特許第6186687号(P6186687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186687
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】表示装置、表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/34 20060101AFI20170821BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20170821BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20170821BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20170821BHJP
   H01S 5/068 20060101ALI20170821BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G09G3/34 D
   G09G3/34 J
   G03B21/14 A
   G09G3/20 631V
   G09G3/20 680C
   G09G3/20 642D
   G09G3/20 642J
   H01L33/00 J
   H01S5/068
   H04N9/31 Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-207336(P2012-207336)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-62986(P2014-62986A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】深野 和靖
(72)【発明者】
【氏名】吉野 研
【審査官】 橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2001/057836(WO,A1)
【文献】 特開2011−215622(JP,A)
【文献】 特開2009−069468(JP,A)
【文献】 特開2010−211134(JP,A)
【文献】 特開2010−085725(JP,A)
【文献】 特開2006−349731(JP,A)
【文献】 特開2012−053279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/34
G03B 21/14
G09G 3/20
H01L 33/00
H01S 5/068
H04N 9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子により複数色の発光が可能な光源と、
上記発光素子の温度を検出する温度検出手段と、
上記光源を周期的に発光駆動する発光制御手段と、
画像信号を入力する入力手段と、
上記入力手段で入力された画像信号に応じ、上記光源からの発光を用いて光像を形成する表示手段と、
上記温度検出手段で検出された温度に基づいて、発光初期の所定の期間の長さを決定する決定手段と、
上記決定手段が決定した発光初期の所定の期間を除いた期間の光を用いて、上記表示手段で光像を形成させる表示制御手段と
を具備したことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記表示制御手段は、上記発光初期の所定の期間を除いた期間に上記表示手段で形成させる光像の階調制御を行なうことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
上記階調制御を行なうための複数の階調テーブルを記憶したテーブル記憶手段をさらに具備し、
上記表示制御手段は、発光初期の所定の期間の長さに応じて上記テーブル記憶手段が記憶する複数の階調テーブルから1つを設定し、選択した階調テーブルに基づいて上記表示手段で形成させる光像の階調制御を行なう
ことを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
上記表示手段で形成する光像の色毎の階調特性を輝度特性よりも優先する表示モード又は輝度特性を階調特性よりも優先する表示モードのいずれか一方を設定するモード設定手段をさらに具備し、
上記表示制御手段は、上記モード設定手段で設定された表示モードに応じて上記表示手段で光像を形成させる
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の表示装置。
【請求項5】
上記表示手段で形成した光像を外部に向けて投影する投影機構をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の表示装置。
