特許第6186880号(P6186880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧

<>
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000002
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000003
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000004
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000005
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000006
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000007
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000008
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000009
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000010
  • 特許6186880-櫛型保持器及び転がり軸受 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186880
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】櫛型保持器及び転がり軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/49 20060101AFI20170821BHJP
   F16C 19/28 20060101ALI20170821BHJP
   F16C 33/41 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   F16C33/49
   F16C19/28
   F16C33/41
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-106847(P2013-106847)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-228036(P2014-228036A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本條 隼樹
【審査官】 中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−145061(JP,A)
【文献】 特開2002−147463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/49
F16C 19/28
F16C 33/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、前記円環部の前記一側面側であって周方向隣り合う前記柱部の間に、転がり軸受が有する転動体を保持するポケットが形成されていると共に、当該転がり軸受が有する外輪の内周面に前記円環部が案内されることで径方向について位置決めされる櫛型保持器であって、
保持器重心位置を軸方向に沿って前記円環部の他側面側へ寄せている重心調整構造部を有し、当該保持器重心位置が前記円環部の軸方向の範囲内に位置していることを特徴とする櫛型保持器。
【請求項2】
前記重心調整構造部は、前記柱部よりも比重が大きい前記円環部からなる請求項1に記載の櫛型保持器。
【請求項3】
前記円環部は、前記柱部と同じ材料からなる本体部と、この本体部と一体として設けられ当該本体部よりも密度の大きいウエイト部と、を有している請求項2に記載の櫛型保持器。
【請求項4】
前記円環部の一部又は全部が、前記柱部よりも密度が大きい材料からなる請求項2に記載の櫛型保持器。
【請求項5】
前記重心調整構造部は、前記柱部の先端面に形成されている凹部からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の櫛型保持器。
【請求項6】
前記重心調整構造部は、前記柱部の径方向外側及び径方向内側の双方に形成され当該柱部を先細りにさせている傾斜面からなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の櫛型保持器。
【請求項7】
内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に配置された複数の転動体と、これら転動体を保持する保持器と、を備え、
前記保持器は、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備えた櫛型保持器であり、
前記円環部の前記一側面側であって周方向隣り合う前記柱部の間に前記転動体を保持するポケットが形成され、
