【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
実施例1のバッテリ温調装置における構成を、「バッテリパックBPの車載構成」、「バッテリパックBPの全体詳細構成」、「パックケース内部空間の領域区分構成」、「バッテリ温調装置の詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[バッテリパックBPの車載構成]
図1及び
図2は、実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPが搭載された電気自動車を示す。以下、
図1及び
図2に基づき、バッテリパックBPの車載構成を説明する。
【0012】
前記バッテリパックBPは、
図1に示すように、フロアパネル100の下部である床下のホイールベース中央部位置に配置される。フロアパネル100は、モータルーム101と車室102を画成するダッシュパネル104との接続位置から車両後端位置まで設けられ、車両前方から車両後方までのフロア面凹凸を抑えたフラット形状としている。車室102には、インストルメントパネル105と、センターコンソールボックス106と、エアコンユニット107と、乗員シート108と、を有する。なお、車両前方のモータルーム101には、エアコンユニット107で用いる冷媒を圧縮するエアコンコンプレッサ103が配置される。
【0013】
前記バッテリパックBPは、
図2に示すように、車体強度部材である車体メンバに対して8点支持される。車体メンバは、車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ109,109と、一対のサイドメンバ109,109を車幅方向に連結する複数のクロスメンバ110,110,…と、を有して構成される。バッテリパックBPの両側は、一対の第1サイドメンバ支持点S1,S1と一対の第1クロスメンバ支持点C1,C1と一対の第2サイドメンバ支持点S2,S2により6点支持される。バッテリパックBPの後側は、一対の第2クロスメンバ支持点C2,C2により2点支持されている。
【0014】
前記バッテリパックBPは、
図1に示すように、ダッシュパネル104に沿って車両前後方向に配索した充放電ハーネス111を介し、モータルーム101に配置されている強電モジュール112(DC/DCコンバータ+充電器)と接続される。このモータルーム101には、強電モジュール112以外に、インバータ113と、モータ駆動ユニット114(走行用モータ+減速ギヤ+デファレンシャルギヤ)と、を有する。また、車両前面位置には、充電ポートリッドを有する充電ポート115(急速充電/普通充電)が設けられ、充電ポート115は、充電ハーネス117により強電モジュール112に接続される。
【0015】
前記バッテリパックBPは、図外のCANケーブル等の双方向通信線を介し、外部の電子制御システムと接続されるとともに、インストルメントパネル105内に配置されているエアコンユニット107を備えた車載空調システムと接続される。すなわち、バッテリ放電制御(力行制御)やバッテリ充電制御(急速充電制御・普通充電制御・回生制御)等が行われるとともに、バッテリパックBPの内部温度(バッテリ温度)が、冷風及び温風による温調風によって管理制御される。
【0016】
[バッテリパックBPの全体詳細構成]
図3及び
図4は、実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPの詳細を示す。以下、
図3及び
図4に基づき、バッテリパックBPの全体詳細構成を説明する。
【0017】
実施例1のバッテリパックBPは、
図3及び
図4に示すように、バッテリパックケース1と、バッテリスタック2と、温調ユニット3と、サービス・ディスコネクト・スイッチ4(強電遮断スイッチ:以下、「SDスイッチ」という。)と、ジャンクションボックス5と、リチウムイオン・バッテリ・コントローラ6(以下、「LBコントローラ」という。)と、を備えていている。
【0018】
前記バッテリパックケース1は、
図3及び
図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11とバッテリパックアッパーカバー12の2部品によって構成される。そして、バッテリパックロアフレーム11とバッテリパックアッパーカバー12の外周縁に沿って連続する環状のシール部材を介装し、2部品をボルト締結により固定することで、外部からの水浸入を阻止する水密構造とされている。
【0019】
前記バッテリパックロアフレーム11は、
図4に示すように、車体メンバに対し支持固定されるフレーム部材である。このバッテリパックロアフレーム11には、バッテリスタック2や他のパック構成要素3,4,5,6を搭載する方形凹部空間を有する。このバッテリパックロアフレーム11のフレーム前端縁には、冷媒管コネクタ端子13と充放電コネクタ端子14と強電コネクタ端子15(車室内空調用)と弱電コネクタ端子16とが取り付けられている。
【0020】
前記バッテリパックアッパーカバー12は、
図3に示すように、バッテリパックロアフレーム11を水密状態で覆うカバー部材である。このバッテリパックアッパーカバー12には、バッテリパックロアフレーム11に搭載される各パック構成要素2,3,4,5,6のうち、特にバッテリスタック2の凹凸高さ形状に対応した凹凸段差面形状によるカバー面を有する。