【請求項6】
上記光源は、上記発光素子としてレーザ光源及びLED光源を含み、
上記決定手段は、上記レーザ光源による発光期間に対する上記発光初期の所定の期間の長さを、上記LED光源による発光期間に対する上記発光初期の所定の期間の長さより長く決定する
ことを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
上記光源は、上記発光素子により励起発光される励起光源を含み、
上記決定手段は、上記励起光源による発光期間に対する上記発光初期の所定の期間の長さを、上記発光素子による発光期間に対する上記発光初期の所定の期間の長さより長く決定する
ことを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項8】
発光素子により複数色の発光が可能な光源、上記発光素子の温度を検出する温度検出部、上記光源を周期的に発光駆動する発光制御部、画像信号を入力する入力部、及び上記入力部で入力された画像信号に応じ、上記光源からの発光を用いて光像を形成する表示部を備えた装置での表示方法であって、
上記温度検出部で検出された温度に基づいて、発光初期の所定の期間の長さを決定する決定工程と、
上記決定工程が決定した発光初期の所定の期間を除いた期間の光を用いて、上記表示部で光像を形成させる表示制御工程を有したことを特徴とする表示方法。
【請求項9】
発光素子により複数色の発光が可能な光源、上記発光素子の温度を検出する温度検出部、上記光源を周期的に発光駆動する発光制御部、画像信号を入力する入力部、及び上記入力部で入力された画像信号に応じ、上記光源からの発光を用いて光像を形成する表示部を備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、
上記コンピュータを、
上記温度検出部で検出された温度に基づいて、発光初期の所定の期間の長さを決定する決定手段、
上記決定手段が決定した発光初期の所定の期間を除いた期間の光を用いて、上記表示部で光像を形成させる表示制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に半導体発光素子を光源に用いるプロジェクタなどに好適な表示装置、表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
DMD(デジタルマイクロミラー素子)(登録商標)と呼称される表示素子を用いてカラー表示を行なう、DLP(登録商標)方式のプロジェクタ装置が普及している。この種のプロジェクタ装置で、1枚のマイクロミラー素子に時分割で循環的に原色光を照射してカラー画像を投影させる、所謂、単板式のフィールドシーケンシャル駆動を行なうものでは、光源素子としてLED(発光ダイオード)やLD(半導体レーザ)などの半導体発光素子を用いる構成が主流となりつつある。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−085725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載された技術も含め、複数色分の半導体発光素子を時分割で交互にオン/オフさせるものでは、特にその発光初期において、高い輝度が得られる反面、発光輝度が変動し易く、安定した輝度での運転が望めない。この現象は、特に半導体発光素子としてLDを用いる構成や、所望の波長帯の光を励起させるべく蛍光体を塗布した蛍光板を用いる蛍光発光を用いる構成において特に顕著となる。
【0005】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光源の駆動初期の不安定な発光状態を考慮して階調再現性の低下を抑制することが可能な表示装置、表示方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、発光素子により複数色の発光が可能な光源と、上記発光素子の温度を検出する温度検出手段と、上記光源を周期的に発光駆動する発光制御手段と、画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力された画像信号に応じ、上記光源からの発光を用いて光像を形成する表示手段と、上記温度検出手段で検出された温度に基づいて、発光初期の所定の期間の長さを決定する決定手段と、上記決定手段が決定した発光初期の所定の期間を除いた期間の光を用いて、上記表示手段で光像を形成させる表示制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源の駆動初期の不安定な発光状態を考慮して階調再現性の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタ装置の機能回路構成を示すブロック図。
