特許第6186554号(P6186554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6186554電気自動車のためのトルクベクタリング制御と可変定格出力制御を行う動力システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6186554
(24)【登録日】2017年8月4日
(45)【発行日】2017年8月23日
(54)【発明の名称】電気自動車のためのトルクベクタリング制御と可変定格出力制御を行う動力システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20170814BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20170814BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20170814BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20170814BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20170814BHJP
   B60W 20/10 20160101ALI20170814BHJP
   F16H 1/08 20060101ALI20170814BHJP
   F16H 1/14 20060101ALI20170814BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20170814BHJP
【FI】
   B60L15/20 SZHV
   B60K6/48
   B60K6/40
   B60W10/08 900
   B60W10/06 900
   B60W20/10
   B60L15/20 K
   F16H1/08
   F16H1/14
   B60L11/14
【請求項の数】8
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-128307(P2016-128307)
(22)【出願日】2016年6月29日
【審査請求日】2016年7月6日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306043688
【氏名又は名称】矢野 隆志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 隆志
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−508353(JP,A)
【文献】 特開2013−132960(JP,A)
【文献】 特開平9−93714(JP,A)
【文献】 特開2001−48491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 15/00−15/42
B60L 11/00−11/18
B60W 10/00−20/50
B60K 6/40,6/48
F16H 1/08,1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

電気動力またはハイブリッド動力の自動車のための動力システムであって、

前記動力システムは、一つまたは複数のモータ(13, 14, 15)、前記一つまたは複数のモータの、それぞれのモータの動力を第1車輪(右車輪)(21)に直接伝達する第1系統動力伝達機構(51, 55, 58, 62, 71, 82, 83, 84)前記それぞれのモータの動力を第2車輪(左車輪)(22)に直接伝達する第2系統動力伝達機構(52, 56, 57, 63, 72, 82, 83, 85)、制御装置(18)を有すること、

前記制御装置は、前記一つまたは複数のモータ、前記第1系統動力伝達機構、前記第2系統動力伝達機構を制御して、前記それぞれのモータの動力の前記第1車輪への直接伝達とその切断、前記第2車輪への直接伝達とその切断を行うことによって、前記第1車輪に動力を伝達するモータ数と前記第2車輪に動力を伝達するモータ数の差分の制御と前記それぞれのモータの駆動トルクの制御を行う、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行うこと、

を特徴とする動力システム。


【請求項2】

請求項1の動力システムにおいて、

前記動力システムは、さらに、前記一つまたは複数のモータ(13, 14, 15)の、それぞれのモータの動力を前記第1車輪(21)と前記第2車輪(22)の双方に分配伝達する第3系統動力伝達機構(53, 54, 55, 56, 61, 73, 74, 75, 81)を有すること、

前記制御装置(18)は、前記一つまたは複数のモータ、前記第1系統動力伝達機構(51, 55, 58, 62, 71, 82, 83, 84)、前記第2系統動力伝達機構(52, 56, 57, 63, 72, 82, 83, 85)、前記第3系統動力伝達機構を制御して、前記それぞれのモータの動力の、前記第1車輪への直接伝達とその切断、前記第2車輪への直接伝達とその切断、前記第1車輪と前記第2車輪への分配伝達とその切断を行うことによって、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行うこと、

を特徴とする動力システム。


【請求項3】

請求項2の動力システムにおいて、

前記一つまたは複数のモータは第1モータ(13)と第2モータ(14)であること、

前記第1系統動力伝達機構は、前記第1モータの動力を前記第1車輪(21)に直接伝達する動力伝達機構(51, 55, 71)と前記第2モータの動力を前記第1車輪に直接伝達する動力伝達機構(58)を有し、

前記第2系統動力伝達機構は、前記第1モータの動力を前記第2車輪(22)に直接伝達する動力伝達機構(57)と前記第2モータの動力を前記第2車輪に直接伝達する動力伝達機構(52, 56, 72)を有し、

前記第3系統動力伝達機構は、前記第1モータの動力を前記第1車輪と前記第2車輪の双方に分配伝達する動力伝達機構(53, 55, 73, 81)と前記第2モータの動力を前記第1車輪と前記第2車輪の双方に分配伝達する動力伝達機構(54, 56, 74, 81)を有すること、

前記制御装置(18)は、前記第1モータ、前記第2モータ、それぞれのモータの動力を伝達する前記第1系統動力伝達機構、前記第2系統動力伝達機構、前記第3系統動力伝達機構を制御して、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御、または、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御と前記第1車輪に動力を伝達するモータ数と前記第2車輪に動力を伝達するモータ数の総和の制御を行うモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行うこと、

を特徴とする動力システム。


【請求項4】

請求項3の動力システムにおいて、

前記第1系統動力伝達機構と前記第2系統動力伝達機構は、前記第1モータ(13)が接続される第1入力軸(31)と前記第2モータ(14)が接続される第2入力軸(32)の連結と切断を行うICクラッチ機構(82)を有すること、

前記制御装置(18)は、前記第1モータ、前記第2モータ、前記ICクラッチ機構を有する前記第1系統動力伝達機構、前記ICクラッチ機構を有する前記第2系統動力伝達機構、前記第3系統動力伝達機構を制御して、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御、または、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御と前記モータ数総和制御方式可変定格出力制御を行うこと、

を特徴とする動力システム。


【請求項5】

請求項3の動力システムにおいて、

前記動力システムは、さらに、第3モータ(15)を有すること、

前記第3系統動力伝達機構は、さらに、前記第3モータの動力を前記第1車輪(21)と前記第2車輪(22)の双方に分配伝達する動力伝達機構(61, 81)を有すること、

前記制御装置(18)は、前記第1モータ(13)、前記第2モータ(14)、前記第3モータ、前記第1系統動力伝達機構(55, 71, 82)、前記第2系統動力伝達機構(56, 72, 82)、前記第3系統動力伝達機構(55, 56, 61, 73, 74, 81)を制御して、

前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御、または、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御と前記モータ数総和制御方式可変定格出力制御を行うこと、

を特徴とする動力システム。


【請求項6】

請求項3の動力システムにおいて、

前記動力システムは、さらに、第3モータ(15)を有すること、

前記第1系統動力伝達機構は、さらに、前記第3モータの動力を前記第1車輪(21)に直接伝達する動力伝達機構(62, 71)を有し、

前記第2系統動力伝達機構は、さらに、前記第3モータの動力を前記第2車輪(22)に直接伝達するする動力伝達機構(63, 72)を有し、

前記第3系統動力伝達機構は、さらに、前記第3モータの動力を前記第1車輪と前記第2車輪の双方に分配伝達する動力伝達機構(61, 81)を有すること、

前記制御装置(18)は、前記第1モータ(13)、前記第2モータ(14)、前記第3モータ、前記第1系統動力伝達機構(55, 62, 71, 82)、前記第2系統動力伝達機構(56, 63, 72, 82)、前記第3系統動力伝達機(55, 56, 61, 73, 74, 81)を制御して、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御、または、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御と前記モータ数総和制御方式可変定格出力制御を行うこと、
を特徴とする動力システム。


