(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、屋外建材の耐候試験に好適に用いられる照射器を例示する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は本実施形態に係る照射器1の外観斜視図である。また
図2は照射器1の構成を示す図であり、
図2(A)は平面図、
図2(B)は正面図、
図2(C)は側面図である。また
図3は
図1において照射器1の内部を透視した図である。
照射器1は、紫外線ランプ10を内蔵し、照射領域たるワーク2の全域を均一な照度(すなわち良好な均斉度)で照射する器具であり、紫外線ランプ10の放射光を制御する主反射板12と、四角筒状の補助反射板14とを備えている。また、四角筒状の補助反射板14の先端14Bの側には、耐紫外線材から成るガラス板18が設けられている。
【0014】
照射器1は、1つの線状光源によりワーク2を照射するものであり、この照射器1では、紫外線光源として直管型の高出力な上記紫外線ランプ10が用いられている。
【0015】
ワーク2は、
図2(B)、及び
図2(C)に示すように、ガラス板18の直下に、隙間δをあけた位置に設定され、
図3に示すように、補助反射板14の先端14Bの側の開口(以下、「照射開口」と称し、符号16を付す)と略同じ大きさの領域である。この照射器1では照射開口16から比較的近接した位置にワーク2が設定される。
図3に示すように、ワーク2の平面視中央の長軸Cに沿った真上に紫外線ランプ10が延在する。また、紫外線ランプ10の管長Mと略同じ長さ、或いは管長M以下の長さにワーク2の長辺Laが設定されており、管長Mが長いランプアークのランプを紫外線ランプ10に用いることでワーク2の大面積化が図られている。
【0016】
図4はワーク2の照度分布図であり、
図4(A)は照射器1の照射による照度分布を示す。
図4(B)は紫外線ランプ10のみの照射による照度分布を示し、
図4(C)は紫外線ランプ10、及び主反射板12のみの照射による照度分布を示す。
照射器1は、上述の通り、主反射板12と補助反射板14とを備え、紫外線ランプ10の直射光K0(
図2(B))と、主反射板12、及び補助反射板14の反射光K1、K2、K3(
図2(B))とでワーク2を均一な照度で照射している。
ここで紫外線ランプ10の直射光K0のみによってワーク2を照射した場合、ワーク2の長軸Cを含む近傍の照度分布には、
図4(B)に示すように、紫外線ランプ10の管軸N方向の輝度分布が略直接的に反映される。
そこで、紫外線ランプ10から放射されワーク2を外れる光を主反射板12、及び補助反射板14で反射し、ワーク2における直射光の照度分布を補うように照らすことで、ワーク2の均斉度が高められている。
【0017】
主反射板12は、
図4(C)に示すように、紫外線ランプ10の光をワーク2の短辺Lbの方向に拡げて、この方向での照度の均一化を図るものである。
主反射板12は、
図1〜
図3に示すように、紫外線ランプ10の管軸Nに沿って延びる樋状に形成され、紫外線ランプ10の周囲(より正確には上、及び水平方向)に放射する光をワーク2に反射する。具体的には、主反射板12は、紫外線ランプ10の上側に延在する上面反射板12Aと、紫外線ランプ10の両側に延在する側面反射板12Bとを備え、それぞれの紫外線ランプ10と対向する面が反射面に形成されている。上面反射板12Aは、紫外線ランプ10から上に向かう光K1(
図2(B))を直下のワーク2に向け、かつ短辺Lbの方向に拡げて反射することで、この短辺Lbの方向を比較的均一に照射する。側面反射板12Bは、紫外線ランプ10から水平方向に向かう光K2(
図2(B))を下方のワーク2に向けて反射する。この主反射板12の反射によって、
図4(C)に示すように、ワーク2には、紫外線ランプ10の直下に延在する領域Xaの両側に、この領域Xaと共に延在し、かつ同等の照度を有する領域Xbが出現する。これにより、ワーク2の短辺Lbの方向に、紫外線ランプ10の直下の照度が振り分けられて照らされることとなる。
【0018】
この主反射板12では、その全長が紫外線ランプ10に合わせて比較的長いことから、全長の略中央には、形状を保持するための棒状ガイド部材13Aが設けられている。また同様に、主反射板12の両端部には、面状ガイド部材13Bが設けられており、この面状ガイド部材13Bに設けたU字状切欠部17に上記紫外線ランプ10の端部が保持されている。なお、
