(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶剤ストリッピング区分は前記吸収塔とは別体であり、前記ストリッピング用蒸気及び前記重炭酸イオン溶剤溶液からストリッピングされた前記揮発分を含む第1の流れ及び前記重炭酸イオン溶剤溶液を含む第2の流れを生じさせるよう構成された塔である、
請求項1記載のシステム。
前記溶剤ストリッピング区分に流体結合されていて、且つ前記重炭酸イオン溶剤溶液が前記再生塔に入る前に前記重炭酸イオン溶剤溶液をほぼ大気圧まで勢いよく流すよう構成された第1の弁を更に備え、
前記第1の弁は、動力を発生するよう構成された水力タービンである、
請求項1記載のシステム。
前記再生塔に流体結合されていて且つ前記再生炭酸カリウム溶剤の一部分を受け入れて加熱し、そして加熱された再生炭酸カリウム溶剤を生じさせるよう構成された再沸器を更に備え、
前記再沸器は、前記加熱再生炭酸カリウム溶剤を前記再生塔に再循環させて蒸気を生じさせるよう構成されている、
請求項1記載のシステム。
前記第1の弁は、前記重炭酸イオン溶剤溶液を前記重炭酸イオン溶剤溶液の前記気相が1.0mol%未満の二酸化炭素を含むようにするほどの圧力まで勢いよく流すよう構成され、
前記第1の弁は、前記重炭酸イオン溶剤溶液を前記重炭酸イオン溶剤溶液中の全二酸化炭素のうちの少なくとも98mol%が前記減圧溶剤溶液の前記液相中に残存するほどの圧力まで勢いよく流すよう構成されている、
請求項10記載のシステム。
前記再生塔に流体結合されていて且つ前記再生炭酸カリウム溶剤の一部分を受け入れて加熱し、そして加熱された再生炭酸カリウム溶剤を生じさせるよう構成された再沸器を更に含み、
前記再沸器は、前記加熱再生炭酸カリウム溶剤を前記再生塔に再循環させて蒸気を生じさせるよう構成されている、
請求項10記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明の項において、本発明の特定の実施形態を好ましい実施形態と関連して説明する。しかしながら、以下の説明が本発明の特定の実施形態又は特定の使用に特有である範囲まで、これは、例示目的にのみ行われ、例示の実施形態についての説明を提供するに過ぎない。したがって、本発明は、以下に説明する特定の実施形態には限定されず、それどころか、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるあらゆる変形例、改造例及び均等例を含む。
【0017】
本明細書において用いられる種々の用語について以下に定義する。特許請求の範囲の記載に用いられている用語が以下において定義されていない場合、関連分野における当業者が少なくとも1つの印刷された刊行物又は発行された特許に反映されているようにその用語には最も広い定義が与えられるべきである。
【0018】
本明細書で用いられている「天然ガス」という用語は、原油井(随伴又は付随ガス)又は地下ガス貯留地層(非随伴ガス)から得られた多成分ガスを意味している。天然ガスの組成及び圧力は、千差万別であると言える。典型的な天然ガス流は、主要成分としてメタン(CH
4)を含み、即ち、天然ガス流の50mol%以上がメタンである。天然ガス流は、エタン(C
2H
6)、これよりも分子量の高い炭化水素(例えば、C
3〜C
20炭化水素)、1種類又は2種類以上の酸性ガス(例えば、硫化水素)又はこれらの任意の組み合わせを更に含む場合がある。天然ガスは、微量の汚染物質、例えば水、窒素、硫化鉄、蝋、原油又はこれらの任意の組み合わせを更に含む場合がある。
【0019】
本明細書で用いられる「化学量論的燃焼」という用語は、燃料及び酸化剤を含む所与の量の反応体及び反応体の全体積が生成物を形成するために用いられる場合に反応体を燃焼させることによって生じる所与の量の生成物を含む燃焼反応を意味している。本明細書で用いられる「実質的に化学量論的燃焼」という表現は、約0.9:1〜約1.1.1:1、より好ましくは約0.95:1〜約1.05:1の等量比を有する燃焼反応を意味している。
【0020】
本明細書で用いられる「流(又は流れ)」は、所与の量の流体を意味している。ただし、「流」という用語の使用は、運動中の所与の量の流体(例えば、速度又は質量流量を有する)を意味している。しかしながら、「流」という用語は速度、質量流量又は「流」を包囲する特定形式の導管を必要とするわけではない。
【0021】
本明細書で用いられる「ほぼ大気圧」という表現は、実際の大気圧の約10パーセントの範囲内又は好ましくは約5パーセントの範囲内の圧力を意味している。例えば、大気圧が14.7psiである場合、約13.2psi〜約16.2psiの範囲内にある圧力は、「ほぼ大気圧」とみなされる。
【0022】
本明細書において開示するシステム及び方法の実施形態を用いると、超低エミッション電力及びEOR又は隔離用途のためのCO
2を生じさせることができる。本明細書において開示する幾つかの実施形態によれば、空気と燃料の混合物を燃焼させると同時に再循環排ガス流と混合するのが良い。再循環排ガス流を冷却して圧縮し、そして燃焼温度及び次の膨張機に入る排ガスの温度を制御し又は違ったやり方で加減する希釈剤として使用できる。1つ又は2つ以上の実施形態では、燃焼条件は、非化学量論的である。他の実施形態では、燃焼条件は、化学量論的又は実質的に化学量論的である。
【0023】
燃焼チャンバに再循環されなかった排ガスを分離してCO
2を捕捉すると共に窒素を含む残留流を生じさせる。EOR用途では、回収したCO
2は、通常超臨界条件下で産出油田中に又はこれに隣接して注入される。CO
2は、加圧剤として働くと共に地下原油中に溶かされると、油の粘度を著しく減少させて油が地中を通って取り出しウェルまで迅速に流れることができるようにする。窒素を含む(酸素及びアルゴンも又含む場合が多い)残留流を用いて追加の動力を発生させることができ、しかもこれを圧力維持用途を含む種々の目的に使用できる。圧力維持用途では、不活性ガス、例えば窒素を圧縮して炭化水素貯留層中に注入し、それにより貯留層中に元の圧力を維持し、かくして石油・原油回収増進を図ることができる。本明細書において開示するシステムの結果として、経済的に効果的なレベルでの動力の発生及び追加のCO
2の捕捉が行われる。
【0024】
ほぼ化学量論的条件(例えば、「僅かにリッチ」の燃焼)における燃焼は、過剰酸素除去のコストをなくす目的上、有利であると言える。さらに、排ガスを冷却して蒸気から水を凝縮させることによって、比較的高い含有量のCO
2流を生じさせることができる。再循環排ガスの一部分を閉鎖ブレイトンサイクルにおいて温度加減のために利用することができるが、残りのパージ流をEOR用途に用いることができると共に大気中に放出される硫黄酸化物(SO
X)、窒素酸化物(NO
X)又はCO
2がほとんどなく又は全くない状態で電力を発生させることができる。このプロセスの結果として、動力が生じると共に追加のCO
2が製造される。
【0025】
再循環のために圧縮される前に排ガスの圧力のブースト組み合わせられる燃料の化学量論的又は実質的に化学量論的燃焼により、CO
2分圧を従来型ガスタービン排出物中のCO
2分圧よりも極めて高くすることができる。その結果、CO
2分離器内での炭素捕捉は、エネルギーをそれほど用いない溶剤、例えば炭酸カリウム(K
2CO
3)を用いて実施することができる。排ガス中における酸素(O
2)、硫黄酸化物(SO
X)及び窒素酸化物(NO
X)の存在により、圧力は高く且つCO
2含有量が多い場合であってもアミン溶剤(例えば、MEA、DEA、MDEA及び関連溶剤)の使用が困難になる。というのは、アミン溶剤は、これらの存在下において劣化する場合があるからである。さらに、K
