(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<減粘剤>
(メタ)アクリル酸(A)単位としては、アクリル酸単位及び
/又はメタクリル酸単位
を意味する。
【0015】
(メタ)アクリル酸(A)単位の含有量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(A)単位及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル(B)単位のモル数に基づいて、50〜70が好ましく、さらに好ましくは52〜68、特に好ましくは54〜66である。この範囲内であると、減粘効果がさらに良好となる。
【0016】
(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル(B)単位としては、アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル単位及びメタクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル単位が含まれる。
【0017】
オキシアルキレンとしては、炭素数2〜4のオキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン)が含まれる。これらのうち、オキシエチレンが好ましい。
【0018】
ポリオキシアルキレンは、1種のオキシアルキレンから構成されてもよく、2種以上のオキシアルキレンから構成されてもよい。2種以上のオキシアルキレンから構成される場合、結合様式はブロック、ランダム及びこれの混合のいずれでもよい。これらのうち、オキシエチレンから構成されるか、オキシエチレンを含む2種以上のオキシアルキレンから構成されることが好ましく、さらに好ましくはオキシエチレンから構成されることである。すなわち、(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル(B)単位としては、(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシエチレンエステル(B1)単位が好ましい。
【0019】
ポリオキシアルキレンの重合度としては、減粘効果等の観点から、1〜100が好ましく、さらに好ましくは4〜60、特に好ましくは10〜40である。
【0020】
アルコキシポリオキシアルキレン中のアルコキシ基としては、炭素数1〜30の炭化水素基が含まれ、直鎖アルキルオキシ基及び分岐鎖アルキルオキシ基等が使用できる。
【0021】
直鎖アルキルアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ノナデシルオキシ、イコシルオキシ、ヘニコシルオキシ、ドコシルオキシ、トリコシルオキシ、テトラコシルオキシ、ヘプタコシルオキシ、ヘキサコシルオキシ、ヘプタコシルオキシ、オクタコシルオキシ、ノナコシルオキシ及びトリアコンシルオキシ等が挙げられる。
【0022】
分岐鎖アルキルアルコキシ基としては、イソプロピルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、イソトリデシルオキシ、イソオクタデシルオキシ及びイソトリアコンシルオキシ等が挙げられる。
【0023】
これらのアルコキシ基のうち、減粘効果等の観点から、直鎖アルキルオキシ基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜18の直鎖アルキルオキシ基、特に好ましくはメトキシ、エトキシ及びオクタデシルオキシである。
【0024】
(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル(B)単位の含有量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(A)単位及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル(B)単位のモル数に基づいて、30〜50が好ましく、さらに好ましくは32〜48、特に好ましくは34〜46である。この範囲内であると、減粘効果がさらに良好となる。
【0025】
共重合体(X)は、(メタ)アクリル酸(A)及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル(B)以外に、他のエチレン性不飽和単量体(C)を構成単量体として含むことができる。
【0026】
他のエチレン性不飽和単量体(C)としては、(メタ)アクリル酸(A)及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル(B)と共重合できれば特に制限はなく、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸塩、オレフィン、エチレン性不飽和ニトリル及びエチレン性不飽和アミド等が挙げられる。
【0027】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びエチレン性不飽和ジカルボン酸が含まれる。
【0028】
エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸及び芳香族モノカルボン酸が含まれる。
【0029】
脂肪族モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸以外の脂肪族物カルボン酸モノマーが使用でき、クロトン酸、3−ブテン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、4−ペンテン酸、3−メチル−2−ブテン酸、3−メチル−3−ブテン酸、2−メチル−3−ブテン酸、2−メチル−2−ブテン酸、2−エチル−2−プロペン酸、2−ヘキセン酸、4−メチル−2−ペンテン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、2−ヘプテン酸、4,4−ジメチル−2−ペンテン酸、2−オクテン酸、3−メチル−2−ヘプテン酸、2−ノネン酸、3−メチル−2−オクテン酸、2−デケン酸及び2−ヒドロキシプロペン酸等が挙げられる。