【0021】
前記バッテリスタック2(=バッテリモジュール群)は、
図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11に搭載され、第1バッテリスタック21と第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23との3分割スタックにより構成される。各バッテリスタック21,22,23は、二次電池(リチウムイオンバッテリ等)による略直方体形状のバッテリモジュール(=バッテリ単位)を構成単位とし、複数個のバッテリモジュールを短辺方向に積み重ねた積層体構造である。なお、略直方体形状のバッテリモジュールは、
図4に示すように、長辺、中辺、短辺の3辺を有する。各バッテリスタック21,22,23の詳しい構成は、下記の通りである。
【0022】
前記第1バッテリスタック21は、
図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち車両後部領域に搭載される。この第1バッテリスタック21は、複数個のバッテリモジュールを短辺方向に積み重ねたものを用意しておき、バッテリモジュールの積み重ね方向と車幅方向を一致させて搭載する縦積み(例えば、20枚縦積み)により構成している。
【0023】
前記第2バッテリスタック22と前記第3バッテリスタック23のそれぞれは、
図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち、第1バッテリスタック21より前側の車両中央部領域に車幅方向に左右分かれて一対搭載される。この第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23は、全く同じパターンによる平積み構成としている。すなわち、複数枚(例えば、4枚と5枚)のバッテリモジュールを短辺方向に積み重ねたものを複数個(例えば、4枚積みを1組、5枚積みを2組)用意しておく。そして、バッテリモジュールの積み重ね方向と車両上下方向を一致させた平積み状態としたものを、例えば、車両後方から車両前方に向かって順に4枚平積み・5枚平積み・5枚平積みというように、車両前後方向に整列させることで構成している。第2バッテリスタック22は、
図4に示すように、前側バッテリスタック部22a,22bと、前側バッテリスタック部22a,22bより高さ寸法がさらに1枚分低い後側バッテリスタック部22cと、を有する。第3バッテリスタック23は、
図4に示すように、前側バッテリスタック部23a,23bと、前側バッテリスタック部23a,23bより高さ寸法がさらに1枚分低い後側バッテリスタック部23cと、を有する。
【0024】
前記温調ユニット3は、
図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち車両前側空間の右側領域に配置され、バッテリパックBPの後述する配風ダクト9に温調風(冷風、温風)を送風する。
【0025】
前記SDスイッチ4は、
図3及び
図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち車両前側空間の中央部領域に配置され、手動操作によりバッテリ強電回路を機械的に遮断するスイッチである。バッテリ強電回路は、内部バスバーを備えた各バッテリスタック21,22,23と、ジャンクションボックス5と、SDスイッチ4と、を互いにバスバーを介して接続することで形成される。このSDスイッチ4は、強電モジュール112やインバータ113等の点検や修理や部品交換等を行う際、手動操作によりスイッチ入とスイッチ断が切り替えられる。
【0026】
前記ジャンクションボックス5は、
図3及び
図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち車両前側空間の左側領域に配置され、リレー回路により強電の供給/遮断/分配を集中的に行う。このジャンクションボックス5には、温調ユニット3の制御を行う温調用リレー51と温調用コントローラ52が併設されている。ジャンクションボックス5と外部の強電モジュール112は、充放電コネクタ端子14と充放電ハーネス111を介して接続される。ジャンクションボックス5と外部の電子制御システムは、弱電ハーネスを介して接続される。
【0027】
前記LBコントローラ6は、
図4に示すように、第1バッテリスタック21の左側端面位置に配置され、各バッテリスタック21,22,23の容量管理・温度管理・電圧管理を行う。このLBコントローラ6は、温度検出信号線からの温度検出信号、バッテリ電圧検出線からのバッテリ電圧検出値、バッテリ電流検出信号線からのバッテリ電流検出信号に基づく演算処理により、バッテリ容量情報やバッテリ温度情報やバッテリ電圧情報を取得する。そして、LBコントローラ6と外部の電子制御システムは、リレー回路のオン/オフ情報やバッテリ容量情報やバッテリ温度情報等を伝達する弱電ハーネスを介して接続される。
【0028】
[パックケース内部空間の領域区分構成]
図5は、実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPのケース内部空間の領域区分構成を示す。以下、
図5に基づき、パックケース内部空間の領域区分構成を説明する。
【0029】
