特許第6186813号(P6186813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186813
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】電池監視システム及び識別情報設定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/36 20060101AFI20170821BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170821BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170821BHJP
   B60L 3/00 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
   G01R31/36 AZHV
   H02J7/00 302C
   H01M10/48 P
   !B60L3/00 S
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-78427(P2013-78427)
(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-202581(P2014-202581A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】長谷 隆介
(72)【発明者】
【氏名】都竹 隆広
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟士
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋明
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓矢
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/124233(WO,A1)
【文献】 特開2010−146991(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/067724(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
H01M 10/48
H02J 7/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の状態を監視する複数の監視部と、
直列接続される前記複数の監視部にそれぞれ割り当てられる識別情報を用いて前記複数の監視部と通信を行う制御部と、
を備え、
前記複数の監視部は、それぞれ、前段の制御部又は監視部から入力される入力信号に対応した識別情報を自身の識別情報として割り当てるとともに、その割り当てた自身の識別情報に対応した前記入力信号と異なる信号を後段の監視部へ出力し、前記入力信号に対応した識別情報が前記割り当てた自身の識別情報と異なる場合、前記入力信号に対応した識別情報を自身の識別情報として再度割り当て
前記制御部は、前記複数の監視部から送信される識別情報が、すでに記憶部に記憶されている場合、前記監視部の入れ替え又は交換が行われたと判断す
ことを特徴とする電池監視装置。
【請求項2】
電池の状態を監視する複数の監視部と、
直列接続される前記複数の監視部にそれぞれ割り当てられる識別情報を用いて前記複数の監視部と通信を行う制御部と、
を備え、
前記複数の監視部は、それぞれ、前段の制御部又は監視部から入力される入力信号の情報に対応した識別情報を自身の識別情報として割り当てるとともに、その割り当てた自身の識別情報に対応した前記入力信号の情報と異なる情報の信号を後段の監視部へ出力し、前記入力される入力信号の情報に対応した識別情報が前記割り当てた自身の識別情報と異なる場合、前記入力される入力信号の情報に対応した識別情報を自身の識別情報として再度割り当て、
前記入力信号の情報は、入力信号のDuty比、入力信号の周波数、入力信号の単位時間あたりのパルス数の何れか1つである
ことを特徴とする電池監視装置。
【請求項3】
電池の状態を監視する複数の監視部が、それぞれ、
直列接続される前記複数の監視部と通信を行う制御部又は前段の監視部から入力される入力信号に対応した識別情報を自身の識別情報として割り当て、
その割り当てた自身の識別情報に対応した前記入力信号と異なる信号を後段の監視部へ出力し、
前記入力信号に対応した識別情報が前記割り当てた自身の識別情報と異なる場合、前記入力信号に対応した識別情報を自身の識別情報として再度割り当て、
前記制御部が、前記複数の監視部から送信される識別情報が、すでに記憶部に記憶されている場合、前記監視部の入れ替え又は交換が行われたと判断する