図2】同実施形態に係る電源投入から電源切断に至る間の特にマイクロミラー素子14で表示する画像の階調制御に関する詳細な処理内容を示すフローチャート。
図3】同実施形態に係る輝度優先モードと画質優先モードにおける光源部とマイクロミラー素子の駆動タイミングを示すタイミングチャート。
図4】同実施形態に係るLEDやLDの各発光期間での輝度の変化特性を模式的に示す図。
図5】同実施形態に係る半導体発光素子の温度と発光初期の不安定な時間との関係を示す特性図。
図6】本発明の他の実施形態に係る表示装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明をDLP(登録商標)方式のプロジェクタ装置に適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、同実施形態に係るプロジェクタ装置10の機能回路の概略構成について説明するブロック図である。
入力部11は、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、D−sub15タイプのRGB入力端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)端子などにより構成される。入力部11に入力された各種規格の画像信号は、入力部11で必要に応じてデジタル化された後に、システムバスSBを介して画像変換部12に送られる。
【0011】
画像変換部12は、スケーラとも称され、入力される画像データを投影に適した所定のフォーマットの画像データに統一した後に投影処理部13へ送る。
【0012】
投影処理部13は、送られてきた画像データに応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば120[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子であるマイクロミラー素子14を表示するべく駆動する。
【0013】
なおこの投影処理部13には、後述する階調補正処理で得られた階調補正用のデータをテーブルとして記憶する階調記憶部13aを備える。この階調記憶部13aは、例えば原色のR,G,B毎に、入力される階調データとその階調データに応じて後述するマイクロミラー素子14の個々の画素を時間幅に応じてオン/オフ制御する階調データとを記述した階調テーブルを予め記憶する。
【0014】
階調テーブルとしては、大別して後述する輝度優先モードで使用するものと、画質優先モードで使用するものの2種類があるものとする。
【0015】
この階調記憶部15aの記憶内容は、プロジェクタ装置10の工場出荷前に予め記憶されているものとし、さらに、ユーザが製品購入後に任意のタイミングで更新記憶させることが可能であるものとする。
【0016】
上記マイクロミラー素子14は、アレイ状に配列された複数、例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して画像を表示することで、その反射光により光像を形成する。
【0017】
一方で、光源部15から時分割でR,G,Bの原色光が循環的に出射される。この光源部15からの原色光が、ミラー16で全反射して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0018】
そして、マイクロミラー素子14での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部17を介して、投影対象となるここでは図示しないスクリーン等に投影表示される。
【0019】
光源部15は、赤色光を発するLED(発光ダイオード)(以下「R−LED」と称する)18と、青色のレーザ光を発するLD(半導体レーザ)(以下「B−LD」と称する)19とを有する。
【0020】
上記R−LED18が発する赤色光は、ダイクロイックミラー20を透過して上記ミラー16に至る。
一方のB−LD19が発する青色のレーザ光は、ダイクロイックミラー21を透過した後にカラーホイール22の周面に照射される。このカラーホイール22は、ホイールモータ(M)23により回転される。カラーホイール22の上記青色のレーザ光が照射される周面には蛍光体層22Gと拡散層22Bとを形成している。カラーホイール22の蛍光体層22Gが形成されている面の裏面には図示しない反射板が蛍光体層22Gと重なるように設けられている。拡散層22Bは、磨りガラス状の透過部材である。
【0021】
また、カラーホイール22の周面の一端部には、このカラーホイール22の回転同期をとるための基準回転位置を示すホイールマーカ(図示せず)が設けられ、このホイールマーカが通過する対向位置にマーカセンサ24が配設されて、カラーホイール22の回転同期が検出可能となる。
【0022】