【0030】
脂環式モノカルボン酸としては、1−シクロペンテンカルボン酸、3−シクロペンテンカルボン酸、4−シクロペンテンカルボン酸、1−シクロヘキセンカルボン酸、3−シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセンカルボン酸、1−シクロヘプテンカルボン酸、3−シクロヘプテンカルボン酸、4−シクロヘプテンカルボン酸、5−シクロヘプテンカルボン酸、1−シクロオクテンカルボン酸、3−シクロオクテンカルボン酸、4−シクロオクテンカルボン酸、5−シクロオクテンカルボン酸、1−シクロノネンカルボン酸、3−シクロノネンカルボン酸、4−シクロノネンカルボン酸、5−シクロノネンカルボン酸、1−シクロデケンカルボン酸、3−シクロデケンカルボン酸、4−シクロデケンカルボン酸及び5−シクロデケンカルボン酸等が挙げられる。
【0031】
芳香族モノカルボン酸としては、o−スチレンカルボン酸、p−スチレンカルボン酸、桂皮酸、アトロパ酸、5−ビニル−1−ナフタレンカルボン酸、4−ビニル−1−ナフタレンカルボン酸及び4−ビニル−1−アントラキノンカルボン酸等が挙げられる。
【0032】
不飽和ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及びこれらの分子内酸無水物等が挙げられる。
【0033】
脂肪族ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ブテン二酸、2−ペンテン二酸、3−ペンテン酸、4−ペンテン酸、2−メチル−2−ブテン二酸、2−エチル−2−プロペン酸、2−ヘキセン二酸、2−ヘプテン二酸、2−オクテン酸、3−メチル−2−ヘプテン二酸、2−ノネン二酸、2−デケン二酸及び2−ヒドロキシプテンロ二酸等が挙げられる。
【0034】
脂環式ジカルボン酸としては、1,2−シクロペンテンジカルボン酸、1,3−シクロペンテンジカルボン酸、1,4−シクロペンテンジカルボン酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、1,3−シクロヘキセンジカルボン酸、1,4−シクロヘキセンジカルボン酸、1,2−シクロヘプテンジカルボン酸、1,3−シクロヘプテンジカルボン酸、1,4−シクロヘプテンジカルボン酸、1,5−シクロヘプテンジカルボン酸、1,2−シクロオクテンジカルボン酸、1,3−シクロオクテンジカルボン酸、1,4−シクロオクテンジカルボン酸、1,5−シクロオクテンジカルボン酸、1,2−シクロノネンジカルボン酸、1,3−シクロノネンジカルボン酸、1,4−シクロノネンジカルボン酸、1,5−シクロノネンジカルボン酸、1,2−シクロデケンジカルボン酸、1,3−シクロデケンジカルボン酸、1,4−シクロデケンジカルボン酸及び1,5−シクロデケンジカルボン酸等が挙げられる。
【0035】
芳香族ジカルボン酸としては、o,p−スチレンジカルボン酸、o,p−スチレンジカルボン酸、4−ビニル−1,2−ナフタレンジカルボン酸及び4−ビニル−1,3−アントラキノンジカルボン酸等が挙げられる。
【0036】
不飽和ジカルボン酸の分子内酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸等が挙げられる。
【0037】
エチレン性不飽和カルボン酸塩としては、エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、アンモニウム塩及び/又は第4級有機アンモニウム塩が含まれる。
なお、エチレン性不飽和カルボン酸は、エチレン性不飽和カルボン酸で説明したエチレン性不飽和モノカルボン酸及びエチレン性不飽和ジカルボン酸が含まれる。
【0038】
アルカリ金属塩としては、リチウム、カリウム又はナトリウム等の塩が挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、カルシウム又はマグネシウム等の塩が挙げられる。
アミン塩としては、炭素数2〜6の脂肪族アミン、炭素数3〜6の脂環式アミン又は炭素数6〜8の芳香族アミン等の塩が挙げられる。
【0039】
脂肪族アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン及びエチレンジアミン等が挙げられる。
【0040】
脂環式アミンとしては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン及びシクロへキシルアミン等が挙げられる。
【0041】
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、ピペリジン、ベンジルアミン及びフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0042】
第4級有機アンモニウム塩としては、炭素数4〜8の有機アンモニウム塩等が使用でき、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩、N−メチルピリジニウム塩及びN−メチルイミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0043】
オレフィンとしては、炭素数2〜20のα−オレフィン(エチレン、プロピレン、ブチレン、へキシレン、オクチレン、ウンデシレン、テトラデシレン及びノナデシレン等)、ジイソブチレン、ブタジエン、ピペリレン、クロロプレン、ピネン、リモネン、インデン、シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等が挙げられる。