前記櫛型保持器は、前記外輪の内周面に前記円環部が案内されることで径方向について位置決めされ、
前記櫛型保持器は、その重心位置を軸方向に沿って前記円環部の他側面側へ寄せている重心調整構造部を有し、当該重心位置が前記円環部の軸方向の範囲内に位置していることを特徴とする転がり軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、櫛型保持器、及び櫛型保持器を備えている転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械において、主軸を回転可能に支持する軸受部には、高い加工精度を維持するために高い剛性が必要とされており、このために複列ころ軸受が用いられている。さらに近年では、主軸の高速回転化が要求されていることから、高速回転に対応することのできる複列ころ軸受が求められている。
【0003】
複列ころ軸受は、内輪、外輪、及び、これら内輪と外輪との間に複列状態で配置された複数のころを備えている。そして、特許文献1に示すように、列毎に複数のころを保持する独立した保持器を備えた複列ころ軸受がある。つまり、この複列ころ軸受には、保持器が二つ組み込まれている。各保持器は、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、櫛型に構成されている。そして、周方向で隣り合う柱部の間が、ころを保持するポケットとなる。
【0004】
櫛型保持器の場合、柱部が円環部から軸方向に突出している片持ち梁状であるため、柱部の先部側は、ある程度自由に変形できる。このため、例えば複列ころ軸受の回転に伴ってころの進み遅れが発生し、これによって柱部に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用しても、その力を逃がすことができ、破損が生じにくい。これに対して、一対の円環部の間が柱部により連結された構成である、かご型保持器の場合、柱部は両側の円環部に固定されており変形が拘束されることから、柱部に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用すると、その力を逃がし難く、櫛型保持器に比べて破損が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−102796号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
工作機械の主軸は、高速回転することから、このような主軸を支持する転がり軸受に櫛型保持器を用いた場合、遠心力によって櫛型保持器は変形する。特に、櫛型保持器の柱部は、円環部の一側面から軸方向に延びて設けられていて、片持ち梁状であるため、回転数が高くなると、遠心力の影響により径方向外側へ大きく変形しやすい。このため、柱部の一部が外輪の内周面やころ等の転動体に異常接触するおそれがあり、回転抵抗が増大したり、接触部分で異常摩耗が発生したりする。
したがって、櫛型保持器を、高速回転する転がり軸受に用いる場合、前記のように、柱部の一部が外輪の内周面やころ等の転動体に異常接触するのを防ぐ必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、高速回転での使用に好適な櫛型保持器、及び、このような櫛型保持器を備えている転がり軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、前記円環部の前記一側面側であって周方向隣り合う前記柱部の間に、転がり軸受が有する転動体を保持するポケットが形成されていると共に、当該転がり軸受が有する外輪の内周面に前記円環部が案内されることで径方向について位置決めされる櫛型保持器であって、保持器重心位置を軸方向に沿って前記円環部の他側面側へ寄せている重心調整構造部を有し、当該保持器重心位置が前記円環部の軸方向の範囲内に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、円環部の一側面から延びて設けられている柱部の先部側が、回転による遠心力によって大きく径方向外側へ変形するのを抑制することができる。このため、柱部の一部が外輪の内周面や転動体に異常接触するのを防ぐことができ、高速回転する転がり軸受に好適な櫛型保持器となる。
【0009】
(2)また、前記重心調整構造部は、前記柱部よりも比重が大きい前記円環部からなるのが好ましい。
この場合、柱部よりも円環部の比重を大きくすることによって、従来よりも、保持器重心位置を軸方向に沿って円環部の他側面側へ寄せた櫛型保持器が得られる。
【0010】
(3)前記(2)の櫛型保持器において、前記円環部は、前記柱部と同じ材料からなる本体部と、この本体部と一体として設けられ当該本体部よりも密度の大きいウエイト部と、を有しているのが好ましい。
この場合、柱部と同じ材料からなる本体部よりも密度の大きいウエイト部が、本体部と一体として設けられることで円環部が構成され、そして、この円環部の比重を柱部よりも大きくすることができ、この結果、保持器重心位置を軸方向に沿って円環部の他側面側へ寄せた櫛型保持器が得られる。