本実施形態では、カラー画像1フレームの周期に同期して、カラーホイール22が正確に1周、360°回転するものとし、上記1フレームの開始タイミングで上記ホイールマーカが、これに対向して近設配置された上記マーカセンサ24の最近傍位置を通過するものとする。このマーカセンサ24の検出出力は上記投影処理部13へ送出される。上記投影処理部13は、マーカセンサ24の検出出力を受けてカラーホイール22の回転状態を検出する。
【0023】
カラーホイール22の蛍光体層22GにB−LD19からの青色のレーザ光が照射されることで、緑色光が反射光として励起する。この緑色光は、上記ダイクロイックミラー21で反射された後、ダイクロイックミラー25と上記ダイクロイックミラー20でも順次反射されて上記ミラー16に至る。
【0024】
またB−LD19の出力する青色のレーザ光がカラーホイール22の拡散層22Bに照射された場合、該レーザ光は拡散層22Bで拡散しながら透過する。この拡散層22Bを透過した青色光は、カラーホイール22を挟んで反対側に位置するミラー26と、ミラー27で順次経路が90°ずつ屈曲するように反射された後に、上記ダイクロイックミラー25を透過し、さらに上記ダイクロイックミラー20で反射されて上記ミラー16に至る。
【0025】
以上の如く、ダイクロイックミラー20は、赤色光を透過する一方で、青色光及び緑色光を反射する。ダイクロイックミラー21及びダイクロイックミラー25は共に、青色光を透過する一方で、緑色光を反射する。
【0026】
また上記R−LED18及びB−LD19には温度センサTM1,TM2が設けられ、これら発光素子の温度が検出されて投影処理部13に送られる。
【0027】
投影処理部13は、上記マイクロミラー素子14での画像の表示による光像の形成、上記R−LED18及びB−LD19の各発光、上記ホイールモータ23によるカラーホイール22の回転、上記マーカセンサ24によるカラーホイール22の回転タイミングの検出、及び温度センサTM1,TM2によるR−LED18、B−LD19の温度検出を、後述するCPU28の制御の下に実行する。
【0028】
上記各回路の動作すべてをCPU28が制御する。このCPU28は、メインメモリ29及びプログラムメモリ30と直接接続される。メインメモリ29は、例えばSRAMで構成され、CPU28のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ30は、電気的に書換可能な不揮発性メモリで構成され、CPU28が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。CPU28は、上記メインメモリ29及びプログラムメモリ30を用いて、このプロジェクタ装置10内の制御動作を実行する。
【0029】
上記CPU28は、操作部31からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。
この操作部31は、プロジェクタ装置10の本体に設けられるキー操作部と、このプロジェクタ装置10専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光するレーザ受光部とを含み、ユーザが本体のキー操作部またはリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU28へ直接出力する。
【0030】
上記CPU28はさらに、上記システムバスSBを介して音声処理部32とも接続される。音声処理部32は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ部33を駆動して拡声放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0031】
次に上記実施形態の動作について説明する。
なお、繰返しになるが以下に示す動作は全て、CPU28がプログラムメモリ30から読出した動作プログラムや固定データ等をメインメモリ29に展開して記憶させた上で実行する。
【0032】
また本実施形態では、プロジェクタ装置10が選択し得る設定メニューでの投影モードとして、「画質優先モード」と「輝度優先モード」の2つがあるものとする。画質優先モードは、投影画像の輝度(明るさ)よりも階調の再現性を優先するモードであり、一般的なプロジェクタにおいて「シネマモード」あるいは「シアターモード」などとも称されるモードである。一方の輝度優先モードは、多少の階調の再現性が悪化しても輝度を優先するモードであり、一般的なプロジェクタにおいて「プレゼンテーションモード」などとも称されるモードである。
【0033】
図2は、電源投入時から電源切断時までの、主としてマイクロミラー素子14で表示する画像の階調制御に関する内容を抽出して説明している。
【0034】