2CO
3は、容易にSO
X又はNO
Xを吸収し、これを単純な肥料、例えば硫化カリウム(K
2SO
3)及び硝酸カリウム(KNO
3)に変換する。これら肥料を環境的に無害な仕方で容易に放出することができる。
【0026】
本発明の1つ又は2つ以上の実施形態では、ガスタービンシステム、排ガス再循環システム及びCO
2分離システムを含む一体型の動力発生システムが提供される。これらコンポーネントの各々の種々の実施形態について以下に詳細に説明する。
【0028】
ガスタービンシステムは、燃焼チャンバ、入口圧縮機及び膨張機を含み、燃焼チャンバは、放出物流を生じさせるよう圧縮再循環流の存在下において1種類又は2種類以上の圧縮酸化剤及び1種類又は2種類以上の燃料を燃焼させるよう構成されている。放出物流を膨張機内で膨張させてガス状排出物流を生じさせる。1種類又は2種類以上の酸化剤は、任意の酸素含有流体、例えば周囲空気、酸素富化空気、実質的に純粋な酸素又はこれらの組み合わせを含むのが良い。1種類又は2種類以上の燃料は、天然ガス、付随(随伴)ガス、ディーゼル、燃料油、ガス化石炭、コークス、ナフサ、ブタン、プロパン、エタン、メタン、合成ガス、ケロシン、航空燃料、生物燃料、酸素添加炭化水素原料油、ビチューメン、任意他の適当な炭化水素含有ガス若しくは液体、水素又はこれらの組み合わせを含むのが良い。さらに、燃料は、不活性成分を含むのが良く、このような不活性成分としては、N
2又はCO
2が挙げられるが、これらには限定されない。幾つかの実施形態では、燃料は、本明細書において説明するプロセスによって捕捉されるCO
2の注入により石油・原油回収増進から利益を得ている炭化水素貯留層によって少なくとも部分的に供給可能である。或る特定の実施形態では、燃料は、天然ガスを含む。
【0029】
1つ又は2つ以上の実施形態では、燃焼チャンバ内における燃焼条件は、化学量論的又は実質的に化学量論的である。希釈剤を燃焼チャンバに供給して燃焼温度及び煙道ガスの温度を制御し又は違ったやり方で調節して次の膨張機の材料要件を満たすようにする。希釈剤の流量は、燃焼チャンバ内の化学量論的条件の維持を助け、組成、体積流量の変化又は酸化剤及び燃料流の他のばらつきを加減するのを助けるよう調節可能である。1つ又は2つ以上の実施形態では、燃焼チャンバに供給される希釈剤は、圧縮再循環流の少なくとも一部分を含む。
【0030】
幾つかの実施形態では、高圧流は又、燃焼チャンバ内で希釈剤として使用できる。このような実施形態では、蒸気の追加により、システムにおける動力及びサイズの要件が緩和されるが、水再循環ループの追加が必要になる。
【0031】
さらに、別の実施形態では、燃焼チャンバの一方又は両方への圧縮酸化剤供給物は、アルゴンを含むのが良い。例えば、酸化剤は、約0.1〜約5.0体積%アルゴン、約1.0〜約4.5体積%アルゴン、約2.0〜約4.0体積%アルゴン、約2.5〜約3.5体積%アルゴン又は約3.0体積%のアルゴンを含むのが良い。
【0032】
入口圧縮機は、単一の圧縮機であっても良く、或いは、並列又は直列状態で作動する2つ又は3つ以上の圧縮機であっても良い。各圧縮機は、単一段のものであっても良く多段のものであっても良い。多段圧縮機では、オプションとして、高い総合圧縮比及び高い総合動力出力を得ることができるよう段間冷却を採用するのが良い。2つ以上の圧縮機を用いてプロセス流を圧縮する場合、圧縮機は、まとめて考えて、本明細書においては、適宜「入口圧縮機」であると見なされる。入口圧縮機は、本発明において説明するプロセスに適した任意形式のものであって良い。このような圧縮機としては、軸流圧縮機、遠心圧縮機、往復圧縮機又は二軸スクリュー圧縮機及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。1つ又は2つ以上の実施形態では、第1及び第2の圧縮機は、軸流圧縮機である。
【0033】
燃焼チャンバ内における酸化剤及び燃料の燃焼により、放出物流が生じる。放出物流は、燃焼生成物を含み、これらの個々の組成は、各燃焼チャンバ内で用いられる燃料及び酸化剤の組成に応じて様々であろう。1つ又は2つ以上の実施形態では、放出物流は、蒸発水、CO
2、酸素(O
2)、一酸化炭素(CO)、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)、NO
X、SO
X、硫化水素(H
2S)又はこれらの組み合わせを含む場合がある。放出物流を膨張機内で膨張させてガス状排出物流を生じさせるのが良い。
【0034】
膨張機は、単一の膨張機であっても良く、或いは並列又は直列状態で作動する2つ又は3つ以上の膨張機であっても良い。各膨張機は、単一段のものであっても良く多段のものであっても良い。2つ以上の膨張機を用いて放出物流を膨張させる場合、膨張機は、まとめて考えて、本明細書においては、「膨張機」であると見なされる。膨張機は、本発明において説明するプロセスに適した任意形式のものであって良く、このような膨張機としては、軸流膨張機、遠心膨張機又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。放出物流の膨張により、動力が生じ、この動力は、1つ又は2つ以上の圧縮機又は発電機を駆動するために使用できる。本発明の1つ又は2つ以上の実施形態では、膨張機は、共通シャフト又は他の機械的、電気的若しくは他の動力結合手段によって主圧縮機(これについては以下において詳細に説明する)に結合されており、主圧縮機は、膨張機によって少なくとも部分的に駆動されるようになっている。他の実施形態では、主圧縮機は、速度増大又は減少装置、例えばギアボックスが設けられているかどうかにかかわらず電気モータに機械的に結合されるのが良い。主圧縮機、燃焼チャンバ及び膨張機は、まとめて考慮すると、ブレイトンサイクルとして特徴付け可能である。
【0036】
排ガス再循環(EGR)システムは、ブースト圧縮機又はブロワ及びブースト圧縮機に流体結合された1つ又は2つ以上の冷却ユニットを含み、ブースト圧縮機は、ガス状排出物流を受け入れてその圧力を増大させるよう構成され、1つ又は2つ以上の冷却ユニットは、ガス状排出物流を冷却して冷却された再循環流を主圧縮機に提供するよう構成されている。主圧縮機は、冷却された再循環流を圧縮して圧縮された再循環流を生じさせる。圧縮再循環流の少なくとも一部分は、燃焼チャンバに差し戻され、圧縮再循環流の別の部分を含むパージ流がCO
2分離システムに差し向けられる冷却されたパージ流を生じさせるよう冷却される。
【0037】
ブースト圧縮機(又はブロワ)及び1つ又は2つ以上の冷却ユニットは、意図した目的に適した任意の仕方で配置可能である。例えば、1つ又は2つ以上の冷却ユニットは、ブースト圧縮機の上流側又は下流側に配置されても良く、ブースト圧縮機の上流側と下流側の両方に配置されても良い。1つ又は2つ以上の冷却ユニットは、排ガスの温度を減少させるのに適した任意形式の装置であって良く、例えば、熱回収ユニット(HRU)、熱交換器、再生器、直接接触型冷却器(DCC)、トリム冷却器、機械的冷凍ユニット又はこれらの組み合わせである。幾つかの実施形態では、冷却ユニットは、HRUであり、これは、ブースト圧縮機の上流側に配置されるのが良い。HRUは、用いられる場合、ガス状排出物流を受け入れると共にガス状排出物流中の残留熱を利用して例えば排熱回収蒸気発生器(排熱回収ボイラ又は排熱回収熱交換器と呼ばれる場合もある)(HRSG)内で蒸気を発生させるよう構成されるのが良い。HRSGに生じた蒸気は、種々の目的に使用可能であり、例えば、蒸気タービン発電機をランキンサイクルで駆動するために又は淡水化のために使用可能である。同じ又は他の実施形態では、冷却ユニットは、DCCであり、これは、ブースト圧縮機の上流側又は下流側に配置できる。DCCは、用いられる場合、水ドロップアウト流を介して冷却再循環流から凝縮水の一部分を除去するよう構成されているのが良い。幾つかの実施形態では、水ドロップアウト流は、オプションとして、追加の蒸気の発生のための水源となるようHRSGに送られるのが良い。幾つかの実施形態では、HRSGとDCCの両方は、ガス状排出物流を冷却するために用いられ、各々、ブースト圧縮機の上流側に配置される。
