(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハンド部(4)を開閉する機構は、ネジ軸(40)と、これに螺合するナット(44)と、前記ネジ軸(40)に設けられた第1のプーリ(41)と、この第1のプーリ(41)に懸架されるベルト(43)と、このベルト(43)を懸架する第2のプーリ(42)と、この第2のプーリ(42)を回動させる駆動モータ(3)と、を備え、前記ナット(44)に前記ハンド部(4)を係着して、前記ネジ軸(40)の回転に伴う前記ナット(44)の移動によって前記ハンド部(4)を開閉することを特徴とする請求項1記載のタイヤ掴みヘッド(2)。
請求項3に記載のタイヤ脱着ロボット(1)と、前記タイヤホイール装着タイヤ(35)から前記タイヤホイール(36)を脱離させるためのタイヤ脱着治具(20,30)とを備え、
このタイヤ脱着治具は、前記ハンド部(4)の前記第1の爪部(19a)が前記リム(37)と前記タイヤ(35)のビード部(35a)の隙間に介挿し前記リム(37)のエッジ部(37a)に係止して前記ハンド部(4)が前記タイヤホイール装着タイヤ(35)を把持している状態で、前記タイヤホイール装着タイヤ(35)の前記タイヤホイール(36)のリム(37)と前記タイヤ(35)のビード部(35a)の隙間に挿し込んで前記リム(37)と前記ビード部(35a)を剥離させる第1の挿し込み具(21,24)と、前記第1の挿し込み具(21,24)で剥離された前記リム(37)と前記ビード部(35a)の隙間に挿し込んで、前記タイヤホイール(36)のリム(37)の内側に配置されている前記タイヤ(35)のビード部(35a)を、前記タイヤホイール(36)のリム(37)を越えさせて前記リム(37)の外側に外す第2の挿し込み具(25)と、を有することを特徴とするタイヤ脱着システム。
前記タイヤ脱着ロボット(1)は、前記ハンド部(4)の第1の爪部(19a)が前記タイヤホイール(36)のリム(37)のエッジ部(37a)に係止して前記タイヤホイール(36)を把持している状態で、前記第1の爪部(19a)が把持している側とは逆側のリム(37)を前記タイヤホイール非装着タイヤ(35b)の一方の側のビード部(35a)に押し込み、
前記第1の挿し込み具(21,24)は、前記タイヤホイール非装着タイヤ(35b)の他方の側のビード部(35a)を前記逆側のリム(37)の内側に挿し込むことで、前記タイヤホイール(36)を前記タイヤホイール非装着タイヤ(35b)に装着することを特徴とする請求項4記載のタイヤ脱着システム。
前記第1の挿し込み具(21,24)及び前記第2の挿し込み具(25)の少なくとも一方の近傍に注水口(26)を備えて、前記第1の挿し込み具(21,24)又は前記第2の挿し込み具(25)を前記タイヤホイール(36)のリム(37)と前記タイヤ(35)のビード部(35a)の隙間に挿し込む際に、水(38)又は界面活性剤水溶液を注水可能であることをすることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のタイヤ脱着システム。
前記第1の挿し込み具(21,24)又は第2の挿し込み具(25)の近傍に脱離されたタイヤ(35b)を載置可能な脱離タイヤ置き場(28)を備えることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のタイヤ脱着システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示される技術では、平板上にタイヤを固定するため上リムと上ビード部を離脱させることができるものの、平板に対向している下面側の下リムと下ビード部の離脱はそのままではできず、タイヤの固定を解除して一旦タイヤを取り外し、裏返し、再度固定してから、下リムと下ビード部を上側にしてから同様に離脱させる必要があり、作業効率が悪いという課題があった。
また、平板のテーブルにタイヤを1個ずつ載せる作業が必要であり、作業員の労力の軽減や時間の節約は目立つものではなく、結局作業員の肉体的、精神的負担は改善できない可能性があるという課題があった。
さらに、既に自動車リサイクル産業では、管理業務や出荷業務などではコンピュータによる自動化が進んでいることから、解体作業等で自動化が進むことで中古自動車の納車から再利用タイヤ等のリサイクル商品の出荷まで一連の業務の自動化と連係が促進されるというメリットを十分の享受できないという課題があった。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、使用済中古等のタイヤホイール装着済タイヤやタイヤホイールを自動で把持することができるタイヤ脱着ロボットと、このタイヤ脱着ロボットを用いて使用済中古等のタイヤホイール装着済タイヤから自動でタイヤホイールを脱離や逆に装着することができるタイヤ脱着システムと、これらのタイヤ脱着ロボットとタイヤ脱着システムに用いられるタイヤ掴みヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるタイヤ掴みヘッドは、タイヤ又はタイヤホイールを掴むハンド部と、このハンド部を開閉する機構とを備え、前記ハンド部は、その端部に爪部を備え、この爪部は、タイヤホイールのリムのエッジ部に係止して前記タイヤホイール又はこれを装着したタイヤホイール装着タイヤを把持する第1の爪部と、タイヤホイール非装着タイヤのビード部に係止して前記タイヤホイール非装着タイヤを把持する第2の爪部を備えるものである。
上記構成のタイヤ掴みヘッドでは、開閉する機構を備えたハンド部が爪部を備え、しかも、この爪部が、タイヤホイールのリムのエッジ部に係止して前記タイヤホイール又は前記タイヤホイール装着タイヤを把持する第1の爪部と、タイヤホイール非装着タイヤのビード部に係止して前記タイヤホイール非装着タイヤを把持する第2の爪部を併せて備えることでタイヤホイールを装着しているタイヤと非装着のタイヤの両方を把持するように作用する。さらに、第1の爪部はタイヤホイールのリムのエッジ部に係止して把持するので、タイヤ本体が脱離した後のタイヤホイール本体を把持するようにも作用する。