その処理当初、電源が切断されている状態でCPU28は、操作部31からのキー操作信号により、電源を投入するための電源キーが操作されたか否かを繰返し判断することにより、このプロジェクタ装置10のユーザが電源をオンするのを待機する(ステップS101)。
【0035】
そして、電源キーが操作されると、CPU28が上記ステップS101でそれを判断し、画像投影のための各種初期設定やDLP(登録商標)方式固有のカラーホイール制御等を含む電源オン処理を実行する(ステップS102)。
【0036】
その後にCPU28は、操作部31からのキー操作信号の有無により、さらなるユーザのキー操作があるか否かを判断する(ステップS103)。
【0037】
ここでユーザのキー操作がないと判断した場合、CPU28はその時点で設定されている表示モード等の内容にしたがって、入力部11から入力される画像信号に応じた画像の投影処理を実行した上で(ステップS104)、再び上記ステップS103からの処理に戻る。
【0038】
こうしてステップS103,S104の処理を繰返し実行して、入力される画像信号に応じた投影動作を実行しながら、ユーザからのキー操作を待機する。
【0039】
そして、操作部31にてなんらかのキー操作信号が入力された場合、CPU28は上記ステップS103でそれを判断し、次いで操作された内容が、設定メニューに対する選択操作であるか否かを判断する(ステップS105)。
【0040】
操作された内容が、設定メニューに対する選択操作ではなかった場合、CPU28は次に操作された内容が、電源を切断するために電源キーが操作されたか否かを判断する(ステップS106)。
【0041】
ここで電源を切断するために電源キーが操作されたと判断した場合には、光源部15でのR−LED18及びB−LD19の消灯とホイールモータ23によるカラーホイール22の回転の停止を含む一連の電源オフ処理を実行し(ステップS108)、以上でこの図2の処理を終了する。
【0042】
また上記ステップS106で電源キーは操作されていないと判断した場合には、その他の投影動作に必要な対応処理(本発明とは直接関係しないものとして詳細な説明を省略する)を実行した後(ステップS107)、再び上記ステップS103からの処理に戻る。
【0043】
さらに上記ステップS105において、操作された内容が設定メニューに対する選択操作であると判断した場合、CPU28はあらたに選択されたのが画質優先モードであるか否かを判断する(ステップS109)。
【0044】
ここで、選択されたのが画質優先モードではなく、輝度優先モードであると判断した場合、CPU28は各フィールド当初に所定時間だけ階調をオフとする期間を設けない、通常の駆動シーケンスでの階調テーブルを使用するものとして決定し、以後この決定した階調テーブルに基づくマイクロミラー素子14での階調表示を行なうものとして(ステップS113)、上記ステップS103からの処理に戻る。
【0045】
図3(A)は、このとき光源部15での発光制御及びマイクロミラー素子14で実行される階調表示制御のタイミングを説明する図である。
【0046】
図3(A−1)に示すように、カラー画像1フレームがRフィールド、Gフィールド、及びBフィールドの順序で構成される場合、光源部15ではR−LED18とB−LD19の発光、及びカラーホイール22の回転位相制御に基づく励起光及び透過拡散光によりR,G,Bの各原色光を時分割で途切れることなく周期的にマイクロミラー素子14に向けて出射させる。
【0047】
一方、図3(A−2)に示すように、マイクロミラー素子14での階調制御については、光源部15から送られてくる各原色光に対し、フィールド期間全体を階調制御の有効期間として画素毎に階調に応じた時間長のオン/オフ動作を行なうことで、反射光により光像を形成する。このマイクロミラー素子14からの反射光が、投影レンズ部17により投影対象のスクリーン等に投射される。
【0048】
また上記ステップS109で選択されたのが画質優先モードであると判断した場合、CPU28はその時点で投影処理部13を介して温度センサTM1,TM2によりR−LED18、B−LD19の温度を測定させる(ステップS110)。
【0049】
そして、この測定した温度に応じて、各フィールドの当初で光像形成を行なわないオフ期間toffを算出して投影処理部13に設定する(ステップS111)。
【0050】
図4は、R−LED18やB−LD19のn回目乃至(n+2)回目(nは任意の自然数)に駆動した各発光期間での輝度の変化特性を模式的に示すものである。同一の素子であっても、発光駆動する毎に、その時の駆動状況、例えば装置内での温度や、駆動電流に含まれる微小なリップル成分等の様々な要因によって、特に発光初期の期間tstに輝度の揺らぎを生じる。
【0051】
