(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係るプロジェクタは、マイクロミラー表示素子を用いたDigital Light Processing(DLP)(登録商標)方式を用いている。本実施形態に係るプロジェクタ1の外観について
図1及び
図2を参照して説明する。プロジェクタ1は、ほぼ直方体の形状をしている。この説明では、プロジェクタ1の投影方向を前側、その反対方向を後側とする。また、プロジェクタ1を例えば机に据え置いたときの天井側を上側、机側を下側と定義し、また、投影方向を向いて水平方向に右側と左側とを定義し、以下説明を行う。
図1及び
図2に示されるように、プロジェクタ1の筐体は、上面パネル11と、前側の正面パネル12と、後側の背面パネル13と、右側パネル14と、左側パネル15と、底面パネル16とを有する。
【0010】
正面パネル12の左側には投影光が射出される投影レンズが設けられている。投影レンズには、投影レンズを覆うレンズカバー21が設けられている。レンズカバー21は、使用時には取り外される。また、正面パネル12には、リモコン受光部22が設けられている。また、正面パネル12には、吸気口23aが設けられている。右側パネル14には、排気口24aが設けられており、左側パネル15には、排気口24bが設けられている。
【0011】
上面パネル11には、電源スイッチキー、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、各種設定の入力を行うための十字キー及び決定キー等を含む操作部25と、電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等を含むインジケータ部26とが設けられている。さらにプロジェクタ1の筐体の天面である上面パネル11には、本実施形態に係る照明光を射出するための第1の照明窓211が設けられている。プロジェクタ1が例えば机に据え置かれたときには、照明光は第1の照明窓211から射出される。
【0012】
プロジェクタ1の筐体の底面である底面パネル16には、プロジェクタ1が天吊り状態で設置されたときに照明光が射出される第2の照明窓221が設けられている。また、底面パネル16には、プロジェクタ1が机に据え置かれるときの支点となるフロントフット27及びリアフット28が設けられている。フロントフット27は、角度が変更されることで高さが変更されるようになっている。フロントフット27の角度変更によって、プロジェクタ1の設置角度は調整され得る。リアフット28は、ねじ込むことで、高さが微調整されるようになっており、設置時のプロジェクタ1の傾きが調整されるようになっている。さらに底面パネル16には、天吊り時に天吊り金具が取り付けられる金具取付ネジ穴29が設けられている。
【0013】
背面パネル13には、リモコン受光部22と、吸気孔23bと、スピーカ35と、電源コネクタ36とが設けられている。さらに背面パネル13には、入力部30に含まれる画像信号等入力用のRCA端子31、D−SUB端子32、HDMI(登録商標)端子33、USB端子34等が設けられている。
【0014】
本実施形態に係るプロジェクタ1の構成の概略を
図3に示す。プロジェクタ1は、入力部30と、画像変換部52と、投影処理部53と、マイクロミラー素子101と、光源部110と、第1のミラー102と、投影レンズ部103と、照明制御部54と、照明部200と、中央制御部51と、プログラムメモリ60と、メインメモリ61と、操作部25と、音声処理部55と、スピーカ35と、天吊り検出部57と、リモコン受光部22と、リモコン処理部56と、冷却制御部59と、冷却部58と、システムバス63とを有する。
【0015】
入力部30には、例えばRCA端子31又はD−SUB端子32からアナログ画像信号が入力される。入力部30は、入力された各種規格のアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。入力部30は、変換したデジタル画像信号を、システムバス63を介して画像変換部52に出力する。なお、入力部30には、例えばHDMI端子33等も設けられており、アナログ画像信号に代えてデジタル画像信号も入力され得る。また、入力部30には、アナログ又はデジタル信号による音声信号が入力される。入力部30は、入力された音声信号を、システムバス63を介して音声処理部55に出力する。
