(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の動力システムは、電気動力またはハイブリッド動力の自動車のための動力システムであって、前記動力システムは、モータ13, 14, 15、モータの動力を第1車輪(右車輪)21に伝達する第1系統動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71、第2車輪(左車輪)22に伝達する第2系統動力伝達機構57, 52, 60, 56, 63, 72、制御装置18を有する。
制御装置18は、モータ13, 14, 15と二つの系統の動力伝達機構を制御して、第1車輪21に動力を伝達するモータ数と第2車輪22に動力を伝達するモータ数の差分を制御するモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
モータ13, 14, 15は一つ以上、二つの系統の動力伝達機構はそれぞれ一つ以上必要である。
【0019】
前記制御装置18は、さらに、モータ13, 14, 15、二つの系統の動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71, 57, 52, 60, 56, 63, 72を制御して、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行うとともに、第1車輪21に動力を伝達するモータ数と第2車輪22に動力を伝達するモータ数の総和の制御を行うモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
モータ13, 14, 15は二つ以上、動力伝達機構は二つの系統の動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71, 57, 52, 60, 56, 63, 72 がそれぞれ二つ以上必要である。
【0020】
図2は本発明の動力システムの主要なモデルの分類を説明する図である。まず、構成上の分類について説明する。
Model-21の全てのモデルは、は第1のモータ13、第2モータ14、第3モータ15、モータの動力を第1車輪(右車輪)21 に伝達する第1系統動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71、モータの動力を第2車輪(左車輪)22に伝達する第2系統動力伝達機構57, 52, 60, 56, 63, 72、モータの動力を第1車輪(右車輪)21と第2車輪(左車輪)22に分配伝達する第3系統動力伝達機構53, 55, 73, 54, 56, 74, 61, 62, 63の組合せ(それらの要素の有無の組合せ)によって分類される。
Model-211 は第1モータ13 、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構、第3系統動力伝達機構を有するグループである。
Model-212 は第1モータ13、第2モータ14、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構、第3系統動力伝達機構を有するグループである。
Model-213 は第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構、第3系統動力伝達機構を有するグループである。
Model-211, Model-212, Model-213 は第3動力伝達機構の動力分配機構が差動機構81であるグループであり、Model-214 は第3動力伝達機構の動力分配機構が3-クラッチ方式動力分配機構83, 84, 85であるグループである。
Model-215 は第1モータ13 、第2モータ14、第1系統動力伝達機構、第2系統動力伝達機構を有し第3系統動力伝達機構を有さないグループである。
さらに、Model-2112, 2121, 2122, 2131, 2132, 2142, 2152は電気自動車の動力システムであり、Model-2114, 2123, 2124, 2133, 2134 はエンジン16 を有するハイブリッド自動車の動力システムである。
【0021】
次に、機能上の分類について説明する。
Model-2112, 2114, 2122, 2124, 2132, 2134, 2142, 2152 はモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-1, YC-2, YC-3, YC-3, YC-4, YC-5)が可能なグループである。
Model-2121, 2122, 2123, 2124, 2131, 2132, 2133, 2134, 2142, 2152 はモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1, VR-2, VR-4,)が可能なグループである。
Model-2122, 2124, 2132, 2134, 2142, 2152はモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2, YC-3, YC-4, YC-5)状態においてモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1, VR-2, VR-3, VR-4)が可能なグループである。
【0022】
図3はModel-2112, 2121, 2122, 2131, 2132, 2142, 2152の動力システムの全体概要構成を説明する図である。
動力システムは複数のモータ13,14,15、動力伝達装置23、複数の車輪21, 22、制御装置18 等を有し、動力伝達装置23 はモータ13,14,15が接続される複数の入力軸 31, 32, 33、車輪が接続される複数の出力軸35, 36、入力軸と出力軸の間に介在する第1系統動力伝達機構51, 58, 59, 55, 62, 71、第2車輪(左車輪)22に伝達する第2系統動力伝達機構57, 52, 60, 56, 63, 72、第3系統動力伝達機構53, 55, 73, 54, 56, 74, 61, 62, 63等を有する。
Model-2112は1つのモータ13、Model-2121, 2122, 2142, 2152は二つのモータ13, 14、Model-2131, 2132は三つのモータ13, 14, 15を有する。
図4はModel-2114, 2123, 2124, 2133, 2134の動力システムの全体概要構成を説明する図である。
動力システムは、さらにエンジン16、エンジン16が接続される入力軸 34等を有する。
Model-2114は1つのモータ13、Model-2123, 2124は二つのモータ13, 14、Model-2133, 2134は三つのモータ13, 14, 15を有する。
【実施例1】
【0023】
Model-2112は本発明の最も単純な電気自動車の動力システムであり、一つのモータ、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、一つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
図5aはModel-2112の詳細な部分構成を説明する図であり、前輪駆動、後輪駆動、前後独立四輪駆動の電気自動車の動力システムの実施例である。動力システムは第1モータ13、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43、差動機構81を有し、第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1出力軸35に伝達するT1動力伝達機構51、第2系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達するT7動力伝達機構57、第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を差動機構入力軸43に伝達するT3動力伝達機構53を有する。