【請求項7】

請求項1の動力システムにおいて、

前記一つまたは複数のモータは第1モータ(13)と第2モータ(14)であること、

前記第1系統動力伝達機構は、前記第1モータの動力を第1中間軸(41)に伝達するT5動力伝達機構(55, 552, 554)、前記第2モータの動力を第2中間軸(42)に伝達するT6動力伝達機構(56, 562, 564)、前記第1中間軸と前記第2中間軸を連結するCCクラッチ機構(83)、前記第1中間軸の動力を第1車輪(21)に伝達するSC1クラッチ機構(84)を有し、

前記第2系統動力伝達機構は、前記第1モータの動力を前記第1中間軸に伝達する前記T5動力伝達機構、前記第2モータの動力を前記第2中間軸に伝達する前記T6動力伝達機構、前記第1中間軸と前記第2中間軸を連結する前記CCクラッチ機構、前記第2中間軸の動力を前記第2車輪(22)に伝達するSC2クラッチ機構(85)を有すること、

前記制御装置(18)は、前記第1モータ、前記第2モータ、前記T5動力伝達機構、前記T6動力伝達機構、前記SC1クラッチ機構、前記SC2クラッチ機構、前記CCクラッチ機構を制御して、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行うこと、

を特徴とする動力システム。


【請求項8】

請求項1の動力システムにおいて、

前記一つまたは複数のモータは第1モータ(13)と第2モータ(14)であること、

前記第1系統動力伝達機構は、前記第1モータが接続された第1入力軸(31)と前記第2モータが接続された第2入力軸(32)を連結するICクラッチ機構(82)、前記第1入力軸の動力を前記第1車輪(21)に直接伝達するT1動力伝達機構(51, 512, 514)を有し、

前記第2系統動力伝達機構は、前記第1モータが接続された前記第1入力軸と前記第2モータが接続された前記第2入力軸を連結する前記ICクラッチ機構、前記第2入力軸の動力を前記第2車輪(22)に直接伝達するT2動力伝達機構(52, 522, 524)を有すること、

前記制御装置(18)は、前記第1モータ、前記第2モータ、前記T1動力伝達機構、前記T2動力伝達機構、前記ICクラッチ機構を制御して、前記モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行うこと、