従って、タイヤホイールが装着された使用済・中古タイヤに対して、第1の爪部でタイヤを把持しながらタイヤ本体を外し、そのままタイヤホイールを把持したまま所望の場所に移動させて放して載置した後、第2の爪部で外されたタイヤ本体を把持するように作用する。また、タイヤホイールにタイヤを装着する際にもタイヤホイールを把持してタイヤホイール未装着のタイヤの位置まで移動等させる際にも用いることができる。
なお、本願では単にタイヤというときには、タイヤホイールを装着した後のタイヤ及び未装着のタイヤの両方を意味している。また、第1の爪部がタイヤホイール装着タイヤを把持するとは、タイヤホイール装着タイヤに装着されているタイヤホイールのリムのエッジ部に第1の爪部を係止して把持するものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明であるタイヤ掴みヘッドは、請求項1に記載のタイヤ掴みヘッドにおいて、前記ハンド部を開閉する機構は、ネジ軸と、これに螺合するナットと、前記ネジ軸に設けられた第1のプーリと、この第1のプーリに懸架されるベルトと、このベルトを懸架する第2のプーリと、この第2のプーリを回動させる駆動モータと、を備え、前記ナットに前記ハンド部を係着して、前記ネジ軸の回転に伴う前記ナットの移動によって前記ハンド部を開閉することを特徴とするものである。
上記構成のタイヤ掴みヘッドでは、請求項1に記載の発明の作用に加えて、ハンド部を開閉する機構が、駆動モータの回転によってその駆動力を第2のプーリ、ベルト、第1のプーリを介してネジ軸に伝達するように作用する。
駆動モータの駆動力が伝達したネジ軸の回転によって、ナットが直動し、このナットに係着されたハンド部が開閉するように作用する。
【0010】
そして、請求項3に記載の発明であるタイヤ脱着ロボットは、請求項1又は請求項2に記載のタイヤ掴みヘッドをアームの先端に装着するものである。
上記構成のタイヤ脱着ロボットでは、請求項1又は請求項2に記載のハンド部をアームの先端に装着されているので、アームの移動先において、それぞれのタイヤ掴みヘッドの作用を発揮する。
【0011】
さらに、請求項4に記載の発明であるタイヤ脱着システムは、請求項3に記載のタイヤ脱着ロボットと、前記タイヤホイール装着タイヤから前記タイヤホイールを脱離させるためのタイヤ脱着治具とを備え、このタイヤ脱着治具は、前記ハンド部の前記第1の爪部が前記リムと前記タイヤのビード部の隙間に介挿し前記リムのエッジ部に係止して前記ハンド部が前記タイヤホイール装着タイヤを把持している状態で、前記タイヤホイール装着タイヤの前記タイヤホイールのリムと前記タイヤのビード部の隙間に挿し込んで前記リムと前記ビード部を剥離させる第1の挿し込み具と、前記第1の挿し込み具で剥離された前記リムと前記ビード部の隙間に挿し込んで、前記タイヤホイールのリムの内側に配置されている前記タイヤのビード部を、前記タイヤホイールのリムを越えさせて前記リムの外側に外す第2の挿し込み具と、を有するものである。
上記構成のタイヤ脱着システムでは、タイヤ脱着ロボットのタイヤ掴みヘッドの第1の爪部が、タイヤホイールの表側あるいは裏側のリムのエッジ部に係止してタイヤホイール装着タイヤを把持するように作用し、その状態で、第1の挿し込み具が、タイヤホイールの表側又は裏側のリムとタイヤのビード部との隙間に挿し込まれてリムとビード部を剥離させるように作用する。
その後に、第2の挿し込み具が、剥離されたリムとビード部の隙間に挿し込まれるように作用し、さらに、タイヤ脱着ロボットは、タイヤ脱着ロボットは、タイヤホイール装着タイヤを第2の挿し込み具から離すように引っ張るように作用して、タイヤホイールのリムの内側に配置されているタイヤのビード部を、タイヤホイールのリムを越えて、リムの外側へ外れるように作用する。
さらに、タイヤ脱着システムでは、脱離したタイヤホイールは、タイヤ掴みヘッドの第1の爪部がリムのエッジ部に係止したままであるので、そのまま第1の爪部によって把持されるように作用する。
なお、本願では、タイヤホイールの表裏について、通常自動車運転時に露出しているタイヤホイール側を表側といい、露出していないタイヤホイール側を裏側という。
【0012】
請求項5に記載の発明であるタイヤ脱着システムは、請求項4に記載の発明において、前記タイヤ脱着ロボットは、前記ハンド部の第1の爪部が前記タイヤホイールのリムのエッジ部に係止して前記タイヤホイールを把持している状態で、前記第1の爪部が把持している側とは逆側のリムを前記タイヤホイール非装着タイヤの一方の側のビード部に押し込み、前記第1の挿し込み具は、前記タイヤホイール非装着タイヤの他方の側のビード部を前記逆側のリムの内側に挿し込むことで、前記タイヤホイールを前記タイヤホイール非装着タイヤに装着することを特徴とするものである。
上記構成のタイヤ脱着システムでは、タイヤ脱着ロボットがタイヤホイールを把持してホイール未装着タイヤに押し込むように作用し、第1の挿し込み具が押し込まれた側とは逆のビード部をタイヤの内部側にあるタイヤホイールのリムの中に挿し込むように作用する。
【0013】
請求項6に記載の発明であるタイヤ脱着システムは、請求項4又は請求項5に記載のタイヤ脱着システムにおいて、前記第1の挿し込み具及び前記第2の挿し込み具の少なくとも一方の近傍に注水口を備えて、前記第1の挿し込み具又は前記第2の挿し込み具を前記タイヤホイールのリムと前記タイヤのビード部の隙間に挿し込む際に、水又は界面活性剤水溶液を注水可能であることを特徴とするものである。
上記構成のタイヤ脱着システムでは、注水口が、水又は界面活性剤水溶液を第1の挿し込み具又は第2の挿し込み具、あるいはタイヤホイールのリム又はタイヤのビード部、あるいはその隙間に注水するように作用する。
注水口とは、単に開口している形状をはじめノズル形状やヘッダーを備えた構成も含む概念である。