【0016】
画像変換部52は、スケーラとも称される。画像変換部52は、システムバス63に接続されている。画像変換部52は、入力された画像データを投影に適した所定のフォーマットの画像データに変換し、変換データを投影処理部53に送信する。必要に応じて画像変換部52は、On Screen Display(OSD)用の各種動作状態を示すシンボルを重畳した画像データを、加工画像データとして投影処理部53に送信する。
【0017】
光源部110は、投影処理部53の制御の下、赤(R)、緑(G)、青(B)の原色光を含む複数色の光を射出する。ここで、光源部110は、複数色の色を時分割で順次射出するように構成されている。光源部110から射出された光は、第1のミラー102で全反射し、マイクロミラー素子101に入射する。
【0018】
マイクロミラー素子101は、例えばデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD;登録商標)のように、アレイ状に配列された複数の微小ミラーを有する。各微小ミラーは、高速でオン/オフ動作して、光源部110から照射された光を投影レンズ部103の方向に反射させたり、投影レンズ部103の方向からそらして照明部200に導いたりする。マイクロミラー素子101には、微小ミラーが例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分だけ並べられている。各微小ミラーにおける反射によって、マイクロミラー素子101は、例えばWXGA解像度の画像を形成する。このように、マイクロミラー素子101は空間的光変調素子として機能する。
【0019】
投影処理部53は、システムバス63に接続されており、画像変換部52から送信された画像データに応じて、その画像データが表す画像を表示させるようにマイクロミラー素子101を駆動する。すなわち、投影処理部53は、マイクロミラー素子101の各微小ミラーをオン/オフ動作させる。ここで投影処理部53は、マイクロミラー素子101を高速に時分割駆動する。単位時間の分割数は、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と、色成分の分割数と、表示階調数とを乗算して得られる数である。また、投影処理部53は、マイクロミラー素子101の動作と同期させて光源部110の動作も制御する。すなわち、投影処理部53は、各フレームを時分割して、フレーム毎に全色成分の光を順次射出するように光源部110の動作を制御する。
【0020】
投影レンズ部103は、マイクロミラー素子101から導かれた光を、例えば図示しないスクリーン等の被映写体に投影する光に調整する。したがって、マイクロミラー素子101による反射光で形成された光像は、投影レンズ部103を介して、例えばスクリーンに映写される。この光像を形成するスクリーンに投影される光をオン光と称することにする。
【0021】
照明部200は、上述の光像の形成に用いなかった光を用いて、照明光を形成する。このオン光以外の光であり、照明光に用いられる光をオフ光と称することにする。マイクロミラー素子101で反射されたオフ光は、照明部200に導かれ、照明光としてプロジェクタ1から射出される。照明制御部54は、照明部200の光学系の調整等に係る動作を制御する。なお、マイクロミラー素子101によるオン光の光路とオフ光の光路との成す角は、例えば14°程度である。
【0022】
音声処理部55は、システムバス63に接続されており、PCM音源等の音源回路を備える。入力部30から入力されたアナログ音声データに基づいて、又は投影動作時に与えられたデジタル音声データをアナログ化した信号に基づいて、音声処理部55は、スピーカ35を駆動して拡声放音させる。また、音声処理部55は、必要に応じてビープ音等を発生させる。スピーカ35は、音声処理部55から入力された信号に基づいて音声を射出する一般的なスピーカである。
【0023】
冷却部58は、プロジェクタ1の各部で発生する熱を逃がすための冷却機構を含む。例えば冷却部58は、光源部110やマイクロミラー素子101を冷やすために吸気口23a及び23bから取り込んだ空気を循環させ排気口24a及び24bから排出させるファンを含む。冷却部58の動作は、システムバス63に接続された冷却制御部59によって制御される。