ことを特徴とする識別情報設定方法。
【請求項4】
電池の状態を監視する複数の監視部が、それぞれ、
直列接続される前記複数の監視部と通信を行う制御部又は前段の監視部から入力される、入力信号のDuty比、入力信号の周波数、入力信号の単位時間あたりのパルス数の何れか1つである入力信号の情報に対応した識別情報を自身の識別情報として割り当て、
その割り当てた自身の識別情報に対応した前記入力信号の情報と異なる情報の信号を後段の監視部へ出力し、
前記入力される入力信号の情報に対応した識別情報が前記割り当てた自身の識別情報と異なる場合、前記入力される入力信号の情報に対応した識別情報を自身の識別情報として再度割り当てる
ことを特徴とする識別情報設定方法。
【請求項5】
電池の状態を監視する複数の監視部と、
直列接続される前記複数の監視部にそれぞれ割り当てられる識別情報を用いて前記複数の監視部と通信を行う制御部と、
を備え、
前記複数の監視部は、それぞれ、前段の制御部又は監視部から出力される信号が入力されると、その入力信号の情報に対応した識別情報を自身の識別情報として割り当てるとともに、前記入力信号と異なる情報の信号を後段の監視部へ出力し、
前記入力信号の情報は、入力信号のDuty比、入力信号の周波数、入力信号の単位時間あたりのパルス数の何れか1つである
ことを特徴とする電池監視装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電池監視装置であって、
前記複数の監視部は、それぞれ、前記自身の識別情報を割り当てた後、前記自身の識別情報を前記制御部に送信し、
前記制御部は、受信される識別情報により、前記監視部の接続数を認識する
ことを特徴とする電池監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池のそれぞれの状態を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電動フォークリフト、ハイブリッド車、又は電気自動車などの車両へ実装されるバッテリとして、負荷へ大きな電力を安定して供給するために、複数の電池が並列接続されるものがある。
【0003】
また、それら各電池のそれぞれの状態を監視する電池監視システムとして、各電池のそれぞれの監視結果により、各電池の充放電を許可する制御部を備えるものがある。このような電池監視システムにおいて、制御部は、各電池のそれぞれの状態を監視する複数の監視部からそれぞれ監視結果を取得するために、各監視部に個別に割り当てられる識別情報が必要になる。
【0004】
また、それら各電池のうちのある2つの電池の配置を互いに入れ替えたり、それら各電池のうちの少なくとも1つの電池を新しい電池に交換したりする場合において、入れ替え後や交換後の電池に対応する監視部の識別情報が変わると、入れ替え後や交換後の電池に対応する監視部と制御部とが正常に通信することができなくなってしまう。
【0005】
そこで、入れ替え後や交換後の電池に対応する監視部の識別情報を再度設定し直す必要がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−268254号公報
【特許文献2】特開2011−181392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、すべての監視部が直列に接続されている場合、いわゆる、デイジーチェーン接続されている場合では、途中の監視部が入れ替わったり、交換されたりしても、すべての監視部の識別情報を再設定する必要があり、識別情報の再設定に手間や時間がかかるという懸念がある。
【0008】
そこで、本発明では、並列接続される電池のそれぞれの状態を監視する各監視部が直列に接続されている場合において、監視部の識別情報の設定を簡易に行うことが可能な電池監視システム及び識別情報設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電池監視システムは、電池の状態を監視する複数の監視部と、直列接続される前記複数の監視部にそれぞれ割り当てられる識別情報を用いて前記複数の監視部と通信を行う制御部とを備える。
【0010】
前記複数の監視部は、それぞれ、前段の制御部又は監視部から出力される第1の信号に対応した識別情報を自身の識別情報として割り当てるとともに、その割り当てた自身の識別情報に対応した前記第1の信号と異なる第2の信号を後段の監視部へ出力し、前記第1の信号に対応した識別情報が前記割り当てた自身の識別情報と異なる場合、前記第1の信号に対応した識別情報を自身の識別情報として再度割り当てる。
【0011】
これにより、直列接続される複数の監視部のうちの途中の監視部を新しい監視部に交換した場合、その新しい監視部を含む後段の監視部の各識別情報を設定すればよいため、監視部の交換後にすべての監視部の識別情報を設定する場合に比べて、監視部の識別情報の設定を簡易に行うことができる。
