(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス繊維を主体とし添加物としてMgOを添加したセパレータであって、前記セパレータの厚さは45μm以下であり、巻回破損強度は1.2kg以上であり、耐短絡強度は1.0kgf以上であり、セパレータ抵抗が1.0ohm以下であることを特徴とする非水電解液二次電池用セパレータ。
前記ガラス繊維は平均繊維径0.2μm以上0.4μm以下のガラス繊維と平均繊維径0.5μm以上0.8μm以下のガラス繊維を混合して含有させたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の非水電解液二次電池用セパレータ。
前記セパレータ中に繊維全量の1質量%以上35質量%以下の有機繊維を含み、さらに、前記セパレータの総質量から前記MgOの質量を減じた質量の5質量%以上35質量%以下のバインダを含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の非水電解液二次電池用セパレータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、イオン液体を用いた電解液に対してガラス繊維を含む不織布のセパレータを提案しているが、実施例に開示されたガラス繊維からなるセパレータは厚みが100μmと厚いため、電池の体積エネルギー密度を低下させる一方、薄厚化すると強度が不足し、巻回電池を作製する際に破断や亀裂を生じやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、構成材料にガラス繊維を含むセパレータであって、薄型でありながら、巻回電池作成時に亀裂を生じないような強度を有し、かつ高い放電レート特性を有するとともに、高温保存時に電解液の熱分解に起因するフッ酸発生に対する耐性を備えたセパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非水電解液二次電池用セパレータは前記課題を解決するべくなされたもので、ガラス繊維を主体とし添加物としてMgOを添加したセパレータであって、前記セパレータの厚さは45μm以下であり、巻回破損強度は1.2kg以上であり、耐短絡強度は1.0kgf以上であり、セパレータ抵抗が1.0ohm以下であることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記巻回破損強度が1.5kg以上であることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記耐短絡強度が2.6kgf以上であることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記セパレータ抵抗が0.8ohm以下であることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記ガラス繊維は平均繊維径が0.4μm以上0.8μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記ガラス繊維は平均繊維径0.2μm以上0.4μm以下のガラス繊維と平均繊維径0.5μm以上0.8μm以下のガラス繊維を混合して含有させたことを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記ガラス繊維の含有量は繊維全量の60質量%以上90質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記セパレータ中に繊維全量の1質量%以上35質量%以下の有機繊維を含み、さらに、前記セパレータの総質量から前記MgOの質量を減じた質量の5質量%以上35質量%以下のバインダを含むことを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記有機繊維のうち、フィブリル化した有機繊維を繊維全量の1質量%以上10質量%以下含むことを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、前記MgOが、BET法による比表面積(m
2/g)と、前記ガラス繊維全体に対する添加質量割合(wt%)との積が300[(m
2/g)・(wt%)]以上となるように添加されたものであることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池は、上記の何れかに記載の非水電解液二次電池用セパレータを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、薄型でありながら、巻回電池作成時に亀裂を生じないような強度を有し、かつ高い放電レート特性を有するとともに、高温保存時に電解液の熱分解に起因するフッ酸発生に対する耐性を備える。また、本発明の非水電解液二次電池は放電レート特性がよく、電池作動時に短絡することもない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[セパレータ厚さ]