【0014】
請求項7載の発明であるタイヤ脱着システムは、請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のタイヤ脱着システムにおいて、前記第1の挿し込み具又は第2の挿し込み具の近傍に脱離されたタイヤを載置可能な脱離タイヤ置き場を有するものである。
上記構成のタイヤ脱着システムは、脱離タイヤ置き場が、第2の挿し込み具によって脱離されたタイヤ本体を仮置きするように作用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載のタイヤ掴みヘッドでは、第1の爪部と第2の爪部を備えることで、タイヤホイールを装着しているタイヤと非装着のタイヤの両方を把持することができる。しかも、第1の爪部は、タイヤホイールを装着しているタイヤではタイヤホイールのリムのエッジ部に係止するので、使用済・中古タイヤからタイヤホイールを脱離させた際やタイヤにタイヤホイールを装着させる際に、タイヤホイール本体をそのまま引き続き把持することが可能である。さらに、第2の爪部は、タイヤのビード部に係止するので、タイヤホイールから脱離したタイヤ本体やタイヤホイールを装着する前のタイヤ本体も把持することができる。
すなわち、使用済・中古タイヤに対して、タイヤホイールの脱離の前後のいずれの工程あるいはタイヤへのタイヤホイール装着の工程でもタイヤホイール装着タイヤ、タイヤホイール本体、及びタイヤ本体(タイヤホイール非装着タイヤ)のいずれも把持することが可能であるので、使用済・中古タイヤのタイヤホイール着脱作業のすべての工程で利用可能である。
【0016】
本発明の請求項2に記載のタイヤ掴みヘッドにおいても、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を発揮することができる。
【0017】
本発明の請求項3記載のタイヤ脱着ロボットでは、備えられたアームの稼働範囲において、請求項1又は請求項2に記載されたタイヤ掴みヘッドが発揮し得る効果を発揮することができる。
【0018】
本発明の請求項4に記載のタイヤ脱着システムにおいては、タイヤ掴みヘッドがタイヤホイール装着タイヤを把持することが可能であり、そのようなタイヤ掴みヘッドを備えたタイヤ脱着ロボットと、タイヤ脱着治具を備えることで、タイヤ脱着治具を静止させたまま、タイヤ脱着ロボットの動きを利用して自動でタイヤホイール装着タイヤからタイヤ本体とタイヤホイールを脱離させることが可能である。
また、脱離したタイヤホイールはタイヤ掴みヘッドによって係止されたままであるので、タイヤ脱着ロボットによってそのまま所望の場所へ移動させることが可能であり、所望の場所に放して配置させることも可能である。
さらに、脱離したタイヤ本体もタイヤ掴みヘッドの第2の爪部によって把持できるので、そのタイヤ本体もタイヤ脱着ロボットによって所望の場所に移動させることが可能であり、所望の場所に配置させることも可能である。
【0019】
本発明の請求項5に記載のタイヤ脱着システムにおいては、請求項4に記載されたタイヤ脱着システムの効果に加えて、ホイール未装着タイヤに対してタイヤホイールを容易に装着することができる。
【0020】
本発明の請求項6に記載のタイヤ脱着システムにおいては、請求項4又は請求項5に記載されたタイヤ脱着システムの効果に加えて、注水口によって水や界面活性剤水溶液を注水することができるので、第1の挿し込み具や第2の挿し込み具とタイヤホイールやタイヤのビード部との間に発生する摩擦係数を低減することが可能であり、よって、脱着作業を容易にし、摩擦力(熱)によるタイヤの損傷等を防止することができる。
【0021】
本発明の請求項7に記載のタイヤ脱着システムは、請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載された発明が発揮し得る効果に加えて、タイヤホイールから脱離したタイヤ本体を一時的に仮置きすることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るタイヤ脱着ロボット及びタイヤ脱着システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るタイヤ脱着ロボット及びこれに脱着用治具を備えた第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムの構成図である。
図1において、タイヤ脱着ロボット1は台座17上に固定されており、最底部にはヨー軸を形成する第1関節18を駆動するモータ16が設置されている。
タイヤ脱着ロボット1は、第1アーム11と第2アーム8を備えており、第2アーム8の端部にはエンドエフェクタとしてのタイヤ掴み用のヘッド2が設けられている。
第1アーム11は、ピッチ軸を形成する第2関節13を備えて前後に傾動することができる。また、同じくピッチ軸を形成する第3関節10を介して第2アーム8と接続されており、第2アーム8はこの第3関節10によって前後に傾動することができる。
さらに、第2アーム8はロール軸を形成する第4関節7を備えており、モータ9によってこの第4関節7を駆動することができる。また、第4関節7から第2アーム8の端部寄りにピッチ軸を形成する第5関節6を備えつつ、さらに端部寄りにロール軸を形成する第6関節5を備えている。ここではこれらの関節を駆動するモータについては記載を省略するが、第2アーム8上に存在する第4関節7、第5関節6及び第6関節5は互いに独立して駆動させることが可能である。
第2アーム8の端部には前述のとおりヘッド2が設けられており、このヘッド2は、モータ3によって駆動されるタイヤを把持するための掴みハンド4が設けられている。
なお、ヘッド2は本発明に係る第3の実施の形態として、
図2,3を参照しながら後で詳細に説明する。
【0024】