実施例1のバッテリパックBPは、
図5に示すように、バッテリパックケース1の内部空間を、車幅方向に引かれる境界線Lを隔てて、車両後方側のバッテリモジュール搭載領域7と車両前方側の電装品搭載領域8の2つの車両前後方向領域に分けている。バッテリモジュール搭載領域7は、車両後方端から車両前方寄りの境界線Lまでのケース内部空間の大半の領域を占有する。電装品搭載領域8は、車両前方端から車両前方寄りの境界線Lまでのバッテリモジュール搭載領域7より狭い領域を占有する。
【0030】
前記バッテリモジュール搭載領域7は、T字通路(中央通路36と横断通路37)により第1分割矩形領域71と第2分割矩形領域72と第3分割矩形領域73の三つの分割矩形領域に区分される。第1分割矩形領域71には、一側面にLBコントローラ6を有する第1バッテリスタック21が搭載される。第2分割矩形領域72には、第2バッテリスタック22が搭載される。第3分割矩形領域73には、第3バッテリスタック23が搭載される。
【0031】
前記電装品搭載領域8は、車幅方向に分けられた第1区分領域81と第2区分領域82と第3区分領域83の三つの区分領域に分けられる。第1区分領域81から第2区分領域82の下部にかけては、温調ユニット3が搭載される。第2区分領域82の上部には、SDスイッチ4が搭載される。第3区分領域83には、ジャンクションボックス5が搭載される。
【0032】
前記バッテリパックBPのバッテリモジュール搭載領域7には、温調ユニット3に接続される配風ダクト9(
図6及び
図8参照)の配置を確保するとともに、温調風の内部循環を確保する温調風通路を形成している。この温調風通路は、各バッテリスタック21,22,23を分割矩形領域に搭載したときの隙間を利用したもので、車両前後方向の中央通路36と、該中央通路36に交差する車幅方向の横断通路37と、流れ込んできた温調風を温調ユニット3に戻す環状通路38と、を有する。中央通路36は、第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23の対向面に隙間を持たせることで形成される。横断通路37は、第1バッテリスタック21と第2,第3バッテリスタック22,23の対向面に隙間を持たせることで形成される。環状通路38は、バッテリパックロアフレーム11と各パック構成要素2,3,4,5,6との間に隙間余裕を持たせることで形成される。なお、温調風通路としては、中央通路36と横断通路37と環状通路38以外に、ケース内部空間にパック構成要素2,3,4,5,6を搭載することにより形成される隙間や間隔や空間も含まれる。
【0033】
[バッテリ温調装置の詳細構成]
図6〜
図13は、バッテリパックBPに搭載された実施例1のバッテリ温調装置の詳細を示す。以下、
図6〜
図13に基づき、バッテリ温調装置の詳細構成を説明する。
【0034】
前記バッテリ温調装置は、
図6に示すように、第1バッテリスタック21と、第2バッテリスタック22と、第3バッテリスタック23と、温調ユニット3と、配風ダクト9と、導入部材24と、を備える。
【0035】
前記第1バッテリスタック21は、バッテリパックケース1の内部空間の車両後方領域に収納配置される。前記第2,第3バッテリスタック22,23は、バッテリパックケース1の内部空間のうち、第1バッテリスタック21よりも車両前方領域に収納配置されるとともに、スタックの高さ寸法が第1バッテリスタック21よりも低く設定される。
【0036】
前記温調ユニット3は、
図7に示すように、ユニットケース31の内部に、風流れ方向の上流側から、エバポレータ32と、ブロアファン33と、PTCヒータ34と、を有して構成される。この温調ユニット3は、車両前後方向の略中央の床下位置に配置されたバッテリパックケース1の内部空間のうち、車両前方のモータルーム101に配置されたエアコンコンプレッサ103に近い側の位置に配置される。
【0037】
前記ユニットケース31は、電装品搭載領域8のうち、隅部の第1区分領域81に配置され、その吐出口にユニットダクト35が接続される。このユニットダクト35は、車幅方向から車両前後方向へと曲がるL字形状とされ、中央通路36に臨む端部位置に、配風ダクト9が接続される配風口35aを有する。
【0038】
前記エバポレータ32は、エアコンユニット107(車室内エアコン)の冷媒を用いて熱交換を行い、通過する空気から熱を奪って冷風を作り出す。エアコンユニット107からの冷媒は、フレーム前端縁に取り付けられた冷媒管コネクタ端子13を介して、エバポレータ32に導入される。このエバポレータ32は、
図7に示すように、ブロアファン33よりも車両前方位置に配置され、車両前方のフレーム内側面11aと略平行かつ対面するように一方のコア面32aを配置している。
【0039】
前記ブロアファン33は、パックケース内気を循環させるもので、ブロアモータを水から隔離する防水構造を有する。このブロアファン33は、
図7に示すように、エバポレータ32の他方のコア面32bとサクション側33a(=吸込み側)が略平行かつ対面するように配置している。
【0040】
前記PTCヒータ34は、PTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor)と呼ばれるセラミック素子(PTC素子)を用い、PTC素子に電流を流すと発熱し、通過する空気に熱を与えて温風を作り出す。PTCヒータ34としては、例えば、PTC素子の発熱量を大きくするための放熱用フィンを備えたフィンタイプPTCヒータを用いている。