【0044】
エチレン性不飽和ニトリルとしては、(メタ)アクリロニトリル、シアノプロペン及びシアノペンテン等が挙げられる。
【0045】
エチレン性不飽和アミドとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−アミノエチル)(メタ)アクリルアミド及びN−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0046】
他のエチレン性不飽和単量体(C)単位を含む場合、他のエチレン性不飽和単量体(C)単位の含有量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(A)単位及び(メタ)アクリル酸アルコキシポリオキシアルキレンエステル(B)単位のモル数に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.5〜15、特に好ましくは1〜10であるが、他のエチレン性不飽和単量体(C)単位を含まないことが最も好ましい。
【0047】
共重合体(X)の重量平均分子量(Mw)は、減粘効果の観点から、5,000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは15,000〜60,000である。
【0048】
なお、重量平均分子量(Mw)は、分子量既知の(ポリ)エチレングリコールを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される(たとえば、カラム温度40℃、溶離液 メタノール:イオン交換水:酢酸ナトリウム=800:1200:15(重量比)、流速0.8ml/分、試料濃度:0.4重量%溶離液溶液。)。
【0049】
共重合体(X)は、通常のビニルモノマーの重合方法を用いて得ることができ、重合方法としては懸濁重合、塊状重合及び溶液重合等が適用でき、生産性の観点等から、溶液重合が好ましい。
【0050】
重合には、重合触媒を使用することができる。重合触媒としては、通常の重合触媒等が用いられ、アゾ化合物、過硫酸塩、無機過酸化物、レドックス触媒及び有機過酸化物が含まれる。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−アルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]及び1,1’−アゾビス(1ーアセトキシー1−フェニルエタン)等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。無機過酸化物としては、過硼酸塩及び過酸化水素等が挙げられる。レドックス触媒としては、アスコルビン酸−過酸化水素等が挙げられる。有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。これらの重合触媒は、単独又は混合して用いられてもよい。これらのうち、過硫酸塩及びアゾ化合物が好ましく、さらに好ましくは過硫酸塩及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、特に好ましくは過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムである。
【0051】
重合触媒を使用する場合、重合触媒の使用量(重量%)は、構成単量体の重量に基づいて、3〜100が好ましく、さらに好ましくは8〜80、特に好ましくは10〜60である。
【0052】
また、必要によりラジカル重合用連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、チオカルボン酸(n−ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノール及びメルカプトプロパノール等)、チオール酸(チオグリコール酸及びチオリンゴ酸等)、2級アルコール(イソプロパノ−ル等)、アミン(ジブチルアミン等)、次亜燐酸塩(次亜燐酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0053】
連鎖移動剤を使用する場合、連鎖移動剤の使用量(重量%)は、構成単量体の重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、特に好ましくは0.1〜1である。
【0054】
溶液重合及び懸濁重合の場合、溶媒としては、水(水道水、イオン交換水及び工業用水等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)及び/又は芳香族溶剤(トルエン及びキシレン等)等が使用できる。これらのうち、水、水及びアルコール溶剤の混合溶媒が好ましく、さらに好ましくは水及びアルコールの混合溶媒、特に好ましくはイオン交換水及びイソプロピルアルコールの混合溶媒である。
溶媒を使用する場合、この使用量(重量%)は、構成単量体の全重量に基づいて、50〜900が好ましく、さらに好ましくは60〜800、特に好ましくは100〜600である。
【0055】
重合反応温度は、40〜130℃程度が好ましく、重合反応時間は、1〜15時間程度が好ましい。
【0056】
なお、構成単量体の全量又は一部を滴下しながら重合してもよい。また、重合触媒の全量又は一部を滴下しながら重合してもよい。また、溶媒の全量又は一部を構成単量体又は重合触媒と共に滴下しながら重合してもよい。一方、溶媒の全量を重合槽に仕込んでおき溶媒を除去しながら重合してもよい。これらのうち、生産性の観点等から、構成単量体と重合触媒との全量を滴下する方法及び溶媒の一部を構成単量体又は重合触媒と共に滴下する方法が好ましく、さらに好ましくは構成単量体と重合触媒との全量を溶剤の一部と共に滴下する方法である。
【0057】