本第1の実施の形態に係るタイヤ脱着ロボット1は、ヘッド2の作動軸を別にして、前述のとおり、6軸を備えてそれぞれサーボモータを制御することで駆動される。タイヤ脱着ロボット1にはエンコーダ14が設けられており、6軸を構成するそれぞれの関節を駆動する各モータの回転角をデジタル信号として受信し、それによって関節の角度を検出しながら、姿勢制御を行うものである。第2アーム8のロール回転に用いるモータ9やヘッド2の駆動モータ3等に対する電力供給を行うための電源ターミナル15から電源・信号ケーブル12が第1アーム11及び第2アーム8を経由して端部のヘッド2のモータ3まで接続されている。
このように構成されたタイヤ脱着ロボット1は、タイヤを把持するためのヘッド2を備えることで、タイヤホイール装着タイヤをはじめホイール本体、タイヤ本体(タイヤホイール非装着タイヤ)等タイヤの脱着作業のあらゆる局面でタイヤ等を把持することが可能である。
しかも、6軸制御されたロボットのエンドエフェクタとしてヘッド2が設置されていることから、タイヤ脱着ロボット1の第1アーム11、第2アーム8が届く範囲において自由にヘッド2を移動させてタイヤを掴むことができる。
また、タイヤを把持した後も自由に移動させることが可能である。
さらに、ロボットのアームの先端にヘッド2を設けることで、ホイールの表裏に脱着用治具をアクセスさせることが可能となり、ホイールの表面と裏面のいずれからでも作業をすることが可能であり、また、ホイールの表裏で再度把持をし直す必要もなく連続して表側及び裏側からの作業を実行することができる。なお、ヘッド2はホイールの表裏のいずれからでも把持することが可能である。
【0025】
次に同じ
図1を参照しながら、第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムについて説明する。
図1において、タイヤ脱着システムは、タイヤ脱着ロボット1に加えて、脱着用治具20及び脱着用治具30を備えるものである。脱着用治具20は、架台23に設けられた支持板22に固定された平円板状の挿し込み具21,21であり、脱着用治具30は、架台29に設けられた平円板状の挿し込み具24、カギ状のフック25aを先端に有する平板で長尺棒状の挿し込み具25、また、挿し込み具24の近傍に設けられた噴射ノズル26を備える注水配管27、さらには、脱離されたタイヤを仮置きするための脱離タイヤ置場28を備えている。
これらの構成の中で特に重要な働きをするのが、挿し込み具21、挿し込み具24及び挿し込み具25である。このうち、平円板状の挿し込み具21,24はホイールのリムとタイヤの隙間に挿し込み、タイヤを把持したヘッド2を回転させることで、リムとタイヤのビード部の圧着を剥離させる機能を備えるものである。このリムとタイヤのビード部の圧着の剥離は、ホイールの表裏両方において実施される。
また、ヘッド2によってタイヤを押すようにして、挿し込み具25は、挿し込み具21,24によって剥離されたリムとタイヤの隙間から挿し込まれる。そして、挿し込み具25のカギ状のフック25aでタイヤの一部を引っ掛けるようにして、その引っ掛けた状態でヘッド2を回転させることにより、タイヤのビード部をホイールのリムを越えさせて外側へ外す。
なお、挿し込み具21,21が一対設けられているのは、ホイールの表裏に対応させて、表側からリムとビード部を剥離した後に連続して裏側のリムとビード部の剥離を行うことができるように配置させているものである。
【0026】
次に、タイヤは挿し込み具25のみで、両方のビード部を同じ側のリムを越えさせることが困難であるので、挿し込み具25を用いて一方のビード部がリムを越えた状態で、再度平円板状の挿し込み具24を用いて、逆側から他方のビード部を押して、同じ側のリムから外すようにするとタイヤ本体を完全に外すことが可能である。
そこで、
図1に示されるように、タイヤ脱着システムの構成では、挿し込み具24は挿し込み具21,21と同様な平円板状を形成しているものの、挿し込み具25の近傍に備えて、挿し込み具25を用いて一方のビード部をリム越えさせた後に、すぐに他方のビード部を同じ側のリム越えに供することが可能なようにしているのである。この挿し込み具24を用いて逆側から他方のビード部を押してはじめの一方のビード部が越えた同じ側のリムを越えさせてタイヤを外す工程については
図8を参照しながら後述する。
さらに、挿し込み具24の近傍には噴射ノズル26が配置されているが、これは注水配管27を介して水や界面活性剤水溶液を放出して、ホイールのリムとタイヤのビード部の隙間で作動する挿し込み具24と、リムやビード部との摩擦を低減して摩擦熱の発生を抑制したり、これらの部分の熱や摩擦による損傷を防止している。本実施の形態では、挿し込み具24の近傍に設けているが、このような噴射ノズル26は挿し込み具21,21や挿し込み具25の近傍にいずれに設けてもよく、また、すべての挿し込み具21,24,25の近傍に設けてもよい。
なお、噴射ノズル26のほか、単に開口しているようなものであってもよいし、霧吹き状に噴射するノズル状でもよいし、ヘッダーを設けて複数個所から放出するようにしてもよい。また、その口径は上述の目的に沿った流量を確保するために適宜調整すればよい。
また、脱着用治具30には脱離タイヤ置場28が設けられているが、これは挿し込み具25あるいは挿し込み具24によって最終的にタイヤ本体がホイールから完全に脱離した際に、落下するタイヤを受けて仮置きするためのものである。本実施の形態においては梯子状に形成されているが、平板状、あるいは箱状であってもよく、仮置きされたタイヤ本体を移動等のために再度把持することができて、スペース効率がよいように構成されればその形状等は限定するものではない。
【0027】
第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムの動作について説明する前に、
図2及び
図3を参照しながら本発明の第3の実施の形態に係るタイヤ掴みヘッドについて説明する。
図2(a)は本発明の第3の実施の形態に係るタイヤ掴みヘッドの掴みハンドが閉じた状態を示す構造図であり、(b)は同じく開いた状態を示す構造図である。 この