【0041】
前記配風ダクト9は、
図6及び
図8に示すように、一端がユニットダクト35の配風口35aに接続され、第1〜第3バッテリスタック21,22,23によるT字隙間スペース域に配置された等幅ダクト部94と拡幅ダクト部95により構成される。この配風ダクト9は、樹脂成形により製造され、
図6に示すように、車両前後方向で上面視略長方形状とされたバッテリパックロアフレーム11の中央部長辺方向に沿って設けられ、第1〜第3バッテリスタック21,22,23に近接して配置されている。
【0042】
前記等幅ダクト部94は、ユニットダクト35の配風口35aに接続され、
図8に示すように、車幅方向の寸法が一定の縦長断面形状を持ち、車両前後方向に延設される。この等幅ダクト部94の配置には、ダクト断面形状と相似な形状を持つT字隙間スペース域の中央通路36による空間が利用される。
【0043】
前記拡幅ダクト部95は、等幅ダクト部94に接続され、
図8に示すように、車両後方に向かって車幅方向寸法を徐々に拡大するのに合わせ車両上下方向寸法を徐々に縮小することで形成される。この拡幅ダクト部95の配置には、T字隙間スペース域の中央通路36と、前側バッテリスタック部22a,22bより高さ寸法がさらに1枚分低い後側バッテリスタック部22c,23cの上部に形成される隙間空間と、T字隙間スペース域の横断通路37の上部空間と、が利用される。
【0044】
前記配風ダクト9には、
図8に示すように、ダクトを出た直後の温調風を、バッテリモジュールの長辺、中辺、短辺のうち、同一の長辺に沿って流す第1吹き出し開口部91と第2吹き出し開口部92(吹き出し開口部)と第3吹き出し開口部93(吹き出し開口部)を有する。
【0045】
前記第1吹き出し開口部91は、
図8及び
図9に示すように、拡幅ダクト部95の車両後端部に設けられ、第1バッテリスタック21のスタック正面上部域21a(
図4参照)に沿って車幅方向の広い範囲で温調風を吹き出す3分割のスリット状開口とされる。そして、第1吹き出し開口部91から吹き出される温調風を受ける第1バッテリスタック21の各バッテリモジュール200は、
図10に示すように、モジュール短辺方向に複数積層した偏平型のラミネートセル200dを内部に有する。そして、ラミネートセル200dの封止部200eが、バッテリモジュール200の温調面200fに面している。なお、バッテリモジュール200は、カシメ固定される縦2分割のセルホルダー200a,200aによりラミネートセル200dの外側を保持することで構成される。そして、セルホルダー200a,200aには、第1吹き出し開口部91から長辺方向に沿って流れる温調風をセルホルダー200a,200a内に導く流入開口200bと、流入した温調風を排出する流出開口200cと、を有する。なお、第2,3バッテリスタック22,23の各バッテリモジュールについても、温調風の内部循環流れをスムーズにするように同様の構成としている。
【0046】
前記第2吹き出し開口部92は、
図8及び
図11に示すように、等幅ダクト部94の両側の上下位置にそれぞれ(合計4つ)設けられ、車幅方向両側の第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23の隙間通路SF2,SF3に向けて温調風を車幅方向に吹き出す。第2バッテリスタック22の隙間通路SF2は、前側バッテリスタック部22a,22bの間に長辺方向に沿って形成される。第3バッテリスタック23の隙間通路SF3は、第2バッテリスタック22の隙間通路SF2と同様に、前側バッテリスタック部23a,23bの間に長辺方向に沿って形成される。この第2吹き出し開口部92は、
図12に示すように、円形状の開口とする円筒部92aと、円筒部92aよりも温調風の流れ下流位置に形成した配風量調整凹部92bと、を有する。この配風量調整凹部92bの深さや形状の設定により、温調ユニット3からの温調風のうち、一部の温調風を受け止め、第2吹き出し開口部92から吹き出す配風量を調整する。
【0047】
前記第3吹き出し開口部93は、
図8及び
図11に示すように、拡幅ダクト部95の両側の下位置にそれぞれ(合計2つ)設けられ、車幅方向両側の第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23の隙間通路SR2,SR3に向けて温調風を車幅方向に吹き出す。第2バッテリスタック22の隙間通路SR2は、前側バッテリスタック部22bと後側バッテリスタック部22cの間に長辺方向に沿って形成される。第3バッテリスタック23の隙間通路SR3は、第2バッテリスタック22の隙間通路SR2と同様に、前側バッテリスタック部23bと後側バッテリスタック部23cの間に長辺方向に沿って形成される。この第3吹き出し開口部93は、
図8に示すように、第2吹き出し開口部92と同様に、円筒部93aと、円筒部93aよりも温調風の流れ下流位置に形成した配風量調整凹部93bと、を有する。
【0048】
前記導入部材24は、
図11及び