【0024】
図14はModel-2112の動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-1)を説明する図である。
図14aの駆動状態(100)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動する走行であり、
図14bの駆動状態(010)は、第1モータ13とT3動力伝達機構53と差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行であり、
図14cの駆動状態(001)は、第1モータ13とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
駆動状態(XYZ)のXは第1出力軸35を直接駆動するモータ数、Yは第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動するモータ数、Zは第2出力軸36を直接駆動するモータ数である。
【実施例2】
【0025】
Model-2114は最も単純なハイブリッド自動車の動力システムであり、一つのモータ、一つのエンジン、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、二つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
図5bはModel-2114の詳細な部分構成を説明する図であり、後輪駆動のハイブリッド自動車の動力システムの実施例である。動力伝達装置23は、Model-2112と同じ構成と、さらに、エンジン16、エンジン16が接続される第4入力軸34、第3系統動力伝達機構として第4入力軸34の動力を差動機構入力軸43に伝達するC5クラッチ機構75を有する。
【0026】
図15はModel-2114のモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-1)を説明する図である。
図15aの駆動状態(100)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動する走行である。
図15bの駆動状態(010)は、第1モータ13とT3動力伝達機構53と差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図15cの駆動状態(001)は、第1モータ13とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
駆動状態(XYZ)のX, Y, Zはモータ数であってエンジン16は含まれないので、Model-2114の駆動状態(XYZ)はModel-2112の駆動状態(XYZ)と同じである。
Model-2114のモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御はエンジン16の制御を行わないので、Model-2112のモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御と同じである。
【実施例3】
【0027】
Model-2122は本発明の最も汎用性の高い電気自動車の動力システムであり、二つのモータ、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、二つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2122の構成はModel-2122a, 2122b, 2122ma, 2122mbの四方式がある。
Model-2122a, 2122maとModel-2122b, 2122mbは第1入力軸31と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達する機構が異なり、Model-2122a, 2122bとModel-2122ma, 2122mbは第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達し第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達する機構が異なる。
【0028】
図6aはModel-2122aの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1出力軸35に伝達するT1動力伝達機構512, 514を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2入力軸32に伝達するT2動力伝達機構522, 524を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を差動機構入力軸43に伝達するT3動力伝達機構532, 534と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達するT4動力伝達機構542, 544を有する。
【0029】
図6bはModel-2122bの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構55と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構56と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有し、
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構55と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構56と第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74を有する。
【0030】
図6cはModel-2122maの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
Model-2122maはICクラッチ機構82を有しない。
第1系統動力伝達機構として、さらに第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達するT8動力伝達機構582, 584を有する。
第2系統動力伝達機構として、さらに第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達するT7動力伝達機構572, 574を有する。
Model-2122mbの構成はModel-2122bとModel-2122maの組合せの構成である。四つの方式の機能の優劣はわずかであり、システム設計に最適な方式を選択するとよい。
【0031】
図16はModel-2122aの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図16aの駆動状態(101)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図16bの駆動状態(011)は、第1モータ13、T3動力伝達機構53、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図16cの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の差分は、駆動状態(101)では0、駆動状態(011)では1、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は三つの駆動状態を遷移することによりモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御を行う。