図2を参照しながら、ヘッド2の開閉動作を説明する。
図2では説明を容易にするため、本来4つの掴みハンド4を備えているものの、そのうち1つを示して動作説明を行う。
図2(a)において、ヘッド2の掴みハンド4はその端部に爪部19を備えており、その爪部19は最端部に設けられた第1の爪部19aと、その付け根部に第2の爪部19bが設けられている。
掴みハンド4はモータ3によって駆動されるものである。モータ3が回動すると駆動側タイミングプーリー42が回動し、その駆動側タイミングプーリー42に懸架されたタイミングベルト43が回動して、従動側タイミングプーリー41を作動させる。従動側タイミングプーリー41は台形ネジが螺刻された駆動用ネジ40に固定されているので、駆動用ネジ40が回動する。この駆動用ネジ40がフィードスクリューとして回動することで、この駆動用ネジ40に螺設されているナット44が直動することができる。
【0028】
図2(b)が(a)の状態からナット44が右方向へ直動した状態を示している。ナット44には直動連結リンクプレート45が軸45aで傾動可能に固定されており、この直動連結リンクプレート45には掴みハンド4が軸45bを介して傾動可能に固定されている。従って、ナット44の直動に伴って、掴みハンド4を傾動可能に支持する開閉軸47を中心に傾動し、結果として4本の掴みハンド4が駆動用ネジ40を中心に開動作する。この際、平行リンクバー46が掴みハンド4の側辺と平行を維持するように作用することから、爪部19がタイヤやホイールの面との間で平行を維持しながら開操作することができる。
もちろん、
図2(b)の状態からモータ3を逆に回動させることで(a)の状態にすることも可能である。モータ3に対する電力の供給は前述の電源・信号ケーブル12を介して行われ、このモータ3の角度もエンコーダ14によって検出されており、同様にヘッド2の開閉動作もエンコーダ14で受ける信号によって制御されている。
【0029】
次に、
図3を参照しながら、このタイヤ掴みヘッドがホイール装着されたタイヤを把持する状態及びホイール脱離した際のタイヤ本体を把持する状態について説明する。
図3(a)は本発明の第3の実施の形態に係るタイヤ掴みヘッドの第1の爪部によってホイールのリムを係止している状態を説明するための概念図であり、(b)は同じく第2の爪部によってタイヤのビード部を係止している状態を説明するための概念図である。
図3(a)において、ホイール36を装着しているタイヤ35を把持する際には、まず、ホイール36のリム37とタイヤ35のビード部35aの隙間に第1の爪部19aを介挿し、第1の爪部19aがリム37のエッジ部37aに係止されるようにする。この状態で爪部19を引き上げることでタイヤ35は把持されながら持ち上がる。
これに対して、
図3(b)において、ホイール36がタイヤ35から脱離された場合には、第1の爪部19aではタイヤ35を係止することができないので、爪部19には、第1の爪部19aが設けられている部分の付け根部に連続して第2の爪部19bを形成して、この外側の肩部でタイヤ35のビード部35aを係止することで、タイヤ35を把持することができる。この状態で同様に爪部19を引き上げることでタイヤ35は把持されながら持ち上がることになる。
さらに、
図3(a)で説明したとおり、第1の爪部19aはホイール36のリム37のエッジ部37aに係止されていることから、タイヤ35が脱離した後のホイール36本体についても把持することが可能である。
従って、本第3の実施の形態に係るタイヤ掴みヘッドにおいては、ホイール36を装着しているタイヤ35のみならず、ホイール36本体のみ、あるいは脱離されたタイヤ35本体(タイヤホイール非装着タイヤ)のみの場合でも容易に把持することが可能であり、使用済・中古タイヤの脱離・装着作業の工程のいずれの工程においても活用することが可能であり、効率的な作業を実行することができる。
【0030】
次に、
図4乃至
図9を参照しながら、第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムの動作について説明する。このタイヤ脱着システムは、使用済・中古タイヤを自ら把持し、その後、挿し込み具を用いてタイヤとホイールを脱離して、それぞれを移動させ、所望の場所に載置する脱離作業及びホイール本体を把持し、その後タイヤ本体を被せ、さらに挿し込み具を用いてホイールにタイヤを装着する装着作業といった一連の作業を自動で行うものである。
図4は本発明の第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムのヘッドがタイヤを把持する状態を示す概念図である。
図4において、タイヤ脱着システムのタイヤ脱着ロボット1は、まず、処理用タイヤ置場31に置かれた使用済・中古のタイヤ35をヘッド2に設けられた4本の掴みハンド4によって把持する。その際には、4本の掴みハンド4のそれぞれの端部に設けた爪部19をホイール36のリム37に係止することで、強固に把持することができる。
この掴みハンド4の動作は前述のとおり、モータ3を回動させることで可能となる。また、ヘッド2の姿勢制御は、第2アーム8に設けられた第6関節5や第5関節6はもちろん、その他の関節を用いることで可能である。前述のとおり、これらの関節を動作させるサーボモータは、エンコーダ14によってその回転角度に関する情報が受信されており制御されている。
処理用タイヤ置場31の架台34は、図に記載されているタイヤ35の位置を最低として傾斜するように設けられているため、側面ローラ32と底面ローラ33によってタイヤ35が容易にその最低位置に自動的に移動することができる。
このようにしてホイール36を装着済のタイヤ35は把持される。なお、本実施の形態では、タイヤ35はホイール36の裏側を向けて配置されている。
【0031】
図5は本発明の第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムの脱着用治具の挿し込み具によって裏側ホイールのリムとタイヤのビード部を剥離している状態を示す概念図である。