共重合体(X)の形態としては特に限定はなく、液状でも、固状でもよい。
共重合体(X)が液状の場合、水性溶媒に共重合体(X)が溶解又は分散した状態を意味する。この場合、共重合体(X)を懸濁重合又は溶液重合等によって得て、溶媒をすべて除去しないで得てもよいし、塊状重合等によって得た共重合体(X)を水性溶媒に溶解又は分散させて得てもよい。
水性溶媒としては、水、炭素数1〜6のアルコール(エチルアルコール、メチルアルコール、エチレングリコール及びジエチレングリコール等)及び炭素数1〜6のケトン(メチルイソブチルケトン及びアセトン等)等が挙げられ、これらは単独又は混合して用いてもよい。
【0058】
一方、共重合体(X)が固状の場合、共重合体(X)からなる固体であってもよく、液状の共重合体(X)を粉体に担持させた粉であってもよい。
共重合体(X)からなる固体の場合、塊状重合によって得てもよいし、共重合体(X)を含む溶液又は分散液を懸濁重合又は溶液重合等によって得てから、溶媒を除去することにより得てもよい。
共重合体(X)を含む溶液又は分散液から溶媒を除去する方法としては、乾燥粉砕法、凍結粉砕法、スプレイドライヤー法及びドラムドライヤー法等の公知の方法を用いることができる。これらのうち、乾燥粉砕法及びスプレイドライヤー法が好ましい。
固状の共重合体(X)の大きさ(mm;最大長)は、本発明の減粘剤の溶解性の観点等から、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、特に好ましくは0.08〜1である。
液状の共重合体(X)を粉体に担持させる場合、粉体としては、後記の耐熱性無機酸化物、活性炭、炭酸カルシウム、ゼオライト、シラスバルーン及びベントナイト等が挙げられる。
これらの粉体に液状の共重合体(X)を担持させる方法としては、公知の撹拌混合機(リボンミキサー及びヘンシェルミキサー等)を使用して、粉体と液状の共重合体(X)とを撹拌混合する方法等が適用できる。
共重合体(X)の形態のうち、液状が好ましく、さらに好ましくは水性溶媒に共重合体(X)が溶解した状態である。
【0059】
本発明の減粘剤には、共重合体(X)以外に、他の構成成分(界面活性剤及び/又は水性溶媒等)を含有してもよい。
界面活性剤としては、ノニオン型、カチオン型、アニオン型又は両性型の公知の界面活性剤が使用できる。
【0060】
ノニオン型界面活性剤としては、アルキルフェノールのアルキレンオキシド(アルキレンオキシドの炭素数2〜4;以下特記しない限り同様)付加体、高級脂肪酸アルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エステル、高級アルキルアミンのアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸アミドのアルキレンオキシド付加体、アセチレングリコールのアルキレンオキシド付加体及びポリオキシアルキレン変性シリコーン(ポリエーテル変性シリコーン)等が挙げられる。
【0061】
カチオン型界面活性剤としては、高級アルキルアミン塩、高級アルキルアミンアルキレンオキシド付加体、ソロミンA型カチオン界面活性剤、サパミンA型カチオン界面活性剤、アーコベルA型カチオン界面活性剤、イミダゾリン型カチオン界面活性剤、高級アルキルトリメチルアンモニウム塩、高級アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、サパミン型第4級アンモニウム塩及びピリジニウム塩等が挙げられる。
【0062】
アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸とその塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルアルキルタウリン塩及びアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
【0063】
両性型界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩及び高級アルキルジメチルベタイン等が挙げられる。
【0064】
界面活性剤を含有する場合、この含有量(重量%)は、共重合体(X)の重量に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10、特に好ましくは1〜5である。この範囲であると減粘効果がさらに良好となる。
【0065】
水性溶媒としては、上記のものが挙げられる。
水性溶媒を含有する場合、この含有量(重量%)は、共重合体(X)の重量に基づいて、10〜1000が好ましく、さらに好ましくは50〜900、特に好ましくは100〜600である。
【0066】
本発明の減粘剤に他の構成成分を含有する場合、本発明の減粘剤は、共重合体(X)と、他の構成成分とを均一混合(均一溶解又は均一分散)することにより得られる。
【0067】
本発明の減粘剤は、貴金属を担持した耐熱性無機酸化物、水溶性金属化合物及び分散媒を含む排ガス浄化触媒用スラリーの粘度を効果的に低減できる。本発明の減粘剤以外のものを用いても、このスラリーの粘度を効果的に低減することができない。これは、減粘剤に含有される共重合体(X)の構成単量体の種類とその含有量に基づくものと考えられる。たとえば、共重合体(X)を構成する単量体の一方を他の単量体に変更すると、もはや本発明の効果は得られない。
【0068】
<排ガス浄化触媒用スラリー>
耐熱性無機酸化物としては、高温度(900℃以上)でも劣化することなく、貴金属を担持できれば制限はなく、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア及びセリアからなる郡より選ばれる少なくとも一種等が挙げられる。
【0069】
耐熱性無機酸化物の体積平均粒子径(μm)は、触媒性能の観点から、0.1〜100が好ましく、さらに好ましくは0.2〜50、特に好ましくは0.3〜10である。