【0038】
1つ又は2つ以上の実施形態では、冷却再循環流は、主圧縮機に差し向けられ、そして圧縮されて圧縮された再循環流が生じる。主圧縮機は、単一段のものであっても良く多段のものであっても良い。多段圧縮機では、オプションとして、高い総合圧縮比及び高い総合動力出力を得ることができるよう段間冷却を採用するのが良い。2つ以上の圧縮機を用いて冷却再循環流を圧縮する場合、圧縮機は、まとめて考えて、本明細書においては、「主圧縮機」であると見なされる。主圧縮機は、本発明において説明するプロセスに適した任意形式のものであって良い。このような圧縮機としては、軸流圧縮機、遠心圧縮機、往復圧縮機又は二軸スクリュー圧縮機及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。1つ又は2つ以上の実施形態では、第1及び第2の圧縮機は、軸流圧縮機である。排ガスを冷却して圧縮することは、処理されなければならないガスの量が多いこと及び通常CO
2捕捉の高いコストの原因となっている排出物流の圧力が低いことに関連した問題を解決するのに役立ち、かくして、本発明のシステムにおけるCO
2捕捉及び回収を効率的にし且つ費用効果を良くする。
【0039】
圧縮再循環流は、主圧縮機を出ると、次の膨張機の材料要件を満たすと共に所望する場合には燃焼チャンバ内における化学量論的燃焼条件を維持するよう燃焼温度及び煙道ガスの温度を制御し又は違ったやり方で調節する希釈剤として使用することができるよう燃焼チャンバに送られるのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、パージ流が圧縮再循環流からそらされてCO
2分離システムに差し向けられるのが良い。当業者であれば理解されるように、パージ流が用いられる特定の分離プロセスに合わせて最適化された条件でCO
2分離システムに入るようにするのに中間加熱、冷却又は他のプロセス操作が必要な場合がある。1つ又は2つ以上の実施形態では、例えば、パージ流を冷却してCO
2分離システムに差し向けられる冷却されたパージ流を生じさせるために熱交換器又は他の冷却ユニットを用いるのが良い。熱交換器は、所望量の冷却を行うのに適した任意の冷却流体を採用することができ、このような冷却流体としては、海水、冷水、1種類又は2種類以上の冷媒、他のプロセス流又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。幾つかの実施形態では、パージ流は、冷却のためにCO
2分離システムの吸収塔を出た窒素に富んだ残留流を用いるよう構成された交差型交換器内で冷却されるのが良い。残留流を後で膨張させて動力を生じさせる実施形態では、パージ流と残留流の交差型交換は、残留流に与えられる追加の熱が動力発生量を増大させることができるので特に有利である。
【0041】
燃焼チャンバ内における化学量論的燃焼(利用される場合)と冷却ユニットによる水の除去の組み合わせによって、排ガス中のCO
2含有量を約10体積%以上に増加させることができ、これは、従来型複合サイクルシステムの排ガスの場合よりも高い。これら効果に、具体化に起因して得られる高圧の影響及びブースト圧縮機の影響が加わることにより、CO
2分圧が従来型ガスタービン排出物よりも極めて高くなる。その結果、これにより、エネルギーをそれほど必要としない溶剤、例えばK
2CO
3溶剤技術を利用してCO
2分離システム内において炭素捕捉を行うことができる。
【0042】
O
2、SO
X及びNO
Xの存在により、圧力が高く且つCO
2含有量が多い場合であってもアミン溶剤(例えば、MEA、DEA、MDEA及び関連溶剤)の使用が困難になる。というのは、これらガスは、アミン劣化を引き起こす場合があるからである。しかしながら、炭酸カリウムは、非反応性であり、酸素の影響を何ら受けない。燃焼チャンバ内で行われる反応は、幾つかの実施形態では化学量論的であると言えるが、それにもかかわらず、ほんの僅かのO
2が燃焼平衡上の問題に起因して冷却パージ流中に存在する場合がある。MEA溶剤は相当な溶剤再生及び安全な処分が必要であるが、K
2CO
3の使用により、酸素を主成分とする溶剤の劣化がなくなる。
【0043】
炭酸カリウムは、排ガス中のSO
X又はNO
Xを容易に吸収し、これら化合物を簡単な肥料、例えば硫化カリウム(K
2SO
3)及び硝酸カリウム(KNO
3)に変換する。特に、SO
2、SO
3及びNO
2は全て、水中でかなり強い酸となり、CO
2よりも極めて強い酸性を示す。かくして、これら化合物は、優先的に溶剤溶液中に吸収されるが、熱安定性のある塩(HSS)になり、再生によっては除去されない。他方、NO及びN
2Oは、低い溶解性を有し、NO
2よりも吸収されるのが困難であり、低い濃度で生じる傾向がある。単純な肥料として、(K
2SO
3及びKNO
3を環境的に無害な仕方で容易に放出することができる。ただし、溶剤系に他の毒性化合物、例えば腐食防止剤、活性剤等が添加されていないことを条件とする。硫酸塩及び硝酸塩化合物を除去すると、水酸化カリウム(KOH)を溶剤補充のために追加するのが良い。水酸化カリウムは、かなり安価な化学物質なので、これは、かなり経済的に達成できる。
【0044】
したがって、1つ又は2つ以上の実施形態では、CO
2分離システムは、K
2CO
3溶剤を用いて冷却パージ流からCO
2を吸収するよう構成された吸収塔を含む。CO
2を吸収塔内でK
2SO
3により吸収すると、CO
2は、水と反応して炭酸(H
2CO
3)を生じ、次に重炭酸塩(HCO
3)を生じる。炭酸の酸性部分(H
+)は、炭酸イオン(CO
3-2)と反応することができ、それにより追加の重炭酸イオンが生じる。かくして、全体的反応は、次の通りであるのが良い。
CO
2+H
2O+K
2CO
3←→2KHCO
3
その結果、吸収塔は、上述したように窒素に富んだ残留流及び重炭酸イオン溶剤溶液を生じさせる。
【0045】
吸収塔からの窒素に富んだ残留流を種々の用途に全体として又は部分的に使用することができる。例えば、残留流は、圧力維持のために炭化水素を貯留層中に注入可能である。また、残留流を販売することでき又は逃がすことができる。1つ又は2つ以上の実施形態では、圧力維持が実行可能なオプションでない場合(又は、残留流の一部分だけが圧力維持に必要な場合)、残留流を膨張又は別の方法で冷却し、そして本明細書において説明するシステム中の冷凍手段となるよう用いることができる。例えば、冷却状態の残留流は、冷凍作用をもたらしてシステム内の1つ又は2つ以上の圧縮機の吸い込み温度を減少させ又はシステム内の1つ又は2つ以上の冷却ユニット内で用いられる水を冷やすよう使用できる。
【0046】
他の実施形態では、残留流の全て又は一部が圧力維持に用いられない場合、その代わりに、残留流を加熱して追加の動力をシステム内のどこか他の場所で使えるよう又は販売できるよう生じさせることができる。残留流を加熱する幾つかの方法としては、熱交換器内での残留流と別のプロセス流(例えば、上述したようにパージ流又は分離システム若しくは動力発生システム全体内の別の流れ)との公差型交換又は追加の熱を残留流に供給するための補助燃焼器の使用が挙げられる。追加の燃焼器の使用に当たり、追加の燃料が必要になることは理解されよう。炭素含有燃料を燃焼器内に用いる場合、追加のCO