【0032】
図17はModel-2122bの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図17aの駆動状態(101)は第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図17bの駆動状態(011)は第1モータ13、T5動力伝達機構55、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図17cの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
【0033】
図18はModel-2122maの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図18aの駆動状態(101)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図18bの駆動状態(011)は、第1モータ13、T3動力伝達機構53、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図18cの駆動状態(002)は、第1モータ13とT7動力伝達機構57、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
Model-2122mbのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)はModel-2122bとModel-2122maにより同様に説明できるものである。
【0034】
図26はModel-2122aの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)を説明する図である。
図26aの駆動状態(010)は、第1モータ13、T3動力伝達機構53、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図26bの駆動状態(101)は、第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図26cの駆動状態(001)は、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を駆動する走行である。
図26dの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
他に、駆動状態(011)も可能である。
モータ数の総和は、駆動状態(010)と駆動状態(001)では1、駆動状態(101)、駆動状態(002)、駆動状態(011)、では2であり、制御装置18 は二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
【0035】
図27はModel-2122bの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)を説明する図である。
図27aの駆動状態(010)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図27bの駆動状態(101は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図27cの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図27dの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
他に、駆動状態(011)も可能である。
モータ数の総和は、駆動状態(010)と駆動状態(001)では1、駆動状態(101)、駆動状態(002)、駆動状態(011)、では2であり、制御装置18 は二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2122ma、Model-2122mbのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)はModel-2122aとModel-2122bにより同様に説明できるものである。
【0036】
図36はModel-2122bの動力システムの駆動状態(001)の並列駆動同期変速制御(MST-2)を説明する図である。
図36aの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図36bの駆動状態(011)は、第1モータ13を起動して、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図36cの駆動状態(011)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動しながら、第2モータ14でT6動力伝達機構56の目的の歯車機構(第2速)の回転速度に同期をとって変速を行う並列駆動同期変速制御である。
図36dの駆動状態(001)は、C3クラッチ機構73を切断し、第1モータ13を停止して、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第2速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
【0037】
図37はModel-2122bの動力システムの駆動状態(011)の並列駆動同期変速制御(MST-2)を説明する図である。
図37aの駆動状態(011)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図37bの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72、差動機構81で第2出力軸36を直接駆動しながら、第1モータ13でT5動力伝達機構55の目的の歯車機構(第2速)の回転速度に同期をとって変速を行う並列駆動同期変速制御である。
図37cの駆動状態(011)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第2速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動しながら、第2モータ14でT6動力伝達機構56の目的の歯車機構(第2速)の回転速度に同期をとって変速を行う並列駆動同期変速制御である。
【0038】
図38はModel-2122bの動力システムの駆動状態(002)の並列駆動同期変速制御(MST-2)を説明する図である。
図38aの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第1速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図38bの駆動状態(011)は、ICクラッチ機構82を切断して、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図38cの駆動状態(011)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55(第1速)、C3クラッチ機構73、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動しながら、第2モータ14でT6動力伝達機構56の目的の歯車機構(第2速)の回転速度に同期をとって変速を行う並列駆動同期変速制御である。