図12に示すように、4つの第2吹き出し開口部92と2つの隙間通路SF2,SF3との間に、配風ダクト9の等幅ダクト部94と間隙tを設けて4つ配置される。そして、2つの第3吹き出し開口部93と2つの隙間通路SR2,SR3との間に、配風ダクト9の拡幅ダクト部95と間隙tを設けて2つ配置される。この導入部材24は、少なくとも配風ダクト9の温調ユニット3への接続方向の第2,第3吹き出し開口部92,93の開口長さL1よりも長い導入口長さL2を有し、温調風の吹き出し方向に行くに従い開口面積が絞られる漏斗形状とされている。そして、導入部材24の導出口長さL3は、開口長さL1より狭く隙間通路SF2,SF3,SR2,SR3の通路幅L4より広く設定されている。さらに、
図13に示す方形による導入部材24の導入口面積は、配風ダクト9に有する円形による第2,第3吹き出し開口部92,93の開口面積よりも大きく設定されている。
【0049】
前記導入部材24の取り付けは、第2,第3バッテリスタック22,23に対して相対移動の無い部分に対しなされる。つまり、第2,第3バッテリスタック22,23は、
図13に示すように、複数のバッテリモジュールを短辺方向に積層するとともに、バッテリモジュールの各電極を、バスバー25により直列接続することでそれぞれがサブアッセンブリされる構成としている。これに対し、樹脂素材による導入部材24は、バスバー25を絶縁・保持する同じ樹脂素材によるバスバーケース26と一体樹脂成形により構成されている。つまり、導入部材24を、第2,第3バッテリスタック22,23のサブアッセンブリ構成要素としている。
【0050】
次に、作用を説明する。
実施例1のバッテリ温調装置における作用を、「バッテリパックBPのバッテリ温度調整作用」、「各バッテリスタックの温度調整作用」、「第2,第3バッテリスタックの隙間通路への温調風導入作用」に分けて説明する。
【0051】
[バッテリパックBPのバッテリ温度調整作用]
バッテリは温度依存度が高く、バッテリ温度が高過ぎても、また、バッテリ温度が低過ぎてもバッテリ性能が低下する。したがって、低外気温時や高外気温時に高いバッテリ性能を維持するためには、バッテリ温度を最適温度域に調整することが好ましい。以下、
図6及び
図7に基づき、これを反映するバッテリパックBPのバッテリ温度調整作用を説明する。
【0052】
まず、LBコントローラ6により行われるバッテリパックBPの温調制御作用を述べる。例えば、バッテリ充放電負荷の継続や高い外気温度の影響を受けて、バッテリパックBPの内部温度が第1設定温度より高くなると、冷媒を温調ユニット3のエバポレータ32に導入し、ブロアファン33を回す。これによって、
図7に示すように、エバポレータ32を通過する風から熱が奪われて冷風が作り出される。この冷風を、配風ダクト9を介して第1バッテリスタック21と第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23が搭載されているケース内部空間を循環させることにより、バッテリパックBPの内部温度(=バッテリ温度)を低下させる。
【0053】
これに対し、例えば、冷風循環や低い外気温度の影響を受けて、バッテリパックBPの内部温度が第2設定温度より低くなると、温調ユニット3のPTCヒータ34に通電し、ブロアファン33を回す。これによって、
図7に示すように、PTCヒータ34を通過する風に熱が与えられて温風が作り出される。この温風を、配風ダクト9を介して第1バッテリスタック21と第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23が搭載されているケース内部空間を循環させることにより、バッテリパックBPの内部温度(=バッテリ温度)を上昇させる。
【0054】
このように、バッテリパックBPの温調制御を行うことで、バッテリパックBPの内部温度を、高いバッテリ性能が得られる第1設定温度〜第2設定温度の範囲内の温度に維持することができる。このとき、第1バッテリスタック21と第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23の温度分布が均等になるように、温調風を吹き出しながら循環させることが重要である。以下、温調風によるバッテリ温度調整作用を述べる。
【0055】
温調ユニット3の吹き出し口35aからの温調風(冷風、温風)のうち、主流を形成する温調風は、配風ダクト9を通過して車両前方から車両後方に向かって流れる。そして、配風ダクト9の第1吹き出し開口部91から、
図6の矢印Bに示すように、第1バッテリスタック21のスタック正面上部域21aに沿って車幅方向の広い範囲で温調風を吹き出される。したがって、配風ダクト9の第1吹き出し開口部91から吹き出される温調風と第1バッテリスタック21の間で熱交換が行われ、第1バッテリスタック21との間で熱交換した温調風は、
図6の矢印C,Cに示すように、車幅方向の両側に分かれて環状通路38に流れ込む。
【0056】
温調ユニット3の吹き出し口35aからの温調風(冷風、温風)のうち、副流を形成する温調風は、配風ダクト9の途中位置に設けられた第2吹き出し開口部92から、
図6の矢印Eに示すように、前側バッテリスタック部22a,22bと前側バッテリスタック部23a,23bの隙間通路に向かって車幅方向両側に吹き出される。同様に、配風ダクト9の途中位置に設けられた第3吹き出し開口部93から、