【0024】
中央制御部51は、システムバス63に接続されており、画像変換部52、投影処理部53、音声処理部55、冷却制御部59等の動作を制御する。この中央制御部51は、プログラムメモリ60及びメインメモリ61と接続されている。プログラムメモリ60は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。プログラムメモリ60は、中央制御部51が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。メインメモリ61は、例えばSRAMで構成される。メインメモリ61は、中央制御部51のワークメモリとして機能する。
【0025】
また、中央制御部51は、操作部25と接続されている。操作部25は、ユーザが各種キーを操作したときに生成するキー操作信号を中央制御部51に出力する。また、中央制御部51は、リモコン処理部56と接続されている。リモコン受光部22は、ユーザが操作するリモコンから発射された無線の操作信号を受信する。リモコン処理部56は、リモコン受光部22が受信した操作信号を処理し、中央制御部51に出力する。中央制御部51は、プログラムメモリ60及びメインメモリ61に記憶されたプログラムやデータを用いて、操作部25やリモコン処理部56から入力されたユーザの指示に応じてプロジェクタ1の各部の動作を制御する。インジケータ部26は、中央制御部51の制御下で、プロジェクタ1の状態に係る各種表示を行う。
【0026】
天吊り検出部57は、プロジェクタ1が天吊り状態であるか否かを検出する。天吊り検出部57は、ユーザによって切り変えられるスイッチでもよいし、例えば重力センサでもよいし、金具取付ネジ穴29の周辺に設けられた機構的なセンサ(力センサ等)でもよい。天吊り検出部57は、プロジェクタ1が天吊り状態であるか否かの情報を、システムバス63を介して中央制御部51に出力する。
【0027】
プロジェクタ1の内部構造の一例を、
図4を参照して説明する。
図4にも示されるプロジェクタ1の光学系のうち、光源部110、マイクロミラー素子101、投影レンズ部103等に係る光学系のみを抜き出した図を
図5に示し、
図5も参照して説明する。光源部110には、青色のレーザ光を発する半導体発光素子である半導体レーザ(レーザダイオード;LD)121を光源として有するレーザ光源ユニット120が設けられている。LD121は、レーザ光源ユニット120内にアレイ状に配列されている。例えば本実施形態では、3行8列に計24個のLD121がアレイ状に配置されている。各LD121が発する青色のレーザ光は、各LD121に対応して配置されたコリメータレンズ122を通り平行光となる。
【0028】
コリメータレンズ122と対向した位置には、ミラー123が階段状に配置されている。LD121から射出されたレーザ光は、ミラー123で反射され、その光路を90度変化させつつ、1つの光束にまとめられる。このようにして、光束がレーザ光源ユニット120から射出される。レーザ光源ユニット120には、放熱のためのヒートシンク124が設けられている。
【0029】
この光束の光路上には、レンズ141,142及び第1のダイクロイックミラー143が配置されている。ミラー123で反射されたレーザ光は、レンズ141,142により平行な光束とされた後、第1のダイクロイックミラー143に入射する。第1のダイクロイックミラー143は、青色光を透過する。透過光の光路には、レンズ144,145及び蛍光ホイール146が配置されている。第1のダイクロイックミラー143を透過した青色光は、レンズ144,145を介して蛍光ホイール146に照射される。
【0030】
蛍光ホイール146は、円盤形状をしている。蛍光ホイール146は、2つの領域に分割されており、その一方には透過用の拡散板が形成され、他方には蛍光層が形成されている。蛍光層が存在する部分の蛍光ホイール146には、レーザ光源ユニット120からのレーザ光が照射される面に蛍光体が塗布されている。この蛍光体は、青色の光が照射された際に緑色の蛍光を放射する蛍光体である。蛍光体の裏面には、反射板が形成されている。蛍光ホイール146の拡散板は、青色光を透過し、かつその光を拡散させる板である。蛍光ホイール146は、回転駆動部であるモータ147の駆動により回転する。この回転は、投影処理部53によって、マイクロミラー素子101とともに同期制御される。投影処理部53は、制御の際、蛍光ホイール146に形成された図示しないマーカの回転を検出し、その検出結果を利用する。