図38dの駆動状態(002)は、ICクラッチ機構82を接続し、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56(第2速)、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
【実施例4】
【0039】
Model-2124は本発明の最も汎用性の高いハイブリッド自動車の動力システムであり、二つのモータと一つのエンジン、二つの第1系統動力伝達機構、二つの第2系統動力伝達機構、三つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2124の構成はModel-2124a, 2124b, 2124ma, 2124mbの四方式がある。
Model-2124a, 2124maとModel-2124b, 2124mbは第1入力軸31と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達する機構が異なり、
Model-2124a, 2124bとModel-2124ma, 2124mbは第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達し第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達する機構が異なる。
【0040】
図7はModel-2124bの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、エンジン16、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、エンジン16が接続される第4入力軸34、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564、第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第4入力軸34の動力を差動機構入力軸43に伝達するC5クラッチ機構75を有する。
また、シリーズハイブリッド走行時に、エンジン16の動力を第1モータ13に伝達するためのC7クラッチ機構77とT5動力伝達機構552, 554を有する。
Model-2124a, 2124ma, 2124mbの構成はModel-2124bの構成とModel-2122a, 2122ma, 2122mbの構成の組合せで説明できるものである。
【0041】
図19はModel-2124bの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)を説明する図である。
図19aの駆動状態(111)、
図19bの駆動状態(021)、
図19cの駆動状態(012)は、それぞれ、実施例2のModel-2122bの駆動状態(101)、駆動状態(011)、駆動状態(002)にエンジン16の駆動(010)を付加したものである。
エンジン16の駆動(010)はモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)に影響を及ぼさないので、Model-2124bのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)は実施例2のModel-2122bのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)と同じである。
Model-2122a, 2122ma、2122mbのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-2)はModel-2124bと同様に説明できるものである。
【0042】
図28、
図29はModel-2124bの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)を説明する図である。
図28a駆動状態(020)、
図28bの駆動状態(111)、
図29aの駆動状態(011)、
図29bの駆動状態(012)は、それぞれ、Model-2122bの駆動状態(010)、駆動状態(101)、駆動状態(001)、駆動状態(002)にエンジン16の駆動(010)を付加したものである。
エンジン16の駆動(010)はモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)に影響を及ぼさないので、Model-2124bのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)は実施例2のModel-2122bと同じである。
他に、エンジン16の駆動を付加した駆動状態(021)も可能である。
モータ数の総和は、エンジン16の駆動(010)を付加した、駆動状態(020)と駆動状態(011)では1、駆動状態(111)、駆動状態(012)、駆動状態(021)、では2であり、二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)が行われる。
Model-2124a, 2124ma、2124mbのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-1)はModel-2124bと同様に説明できるものである。
【実施例5】
【0043】
Model-2132は本発明の最も機能の高い電気自動車の動力システムであり、三つのモータ、二つから三つの第1系統動力伝達機構、二つから三つの第2系統動力伝達機構、三つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2132の構成はModel-2132s, 2132a, 2132b, 2132ma, 2132mbの五方式がある。
Model-2132a, 2132maとModel-2132b, 2132mbは第1入力軸31と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達する機構が異なり、Model-2132a, 2132bとModel-2132ma, 2132mbは第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達し第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達する機構が異なる。
Model-2132sは簡略方式で、第3モータ15の動力を伝達する第1系統動力伝達機構と第2系統動力伝達機構は無く、第3系統動力伝達機構のみによって伝達される。
【0044】
図8aはModel-2132sの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第3モータ15が接続される第3入力軸33、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有し、第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有し、第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有し、第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第3入力軸33の動力を差動機構入力軸43伝達するT11動力伝達機構612, 614を有する。
【0045】