を特徴とする動力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気動力またはハイブリッド動力の自動車、特にスポーツカーのための動力システムに関するもの、特にトルクベクタリング制御と可変定格出力制御を行う動力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
まず、電気動力またはハイブリッド動力の自動車の動力システムとして用いられるモータの特性について説明する。
電気動力またはハイブリッド動力の自動車は回生ブレーキを行うので、その動力システムに用いられるのは発電機能を有するモータジェネレータであるが、本発明においてはモータジェネレータと同じ意味でモータと記述する。
図1に、電気動力またはハイブリッド動力の自動車の動力システムとして用いられる一般的な永久磁石型同期モータのエネルギー効率を示す。図1aに回転速度-トルク特性を、図1bに回転速度-出力特性示す。
モータの回転速度-トルク特性を図1aに示す。トルクは低回転速度領域で高く、回転速度が高くなるにつれて低くなること、エネルギー効率は中回転速度大トルクの領域-I で最も高く、領域-II、領域-III の順に低くなる。エネルギー効率はスポット-B が最も高く、スポット-A、スポット-Cの順に低くなり、 高トルク領域(定格出力)にあるスポットBに比べて、低トルク領域にあるスポットDのエネルギー効率は低くなる。
モータの回転速度-出力特性を図1bに示すように、出力を一定にした状態で回転速度を変化することが可能であり、低回転速度の領域-II にあるスポット-A、中回転速度の領域-I にあるスポット-B、高回転速度の領域-III にあるスポット-Cで等しい出力にすることができる。同じ出力でもエネルギー効率は中回転速度領域にあるスポット-Bがもっとも高いことである。
【0003】
電気動力またはハイブリッド動力のスポーツカーの動力システムにおいては、標準的な動力システムに比べて、定格出力の大きく回転速度の高いモータを用いるので市街地走行時の低トルク領域および低回転速度におけるエネルギー効率の低下の問題は大きく、それらの問題を解決するには、モータの特性の改善だけではそれらを満足することは困難であり、可変定格出力制御や 変速制御が必要になる。
【0004】
電気動力またはハイブリッド動力のスポーツカーのトルクベクタリング制御の背景について説明する。
従来の内燃機関動力のスポーツカーにおいてもトルクベクタリング制御はコーナリング特性を向上させる重要な機能であったが、1つの動力のトルクを任意の比率で左右の車輪に分配する機構は複雑であり、重量とコストを増加させること、多板クラッチ等により制御するために発熱等によるエネルギー損失と制御精度の低さのために普及しなかった。
電気動力またはハイブリッド動力のスポーツカーでは、複数のモータを用いることが容易なこととモータの回転速度またはトルクの高精度の制御が容易なことにより、トルクベクタリング制御の実現が容易になった。
独立駆動方式トルクベクタリング制御は二つの課題を有している。第1の課題は一方のモータのトルクを他方の車輪に配分できないことである。第2の課題は低負荷直進走行時にそれぞれのモータは定格出力に対してかなり低いトルクで駆動することになり、モータをエネルギー効率の低いトルク領域で使用しなければならないことである。
【0005】
電気動力またはハイブリッド動力のスポーツカーの可変定格出力制御の背景について図1cに示す。
特性-aは定格出力の大きなモータ、特性-bは定格出力の小さなモータの回転速度-トルク特性であり、スポット-Dは特性-aのモータではエネルギー効率の低い領域-IIIaに位置するが、特性-bのモータではエネルギー効率の高い領域-Ibに位置する。特性-aと特性-bの切換えを行うことにより広いトルク領域において高いエネルギー効率を 得ることができる。これが可変定格出力制御を必要とする理由である。
可変定格出力制御を実現する1つの方法は、複数の定格出力が小さなモータを有し、小さな定格出力を必要とする場合に一部のモータで駆動し、他のモータを休止する方法である。電気動力またはハイブリッド動力のスポーツカーの動力システムにおいては複数のモータで構成することは容易であり、可変定格出力制御を実現する方式として、複数の定格出力が小さなモータを有し、大きな定格出力を必要とする場合には全てのモータで駆動し、小さな定格出力で十分な場合は一部のモータのみで駆動する方式は優れている。
【0006】
特許文献3の技術は二つのモータのトルクを遊星歯車機構により左駆動輪と右駆動輪に分配できるトルクベクタリング制御技術であり、独立駆動方式トルクベクタリング制御の第1の課題を解決しようとするものである。
段落0031から段落0032および段落0047から段落0050に、二つのモータのトルク差よりも大きなトルク差で左駆動輪と右駆動輪を駆動できることが、段落0039には左右車輪の駆動トルク差を示す(7)式が記述されている。
しかし、(7)式に示されるように左右車輪の駆動トルク差は二つのモータのトルク差に比例するので、左右車輪の駆動トルク差を最大にするには二つのモータの一方のモータを逆転するものと思われる。この時サンギアとリングギアは逆方向に高速で回転しピニオンギアは高速で回転することになり発熱等によるエネルギー損失の課題を有する。
また、独立駆動方式トルクベクタリング制御の第2の課題については低負荷直進走行時にそれぞれのモータは定格出力に対してかなり低いトルクで駆動することになるので解決されない。
また、特許文献3の技術はスポーツカーやSUV車には適さない。左右車輪の回転数差を制御できないのでリミテッドスリップデフを必要とするが、左右車輪の駆動トルク差を0にするリミテッドスリップデフは左右車輪の駆動トルク差を制御する特許文献3のトルクベクタリング制御技術には適合しない。
【0007】
特許文献2の技術は複数のモータの接続を制御することによる可変定格出力制御である。
「要約」の「構成」に、モータM1’〜M4’が減速機を挟んで同軸上に配置されること、各モータ間および減速機との間に可変制御クラッチC1’〜C4’が設けられること、必要負荷に応じてモータが選択され減速機に接続され、他のモータは切り離されることが記述されている。
【0008】
特許文献3の技術は要求トルクが所定値以下のときは、複数のモータの内のいずれかに要求トルクの全量を配分する制御である。複数のモータの出力軸が接続されており、特許文献1のようにモータの接続の制御は行わない。
段落0008に、複数のモータの出力を1つの出力軸に合成する駆動系と、複数のモータに対する要求トルクを検出する要求トルク検出手段と、要求トルク量に応じて、各モータに対する要求トルクの配分量を設定するトルク配分量設定手段と、各モータの出力トルクが設定された配分量になるように、各モータを駆動制御する駆動制御手段備えること、トルク配分量設定手段は、要求トルク検出手段で検出されたアクセル開度が所定値以下のときは、複数のモータの内のいずれかに要求トルクの全量を配分することが記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015-021594 澤瀬 薫
【特許文献2】特許公開H6-153325 日産自動車株式会社
【特許文献3】特許公開H5-115108 日産自動車株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は二つある。
第1の課題は、電気動力またはハイブリッド動力の自動車特にスポーツカーのための、右車輪と左車輪のトルク差分が大きいトルクベクタリング制御が可能な動力システム提供することである。
第2の課題は、トルク差分が大きいトルクベクタリング制御と可変トルク領域が広い可変定格出力制御が可能な動力システム提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の動力システムは、複数のモータ、モータの動力を直接右車輪に伝達する第1系統動力伝達機構、直接左車輪に伝達する第2系統動力伝達機構、モータの動力を右車輪と左車輪に分配伝達する第3系統動力伝達機構と制御装置からなる。
制御装置はモータと三つの系統の動力伝達機構を制御して、右車輪に動力を伝達するモータ数と左車輪に動力を伝達するモータ数の差分の制御とそれぞれのモータの駆動トルクを制御するモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
また、制御装置は三つの系統の動力伝達機構を制御して、三つの系統の動力伝達機構に動力を伝達するモータ数の総和を制御するモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
さらに、制御装置はモータと三つの三つの系統の動力伝達機構を制御して、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を統合して行う。
【0012】
本発明のモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御と特許文献1の技術との手段の差異について説明する。
特許文献1の技術は遊星歯車機構の複雑な組合せの機構によって独立駆動方式トルクベクタリング制御の第1の課題を解決しようとするトルクベクタリング制御技術である。
それに対して、本発明の動力システムは、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構、第3系統動力伝達機構の三つの系統の動力伝達機構を有し、三つの系統の動力伝達機構は単純なクラッチ機構(変速を行う方式でも単純なクラッチ機構と変速のための単純な歯車機構)の構成であり、左右車輪の駆動トルク差が大きい状態において特許文献1のような発熱等によるエネルギー損失は発生しない。
さらに、本発明の動力システムはトルクベクタリング制御(モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御)だけでなく可変定格出力制御(モータ数総和制御方式可変定格出力制御)を統合して制御可能なものである。
【0013】
次に、本発明のモータ数総和制御方式可変定格出力制御と特許文献2および特許文献3の技術との差異について説明する。
特許文献2および特許文献3の技術は、本発明の第3系統動力伝達機構のみからなる可変定格出力制御技術である。
それに対して、本発明の動力システムは、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構、第3系統動力伝達機構の三つの系統の動力伝達機構を有し、トルクベクタリング制御(モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御)の状態においても可変定格出力制御(モータ数総和制御方式可変定格出力制御)を統合して制御可能なものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御は、本発明の動力システムの構成、すなわち、複数のモータ、モータの動力を直接右車輪に伝達する第1系統動力伝達機構、直接左車輪に伝達する第2系統動力伝達機構、モータの動力を右車輪と左車輪に分配伝達する第3系統動力伝達機構によって実現できたものである。
本発明の動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御の効果について説明する。
第1の効果は第1の課題の解決、すなわち、二つのモータによる独立駆動方式トルクベクタリング制御に比べて左右車輪のトルク差分が大きいモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御、例えば複数のモータの全てのトルクを左右の一方の車輪に伝達することを可能なトルクベクタリング制御、トルク差分の大きな領域においてもエネルギー効率が高いトルクベクタリング制御を実現したことである。
第2の効果は第2の課題の解決、すなわち、左右車輪のトルク差分が大きいモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御時にも可能な可変トルク領域が広いモータ数総和制御方式可変定格出力制御を実現し、モータのエネルギー効率の高いトルク領域での使用を可能にしたことである。
第3の効果は、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御、すなわち、トルクベクタリング制御と可変定格出力制御の統合を可能にしたことである。
第3の効果は、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御、すなわち、トルクベクタリング制御と可変定格出力制御の統合を可能にしたことである。
【0015】