【0031】
青色のレーザ光は、蛍光ホイール146の蛍光体に入射すると、緑色の蛍光を放射する。この緑色の蛍光は、等方的に放射される。蛍光体の裏面側に放射された蛍光は、反射板によって反射される。したがって、蛍光層から放射された蛍光は、レンズ145,144側に導かれる。レンズ145,144を通過した緑色光は、第1のダイクロイックミラー143に入射する。
【0032】
第1のダイクロイックミラー143は、緑色光を反射する。反射光の光路には、レンズ148と第2のダイクロイックミラー149が配置されている。第1のダイクロイックミラー143で反射された緑色光は、レンズ148を介して第2のダイクロイックミラー149に入射する。第2のダイクロイックミラー149は緑色光を反射する。この反射光の光路には、レンズ150と、インテグレータ151と、レンズ152と、ミラー153と、レンズ154と、第1のミラー102とがこの順に配置されている。インテグレータ151は、光束の輝度分布を均一にする素子である。第2のダイクロイックミラー149で反射された緑色光は、レンズ150を介してインテグレータ151を通り輝度分布が均一な光束とされ、レンズ152、ミラー153、レンズ154を介して第1のミラー102に入射する。
【0033】
また、レーザ光源ユニット120から射出された青色レーザ光の光路上に、蛍光ホイール146の拡散板がある場合、この青色レーザ光は、以下の経路を通る。レーザ光源ユニット120から射出された青色レーザ光は、蛍光ホイール146の拡散板に入射し、この拡散板を拡散しつつ透過する。透過光の光路上には、レンズ156、ミラー157、レンズ158、ミラー159、レンズ160、第2のダイクロイックミラー149が配置されている。拡散板を透過した青色光は、レンズ156を介してミラー157で反射され、レンズ158を介してさらにミラー159で反射され、レンズ160を介して、第2のダイクロイックミラー149に入射する。第2のダイクロイックミラー149は、青色光を透過させる。第2のダイクロイックミラー149を透過した青色光は、レンズ150を介してインテグレータ151を通り輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ151から出射した青色光は、レンズ152、ミラー153、レンズ154を介して第1のミラー102に入射する。
【0034】
光源部110は、さらに赤色光を発する半導体発光素子である発光ダイオード(LED)131を光源として有する発光ダイオードユニット130を有する。発光ダイオードユニット130には、放熱のためのヒートシンク134が設けられている。LED131から射出された光の光路上には、レンズ132,133及び第1のダイクロイックミラー143が配置されている。LED131が発する赤色光は、レンズ132,133を介して、第1のダイクロイックミラー143に入射する。第1のダイクロイックミラー143は、赤色光を透過する。第1のダイクロイックミラー143を透過した赤色光は、レンズ148を介して第2のダイクロイックミラー149に入射する。第2のダイクロイックミラー149は赤色光を反射する。第2のダイクロイックミラー149で反射された赤色光は、レンズ150を介してインテグレータ151を通り輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ151から出射した赤色光は、レンズ152、ミラー153、レンズ154を介して第1のミラー102に入射する。
【0035】
第1のミラー102で反射された緑色光、青色光、赤色光はそれぞれ、レンズ155を介してマイクロミラー素子101に照射される。マイクロミラー素子101は、投影レンズ部103方向への反射光によって光像を形成する。このマイクロミラー素子101から投影レンズ部103へ向かう光をオン光と称することにする。このオン光による光像はレンズ155及び投影レンズ部103を介して投影対象の図示しないスクリーン等に照射される。