また、前記複数の監視部は、前段の制御部又は監視部から出力される信号が入力されると、その入力信号の情報に対応した識別情報を自身の識別情報として割り当てるとともに、入力信号と異なる情報の信号を後段の監視部へ出力する。入力信号の情報は、入力信号のDuty比、入力信号の周波数、入力信号の単位時間あたりのパルス数の何れか1つである。
これにより、通信を行う通信部を簡易な構成にできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、並列接続される電池のそれぞれの状態を監視する各監視部が直列に接続されている場合において、監視部の識別情報の設定を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の電池監視システムを示す図である。
図2】監視部の動作を示すフローチャートである。
図3】記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図4】制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態の電池監視システムを示す図である。
図1に示す電池監視システム1は、複数の電池モジュール2(2−1〜2−5)と、制御部(電池ECU)3と、メインリレー4とを備える。なお、電池監視システム1は、例えば、電動フォークリフト、ハイブリッド車、又は電気自動車などの車両に搭載される。また、電池モジュール2の数は5つに限定されない。
【0015】
各電池モジュール2−1〜2−5は、それぞれ、電池5と、リレー6と、電圧検出部7と、電流検出部8と、温度検出部9と、監視部(監視ECU)10と備える。
電池5は、充電可能な電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池などとする。電池5は、直列接続された複数の電池により構成されてもよい。各電池5は、互いに並列接続され、負荷11に電力を供給する。
【0016】
リレー6は、メインリレー4と電池5との間に設けられ、リレー6がオンしているとき、メインリレー4がオンすると、電池5から負荷11へ電力が供給可能となる。
電圧検出部7は、電池5の電圧を検出するものであり、例えば、電圧計とする。
【0017】
電流検出部8は、充電時の電池5へ流れる電流や放電時の電池5から流れる電流を検出するものであり、例えば、電流計とする。
温度検出部9は、電池5の周辺温度を検出するものであり、例えば、サーミスタとする。
【0018】
監視部10は、リレー制御部12と、記憶部13と、識別情報設定部14と、通信部15とを備える。なお、リレー制御部12、識別情報設定部14、及び通信部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)など)などに構成され、記憶部13に記憶されているプログラムをCPU、プログラマブルなデバイス、又はPLDなどが読み出して実行することによって実現される。
【0019】
リレー制御部12は、リレー6のオン、オフを制御する。
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0020】
識別情報設定部14は、自身の識別情報を設定し、その識別情報を記憶部13に記憶させる。例えば、電池モジュール2−1〜2−5に対して、「101」、「102」、「103」、「104」、及び「105」の5つの識別情報を割り当てる場合、先頭の電池モジュール2−1の識別情報設定部14は「101」を自身の識別情報として割り当て記憶部13に記憶させる。また、電池モジュール2−1の後段に配置される電池モジュール2−2の識別情報設定部14は「102」を自身の識別情報として割り当て記憶部13に記憶させる。また、電池モジュール2−2の後段に配置される電池モジュール2−3の識別情報設定部14は「103」を自身の識別情報として割り当て記憶部13に記憶させる。また、電池モジュール2−3の後段に配置される電池モジュール2−4の識別情報設定部14は「104」を自身の識別情報として割り当て記憶部13に記憶させる。また、電池モジュール2−4の後段に配置される電池モジュール2−5の識別情報設定部14は「105」を自身の識別情報として割り当て記憶部13に記憶させる。
【0021】
通信部15は、前段の制御部3又は前段の監視部10から出力(送信)される信号を入力(受信)したり、後段の監視部10へ信号を出力(送信)したりする。