なお、体積平均粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準拠したレーザー回折式粒度分析計{例えば、Leeds&Northrup社製Microtrac Model No.MT3300EX}を用い、測定試料濃度0.1重量%となるように水に測定試料を添加して調製した測定分散液について、測定温度25±5℃で測定して、50%積算体積平均粒子径として求められる。
【0070】
貴金属としては、窒素酸化物(NO
X)を窒素(N
2)に還元でき、また、一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO
2)に酸化でき、炭化水素(ハイドロカーボン)を二酸化炭素及び水に酸化することができれば制限なく、いわゆる三元触媒等が使用でき、プラチナ、パラジウム及びロジウム等が挙げられる。
【0071】
貴金属の担持量(重量%)は、排ガスの種類、排ガス処理量等により適宜決定できる。
【0072】
耐熱性無機酸化物に貴金属を担持させる方法としては、公知の方法(たとえば、含浸法;アルミナやシリカ等の無機酸化物の担体に触媒金属溶液を含浸させて担持する方法)等をそのまま適用できる。
【0073】
水溶性金属化合物としては、水(0〜100℃、好ましくは5〜60℃)に溶解する金属化合物であれば制限なく使用でき、有機酸金属塩(炭素数1〜6が好ましい)、金属硝酸塩、金属オキシ硝酸塩、金属水酸化物及び金属亜硝酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種が含まれる。
【0074】
水溶性金属化合物を構成する金属原子としては、アルミニウム、セリウム、ジルコニウム、バリウム、ランタン及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも一種が含まれる。
【0075】
水溶性金属化合物として、具体的に以下の金属化合物等が挙げられる。
(1)アルミニウム化合物
硝酸アルミニウム等。
【0076】
(2)セリウム化合物
硝酸セリウム、硝酸セリウムアンモニウム、酢酸セリウム、リンゴ酸セリウム、酒石酸セリウム及びクエン酸セリウム等。
【0077】
(3)ジルコニウム化合物
硝酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム及びオキシ酢酸ジルコニウム等。
【0078】
(4)バリウム化合物
硝酸バリウム、水酸化バリウム、亜硝酸バリウム、ギ酸バリウム、酢酸バリウム、プロピオン酸バリウム、ヒドロキシ酢酸バリウム、乳酸バリウム、グリセリン酸バリウム、リンゴ酸バリウム、酒石酸バリウム及びクエン酸バリウム等。
【0079】
(5)ランタン化合物
硝酸ランタン及び酢酸ランタン。
【0080】
(6)ビスマス化合物
硝酸ビスマス、オキシ硝酸ビスマス、ギ酸ビスマス、酢酸ビスマス、プロピオン酸ビスマス、ヒドロキシ酢酸ビスマス、乳酸ビスマス、グリセリン酸ビスマス、リンゴ酸ビスマス、酒石酸ビスマス及びクエン酸ビスマス等。
【0081】
分散媒としては、水及び水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が含まれる。これらのうち、水が好ましい。
【0082】
水溶性有機溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール及びプロピレングリコール等)、炭素数1〜3のケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びジメチルスルホキシド等)、炭素数4〜6のエーテル(ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)が含まれる。
【0083】
減粘剤の含有量は、共重合体(X)の含有量(重量%)が、貴金属を担持した耐熱性無機酸化物の重量に基づいて、0.5〜20となる量が好ましく、さらに好ましくは2〜18となる量、特に好ましくは5〜16となる量である。この範囲であると、減粘効果がさらに良好となる。
【0084】
水溶性金属化合物の含有量は、金属原子の含有量(重量%)が、貴金属を担持した耐熱性無機酸化物の重量に基づいて、0.1〜70となる量が好ましく、さらに好ましくは0.3〜60となる量、特に好ましくは7〜54となる量である。この範囲であると、触媒性能がさらに良好となる。
【0085】
分散媒の含有量(重量%)は、触媒仕様によって適宜決定できる。
【0086】
本発明の排ガス浄化触媒用スラリーには、上記の減粘剤、貴金属を担持した耐熱性無機酸化物、水溶性金属化合物及び分散媒以外に、他の添加剤(消泡剤、増粘剤等)を含有してもよい。
【0087】
本発明の排ガス浄化触媒用スラリーは、減粘剤、貴金属を担持した耐熱性無機酸化物、水溶性金属化合物及び分散媒を均一混合分散できれば、製造方法に制限はなく、公知の混合分散機でスラリー化することにより得ることができる。スラリー化する際、溶媒が蒸発しないように、適宜、密閉にしたり、冷却したりできる。
【0088】
排ガス浄化触媒用スラリーの粘度(mPa・s)は、10〜10,000程度が好ましく、さらに好ましくは100〜8,000、特に好ましくは200〜7,000である。
なお、粘度は、JIS K7117−1:1999{25℃}に準拠して測定される{たとえば、ブルックフィールド型回転粘度計HBDV−III、ブルックフィールド社製}。
【0089】
<排ガス浄化触媒の製造方法>
スラリー化工程(1)において、上記の減粘剤、貴金属を担持した耐熱性無機酸化物、水溶性金属化合物及び分散媒を均一混合分散してスラリーを得るが、均一混合分散は、上記のとおり、公知の混合分散機で行うことができる。
【0090】
塗布工程(2)において、基材としては、耐熱性(900〜1000℃程度まで)があり、耐腐蝕性(排ガスに対しての腐蝕がない)があれば制限なく、セラミックス及びステンレス等が好適に使用できる。セラミックスとしては、コージェライト(2MgO・2Al
