね合わせて袋状に接着させたものであり、2枚の樹脂シートまたはフィルムの内の一方の内面側となる面に、例えば、複数の円形状の接着剤44を一つのパターン化させた状態でプリントすると共に、周縁部側は周縁に沿って連続的に所要幅(細いベルト状)の枠状の接着剤45をプリントし、これら接着剤44、45を接着することにより2枚の樹脂シートまたはフィルム42、43が貼り合わされて全体として袋状に形成され、円形状の接着剤44の周囲と枠状の接着剤45で囲われた内側の全てが空気室となるのである。そして、エアー緩衝材41のコーナ部に位置する枠状の接着剤45に、原理としては前記実施の形態と略同一の逆止弁機能部7を形成するのである。なお、一部の枠状の接着剤45を内側にバー状に延長して円形状の接着剤44と繋げて形成させても良い。
【0028】
この場合の逆止弁機能部7の構成は、
図5に示したように、コーナ部に位置する枠状の接着剤45の内部に、側辺に沿って一部を所要長さ分離させて伸びる空気注入口となる連通孔11を形成し、該連通孔の先端部は開口部11aとして内部の空気室に開口させて形成される。そして、連通孔11に逆止機能を付与するために、連通孔11の両壁部から交互に、開口部11a側へ所要角度傾斜した略棒状を呈する複数の逆止片部12、13、14、15が所要間隔をもってそれぞれ対を成すように形成され、該対を成す逆止片部12、13と、逆止片部14、15の先端部は、連通孔11の中心を通るC−C線に達する長さであり、且つ所要の傾斜角度は、少なくとも45°程度である。
【0029】
前記いずれの実施の形態に係るエアー緩衝材1、21、41においては、内部の空気室に空気を注入または吹き込む場合には、連通孔11からコンプレッサー、空気ポンプ、ストロー等のノズルから、0.01kg/cm
3〜0.03kg/cm
3の圧力で送気し、空気室及び逆止弁機能部7の内側端部周辺が膨らむことにより、対を成す逆止片部12、13及び逆止片部14、15の先端部が押されて閉鎖(密着)状態となって逆止弁効果が発生する。連通孔11内に対を成す逆止片部を、少なくとも2箇所に設けることで、空気漏れを確実に防止できるのである。
【0030】
ところで、前記した実施の形態に係る逆止弁機能部7の構成については、空気を満タンに入れて所要の圧力が掛けられた状態では、エアー緩衝材として一応の機能を果たすものであるが、仮に、空気の入れ方が足りなかったり(0.01kg/cm
3以下)、使用されるナイロン、ポリエチレン又は塩化ビニール等の樹脂シート又はフィルムに、ある程度の硬さがあれば空気室が膨らむことによって、逆止弁機能部7の先端が閉まる方向に引っ張られるので逆止弁効果が発揮されるが、それら樹脂シート又はフィルムが柔らかく腰がないような場合には、外部から加えられる空気室への押圧力によって、逆止弁機能部7の先端が押し拡げられて空気漏れが生ずることも考えられる。
【0031】
そこで、使用される材料(樹脂シート又はフィルム)の柔・硬にあまり影響されないで適用できる逆止弁の構成について、前記エアーマットとして使用できるエアー緩衝材1について、
図6に示したように、逆止弁機能部7の構成に少し改良を加えたものであって、他の構成部分については、前記
図1で説明したとおりに形成するものであり、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0032】
即ち、
図7に示したように、逆止弁機能部7の構成については、枠状の接着剤5の一部を分離して内側へ伸びる延長部5a、5bを形成して空気注入口となる連通孔11を形成する点、及び連通孔11に逆止機能部を付与するために、両側の延長部5a、5bから交互に、開口部11a側へ所要の角度傾斜した略棒状またはバー状を呈する少なくとも一対の逆止片部12、13が所要間隔をもって、連通孔11の中心を通るC−C線に達する長さで形成されるものであって、且つ所要の傾斜角度は少なくとも45°程度で形成される点では同じであるが、延長部5a、5bの先端部5c、5d側はやや細く且つ先端部側は夫々外側に略半円弧状に拡がる形状に形成され、その半円弧状の先端部5c,5dの内側に沿って所要の間隔(空気道となる)をもって、開口部11aの押し拡がりを制限又は抑制する半円弧状の抑制部16が形成され、該抑制部16によって連通孔11に繋がる開口部11aが二股に分かれた空気道11bとなるのである。
【0033】
この場合の空気道11bの幅は、エアー緩衝材1の大きさ(容量)によって異なるが、概ね3〜8mm程度の範囲であって、好ましくは5mm程度で、長さは概ね40〜100mm程度の範囲であり、連通孔11から所要の空気圧をもってエアー緩衝材1内に空気を注入すると、開口部11aから二股に分かれた空気道11bを介して抵抗なく内部に注入することができる。そして、エアー緩衝材1の内部の空気圧力が、所要圧(0.005kg/cm
3以上)になれば、空気の注入作業を止めても、内部の空気圧によって抑制部16が全体的に連通孔11側に押し戻され、空気道11b及び開口部11aを塞ぐ状態(遮断)になるので、空気漏れがなくなるのである。
【0034】
このように空気注入口となる連通孔11内に、逆止弁機能部7を設けるものであって、最初からエアー緩衝材1内に逆止弁機能部7を一体に設けたものであるが、
