特許第6186907号(P6186907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186907
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】アンテナ用コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20170821BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H01Q7/00
   H01Q1/32 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-119800(P2013-119800)
(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-239286(P2014-239286A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】馬原 繁
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102006003999(DE,A1)
【文献】 特開2008−042237(JP,A)
【文献】 特表平08−502617(JP,A)
【文献】 特開平10−112355(JP,A)
【文献】 特開2000−058195(JP,A)
【文献】 特開2007−141671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/32
H01Q 7/00
H01R 12/22
H01R 13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部回路のコネクタが着脱可能に差し込んで装着されるコネクタ部と、コイルを含むアンテナ体が設けられるベース部と、を備え、前記コネクタ部と前記ベース部とが別部材で構成されて互いに一体に組み合わせて用いられるアンテナ用コイル装置であって、
前記コネクタ部又は前記ベース部の一方は、他方を装着するための開口部を備え、
前記コネクタ部および前記ベース部には、前記コネクタ部の差込方向に対して交差する方向に凹凸形成されたコネクタ嵌合部およびベース嵌合部が形成されており、
該コネクタ嵌合部又は該ベース嵌合部に形成された凹状の部位は、前記開口部の深さ方向に沿って形成されており、
前記コネクタ嵌合部と前記ベース嵌合部とを嵌合させることにより前記アンテナ体が前記コネクタ部に対して位置決めされた状態で前記コネクタ部と前記ベース部とが組み合わされることを特徴とするアンテナ用コイル装置。
【請求項2】
前記ベース部には、前記コイルに接続された一対のアンテナ端子が前記差込方向に突出して設けられており、
前記ベース嵌合部は前記一対のアンテナ端子の並び方向の延長線上に形成されていて、前記アンテナ体が前記コネクタ部に対して前記並び方向の交差方向に位置決めされている請求項1に記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項3】
前記コネクタ部は前記ベース部を装着するための有底の開口部を備えており、前記アンテナ端子を挿通する貫通孔が前記開口部の底部に形成されている請求項2に記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項4】
前記ベース部を前記開口部の深さ方向に挿入して装着することにより、前記コネクタ嵌合部と前記ベース嵌合部とが嵌合する請求項3に記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項5】
前記コネクタ嵌合部または前記ベース嵌合部の少なくとも一方が、前記深さ方向にかけて縮径または拡径する対称の両側テーパー形状であり、かつテーパー比率が互いに相違することを特徴とする請求項4に記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項6】
前記コネクタ部および前記ベース部は、前記一対のアンテナ端子の並び方向に対する交差方向に凹凸形成されて互いに嵌合する第二嵌合部をそれぞれ備えており、
前記第二嵌合部を互いに嵌合させることで前記アンテナ体が前記コネクタ部に対して前記並び方向に位置決めされている請求項2から5のいずれか一項に記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項7】
前記ベース部には、一対の前記第二嵌合部が前記一対のアンテナ端子よりも幅広に離間して、前記一対のアンテナ端子の並び方向に沿って配置されている請求項6に記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項8】
前記ベース部には、前記第二嵌合部が前記アンテナ端子を挟んで前記交差方向の両側にそれぞれ一対形成されている請求項7に記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項9】