(4)または、前記(2)の櫛型保持器において、前記円環部の一部又は全部が、前記柱部よりも密度が大きい材料からなるのが好ましい。
この場合、柱部よりも円環部の比重を大きくすることができ、この結果、保持器重心位置を軸方向に沿って円環部の他側面側へ寄せた櫛型保持器が得られる。
【0011】
(5)また、前記(1)〜(4)の櫛型保持器において、前記重心調整構造部は、前記柱部の先端面に形成されている凹部からなるのが好ましく、柱部の先端面に凹部が形成されることにより、柱部の先端側を軽量化させ、従来よりも、保持器重心位置を軸方向に沿って円環部の他側面側へ寄せた櫛型保持器が得られる。
【0012】
(6)また、前記(1)〜(5)の櫛型保持器において、前記重心調整構造部は、前記柱部の径方向外側及び径方向内側の双方に形成され当該柱部を先細りにさせている傾斜面からなるのが好ましい。
この構成により、従来よりも、保持器重心位置を軸方向に沿って円環部の他側面側へ寄せた櫛型保持器が得られる。
【0013】
(7)また、本発明の転がり軸受は、内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に配置された複数の転動体と、これら転動体を保持する保持器とを備え、前記保持器は、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備えた櫛型保持器であり、前記円環部の前記一側面側であって周方向隣り合う前記柱部の間に前記転動体を保持するポケットが形成され、前記櫛型保持器は、前記外輪の内周面に前記円環部が案内されることで径方向について位置決めされ、前記櫛型保持器は、その重心位置を軸方向に沿って前記円環部の他側面側へ寄せている重心調整構造部を有し、当該重心位置が前記円環部の軸方向の範囲内に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、櫛型保持器において、円環部の一側面から延びて設けられている柱部の先部側が、回転による遠心力によって大きく径方向外側へ変形するのを抑制することができる。このため、柱部の一部が外輪の内周面や転動体に異常接触するのを防ぐことができ、高速回転する環境下で好適な櫛型保持器を備えた転がり軸受となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の櫛型保持器及び転がり軸受によれば、高速回転する環境下での使用に好適な櫛型保持器及び転がり軸受となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】転がり軸受の一例を示す縦断面図である。
図2】保持器の斜視図である。
図3】保持器の一部を保持器の軸方向から見た図である。
図4図3のV1−V1矢視の断面図である。
図5図3のV1−V1矢視の断面図であり、図3に示す保持器の変形例である。
図6】保持器の側面図である。
図7図3のV1−V1矢視の断面図であり、他の保持器を示している。
図8図3のV1−V1矢視の断面図であり、図7に示す保持器の変形例である。
図9図3のV1−V1矢視の断面図であり、他の保持器を示している。
図10図3のV1−V1矢視の断面図であり、他の保持器を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔1. 複列ころ軸受の全体構成について〕
図1は、本発明の転がり軸受の一例を示す縦断面図である。この転がり軸受は、複列ころ軸受1である。なお、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号(参照番号)を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
この複列ころ軸受1は、例えば、汎用旋盤、CNC旋盤、マシニングセンタ、フライス盤等の工作機械の主軸6を支持する軸受として使用され、高速回転する主軸6を高い剛性で支持することが可能である。
主軸6の直径は例えば50〜150ミリ程度であり、主軸6の最大回転数は10000〜15000rpmとなる。そして、主軸6は、低速回転する場合や、高速回転する場合があり、また、低速又は停止状態から高速回転状態(最大回転数)へと急加速する。
【0018】
本実施形態の複列ころ軸受1は、内輪2と、外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に配置された複数のころ(転動体)4と、これらころ4を保持する環状の保持器5,5とを備えている。ころ4は、複列状態(二列状態)で配置されており、保持器5,5それぞれは、列毎に独立して複数のころ4を保持している。つまり、この複列ころ軸受1には、独立した二つの保持器5,5が組み込まれている。ころ4の外周面は円筒形であり、この複列ころ軸受1は複列円筒ころ軸受である。
【0019】
内輪2の外周面には、二列に配置されたころ4が転動する転動面2a,2bが形成されており、外輪3の内周面の一部が、二列のころ4が転動する転動面3a,3bとなる。そして、外輪3が工作機械の軸受ハウジング8の内周面に取り付けられており、内輪2に主軸6が挿入されている。この複列ころ軸受1はグリース潤滑されており、内輪2、外輪3、ころ4及び保持器5にはグリースが付着している。