図3では、棒状ガイド部材13A、及び面状ガイド部材13Bの図示を省略している。
【0019】
補助反射板14は、主反射板12とワーク2の間に設けられ、ワーク2の外に漏れる光K3(
図2(B))をワーク2に向けて反射することで、紫外線ランプ10、及び主反射板12の照射による照度分布を補うものである。
詳述すると、この照射器1では、
図4(C)に示すように、紫外線ランプ10、及び主反射板12のみで照射した場合、領域Xc、及び領域Xdで照度が不足する。領域Xcは紫外線ランプ10の両端部に対応する領域であり、領域Xdは紫外線ランプ10の直下の領域Xaと両側の上記領域Xbに挟まれた領域Xdである。この照射器1では、これら領域Xc、領域Xdの照度不足を反射光によって補うように補助反射板14が構成されている。
【0020】
具体的には、補助反射板14は、紫外線ランプ10の両端に対面する一対の端板20と、紫外線ランプ10の両側に対面する一対の側板21とを有し、これらが紫外線ランプ10の四方を囲む四角筒状に組まれ、その内壁面が反射面として構成されている。補助反射板14の基端部14Aの側には主反射板12が設けられ、先端14Bの側が平面視矩形に開口し、この開口が上記照射開口16として構成されている。なお、この補助反射板14では、基端部14Aの側に主反射板12との間の隙間を塞ぐ遮光性の上板15が設けられ、また照射開口16には紫外線透過性の上記ガラス板18が設けられる。
【0021】
係る構成の下、一対の端板20は、上記領域Xcに向けて光を反射し、また一対の側板21は上記領域Xdに向けて光を反射し、これらの反射光によって領域Xc、Xdの照度が補われる。
また補助反射板14は、基端部14Aの側から先端14Bの側にかけて拡開するように端板20、及び側板21が傾斜することで、主反射板12が臨む基端部14Aの側の開口よりも広い範囲を照射する。
また、端板20、及び側板21の傾斜角度は、照度を補うべき領域Xc、Xdに反射光を照射するように調整され、これにより、均斉度が高められる。
【0022】
ここで、補助反射板14は、端板20に設けた差込スリット20Aに側板21の端部21Aを差し込むことで組立てられている。このような差し込みによる組立構造によれば、差込スリット20Aの延在方向によって側板21の傾斜角度が決定されることから、組立時に側板21の傾斜角度に誤差が生じ難くなる。
【0023】
ただし、これら端板20、及び側板21の角度調整だけではワーク2の照度を十分に均一にすることはできず、局所的に照度が高くなる高照度箇所が生じる。すなわち、
図5に示すように、ワーク2の四隅である隅部Yaでは、端板20、及び側板21の両方の反射光が照射されることで照度が高くなる。また、ワーク2の中央部Ybでは、紫外線ランプ10の輝度分布に起因して高照度箇所が出現する。さらに主反射板12がワーク2の両側に紫外線ランプ10の光を振り分けていることから、紫外線ランプ10の輝度分布に起因してワーク2の両側の縁部中央Ycにも高照度箇所が出現する。
【0024】
これに対して、端板20、及び側板21の反射面内に、隅部Yaや中央部Yb、縁部中央Ycの高照度箇所に向かう光を別の箇所に振り分けるための反射面を追加することでワーク2の均斉度を上げることができる。しかしながら、別途に反射面を構成するため、部品点数が増え高コストとなる。また組立精度が低いと均斉度を悪化させる要因になることから、高い組立精度が要求されてしまう。
【0025】
そこで、この照射器1では、補助反射板14の側板21に、隅部Yaや中央部Yb、縁部中央Ycの高照度箇所に向かう反射光を生じる箇所に照度制限開口部30を設ける構成としている。
具体的には、この照射器1では、側板21には、側板21の高さ方向の略中央部と、先端14Bの側の縁部とのそれぞれに、複数の照度制限開口部30が管軸Nの方向に並んで設けられている。前者の照度制限開口部30は、中央部Ybの照度を抑えるものであり、後者の照度制限開口部30は隅部Ya、縁部中央Ycの照度を抑えるものである。これらの照度制限開口部30では光が通過することで反射光が生じないから、ワーク2に局所的に生じる高照度箇所の照度が低められ、
図4(A)に示すように、ワーク2の全域が均一な照度で照射されることとなる。
【0026】
さらに、照度制限開口部30が複数設けられることで、これらが照射器1の中に籠もる熱気を逃がす通気口として機能し、紫外線ランプ10の点灯の安定化に寄与する。