制御部3は、メインリレー4のオン、オフを制御するリレー制御部16と、記憶部17と、異常判定部18と、電池モジュール2−1〜2−5の各監視部10と通信を行う通信部19とを備える。なお、記憶部17は、例えば、ROMやRAMなどであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。また、リレー制御部16、異常判定部18、及び通信部19は、例えば、CPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA、PLDなど)などに構成され、記憶部17に記憶されているプログラムをCPU、プログラマブルなデバイス、又はPLDなどが読み出して実行することによって実現される。また、制御部3は、電池モジュール2−1〜2−5からそれぞれ送信される識別情報を通信部19により受信すると、電池モジュール2−1〜2−5の順番に対応付けて識別情報を記憶部17に記憶させる。また、制御部3は、記憶部17に記憶させた識別情報を用いて、電池モジュール2−1〜2−5からそれぞれ送信される電池5の状態(例えば、電池5の電圧、電流、及び温度など)を示す情報を通信部19により受信する。また、制御部3は、受信した情報に示される電池5の状態が予め決められた条件のとき(例えば、電池5の電圧、電流、及び温度の少なくとも1つが閾値よりも大きいとき)、電池モジュール2−1〜2−5の各電池5のうちの少なくとも1つの電池5の状態が異常であると判断し、待避走行モード(例えば、一定時間経過後までに車両を徐々に減速させてから停止させる指示を、車両の走行を制御する上位制御部に送るとともに、一定時間経過後にリレー制御部16によりメインリレー4をオフさせる処理)に移行する。また、制御部3は、電池モジュール2−1〜2−5からそれぞれ送信される識別情報のうちの少なくとも1つの識別情報が、すでに記憶部17に記憶されている場合で、かつ、メインリレー4がオンしている場合、電池5から負荷11へ電力が供給されているときに電池モジュール2−1〜2−5の入れ替え又は交換が行われたと判断し、待避走行モードに移行する。また、制御部3は、電池モジュール2−1〜2−5の少なくとも1つの電池モジュール2から通信異常が発生した旨が送信される場合、待避走行モードに移行する。
【0022】
また、制御部3と電池モジュール2−1〜2−5の監視部10は、通信部15、19を介して直列に接続されている。これをデイジーチェーン接続という。
なお、識別情報を設定する際に使用される信号はDuty比(デューティ比)を変化させた矩形波に限定されないが、このように矩形波のDuty比に応じて識別情報を設定する場合は、変調処理や符号化処理などの複雑な処理が必要な信号を用いて識別情報を設定する場合に比べて、通信部15を簡易な構成にすることができる。
【0023】
また、電池モジュール2−1〜2−5の各識別情報設定部14は、入力される信号の周波数や単位時間あたりに入力される信号のパルス数を用いて、識別情報を設定してもよい。また、矩形波に限らず、数値や文字情報を識別情報を設定する際に使用される信号としてもよい。
【0024】
また、制御部3及び電池モジュール2−1〜2−5の各監視部10を互いにつなぐ通信線は、識別情報の設定処理で使用していないとき、通信異常が発生した旨を制御部3に伝えるために使用してもよい。
【0025】
図2は、監視部10の動作を示すフローチャートである。
まず、監視部10の識別情報設定部14は、識別情報の設定タイミングになると、記憶部13に記憶されている、入力信号と、識別情報と、出力信号とが互いに対応付けられた情報(以下、識別情報設定情報という)を参照して、記憶部13に記憶されている自身の識別情報に対応する入力信号を取得し、その取得した入力信号と、自身の通信部15に入力されている信号とが互いに整合しているか否かを判断する(S21)。なお、識別情報の設定タイミングは、例えば、初期設定後の一定時間経過毎、又は、電池モジュール2の入れ替えや交換によって自身の通信部15の通信コネクタに通信線が接続されたときなどとする。識別情報の初期設定時の動作は後述する。なお、整合性を判断する場合、入力信号を比較して判断することに限定されず、記憶部13に記憶されている自身の識別情報と、自身の通信部15に入力されている信号に対応する識別情報を識別情報設定情報を参照して取得し、それらの識別情報を比較して整合しているか否かを判断してもよい。
【0026】
次に、識別情報設定部14は、自身の識別情報に対応する入力信号と、通信部15に入力されている信号とが互いに整合していると判断した場合(S21:Yes)、リレー6がオンしていなければ(S22:No)、リレー制御部12によりリレー6をオンさせる(S23)。
【0027】
次に、識別情報設定部14は、リレー6がオン状態のとき(S22:Yes、又は、S23)、識別情報設定情報を参照して、自身の識別情報に対応する出力信号を取得し、その取得した出力信号を後段の監視部10へ出力した後(S24)、自身の識別情報を制御部3へ送信し(S25)、識別情報の設定処理を終了する。
【0028】