図8bはModel-2132bの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第3モータ15が接続される第3入力軸33、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有し、第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554、第3入力軸33の動力を第1中間軸41に伝達するT12動力伝達機構622, 624、第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有し、第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564、第3入力軸33の動力を第2中間軸42に伝達するT13動力伝達機構632, 634、第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有し、第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第3入力軸33の動力を差動機構入力軸43伝達するT11動力伝達機構612, 614を有する。
Model-2132a, 2132ma, 2132mbの構成はModel-2132bの構成と実施例2のModel-2122a, 2122ma, 2122mbの構成の組合せで説明できるものである。
【0046】
図20、
図21はModel-2132bの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)を説明する図である。
図20aの駆動状態(111)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動し、第3モータ15、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図20bの駆動状態(021)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C3クラッチ機構73、第3モータ15、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図20cの駆動状態(102)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、第3モータ15、T13動力伝達機構63、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図21aの駆動状態(012)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動し、第3モータ15、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図21bの駆動状態(003)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、第3モータ15、T13動力伝達機構63、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
Model-2132s, 2122a, 2122ma、2122mbのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)はModel-2132bと同様に説明できるものである。
【0047】
図30、
図31はModel-2132bの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図である。
図30aの駆動状態(010)は、第3モータ13、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図30bの駆動状態(101)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図30cの駆動状態(111)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、C1クラッチ機構71で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動し、第3モータ13、T11動力伝達機構61、差動機構81で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図31aの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図31bの駆動状態(002)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図31cの駆動状態(003)は、第1モータ13、ICクラッチ機構82、第2モータ14、T6動力伝達機構56、第3モータ13、T13動力伝達機構63、C2クラッチ機構72で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
他に、駆動状態(011)、駆動状態(021)、駆動状態(102)も可能である。
モータ数の総和は、駆動状態(010)と駆動状態(001)では1、駆動状態(101)、駆動状態(002)、駆動状態(011)では2、駆動状態(111)と駆動状態(003)、駆動状態(021)、駆動状態(102)では3であり、制御装置18 は三つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)を行う。
Model-2132s, 2132a, 2132ma, 2132mbのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)もModel-2132bと同様に説明できるものである。
【実施例6】
【0048】
Model-2124は本発明の最も機能の高いハイブリッド自動車の動力システムであり、三つのモータと一つのエンジン、二つから三つの第1系統動力伝達機構、二つから三つの第2系統動力伝達機構、三つから四つのの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
Model-2134の構成はModel-2134s, 2134a, 2132b, 2134ma, 2134mbの五方式がある。
Model-2134a, 2134maとModel-2134b, 2134mbは第1入力軸31と第2入力軸32の動力を差動機構入力軸43に伝達する機構が異なり、
Model-2134a, 2134bとModel-2134ma, 2134mbは第1入力軸31の動力を第2出力軸36に伝達し第2入力軸32の動力を第1出力軸35に伝達する機構が異なる。
Model-2134sは簡略方式で、第3モータ15の動力を伝達する第1系統動力伝達機構と第2系統動力伝達機構は無く、第3系統動力伝達機構のみによって伝達される。
【0049】
図9はModel-2134sの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、エンジン16、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第3モータ15とエンジン16が接続される第4入力軸34、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第4入力軸34の動力を差動機構入力軸43伝達するC5クラッチ機構75を有する。
【0050】