図4を用いて説明したようにホイール36を装着したタイヤ35を裏側から把持した後に、タイヤ脱着システムは、第2アーム8を作動させてタイヤ35を脱着用治具20の挿し込み具21が配置される場所まで移動させて、裏側からホイール36のリム37とタイヤ35の隙間に挿し込み具21が挿し込まれるようにヘッド2を移動させる。
一旦、挿し込み具21がリム37とタイヤ35の隙間に挿し込まれると、ヘッド2は掴みハンド4を第2アーム8の軸に対して周方向に回動させて、タイヤ35を回動させる。掴みハンド4の端部の爪部19がリム37を係止していることから挿し込み具21と干渉する可能性があるが、ヘッド2がリム37を引くように力を作用させることで挿し込み具21が爪部19よりもタイヤ35側を押さえるように作用して、干渉を抑制することも可能である。
【0032】
本実施の形態において、挿し込み具21は支持板22を介して架台23に固定されているが、支持板22に可動範囲を設けて、すなわちいわゆる「遊び」を設けることで、ヘッド2による掴みハンド4の回転動作や引張り動作をより円滑に実行することが可能となる。具体的な「遊び」としては、
図5中、挿し込み具21が水平方向へ多少移動できるような構造によるものが考えられる。
掴みハンド4を少なくとも1回動させることで、リム37とビード部35aの圧着を剥離させることが可能であるが、剥離の程度によっては数回回動させてもよいし、正・逆回動を何度か繰り返すように予めプログラムしておいてもよい。
次に、現在裏側から挿し込み具21を当てて、タイヤ35を回転させたが、裏側のリム37とビード部35aの圧着が剥離した後には、表側のリム37とビード部35aの圧着の剥離を同様に行う。表側の場合には、現在
図5に剥離作業している状態で示されている挿し込み具21の図面奥側に位置している挿し込み具21を用いて行うことができる。
表側のリム37とタイヤ35の隙間に挿し込み具21を挿し込み、同様にヘッド2の掴みハンド4を回動させてリム37とビード部35aの圧着を剥離させていく。
なお、本実施の形態ではホイール36を装着したタイヤ35を裏側から把持したが、逆に表側から把持してもよい。但し、ホイール36の回転中心側への最深部であるウェルと呼ばれる部分まで挿し込み具25を挿し込んで、前述のとおりフック25aにビード部35a等のタイヤの一部を引っ掛けて引っ張ることでタイヤを引き出すため、一般的にホイール36の表側に存在していることが多いウェルに深く挿入するためには、ウェルが存在していない裏側から挿し込み具25を挿入した方が、タイヤ35を引っ掛けやすく、引き出す際のタイヤに対するヘッドによる張力を小さくすることができる。すなわち、タイヤ脱着ロボット1に対する負荷を低減することが可能である。
【0033】
図6は本発明の第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムの脱着用治具の挿し込み具によって表側ホイールのリムとタイヤのビード部を剥離している状態を示す概念図である。
図5を用いて説明したとおり、本来、表側及び裏側から挿し込み具21を用いてリム37とビード部35aの圧着を剥離することができれば、
図6に示すような作業は不要であるが、ここでは噴射ノズル26の作用の説明も兼ねて、再度ホイール36の表側から平円板状に形成される挿し込み具24を用いて、ホイール36のリム37とタイヤ35のビード部35aの圧着を剥離する作業について説明する。なお、挿し込み具24は、符号21で示される挿し込み具と同様の形状であり、同様の機能を有するものであり、相違するのはその設置場所である。
従って、本実施の形態においては挿し込み具21,21と挿し込み具24は別個に設けられているが、脱離工程、装着工程のいずれの工程においても、これらはいずれか一方のみを用いてもよく、挿し込み具21,21も一対でなくとも1個でもよい。
タイヤ脱着システムは、タイヤ脱着ロボット1を用いて脱着用治具20まで移動して挿し込み具21,21によってリム37とビード部35aの圧着の剥離を表裏の両側から完了した後、さらに補助的に表側からリム37とビード部35aの圧着の剥離作業を実施する場合がある。
その理由は、
図7を参照しながら後述するが、その後に挿し込み具25を用いてタイヤ35のビード部35aを、リム37を越えて外側に外す際には、表側から挿し込み具25を挿し込むため、より容易にその工程が進むように完全に剥離させることが重要であること、さらに、水や界面活性剤を水に溶かした水溶液を放出しながら作業して後工程に資するということがある。
図6に示すように、挿し込み具24がリム37とタイヤ35の隙間に挿し込まれており、その脇から噴射ノズル26によって水38が注水されている。このようにして水38や界面活性剤水溶液を注水することで摩擦力を低くすることができ、摩擦熱の発生や熱によるタイヤやホイールの損傷を防止することが可能である。
なお、本実施の形態においてはこの噴射ノズル26を挿し込み具24の近傍に設けたが、
図5に示した挿し込み具21の近傍に設けてもよいし、挿し込み具25の近傍に設けてもよいことは既に説明したとおりである。
【0034】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムの脱着用治具の挿し込み具によって表側ホイールのリムをタイヤのビード部35aが外側に越えて外れる状態を説明するための概念図である。
図7において、ホイール36の表側及び裏側のリム37とタイヤ35のビード部35aの両方の圧着が剥離された状態となったタイヤ35は、第2アーム8の動作によって架台29に設けられた挿し込み具25を、ホイール36の表側からリム37とタイヤ35の隙間に挿し込むように、符号Aで示される矢印の方向に移動される。
その際の姿勢制御は、第2アーム8の第5関節6及び第4関節7のほか、あらゆる関節の動作を制御することで実行される。