したがって、この発光初期の期間tstをマイクロミラー素子14で階調表示の期間として用いると、正確な階調表現を行なうことができず、画像中にノイズとして現出することになる。
【0052】
この点は、LEDとLDとを比較すると特定の単一周波数で発振するLDの方がより顕著であり、且つ同一のLDであっても、その発振光を直接利用する場合に比して、蛍光体を用いて励起光を使用する場合により顕著となる。
【0053】
したがって、本実施形態における光源部15では、発光初期の期間tstにおける揺らぎを生じる時間が、原色表記で「R<B<G」の順で大きくなる。
【0054】
加えて、図5に示すように、同一のLEDまたはLDであっても、発光素子自体の温度が高いほど、上記発光初期の期間tstにおける揺らぎを生じる不安定な時間が短くなることがわかっている。これは、低い温度から素子の発光を開始するほど、駆動途中で発熱と放熱のバランスにより温度が安定化するまでの時間を要するためと思われる。
【0055】
そのため本実施形態では、CPU28が温度センサTM1,TM2によりR−LED18、B−LD19の温度を測定した結果に基づいて、上記発光初期の輝度が不安定な期間tstを充分カバーするような、所定の階調オフ期間toffを算出して上記ステップS111で述べた如く投影処理部13に設定する。
【0056】
次いでCPU28は、上記設定した階調オフ期間toffに基づき、フィールド内の残る時間で、マイクロミラー素子14で階調表示の制御を行なうための階調テーブルを階調記憶部13aに記憶されている複数の同テーブルから決定する(ステップS112)、決定した階調テーブルで投影動作を実行するよう、上記ステップS103からの処理に戻る。
【0057】
図3(B)は、上記のように制御する画質優先モードでの光源部15での発光とマイクロミラー素子14で実行される階調表示制御のタイミングを説明する図である。
【0058】
図3(B−1)に示すように、カラー画像1フレームがRフィールド、Gフィールド、及びBフィールドの順序で構成される場合、光源部15ではR−LED18とB−LD19の発光、及びカラーホイール22の回転位相制御に基づく励起光及び透過拡散光によりR,G,Bの各原色光を時分割で途切れることなく周期的にマイクロミラー素子14に向けて出射させる。これは、図3(A−1)の場合と同様である。
【0059】
一方、図3(B−2)に示すように、マイクロミラー素子14では、光源部15から送られてくる各原色光に対し、各フィールド期間当初の上記階調オフ期間toff中は、全画素とも反射光を投影レンズ部17方向に反射させない、所謂、全面オフ状態(doff)とし、フィールド内の残る時間を階調制御の有効期間として画素毎に階調に応じた時間長のオン/オフ動作を行なうことで、反射光により光像を形成する。この投影期間を減少したマイクロミラー素子14からの反射光が、投影レンズ部17により投影対象のスクリーン等に投射される。
【0060】
このようにして、結果的に、図3(B−3)に示すように、オフ状態(doff)期間減少したマイクロミラー素子14からの反射光が、投影レンズ部17により投影対象のスクリーン等に投射される。
【0061】
以上詳述した如く本実施形態によれば、光源部15内のLED18及びLD19を時分割で駆動して発光させる場合に、駆動初期の不安定な発光状態を考慮して、安定した状態での光のみを用いて画像を構成するものとしたので、画像の階調再現性の低下を抑制することが可能となる。
【0062】
加えて上記実施形態では、光源部15での発光初期の階調オフ期間toffを除いた期間にマイクロミラー素子14で形成させる光像での階調制御を行なうものとしたので、正確な階調表示により高い画質の画像が得られる。
【0063】
また上記実施形態では、CPU28の制御の下に投影処理部13が実行する階調制御を、階調記憶部13aに記憶した階調テーブルを選択して決定することで実現するため、投影処理部13での制御動作を簡易化できる。
【0064】
さらに本実施形態では、温度センサTM1,TM2により発光素子であるR−LED18、B−LD19の温度を検出した上で上記階調オフ期間toffを算出するものとしたので、温度環境により変化する、発光駆動当初の不安定な状態を正確に把握し、不必要に階調オフ期間toffを長くすることなく、適切な表示制御が実現できる。
【0065】
なお、本実施形態では、R−LED18及びB−LD19に温度センサを設けて、その温度により階調オフ期間toffの期間を決定するようにしたが、カラーホイール22の部分の温度を検出するようにして、Gフィールド初期あるいはBフィールド初期の階調オフ期間toffの期間を決定するようにしてもよい。
【0066】
また本実施形態は、階調の再現性をあまり必要とせず、画像全体の輝度を優先する場合と、輝度よりも正確な階調の再現性を必要とする場合とで表示モードによりユーザが任意に選択可能とし、階調再現性が問われる表示表示モードでのみ、輝度が犠牲となる階調オフ期間toffを設けた階調制御を実行するものとしたので、ユーザの好みに応じて適切な表示制御を実行することができる。