本発明の動力システムのさらなる効果は、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御だけでなく、並列駆動同期変速制御も可能にしたことであり、モータ数総和制御方式可変定格出力制御と並列駆動同期変速制御の双方の実現によって、モータの、よりエネルギー効率の高いトルク領域での使用を可能にしたことである。
【0016】
本発明のモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御は、ステアリング操作の難しさやフィードバックの不自然さの問題を有しているが、いくつかの方法により解決される。
第1の方法はステア・バイ・ワイヤ技術との組合せである。ステア・バイ・ワイヤ技術はステアリングホイールの角度から目標のヨーレート(ヨー角速度)を求め、コンピュータはプログラムに従がってステアリング制御とトルクベクタリング制御を行う。
第2の方法は四輪駆動の前輪か後輪の駆動に用いる方法である。例えば四輪駆動の前輪に用いた場合、主たる駆動は後輪のトルクで行い、前輪のトルクは旋回に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一般的な永久磁石型同期モータの可変定格出力制御と変速制御の特性を説明する図である。
図2】主要なモデルと制御技術の分類を示す図である。
図3】Model-2112,2121,2122,2131,2132,2142,2152の動力システムの全体概要構成を説明する図である。
図4】Model-2114,2123,2124,2133,2134の動力システムの全体概要構成を説明する図である。
図5】Model-2112,2114の詳細な部分構成を説明する図である。
図6】Model-2122a,2122b,2122cの詳細な部分構成を説明する図である。。
図7】Model-2124bの詳細な部分構成を説明する図である。
図8】Model-2132s, Model-2132bの詳細な部分構成を説明する図である。
図9】Model-2134sの詳細な部分構成を説明する図である。
図10】Model-2134bの詳細な部分構成を説明する図である。
図11】Model-2142,2132CXの詳細な部分構成を説明する図である。
図12】Model-2152の詳細な部分構成を説明する図である。
図13】Model-2152の動力システムの全体概要構成変形例を説明する図である。
図14】Model-2112のモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-1)を説明する図である。
図15】Model-2114のモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-1)を説明する図である。
図16】Model-2122aのモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図17】Model-2122bのモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図18】Model-2122maのモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図19】Model-2124bのモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図20】Model-2132bのモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-3)を説明する図(1)である。
図21】Model-2132bのモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-3)を説明する図(2)である。
図22】Model-2134bのモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-3)を説明する図(1)である。
図23】Model-2134bのモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-3)を説明する図(2)である。
図24】Model-2142のモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-4)を説明する図である。
図25】Model-2152のモータ数差分方式トルクベクタリング制御(YC-5)を説明する図である。
図26】Model-2122aのモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-1)を説明する図である。
図27】Model-2122bのモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-1)を説明する図である。
図28】Model-2124bのモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図(1)である。
図29】Model-2124bのモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図(2)である。
図30】Model-2132bのモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図(1)である。
図31】Model-2132bのモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図(2)である。
図32】Model-2134bのモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図(1)である。
図33】Model-2134bのモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図(2)である。
図34】Model-2142のモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-3)を説明する図である。
図35】Model-2152のモータ数総和方式可変定格出力制御(VR-4)を説明する図である。
図36】Model-2122bの並列駆動同期変速制御(MST-22)を説明する図(1)である。
図37】Model-2122bの並列駆動同期変速制御(MST-22)を説明する図(2)である。
図38】Model-2122bの並列駆動同期変速制御(MST-23)を説明する図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の動力システムは、電気動力またはハイブリッド動力の自動車のための動力システムであって、前記動力システムは、モータ13, 14, 15、モータの動力を第1車輪(右車輪)21に伝達する第1系統動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71、第2車輪(左車輪)22に伝達する第2系統動力伝達機構57, 52, 60, 56, 63, 72、制御装置18を有する。
制御装置18は、モータ13, 14, 15と二つの系統の動力伝達機構を制御して、第1車輪21に動力を伝達するモータ数と第2車輪22に動力を伝達するモータ数の差分を制御するモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
モータ13, 14, 15は一つ以上、二つの系統の動力伝達機構はそれぞれ一つ以上必要である。
【0019】
前記制御装置18は、さらに、モータ13, 14, 15、二つの系統の動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71, 57, 52, 60, 56, 63, 72を制御して、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行うとともに、第1車輪21に動力を伝達するモータ数と第2車輪22に動力を伝達するモータ数の総和の制御を行うモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
モータ13, 14, 15は二つ以上、動力伝達機構は二つの系統の動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71, 57, 52, 60, 56, 63, 72 がそれぞれ二つ以上必要である。
【0020】
図2は本発明の動力システムの主要なモデルの分類を説明する図である。まず、構成上の分類について説明する。
Model-21の全てのモデルは、は第1のモータ13、第2モータ14、第3モータ15、モータの動力を第1車輪(右車輪)21 に伝達する第1系統動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71、モータの動力を第2車輪(左車輪)22に伝達する第2系統動力伝達機構57, 52, 60, 56, 63, 72、モータの動力を第1車輪(右車輪)21と第2車輪(左車輪)22に分配伝達する第3系統動力伝達機構53, 55, 73, 54, 56, 74, 61, 62, 63の組合せ(それらの要素の有無の組合せ)によって分類される。
Model-211 は第1モータ13 、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構、第3系統動力伝達機構を有するグループである。
Model-212 は第1モータ13、第2モータ14、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構、第3系統動力伝達機構を有するグループである。
Model-213 は第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構、第3系統動力伝達機構を有するグループである。
Model-211, Model-212, Model-213 は第3動力伝達機構の動力分配機構が差動機構81であるグループであり、Model-214 は第3動力伝達機構の動力分配機構が3-クラッチ方式動力分配機構83, 84, 85であるグループである。
Model-215 は第1モータ13 、第2モータ14、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構を有し第3系統動力伝達機構を有さないグループである。
さらに、Model-2112, 2121, 2122, 2131, 2132, 2142, 2152は電気自動車の動力システムであり、Model-2114, 2123, 2124, 2133, 2134 はエンジン16 を有するハイブリッド自動車の動力システムである。
【0021】
次に、機能上の分類について説明する。
Model-2112, 2114, 2122, 2124, 2132, 2134, 2142, 2152 はモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-1, YC-2, YC-3, YC-3, YC-4, YC-5)が可能なグループである。
Model-2121, 2122, 2123, 2124, 2131, 2132, 2133, 2134, 2142, 2152 はモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1, VR-2, VR-4,)が可能なグループである。
Model-2122, 2124, 2132, 2134, 2142, 2152はモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2, YC-3, YC-4, YC-5)状態においてモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1, VR-2, VR-3, VR-4)が可能なグループである。
【0022】
図3はModel-2112, 2121, 2122, 2131, 2132, 2142, 2152の動力システムの全体概要構成を説明する図である。
動力システムは複数のモータ13,14,15、動力伝達装置23、複数の車輪21, 22、制御装置18 等を有し、動力伝達装置23 はモータ13,14,15が接続される複数の入力軸 31, 32, 33、車輪が接続される複数の出力軸35, 36、入力軸と出力軸の間に介在する第1系統動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71、第2車輪(左車輪)22に伝達する第2系統動力伝達機構57, 52, 60, 56, 63, 72、第3系統動力伝達機構53, 55, 73, 54, 56, 74, 61, 62, 63等を有する。