本発明における非水電解液二次電池用セパレータの厚さは、マイクロメータ(ミツトヨCLM1−15QM)を用い、測定力2Nで測定できる。セパレータの厚さを45μm以下にすることにより電池が実用的な体積エネルギー密度を確保できる。
【0012】
[巻回破損強度]
本発明では、巻回電池を作る際のセパレータの強度評価の指標として巻回破損強度という概念を用いた。この試験方法は実際の巻回電池の製造方法に近く、この指標を用いることによって巻回電池製造時の破損可能性をより正確に評価できる。巻回破損強度が高いと、巻回時のテンションによる破断や、軸芯部の電極タブのエッジによる破断や亀裂が生じにくくなる。巻回に対するセパレータの強度を保持し、巻回電池を作製する際に破断や亀裂を生じさせないため、また、電池作動時に短絡することを防ぐために、巻回破損強度は1.2kg以上である必要があり、1.5kg以上であることが好ましい。
【0013】
巻回破損強度は、
図1に記載の方法で測定できる。まず、60×250mmのセパレータサンプル1を用意する。ここで、長辺方向がMD方向となるようにする。MDとは、Machine Directionの略であり、湿式での不織布製造法における抄紙流れ方向のことを指す。サンプル1の短辺の片側にセロハンテープ2(15mm幅×60mm長)を、15mm幅のうち7.5mmがサンプル1にかかるように貼りつける(
図1(a)参照)。
次に、セロハンテープ2の粘着面が上向きになるように置き、粘着面の上に直径4.5mm、長さ160mmのSUS304丸棒3を置く(
図1(b)参照)。そして、セロハンテープ2のサンプル1に重なっていない部分を丸棒3に貼りつける(
図1(c)参照)。
次に、丸棒3を矢示方向に転がし(
図1(d)参照)、サンプル1を3周巻きつける(
図1(e)参照)。
次に、樹脂板4(オルファ製カッターマット、品番134B)上にサンプル1を載せ、さらにサンプル1の丸棒3が巻きついた部分と反対側部分の中央に0.5kgの分銅5を載せる(
図1(f)参照)。
次に、電極タブを想定した4mm幅×80mm長×100μm厚のSUS304板6を、丸棒3に巻き付けたサンプル1の根元に載せる(
図1(g)参照)。
次に、SUS板6を矢示方向に丸棒3を2秒/1回転の速度で2周回す。このとき、丸棒3の位置は動かさず、分銅5が動くようにする(
図1(h)参照)。
そして、サンプル1の巻きを解き、破断や亀裂の有無を確認する。破断や亀裂がなければ、分銅5の荷重を0.1kgずつ増やし、別のサンプルで評価を行う。破断や亀裂が生じた時の分銅5の重さを巻回破損強度とする。なお、本発明の実施例においては、以上の操作を3回繰り返した平均値を巻回破損強度とした。
【0014】
[耐短絡強度]
耐短絡強度は、非特許文献1に記載の方法に準じて測定できる。短絡を防ぐためには、耐短絡強度が1.0kgf以上である必要があり、2.6kgf以上であることが好ましい。なお、本発明の実施例においては、下記の方法により測定した。
まず、正極として宝泉株式会社製コバルト酸リチウムシート、負極として宝泉株式会社製天然球状黒鉛シートを準備した。次に、平坦な金属板上に、負極、セパレータサンプル、正極の順に配置した。このとき、両極は活物質層がセパレータ側に向くように配置した。また、短絡を確認できるよう、正極および負極にテスターを取り付けた。次に、正極の上から、先端形状が直径3mmの球状であるプローブをセパレータに対して垂直に突き刺し、テスターにて電流が流れたことを確認できたときにプローブに掛かっている力を測定し、その力を耐短絡強度とした。
【0015】
[セパレータ抵抗]
電池の内部抵抗を十分に低減することにより高い放電レート特性を実現するためには、セパレータ抵抗が1.0ohm以下である必要があり、0.8ohm以下であることが好ましい。
セパレータ抵抗は、交流インピーダンス測定を行うことによって測定できる。本発明の実施例においては、下記の方法により測定した。
まず、2極式セル(東洋システム株式会社製、品番TYS−00DM01、電極の直径16mm)にセパレータをセットし、エチレンカーボネート(以下、ECと略す。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCと略す。)を体積比1:3の割合で混合した溶媒に1mol/LのLiPF
6を含有する電解液1mLを添加した。こうして作製したセルについて交流インピーダンス測定を行い、ナイキストプロットの高周波数側実軸切片の値をセパレータ抵抗とした。
【0016】
[空隙率]
セパレータ特性の1つである空隙率は、高いレート特性を維持しながら十分な機械的強度を確保するためには、70%以上90%以下であることが好ましい。
空隙率は、マイクロメータで求めた厚みをt、坪量をW、各構成材料の真密度をρM、各構成材料の質量比率をcMとした場合、下記の式(1)により求めることができる。