【0067】
なお上記実施形態は、本発明をプロジェクタ装置に適用した場合について説明したが、特に表示装置を直接鑑賞する表示装置とは異なり、発光量が著しく大きく、且つ使用環境も暗所あるいはそれに準ずるような環境で使用される可能性が高い投影装置において上記の技術を用いることで、画質の劣化を抑えて適切な画像の表示(投影)を実現できる。
【0068】
さらに、上述した如く本発明は、投影を行なう装置のみならず、表示画面をユーザが直視する表示装置においても同様に適用可能である。
【0069】
図6は、表示装置として、例えばフィールドシーケンシャル(色順次)方式の液晶パネルディスプレイ50に適用した場合の構成例を示す。同図で、51は透過型のモノクロ液晶パネルである。またモノクロ液晶パネル51の下面側に、シート状のバックライトユニット54B,54R,54Gを積層配置する。
【0070】
これらバックライトユニット54B,54R,54Gはそれぞれ、矩形の導光拡散板の4辺に、B(青色)光、またはR(赤色)光、またはG(緑色)光を発するLED(発光ダイオード)をライン状にアレイ配置した、より正確にはサイドライト方式のユニットを構成する。
【0071】
モノクロ液晶パネル51から離れた、より下層側のユニットが出射した面発光による原色光は、それより上層側のユニットを透過して、モノクロ液晶パネル51をその下面側より照射することで、そのタイミングに合わせてモノクロ液晶パネル51で表示される、当該原色光成分の画像により原色光に合致した光像が形成される。
【0072】
ここでバックライトユニット54B,54R,54Gの発する各原色光は、例えば、B<R<Gの順で輝度(明るさ)成分が大きいものとし、より輝度成分の高い原色光ほど下層側から出射することで、途中のユニットを透過する際に減衰する光量を勘案して、モノクロ液晶パネル51で原色の光像を形成(空間的な画像に変調)する際の色バランスをとっているものとする。
【0073】
モノクロ液晶パネル51での画像の表示をLCD駆動部55が実行する。このLCD駆動部55はまた、モノクロ液晶パネル51で表示する原色の画像のタイミングに合わせたタイミング信号と発光量を指示する制御信号とをバックライト駆動部56へ出力する。
【0074】
バックライト駆動部56は、LCD駆動部55からのタイミング信号と制御信号とに応じてバックライトユニット54B,54R,54Gを時分割で循環的に駆動して面発光させる。
【0075】
例えばカラー画像の1フレームがR,G,Bの3フィールドから構成される場合、LCD駆動部55がモノクロ液晶パネル51を例えば120[フレーム/秒]のフレームレートで駆動して各原色の画像を360[フィールド/秒]の速度で表示することにより、この液晶パネルディスプレイ50のユーザがモノクロ液晶パネル51をその上方から視認することで、違和感のないカラー画像を鑑賞できる。
【0076】
上述したような、表示画面であるモノクロ液晶パネル51を直視する表示装置の一種である液晶パネルディスプレイ50においても、モノクロ液晶パネル51で表示する画像を上記階調オフ期間toffに対応して液晶シャッタのオフ動作で全画面オフとすることで、バックライトユニット54B,54R,54Gに設けられた発光素子の駆動当初の不安定な輝度変化の影響を排除して正確な階調表示が実現できる。
【0077】
さらに本発明は、上記図6で構造を例示したフィールドシーケンシャル(色順次)方式の液晶パネルディスプレイに限らず、その他の光源を用いた表示装置、例えば液晶プロジェクタ、プラズマディスプレイ、SEDリアプロジェクタ方式のモニタ装置等にも同様に適用することが可能である。
【0078】
また上記実施形態では、光源部15に用いる半導体発光素子としてのLED、LDに適用した場合に示したが、この種の半導体発光素子、発光/停止の駆動周波数が比較的高く、且つ個々の発光輝度が大きいため、輝度の不安定さが視覚上でより顕著にユーザに認識され易い状況下で、表示階調をより正確に制御できる。
【0079】
加えて、上記半導体発光素子それ自体の発した光ではなく、本実施形態における緑色光のように蛍光体等を用いた励起光では、例えば蛍光体の塗布ムラなど、さらに輝度の不安定さがより顕著に現出し易い状況下で、表示階調をより正確に制御できる。