2が発生し、このような追加のCO
2は、残留流からは回収できないであろう。したがって、幾つかの実施形態では、燃焼器内で用いられる燃料は、非炭素系燃料源、例えば水素であるのが良い。補助燃焼器の必要とする酸化剤は、別個の酸化剤流を経て供給するのが良く、或いは、酸化剤の追加の供給源が不要であるように十分な酸化剤が残留流中に存在するのが良い。分離器残留流を加熱する他の考えられる方法としては、残留流を加熱するためにHRSG内に加熱コイルを用いること、触媒を用いて残留流中に存在するCOを燃焼させること又は冷却のために残留流を用いた結果として提供される加熱(即ち、残留流が冷却作用を他の流れ又は装置に提供したときに、流れそれ自体が加熱されること)が挙げられる。
【0047】
1つ又は2つ以上の実施形態では、吸収塔を出た重炭酸イオン溶剤溶液を弁又は他の圧力減少装置を介してほぼ大気圧までほとばしらせる。幾つかの実施形態では、圧力減少装置は、追加の動力を発生させるよう構成された水力タービンであるのが良い。重炭酸イオン溶剤溶液をいったんほぼ大気圧までほとばしらせると、再生塔内で沸騰させてCO
2及び水を除去するのが良く、それにより吸収塔に再循環させるのが良い再生された炭酸カリウム溶剤が生じる。
【0048】
幾つかの実施形態では、再生塔は、水の沸点を超える温度で動作するのが良い。例えば、再生塔は、約220°F(104℃)、約230°F(110℃)又は約240°F(116℃)から約280°F(138℃)、約290°F(143℃)又は約300°F(149℃)の範囲にある温度で動作するのが良い。再生塔は、約0psigから約10psigの範囲にある圧力で動作するのが良い。少なくとも1つの実施形態では、再生塔は、約3psigの圧力で動作するよう構成されているのが良い。
【0049】
再生塔は、この中で循環する蒸気を用いて重炭酸イオン溶剤を沸騰させて吸収塔内で行われる反応を逆にし、それにより吸収塔への再循環に適した再生リーン炭酸カリウム溶剤を生じさせるよう構成されているのが良い。少なくとも1つの実施形態では、インライン型ポンプ等がリーン炭酸カリウム溶剤の少なくとも一部分を吸収塔に戻すのが良い。
【0050】
1つ又は2つ以上の実施形態では、吸収塔に再循環されるリーン炭酸カリウム溶剤の一部分をオプションとして熱安定性塩(HSS)として取り出すのが良い。例示のHSSとしてとしては化合物としての肥料が挙げられこのような肥料としては硫化カリウム及び/又は硝酸カリウムが挙げられるが、これらには限定されない。HSSを除去した場合に炭酸カリウム含有量の損失を補うと共に全体的溶液強度を維持するために、次に、水酸化カリウムの流れを吸収塔に差し向けられているリーン炭酸カリウム流又は吸収塔それ自体に供給するのが良い。
【0051】
リーン炭酸カリウム溶剤をオプションとして吸収塔への導入前に第1の冷却ユニット中に差し向けるのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、第1の冷却ユニットは、例えば、溶剤の温度を減少させるよう構成された空気冷却器又はラジエータ型熱交換器であるのが良い。第1の冷却ユニットは、用いられた場合、リーン炭酸カリウム溶剤を約230°F(110℃)〜約60°F(16℃)の温度まで減少させるよう構成されているのが良い。
【0052】
再生塔内で循環する蒸気を発生させると共に所要の再生熱を維持するため、1つ又は2つ以上の実施形態では、再生塔は、再生塔に流体結合された再沸器を更に有するのが良い。再沸器は、再生塔に再循環されなかったリーン炭酸カリウム溶剤の少なくとも一部分を加熱して加熱状態のリーン炭酸カリウム溶剤を生じさせるよう構成されているのが良い。次に、加熱リーン炭酸カリウム溶剤を再生塔に再循環させて重炭酸イオン溶剤溶液を沸騰させるための蒸気を生じさせるのが良い。少なくとも1つの実施形態では、再沸器にはEGRシステム内のHRSGから熱を供給することができる。かしながら、他の実施形態では、再沸器には別の源、例えば蒸気タービンの中間抽出部又は放出部から熱が供給されても良い。
【0053】
冷却パージ流に含まれている水は、凝縮して吸収塔内の重炭酸イオン溶剤溶液になることができ、次に、再生塔で沸騰蒸発する。その結果、再生塔は、再生プロセス中、溶剤から分離されたCO
2及び残留水をオーバーヘッド流を経て更に放出することができる。少なくとも1つの実施形態では、CO
2(代表的には、蒸気)及び残留水を第2の冷却ユニット、例えば空気冷却器又はラジエータ型熱交換器中に差し向けるのが良く、その後凝縮器又は他の分離容器に導入する。凝縮器は、回収したCO
2から残留水を分離して水流及び主としてCO
2を含む流を生じさせるよう構成されているのが良い。
【0054】
幾つかの実施形態では、凝縮器を出た水の少なくとも一部分を再循環させて再生塔中に戻すのが良く、それによりシステム内の水のバランスを一定に保つことができる。水は、冷却パージ流を介して常時溶剤中に導入され、その後、凝縮器を経て除去される。溶剤の条件及び強度を維持するため、水は、CO
2分離システム内においてバランスが取れた状態のままでなければならない。したがって、再生塔に再循環される水により、水を戻して再沸器により生じた蒸気をこの水のバランスとは別個独立に制御することができるようになっている。換言すると、この再循環水を再生塔内における蒸気の生成のための給水として用いることができ又は供給物冷却からの低圧蒸気を増圧するよう使用できる。同じ又は他の実施形態では、凝縮器を出た水の一部分を新鮮なプロセス水として処分することができる。例えば、水は、幾つかの実施形態では溶解CO
2の一部分を含んでいるが、凝縮器を出た水を灌漑用の水に使用することができ、ボイラ給水及び/又は他の清浄なプロセス水としての利用のために使用できるよう処理することができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、凝縮器を出た分離CO
2を次に例えばCO
2隔離又は貯蔵、石油・原油回収増進、CO
2販売、炭素捕捉及び/又はこれらの組み合わせのような用途のために圧縮するのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、凝縮器を出たCO
2流は、高い純度のものであり、少なくとも95mol%CO
2、少なくとも98mol%CO
2、少なくとも99mol%CO
2又は少なくとも99.5mol%CO
2を含む。
【0057】
本明細書において説明するように溶剤吸収によりCO
2を回収する場合、溶剤は、水性溶剤、例えばK
2CO
3中では溶解度が小さい少量の揮発分(例えば、K
2、O
2、Ar及びCO)も又吸収する。溶剤を再生して吸収状態のCO
2を放出する際、これら揮発分も又、導き出されてCO
2と共に残ることになる。或る特定の状況では、例えば、CO
2がEORのために用いられ又は隔離のために貯留層中に注入される場合、揮発分の存在は、望ましくない場合がある。例えば、酸素の存在は、腐食率を高める場合があり、他方、酸化炭素(CO)の存在の結果として、始動又はプロセスアプセット条件中に放出された場合に安全上又は環境上の危害が生じる場合がある。
【0058】
したがって、本発明の或る特定の実施形態では、吸収塔を出たリッチ重炭酸イオン溶剤溶液を高い圧力で又は中間の圧力で処理して揮発分を除去し、その後溶液をほぼ大気圧までほとばしらせ、そして再生塔内で再生させる。除去される揮発分としては、O
2、N