前記一対のアンテナ端子の並び方向に対する交差方向に突没変形して前記コネクタ部と前記ベース部とを係合させるロック構造を備える請求項2から8のいずれか一項に記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項10】
前記ベース嵌合部が前記ベース部と一体成形され、前記コネクタ嵌合部が前記コネクタ部と一体成形されている請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ用コイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ用コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両内に設置されたアンテナ用コイル装置を用いた電子キーシステムが実用化されている。電子キーシステムでは、電子キーを所持する運転手が車両に近づいてシステムの通信圏内に入ると、アンテナ用コイル装置と電子キーとで通信を行い、このアンテナ用コイル装置に接続された車両側の制御回路が駆動されてドアの解錠やエンジンの始動が許可される。また、電子キーを所持した運転手が車両から遠ざかってシステムの通信圏内から出ると、再び車両側の制御回路が駆動されてドアの施錠が行われる。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、この種のアンテナ用コイル装置が開示されている。特許文献1のアンテナ用コイル装置は、コネクタ部とボビンが一体成形されており、ボビンの筒部にコイルが巻回されている。コネクタ部の内側には一対のアンテナ端子が露出している。アンテナ端子とコイルとは回路を介して接続されている。コネクタ部には、車両側の制御回路のインタフェースであるコネクタ(車両側コネクタ)が連結される。特許文献1のアンテナ用コイル装置では、コネクタやボビンの周囲に樹脂製のケースが嵌合装着されている。
【0004】
ここで、車両側コネクタの形状や寸法は一般に車種により異なる。特許文献2のアンテナ用コイル装置では、アンテナ体が設けられた端子台(ベース部)と、車両側コネクタが装着されるコネクタ部とは別々の部材によって分離形成されている。これにより、アンテナ体やベース部を共通の部品で作成するとともに、コネクタ部を車両側コネクタごとに対応する個別の形状に作成することで、アンテナ用コイル装置の部品の汎用化が図られている。特許文献2のアンテナ用コイル装置では、ゴム製の環状の弾性栓の一方の開口にベース部を挿入し、他方の開口にコネクタ部を挿入することで、ベース部とコネクタ部とが間接的に一体に組み合わされる。ベース部から突出するアンテナ端子は、弾性栓を貫通してコネクタ部の内側に露出している。アンテナ体および弾性栓はケースに収容されている。環状の弾性栓の周囲には周回状に突条が形成されており、この突条をケースの内側に係合させることにより、弾性栓、ベース部およびコネクタ部はケースに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−152784号公報
【特許文献2】特開2011−205616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子キーシステムの動作精度が低いと、電子キーを所持した運転手が車両に近づいてもドアが解錠せず運転手に不便が生じる。また、電子キーを所持した運転手が車両から出て遠ざかってもドアが施錠されない場合は車両のセキュリティに問題が生じる。電子キーシステムの動作精度の低下は種々の要因により発生するが、車両側コネクタとアンテナ体との導通不良がその一因となる。
【0007】
特許文献2のアンテナ用コイル装置では、ゴム製の弾性栓を介してベース部とコネクタ部とが組み合わされる。弾性栓をケースの内側に係合させると、弾性栓は周囲からケースに押圧されて歪む。このため、ベース部から突出して弾性栓に挿通されているアンテナ端子は、コネクタ部および車両側コネクタに対して相対的に変位する。結果、車両側コネクタとアンテナ体との導通不良が生じるおそれがある。
【0008】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、アンテナ体が設けられるベース部の汎用化が可能であって、外部回路のコネクタ(たとえば車両側コネクタ)とアンテナ体とを安定して導通させることができるアンテナ用コイル装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、外部回路のコネクタが着脱可能に差し込んで装着されるコネクタ部と、コイルを含むアンテナ体が設けられるベース部と、を備え、前記コネクタ部と前記ベース部とが別部材で構成されて互いに一体に組み合わせて用いられるアンテナ用コイル装置であって、前記コネクタ部又は前記ベース部の一方は、他方を装着するための開口部を備え、前記コネクタ部および