【0036】
一方、マイクロミラー素子101から投影レンズ部103へ向かわない光をオフ光と称することにする。オフ光は、第2のミラー170へと導かれる。第2のミラー170は、オフ光を第1の照明窓211及び第2の照明窓221を含む照明部200へと導く。
【0037】
なお、ここに示した光学系は一例であり、赤色光、緑色光、及び青色光をマイクロミラー素子101に入射させ、マイクロミラー素子101の反射光を光像として例えばスクリーンなどに照射させる光学系であれば、適宜変更され得る。したがって、上述以外の種々の光学素子が用いられてもよい。
【0038】
プロジェクタ1は、
図4に示されるように、レーザ光源ユニット120のヒートシンク124を冷却するための冷却ファン58aを備える。また、プロジェクタ1は、発光ダイオードユニット130のヒートシンク134を冷却するための冷却ファン58bを備える。また、プロジェクタ1は、蛍光ホイール146及びモータ147等を冷却するための冷却ファン58cを備える。また、プロジェクタ1は、照明部200を冷却するための冷却ファン58dを備える。また、プロジェクタ1は、中央制御部51、プログラムメモリ60、メインメモリ61、画像変換部52、投影処理部53、リモコン処理部56、冷却制御部59等を構成する集積回路等が実装された制御回路基板70を備える。
【0039】
照明部200の構成例について
図6を参照して説明する。光源部110からマイクロミラー素子101に入射して、マイクロミラー素子101で反射したオフ光は、第2のミラー170に導かれる。このオフ光は、照明部200に設けられた例えばミラーやプリズムで構成された第1の光路変更素子202に導かれる。第1の光路変更素子202は、プロジェクタ1の設置状況に応じて、オフ光を第2の光路変更素子212に導いたり第3の光路変更素子222に導いたりする。
【0040】
プロジェクタ1が例えば机等に据え置かれているとき、オフ光は、第1の光路変更素子202によって例えばミラーやプリズムで構成された照明部200の第2の光路変更素子212に導かれる。このオフ光は、第2の光路変更素子212を介して、第1の凹レンズ213及び第1の拡散板214を通って第1の照明窓211から照明光としてプロジェクタ1の外部へと射出される。ここで、第1の凹レンズ213は、オフ光を広角化させて照明光として適当な広がり角を有する光にする。また、オフ光はオン光であるスクリーン等に投影される光像のネガ像となるので、第1の拡散板214は、オフ光を拡散させて照明として適当な均一な光とする。これにより、照明に適した柔らかい光に近づけることができる。なお、第2の光路変更素子212は、光路の角度を調整することができ、第1の照明窓211から射出される照明光の射出角度を変更することができる。ユーザは、第2の光路変更素子212を駆動させることで、照明光の射出角度を調整することができ、スクリーンへの映写画像に与える影響を小さくすることができる。
【0041】
また、第1の照明窓211には第1の開閉部215が設けられている。この第1の開閉部215は、例えば第1の照明窓211上でスライドする遮蔽板を有しており、第1の照明窓211の開口度(全開、全閉を含む)を変化させることができる。この遮蔽板は、例えば電動でスライドする。遮蔽板は手動でスライドするように構成されてもよい。電動の場合、第1の照明窓211の開口度は、照明制御部54によって制御される。第1の開閉部215によれば、第1の照明窓211から射出される照明光の光量が調整され、また、照明光が不要なときには照明光がプロジェクタ1から射出しないように閉じられ得る。
これにより、照明光をユーザの所望の光量に調節することができる。
【0042】
一方、プロジェクタ1が天吊り状態で設置されているとき、オフ光は、第1の光路変更素子202によって例えばミラーやプリズムで構成された照明部200の第3の光路変更素子222に導かれる。このオフ光は、第3の光路変更素子222を介して、第2の凹レンズ223及び第2の拡散板224を通って第2の照明窓221からプロジェクタ1の外部へと射出される。ここで、第2の凹レンズ223は、オフ光を広角化させて照明光として適当な広がり角を有する光にし、また、第2の拡散板224は、オフ光を拡散させて照明光として適当な均一な光とする。第3の光路変更素子222は、光路の角度を調整することができ、第2の照明窓221から射出される照明光の射出角度を変更することができる。ユーザは、第3の光路変更素子222を駆動させることで、照明光の射出角度を調整することができ、スクリーンへの映写画像に与える影響を小さくすることができる。