2、Ar及びCOが挙げられるが、これらには限定されない。揮発分を除去する2つの方法、即ち、蒸気を用いたストリッピング及び2段フラッシュ又はフラッシング(flashing:ほとばしさせること)について本明細書において説明する。当業者であれば理解されるように、これら方法の変形例も又、重炭酸イオン溶剤溶液から揮発分を除去する上で有効な場合があり、又CO
2を除去しないで(又は、無視できるほどに過ぎないほどの量のCO
2を除去しながら)溶液から揮発分を除去するよう設計されたこのような任意の方法は、本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0060】
本発明の1つ又は2つ以上の実施形態では、溶剤をストリッピング塔又はストリッピング区分内で蒸気を用いてストリッピングすることによって揮発分をリッチ重炭酸イオン溶剤溶液から除去する。蒸気は、溶剤溶液中のCO
2と反応しない蒸気であればどのような蒸気(好ましくは、清浄な蒸気)であって良い。適当な蒸気としては、窒素、アルゴン、水蒸気及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。
【0061】
1つ又は2つ以上の実施形態では、ストリッピング区分は、吸収塔内に追加の段として(一般に、塔の底部に)設けられ、その結果、蒸気流は、吸収塔にその底部段のところで又はその近くで入り、他方、冷却されたパージ流は、ストリッピング段の直ぐ真上で吸収塔の中間部に供給される。揮発分がストリッピングされた状態のリッチ重炭酸イオン溶剤溶液は、吸収塔の底部を出て、他方、ストリッピング用蒸気(溶剤から除去した揮発分を含む)は、引き続き吸収塔に沿って上方に流れて窒素に富んだ残留流の一部として吸収塔を出る。
【0062】
他の実施形態では、ストリッピング区分は、吸収塔とは別体の追加の塔であっても良い。このような実施形態では、蒸気流は、ストリッピング塔の底部に又はその近くに供給され、吸収塔を出たリッチ重炭酸イオン溶剤がストリッピング塔の頂部に又はその近くに供給される。このように、蒸気と重炭酸イオン溶剤溶液は、ストリッピング塔を通って向流状態で流れる。したがって、ストリッピング塔は、ストリッピング用蒸気及び重炭酸イオン溶剤溶液から除去された揮発分を含む第1(又はオーバーヘッド)流及び揮発分がストリッピングされた重炭酸イオン溶剤溶液を含む第2の(又はボトム)流を生じさせる。オーバーヘッド流を吸収塔に再循環させるのが良く、その結果、ストリッピング用蒸気(溶剤から除去された揮発分を含む)が窒素に富んだ残留流の一部として吸収塔を出るようになる。
【0063】
いずれの方式においても、重炭酸イオン溶剤溶液のストリッピングは、高い圧力状態、一般に吸収塔に入る冷却パージ流の圧力状態で又はこれに近い圧力状態で起こる。リッチ重炭酸イオン溶剤を高い圧力状態でストリッピングすることにより、揮発分が溶剤溶液から除去され、他方CO
2の本質的に全ては、ストリッピング区分又はストリッピング塔を出る重炭酸イオン溶液流中に残る。次に、重炭酸イオン溶剤溶液を、弁又は他の圧力減少装置(例えば、水力タービン)を介してほぼ大気圧までほとばしらせて再生塔に差し向けるのが良い。揮発分をこのように除去することによって(即ち、溶剤溶液をほぼ大気圧までほとばしらせて溶剤を再生させる前に)、純粋又はほぼ純粋なCO
2流をCO
2分離システムから回収することができる。
【0064】
上述したように、ストリッピング区分又はストリッピング塔を用いる場合、ストリッピング用蒸気は、窒素に富んだ残留流に含まれた状態で吸収塔を出る。理解されるように、この窒素に富んだ残留流をこれ以上処理することがこの流中に存在する蒸気を考慮に入れる上で必要な場合がある。さらに、窒素に富んだ残留流を膨張させて動力を発生させる実施形態では、残留流を酸化触媒上に通して残留流を後で逃がすとき又は逃がす場合、COが放出されないようにすることが望ましい場合がある。過剰の酸素を残留流に加え、その後酸化触媒に入ってCOの完全燃焼が保証されるようにするのが良い。このような燃焼は、有利には、残留流を一段と過熱し、かくして動力発生量を増大させることができる。
【0066】
1つ又は2つ以上の他の実施形態では、揮発分を除去する上でストリッピング塔又は区分を用いず、これに代えて、吸収塔を出たリッチ重炭酸イオン溶剤溶液を、弁又は他の圧力減少装置を介して冷却パージ流の圧力と大気圧との間の中間の(又は減少した)圧力までほとばしらせても良い。減少しているが依然として高い圧力までほとばしらせることによって、重炭酸イオン溶剤溶液は、気相と液相を含む二相流になる。1つ又は2つ以上の実施形態では、溶剤をほとばしらせる目標としての減少した圧力は、気相が溶液中の揮発分(例えば、窒素、酸素、アルゴン、一酸化炭素及びこれらの組み合わせ)を含み、CO
2の本質的に全てが溶液の液層中に残るように選択される。幾つかの実施形態では、例えば、重炭酸イオン溶剤溶液の気相は、約5mol%未満、約3mol%未満、約2mol%未満、約1mol%未満、約0.5mol%未満又は約0.1mol%未満のCO
2を含む。
【0067】
或る特定の実施形態では、二層溶剤溶液をフラッシュ容器又は他の分離装置に差し向けるのが良く、このようなフラッシュ容器又は他の分離装置は、CO
2を含む液体重炭酸イオン溶剤溶液からガス状揮発分を分離するよう構成されている。幾つかの実施形態では、フラッシュ容器に入る全CO
2の少なくとも約95mol%、少なくとも約97mol%、少なくとも約98mol%又は少なくとも約99mol%が溶液中に残り、そして液体重炭酸イオン溶剤溶液と共にフラッシュ容器から除去される。フラッシュ容器を出た揮発分を次に排ガス再循環システムに再循環させるのが良い。例えば、揮発分を再循環させて主圧縮機の上流側で冷却再循環流に合流させるのが良い。揮発分をこのように再循環させることによってCO及びO
2を燃焼のために再使用することができ、かくして動力発生システムの効率が向上する。さらに、CO
2が揮発分と共に除去される場合、CO
2は、CO
2分離システム中で回収のために再圧縮されて再処理される。
【0068】
1つ又は2つ以上の実施形態では、フラッシュ容器を出た重炭酸イオン溶剤溶液を、第2の弁又は他の圧力減少装置を介してほぼ大気圧までほとばしらせて再生塔に差し向けるのが良い。揮発分をこのようにして(即ち、中圧状態で且つ溶剤溶液をほぼ大気圧までほとばしらせて溶剤を再生させる前に)除去することによって、純粋又はほぼ純粋なCO
2流をCO
2分離システムから回収することができる。
【0069】
当業者であれば理解できるように、揮発分をリッチ重炭酸イオン溶剤溶液から除去するために用いられる方法及び装置の選択は、種々の要因の影響を受ける場合がある。例えば、吸収塔を出る窒素に富んだ残留流の意図した使用は、揮発分除去方法のどれが好ましいかを判定するのを助けることができる。上述したように、揮発分を除去するための蒸気ストリッピングの利用は、特に窒素に富んだ残留流を酸化触媒上に通してCOを燃焼させる場合、窒素に富んだ残留流を膨張させて動力を発生する実施形態では有利であると言える。このような燃焼は、残留流を更に過熱し、かくして動力発生量を向上させることができる。変形例として、窒素に富んだ残留流が炭化水素貯留層中の圧力維持のために用いられる場合、上述の2段フラッシュによる揮発分の除去が好ましいと言える。重炭酸イオン溶剤から除去した揮発分を残留流と合流させる(蒸気ストリッピング方法の場合と同様)のではなく、2段フラッシュ方法において重炭酸イオン溶剤から除去した揮発分をEGRに再循環させることによって、燃料効率が最大になる。というのは、揮発分中の燃料及び/又は酸化剤の値の全てが再循環されて回収されるからである。
【0070】
次に図を参照すると、本発明の実施形態は、
図1及び