図6の矢印Fに示すように、バッテリスタック部22b,22cとバッテリスタック部23b,23cの隙間通路に向かって車幅方向両側に吹き出される。したがって、配風ダクト9の第2吹き出し開口部92及び第3吹き出し開口部93から吹き出される温調風と、第2バッテリスタック22及び第3バッテリスタック23の間で熱交換が行われ、第2,第3バッテリスタック22,23との間で熱交換した温調風は、車幅方向の両側に分かれて環状通路38に流れ込む。
【0057】
この第1〜第3バッテリスタック21,22,23との間で熱交換した後、環状通路38に流れ込んできた温調風は環状通路38にて合流し、
図6の矢印D,Dに示すように、環状通路38の両側通路をそれぞれ車両後方から車両前方に向かって流れる。そして、環状通路38の前方側通路部にて合流し、温調ユニット3の吸入側に戻される。
【0058】
このように、熱交換後の温調風が温調ユニット3の吸入側に戻されると、戻された温調風を吸込み、
図7に示すように、温調ユニット3にて再び冷風または温風を作り出す。そして、温調ユニット3の吹き出し口35aから配風ダクト9に冷風または温風を送り出すという内気循環による温調作用が繰り返される。
【0059】
[各バッテリスタックの温度調整作用]
上記のように、バッテリパックケース1の内部に複数のバッテリモジュールを搭載した場合、1つの配風ダクト9により均一に温調するには工夫が要求される。以下、これを反映する各バッテリスタックの温度調整作用を説明する。
【0060】
実施例1では、バッテリモジュールを短辺方向に複数積層したバッテリスタック2として、第1〜第3バッテリスタック21,22,23を備える。そして、第1〜第3バッテリスタック21,22,23は、短辺方向が車幅方向の縦積み搭載の第1バッテリスタック21に対して短辺方向が車両上下方向の平積み搭載とした第2,第3バッテリスタック22,23を有する構成を採用している。
【0061】
したがって、第1バッテリスタック21の温度調整は、配風ダクト9の第1吹き出し開口部91から車両後方への温調風を、
図10に示すように、流入開口200bから長辺方向に沿ってセルホルダー200a,200a内に導くことによってなされる。よって、セルホルダー200a,200a内のラミネートセル200dの周りに温調風が直接流れ込むことで、効率よく熱交換(抜熱、与熱)されることになる。
【0062】
一方、第2バッテリスタック22の温度調整は、配風ダクト9の第2吹き出し開口部92から両車幅方向への温調風を、バッテリスタック部22a,22b,22cの隙間通路SF1,SF2に導き、長辺方向に沿って流すことによってなされる。第3バッテリスタック23の温度調整は、配風ダクト9の第3吹き出し開口部93から両車幅方向への温調風を、バッテリスタック部23a,23b,23cの隙間通路SR1,SR2に導き、長辺方向に沿って流すことによってなされる。よって、バッテリモジュールの長辺に沿って温調風の流れが形成されることで、バッテリモジュールを積層した第2,第3バッテリスタック22,23と効率よく熱交換(抜熱、与熱)される。
【0063】
このように、スタックの搭載方向が異なる場合であっても、第1〜第3バッテリスタック21,22,23を構成する複数のバッテリモジュールが均一に温調(加熱・冷却)される。このとき、バッテリモジュール200は、モジュール短辺方向に複数積層した偏平型のラミネートセル200dを内部に有し、ラミネートセル200dの封止部200eが、バッテリモジュール200の温調面200fに面している。したがって、配風ダクト9に有する複数の吹き出し開口部91,92,93から出た略同一の温度による温調風の導入口側が、ラミネートセル200dの封止部200eとなり、長辺方向に沿って効率よく均一にラミネートセル200dと熱交換(抜熱、与熱)される。
【0064】
[第2,第3バッテリスタックの隙間通路への温調風導入作用]
上記のように、第2,第3バッテリスタック22,23の温度調整は、温調風を隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に導入することを前提としてなされる。よって、配風ダクト9の組み付け誤差等があっても確実に温調風を隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に導くことが好ましい。以下、第2,第3バッテリスタック22,23の隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2への温調風導入作用を説明する。
【0065】
まず、配風ダクト9は、樹脂成形により形成されている。このため、製造バラツキや組み付け時の温調ユニット3への接続嵌合バラツキによって、第2,第3吹き出し開口部92,93と隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2の位置(実施例1では車両前後方向位置)が上手く一致しないことがある。
【0066】
そこで、実施例1では、第2,第3吹き出し開口部92,93と隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2との間に、導入部材24を設けた。この導入部材24としては、少なくとも配風ダクト9の温調ユニット3への接続方向(=車両前後方向)の第2,第3吹き出し開口部92,93の開口長さL1よりも長い導入口長さL2を有し、温調風の吹き出し方向に行くに従い開口面積が絞られるものを採用した。
【0067】