【0043】
また、第1の照明窓211と第2の照明窓221とが設けられていることで、プロジェクタ1が机上に設置されているときにも、天吊りされているときにも、適切に部屋を照明することができる。
【0044】
また、第2の照明窓221には第2の開閉部225が設けられている。この第2の開閉部225は、例えば第2の照明窓221上でスライドする遮蔽板を有しており、第2の照明窓221の開口度(全開、全閉を含む)を変化させることができる。この遮蔽板は、例えば電動でスライドする。遮蔽板は手動でスライドするように構成されてもよい。電動の場合、第2の照明窓221の開口度は、照明制御部54によって制御される。第2の開閉部225によれば、第2の照明窓221から射出される照明光の光量が調整され、また、照明光が不要なときには照明光がプロジェクタ1から射出しないように閉じられ得る。また、遮蔽板が電動で移動させられることで、例えばプロジェクタ1が天吊りにされているときにも、リモコンなどが用いられ容易に調整され得る。
これにより、照明光をユーザの所望の光量に調節することができる。
【0045】
なお、第1の凹レンズ213と第1の拡散板214との順序や、第2の凹レンズ223と第2の拡散板224との順序は、入れ替えられてもよい。また、ここに示した照明部200の光学系は一例であり、第1の照明窓211及び第2の照明窓221から照明光が射出される光学系であれば、種々の光学素子が用いられ得る。例えば、照明光の広がり角を調整できるように第1の凹レンズ213や第2の凹レンズ223の代わりに、ズーム光学系が用いられてもよい。
【0046】
本実施形態に係るプロジェクタ1の動作を説明する。なお、以下の動作は、中央制御部51の制御の下、投影処理部53及び照明制御部54が実行するものである。レーザ光源ユニット120の青色発光用のLD121と赤色発光用のLED131との発光タイミング、この発光タイミングに同期した蛍光ホイール146の回転タイミング、及びマイクロミラー素子101の動作は、何れも投影処理部53により制御される。
【0047】
例えば赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)の3色の光をマイクロミラー素子101に入射させる場合を例に挙げて説明する。赤色光をマイクロミラー素子101に入射させるタイミングにおいては、赤色発光用のLED131を点灯し、青色発光用のLD121を消灯する。緑色光をマイクロミラー素子101に入射させるタイミングにおいては、赤色発光用のLED131を消灯し、青色発光用のLD121を点灯する。この際、蛍光ホイール146は、モータ147による回転によって、青色光の光路に蛍光層が位置するようにされている。青色光をマイクロミラー素子101に入射させるタイミングにおいては、赤色発光用のLED131を消灯し、青色発光用のLD121を点灯する。この際、蛍光ホイール146は、モータ147による回転によって、青色光の光路に拡散板が位置するようにされている。以上のように、LED131及びLD121の点灯及び消灯と、モータ147による蛍光ホイール146の回転角度とを制御することで、マイクロミラー素子101に順次、赤色光、緑色光、及び青色光を入射させる。
【0048】
マイクロミラー素子101は、各色の光について微小ミラー毎(画素毎)に、画像データの階調が高い程入射した光を投影レンズ部103に導く時間を長くし、階調が低い程入射した光を投影レンズ部103に導く時間を短くする。すなわち、投影処理部53は、階調が高い画素に対応する微小ミラーが長時間オン状態となるように、階調が低い画素に対応する微小ミラーが長時間オフ状態となるように、マイクロミラー素子101を制御する。このようにすることで、投影レンズ部103から射出される光について、微小ミラー毎(画素毎)に各色の階調を表現できる。
【0049】
フレーム毎に、微小ミラーがオンになっている時間で表現された階調を各色について組み合わせることでカラー画像が表現される。以上のようにして、投影レンズ部103からは、画像が表現された投影光が射出される。この投影光が、例えばスクリーンに投影されることで、スクリーン等にはカラー画像が表示される。