Model-2112は1つのモータ13、Model-2121, 2122, 2142, 2152は二つのモータ13, 14、Model-2131, 2132は三つのモータ13, 14, 15を有する。
図4はModel-2114, 2123, 2124, 2133, 2134の動力システムの全体概要構成を説明する図である。
動力システムは、さらにエンジン16、エンジン16が接続される入力軸 34等を有する。
Model-2114は1つのモータ13、Model-2123, 2124は二つのモータ13, 14、Model-2133, 2134は三つのモータ13, 14, 15を有する。
【実施例1】
【0023】
Model-2112は本発明の最も単純な電気自動車の動力システムであり、一つのモータ、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、一つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
図5aはModel-2112の詳細な部分構成を説明する図であり、前輪駆動、後輪駆動、前後独立四輪駆動の電気自動車の動力システムの実施例である。動力システムは第1モータ13、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43、差動機構81を有し、第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1出力軸35に伝達するT1動力伝達機構51、第2系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達するT7動力伝達機構57、第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を差動機構入力軸43に伝達するT3動力伝達機構53を有する。
【0024】
図14はModel-2112の動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-1)を説明する図である。
図14aの駆動状態(100)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動する走行であり、
図14bの駆動状態(010)は、第1モータ13とT3動力伝達機構53と差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行であり、
図14cの駆動状態(001)は、第1モータ13とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
駆動状態(XYZ)のXは第1出力軸35を直接駆動するモータ数、Yは第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動するモータ数、Zは第2出力軸36を直接駆動するモータ数である。
【実施例2】
【0025】
Model-2114は最も単純なハイブリッド自動車の動力システムであり、一つのモータ、一つのエンジン、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、二つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
図5bはModel-2114の詳細な部分構成を説明する図であり、後輪駆動のハイブリッド自動車の動力システムの実施例である。動力伝達装置23は、Model-2112と同じ構成と、さらに、エンジン16、エンジン16が接続される第4入力軸34、第3系統動力伝達機構として第4入力軸34の動力を差動機構入力軸43に伝達するC5クラッチ機構75を有する。
【0026】
図15はModel-2114のモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-1)を説明する図である。
図15aの駆動状態(100)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動する走行である。
図15bの駆動状態(010)は、第1モータ13とT3動力伝達機構53と差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図15cの駆動状態(001)は、第1モータ13とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
駆動状態(XYZ)のX, Y, Zはモータ数であってエンジン16は含まれないので、Model-2114の駆動状態(XYZ)はModel-2112の駆動状態(XYZ)と同じである。
Model-2114のモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御はエンジン16の制御を行わないので、Model-2112のモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御と同じである。
【実施例3】
【0027】
Model-2122は本発明の最も汎用性の高い電気自動車の動力システムであり、二つのモータ、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、二つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2122の構成はModel-2122a, 2122b, 2122ma, 2122mbの四方式がある。
Model-2122a, 2122maとModel-2122b, 2122mbは第1入力軸31と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達する機構が異なり、Model-2122a, 2122bとModel-2122ma, 2122mbは第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達し第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達する機構が異なる。
【0028】
図6aはModel-2122aの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1出力軸35に伝達するT1動力伝達機構512, 514を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2入力軸32に伝達するT2動力伝達機構522, 524を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を差動機構入力軸43に伝達するT3動力伝達機構532, 534と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達するT4動力伝達機構542, 544を有する。
【0029】
図6bはModel-2122bの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構55と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構56と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有し、
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構55と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構56と第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74を有する。
【0030】
図6cはModel-2122maの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
Model-2122maはICクラッチ機構82を有しない。
第1系統動力伝達機構として、さらに第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達するT8動力伝達機構582, 584を有する。
第2系統動力伝達機構として、さらに第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達するT7動力伝達機構572, 574を有する。
Model-2122mbの構成はModel-2122bとModel-2122maの組合せの構成である。四つの方式の機能の優劣はわずかであり、システム設計に最適な方式を選択するとよい。
【0031】
図16はModel-2122aの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図16aの駆動状態(101)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図16bの駆動状態(011)は、第1モータ13、T3動力伝達機構53、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図16cの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の差分は、駆動状態(101)では0、駆動状態(011)では1、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は三つの駆動状態を遷移することによりモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
【0032】
図17はModel-2122bの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図17aの駆動状態(101)は第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図17bの駆動状態(011)は第1モータ13、T5動力伝達機構55、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図17cの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
【0033】
図18はModel-2122maの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図18aの駆動状態(101)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図18bの駆動状態(011)は、第1モータ13、T3動力伝達機構53、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図18cの駆動状態(002)は、第1モータ13とT7動力伝達機構57、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
Model-2122mbのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)はModel-2122bとModel-2122maにより同様に説明できるものである。
【0034】
図26はModel-2122aの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)を説明する図である。
図26aの駆動状態(010)は、第1モータ13、T3動力伝達機構53、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図26bの駆動状態(101)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図26cの駆動状態(001)は、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を駆動する走行である。
図26dの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
他に、駆動状態(011)も可能である。
モータ数の総和は、駆動状態(010)と駆動状態(001)では1、駆動状態(101)、駆動状態(002)、駆動状態(011)、では2であり、制御装置18 は二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
【0035】