図10はModel-2134bの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ15、エンジン16、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第3モータ15が接続される第3入力軸33、エンジン16が接続される第4入力軸34、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、差動機構入力軸43と差動機構81、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554、第3入力軸33の動力を第1中間軸41に伝達するT12動力伝達機構622,624、第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するC1クラッチ機構71を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562,564、第3入力軸33の動力を第2中間軸42に伝達するT13動力伝達機構632, 634、第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するC2クラッチ機構72を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554、第3入力軸33の動力を第1中間軸41に伝達するT12動力伝達機構622,624、第1中間軸41の動力を差動機構入力軸43に伝達するC3クラッチ機構73、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564、第3入力軸33の動力を第2中間軸42に伝達するT13動力伝達機構632, 634、第2中間軸42の動力を差動機構入力軸43伝達するC4クラッチ機構74、第4入力軸34の動力を差動機構入力軸43伝達するC5クラッチ機構75を有する。
また、シリーズハイブリッド走行時に、エンジン16の動力を第3モータ13に伝達するために第4入力軸と第3入力軸を連結するC7クラッチ機構76を有する。
Model-2134a, 2134ma, 2134mbの構成はModel-2134s, 2132bの構成とModel-2132a, 2132ma, 2132mbの構成の組合せで説明できるものである。
【0051】
図22、
図23はModel-2134bの動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)を説明する図である。
図22aの駆動状態(121)、
図22bの駆動状態(031)、
図22cの駆動状態(112)、
図23aの駆動状態(022)、
図23bの駆動状態(013)、は、それぞれ、実施例5のModel-2132bの駆動状態(111)、駆動状態(021)、駆動状態(102)、駆動状態(012)、駆動状態(003)にエンジン16の駆動(010)を付加したものである。
エンジン16の(010)駆動はモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)に影響を及ぼさないので、Model-2134bのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)は実施例5のModel-2132bと同じである。
Model-2134s, 2134a, 2134ma、2134mbのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-3)はModel-2132s, 2132a, 2132ma、2132mbと同じである。
【0052】
図32、
図33はModel-2134bの動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)を説明する図である。
図32aの駆動状態(020)、
図32bの駆動状態(111)、
図32cの駆動状態(121)、
図33aの駆動状態(011)、
図33bの駆動状態(012)、
図33cの駆動状態(013)は、それぞれ、実施例4のModel-2132bの駆動状態(010)、駆動状態(101)、駆動状態(111)、駆動状態(001)、駆動状態(002)、駆動状態(003)にエンジン16の駆動(010)を付加したものである。
エンジン16の駆動(010)はモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)に影響を及ぼさないので、Model-2134bのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)は実施例5のModel-2132bと同じである。
Model-2134s, 2134a, 2134ma、2134mbのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-2)はModel-2132s, 2132a, 2132ma、2132mbと同じである
【実施例7】
【0053】
Model-2142は本発明の差動機構81を用いない電気自動車の動力システムであり、二つのモータ、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、3-クラッチ方式動力分配機構83, 84, 85を有する二つの第3系統動力伝達機構を有し、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御を行う。
図11aはModel-2142の動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1中間軸41、第2中間軸42、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554と第1中間軸41の動力を第1出力軸35に伝達するSC1クラッチ機構84を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564と第2中間軸42の動力を第2出力軸36に伝達するSC2クラッチ機構85を有する。
第3系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1中間軸41に伝達するT5動力伝達機構552, 554、第2入力軸32の動力を第2中間軸42に伝達するT6動力伝達機構562, 564、第1中間軸41と第2中間軸42を連結するCCクラッチ機構83、第1中間軸41と第1出力軸35の滑りを制御するSC1クラッチ機構84、第2中間軸42と第2出力軸36の滑りを制御するSC2クラッチ機構85を有する。
図11b、
図11cはModel-2142CXの動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。Model-2142CXはModel-2142の変形例であり、第1入力軸31と第1中間軸41を同軸上に、第2入力軸32と第2中間軸42を同軸上に配置した構成である。
【0054】
図24はModel-2142の動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-4)を説明する図である。
図24aの駆動状態(010)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、CCクラッチ機構83、SC1クラッチ機構84、SC2クラッチ機構85で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図24bの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図24cの駆動状態(101)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、SC1クラッチ機構84で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図24dの駆動状態(002)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、CCクラッチ機構83、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の差分は駆動状態(001)、駆動状態(101)では0、駆動状態(001)では1、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は三つの駆動状態を遷移することによりモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-4)を行う。
