特許第6186600号(P6186600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6186600電流測定機能を備えたブレーカ及びこのブレーカを用いた分電盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186600
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】電流測定機能を備えたブレーカ及びこのブレーカを用いた分電盤
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/12 20060101AFI20170821BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20170821BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20170821BHJP
   H01H 73/20 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H01H73/12
   H02B1/40 A
   H02B1/42
   H01H73/20 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-163733(P2012-163733)
(22)【出願日】2012年7月24日
(65)【公開番号】特開2014-26730(P2014-26730A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良太
(72)【発明者】
【氏名】片岡 賢司
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−207237(JP,A)
【文献】 特開2006−318699(JP,A)
【文献】 実開平06−029316(JP,U)
【文献】 特開2002−150911(JP,A)
【文献】 特開2000−341813(JP,A)
【文献】 米国特許第05652698(US,A)
【文献】 実開昭59−086812(JP,U)
【文献】 特開2000−092171(JP,A)
【文献】 特開2001−244016(JP,A)
【文献】 特開2010−238557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/12
H01H 73/20
H02B 1/40
H02B 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された主幹バーが挿入される溝部と、主幹バーが接続されるプラグイン端子とを筐体の前面に備えたブレーカであって、
筐体の内部に電流測定部を備え、該電流測定部からの信号を出力するコネクタを、スライド動作する操作部によって筐体内部から出没可能とし、また前記操作部はブレーカを機器取付板に取付ける取付部材を兼ねるものとしたことを特徴とする電流測定機能を備えたブレーカ。
【請求項2】
前記コネクタを、筐体の底面から出没可能としたことを特徴とする請求項1記載の電流測定機能を備えたブレーカ。
【請求項3】
前記操作部は、筐体の上下方向にスライド動作するものであることを特徴とする請求項2記載の電流測定機能を備えたブレーカ。
【請求項4】
積層された主幹バーに、請求項3に記載の電流測定機能を備えたブレーカを接続した分電盤であって、前記コネクタが通過する開口を機器取付板に設け、コネクタ接続部をこの開口に対応する機器取付板の下側に設けたことを特徴とする分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に流れる電流を測定する機能を備えたブレーカ及びこのブレーカを用いた分電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分電盤に組み込まれるブレーカには、各種の負荷が接続されるが、電力使用量を合理的に管理するために、各ブレーカに接続された負荷に流れる電流を測定したい場合がある。そのために例えば特許文献1に示されるように、端子部の電路にCTを組み込むとともに、その信号線をブレーカの筐体の負荷側に設けたコネクタから引き出した構造が提案されている。
【0003】
しかしこのような構造のものは、負荷側に負荷配線や信号線が輻輳して邪魔であるという問題があり、また、各々のブレーカにコネクタを接続しなければならず、分電盤の組み立て作業性が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、各ブレーカを通じて負荷に流れる電流を測定することができ、しかも信号線が負荷配線の邪魔にならず、コネクタの接続作業も容易な電流測定機能を備えたブレーカ及びこのブレーカを用いた分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の電流測定機能を備えたブレーカは、積層された主幹バーが挿入される溝部と、主幹バーが接続されるプラグイン端子とを筐体の前面に備えたブレーカであって、筐体の内部に電流測定部を備え、該電流測定部からの信号を出力するコネクタを、スライド動作する操作部によって筐体内部から出没可能とし、また前記操作部はブレーカを機器取付板に取付ける取付部材を兼ねるものとしたことを特徴とするものである。