前記ベース部には、前記コネクタ部の差込方向に対して交差する方向に凹凸形成されたコネクタ嵌合部およびベース嵌合部が形成されており、該コネクタ嵌合部又は該ベース嵌合部に形成された凹状の部位は、前記開口部の深さ方向に沿って形成されており、前記コネクタ嵌合部と前記ベース嵌合部とを嵌合させることにより前記アンテナ体が前記コネクタ部に対して位置決めされた状態で前記コネクタ部と前記ベース部とが組み合わされることを特徴とするアンテナ用コイル装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナ用コイル装置によれば、互いに別部材で構成されたコネクタ嵌合部とベース嵌合部とを嵌合させることによりアンテナ体がコネクタ部に対して位置決めされる。このため、本発明のアンテナ用コイル装置によれば、アンテナ体が設けられるベース部の汎用化が可能であるとともに、外部回路のコネクタとアンテナ体とを安定して導通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(a)は本発明のアンテナ用コイル装置の一例を示す分離斜視図である。図1(b)は図1(a)の部分拡大図である。
図2】本発明のアンテナ用コイル装置の一例を示す斜視図である。
図3】ベース部の先端部を示す斜視図である。
図4】コネクタ部の基端部を示す斜視図である。
図5図5(a)はコネクタ嵌合部を示す斜視図である。図5(b)はコネクタ嵌合部にベース嵌合部が挿入された状態を示す説明図である。
図6】コネクタ嵌合部とベース嵌合部との嵌合状態の横断面を示す模式図である。
図7】コネクタ部とベース部との嵌合状態の縦断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0013】
図1(a)は、本発明の実施形態にかかるアンテナ用コイル装置100を示す分離斜視図である。図1(b)は図1(a)の部分拡大図である。ベース部30は先端側の一部のみを図示し、他部を図示省略する。図2は本実施形態のアンテナ用コイル装置100を示す斜視図である。図1および図2において、アンテナ体40のコイル42の巻軸方向をZ方向、一対のアンテナ端子44の並び方向をX方向とし、Z軸およびX軸に直交する方向をY軸とする。アンテナ体40のうちコネクタ部10のある側を−Z方向とし、コネクタ部10から離れる方向を+Z方向とする。図3はベース部30の先端部を示す斜視図である。図4はコネクタ部10の基端部を示す斜視図である。
【0014】
はじめに、アンテナ用コイル装置100の概要について説明する。本実施形態のアンテナ用コイル装置100は、外部回路のコネクタ(図示せず)が着脱可能に差し込んで装着されるコネクタ部10と、コイル42を含むアンテナ体40が設けられるベース部30と、を備えている。コネクタ部10とベース部30とは別部材で構成されて互いに一体に組み合わせて用いられる。コネクタ部10およびベース部30には、コネクタ部10の差込方向に対して交差する方向に凹凸形成されたコネクタ嵌合部12およびベース嵌合部32が形成されている。コネクタ嵌合部12とベース嵌合部32とを嵌合させることによりアンテナ体40がコネクタ部10に対して位置決めされた状態でコネクタ部10とベース部30とは組み合わされる。
【0015】
アンテナ体40がコネクタ部10に対して位置決めされているとは、アンテナ体40のうちコネクタ部10の連結部分15に臨む部位、本実施形態ではアンテナ端子44、とコネクタ部10との相対位置が固定されていることをいう。
【0016】
次に、本実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のアンテナ用コイル装置100は、コイル42がコア46の周囲に巻回された磁界アンテナである。コア46はフェライトなどの透磁率の高い磁性材料からなり、棒状をなしている。コイル42は、表面を絶縁被覆した電線である。本実施形態のアンテナ用コイル装置100はバーアンテナであり、たとえば車両の電子キーシステムにおける車両側の送信用アンテナ装置として用いることができる。
【0017】
図2ではコネクタ部10とベース部30とが連結されてコイル42が露出した状態を図示しているが、アンテナ用コイル装置100はこれに限られない。アンテナ用コイル装置100は、ベース部30に巻回されたコイル42を被覆するようにしてオーバーモールドされた外装樹脂(図示せず)を備えてもよい。
【0018】
アンテナ体40は、開磁路構造を有するコア46に巻回されたコイル42と、これに直列接続されたコンデンサ(図示せず)とで共振回路を構成している。アンテナ用コイル装置100は、外部回路のコネクタ(図示せず)に接続して用いられる。外部回路のコネクタは、アンテナ用コイル装置100のコネクタ部10の先端側の凹部である連結部分15(図7を参照)に挿入される。アンテナ体40のアンテナ端子44は、コネクタ部10に対して基端側から先端側に貫通して連結部分15に露出しており、外部回路は、アンテナ体40の共振周波数に対応する交流電流をアンテナ端子44に印加する。これによりアンテナ体40(アンテナ用コイル装置100)は磁界を発生させて空気中に伝播させ、車両の運転手などのユーザが所持する電子キー(図示せず)との間で通信を行う。