このように、第2,第3吹き出し開口部92,93と隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2との間に、ダクト接続方向の第2,第3吹き出し開口部92,93の開口長さL1よりも長い導入口長さL2を有する導入部材24を設けた。このため、配風ダクト9の製造バラツキや組み付け誤差等があっても第2,第3吹き出し開口部92,93と隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2の位置ズレが吸収される。このとき、導入口長さL2と開口長さL1の差分が位置ズレ吸収量になり、配風ダクト9の接続方向に位置ズレがあったとき、位置ズレ吸収量の範囲内で位置ズレが許容される。
そして、導入部材24は、温調風の吹き出し方向に行くに従い開口面積が絞られる形状としている。このため、第2,第3吹き出し開口部92,93から吹き出される温調風が、導入部材24を介して隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に導入され、熱交換のための温調風を確実に隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に沿って流すことができる。このとき、開口面積が絞られている形状の導入部材24によりノズル効果が発揮され、隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に導入される温調風の流速は、第2,第3吹き出し開口部92,93からの吹き出し流速よりも増大する。
この結果、第2,第3吹き出し開口部92,93と隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2との間で位置ズレが発生しても、効率よく均一な温調性能が確保される。
【0068】
実施例1では、方形による導入部材24の導入口面積を、配風ダクト9に有する円形による第2,第3吹き出し開口部92,93の開口面積よりも大きく設定する構成を採用した。
すなわち、導入部材24の導入口面積が、第2,第3吹き出し開口部92,93の開口面積よりも大きいことで、第2,第3吹き出し開口部92,93と隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2との間で位置ズレ(車両前後方向と車両上下方向を含む)が発生しても、間隙tからの温調風の漏れ量が少なく抑えられる。
したがって、配風ダクト9の第2,第3吹き出し開口部92,93から導入部材24に向かって吹き出される温調風が、風量低下を抑えて確実に隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に送られる。ここで、配風ダクト9と導入部材24の間には間隙tを設けているが、この間隙tを設けたことにより、車両走行時、振動入力により長尺部品である配風ダクト9が振動した場合であっても、導入部材24と干渉して異音を発生することがなくなる。
【0069】
実施例1では、導入部材24を、第2,第3バッテリスタック22,23に対して相対移動の無いバスバーケース26に対し取り付ける構成を採用している。
すなわち、導入部材24と第2,第3バッテリスタック22,23の位置関係は変わらず、導入部材24の導出口を隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2と対向する位置に固定することができる。加えて、上記のように、導入部材24の導入口は、組み付け誤差等による位置ズレを吸収する広い開口としている。
したがって、配風ダクト9の第2,第3吹き出し開口部92,93から吹き出される温調風が、第2,第3バッテリスタック22,23側に取り付けられた導入部材24の導出口から確実に隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に送られる。そして、導入部材24をバスバーケース26に取り付けるとき、導入部材24とバスバーケース26を一体樹脂成形により構成したことで、独立に導入部材24を取り付ける場合に比べ、部品点数が削減され、コスト的に有利になる。
【0070】
次に、効果を説明する。
実施例1のバッテリ温調装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0071】
(1) バッテリパックケース1内に収納した複数のバッテリスタック(前側,後側バッテリスタック部22a,22b,22c,23a,23b,23c)と、
前記バッテリパックケース1内を循環する温調風を作り出す温調ユニット3と、
前記温調ユニット3に一端部が接続され、前記複数のバッテリスタックに近接して配置された配風ダクト9と、
を備えたバッテリ温調装置において、
前記配風ダクト9には、隣接するスタックの隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に温調風を吹き出す吹き出し開口部(第2吹き出し開口部92,第3吹き出し開口部93)を有し、
前記吹き出し開口部(第2吹き出し開口部92,第3吹き出し開口部93)と前記隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2との間に、少なくとも前記配風ダクト9の前記温調ユニット3への接続方向の前記吹き出し開口部(第2吹き出し開口部92,第3吹き出し開口部93)の開口長さL1よりも長い導入口長さL2を有し、温調風の吹き出し方向に行くに従い開口面積が絞られる導入部材24を設けた(