【0080】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0081】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、発光素子により複数色の発光が可能な光源と、上記光源を周期的に発光駆動する発光制御手段と、画像信号を入力する入力手段と、上記入力手段で入力された画像信号に応じ、上記光源からの発光を用いて光像を形成する表示手段と、上記光源からの発光初期の所定の期間を除いた期間の光を用いて、上記表示手段で光像を形成させる表示制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0082】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記表示制御手段は、上記発光初期の所定の期間を除いた期間に上記表示手段で形成させる光像の階調制御を行なうことを特徴とする。
【0083】
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、上記階調制御を行なうための複数の階調テーブルを記憶したテーブル記憶手段をさらに具備し、上記表示制御手段は、発光初期の所定の期間の長さに応じて上記テーブル記憶手段が記憶する複数の階調テーブルから1つを設定し、選択した階調テーブルに基づいて上記表示手段で形成させる光像の階調制御を行なうことを特徴とする。
【0084】
請求項4記載の発明は、上記請求項1乃至3いずれか記載の発明において、上記発光素子の温度を検出する温度検出手段と、上記温度検出手段で検出された温度に基づいて、発光初期の所定の期間の長さを決定する決定手段とをさらに具備したことを特徴とする。
【0085】
請求項5記載の発明は、上記請求項1乃至4いずれか記載の発明において、上記表示手段で形成する光像の色毎の階調特性及び輝度特性の少なくとも一方が異なる複数の表示モード中から1つを設定するモード設定手段をさらに具備し、上記表示制御手段は、上記モード設定手段で設定された表示モードに応じて上記表示手段で光像を形成させることを特徴とする。
【0086】
請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至5いずれか記載の発明において、上記表示手段で形成した光像を外部に向けて投影する投影機構をさらに具備したことを特徴とする。
【0087】
請求項7記載の発明は、上記請求項6記載の発明において、上記光源は、上記発光素子としてレーザ光源及びLED光源を含み、上記表示制御手段は、上記レーザ光源による発光期間に対する上記発光初期の所定の期間の長さを、上記LED光源による発光期間に対する上記発光初期の所定の期間の長さより長く決定することを特徴とする。
【0088】
請求項8記載の発明は、上記請求項6または7記載の発明において、上記光源は、上記発光素子により励起発光される励起光源を含み、上記表示制御手段は、上記励起光源による発光期間に対する上記発光初期の所定の期間の長さを、上記発光素子による発光期間に対する上記発光初期の所定の期間の長さより長く決定することを特徴とする。
【0089】
請求項9記載の発明は、発光素子により複数色の発光が可能な光源、上記光源を周期的に発光駆動する発光制御部、画像信号を入力する入力部、及び上記入力手段で入力された画像信号に応じ、上記光源からの発光を用いて光像を形成する表示部を備えた装置での表示方法であって、上記光源からの発光初期の所定の期間を除いた期間の光を用いて、上記表示部で光像を形成させる表示制御工程を有したことを特徴とする。
【0090】
請求項10記載の発明は、発光素子により複数色の発光が可能な光源、上記光源を周期的に発光駆動する発光制御部、画像信号を入力する入力部、及び上記入力手段で入力された画像信号に応じ、上記光源からの発光を用いて光像を形成する表示部を備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、上記光源からの発光初期の所定の期間を除いた期間の光を用いて、上記表示部で光像を形成させる表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【符号の説明】
【0091】
10…プロジェクタ装置、11…入力部、12…画像変換部(スケーラ)、13…投影処理部、13a…階調記憶部、14…マイクロミラー素子、15…光源部、16…ミラー、17…投影レンズ部、18…(赤色)LED、19…(青色)LD、20,21…ダイクロイックミラー、22…カラーホイール、22B…拡散層、22G…(緑色光励起用)蛍光体層、23…ホイールモータ(M)、24…マーカセンサ、25…ダイクロイックミラー、26,27…ミラー、28…CPU、29…メインメモリ、30…プログラムメモリ、31…操作部、32…音声処理部、33…スピーカ部、50…液晶パネルディスプレイ、51…モノクロ液晶パネル、52…照度センサ、54B,54R,54G…バックライトユニット、55…LCD駆動部、56…バックライト駆動部、SB…システムバス、TM1,TM2…温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6