【0019】
ベース部30はコア46を収容する略筒状の巻軸部36と、アンテナ端子44やコンデンサ(図示せず)を保持するヘッド部34と、が一体成形された樹脂製の部材である。なお、アンテナ体40がベース部30に設けられているとは、ベース部30がコア46およびコイル42等とともにアンテナ体40を構成していることをいう。本実施形態のコア46はZ方向に延在する略矩形断面の棒状をなしているが、コア46の断面形状や全体形状は特に限定されない。ベース部30は非導電性材料、具体的には樹脂材料からなる。ベース部30は、金属材料からなる一対のアンテナ端子44および複数の絡げ端子48を樹脂材料でインサート成形したものである。アンテナ端子44と絡げ端子48とは個別に接続されている。一対の絡げ端子48には、コイル42の両端がそれぞれ絡げられる。
【0020】
巻軸部36の周囲には、巻回されたコイル42の巻きずれを規制する突起部38が形成されている。複数の突起部38が巻軸部36の巻軸方向(Z方向)の複数箇所に離間して形成されている。コイル42は巻軸部36の周囲であって突起部38同士の間に多層に巻回されたうえで絡げ端子48に絡げられている。
【0021】
コネクタ部10は樹脂材料からなり、ベース部30のヘッド部34に装着して用いられる。アンテナ用コイル装置100を車両の電子キーシステムに用いる場合、外部回路のコネクタの形態は車種ごとに異なることがある。コネクタ部10は、車種ごとに適合する形態にて専用に設計・作成されている。一方、ベース部30およびアンテナ体40のアンテナ特性および形態は車種によらず共通に設計・作成することができる。
【0022】
ベース部30には、コイル42に接続された一対のアンテナ端子44がコネクタ部10の差込方向に突出して設けられている。本実施形態のコネクタ部10の差込方向はZ方向である。図3および図6(後述)に示すように、ベース嵌合部32は、一対のアンテナ端子44の並び方向(本実施形態ではX方向)の延長線上に形成されている。アンテナ体40はコネクタ部10に対して、この並び方向の交差方向に位置決めされている。
【0023】
ここで、ベース嵌合部32が一対のアンテナ端子44の並び方向の延長線上に形成されているとは、一対のアンテナ端子44のそれぞれの中心線を包含する平面がベース嵌合部32の少なくとも一部と交差することをいう。また、アンテナ体40がコネクタ部10に対して或る方向に位置決めされているとは、アンテナ体40とコネクタ部10との結合部分(本実施形態ではアンテナ端子44)が、ガタまたは緩みなく、また柔軟に変位することなく、コネクタ部10に対して当該方向に移動規制されていることをいう。本実施形態では、アンテナ端子44がベース部30のヘッド部34に固定され、ベース部30はベース嵌合部32およびコネクタ嵌合部12を介してコネクタ部10に嵌合固定される。このため、アンテナ端子44はコネクタ部10に対して位置決めされる。
【0024】
ベース嵌合部32は直方体状をなしており、先端側(−Z側)が滑らかに面取り加工されている。ベース嵌合部32の突出方向(±X方向)を厚み方向といい、その直交方向(±Y方向)を幅方向という。ベース嵌合部32の幅寸法は厚み寸法よりも大きい。
【0025】
図6(後述)に示すように、ベース嵌合部32は一対のアンテナ端子44の並び方向の延長線上の両側に形成されている。巻軸に直交する平面(XY平面)内において、一対のアンテナ端子44の中心同士を結ぶ直線(X方向直線)は、一対のベース嵌合部32の幅寸法の中央を通る。また、ベース嵌合部32の幅寸法(Y寸法)は、アンテナ端子44のY寸法よりも大きい。すなわち、本実施形態のアンテナ端子44は、一対のベース嵌合部32の形成領域同士を結びX方向に延在する帯状領域の内部に包含されている。これにより、一対のベース嵌合部32をコネクタ嵌合部12に嵌合させてベース部30をコネクタ部10に位置決めすることで、その内側に位置するアンテナ端子44もまたコネクタ部10に対して高い位置精度で位置決めされることとなる。
【0026】
本実施形態のヘッド部34は、コネクタ部10の差込方向(Z方向)に直交するXY平面内で延在する矩形の板状をなしている。ヘッド部34にはアンテナ端子44が面直方向に貫通して突出している。矩形のヘッド部34の周囲には、一対のアンテナ端子44の並び方向(X方向)の両側縁から外向きにベース嵌合部32が突出形成されている。ヘッド部34の周囲には更に、一対のアンテナ端子44の並び方向(X方向)に対する交差方向(本実施形態では直交方向:±Y方向)の両側縁から外向きに第二嵌合部35(35a、35b)が突出形成されている。第二嵌合部35は、一対のアンテナ端子44の並び方向にヘッド部34をコネクタ部10に対して位置決めする部位である。
【0027】