また、識別情報設定部14は、自身の識別情報に対応する入力信号と、通信部15に入力されている信号とが互いに整合していないと判断した場合(S21:No)、リレー6がオンしていれば(S26:Yes)、リレー制御部12によりリレー6をオフさせる。
【0029】
次に、識別情報設定部14は、リレー6がオフ状態のときで(S26:No、又は、S27)、かつ、自身の通信部15に入力されている信号が、識別情報設定情報に存在するとき(S28:Yes)、その信号に対応する識別情報を自身の識別情報として記憶部13に記憶させた後(S29)、リレー制御部12によりリレー6をオンさせる(S23)。以降の動作は、上述したように、識別情報設定部14が、識別情報設定情報を参照して、自身の識別情報に対応する出力信号を取得し、その取得した出力信号を後段の監視部10へ出力した後(S24)、自身の識別情報を制御部3に送信し(S25)、識別情報の設定処理を終了する。
【0030】
また、識別情報設定部14は、通信部15に入力されている信号が、識別情報設定情報に存在しないとき(S28:No)、通信異常が発生した旨を制御部3に送信する。
例えば、識別情報の初期設定時、電池モジュール2−1は、制御部3から出力され自身の通信部15に入力される信号としての矩形波のDuty比が「10%」のとき、図3に示す識別情報設定情報を参照して、その「10%」に対応する識別情報(「101」)を取得し、その識別情報(「101」)を自身の識別情報として記憶部13に記憶させた後、リレー制御部12によりリレー6をオンさせる。そして、電池モジュール2−1は、図3に示す識別情報設定情報を参照して、自身の識別情報(「101」)に対応する出力信号としての矩形波のDuty比「20%」を取得し、その取得したDuty比「20%」の矩形波を後段の電池モジュール2−2の監視部10へ出力した後、自身の識別情報(「101」)を制御部3に送信する。また、識別情報の初期設定時、電池モジュール2−2は、電池モジュール2−1から出力され自身の通信部15に入力される信号としての矩形波のDuty比が「20%」のとき、図3に示す識別情報設定情報を参照して、そのDuty比「20%」に対応する識別情報(「102」)を取得し、その識別情報(「102」)を自身の識別情報として記憶部13に記憶させた後、リレー制御部12によりリレー6をオンさせる。そして、電池モジュール2−2は、図3に示す識別情報設定情報を参照して、自身の識別情報(「102」)に対応する出力信号としての矩形波のDuty比「30%」を取得し、その取得したDuty比「30%」の矩形波を後段の電池モジュール2−3の監視部10へ出力した後、自身の識別情報(「102」)を制御部3に送信する。また、識別情報の初期設定時、電池モジュール2−3は、電池モジュール2−2から出力され自身の通信部15に入力される信号としての矩形波のDuty比が「30%」のとき、図3に示す識別情報設定情報を参照して、そのDuty比「30%」に対応する識別情報(「103」)を取得し、その識別情報(「103」)を自身の識別情報として記憶部13に記憶させた後、リレー制御部12によりリレー6をオンさせる。そして、電池モジュール2−3は、図3に示す識別情報設定情報を参照して、自身の識別情報(「103」)に対応する出力信号としての矩形波のDuty比「40%」を取得し、その取得したDuty比「40%」の信号を後段の電池モジュール2−4の監視部10へ出力した後、自身の識別情報(「103」)を制御部3に送信する。また、識別情報の初期設定時、電池モジュール2−4は、電池モジュール2−3から出力され自身の通信部15に入力される信号としての矩形波のDuty比が「40%」のとき、図3に示す識別情報設定情報を参照して、そのDuty比「40%」に対応する識別情報(「104」)を取得し、その識別情報(「104」)を自身の識別情報として記憶部13に記憶させた後、リレー制御部12によりリレー6をオンさせる。そして、電池モジュール2−4は、図3に示す識別情報設定情報を参照して、自身の識別情報(「104」)に対応する出力信号としての矩形波のDuty比「50%」を取得し、その取得したDuty比「50%」の信号を後段の電池モジュール2−5の監視部10へ出力した後、自身の識別情報(「104」)を制御部3に送信する。また、識別情報の初期設定時、電池モジュール2−5は、電池モジュール2−4から出力され自身の通信部15に入力される信号としての矩形波のDuty比が「50%」のとき、図3に示す識別情報設定情報を参照して、そのDuty比「50%」に対応する識別情報(「105」)を取得し、その識別情報(「105」)を自身の識別情報として記憶部13に記憶させた後、リレー制御部12によりリレー6をオンさせ、自身の識別情報(「105」)を制御部3に送信する。
【0031】