【0050】
なお、上記説明では、赤色光、緑色光、青色光の3色を用いるプロジェクタの例を示したが、マゼンタやイエロー等の補色や、白色光等を組み合わせて画像を形成するように、これら色の光を射出できるようにプロジェクタを構成してもよい。
【0051】
一方、照明制御部54は、照明部200の例えば第1の光路変更素子202、第2の光路変更素子212、第3の光路変更素子222等の動作を制御して、光路を調整させる。すなわち、例えば照明制御部54は、オフ光を第2の光路変更素子212に導くように第1の光路変更素子202を調整したり、オフ光を第3の光路変更素子222に導くように第1の光路変更素子202を調整したりする。オフ光を第2の光路変更素子212に導くか第3の光路変更素子222に導くかの判断は、例えば天吊り検出部57から出力された信号に基づいて、中央制御部51が判断したプロジェクタ1が机等に据え置かれているか天吊りされているかの情報に基づいて行われる。また、照明制御部54は、ユーザからの入力に基づいて、第2の光路変更素子212や第3の光路変更素子222を調整してプロジェクタ1から射出される照明光の角度や光量等を調整する。
【0052】
また、照明制御部54は、例えばユーザの指示に基づいて、第1の開閉部215又は第2の開閉部225の開口度を変化させる。照明制御部54は、図示しない光検出部によって計測されたプロジェクタ1の周囲の明るさに応じて第1の開閉部215又は第2の開閉部225の開口度を変化させてもよい。
【0053】
また、冷却制御部59は、第1の開閉部215又は第2の開閉部225の開口度に応じて冷却部58による冷却能力を変化させてもよい。すなわち、例えば第1の照明窓211から照明光を射出しているときを例に挙げて説明する。第1の照明窓211の開口度が第1の開閉部215によって大きく開かれているとき、オフ光の多くはプロジェクタ1から射出されるので、プロジェクタ1内には比較的熱が溜まりにくい。このようなとき、照明部200を冷却する冷却ファン58dの回転数は下げられる。一方で、第1の照明窓211の開口度が第1の開閉部215によって小さくしか開かれていないとき、オフ光の多くはプロジェクタ1から射出されないので、プロジェクタ1内には比較的熱がたまりやすい。このようなとき、照明部200を冷却する冷却ファン58dの回転数は上げられる。このように、開口度に応じて冷却ファン58dの回転数が調整され、できるだけ冷却ファン58dの回転数を下げることで、省エネルギ化と静音化が実現される。
【0054】
なお、手動で開口度が調整される場合であっても、開口度を検出する図示しないセンサを用いて、開口度を検出することができるので、冷却制御部59は、検出された開口度に基づいて、冷却部58による冷却能力を変化させることができる。
【0055】
本実施形態によれば、例えば
図7に示されるように、プロジェクタ1は、机の上に据え置かれたとき、投影レンズ部103から射出された光像を形成するオン光310は、スクリーン330に投影される。このとき、第1の照明窓211からは、オフ光が照明光320として例えば天井に向けて射出される。この照明光320は、天井で反射して、部屋を照明する。照明光320が天井に向けられることで、照明光320は天井で反射し、間接照明としてプロジェクタ1が設置された部屋を照明する。このとき、例えばスクリーン330に照明光320が届くとスクリーンに映写された映像が視認されにくくなるため、照明光は、例えばスクリーン330と反対側の方向にやや傾いて照射されるように調整されることが望ましい。
【0056】
また、例えば
図8に示されるように、プロジェクタ1が天吊りされたとき、投影レンズ部103から射出された光像を形成するオン光310は、スクリーン330に投影され、オフ光は、第2の照明窓221から照明光320として例えば天井に向けて射出される。照明光320が天井に向けられることで、照明光320は天井で反射し、間接照明としてプロジェクタ1が設置された部屋を照明することができる。上記と同様にこのときも、例えばスクリーン330に照明光320が届くとスクリーンに映写された映像が視認されにくくなるため、照明光は、例えばスクリーン330と反対側の方向にやや傾いて照射されるように調整されることが望ましい。第2の照明窓221から射出される照明光が第2の凹レンズ223によって広角化されていることで、部屋全体が広く照明され得る。