【0020】
〔2. 保持器5について〕
一方側のころ列用の保持器5と他方側のころ列用の保持器5とは、複列ころ軸受1への取り付け方向が異なるが、同じものである。これら保持器5,5は、軸方向に並べて複列ころ軸受1に組み込まれており、各保持器5の軸方向に向く一側面11が、複列ころ軸受1の軸方向外側へ向くように配置され、保持器5,5の対向する環状の背面14,14同士が接触可能となる。そして、保持器5,5それぞれは独立して各ころ列と共に回転することができる。
【0021】
図2は、保持器5(図1の右側の保持器5)の斜視図である。この保持器5は、櫛型保持器であり、円環形状である円環部10と、複数の柱部20とを備えている。複数の柱部20は、周方向に間隔(等間隔)をあけて設けられており、各柱部20は、円環部10の一側面11から軸方向に向かって延びて形成されている。このため、柱部20は、円環部10から突出した片持ち梁状となる。なお、一側面11の軸方向反対側の面(他側面)が前記背面14となる。背面14は、円環状の滑らかな面を有しており、軸方向の隣りに設置される別の保持器5の背面14(の一部又は全部)と接触可能となる合わせ面となる。
そして、二つの保持器5,5(図1参照)はそれぞれ独立して回転可能であることから、一方の保持器5の円環部10の背面14(他側面)は、他方の保持器5の円環部10の背面14(他側面)と摺接する摺接面となり、また、他方の保持器5の円環部10の背面14(他側面)は、一方の保持器5の円環部10の背面14(他側面)と摺接する摺接面となる。
【0022】
柱部20は周方向一定間隔おきに設けられており、円環部10の一側面11側であって周方向隣り合う柱部20,20の間に、ころを保持するポケット7が形成されている。つまり、各ポケット7は、周方向に隣接する柱部20,20の互いに対向する対向面24,24と、円環部10の一側面11とで囲まれた空間からなる。各ポケット7は、軸方向外側に向かって開口しており、保持器5は全体として櫛歯形状となる。
【0023】
円環部10(後述の本体部50)は、複数の柱部20とそれぞれ繋がっている複数の第1円弧部43と、周方向で隣り合う第1円弧部43,43の間に存在する複数の第2円弧部44とを有して構成されている。円環部10(後述の本体部50)は、周方向に沿って第1円弧部43と第2円弧部44とが交互に配置され、かつ、これら円弧部43,44が一体となって構成された円環状の部分である。そして、第1円弧部43は、柱部20の軸方向隣りに位置する部分であり、第2円弧部44は、ポケット7の軸方向隣りに位置する部分である。
【0024】
本実施形態では、外輪3と保持器5とが相対回転する際、円環部10の外周面の一部(後述の凸部41)が、外輪3の内周面に案内されることで、保持器5は径方向について位置決めされる(外輪案内)。
【0025】
図3は、保持器5の一部を保持器5の軸方向から見た図である。なお、柱部20については断面により示している。この保持器5の円環部10の外周には、凸部41と凹部42とが周方向に沿って交互に設けられている。凸部41は、円環部10の径方向外側部分のうち、凹部42と比較して径方向寸法が大きい部分であり、凹部42は、円環部10の径方向外側部分のうち、凸部41と比較して径方向寸法が小さい部分である。
凸部41は、外輪3の内周面3cに隙間を有して対向しこの内周面3cに案内される。凹部42は、外輪3の内周面3cとの間でグリースを保持することができる。
【0026】
円環部10は、前記のとおり、柱部20が繋がっている第1円弧部43と、周方向で隣り合う一組の第1円弧部43,43の間に存在する第2円弧部44とから構成されており、本実施形態では、第1円弧部43の外周側に凸部41が設けられ、第2円弧部44の外周側に凹部42が設けられている。このため、保持器5は、周方向に沿って柱部20と同じ周方向間隔で凸部41が複数設けられた構成となる。また、全ての凸部41は同じ形状であり、全ての凹部42は同じ形状であり、一つの凸部41の周方向隣りに一つの凹部42が設けられている。
【0027】
このように、円環部10の外周に、外輪3の内周面3cに隙間を有して対向しこの内周面3cに案内される凸部41が、周方向に複数設けられていることで、これら凸部41によってこの櫛型保持器5は径方向の位置決めがされ回転することができる。そして、この円環部10の外周には、外輪3の内周面3cとの間でグリースを保持する凹部42が複数設けられており、櫛型保持器5と外輪3との相対回転によって、この凹部42のグリースが凸部41と外輪3の内周面3cとの間に供給されることで、保持器5と外輪3との間の回転抵抗を小さくすることができ、高速回転での使用が可能となる。そして、凹部42にグリースを保持することで、複列ころ軸受1内において早期にグリース不足となるのを抑制することができ、この結果、グリース不足による複列ころ軸受1の寿命の低下を防ぐことができる。
【0028】
〔2−1 その1〕