図27はModel-2122bの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)を説明する図である。
図27aの駆動状態(010)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図27bの駆動状態(101は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図27cの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図27dの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
他に、駆動状態(011)も可能である。
モータ数の総和は、駆動状態(010)と駆動状態(001)では1、駆動状態(101)、駆動状態(002)、駆動状態(011)、では2であり、制御装置18 は二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2122ma、Model-2122mbのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)はModel-2122aとModel-2122bにより同様に説明できるものである。
【0036】
図36はModel-2122bの動力システムの駆動状態(001)の並列駆動同期変速制御(MST-2)を説明する図である。
図36aの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図36bの駆動状態(011)は、第1モータ13を起動して、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図36cの駆動状態(011)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動しながら、第2モータ14でT6動力伝達機構56の目的の歯車機構(第2速)の回転速度に同期をとって変速を行う並列駆動同期変速制御である。
図36dの駆動状態(001)は、C3クラッチ機構73を切断し、第1モータ13を停止して、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第2速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
【0037】
図37はModel-2122bの動力システムの駆動状態(011)の並列駆動同期変速制御(MST-2)を説明する図である。
図37aの駆動状態(011)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図37bの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72、差動機構81で第2出力軸36を直接駆動しながら、第1モータ13でT5動力伝達機構55の目的の歯車機構(第2速)の回転速度に同期をとって変速を行う並列駆動同期変速制御である。
図37cの駆動状態(011)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第2速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動しながら、第2モータ14でT6動力伝達機構56の目的の歯車機構(第2速)の回転速度に同期をとって変速を行う並列駆動同期変速制御である。
【0038】
図38はModel-2122bの動力システムの駆動状態(002)の並列駆動同期変速制御(MST-2)を説明する図である。
図38aの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図38bの駆動状態(011)は、ICクラッチ機構82を切断して、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図38cの駆動状態(011)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動しながら、第2モータ14でT6動力伝達機構56の目的の歯車機構(第2速)の回転速度に同期をとって変速を行う並列駆動同期変速制御である。
図38dの駆動状態(002)は、ICクラッチ機構82を接続し、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第2速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
【実施例4】
【0039】
Model-2124は本発明の最も汎用性の高いハイブリッド自動車の動力システムであり、二つのモータと一つのエンジン、二つの第1系統動力伝達機構、二つの第2系統動力伝達機構、三つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2124の構成はModel-2124a, 2124b, 2124ma, 2124mbの四方式がある。
Model-2124a, 2124maとModel-2124b, 2124mbは第1入力軸31と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達する機構が異なり、
Model-2124a, 2124bとModel-2124ma, 2124mbは第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達し第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達する機構が異なる。
【0040】
図7はModel-2124bの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、エンジン16、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、エンジン16が接続される第4入力軸34、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564、第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第4入力軸34の動力を差動機構入力軸43に伝達するC5クラッチ機構75を有する。
また、シリーズハイブリッド走行時に、エンジン16の動力を第1モータ13に伝達するためのC7クラッチ機構77とT5動力伝達機構552, 554を有する。
Model-2124a, 2124ma, 2124mbの構成はModel-2124bの構成とModel-2122a, 2122ma, 2122mbの構成の組合せで説明できるものである。
【0041】
図19はModel-2124bの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図19aの駆動状態(111)、図19bの駆動状態(021)、図19cの駆動状態(012)は、それぞれ、実施例2のModel-2122bの駆動状態(101)、駆動状態(011)、駆動状態(002)にエンジン16の駆動(010)を付加したものである。
エンジン16の駆動(010)はモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)に影響を及ぼさないので、Model-2124bのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)は実施例2のModel-2122bのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)と同じである。
Model-2122a, 2122ma、2122mbのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)はModel-2124bと同様に説明できるものである。
【0042】
図28図29はModel-2124bの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)を説明する図である。
図28a駆動状態(020)、図28bの駆動状態(111)、図29aの駆動状態(011)、図29bの駆動状態(012)は、それぞれ、Model-2122bの駆動状態(010)、駆動状態(101)、駆動状態(001)、駆動状態(002)にエンジン16の駆動(010)を付加したものである。
エンジン16の駆動(010)はモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)に影響を及ぼさないので、Model-2124bのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)は実施例2のModel-2122bと同じである。
他に、エンジン16の駆動を付加した駆動状態(021)も可能である。
モータ数の総和は、エンジン16の駆動(010)を付加した、駆動状態(020)と駆動状態(011)では1、駆動状態(111)、駆動状態(012)、駆動状態(021)、では2であり、二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)が行われる。
Model-2124a, 2124ma、2124mbのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)はModel-2124bと同様に説明できるものである。
【実施例5】
【0043】
Model-2132は本発明の最も機能の高い電気自動車の動力システムであり、三つのモータ、二つから三つの第1系統動力伝達機構、二つから三つの第2系統動力伝達機構、三つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2132の構成はModel-2132s, 2132a, 2132b, 2132ma, 2132mbの五方式がある。
Model-2132a, 2132maとModel-2132b, 2132mbは第1入力軸31と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達する機構が異なり、Model-2132a, 2132bとModel-2132ma, 2132mbは第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達し第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達する機構が異なる。
Model-2132sは簡略方式で、第3モータ15の動力を伝達する第1系統動力伝達機構と第2系統動力伝達機構は無く、第3系統動力伝達機構のみによって伝達される。
【0044】
図8aはModel-2132sの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第3モータ15が接続される第3入力軸33、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有し、第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有し、第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有し、第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第3入力軸33の動力を差動機構入力軸43伝達するT11動力伝達機構612, 614を有する。
【0045】
図8bはModel-2132bの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第3モータ15が接続される第3入力軸33、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有し、第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554、第3入力軸33の動力を第1中間軸41に伝達するT12動力伝達機構622, 624、第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有し、第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564、第3入力軸33の動力を第2中間軸42に伝達するT13動力伝達機構632, 634、第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有し、第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第3入力軸33の動力を差動機構入力軸43伝達するT11動力伝達機構612, 614を有する。