【0057】
本実施形態によれば、プロジェクタ1のオフ光を照明光として有効活用することができる。例えば部屋の照明を消してプロジェクタ1を用いてスクリーンに画像を映写して行う会議において、参加者の手元がこの照明光により照明されて、参加者は資料を見たりメモをとったりしやすくなる。
【0058】
このように、例えば投影レンズ部103は、マイクロミラー素子によって変調された光像を形成するオン光を投影して、被映写体に画像を映写する投影部として機能する。例えば第1の照明窓211は、オフ光が出射するように構成された、当該投影装置の筐体に設けられた第1の開口部として機能する。例えば第2の照明窓221は、オフ光が出射するように構成された、筐体の底面に設けられた第2の開口部として機能する。例えば照明制御部54は、開閉部の開口度を制御する開口度調整部として機能する。例えば第1の光路変更素子202は、第1の開口部又は第2の開口部にオフ光を導く光路変更部として機能する。例えば第1の凹レンズ213及び第2の凹レンズ223は、オフ光を広角化させる広角化部として機能する。例えば第2の光路変更素子212及び第3の光路変更素子222は、オフ光の射出角度を変更させる角度調整部として機能する。
【0059】
なお、上述の光学素子、端子等の配置や構成は一例であり、適宜変更され得る。本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。例えば照明部200には、第1の照明窓211等のみが設けられ、第2の照明窓221等が設けられない構成としてもよい。
【0060】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
光源と、
前記光源から入射された光を変調して光像を形成するマイクロミラー素子と、
前記マイクロミラー素子によって変調された前記光像を形成するオン光を投影して、被投影体に画像を投影する投影部と、
前記マイクロミラー素子によって変調された前記オン光以外のオフ光を射出する照明部と、
を具備する投影装置。
【0061】
[2]
前記照明部は、前記オフ光を拡散させるように構成された拡散板を有する[1]に記載の投影装置。
【0062】
[3]
前記照明部は、
前記オフ光が出射するように構成された、当該投影装置の筐体に設けられた第1の開口部と、
前記第1の開口部を開閉する開閉部と、
を有する[1]又は[2]に記載の投影装置。
【0063】
[4]
前記開閉部は電動で制御される[3]に記載の投影装置。
【0064】
[5]
前記開閉部の開口度を制御する開口度調整部をさらに具備する[4]に記載の投影装置。
【0065】
[6]
前記筐体内を冷却する冷却部と、
前記開閉部の開口度に応じて前記冷却部の冷却動作の強弱を変更させる冷却制御部と、
をさらに具備する[3]乃至[5]のうち何れか一に記載の投影装置。
【0066】
[7]
前記冷却制御部は、前記開口度が高いほど、前記冷却動作を弱める[6]に記載の投影装置。
【0067】
[8]
前記第1の開口部は、前記筐体の天面に設けられている[3]乃至[7]のうち何れか一に記載の投影装置。
【0068】
[9]
前記照明部は、
前記オフ光が出射するように構成された、前記筐体の底面に設けられた第2の開口部と、
前記第1の開口部又は前記第2の開口部に前記オフ光を導く光路変更部と、
をさらに有する[8]に記載の投影装置。
【0069】
[10]
前記光路変更部は、前記底面を上向きにして天吊り状態で前記筐体が設置されたときに、前記オフ光を前記第2の開口部に導く[9]に記載の投影装置。
【0070】
[11]
前記照明部は、前記オフ光を広角化させる広角化部を有する[1]乃至[10]のうち何れか一に記載の投影装置。
【0071】
[12]
前記照明部は、前記オフ光を広角化させる広角化部を有し、
前記広角化部は、前記天吊り状態で前記筐体が設置されたときに前記オフ光を広角化させる、
[10]に記載の投影装置。
【0072】
[13]
前記照明部は、前記オフ光の射出角度を変更させる角度調整部を有する[1]乃至[12]のうち何れか一に記載の投影装置。