図4は、図3のV1−V1矢視の断面図である。円環部10と複数の柱部20それぞれとは一体とされているが、この円環部10は、柱部20と同じ部材からなって一体成形されている円環状の本体部50と、本体部50とは別の部材からなるが本体部50と一体となっているウエイト部51とを有している。
【0029】
すなわち、柱部20は樹脂製からなり、円環部10の本体部50も、この柱部20と同じ材料(樹脂製)からなる。これに対して、ウエイト部51は、本体部50よりも密度の大きい材料からなり、本実施形態では、金属製の部材からなる。柱部20及び円環部10の本体部50は、樹脂製(合成樹脂製)であり、射出成型により製造され、本体部50と柱部20とは一体に成型されている。円環部10及び柱部20の材料についての具体例としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、ポリアミドとすることができる。そして、ウエイト部51は、炭素鋼、黄銅、ステンレス鋼等とすることができる。
【0030】
本体部50は、円環状であり、柱部20が繋がっている前記第1円弧部43(図2参照)と、周方向で隣り合う一組の第1円弧部43,43の間に存在する前記第2円弧部44(図2参照)とから構成されている。
この本体部50の背面14には、切り欠き溝52が形成されており、この切り欠き溝52にウエイト部51が嵌め入れられ、ウエイト部51は本体部50に固定されている。以上より、柱部20よりも円環部10の比重を大きくすることができる。
【0031】
切り欠き溝52は、周方向に連続した環状の溝であり、また、ウエイト部51は、この溝52に対応した形状である円環状の部材からなる。切り欠き溝52の溝断面形状は、図4に示すように蟻溝形状であり、溝52の開口側52aを溝底側52bよりも狭くするために、開口側52aに突起部53,53が形成されている。この突起部53,53によって、ウエイト51が本体部50から脱落するのを防いでいる。本実施形態によれば、複数の柱部20及び切り欠き溝52を有する本体部50を射出成型によって形成して得た樹脂部に対して、ウエイト部51を切り欠き溝52へ嵌め入れることで、保持器5を製造することができる。
【0032】
このように、ウエイト部51は、柱部20と同じ樹脂からなる本体部50よりも密度が大きく、このようなウエイト部51を本体部50内に設けることで、柱部20よりも円環部10全体における比重を大きくすることができる。この結果、図6に示すように、保持器5の重心位置G1を、軸方向に沿って円環部10の背面14(他側面)側へ寄せた櫛型保持器が得られる。なお、図6において、位置G2は従来の櫛型保持器の重心位置を示している。
【0033】
ここで、図4中の符号「g1」は、一つの柱部20、その柱部20が繋がっている一つの第1円弧部43、及びこの一つの第1円弧部43に含まれるウエイト部51のみからなる、保持器5の一部分Qの重心位置を示している。なお、この保持器5の一部分Qに含まれるウエイト部51は、一つの第1円弧部43に含まれる部分のみを対象としている。
前記のように(図6参照)、保持器5の重心位置G1を、軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せた構成とすると、この図4に示す一部分Qの重心位置g1も円環部10の背面14側へ寄ることになる。なお、図4中の符号「g2」は、ウエイト部51を有していない従来例の場合の重心位置である。
【0034】
本実施形態及び従来例の双方において、保持器5が回転すると遠心力によって円環部10は拡径するように変形し、柱部20では先部26側がより大きく径方向外側へ変形する。これらの変形により、前記一部分Qは重心位置(g1,g2)を中心として回転するような変形が生じ、保持器5全体ではこれに伴うねじれ変形が発生する。
そこで、従来例のように、重心位置g2が柱部20の先部26側へ存在していると、柱部20の径方向外側へ向かう変形が大きくなる。これに対して、本実施形態のように、重心位置g1が円環部10の背面14側へ寄っていると、柱部20は円環部10の変形の影響を大きく受けて、柱部20の径方向外側への変形が抑えられる。
【0035】
以上より、保持器5の重心位置G1(図6参照)を、軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せることによって、円環部10の一側面11から延びて設けられている柱部20の先部26側が、回転による遠心力によって大きく径方向外側へ変形するのを抑制することができ、保持器5全体の変形を従来よりも抑えることが可能となる。このため、柱部20の一部(先部26)が外輪3の内周面3c等に異常接触するのを防ぐことができ、高速回転する複列ころ軸受1に好適な保持器5となる。
すなわち、この保持器5は、重心位置G1を軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せている重心調整構造部Mを有しており、本実施形態の重心調整構造部Mは、柱部20よりも比重が大きい円環部10からなる。
【0036】