リム37とタイヤ35の隙間に挿し込み具25が挿し込まれると、平板長尺の挿し込み具25のフック25aにタイヤ35のビード部35aが引っ掛かり、この状態でヘッド2を回転させることにより、ホイール36の表側にタイヤ35を引き出すことができる。第2アーム8を符号Aで示される矢印の方向とは逆の方向に引くように動作させることで、より容易にホイール36のリム37を越えさせて架台29側にビード部35aを移動させることが可能である。
その動作を、ヘッド2の掴みハンド4がモータ3によって回動することで全体に亘って実行させることができ、タイヤ35の表側のビード部35aがホイール36の表側から完全に外れることになる。
しかしながら、挿し込み具25を表側から挿入して、裏側のビード部35aを表側のリム37を越えさせることは、困難である可能性が高い。そこで、本願の実施の形態では、次の
図8に示すように、挿し込み具25を用いて表側のビード部35aのみがリム37を越えてホイール36の表側から外れた状態で、挿し込み具24を利用して、裏側からリム37とタイヤ35のビード部35aの隙間に挿し込むようにして完全に脱離させることができる。
【0035】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムの脱着用治具の挿し込み具によって裏側ホイール側のタイヤのビード部を表側のタイヤのリムから外す状態を説明するための概念図である。
図8において、第2アーム8によって挿し込み具24に対してホイール36の裏側を向けた姿勢を取っているタイヤ35は、裏側のリム37との隙間から挿し込み具24を挿し込まれており、噴射ノズル26から水38の注水を受けながらヘッド2を回動させて、ホイール36の全周においてビード部35aを表側のホイール36のリム37を越えさせて、完全にタイヤ35をホイール36から脱離させようとしている。その際には、第2アーム8は、図中符号Bで示される矢印の方向へ引っ張るようにすることで挿し込み具24から図面奥側へ力が加わるようになり、タイヤ35がホイール36から外れるように作用している。すなわち、挿し込み具24は挿し込み具25によって外れた一方のビード部35aとは異なる反対側のビード部25aを、一方のビード部25aが越えた側のリム37を超えさせることで、タイヤ35を完全にホイール36から外す機能をも備えている。
完全にホイール36から外れた脱離タイヤ35bは、そのまま脱離タイヤ置場28上に落下して、破線で示される位置に留まる。
タイヤ35が脱離された後には掴みハンド4にはホイール36本体のみが残るが、
図3(a)を参照しながら説明したとおり、ホイール36はそのまま把持されるので、所望に意図した場所へタイヤ脱着ロボット1によって搬送することが可能である。
さらに、ホイール36を所定の位置に配置した後に、第2アーム8によって、先ほど仮置きした脱離タイヤ35bを迎えに行き、脱離タイヤ置場28上で把持し、ホイール36と同様に所望に意図した場所へタイヤ脱着ロボット1によって搬送することが可能である。
【0036】
図4から
図8を用いてタイヤホイール装着タイヤからタイヤホイール36を脱離させる工程について説明したが、次に、
図9を参照しながらタイヤホイール未装着タイヤにタイヤホイール36を装着する工程について説明する。
図9は第2の実施の形態に係るタイヤ脱着システムの脱着用治具の挿し込み具によって表側ホイールのリムをタイヤのビード部が内側に越えて装着される状態を説明するための概念図である。
図9において、
図6に示される構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
タイヤホイール未装着タイヤとタイヤホイール36は別個に離れている状態にある。まず、予め噴射ノズル26やその他の治具を用いて界面活性剤等の潤滑剤をタイヤホイール未装着タイヤのビード部35aに塗布し、そのホイール未装着タイヤを地面や台等の平面に置いた後、タイヤ脱着ロボット1のヘッド2でホイール36のリム37のエッジ部37aを表側、裏側のいずれからでも爪部19で掴み、そのホイール36をタイヤホイール未装着タイヤに対して約60度傾けた状態で、回転させながら掴んだリム37とは逆側のリム37をホイール未装着タイヤの上面から入れ込む。その際には、ヘッド2をタイヤ脱着ロボット1によって押してホイール36を押し込むようにする。
【0037】
その後、
図9に示すように、タイヤホイール未装着タイヤの内側にホイール36の一方のリム37(掴んだリム37とは逆側のリム37)が入って、タイヤ本体35リム37に係止している状態で、タイヤ脱着ロボット1のヘッド2がタイヤ脱着システムの脱着用治具30の挿し込み具24まで移動させる。本図では、タイヤ脱着ロボット1のヘッド2はホイール36のリム37のエッジ部37aを裏側から爪部19で掴んでいる場合を示している。
その後、爪部19で把持していない表側のホイール36のリム37よりもタイヤホイール未装着タイヤの下面側のビード部35aが内側になるように、挿し込み具24で下面側のビード部35aを挿し込みながら、再度ヘッド2を符号Bで示す方向に回転させることで、周方向すべてのビード部35aをリム37の内側に入れ込むことができ、ホイール36をホイール未装着タイヤに装着することができる。この状態でエアを注入することでタイヤの空気圧を高めることが可能であり、タイヤとして機能させることができる。従って、装着工程では挿し込み具25を用いる必要はない。
【0038】
なお、すでに説明しているとおり、挿し込み具24に代えて挿し込み具21を用いてもよい。
また、爪部19のうち、第1の爪部19aはホイール36の脱離のためだけであれば、単にリム37を係止するだけの機能でよいが、ホイール36を装着する機能を持たせる場合には、第2の爪部19bとの隙間をホイール36のリム37のエッジ部37aを把持可能に形成させることが望ましい。すなわち、第1の爪部19aと第2の爪部19bでエッジ部37aを挟むような構造となる。その理由は、ホイール36を掴んだ状態でホイール未装着タイヤに対して押し込む操作が必要であり、係止だけでは押し込むことができないためである。
本発明の第3の実施の形態に係るタイヤ掴みヘッド2では、