これにより、数字情報を送受信して識別情報を設定する場合に比べ、Duty比を変えた信号を送受信するだけで識別情報を設定できるので、監視部10の構成を簡単にできる。また、制御部3は、各監視部10から識別番号を受信することで、監視部10の接続数を認識できる。
【0032】
また、例えば、自身の識別情報が「104」である電池モジュール2−4が、自身の識別情報が「102」である新しい電池モジュール2と交換された場合、その交換後の電池モジュール2の識別情報設定部14は、識別情報の設定タイミングになると、図3に示す識別情報設定情報を参照して、自身の識別情報である「102」に対応する入力信号としての矩形波のDuty比として「20%」を取得する。次に、識別情報設定部14は、その取得したDuty比「20%」と、自身の通信部15に入力されている信号のDuty比「40%」とが互いに一致していないと判断すると、リレー6がオフしていなければ、リレー制御部12によりリレー6をオフさせる。次に、識別情報設定部14は、図3に示す識別情報設定情報を参照して、通信部15で入力されている信号のDuty比「40%」に対応した識別情報として「104」を取得し、その取得した識別情報(「104」)を自身の識別情報として記憶部13に記憶させた後、リレー制御部12によりリレー6をオンさせる。そして、識別情報設定部14は、図3に示す識別情報設定情報を参照して、自身の識別情報である「104」に対応する出力信号としての矩形波のDuty比として「50%」を取得し、その取得したDuty比「50%」の矩形波を後段の電池モジュール2−5の監視部10へ出力した後、自身の識別情報として「104」を制御部3に送信し、識別情報の再設定処理を終了する。なお、電池モジュール2−4と新しい電池モジュール2との交換時、後段の電池モジュール2−5の識別情報設定部14が、新しい電池モジュール2から送信される再設定前の信号によって誤った識別情報を設定してしまう場合が考えられるが、このような場合では、新しい電池モジュール2の識別情報の再設定が終わった後、再度、後段の電池モジュール2−5の識別情報の設定が行われる。
【0033】
また、例えば、電池モジュール2−3の通信部15が異常状態になったり、電池モジュール2−3の通信部15の通信コネクタから通信線が外れたりすることで、電池モジュール2−3の通信部15から電池モジュール2−4の通信部15へDuty比「100%」又はDuty比「0%」の信号が入力される場合、電池モジュール2−4の識別情報設定部14は、Duty比「100%」又はDuty比「0%」の入力信号が図3に示す識別情報設定情報に存在しないと判断して、通信異常が発生した旨を制御部3に送信する。
【0034】
図4は、制御部3の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部3の異常判定部18は、電池モジュール2−1〜2−5のうちの少なくとも1つの電池モジュール2から通信異常が発生した旨を受信すると(S41:Yes)、待避走行モードに移行する(S42)。また、異常判定部18は、電池モジュール2−1〜2−5から識別情報を受信し(S41:No、S43:Yes)、その受信した各識別情報の少なくとも1つがすでに記憶部17に記憶され(S44:Yes)、かつ、メインリレー4がオンしていると(S45:Yes)、待避走行モードに移行する(S42)。これにより、通信異常があった場合や電池5の使用中に電池モジュール2の交換があった場合、待避走行モードに移行させることができ車両の安全性を高めることができる。
【0035】
このように、実施形態の電池監視システム1によれば、電池モジュール2−1〜2−5のそれぞれの監視部10が、前段の制御部3又は監視部10から入力される入力信号に対応した識別情報を自身の識別情報として割り当てるとともに、その割り当てた自身の識別情報に対応した入力信号と異なる出力信号を後段の監視部10へ出力し、入力信号に対応した識別情報が割り当てた自身の識別情報と異なる場合、入力信号に対応した識別情報を自身の識別情報として再度割り当てている。これにより、電池モジュール2−1〜2−5のうちの電池モジュール2−4を新しい電池モジュール2に交換した場合、その新しい電池モジュール2の識別情報、又は、その新しい電池モジュール2を含む後段の電池モジュール2−5の各識別情報を再設定すればよいため、電池モジュール2−4の交換後にすべての電池モジュール2−1〜2−5の各識別情報を再設定する場合に比べて、識別情報の再設定を簡易に行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 電池監視システム
2−1〜2−5 電池モジュール
3 制御部
4 メインリレー
5 電池
6 リレー
7 電圧検出部
8 電流検出部
9 温度検出部
10 監視部
11 負荷
12 リレー制御部
13 記憶部
14 識別情報設定部
15 通信部
16 リレー制御部
17 記憶部
18 異常判定部
19 通信部
図1
図2
図3
図4