【0007】
なお請求項2のように、前記コネクタを筐体の底面から出没可能とすることができる。また請求項3のように、前記操作部は、筐体の上下方向にスライド動作するものとすることができる
【0008】
また本発明の分電盤は、積層された主幹バーに、請求項3に記載の電流測定機能を備えたブレーカを接続した分電盤であって、前記コネクタが通過する開口を機器取付板に設け、コネクタ接続部をこの開口に対応する機器取付板の下側に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のブレーカは、筐体の内部に電流測定部を備え、該電流測定部からの信号を出力するコネクタをスライド動作する操作部によって筐体内部から出没可能としたので、ブレーカを主幹バーに装着して機器取付板に取付ける際には、コネクタは筐体の内部にあり、取付作業後に操作部をスライド動作することによってコネクタを進出させてコネクタ接続部に接続することができるので、作業性に優れる。また、操作部がブレーカを機器取付板に取付ける取付部材を兼ねるものとしたので、部品点数の増加がなく、接続操作もブレーカを機器取付板に取付ける取付部材の操作だけで済むので、作業性がよい。
【0010】
請求項2のブレーカは、コネクタを筐体の底面から出没可能としたので、コネクタや信号線が機器取付板の下側に位置するので負荷配線の邪魔にならず、コネクタの接続作業も容易である。
【0011】
請求項3のブレーカは、操作部を筐体の上下方向にスライド動作するものとしたので、簡単にコネクタを操作することができ、構造も簡単なものとなる。
【0012】
請求項4のブレーカは、操作部がブレーカを機器取付板に取付ける取付部材を兼ねるものとしたので、部品点数の増加がなく、接続操作もブレーカを機器取付板に取付ける取付部材の操作だけで済むので、作業性がよい。
【0013】
請求項5に記載の本発明の分電盤は、簡単な構成で上記のブレーカを組み込むことができ、各負荷に流れる電流を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の分電盤の全体斜視図である。
図2】分電盤の部分拡大斜視図である。
図3】第1の実施形態のブレーカを示す断面図である。
図4図3の要部拡大斜視図である。
図5】電流測定部の分解斜視図である。
図6】コネクタが接続された状態を示す斜視図である。
図7】コネクタが接続された状態を示す断面図である。
図8】第2の実施形態を示す断面図である。
図9】第2の実施形態を示す斜視図である。
図10】第3の実施形態を示す断面図である。
図11】第4の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態の分電盤の全体斜視図であり、図2はその部分拡大斜視図である。これらの図において、1は主幹ブレーカであり、その二次側には3相の主幹バー4が所定間隔で積層配置されている。この主幹バー4の両側から多数の分岐ブレーカ3がプラグイン接続されている。これらの分岐ブレーカ3が本発明の「電流測定機能を備えたブレーカ」である。なお2は分岐ブレーカ3を取付けるための機器取付板である。
【0016】
図2に示すように、ブレーカの筐体10の前面には、従来のプラグイン型ブレーカと同様に、主幹バー4が挿入される溝部11が形成されている。また図3以下に示すように、溝部11に対応する位置に、主幹バー4が接続されるプラグイン端子12が設けられている。なお図3以下の図面では、プラグイン端子12から延びるより線は省略されている。
【0017】
図3図4に示すように、ブレーカの筐体10の内部には、電流測定部13が設けられている。電流測定部13は図5に示すように、基板14の一端から一対の腕部15を突出させてその内側を端部が開放された配線挿通部16とするとともに、これらの一対の腕部15にホール素子等の磁気検出素子17を搭載したもので、その全体は馬蹄型の保護ケース18に収納されている。この電流測定部13はブレーカの開閉機構部の側方に設けられ、この実施形態では負荷側端子19への電路が配線挿通部16の内部を通るように水平に配置されている。
【0018】
このため、ブレーカの電路に電流が流れると電流値に応じた磁界が発生し、磁気検出素子17には磁界に応じた起電力が生じる。各磁気検出素子17から出力された起電力は集積回路20において合成・増幅され、電流値を示す信号としてコネクタ21を通じて外部に出力される。
【0019】