空隙率(%)={1−W/t×Σ(cM/ρM)}×100 (1)
【0017】
[ガラス繊維]
本発明の非水電解液二次電池用セパレータに用いるガラス繊維としてはどのような組成のものでもよいが、特にCガラス、Eガラス、ECRガラス、Sガラス、シリカガラスが好ましい。また、一種類のガラス繊維を使用する場合、ガラス繊維の平均繊維径は0.4μm以上0.8μm以下であることが好ましく、平均繊維径0.2μm以上0.4μm以下のガラス繊維と平均繊維径0.5μm以上0.8μm以下のガラス繊維の平均繊維径の異なる二種類のガラス繊維を混合することがより好ましい。なぜなら、一般的に、繊維径の小さなガラス繊維は不織布の引張強度を向上させ、繊維径の大きなガラス繊維は不織布の剛性を向上させ、その結果セパレータの変形を抑制するためである。しかし、繊維径の小さなガラス繊維が多すぎるとセパレータの平均孔径が小さくなりすぎるため、放電レート特性が悪くなる。一方、繊維径が大きすぎたり、ガラス繊維量が過少だと平均孔径が大きくなりすぎるため、やはり放電レート特性が悪くなる。ガラス繊維の含有量は、熱暴走時のセパレータの収縮を抑制し、かつ、十分な巻回破損強度を満たすために、繊維全量の60質量%以上90質量%以下であることが好ましく、70質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
[有機繊維]
また、セパレータの強度を増すためには、ガラス繊維に有機繊維を加えることが好ましい。有機繊維にはフィブリル化した繊維(以下、フィブリル化有機繊維という。)とフィブリル化していない通常の繊維(以下、非フィブリル化有機繊維という。)とがあり、どちらを用いてもよいが、強度を高くするためには、フィブリル化有機繊維と非フィブリル化有機繊維を併用することが好ましい。また、有機繊維の含有量は繊維全量の10質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
【0019】
フィブリル化有機繊維としては、フィブリル化により個々の繊維は1μm以下の微細な繊維径となっているものが好ましく、平均繊維径0.1μm以下となっていることがより好ましい。
フィブリル化有機繊維の組成としては電気化学的に安定で、かつ電解液に対して安定であればよく、例えばセルロース繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエチレン繊維およびポリプロピレン繊維等が挙げられ、このうちセルロース繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維が好ましい。なお、上記繊維は単独で用いてもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。フィブリル化有機繊維を使用することによって巻回破損強度や耐短絡強度を大きくすることができるが、フィブリル化有機繊維の含有量が多いとセパレータ抵抗が増加し、放電レート特性が悪くなる。したがって、フィブリル化有機繊維の含有量は繊維全量の1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
【0020】
また、非フィブリル化有機繊維を添加することにより、セパレータに柔軟性を付与し、巻回破損強度を向上することができる。
非フィブリル化有機繊維は単一組成からなる繊維であってもよく、また、芯鞘型繊維などのように複数組成からなる繊維であってもよい。組成としては電気化学的に安定で、かつ電解液に対して安定であればよく、例えば、セルロース繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリル繊維、ポリエチレン繊維およびポリプロピレン繊維等が挙げられ、このうちセルロース繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロプレン繊維が好ましい。なお、上記非フィブリル化有機繊維は単独で用いてもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。また、平均繊維径が異なるものを混合することによって強度を高くすることができるが、非フィブリル化有機繊維の含有量が多いと熱暴走時の熱収縮が増大し、安全性が低下する。したがって、非フィブリル化有機繊維の含有量は繊維全量の5質量%以上35質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
[バインダ]