なお、前記実施形態では、本体部50の表面(背面14)からウエイト部51を突出させていないが、ウエイト部51の表面を本体部50の表面から突出させてもよく、また、ウエイト部51の表面と本体部50の表面とで一つの共通した面(背面14)を構成してもよい。
また、前記実施形態では、切り欠き溝52の開口側52aに突起部53,53を設け、これら突起部53,53によってウエイト部51の脱落を防止する場合について説明したが、この突起部53,53を省略して、ウエイト部51を本体部50へ接着してもよい。
【0037】
また、本体部50の周方向全周にわたってウエイト部51が設けられていなくてもよい。つまり、ウエイト部51は円環状でなく、周方向に沿って部分的にウエイト部51が本体部50に取り付けられた保持器であってもよい。この場合、切り欠き溝52は、円環状でなくてもよい。
【0038】
また、別部材であるウエイト部51と本体部50とを一体とするために、切り欠き溝52を有する本体部50を、複数の柱部10と共に射出成型によって一体成型してから、ウエイト部51を嵌め入れる場合について説明したが、これ以外に、射出成型の金型内にウエイト部51を先に装着した状態で、その金型を用いて射出成型を行うインサート成型により、保持器5を製造してもよい。この場合、図5に示すように、ウエイト部51は、本体部50内に完全に埋設された状態となり、ウエイト部51は露出しない。
【0039】
〔2−2 その2〕
図7は、図3のV1−V1矢視の断面図であり、他の保持器5を示している。図7に示す保持器5は、同種ではあるが種類の異なる材料から構成されている。すなわち、円環部10は第1の材料からなり、全ての柱部20は、前記第1の材料とは異なる第2の材料からなる。そして、第1の材料は第2の材料よりも比重が大きい。本実施形態では、第1の材料と第2の材料とは、同じ樹脂製(合成樹脂製)からなるが、その種類が異なっており、円環部10を構成する第1の材料(第1の樹脂)は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;比重=2.0)からなり、柱部20を構成する第2の材料(第2の樹脂)は、例えば、ポリアミド(比重=1.25)からなる。
【0040】
円環部10と柱部20とは異なる樹脂からなるが、これら円環部10と全ての柱部20とは一体に成型されている。例えば、円環部10を先に形成し、この円環部10を金型内に入れて、この金型を用いて射出成型により柱部20を形成すればよい。
この場合、図7に示すように、円環部10と柱部20との境界面K1が、異なる樹脂の境界面(第1の樹脂と第2の樹脂との境界面)に一致する。
【0041】
これに対して、図8に示すように、円環部10と柱部20との境界面K1と、第1の樹脂と第2の樹脂との境界面K2とを、一致させないようにしてもよい(境界面K1と境界面K2とを不一致にする)。図8では、第1の樹脂と第2の樹脂との境界面K2を、円環部10側に設けているが、柱部20側であってもよい(図示せず)。このためには、第1の樹脂による成形品を、金型に入れて、この金型を用いて射出成型により第2の樹脂による部分を成型すればよい。
【0042】
前記第1の材料と前記第2の材料とは、異質な材料の組み合わせであってもよい。例えば、セラミックと樹脂との組み合わせであってもよく、円環部10をセラミックとし、柱部20を樹脂としてもよい。すなわち、円環部10を柱部20よりも比重の大きい材料とすればよい(柱部20を円環部10よりも比重の小さい材料とすればよい)。
【0043】
このように、本実施形態では、円環部10の全部(図7の場合)又は一部(図8の場合)が、柱部20よりも密度が大きい材料からなる。これにより、柱部20よりも円環部10の比重を大きくすることができ、この結果、図6に示すように、保持器5の重心位置G1を、軸方向に沿って円環部10背面14(他側面)側へ寄せた保持器が得られる。なお、図6において、位置G2は従来の櫛型保持器の重心位置を示している。
【0044】
そして、図4に示す保持器5により説明したのと同様に、保持器5の重心位置G1を、軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せた構成とすると、図7図8)に示す前記保持器5の一部分Qの重心位置g1も円環部10の背面14側へ寄ることになる。そして、重心位置g1が円環部10の背面14側へ寄っていると、柱部20は円環部10の変形の影響を大きく受けて、柱部20の径方向外側への変形が抑えられる。
【0045】
以上より、保持器5の重心位置G1(図6参照)を、軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せることによって、円環部10の一側面11から延びて設けられている柱部20の先部26側が、回転による遠心力によって大きく径方向外側へ変形するのを抑制することができ、保持器5全体の変形を従来よりも抑えることが可能となる。このため、柱部20の一部(先部26)が外輪3の内周面3c等に異常接触するのを防ぐことができ、高速回転する複列ころ軸受1に好適な保持器5となる。