2O
3・5SiO
2)等が挙げられる。基材の形状は、用途等により適宜決定できる。
【0091】
排ガス浄化触媒が内燃機関用の場合、基材としては、入口端側と出口端側との間で連通するモノリス型基材が好ましく、さらに好ましくは入口端側と出口端側との間で連通するハニカム型基材である。
【0092】
塗布方法としては、基材に、スラリーを塗布して塗布基材を得ることができれば制限はない。
基材が入口端側と出口端側との間で連通するモノリス型基材の場合、塗布工程(2)は、入口端側から出口端側に向けてスラリーを移送させる方法により塗布する移送塗布工程(21)、又はスラリーに基材を浸漬する方法により塗布する浸漬塗布工程(22)であってもよい。これらのうち、移送塗布工程(21)が好ましく、さらに好ましくは出口端側を入口端側よりも負圧にし、入口端側と出口端側との圧力差により、入口端側から出口端側に向けてスラリーを移送させる方法により塗布する移送塗布工程である。移送塗布工程(21)としては、特開2008−302304号公報に開示された方法が参考となる。
なお、入口端側と出口端側との圧力差によってスラリーを移送させる場合、出口端側を減圧してもよく、入口端側を加圧してもよく、さらに、出口端側を減圧し、入口端側を加圧してもよい。
塗布量は、排ガスの種類、排ガス処理量等により適宜決定できる。
【0093】
焼成工程(3)において、乾燥条件は塗布基材を乾燥できれば制限はなく、公知の条件(たとえば、240〜260℃、0.5〜2時間)が適用できる。また、焼成条件は塗布基材を乾燥した後これを焼成して有機成分を焼失させ、酸化できるものを酸化できれば制限はなく、公知の条件(たとえば、450〜900℃、0.5〜2時間)が適用できる。
【0094】
本発明の製造方法で製造される排ガス浄化触媒は、浄化すべき排ガスであれば制限なく適用でき、内燃機関、工場、産業廃棄物処理場等から排出される排ガスに好適である。これらのうち、内燃機関から排出される排ガスに最適である。
本発明の製造方法で製造される排ガス浄化用触媒を搭載した内燃機関は、自動車、自動二輪、農業機械、土木建築機械等に搭載できる。
【実施例】
【0095】
以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%を意味する。
<実施例1>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水500部、イソプロピルアルコール200部及び2−メルカプトエタノール0.5部を投入し、攪拌下、アクリル酸50部、アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:23)エステル400部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、150部のイオン交換水を滴下(加水)しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、加水して濃度を30%に調整して、本発明の減粘剤(1)[アクリル酸(66モル%)−アクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:23)エステル(34モル%)共重合体(x1)]を得た。なお、共重合体(x1)の重量平均分子量は30,000であった。
【0096】
重量平均分子量(Mw)は、分子量既知の(ポリ)エチレングリコールを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(カラム温度40℃、溶離液 メタノール:イオン交換水:酢酸ナトリウム=800:1200:15(重量比)、流速0.8ml/分、試料濃度:0.4重量%溶離液溶液。)で測定した(以下、同じである。)。
【0097】
<実施例2>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水600部及び2−メルカプトエタノール0.5部を投入し、攪拌下、アクリル酸155部、アクリル酸エトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:2)エステル400部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、加水して濃度を30%に調整して、本発明の減粘剤(2)[アクリル酸(50モル%)−アクリル酸エトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:2)エステル(50モル%)共重合体(x2)]を得た。なお、共重合体(x2)の重量平均分子量は50,000であった。
【0098】
<実施例3>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水50部及びイソプロピルアルコール750部を投入し、攪拌下、アクリル酸58部、アクリル酸2−エチルヘキシルオキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:8)ポリオキシプロピレン(オキシプロピレンの重合度:6)エステル600部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、150部のイオン交換水を滴下(加水)しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、加水して濃度を30%に調整して、本発明の減粘剤(3)[アクリル酸(54モル%)−アクリル酸2−エチルヘキシルオキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:8)ポリオキシプロピレン(オキシプロピレンの重合度:6)エステル(46モル%)共重合体(x3)]を得た。なお、共重合体(x3)の重量平均分子量は6,000であった。