Model-2132a, 2132ma, 2132mbの構成はModel-2132bの構成と実施例2のModel-2122a, 2122ma, 2122mbの構成の組合せで説明できるものである。
【0046】
図20図21はModel-2132bの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)を説明する図である。
図20aの駆動状態(111)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動し、第3モータ15、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図20bの駆動状態(021)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C3クラッチ機構73、第3モータ15、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図20cの駆動状態(102)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、第3モータ15、T13動力伝達機構63、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図21aの駆動状態(012)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動し、第3モータ15、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図21bの駆動状態(003)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、第3モータ15、T13動力伝達機構63、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
Model-2132s, 2122a, 2122ma、2122mbのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)はModel-2132bと同様に説明できるものである。
【0047】
図30図31はModel-2132bの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図である。
図30aの駆動状態(010)は、第3モータ13、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図30bの駆動状態(101)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図30cの駆動状態(111)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動し、第3モータ13、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図31aの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図31bの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図31cの駆動状態(003)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、第3モータ13、T13動力伝達機構63、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
他に、駆動状態(011)、駆動状態(021)、駆動状態(102)も可能である。
モータ数の総和は、駆動状態(010)と駆動状態(001)では1、駆動状態(101)、駆動状態(002)、駆動状態(011)では2、駆動状態(111)と駆動状態(003)、駆動状態(021)、駆動状態(102)では3であり、制御装置18 は三つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)を行う。
Model-2132s, 2132a, 2132ma, 2132mbのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)もModel-2132bと同様に説明できるものである。
【実施例6】
【0048】
Model-2124は本発明の最も機能の高いハイブリッド自動車の動力システムであり、三つのモータと一つのエンジン、二つから三つの第1系統動力伝達機構、二つから三つの第2系統動力伝達機構、三つから四つのの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2134の構成はModel-2134s, 2134a, 2132b, 2134ma, 2134mbの五方式がある。
Model-2134a, 2134maとModel-2134b, 2134mbは第1入力軸31と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達する機構が異なり、
Model-2134a, 2134bとModel-2134ma, 2134mbは第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達し第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達する機構が異なる。
Model-2134sは簡略方式で、第3モータ15の動力を伝達する第1系統動力伝達機構と第2系統動力伝達機構は無く、第3系統動力伝達機構のみによって伝達される。
【0049】
図9はModel-2134sの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、エンジン16、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第3モータ15とエンジン16が接続される第4入力軸34、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第4入力軸34の動力を差動機構入力軸43伝達するC5クラッチ機構75を有する。
【0050】
図10はModel-2134bの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、エンジン16、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第3モータ15が接続される第3入力軸33、エンジン16が接続される第4入力軸34、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554、第3入力軸33の動力を第1中間軸41に伝達するT12動力伝達機構622,624、第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562,564、第3入力軸33の動力を第2中間軸42に伝達するT13動力伝達機構632, 634、第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554、第3入力軸33の動力を第1中間軸41に伝達するT12動力伝達機構622,624、第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564、第3入力軸33の動力を第2中間軸42に伝達するT13動力伝達機構632, 634、第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第4入力軸34の動力を差動機構入力軸43伝達するC5クラッチ機構75を有する。
また、シリーズハイブリッド走行時に、エンジン16の動力を第3モータ13に伝達するために第4入力軸と第3入力軸を連結するC7クラッチ機構76を有する。
Model-2134a, 2134ma, 2134mbの構成はModel-2134s, 2132bの構成とModel-2132a, 2132ma, 2132mbの構成の組合せで説明できるものである。
【0051】
図22図23はModel-2134bの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)を説明する図である。
図22aの駆動状態(121)、図22bの駆動状態(031)、図22cの駆動状態(112)、図23aの駆動状態(022)、図23bの駆動状態(013)、は、それぞれ、実施例5のModel-2132bの駆動状態(111)、駆動状態(021)、駆動状態(102)、駆動状態(012)、駆動状態(003)にエンジン16の駆動(010)を付加したものである。
エンジン16の(010)駆動はモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)に影響を及ぼさないので、Model-2134bのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)は実施例5のModel-2132bと同じである。
Model-2134s, 2134a, 2134ma、2134mbのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)はModel-2132s, 2132a, 2132ma、2132mbと同じである。
【0052】
図32図33はModel-2134bの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図である。
図32aの駆動状態(020)、図32bの駆動状態(111)、図32cの駆動状態(121)、図33aの駆動状態(011)、図33bの駆動状態(012)、図33cの駆動状態(013)は、それぞれ、実施例4のModel-2132bの駆動状態(010)、駆動状態(101)、駆動状態(111)、駆動状態(001)、駆動状態(002)、駆動状態(003)にエンジン16の駆動(010)を付加したものである。
エンジン16の駆動(010)はモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)に影響を及ぼさないので、Model-2134bのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)は実施例5のModel-2132bと同じである。
Model-2134s, 2134a, 2134ma、2134mbのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)はModel-2132s, 2132a, 2132ma、2132mbと同じである
【実施例7】
【0053】
Model-2142は本発明の差動機構81を用いない電気自動車の動力システムであり、二つのモータ、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、3-クラッチ方式動力分配機構83, 84, 85を有する二つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
図11aはModel-2142の動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するSC1クラッチ機構84を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するSC2クラッチ機構85を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564、第1中間軸41と第2中間軸42を連結するCCクラッチ機構83、第1中間軸41と第1出力軸35の滑りを制御するSC1クラッチ機構84、第2中間軸42と第2出力軸36の滑りを制御するSC2クラッチ機構85を有する。
図11b、図11cはModel-2142CXの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。Model-2142CXはModel-2142の変形例であり、第1入力軸31と第1中間軸41を同軸上に、第2入力軸32と第2中間軸42を同軸上に配置した構成である。
【0054】
図24はModel-2142の動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-4)を説明する図である。