【0055】
図34はModel-2142の動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-3)を説明する図である。
図34aの駆動状態(010)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、CCクラッチ機構83、SC1クラッチ機構84、SC2クラッチ機構85で第1出力軸35と第2出力軸36を分配駆動する走行である。
図34bの駆動状態(101)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、SC1クラッチ機構84で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図34cの駆動状態(001)は、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図34dの駆動状態(002)は、第1モータ13、T5動力伝達機構55、CCクラッチ機構83、第2モータ14、T6動力伝達機構56、SC2クラッチ機構85で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の総和は駆動状態(010)、駆動状態(001)では1、駆動状態(101)、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-3)を行う。
【実施例8】
【0056】
Model-2152は、二つのモータ、一つの第1系統動力伝達機構、一つの第2系統動力伝達機構、第1入力軸と第2入力軸を連結するICクラッチ機構82を有する。第3系統動力伝達機構を有しないので、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御とモータ数総和制御方式可変定格出力制御は限定される。しかし、四輪駆動の電気自動車の前輪駆動用または後輪駆動用の動力システムとして用いる場合や、ステアバイワイヤ制御(ステアリング操作を入力としコンピュータ制御により車輪の操舵制御を行う)を行う場合は問題を生じない。
【0057】
図12はModel-2152の四輪駆動の前輪駆動の動力システムの詳細な部分構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、第1入力軸31と第2入力軸32を連結するICクラッチ機構82を有し前輪を駆動する。また、エンジン15、第4モータ16を有し、後輪を駆動する。
第1系統動力伝達機構として第1入力軸31の動力を第1出力軸35に伝達するT1動力伝達機構512, 514と第2入力軸32の動力を第1入力軸31に伝達するICクラッチ機構82を有する。
第2系統動力伝達機構として第2入力軸32の動力を第2出力軸36に伝達するT2動力伝達機構522, 524と第1入力軸31の動力を第2入力軸32に伝達するICクラッチ機構82を有する。
【0058】
図13はModel-2152のステア・バイ・ワイヤ制御を行う動力システムの全体概要構成を説明する図である。
動力システムは、第1モータ13、第2モータ14、第1モータ13が接続される第1入力軸31、第2モータ14が接続される第2入力軸32、第1車輪21が接続される第1出力軸35、第2車輪22が接続される第2出力軸36、ステアバイワイヤ制御をのためのステアリング・ロータリーエンコーダ24、ヨーセンサー25、ステアリング・アクチェータ26、制御装置18 等を有する。
制御装置18は、ステアリング・ロータリーエンコーダ24の検出値に基づいて目的のヨー速度またはヨー加速度を求め、ヨーセンサー25の検出値が目的のヨー速度またはヨー加速度になるように、ステアリング・アクチェーター26、第1モータ13、第2モータ14、動力伝達装置23を制御する。
【0059】
図25はModel-2152の動力システムのモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-5)を説明する図である。
図25aの駆動状態(101)は、ち第1モータ13とT1動力伝達機構51で第1出力軸35を直接駆動し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図25bの駆動状態(001)は、第1モータ13を停止してT1動力伝達機構51を切断し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図25cの駆動状態(002)は、第1モータ13、第2モータ14、ICクラッチ機構82、T2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の差分は駆動状態(101)では0、駆動状態(001)では1、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は三つの駆動状態を遷移することによりモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御(YC-5)を行う。
【0060】
図35のModel-2152の動力システムのモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-4)を説明する図である。
図35aの駆動状態(001)は、第1モータ13を停止してT1動力伝達機構51を切断し、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
図35bの駆動状態(002)は、第1モータ13、第2モータ14、ICクラッチ機構82、T2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行である。
モータ数の総和は駆動状態(001)では1、駆動状態(002)では2であり、制御装置18 は二つの駆動状態を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-4)を行う。
【0061】
Model-2152の動力システムのステア・バイ・ワイヤ制御、モータ数差分制御方式トルクベクタリング制御、モータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-4)を組合せ技術について説明する。
図25bと
図35aの駆動状態(001)は、第2モータ14とT2動力伝達機構52で第2出力軸36を直接駆動する走行するモータ数差分制御方式トルクベクタリング制御状態であり、ヨーモーメントが発生する。しかし、ステアリング・ロータリーエンコーダ24の検出値が0、すなわち操作者は直進を意図しているのであれば、制御装置は発生したヨーモーメントを相殺するようにステアリング・アクチェータ26を制御し、片輪駆動の走行でも直進が可能である。
制御装置18 はステア・バイ・ワイヤ制御を行う駆動状態(001)と
図24aの駆動状態(101)を遷移することによりモータ数総和制御方式可変定格出力制御(VR-4)を行う。
電気動力またはハイブリッド動力の自動車、特にスポーツカーのための、右車輪と左車輪のトルク差分が大きいトルクベクタリング制御と可変トルク領域が広い可変定格出力制御が可能な動力システム提供することである。
動力システムは複数のモータ、モータの動力を直接右車輪に伝達する第1系統動力伝達機構、直接左車輪に伝達する第2系統動力伝達機構、モータの動力を右車輪と左車輪に分配伝達する第3系統動力伝達機構、それらを制御する制御装置からなり、制御装置は右車輪と左車輪に動力を伝達するモータ数の差分を制御するトルクベクタリング制御とモータ数の総和を制御する可変定格出力制御を行う。