図2に示されている基本ケースを参照すると最も良く理解できる。
図1は、動力発生及びCO
2回収のための例示の一体型システム100の略図を示している。少なくとも1つの実施形態では、動力発生システム100は、動力を発生させる閉鎖ブレイトンサイクルとして特徴付けできるガスタービンシステム102を含むのが良い。ガスタービンシステム102は、シャフト108を介して膨張機106に結合された第1又は主圧縮機104を有するのが良い。シャフト108は、任意の機械的、電気的若しくは他の動力結合手段であって良く、それにより膨張機によって生じた機械的エネルギーの一部分が主圧縮機104を駆動することができる。少なくとも1つの実施形態では、ガスタービンシステム102は、標準型ガスタービンであって良く、この場合、主圧縮機104及び膨張機106は、それぞれ、標準型ガスタービンの圧縮機側端部及び膨張機側端部を形成する。しかしながら、他の実施形態では、主圧縮機104及び膨張機106は、システム102内における個別化されたコンポーネントであっても良い。
【0071】
ガスタービンシステム102は、ライン114中の圧縮酸化剤と混合されたライン112中の燃料を燃焼させるよう構成された燃焼チャンバ110を更に含むのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、ライン112中の燃料は、任意適当な炭化水素ガス又は液体、例えば天然ガス、メタン、エタン、ナフサ、ブタン、プロパン、合成ガス、ディーゼル、ケロシン、航空燃料、石炭由来燃料、生物燃料(バイオ燃料)、酸素化炭化水素原料油又はこれらの組み合わせを含むのが良い。ライン114中の圧縮酸化剤は、燃焼チャンバ110に流体結合されると共に供給酸化剤120を圧縮するようになった第2又は入口圧縮機118から導かれるのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、供給酸化剤120は、酸素を含有した任意適当なガス(気体)、例えば空気、酸素に富んだ空気又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0072】
以下に詳細に説明するように、燃焼チャンバ110は、主としてCO
2及び窒素成分を有する煙道ガスを含む圧縮再循環流144も又受け入れるのが良い。圧縮再循環流144を主圧縮機104から導くのが良く、このような圧縮再循環流は、ライン114中の圧縮酸化剤及びライン112中の燃料の燃焼を容易にするのに役立ち、更に排ガス中のCO
2濃度を増大させるようになっている。ライン116中の排ガスを圧縮再循環流144の存在下においてライン112中の燃料及びライン114中の圧縮酸化剤の燃焼生成物として生じさせることができる。少なくとも1つの実施形態では、ライン112中の燃料は、主として天然ガスであるのが良く、それにより、蒸発水、CO
2、窒素、窒素酸化物(NO
X)及び硫黄酸化物(SO
X)の体積部分を含むライン116中の排ガスが生じる。幾つかの実施形態では、未燃焼燃料又は他の化合物の僅かな部分も又、燃焼平衡上の制限に起因してライン116中の排ガス中に存在する場合がある。ライン116中の排ガスを膨張機106の入口に差し向けるのが良い。ライン116中の排ガスが膨張機106中で膨張すると、それにより、主圧縮機104を駆動する機械的動力が発生すると共に更にライン144内の圧縮再循環排ガスの流入に起因して生じる増大したCO
2含有量を有するライン122中のガス状排出物が生じる。
【0073】
動力発生システム100は、排ガス再循環(EGR)システム124を更に含むのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、EGRシステム124は、排熱回収蒸気発生器(排熱回収ボイラ又は排熱回収熱交換器と呼ばれる)(HRSG)126又はこれに類似した装置を含むのが良い。ライン112中のガス状排出物をHRSG126に送るのが良く、その目的は、ライン130中の蒸気及びライン132中の冷却排ガスを生じさせることにある。幾つかの実施形態では、ライン130中の蒸気を蒸気ガスタービン(図示せず)に送って追加の電力を発生させるのが良く又はCO
2分離器148に送って再沸器熱を提供するのが良い。このような実施形態では、HRSG126と蒸気ガスタービンの組み合わせは、ランキンサイクルとして特徴付け可能である。HRSG126及び蒸気ガスタービンは、ガスタービンシステム102と組み合わさった状態で、複合サイクル発電プラント、例えば天然ガス複合サイクル(NGCC)プラントの一部をなすことができる。
【0074】
ライン132中の冷却排ガスを少なくとも1つの冷却ユニット134に送るのが良く、少なくとも1つの冷却ユニットは、ライン132中の冷却排ガスの温度を減少させると共に冷却再循環ガス流140を生じさせるよう構成されている。1つ又は2つ以上の実施形態では、冷却ユニット134は、直接接触型冷却器、トリム冷却器、機械的冷凍ユニット又はこれらの組み合わせであるのが良い。冷却ユニット134は又、水ドロップアウト流(図示せず)を介して凝縮水の一部分を除去するよう構成されているのが良く、水ドロップアウト流は、少なくとも1つの実施形態では、HRSG126に送られるのが良く、それによりライン130内に追加の蒸気の発生のための水源が得られる。1つ又は2つ以上の実施形態では、冷却再循環ガス流140は、冷却ユニット134に流体結合されたブースト圧縮機142に差し向けられるのが良い。ライン132中の冷却排ガスを冷却ユニット134内で冷却することにより、ブースト圧縮機142内の冷却再循環ガス流140を圧縮するのに必要な動力を減少させることができる。
【0075】
ブースト圧縮機142は、冷却再循環ガス流140を主圧縮機104内に導入する前に冷却再循環ガス流140の圧力を増大させるよう構成されているのが良い。従来型ファン又はブロワシステムとは対照的に、ブースト圧縮機142は、冷却再循環ガス流140の全体的密度を増大させ、それにより体積流量が同一の状態で増大した質量流量を主圧縮機104に差し向ける。主圧縮機104は、代表的には体積流量が制限されているので、より多くの質量流量を主圧縮機104中に差し向け、その結果として、主圧縮機104から高い吐き出し圧力が得られ、このような高い吐き出し圧力は、膨張機106前後の高い圧力比に変わる。膨張機106前後に生じた高い圧力比により、入口温度を高くすることができ、従って、膨張機106の出力及び効率を増大させることができる。これは、ライン116中のCO
2に富んだ排ガスが一般に高い比熱容量を維持するので有利であることが分かる。
【0076】
主圧縮機104は、ブースト圧縮機142から受け取った冷却再循環ガス流140を圧縮して名目的に燃焼チャンバ110の圧力よりも高い圧力に圧縮するよう構成されているのが良く、それにより圧縮された再循環流144が生じる。少なくとも1つの実施形態では、パージ流146を圧縮再循環流144から取り出し、次にCO
2分離器148内で処理し、それによりライン150を経て高い圧力状態にあるCO
2を捕捉するのが良い。ライン150中の分離されたCO
2を販売のために利用することができ、二酸化炭素を必要とする別のプロセスに用いることができ且つ/或いは圧縮して石油・原油の回収増進(EOR)、隔離又は別の目的のための陸上リザーバ中に注入することができる。
【0077】
本質的にCO
2が減少し、主として窒素から成る残留流151をCO
2分離器148から導くのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、残留流151をCO