図24aの駆動状態(010)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、CCクラッチ機構83、SC1クラッチ機構84、SC2クラッチ機構85で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図24bの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図24cの駆動状態(101)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、SC1クラッチ機構84で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図24dの駆動状態(002)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、CCクラッチ機構83、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の差分は駆動状態(001)、駆動状態(101)では0、駆動状態(001)では1、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は三つの駆動状態を遷移することによりモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-4)を行う。
【0055】
図34はModel-2142の動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-3)を説明する図である。
図34aの駆動状態(010)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、CCクラッチ機構83、SC1クラッチ機構84、SC2クラッチ機構85で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図34bの駆動状態(101)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、SC1クラッチ機構84で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図34cの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図34dの駆動状態(002)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、CCクラッチ機構83、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の総和は駆動状態(010)、駆動状態(001)では1、駆動状態(101)、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-3)を行う。
【実施例8】
【0056】
Model-2152は、二つのモータ、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、第1入力軸と第2入力軸を連結するICクラッチ機構82を有する。第3系統動力伝達機構を有しないので、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御は限定される。しかし、四輪駆動の電気自動車の前輪駆動用または後輪駆動用の動力システムとして用いる場合や、ステアバイワイヤ制御(ステアリング操作を入力としコンピュータ制御により車輪の操舵制御を行う)を行う場合は問題を生じない。
【0057】
図12はModel-2152の四輪駆動の前輪駆動の動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有し前輪を駆動する。また、エンジン15、第4モータ16を有し、後輪を駆動する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1出力軸35に伝達するT1動力伝達機構512, 514と第2入力軸32の動力を第1入力軸31に伝達するICクラッチ機構82を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2出力軸36に伝達するT2動力伝達機構522, 524と第1入力軸31の動力を第2入力軸32に伝達するICクラッチ機構82を有する。
【0058】
図13はModel-2152のステア・バイ・ワイヤ制御を行う動力システムの全体概要構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、ステアバイワイヤ制御をのためのステアリング・ロータリーエンコーダ24、ヨーセンサー25、ステアリング・アクチェータ26、制御装置18 等を有する。
制御装置18は、ステアリング・ロータリーエンコーダ24の検出値に基づいて目的のヨー速度またはヨー加速度を求め、ヨーセンサー25の検出値が目的のヨー速度またはヨー加速度になるように、ステアリング・アクチェーター26、第1モータ13、第2モータ14、動力伝達装置23を制御する。
【0059】
図25はModel-2152の動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-5)を説明する図である。
図25aの駆動状態(101)は、ち第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図25bの駆動状態(001)は、第1モータ13を停止してT1動力伝達機構51を切断し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図25cの駆動状態(002)は、第1モータ13、第2モータ14、ICクラッチ機構82、T2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の差分は駆動状態(101)では0、駆動状態(001)では1、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は三つの駆動状態を遷移することによりモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-5)を行う。
【0060】
図35のModel-2152の動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-4)を説明する図である。
図35aの駆動状態(001)は、第1モータ13を停止してT1動力伝達機構51を切断し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図35bの駆動状態(002)は、第1モータ13、第2モータ14、ICクラッチ機構82、T2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の総和は駆動状態(001)では1、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-4)を行う。
【0061】
Model-2152の動力システムのステア・バイ・ワイヤ制御、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御、モータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-4)を組合せ技術について説明する。
図25bと図35aの駆動状態(001)は、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行するモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御状態であり、ヨーモーメントが発生する。しかし、ステアリング・ロータリーエンコーダ24の検出値が0、すなわち操作者は直進を意図しているのであれば、制御装置は発生したヨーモーメントを相殺するようにステアリング・アクチェータ26を制御し、片輪駆動の走行でも直進が可能である。
制御装置18 はステア・バイ・ワイヤ制御を行う駆動状態(001)と図24aの駆動状態(101)を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-4)を行う。
【符号の説明】
【0062】
11 二次電池
12 インバータ
13 第1モータ
14 第2モータ
15 第3モータ
16 エンジン
17 燃料噴射装置
18 制御装置
19 第1ハーフシャフト
20 第2ハーフシャフト
21 第1車輪
22 第2車輪
23 動力伝達装置
24 ステアリング・ロータリーエンコーダ
25 ヨーセンサー
26 ステアリング・アクチェーター
31 第1入力軸
32 第2入力軸
33 第3入力軸
34 第4入力軸
35 第1出力軸
36 第2出力軸
41 第1中間軸
42 第2中間軸
43 差動機構入力軸
51 T1動力伝達機構
511 T1動力伝達機構第1速歯車機構
512 T1動力伝達機構第1速クラッチ機構
513 T1動力伝達機構第2速歯車機構
514 T1動力伝達機構第2速クラッチ機構
52 T2動力伝達機構
521 T2動力伝達機構第1速歯車機構
522 T2動力伝達機構第1速クラッチ機構
523 T2動力伝達機構第2速歯車機構
524 T2動力伝達機構第2速クラッチ機構
53 T3動力伝達機構
531 T3動力伝達機構第1速歯車機構
532 T3動力伝達機構第1速クラッチ機構
533 T3動力伝達機構第2速歯車機構
534 T3動力伝達機構第2速クラッチ機構
54 T4動力伝達機構
541 T4動力伝達機構第1速歯車機構
542 T4動力伝達機構第1速クラッチ機構
543 T4動力伝達機構第2速歯車機構
544 T4動力伝達機構第2速クラッチ機構
55 T5動力伝達機構
551 T5動力伝達機構第1速歯車機構
552 T5動力伝達機構第1速クラッチ機構
553 T5動力伝達機構第2速歯車機構
554 T5動力伝達機構第2速クラッチ機構
56 T6動力伝達機構
561 T6動力伝達機構第1速歯車機構
562 T6動力伝達機構第1速クラッチ機構
563 T6動力伝達機構第2速歯車機構
564 T6動力伝達機構第2速クラッチ機構
57 T7動力伝達機構
571 T7動力伝達機構第1速歯車機構
572 T7動力伝達機構第1速クラッチ機構
573 T7動力伝達機構第2速歯車機構
574 T7動力伝達機構第2速クラッチ機構
58 T8動力伝達機構
581 T8動力伝達機構第1速歯車機構
582 T8動力伝達機構第1速クラッチ機構
583 T8動力伝達機構第2速歯車機構
584 T8動力伝達機構第2速クラッチ機構
61 T11動力伝達機構
611 T11動力伝達機構第1速歯車機構
612 T11動力伝達機構第1速クラッチ機構
613 T11動力伝達機構第2速歯車機構
614 T11動力伝達機構第2速クラッチ機構
62 T12動力伝達機構
621 T12動力伝達機構第1速歯車機構
622 T12動力伝達機構第1速クラッチ機構
623 T12動力伝達機構第2速歯車機構
624 T12動力伝達機構第2速クラッチ機構
63 T13動力伝達機構
631 T13動力伝達機構第1速歯車機構
632 T13動力伝達機構第1速クラッチ機構
633 T13動力伝達機構第2速歯車機構
634 T13動力伝達機構第2速クラッチ機構
71 C1クラッチ機構
72 C2クラッチ機構
73 C3クラッチ機構
74 C4クラッチ機構
75 C5クラッチ機構
76 C6クラッチ機構
77 C7クラッチ機構
81 差動機構
82 ICクラッチ機構
83 CCクラッチ機構
84 SC1クラッチ機構
85 SC2クラッチ機構
91 第1入力軸回転数センサー
92 第2入力軸回転数センサー
93 第3入力軸回転数センサー
94 第4入力軸回転数センサー
95 第1出力軸回転数センサー
96 第2出力軸回転数センサー
【要約】
【課題】
電気動力またはハイブリッド動力の自動車、特にスポーツカーのための、右車輪と左車輪のトルク差分が大きいトルクベクタリング制御と可変トルク領域が広い可変定格出力制御が可能な動力システム提供することである。
【解決手段】
動力システムは複数のモータ、モータの動力を直接右車輪に伝達する第1系統動力伝達機構、直接左車輪に伝達する第2系統動力伝達機構、モータの動力を右車輪と左車輪に分配伝達する第3系統動力伝達機構、それらを制御する制御装置からなり、制御装置は右車輪と左車輪に動力を伝達するモータ数の差分を制御するトルクベクタリング制御とモータ数の総和を制御する可変定格出力制御を行う。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38