図8に示したように、例えば、ボトル用のエアー緩衝材21にも、同一構成の逆止弁機能部7を設けることができるのである。この場合も、他の構成部分については、前記
図3で説明したとおりに形成するものであり、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0035】
さらに、携帯座布団用のエアー緩衝材41について説明する。先に説明したエアー緩衝材41については、
図4に示したように、緩衝材のコーナ部に逆止弁機能部7を設けることが記載されているが、この位置であると抑制部16が設けられないし、特に、柔軟な樹脂シート又はフィルム材料を使用した場合には、逆止弁機能が発揮され難いのである。
そこで、
図9に示したように、コーナ部ではなく、一つの側面から内側に伸びる補強部の内の一つに逆止弁機能部7を形成する。この場合に、
図10に示したように、枠状の接着剤45の一部を分離して内側へ伸びる延長部45a、45bを形成して空気注入口となる連通孔11を形成すると共に、該連通孔11の内側に、少なくとも一対の逆止片部12、13が所要間隔をもって、連通孔11の中心を通るC−C線に達する長さで両側から突出形成され、開口部11a側に半円弧状の切欠部45c、45dを形成し、該切欠部に沿って所要の間隔(空気道となる)をもって、開口部11aの押し拡がりを制限又は抑制する半円弧状の抑制部16が形成され、該抑制部16によって連通孔11に繋がる開口部11aが二股に分かれた空気道11bとなるのである。
【0036】
そして、この場合の空気道11bの幅は、概ね3〜8mm程度の範囲であって、長さは概ね40〜100mm程度の範囲であり、連通孔11から所要の空気圧をもって座布団用エアー緩衝材41内に空気を注入すると、開口部11aから二股に分かれた空気道11bを介して抵抗なく内部に注入することができる。また、エアー緩衝材41の内部の空気圧力が、所要圧(0.005kg/cm
3以上)になれば、空気の注入作業を止めても、内部の空気圧によって抑制部16が全体的に連通孔11側に押し戻され、空気道11b及び開口部11aを塞ぐ状態になるので、空気漏れがなくなるのである。
【0037】
いずれにしても、これら製品は、周縁部が枠状の接着剤5、25、45で形成されるので、周縁部の形状がどのように複雑であっても、従来例のようなシールバーによるヒートシールと違って、プリント手段により簡単に形成できるのである。これらの製品は、小さく折り畳んでバックに入れて携帯することができ、出先で必要とされる時に、適宜手段により、例えばストロー等を連通孔11に差し込んで空気を吹き込むことによって全体を膨らませれば、何処でも使用することができるし、不要になった時は連通孔11にストロー等を差し込み、又は抑制部16を形成した製品は、曲がるストローを空気道11bまで差し込んで内部の空気を抜きさえすれば、元のように折り畳んで携帯できるのである。
また、ストローで空気注入(送入)する際に、例えば、6歳以上であれば、0.01kg/cm
3 位の圧力で吹き込むことができるので、小学生以上であれば誰でもが容易に使用できるのである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係るエアー緩衝材は、2枚の樹脂シートまたはフィルムを所要のパターンで複数個所貼り合わせて内部に空気室を形成すると共に、周縁部を貼り合わせて袋状に形成する際に、周縁部の所要個所に逆止弁機能部を形成して最初から一体に設けた緩衝材であって、従来例のように別体に形成した逆止弁を、袋体形成後に取り付けるものと違って、作業効率が良く、安価にエアー緩衝材を提供できるので、そのエアー緩衝材の緩衝機能と断熱・保温機能とを利用して生活日用品や医療補助品および災害時に使用される種々の製品を作ることができるので、広い範囲で利用できるのである。
【符号の説明】
【0039】
1、21、41 エアー緩衝材
2、3、22、23、42、43 樹脂シートまたはフィルム
4、24 44 円形状の接着剤
5、25、45 枠状の接着剤
5a、5b、45a、45b 延長部
5c、5d 先端部
6 細長い接着剤
7 逆止弁機能部
8、28 非接着帯部
9、29 接着帯部
10、30 切欠部
11 連通孔
11a 開口部
11b 空気道
12、13、14、15 逆止片部
16 抑制部
25a、25b 接着剤
25c、25d、25e 氷柱状接着部
45c、45d 半円状の切欠部。
【要約】 (修正有)
【課題】従来技術における外周縁をヒートシールするための電気的な設定が厄介であると共に、別体で形成された逆止弁を手作業で1つ1つ取り付けることによる生産性の悪さを解決する。
【解決手段】2枚の樹脂シートまたはフィルムを所要のパターンで複数個所貼り合わせて内部に空気室を形成すると共に、周縁部を貼り合わせて袋状に形成したエアー緩衝材1であって、前記所要のパターンで複数個所貼り合わせる部分と周縁部の貼り合わせ部分の全てを接着剤4,5を塗布して形成すると共に、前記周縁部の張り合わせ部分に逆止弁機能部を有する連通孔を設けた構成としたことにより、全てを接着剤の印刷技術によって形成できるので、従来行っていた外周縁部および区画部のヒートシールを止めて、ラインスピードが10倍以上の印刷技術で逆止弁機能部7も含めて、一体型逆止弁機能を有するエアー緩衝材を簡単に製造できる。
【選択図】
図1