(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186582
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】雨水等の地下式貯留・浸透槽
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20170821BHJP
E03F 5/10 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
E03F5/10 Z
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-6722(P2013-6722)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-136931(P2014-136931A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−162896(JP,A)
【文献】
特開2000−160606(JP,A)
【文献】
特開2012−158962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00
E03F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤体縁部と盤体に開口した筒状部からなり、前記盤体縁部には筒状部に向かって開口する凹部が設けられた単位部材を盤体間に筒状部が存在し且つ筒状部が垂直となるよう組み合わせたユニットを上下左右に配列して得られた貯留空間をシートで覆った雨水などの地下式貯留・浸透槽において、貯留空間内に垂直方向に単位部材の存在しない空所を形成し、前記空所を形成するユニットの単位部材の縁部に開口した凹部に嵌合する水平な板部を有する枠材を用いて貯留空間内部を昇降する梯子とした雨水などの地下式貯留・浸透槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単位部材を用いた雨水等の地下式貯留・浸透槽の技術に属する。
【背景技術】
【0002】
雨水等の流出抑制を目的として、プラスチック等で製造された単位部材を地下に配列充填し貯留空間を形成し、その周囲を透水性シート、あるいは遮水シートで覆った雨水等の貯留浸透槽が普及している。この目的のため各種の異なる形状の単位部材が例えば特開昭63-268823、特開昭63-293233、特開平9-296486、特開平10-252108、特開平11-222886などに提案且つ使用されている。いずれの方法においても貯留空間に一時貯留した雨水等を、地下水位の低い場所では透水性シートを介して地中に浸透させ、地下水位の高い場所では遮水シートで地下水の槽内への侵入を防ぎ、徐々に下水等に放流する。
かかる樹脂製単位部材を用いた地下式貯留・浸透槽は、貯留空間内に垂直方向に単位部材の存在しない空所を設け人孔とすることが行なわれている。かかる人孔内には必要に応じて昇降用の梯子が設けられることがあるが、実用新案登録3146194号に開示されるよう空所内に設けるため、梯子の分だけ出っ張りとなり、空所内を狭くする問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-268823
【特許文献2】特開昭63-293233
【特許文献3】特開平9-296486
【特許文献4】特開平10-252108
【特許文献5】特開平11-222886
【特許文献6】実用新案登録3146194号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、単位部材で構築された
貯留空間の空所内に梯子を設けても、空所内を狭くしない梯子の形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
盤体縁部と盤体に開口した筒状部からなり、前記盤体縁部には筒状部に向かって開口する凹部が設けられた単位部材を盤体間に筒状部が存在し且つ筒状部が垂直となるよう組み合わせたユニットを上下左右に配列して得られた貯留空間をシートで覆った雨水などの地下式貯留・浸透槽において、貯留空間内に垂直方向に単位部材の存在しない空所を形成し、前記空所を形成するユニットの単位部材の縁部に開口した凹部に嵌合する水平な板部を有する枠材を用いて貯留空間内部を昇降する梯子とした雨水などの地下式貯留・浸透槽である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、空所の縁部を形成する単位部材の盤体縁部に凹部を設け、凹部に嵌合する枠材を用いて梯子としたため、空所内を狭くしない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】は、本発明に使用する単位部材の概念図を示す。
【
図2】は、梯子を形成する枠材と枠材を単位部材に嵌合させた状態を示す概念図である。
【
図4】は、本発明に使用可能な単位部材の形状の例を示す。
【
図5】は、本発明の梯子を有する雨水等の貯留・浸透施設の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
貯留空間を本単位部材で形成するためには、一般的に2個の本単位部材の筒部を対向させた状態をユニットとし、本ユニットを地下の空所に上下左右に配置、充填する。
貯留空間内の単位部材を垂直方向にはずし、
貯留空間内に単位部材の存在しない空所を形成する。一般的には、本
貯留空間を地下に形成し、
その貯留空間をシート類で包み雨水等の貯留浸透施設として使用する。
図5に示すように、空所部を人孔部とし、その上部に市販の側塊を設置し人孔とする。
【0009】
以下、
貯留空間を雨水等の貯留・浸透施設として利用する例に基づき説明する。
図1は、本発明に使用する人孔部の縁部を形成する単位部材の概念図である。図に示すとおり、本単位部材は一般には正方形な盤体と盤体表面に開口し、盤体に対し垂直方向に向く筒状部から構成されている。さらに盤体縁部には嵌合用の凹部が筒状部と同じ方向に設けられている。本単位部材は上述したように一般的には
図2に示すように、二つの単位部材の筒部を対向させた状態をユニットとし、あるいは
図4cに示す単位部材では、二つの単位部材を筒部が90度ずれるように対向させた状態をユニットとして、いずれのばあいも筒部が垂直に連なるように配置させて貯留空間内に配置される。したがい、盤体縁部に設けられる凹部はユニットとした時互いに対向する向きになり、梯子となる枠体が嵌合可能となる。本単位部材の盤体は一般的にリブとリブをつなげる板とから形成され、雨水の流通が容易となるよう上下方向に貫通する孔が適宜設けられている。単位部材のその他の形状例は、
図4に示す。
【0010】
図2aは人孔部の梯子を形成する枠材である。枠材は図に示すとおり、水平方向に梯子段となる板部が設けられている。単位部材をユニットとしたとき、本枠材を
図2bに示すように盤体縁部に設けた凹部に嵌合させる。これを人孔部の高さまで組み上げれば人孔部に
図2c、
図3に示すような梯子が形成されることとなる。枠材を梯子として使用するとき、ユニットごとの枠材を縦方向に鎹状のボルトを用いて上下に結合することもできる。
【0011】
図5に示すように貯留空間を浸透シート、遮水シートで覆い浸透槽あるいは貯留槽とし、泥だめ枡、流入管、溢流管、オリフィスますなど付帯設備を設けて、従来の流出抑制用の雨水等の貯留・浸透槽あるいは雨水利用のための貯留槽として使用する。
【産業上の利用可能性】
【0012】
単位部材を使用する雨水等の貯留・浸透槽として、雨水利用のための貯留槽として使用できる。
【符号の説明】
【0013】
1 単位部材
11盤体
12筒状部
13凹部
2 枠材
3 ユニット
4 梯子