すなわち、この保持器5は、重心位置G1を軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せている重心調整構造部Mを有しており、本実施形態の重心調整構造部Mは、柱部20よりも比重が大きい円環部10からなる(柱部20よりも比重が大きい部分を有している円環部10からなる)。
【0046】
〔2−3 その3〕
図9は、図3のV1−V1矢視の断面図であり、他の保持器5を示している。図9に示す保持器5の柱部20の先端面55には凹部56が形成されている。この凹部56は、軸方向外側にのみ開口しており、周方向両側のころ4,4側へは開口していない。
【0047】
この保持器5は、樹脂製(合成樹脂製)であり、射出成型により製造され、円環部10と柱部20とは一体に成型されている。保持器5の材質は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、ポリアミドとすることができる。そして、前記凹部56は、射出成型する際に、同時に形成される。
【0048】
このように、本実施形態によれば、円環部10の密度と柱部20の密度とは同じであるが、柱部20の先端面55に凹部56を形成することにより、柱部20の先端側を軽量化することができ、この結果、図6に示すように、従来よりも、保持器5の重心位置G1を、軸方向に沿って円環部10の背面14(他側面)側へ寄せた櫛型保持器が得られる。なお、図6において、位置G2は従来の櫛型保持器の重心位置を示している。
【0049】
そして、図4に示す保持器5により説明したのと同様に、保持器5の重心位置G1を、軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せた構成とすると、図9に示す前記保持器5の一部分Qの重心位置g1も円環部10の背面14側へ寄ることになる。そして、重心位置g1が円環部10の背面14側へ寄っていると、柱部20は円環部10の変形の影響を大きく受けて、柱部20の径方向外側への変形が抑えられる。
【0050】
以上より、保持器5の重心位置G1(図6参照)を、軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せることによって、円環部10の一側面11から延びて設けられている柱部20の先部26側が、回転による遠心力によって大きく径方向外側へ変形するのを抑制することができ、保持器5全体の変形を従来よりも抑えることが可能となる。このため、柱部20の一部(先部26)が外輪3の内周面3c等に異常接触するのを防ぐことができ、高速回転する複列ころ軸受1に好適な保持器5となる。
すなわち、この保持器5は、重心位置G1を軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せている重心調整構造部Mを有しており、本実施形態の重心調整構造部Mは、柱部20の先端面55に形成されている凹部56からなる。
【0051】
〔2−4 その4〕
図10は、図3のV1−V1矢視の断面図であり、他の保持器5を示している。図10に示す保持器5の柱部20は、その径方向外側に、柱部20の先部26側へ向かうにしたがって径方向内側へ傾斜する傾斜面58を有しており、かつ、その径方向内側に、柱部20の先部26側へ向かうにしたがって径方向外側へ傾斜する傾斜面59を有している。これら傾斜面58,59により、柱部20は先細り形状となる。
【0052】
この保持器5は、樹脂製(合成樹脂製)であり、射出成型により製造され、円環部10と柱部20とは一体に成型されている。保持器5の材質は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、ポリアミドとすることができる。
【0053】
このように、本実施形態によれば、円環部10の密度と柱部20の密度とは同じであるが、柱部20は、その径方向外側及び径方向内側との双方に傾斜面58,59が形成されており、これら傾斜面58,59によって、柱部20を先細りにさせている。この結果、図6に示すように、従来よりも、保持器5の重心位置G1を、軸方向に沿って円環部10の背面14(他側面)側へ寄せた櫛型保持器が得られる。なお、図6において、位置G2は従来の櫛型保持器の重心位置を示している。
【0054】
そして、図4に示す保持器5により説明したのと同様に、保持器5の重心位置G1を、軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せた構成とすると、図10に示す前記保持器5の一部分Qの重心位置g1も円環部10の背面14側へ寄ることになる。そして、重心位置g1が円環部10の背面14側へ寄っていると、柱部20は円環部10の変形の影響を大きく受けて、柱部20の径方向外側への変形が抑えられる。
【0055】
以上より、保持器5の重心位置G1(図6参照)を、軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せることによって、円環部10の一側面11から延びて設けられている柱部20の先部26側が、回転による遠心力によって大きく径方向外側へ変形するのを抑制することができ、保持器5全体の変形を従来よりも抑えることが可能となる。このため、柱部20の一部(先部26)が外輪3の内周面3c等に異常接触するのを防ぐことができ、高速回転する複列ころ軸受1に好適な保持器5となる。