【0099】
<実施例4>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水500部、イソプロピルアルコール100部及び2−メルカプトエタノール2.5部を投入し、攪拌下、メタクリル酸50部、メタクリル酸オクタデシルオキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:30)エステル700部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、150部のイオン交換水を滴下(加水)しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、加水して濃度を30%に調整して、本発明の減粘剤(4)[メタクリル酸(58モル%)−メタクリル酸オクタデシルオキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:30)エステル(42モル%)共重合体(x4)]を得た。なお、共重合体(x4)の重量平均分子量は9,000であった。
【0100】
<実施例5>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水500部及び2−メルカプトエタノール0.1部を投入し、攪拌下、メタクリル酸35部、メタクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:90)エステル700部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、加水して濃度を30%に調整して、本発明の減粘剤(5)[メタクリル酸(70モル%)−メタクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:90)エステル(30モル%)共重合体(x5)]を得た。なお、共重合体(x5)の重量平均分子量は100,000であった。
【0101】
<実施例6>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水500部、イソプロピルアルコール120部及び2−メルカプトエタノール0.1部を投入し、攪拌下、メタクリル酸48部、メタクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:23)エステル350部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、150部のイオン交換水を滴下(加水)しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、加水して濃度を30%に調整して、本発明の減粘剤(6)[メタクリル酸(64モル%)−メタクリル酸メトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:23)エステル(36モル%)共重合体(x6)]を得た。なお、共重合体(x6)の重量平均分子量は25,000であった。
【0102】
<比較例1>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水500部、イソプロピルアルコール100部及び2−メルカプトエタノール2部を投入し、攪拌下、アクリル酸400部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、150部のイオン交換水を滴下(加水)しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、加水して濃度を30%に調整して、比較用の減粘剤(7)[ポリアクリル酸型ポリマー(x7)]を得た。なお、ポリマー(x7)の重量平均分子量は15,000であった。
【0103】
<比較例2>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水600部及び2−メルカプトエタノール0.2部を投入し、攪拌下、アクリル酸155部、アクリル酸エトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:2)エステル600部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、150部のイオン交換水を滴下(加水)しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、加水して濃度を30%に調整して、比較用の減粘剤(8)[アクリル酸(40モル%)−アクリル酸エトキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:2)エステル(60モル%)共重合体(x8)]を得た。なお、共重合体(x8)の重量平均分子量は90,000であった。
【0104】
<比較例3>
滴下ライン、攪拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器にイオン交換水500部、イソプロピルアルコール100部及び2−メルカプトエタノール0.5部を投入し、攪拌下、メタクリル酸85部、メタクリル酸オクタデシルオキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:30)エステル400部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は80〜100℃を保った。滴下終了後、3時間95〜100℃に保った後、150部のイオン交換水を滴下(加水)しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、加水して濃度を30%に調整して、比較用の減粘剤(9)[メタクリル酸(80モル%)−メタクリル酸オクタデシルオキシポリオキシエチレン(オキシエチレンの重合度:30)エステル(20モル%)共重合体(x9)]を得た。なお、共重合体(x9)の重量平均分子量は40,000であった。