2分離器148に流体結合されているガス膨張機(図示せず)、例えば動力発生窒素膨張機内で膨張させるのが良い。このような実施形態では、ガス膨張機は、オプションとして、共通シャフト又は他の機械的、電気的若しくは他の動力結合手段を介して入口圧縮機118に結合されても良く、それにより、ガス膨張機152により生じた動力の一部分が入口圧縮機118を駆動することができる。本明細書において説明したように膨張させたにせよそうでないにせよいずれにせよ残留流を大気中に逃がし又は当該技術分野において知られている他の下流側の用途に用いるのが良い。例えば、膨張後の窒素流を蒸発式冷却プロセスに用いることができ、このような蒸発式冷却プロセスは、排ガスの温度を一段と減少させるよう構成されている。1つ又は2つ以上の実施形態では、ライン190内の圧縮排ガスは、圧力維持用途のためのリザーバ内に注入されるのに適していると言える。メタンガスが一般に、坑井内圧力を維持するために炭化水素坑井内に再注入される用途では、残留流151を圧縮することは、有利であることが分かる。例えば、これとは異なり、ライン151からの加圧窒素ガスを炭化水素坑井内に注入し、任意の残留メタンガスを販売し又は関連用途における燃料として用いても良く、例えば、ライン112内に燃料を提供する。
【0078】
燃焼チャンバ110内における燃焼は、化学量論的条件で行われても良く、非化学量論的条件で行われても良い。幾つかの実施形態では、化学量論的又は実質的に化学量論的燃焼条件が望ましい場合がある。例えば、特にブースト圧縮機142が追加された本明細書において説明するEGRシステム124は、動力発生システム100の排ガス中にCO
2の高い濃度を達成するよう具体化されるのが良く、それにより次の隔離、圧力維持又はEOR用途のための効果的なCO
2分離が可能である。本明細書において開示する実施形態は、排ガス流中のCO
2の濃度を約10体積%以上に効果的に増大させることができる。これを達成するため、燃焼チャンバ110は、ライン112中の燃料とライン114中の圧縮酸化剤の到来混合物を化学量論的に燃焼させるようになっているのが良い。膨張機106の入口温度及びコンポーネント冷却要件に適合するよう化学量論的燃焼の温度を加減するため、圧縮再循環流144の一部分を希釈剤として同時に燃焼チャンバ110中に注入するのが良い。かくして、本発明の実施形態は、排ガスから過剰酸素を減少させ又は本質的になくすことができ、それと同時にそのCO
2濃度を増大させることができる。したがって、ライン122中のガス状排出物は、約3.0体積%以下の酸素、約1.0体積%以下の酸素、約0.1体積%以下の酸素又はそれどころか約0.001体積%以下の酸素を有することができる。
【0079】
次に
図2を参照すると、本明細書において説明したような炭酸カリウム(K
2CO
3)溶剤技術を採用することができるCO
2分離システム200が示されている。CO
2分離システム200は、
図1を参照して全体を本明細書において説明したCO
2分離器148の少なくとも一部分であるのが良く又はこれを形成するのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、システム200は、約800°F(426.7℃)の温度及び約270psia〜約280psiaの圧力で圧縮再循環流144(
図1)から取り出したパージ流146を受け入れるよう構成されているのが良い。
【0080】
主として窒素、CO
2及び過剰燃焼水を含むパージ流146を熱交換器202内で冷却するのが良く、それによりライン204中に冷却パージ流が生じる。一実施形態では、熱交換器202は、蒸気を発生させることができ、幾つかの場合において、このような蒸気をHRSG126(
図1)からの蒸気流130と一体化するのが良い。CO
2分離システム200内でCO
2をパージ流146から抽出することにより、パージ流146の高い圧力状態で又はそれに近い状態で窒素に富んだ残留流151が生じる。少なくとも1つの実施形態では、熱交換器は、残留流151に流体結合されると共に残留流151を再熱するためにパージ流146の冷却と関連した熱エネルギーを抽出するよう構成された交差型交換器であるのが良い。残留流151をいったん再熱すると、次に膨張させて全体を上述したように機械的動力を発生させるのが良い。
【0081】
ライン204内の冷却パージ流を吸収塔206に差し向けるのが良く、この吸収塔にはライン208からの溶剤を再循環させ、残留流151をそれと同時に次の下流側での処理のためにオーバーヘッド状態で放出する。1つ又は2つ以上の実施形態では、溶剤は、K
2CO
3の水性塩溶液である。競合する溶剤、例えばMEAと比較すると、K
2CO
3溶剤は、温度許容性が極めて高い。その結果、パージ流146の冷却を必要に応じて最小限に抑えることができ、温度の高いパージ流146は、熱的劣化に関する懸念が高くなることなく吸収塔206に入るようにすることができる。したがって、パージ流146の冷却度は、熱的劣化を回避するために冷却ではなく、プロセス熱要件にマッチするよう変更することができる。
【0082】
吸収塔206内における炭酸カリウム溶剤によるCO
2の吸収の結果として、リッチ重炭酸イオン溶剤をライン210を経て吸収塔206の底部から放出し、そして再生塔212に差し向けることができる。一実施形態では、ライン210内に設けられた第1の又は中間弁214が、重炭酸イオン溶剤を再生塔212への導入に先立って低い大気圧に近い圧力に向かってほとばしらせるよう構成されているのが良い。少なくとも1つの実施形態では、第1の弁214は、余剰の動力を発生させるよう構成された水力タービンであるのが良い。
【0083】
再生塔212は、この中で循環する蒸気を用いて重炭酸イオン溶剤を沸騰させて吸収塔206内で行われる反応を逆にし、それにより以下において説明するライン216を経て再循環に適した再生リーン炭酸カリウム溶剤を生じさせるよう構成されているのが良い。少なくとも1つの実施形態では、インライン型ポンプ218等がライン220を経てリーン炭酸カリウム溶剤の少なくとも一部分を吸収塔206に戻すのが良い。
【0084】
ライン220中のリーン炭酸カリウム溶剤をオプションとして第1の冷却ユニット222中に差し向けるのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、第1の冷却ユニット222は、例えば、溶剤の温度を減少させるよう構成された空気冷却器又はラジエータ型熱交換器であるのが良い。
【0085】
再生塔212内で循環する蒸気を発生させると共に所要の再生熱を維持するため、ライン216中のリーン炭酸カリウム溶剤の少なくとも一部分をライン217経由で再沸器219に差し向けるのが良い。再沸器219は、ライン217中のリーン炭酸カリウム溶剤の温度を増大させ、そして加熱された再生炭酸カリウム溶剤をライン221経由で再生塔に戻すよう構成されているのが良い。少なくとも1つの実施形態では、再熱器219にはHRSG126(
図1)から熱が供給されるのが良い。しかしながら、他の実施形態では、再沸器219には背圧型蒸気タービンの吐出部から又は凝縮型蒸気タービンからの抽出サイドストリームから熱を供給するのが良い。
【0086】
パージ流146に含まれている水は、凝縮して吸収塔406内の溶剤溶液になることができ、次に、再生塔212内で沸騰蒸発する。その結果、再生塔212は、オーバーヘッドライン224を経てCO
2蒸気及び残留水を更に放出することができる。少なくとも1つの実施形態では、CO
2蒸気及び残留水を第2の冷却ユニット226、例えば空気冷却器又はラジエータ型熱交換器中に差し向けるのが良く、その後凝縮器228内に導入する。凝縮器228は、回収したCO
2から残留水を分離し、分離した水をライン230中に下方に差し向けると共に回収したCO