特に、この照射器1では、補助反射板14の側板21の先端14Bの側の縁部、すなわち照射開口16の開口端と、その上方に位置する面内に照度制限開口部30が形成されている。これにより、照射開口16の照度制限開口部30から冷気を照射器1の中に導入し、内部を冷却して上方の照度制限開口部30から排出するという排出経路が形成され、補助反射板14、及びガラス板18で囲まれた内部が効率良く冷却される。
【0027】
このように本実施形態によれば、補助反射板14に照度制限開口部30設け、ワーク2に局所的に生じる高照度箇所の隅部Ya、中央部Yb、縁部中央Ycの照度を低める構成とした。この構成により、補助反射板14の調整だけでは対応できない、照射領域に局所的に生じる高照度箇所の照度を、補助反射板14に照度制限開口部30を設けるだけで、簡単、かつ確実に抑えることができる。
【0028】
なお、本実施形態では、高照度箇所への反射光を抑える目的で補助反射板14を加工して照度制限開口部30を設けた。しかしながら、照度制限開口部30に代えて、反射光を抑制する、例えば拡散板や拡散シート等の拡散材を備える拡散部、紫外線に対する反射率が低い低反射材を備える低反射性部、或いは紫外線を吸収する紫外線吸収材を有した紫外線吸収部を照度制限開口部30の位置に設けても良い。
【0029】
[第2実施形態]
この実施形態では、照度制限開口部30を通って外部に出た光をワーク2の照射に利用することで、高効率化が図られる照射器100について説明する。
図6は本実施形態に係る照射器100の外観斜視図であり、
図7は断面図である。
これらの図に示すように、照射器100は、照度制限開口部30から外部に抜ける光をワーク2に導光する導光部50を備えている点で、第1実施形態の照射器1と構成を大きく異にしている。
この照射器100の導光部50は、側板21の外表面21Gに対面配置された板状の導光用反射板51と、この導光用反射板51を外表面21Gの間に所定の隙間をあけて支持する支持手段としての側壁52とを備えている。
【0030】
この導光部50は、導光用反射板51が照度制限開口部30を覆って設けられており、
図6に示すように、照度制限開口部30を通過した光K4が導光用反射板51と側板21の外表面21Gの間で反射を繰り返して側板21の先端14Bの側に導かれる。この照射器100では、導光部50によって導光された光K4が、側板21の先端14Bの側の照度制限開口部30から照射器1の中に導入されてワーク2を照射する。
これにより、照度制限開口部30から外部に抜けた光K4がワーク2の照射に利用されることから、高効率化が図られる。このとき導光用反射板51と側板21の外表面21Gの間での複数回の反射により、光K4が十分に拡げられることから、この光K4によってワーク2に局所的な高照度箇所を生じることも無い。
【0031】
また、この導光部50にあっては、導光用反射板51を支持する側壁52が、補助反射板14の側板21を上下方向に延在し、当該側板21の剛性を高めるリブとして機能する。これにより、側板21の自重等による歪みも抑えられ、当該歪みによる均斉度の低下を防止できる。
特に、四角筒状の補助反射板14の各面のうち、最も面積が大きな側板21に照度制限開口部30を設けることで、端板20に設ける場合に比べて剛性の低下が抑えられ、更に、上記導光部50の側壁52によって反射面の歪みも抑えられる。
【0032】
なお、この照射器100では、導光部50が導光した光K4を側板21の照度制限開口部30から補助反射板14の中に入射する構成としたが、入射用開口を側板21に別途に設けても良い。
また、導光部50には、照度制限開口部30から出射した光K4を導光可能な構成であれば任意の導光手段を用いることが可能であり、例えば光ファイバ等を用いることもできる。
【0033】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一実施の態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、照射器1、100の線状光源には、2本以上の直管型の紫外線ランプ10を、各々の管軸Nを同軸に直列に並べ構成したものを用いることもできる。また紫外線ランプ10に代えて、紫外線LED等の発光素子を直線状に配列した線状光源を用いることもできる。
【0034】
また、本発明の照射器1、100は、屋外建材の耐候試験の他にも、紫外線の均一な照射が要求される用途に好適に用いることができる。この用途には、例えば液晶パネルの光配向処理や半導体製造プロセスにおける露光処理等が挙げられる。