すなわち、この保持器5は、重心位置G1を軸方向に沿って円環部10の背面14側へ寄せている重心調整構造部Mを有しており、本実施形態の重心調整構造部Mは、柱部20の径方向外側及び径方向内側との双方に形成され当該柱部20を先細りにさせている傾斜面58,59からなる。
【0056】
〔3. 各実施形態の保持器5について〕
以上のように、外輪によって径方向について位置決めがされる外輪案内による櫛型保持器の場合、従来では、柱部の先部の変形によって、この先部が外輪の内周面に異常接触するおそれがあったが、前記各実施形態の保持器5によれば、保持器5全体の変形を抑えることが可能となり、特に、柱部20の先部26の径方向外側への変形を抑えることができる。この結果、柱部20の一部(先部26)が外輪3の内周面3cに異常接触するのを防ぎ、回転抵抗の増加、接触部分での異常摩耗を防止することができる。
なお、前記実施形態では、保持器5が外輪案内される場合について説明したが、ころ案内であってもよく、この場合、柱部20が、ころ等の転動体へ異常接触することを防ぐことができる。
以上より、各実施形態の保持器5は、高速回転する転がり軸受(複列ころ軸受)に好適な櫛型保持器となる。
【0057】
なお、前記各実施形態の構成を組み合わせた保持器5であってもよい。例えば、前記〔2−1 その1〕又は前記〔2−1 その1〕の保持器5に、前記〔2−2 その3〕と前記〔2−4 その4〕とで説明した構成の一方又は双方を組み合わせてもよい。
【0058】
また、保持器5(保持器5の表面)が樹脂製であるため、保持器全体を金属製(例えば黄銅製)とするよりも、回転抵抗を小さくすることができ、低騒音であり、高速回転対応性能が高い。
なお、保持器には全体が黄銅製(銅合金製)のものがあるが、特に高速回転の環境で用いられる場合、保持器の内周面、外周面及びポケット面等が、内輪、外輪及びころに接触することで摩耗し、摩耗粉が発生する。この摩耗粉が、複列ころ軸受の潤滑用のグリース中に混入すると、グリースの潤滑性能が劣化し、軸受の焼き付きや損傷の原因になるおそれがある。しかし、本実施形態では、保持器5のうち、他の部品と接触する部分が樹脂製であるため、前記のような摩耗粉によるグリースの潤滑性能の劣化を防ぐことができる。つまり、表面が樹脂製である保持器5は、黄銅製のものに比べて高速回転に適している。
【0059】
また、保持器5は櫛型であり、柱部20は円環部10から軸方向に突出している片持ち梁状であるため、柱部20の先部側はある程度自由に変形できる。このため、複列ころ軸受1が回転し、ころ4の進み遅れによって保持器5に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用しても、その力を逃がすことができ、破損が生じにくい。
【0060】
また、前記各実施形態において、(例えば図4参照)一つの柱部20、その柱部20が繋がっている第1円弧部43、及びこの第1円弧部43に含まれるウエイト部51のみからなる、保持器5の前記一部分Qの重心位置g1が、円環部10の背面14側へ寄るように構成されているが、特に、この重心位置g1は、円環部10(第1円弧部43)の断面内に存在しているのが好ましい。
また、この重心位置g1は、円環部10の断面内に存在していなくても、軸方向に関して、背面14を基準として円環部10(第1円弧部43)の軸方向寸法E0の「1.3倍(1.3×E0)」以下の範囲内に位置するのが好ましい。つまり、重心位置g1は、軸方向に関して、背面14を基準として(1.3×E0)までの範囲内に存在しているのが好ましい。
重心位置g1について更に説明すると、重心位置g1は、軸方向に関して、背面14を基準として(0.4×E0)から(1.3×E0)までの範囲内(図4においてWの範囲内)に存在しているのが好ましい。更には、重心位置g1が、軸方向に関して、背面14を基準として(0.5×E0)から(0.9×E0)までの範囲内に存在しているのが特に好ましい。
【0061】
また、本発明の複列ころ軸受及び保持器は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。各実施形態では、複列ころ軸受の場合について説明したが、複列でなくてもよい。また、ころ軸受以外の転がり軸受であってもよく、転動体は玉であってもよい。
また、本発明の保持器を備えている転がり軸受(複列ころ軸受1)は、工作機械の主軸6の支持以外の用途であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1:複列ころ軸受(転がり軸受) 2:内輪 3:外輪
4:ころ(転動体) 5:保持器(櫛型保持器) 7:ポケット
10:円環部 14:背面(他側面) 20:柱部
G1:重心位置(保持器重心位置) M:重心調整構造部 50:本体部
51:ウエイト部 55:先端面 56:凹部
58:傾斜面 59:傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10