本発明では、電流測定部13からの信号を出力するコネクタ21を、操作部22によって筐体10の内部から出没可能としてある。この実施形態ではコネクタ21は電流測定部13と一体になっており、電流測定部13の下面に突出している。またこの実施形態では、操作部22は筐体10の負荷側端子19の外側に設けられた取付部材を兼用している。この取付部材は上下にスライド可能となっており、その下端部24はブレーカを機器取付板2に装着した後、脱落しないように機器取付板2の開口25(図2参照)に挿入される。
【0020】
また機器取付板2の下方には、コネクタ接続部26が上向きに形成されている。このため、操作部22が図3のように上方位置にあるときには、コネクタ21は電流測定部13とともに上昇しており、コネクタ接続部26から離れている。しかし図6図7のようにブレーカを機器取付板2に装着した後に操作部22を押し下げると、コネクタ21は電流測定部13とともに下降して筐体10の底面から下方に突出し、コネクタ21はコネクタ接続部26に接続される。
【0021】
このように、本発明のブレーカは機器取付板2に取付けた後にコネクタ21を進出させてコネクタ接続部26に接続することができるので、作業性に優れる。またコネクタ接続部26には図示を略した電源線と信号線とが配線されており、各電流測定部13に作動用の電源を供給するとともに、電流信号を取り出している。なおコネクタ接続部26はブレーカと同数設けられているので、コネクタ接続部26、26間の配線はいわゆる渡り配線とすることが好ましい。この渡り配線は機器取付板2の下側に位置することとなるので美観に優れ、またブレーカの負荷配線の邪魔になることもない。さらにこの実施形態のように操作部22を機器取付板2への取付部材と兼用としておけば、部品点数が増加することもないうえ、ブレーカを機器取付板2に取付けるための操作と同時にコネクタ21の接続も行うことができ、作業性もよい。
【0022】
なお、分岐ブレーカ3の筐体10の側部は隣接する分岐ブレーカ3と密着しているため空きスペースがなく、操作部22を配置することは困難である。また分岐ブレーカ3の筐体10の負荷側は、負荷配線が接続されるので、電流測定部13のための電源線や信号線を配置すると負荷配線の邪魔になる。しかし上記のようにコネクタ21を筐体10の底面から出没可能とし、電源線や信号線を機器取付板2の裏面に配置すれば、負荷配線の邪魔になることはない。また、筐体10の側面に形成された電線挿入孔を封止できる封止部材を取付部材と一体に形成してあるので、電流測定部13を装着していない状態において使用されていない電線挿入孔を封止することができる。
【0023】
上記の実施形態では、コネクタ21は電流測定部13と一体化されていたが、図8図9に示す第2の実施形態では電流測定部13は筐体10の内部に固定されており、電流測定部13と電線28によって接続されたコネクタ21のみが操作部22によって昇降し、コネクタ接続部26に着脱できるようになっている。この場合には電流測定部13を筐体10の内部の電路に固定することができるので、第1の実施形態に比べて測定精度を安定させることができる。
【0024】
なお、図10に示す第3の実施形態のように、操作部22は、前記した取付部材とは別に独立して動作するものであり、筐体10の負荷側下部に操作箇所が設けられている。このようなものではブレーカの取付けとコネクタ接続の動作を分けているので、操作部22の動作が軽く、操作性がよいものである。また、コネクタ21は信号線とともに電源線とを備え、接続される図示しない中央制御機器が信号の制御と電源の供給も行っており、電源が各々のブレーカになくてもよいので好ましいが、電流測定部13に電源回路を付加させて各々のブレーカ内で電源を得ることもできる。
【0025】
以上に説明した各実施形態では、電流測定部13はブレーカの回路遮断機構よりも負荷側に設けられていた。しかし図11に示す第4の実施形態のように、電流測定部13を回路遮断機構よりも電源側に設けることもできる。図11では電源側に上下方向の操作部材30が設けられており、筐体10の上面からコネクタを出没させることができる構造となっている。
【0026】
以上に説明したように、本発明によれば、各ブレーカを通じて負荷に流れる電流を測定することができるうえ、信号線や電源線が負荷配線の邪魔になすらず、コネクタ21の接続作業も容易に行える等の利点がある。また、実施形態のような端部が開放された配線挿通部16を持つ電流測定部13を用いれば、CTのように内部に電路を貫通させる必要がないため、既設のブレーカにも電流測定機能を持たせることが容易である。
【符号の説明】
【0027】
1 主幹ブレーカ
2 機器取付板
3 分岐ブレーカ
4 主幹バー
10 筐体
11 溝部
12 プラグイン端子
13 電流測定部
14 基板
15 腕部
16 配線挿通部
17 磁気検出素子
18 保護ケース
19 負荷側端子
20 集積回路
21 コネクタ
22 操作部
24 下端部
25 開口
26 コネクタ接続部
28 電線
29 封止部材
30 操作部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11