図11)。
このため、吹き出し開口部(第2吹き出し開口部92,第3吹き出し開口部93)と隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2との間で位置ズレが発生しても、効率よく均一な温調性能を確保することができる。
【0072】
(2) 前記導入部材24の導入口面積を、前記配風ダクト9に有する前記吹き出し開口部の開口面積よりも大きく設定した(
図8、
図13)。
このため、(1)の効果に加え、配風ダクト9の吹き出し開口部(第2,第3吹き出し開口部92,93)から導入部材24へ向かって吹き出される温調風を、風量低下を抑えて確実に隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に送ることができる。
【0073】
(3) 前記導入部材24は、前記バッテリスタック(前側,後側バッテリスタック部22a,22b,22c,23a,23b,23c)に対して相対移動の無い部分に取り付けられている(
図12)。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、配風ダクト9の吹き出し開口部(第2,第3吹き出し開口部92,93)から吹き出される温調風を、バッテリスタック側に取り付けられた導入部材24の導出口から確実に隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に送ることができる。
【0074】
(4) 前記バッテリスタック(前側,後側バッテリスタック部22a,22b,22c,23a,23b,23c)は、複数のバッテリモジュールを積層するとともに、バッテリモジュールの各電極をバスバー25により直列接続することで構成され、
前記導入部材24は、前記バスバー25を絶縁・保持するバスバーケース26に設けられている(
図13)。
このため、(3)の効果に加え、既存のバスバーケース26を利用し、導入部材24を相対移動の無い部分に取り付けることができる。
【0075】
(5) 前記導入部材24と前記バスバーケース26は、一体成形により構成されている(
図13)。
このため、(4)の効果に加え、部品点数を削減することができるとともに、コスト的にも有利とすることができる。
【0076】
(6) 前記バッテリパックケース1は、車両前後方向で上面視略長方形状とされ、
前記配風ダクト9は、前記温調ユニット3に対し前記バッテリパックケース1の長辺方向に接続され、前記バッテリパックケース1の中央部長辺方向に沿って配置されている(
図6)。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、配風ダクト9の両側に配置されるバッテリスタック(前側,後側バッテリスタック部22a,22b,22c,23a,23b,23c)の隙間通路SF1,SF2,SR1,SR2に対し、温調ユニット3から確実に温調風を供給することができる。
【0077】
以上、本発明のバッテリ温調装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0078】
実施例1では、導入部材24をバスバーケース26に取り付ける例を示した。しかし、導入部材は、バッテリスタック本体に取り付けてもよいし、バッテリスタックが固定されているブラケットやバッテリパックケースに取り付けるようにしても良い。
【0079】
実施例1では、バッテリパックBPを車両の床下に配置する例を示した。しかし、バッテリパックを車両のラゲージルーム等に配置するような例としても良い。
【0080】
実施例1では、バッテリモジュールの長辺方向に沿って温調風をバッテリスタックの隙間通路に流す例を示した。しかし、長辺、中辺、短辺を有する直方体形状のバッテリモジュールにおいて、中辺に沿って温調風をバッテリスタックの隙間通路に流す例としても良いし、また、短辺に沿って温調風をバッテリスタックの隙間通路に流す例としても良い。
【0081】
実施例1では、第2吹き出し開口部92及び第3吹き出し開口部93として、円形開口による例を示した。しかし、第2吹き出し開口部及び第3吹き出し開口部としては、長円形によるスリット開口、スリット開口と円形開口の組み合わせ等であっても良く、開口形状は実施例1に限られない。更に、開口部の数も、バッテリモジュールやバッテリスタックの配置に応じて適宜に設定しても良い。そして、開口部の位置や開口形状に応じて導入部材の形状を決めるようにしても良い。
【0082】
実施例1では、温調ユニット3として、冷風と温風を共に作り出すユニットの例を示した。しかし、温調ユニットとしては、エバポレータを有し、冷風のみを作り出すユニットの例としても良い。また、温調ユニットとしては、ヒータを有し、温風のみを作り出すユニットの例としても良い。さらに、バッテリパックBP内の空気を循環させるブロアファンのみの例としても良い。
【0083】
実施例1では、本発明のバッテリ温調装置を走行用駆動源として走行用モータのみを搭載した電気自動車に適用する例を示した。しかし、本発明のバッテリ温調装置は、走行用駆動源として走行用モータとエンジンを搭載したハイブリッド車に対しても適用することができる。