【0105】
<実施例7>
分散媒(1){イオン交換水}80部及び実施例1で得た減粘剤(1)6.9部を均一混合した後、含浸法にて貴金属を担持した耐熱性無機酸化物(1){γ−アルミナ、比表面積100m
2/g}13部を添加し、攪拌機にて均一分散混合し、水溶性金属化合物(1){硝酸アルミニウム九水和物、和光純薬工業株式会社}13部を添加して、攪拌機にて均一混合することにより、本発明の排ガス浄化触媒用スラリー(1)を得た。
【0106】
<実施例8>
「水溶性金属化合物(1)」を「水溶性金属化合物(2){硝酸ランタン六水和物、ナカライテスク株式会社}」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の排ガス浄化用スラリー(2)を得た。
【0107】
<実施例9>
「水溶性金属化合物(1)」を「水溶性金属化合物(3){酢酸バリウム、ナカライテスク株式会社}」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の排ガス浄化用スラリー(3)を得た。
【0108】
<実施例10>
「実施例1で得た減粘剤(1)6.9部」を「実施例2で得た減粘剤(2)2.2部」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の排ガス浄化用スラリー(4)を得た。
【0109】
<実施例11>
「実施例1で得た減粘剤(1)」を「実施例3で得た減粘剤(3)」に変更したこと、及び「水溶性金属化合物(1)」を「水溶性金属化合物(3)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の排ガス浄化用スラリー(5)を得た。
【0110】
<実施例12>
「実施例1で得た減粘剤(1)6.9部」を「実施例4で得た減粘剤(4)2.2部」に変更したこと、及び「水溶性金属化合物(1)13部」を「水溶性金属化合物(3)1.7部」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の排ガス浄化用スラリー(6)を得た。
【0111】
<実施例13>
「実施例1で得た減粘剤(1)」を「実施例5で得た減粘剤(5)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の排ガス浄化用スラリー(7)を得た。
【0112】
<実施例14>
「実施例1で得た減粘剤(1)」を「実施例6で得た減粘剤(6)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の排ガス浄化用スラリー(8)を得た。
【0113】
<比較例4>
「実施例1で得た減粘剤(1)」を「比較例1で得た比較用の減粘剤(7)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、比較用の排ガス浄化用スラリー(9)を得た。
【0114】
<比較例5>
「実施例1で得た減粘剤(1)」を「比較例2で得た比較用の減粘剤(8)」に変更したこと、「水溶性金属化合物(1)」を「水溶性金属化合物(3){酢酸バリウム、ナカライテスク株式会社}」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、比較用の排ガス浄化用スラリー(10)を得た。
【0115】
<比較例6>
「実施例1で得た減粘剤(1)」を「比較例3で得た比較用の減粘剤(9)」に変更したこと以外、実施例7と同様にして、比較用の排ガス浄化用スラリー(11)を得た。
【0116】
<比較例7>
「実施例1で得た減粘剤(1)」を使用しなかったこと以外、実施例1と同様にして、比較用の排ガス浄化用スラリー(12)を得た。
【0117】
<実施例15>
コージェライト(2MgO・2Al
2O
3・5SiO
2)製のハニカム型基材(入口端側と出口端側との間で連通している。
図1参照。)の出口端側を減圧にすると共に、入口端側を実施例7で得た排ガス浄化触媒用スラリー(1)に付けて、ハニカム内部にスラリーを塗布して、塗布基材(1)を得た。
塗布基材(1)を250℃で1時間乾燥した後、続いて、500℃で1時間焼成して、排ガス浄化触媒(1)を得た。
【0118】
<実施例16〜22>
排ガス浄化触媒用スラリー(1)を排ガス浄化触媒用スラリー(2)〜(8)のいずれかに変更したこと以外、実施例15と同様にして、塗布基材(2)〜(8)を得た後、排ガス浄化触媒(2)〜(8)を得た。
【0119】
<比較例8〜11>
排ガス浄化触媒用スラリー(1)を比較用の排ガス浄化触媒用スラリー(9)〜(12)のいずれかに変更したこと以外、実施例15と同様にして、塗布基材(9)〜(12)を得た後、比較用の排ガス浄化触媒(9)〜(12)を得た。
【0120】
<スラリー粘度>
排ガス浄化触媒用スラリー(1)〜(12)について、ブルックフィールド型回転粘度計HBDV−III(ブルックフィールド社製)を用いて、粘度を測定し、下表に示した。
【0121】
排ガス浄化触媒(1)〜(12)について、コージェライト製のハニカム型基材の入口端側を目視で観察し、セル(六角形の孔)が塞がれている数を数え、次式から、目詰まり率(%)を算出した。
(目詰まり率)=(塞がれたセルの数)×100/(全セル数)
【0122】
【表1】
【0123】
本発明の減粘剤(実施例1〜6)を用いた排ガス触媒用スラリー(実施例15〜22)を用いると、比較用のスラリー(比較例8〜11)を用いた場合に対して、目詰まりが少なく均一に、基材へ塗布できた。したがって、本発明の排ガス触媒用スラリーを用いれば、基材へ、少ない回数で、かつ、目詰まりが少なく均一に塗布することができ、高い生産性(低コスト)で排ガス浄化触媒を調製できる。