2をライン150中に上方に送り込むよう構成されているのが良い。理解できるように、ライン150は、
図1を参照して上述したのと同じライン150であるのが良い。少なくとも1つの実施形態では、ライン150中の分離CO
2を次に例えばCO
2隔離、石油・原油の回収増進、CO
2販売、炭素捕捉及び/又はこれらの組み合わせのような用途向きに圧縮するのが良い。
【0087】
一実施形態では、ライン230中の分離した水の少なくとも一部分をポンプ232の使用によりライン234を介して再循環させて再生塔212に戻すのが良く、それによりシステム内の水のバランスを一定に保つことができる。水は、流れ204を介して常時溶剤中に導入され、その後、ライン236,150,151を経て取り出される。溶剤の条件及び強度を維持するため、水は、システム200内においてバランスが取れた状態のままでなければならない。したがって、ライン234内で循環する水により、水を戻してライン221中を上昇した蒸気をこの水のバランスとは別個独立に制御することができる。他の実施形態では、ライン230中の残留水の一部分をライン236経由で新鮮なプロセス水として処分することができる。例えば、ライン236中の水は、灌漑用の水に使用することができ、ボイラ給水及び/又は他のプロセス水に使用されるよう処理することができる。
【0088】
次に、
図3を参照すると、幾つかの点において
図2のシステム200と同じであるが、溶剤の再生前にリッチ重炭酸イオン溶液から揮発分を除去するためのストリッピング区分を有している本発明のCO
2分離システム300の例示の実施形態が示されている。したがって、システム300全体を細部にわたっては説明しないが、このようなシステム300全体は、
図2を参照すると最も良く理解できる。
図3のシステム300に示されているように、流れ210を介して吸収塔206の底部から放出されたリッチ重炭酸イオン溶剤をストリッピング区分310に差し向けるのが良く、ここで、蒸気流312を用いて揮発分をリッチ重炭酸イオン溶剤からストリッピングするのが良い。蒸気流312は、好ましくは、清浄な蒸気を含み、このような清浄な蒸気は、揮発分を除去するよう構成されていて、CO
2とは相互作用しない任意の蒸気であって良い。幾つかの実施形態では、蒸気流312は、窒素、アルゴン、水蒸気又はこれらの組み合わせを含むのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態(図示せず)では、ストリッピング区分310は、吸収塔206の底部のところに追加の段として組み込まれるのが良い。他の実施形態では、ストリッピング区分310は、
図3に示されている吸収塔とは別個の塔であるのが良い。1つ又は2つ以上の実施形態では、ストリッピング区分310は、冷却パージ流204の圧力とほぼ同じ高い圧力状態で作動する。
【0089】
ストリッピング区分310は、ストリッピング用蒸気及びリッチ重炭酸イオン溶液からストリッピングされた揮発分を含む第1又はオーバーヘッド流314及びストリッピングされた重炭酸イオン溶剤溶液を含む第2の流316を生じさせる。オーバーヘッド流314を吸収塔206に再循環させ、これに対し、ライン316内の重炭酸イオン溶剤溶液を再生塔212に差し向ける。ライン316内には、重炭酸イオン溶剤を再生塔212への導入前に低いほぼ大気圧までほとばしらせるよう構成された弁318が設けられているのが良い。少なくとも1つの実施形態では、第1の弁318は、余分の動力を発生させるよう構成された水力タービンであるのが良い。すると、完全な溶剤再生がシステム200を参照して上述したように行われる。
【0090】
次に
図4を参照すると、幾つかの点において
図2のシステム200と同じであるが、溶剤の再生前にリッチ重炭酸イオン溶液から揮発分を除去するために中間圧力(中圧)までの予備フラッシュ又はフラッシング方式を備えた本発明のCO
2分離システム400の例示の実施形態が示されている。したがって、システム400全体を細部にわたって説明せず、このようなシステム400全体は、
図2を参照すると最も良く理解できる。
図4のシステム400に示されているように、リッチ重炭酸イオン溶剤を、ライン210を経て吸収塔206の底部から放出することができ、そして第1の弁408を介して減圧することができ、その後フラッシュ容器410中に導入する。1つ又は2つ以上の実施形態では、第1の弁408は、CO
2を溶液の液相の状態に保った状態で、重炭酸イオン溶剤の圧力を冷却パージ流204の圧力又はこれに近い圧力から重炭酸イオン溶剤から例えばN
2、O
2、Ar及びCOのような揮発分を放出するのに十分な中圧まで減少させるよう構成されているのが良い。次に、第1の弁408を出た結果として生じる減圧状態の二層溶剤溶液をフラッシュ容器410に差し向けるのが良く、ここで、相分離を行う。上述した揮発分を含む減圧溶剤溶液の気相を、揮発分流412を経てフラッシュ容器410から除去し、他方、減圧溶剤溶液の液相を、ライン414を経てフラッシュ容器から除去して再生塔212に差し向ける。
【0091】
1つ又は2つ以上の実施形態では、揮発分流412を排ガス再循環システム124(
図1)に再循環させるのが良い。例えば、
図5のシステム500に示されているように、揮発分流412を再循環させ、そして、冷却再循環ガス140を主圧縮機104に差し向ける前にこのような冷却再循環ガス140に加えるのが良い。
【0092】
再び
図4のシステム400を参照すると、ライン410内の減圧溶剤溶液を、第2の弁416を用いて低いほぼ大気圧までほとばしらせるのが良く、その後再生塔212中に差し向ける。すると、完全な溶剤再生がシステム200を参照して上述したように行われる。
【0093】
図3及び
図4のそれぞれの分離システム300,400から得られる少なくとも1つの利点は、再生塔212から純粋な又はほぼ純粋なCO
2流を生じさせることができるということにある。ライン210内のCO
2流中に存在する汚染物質は、循環中の溶剤中に溶けた水及び揮発性ガス(上述している)を含むのが良い。
図3及び
図4のシステムは、CO
2を溶液中に保ちながら揮発性ガスの本質的に全てを除去するようになっているので、再生塔212のオーバーヘッド流224は、本質的に僅かな高い純度のCO
2及び水を含んだ状態のままである。1つ又は2つ以上の実施形態では、ライン150内のCO
2の部分は、オプションとして、パージライン(図示せず)中に差し向けられて非EOR用途、例えば化学的供給原料、食品生産等のために捕捉されるのが良い。
【0094】
1組の数値上限及び1組の数値下限を用いて或る特定の実施形態及び特徴を説明した。理解されるべきこととして、別段の指定がなければ、下限から上限までの範囲が想定されている。全ての数値は、「約」又は「ほぼ」指定値であると考えられる。さらに、本明細書において言及した全ての特許文献及び他の先行技術文献を参照により引用し、これら全ての記載内容をこのような開示が本願の開示と不一致でない程度まで、且つこのような組み込みが許される全ての管轄について本明細書の一部とする。
【0095】
本発明は、種々の改造及び変形形態で実施できるが、上述の例示の実施形態は、例示として示されているに過ぎない。本明細書において説明した実施形態の特徴又は形態はどれも任意他の実施形態と又は多数の他の実施形態(実行可能な程度まで)組み合わせ可能であり、このような全ての組み合わせは、本発明の範囲に含まれるものである。さらに、本発明は、本明細書に開示した特定の実施形態に限定されるものではないことが理解されるべきである。確かに、本発明は、特許請求の範囲に記載された真の精神及び範囲に属する全ての変形例、改造例及び均等例を含む。