図3(a)に示されるように、爪部19の端部に形成される第1の爪部19aは薄板状に形成されてホイール36のリム37とタイヤ本体35のビード部35aとの隙間に挿入されやすいように構成されており、かつ、爪部19の根元部に形成される第2の爪部19bは第1の爪部19aよりも厚肉に形成されて、しかも、第1の爪部19aとでくの字状に曲折するように構成されている。その曲折して形成される凹部にホイール36のリム37を導いて把持することが可能となっている。
【0039】
以上、説明した一連の作業工程によって使用済・中古タイヤはタイヤ脱着ロボット1のヘッド2によって把持され、そのままの状態で挿し込み具21,24,25を用いてホイール36とタイヤ35を脱離及び装着することができる。その際には、タイヤ脱着ロボット1を構成する関節及びヘッド2の掴みハンド4を駆動するサーボモータの回転角度をエンコーダ14が検出することで、その回転角度をデジタル制御することが可能であり、よって、全自動で使用済・中古タイヤを処理することが可能である。
このようなタイヤ脱着システムを使用することで、これまで複数の作業員が行っていた特にホイール36とタイヤ35の脱離作業をロボットが代わって行うことが可能となり、労力や時間を節約することが可能であり、効率的かつ精度の高い作業を実現することができる。
しかも、使用済・中古タイヤのリサイクル事業の一連の作業において、遅れていた工程を自動化することが可能であり、事業全体の自動化も実現させることが可能となる。
なお、タイヤ脱着ロボットは、本願明細書や図面に示された構成を備えていれば、例えば遠隔手動で動作させることも可能であるが、人間による手動操作では一連の動作を行わせるために時間がかかり作業効率が低下する可能性が高い。
また、効率的な動きを増すためには、例えば画像センサを用いて、その画像を処理して位置を認識させ、サーボモータの回転角度の補正を行う制御や、位置を読み取ることが可能なセンサを用いて姿勢制御にフィードバック制御を用いて効率化を行うことなど、既に開発されて周知となっている技術を適宜組み込むことでより短時間に多数の使用済・中古タイヤの脱着を行うことが可能となる。
【0040】
最後に、
図10及び
図11を参照しながら、本実施の形態に係るタイヤ脱着システムの動作についてまとめる。
図10及び
図11は既に説明したタイヤ脱着システムの動作のうち、それぞれ脱離工程と装着工程の工程内の順序に沿って、具体的な工程の内容を示している。また、各工程の状態に対応している図面を番号で示しており、一連の工程でタイヤ35とホイール36のビード部35aとリム37の位置関係を明確化するために簡単な概念図も付している。
図10において、脱離工程の中の第1工程は、ヘッド2の掴みハンド4と爪部19を用いて、ホイール36の裏側のリム37を係止してタイヤ35を把持する工程である。この工程では、まだホイール36の表側と裏側のリム37とビード部35aは剥離されていない状態である。
第2工程は、挿し込み具21を用いて、ホイール36の表側及び裏側のリム37とタイヤ35のビード部35aを剥離させる工程である。この工程で、ホイール36の表側と裏側のリム37とビード部35aが剥離された状態となる。
【0041】
第3工程は、挿し込み具24と噴射ノズル26を用いて、水38や界面活性剤水溶液を注水しながらホイール36の表側のリム37とビード部35aを完全に剥離させる工程である。この第3工程は、第2工程においてホイール36と表側のリム37が完全に剥離されるのであれば、省略することが可能である。また、第2工程で噴射ノズル26を用いて水38や界面活性剤水溶液を噴射しながら剥離させてもよい。挿し込み具21,24は平円板状であれば、いずれを用いてもよく2種類必要というわけではなく、挿し込み具21のように1対必要ということでもない。
第4工程は、挿し込み具25を用いて、表側のビード部35aをホイール36の表側のリム37を越えさせて引き出す工程である。挿し込み具25の先端部にはフック25aが設けられていることから、このフック25aをビード部35aに引っ掛けて掴みハンド4を回転させながらホイール36を挿し込み具25から離す方向に引くことでビード部35aを完全にホイール36の表側のリム37から完全に外すことが可能である。なお、この第4工程においても水や界面活性剤水溶液を噴射させながら剥離させたり、引出させてもよい。
第5工程は、水38等を注水しながら裏側のビード部35aをホイール36の表側のリム37を越えさせて引き出すことで、タイヤ35がホイール36から完全に脱離する工程である。この第5工程でタイヤ35はホイール36から脱離されるので、掴みハンド4から落下することになる。従って、落下してもよいようなエリアで作業を行うことが望ましく、
図8を参照しながら説明したとおり、脱離タイヤ置場28など落下するタイヤを受け止めるための場所や装置を担保しておくことが望ましい。
【0042】
次に、装着工程について
図11を参照しながら説明する。
第1工程は、ヘッド2の掴みハンド4の爪部19でホイール36の裏側のリム37を係止してホイール36を把持する工程である。
第2工程は、タイヤホイール未装着タイヤ35に対して、掴みハンド4でホイール36の表側のリム37を押し込んで、タイヤ35の裏側のビード部35aを表側のリム37よりもホイール36の内側に入れる工程である。
さらに、第3工程は、この第2工程の状態から今度は表側のビード部35aをホイール36の表側のリム37を越えさせて内側に入れ込む工程である。これによってタイヤ35の両方のビード部35aが、ホイール36の2つのリム37の間で、ホイール36の中心に近い位置に入った状態となる。この状態から第4工程でタイヤ35内に空気を注入することでタイヤ35内の空気圧を高めるものである。
図10を参照して説明したタイヤ脱着システムの動作は脱離工程と装着工程のいずれもハンド4の爪部19でホイール36の裏側のリム37を係止してホイール36を把持したが、表側のリム37を係止してホイール36を把持してもよい。