本発明の非水電解液二次電池用セパレータでは、構成材料である繊維を相互に結着する目的、および、MgOを固定化する目的で、バインダを用いることが好ましい。バインダとしては、電気化学的に安定かつ電解液に対して安定で、さらに構成材料を良好に接着できるものであればよいが、例えば、EVA(酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体[スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、セルロース誘導体[カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど]、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、アクリル樹脂などが挙げられる。使用の際にはこれらを単独で使用することもでき、二種以上を併用することもできる。バインダが少ないと引張強度が不足することにより巻回破損強度が小さくなり、耐短絡強度が低下し、また、MgOが脱落しやすくなる。しかし、バインダが多すぎるとセパレータ抵抗が高くなり放電レート特性が悪くなる。したがって、本発明に用いるバインダの含有量は、セパレータの総質量からMgOの質量を減じた質量に対して5質量%以上35質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。
【0022】
[MgO]
特許文献2(特開2013−232357号公報)に開示されているように、MgOの添加量は、BET法による比表面積(m
2/g)と添加質量割合(wt%)との積が300[(m
2/g)・(wt%)]以上となるように添加することが好ましく、4000[(m
2/g)・(wt%)]以上となるように添加するのがより好ましい。なお、前記添加質量割合(wt%)は、ガラス繊維質量とMgO質量の和に対する添加物の質量比率を表す。BET法による比表面積(m
2/g)と添加質量割合(wt%)との積はガラス繊維の単位質量当たりの添加物の表面積を意味する。即ち、電解液中に存在するガラス繊維の単位質量当たり、MgOがどれだけ効果を有するかを意味する。
このようにMgOを添加することにより、発生したフッ酸を効率よく捕捉し、フッ酸のガラス基材への影響を軽減することができる。その結果、ガラス繊維を含むセパレータを用いた非水電解液二次電池の高温保存特性の低下を抑制することができる。
【0023】
本発明の非水電解液二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池は、例えば下記の方法により作製することができる。
正極活物質としてLiCoO
2を85質量%、導電剤としてカーボンブラックを7質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを8質量%含有する正極、および、負極活物質として天然球状黒鉛を86質量%、導電剤としてカーボンブラックを6質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを8質量%含有する負極を用いる。また、電解液としてはECとEMCを体積比1:3の割合で混合した溶媒に1mol/LのLiPF
6を含有する電解液を用い、電極間にセパレータを配置し、これを渦巻状に巻いて、18650型セルを作製する。なお、
図2に示すように、正極は厚み15μmのアルミ箔、負極は厚さ10μmの銅箔からなる集電体7上に塗布されており、その裏面にそれぞれに幅4mm、厚み100μmの電極タブ8が、集電体7の長尺方向の片側端部に1本溶接されている。また、セル作製時は正極の電極タブを軸芯側、負極の電極タブを軸外側にくるように配置する。
【実施例】
【0024】
次に、本実施形態における非水電解液二次電池用セパレータを、実施例を用いて説明する。なお本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではない。
【0025】
[実施例1]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維75質量%、フィブリル化セルロース繊維5質量%、平均繊維径2μmで繊維長3mmのポリエステル繊維20質量%を水中に分散し坪量5g/m
2の不織布シートを抄造した。この不織布シートにラテックスバインダ(日本エイアンドエル株式会社製、AL−3001A)を1g/m
2となるように塗布し、乾燥させた。その後、添加剤として、脱水エタノールに分散させたMgO粉末(宇部マテリアルズ株式会社製、UCM−150、平均粒径3.3μm、BET法による比表面積176m
2/g)およびポリビニルピロリドン(日本触媒株式会社製、K−90、分散濃度は酸化マグネシウム粉末100部に対して5部)を、添加剤塗布後の質量に対して50質量%となるように塗布し、乾燥させた。これを、厚さ30μmにプレスしてセパレータを得た。
ここで、使用したガラス短繊維は火炎法により製造し、その繊維長は0.1〜10mm程度であった。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.5kg、耐短絡強度が2.6kgf、セパレータ抵抗が0.8ohmであった。
【0026】
[実施例2]
バインダ塗布量を2g/m
2としたこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.0kg、耐短絡強度が3.0kgf、セパレータ抵抗が1.0ohmであった。
【0027】
[実施例3]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維80質量%と、平均繊維径2μmのポリエステル繊維20質量%を用いて抄造したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.2kg、耐短絡強度が1.0kgf、セパレータ抵抗が0.6ohmであった。
【0028】
[比較例1]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維95質量%と、フィブリル化セルロース繊維5質量%を用いて抄造したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が0.5kg、耐短絡強度が1.4kgf、セパレータ抵抗が0.8ohmであった。
【0029】
[比較例2]
バインダを塗布せず、また、MgO粉末塗布時にポリビニルピロリドンを用いないこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が1.0kg、耐短絡強度が0.4kgf、セパレータ抵抗が0.6ohmであった。
【0030】
[比較例3]
平均繊維径0.6μmのCガラス短繊維と平均繊維径0.3μmのCガラス短繊維を3:1質量比で混合したガラス繊維70質量%、フィブリル化セルロース繊維10質量%、平均繊維径2μmのポリエステル繊維20質量%を用いて抄造したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.0kg、耐短絡強度が1.8kgf、セパレータ抵抗が1.2ohmであった。
【0031】
[比較例4]
バインダ塗布量を4g/m
2としたこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
作製したセパレータのセパレータ特性は、巻回破損強度が2.0kg、耐短絡強度が3.0kgf、セパレータ抵抗が1.6ohmであった。
【0032】
これら実施例1〜3および比較例1〜4のセパレータを用いて、前述した18650型セルのリチウムイオン二次電池を作製し、下記の項目について特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
[巻回可否]
円筒型セル作製時において、セパレータに破断や亀裂が10セル中2セル以上の頻度で生じたものを×、10セル中1セルで生じたものを△、全く生じなかったものを○とし、巻回可否を評価した。
【0034】
[短絡有無]
充放電試験において全数正常に動作したものを○、短絡により電圧が上昇しなかったセルが10セル中2セル以上あったものを×、10セル中1セルのものを△とし、短絡有無を評価した。
【0035】
[電池特性(放電レート特性)]
充放電試験装置を用いて、3.0Vから4.2Vの間で、0.5C CCCV充電、0.2C CC放電、0.5C CCCV充電、10C CC放電の順に行い、0.2C放電容量に対する10C放電容量の容量維持率を求め、電池特性(放電レート特性)を評価した。評価においては、60%以上を○、50%以上60%未満を△、50%未満を×とした。
【0036】
【表1】
【0037】
比較例1および比較例2において巻回可否の評価が×であることから、巻回破損強度を1.2kg以上とすることにより、巻回電池作製時の破損の可能性を小さくでき、巻回破損強度を1.5kg以上とすることにより、破損を防ぐことができることが分かった。
また、比較例2において短絡有無の評価が×であることから、耐短絡強度を1.0kgf以上とすることにより、短絡の発生がない巻回電池を得られることが分かった。
さらに、比較例3および比較例4において電池特性(放電レート特性)の評価が×であることから、セパレータ抵抗を1.0ohm以下とすることにより、電池特性を向上させることができ、0.8ohm以下とすることにより、電池特性をさらに向上させることができることが分かった。
【課題】薄型でありながら、巻回電池作成時に亀裂を生じないような強度を有し、かつ高い放電レート特性を有するとともに、高温保存時に電解液の熱分解に起因するフッ酸発生に対する耐性を備えたセパレータおよびそれを用いた非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】ガラス繊維を主体とし添加物としてMgOを添加したセパレータであって、前記セパレータの厚さは45μm以下であり、巻回破損強度は1.2kg以上であり、耐短絡強度は1.0kgf以上であり、セパレータ抵抗が1.0ohm以下であることを特徴とする非水電解液二次電池用セパレータおよび当該セパレータを用いた非水電解液二次電池である。