図4に示すように、本実施形態のコネクタ部10は、先端側(−Z側)に開口した筒状のコネクタ受部20と、後端側(+Z側)に開口したベース受部22と、が一体形成されている。コネクタ受部20には外部回路のコネクタが挿入される。ベース受部22にはベース部30のヘッド部34が挿入される。
【0028】
コネクタ部10は、ベース部30を装着するための有底の開口部14を備えている。アンテナ端子44を挿通する貫通孔18が開口部14の底部16に形成されている。外部回路のコネクタ(図示せず)は、コネクタ部10における−Z側に差し込まれる。開口部14は、その反対側(+Z側)に開口形成されている。
【0029】
コネクタ部10には、ベース部30のベース嵌合部32と凹凸嵌合するコネクタ嵌合部12が形成されている。本実施形態では、ベース嵌合部32が凸側であり、コネクタ嵌合部12が凹側である場合を例示しているが、これに限られない。
【0030】
ベース部30を開口部14の深さ方向に挿入して装着することにより、コネクタ嵌合部12とベース嵌合部32とは嵌合する。
【0031】
開口部14はベース部30の矩形のヘッド部34に対応する矩形の凹状である。開口部14の周囲には、一対のコネクタ嵌合部12が、貫通孔18の並び方向(X方向)にそれぞれ張り出して貫通孔18と一体形成されている。また、開口部14の周囲には、貫通孔18の並び方向に対する交差方向(本実施形態では直交方向:±Y方向)の両側に張り出すようにして、第二嵌合部24(24a、24b)が一体形成されている。
【0032】
ベース嵌合部32はベース部30と一体成形されており(図3を参照)、またコネクタ嵌合部12はコネクタ部10と一体成形されている(図4を参照)。
【0033】
図5(a)はコネクタ嵌合部12を示す斜視図であり、図4に示すコネクタ部10の部分拡大図である。図5(b)はコネクタ嵌合部12にベース嵌合部32が挿入された状態を示す説明図である。
【0034】
コネクタ嵌合部12またはベース嵌合部32の少なくとも一方は、開口部14の深さ方向にかけて縮径または拡径する対称の両側テーパー形状をなしている。そして、コネクタ嵌合部12とベース嵌合部32のテーパー比率は互いに相違している。ここで、テーパー比率が異なるとは、コネクタ嵌合部12またはベース嵌合部32の一方のテーパー比率が零であることを含む。このほか、コネクタ嵌合部12とベース嵌合部32とのテーパー方向が逆であること、すなわち、一方が深さ方向にかけて縮径し、他方が深さ方向にかけて拡径していることを含む。
【0035】
本実施形態ではベース嵌合部32が凸部でありコネクタ嵌合部12が凹部である場合を例示する。本実施形態のコネクタ嵌合部12は、開口部14の深さ方向(−Z方向)にかけて幅寸法(Y寸法)が縮小するテーパー形状をなしている。一方、ベース嵌合部32は幅寸法が均一なストレート形状(テーパー比率が零)をなしている。図5に示すようにベース嵌合部32をコネクタ嵌合部12に対して挿入していくことで、ベース嵌合部32の先端部(−Z側の端部)はコネクタ嵌合部12の内壁面に圧接される。コネクタ嵌合部12は、幅方向に対称の両側テーパー形状である。言い換えると、コネクタ嵌合部12の内壁面の傾斜は幅中心に関して対称である。このため、ベース嵌合部32の幅寸法に加工誤差が生じたとしても、またコネクタ嵌合部12に対するベース嵌合部32の挿入深さに製品個体差が生じたとしても、ベース嵌合部32をコネクタ嵌合部12に押入するだけで、ベース嵌合部32とコネクタ嵌合部12が幅方向(Y方向)に自動的に中心あわせされる。よって、コネクタ部10に対するアンテナ端子44の突出位置のY方向に関する位置精度を高めることができる。
【0036】
貫通孔18の開口寸法はアンテナ端子44の断面寸法よりも大きく、アンテナ端子44は貫通孔18に対して遊挿されている。貫通孔18の周縁(底部16)がアンテナ端子44と干渉しないことで、貫通孔18の加工精度によってアンテナ端子44の位置決め精度が低下することを防止している。
【0037】
図6は、コネクタ嵌合部12とベース嵌合部32との嵌合状態の横断面を示す模式図である。XY平面に沿って切断したアンテナ用コイル装置100の断面を横断面という。
【0038】
コネクタ部10およびベース部30は、一対のアンテナ端子44の並び方向に対する交差方向に凹凸形成されて互いに嵌合する第二嵌合部24(24a、24b)、35(35a、35b)をそれぞれ備えている。第二嵌合部24、35を互いに嵌合させることで、アンテナ体40はコネクタ部10に対して並び方向に位置決めされている。これにより、本実施形態のアンテナ用コイル装置100では、アンテナ体40のアンテナ端子44がコネクタ部10に対して、アンテナ端子44の並び方向およびその交差方向に、ともに位置決めされる。このため、コネクタ部10を介して外部回路(図示せず)とアンテナ端子44とが極めて安定して電気的および機械的に接続される。
【0039】
本実施形態のアンテナ用コイル装置100では、コネクタ部10の第二嵌合部24(24a、24b)が凹部であり、ベース部30の第二嵌合部35(35a、35b)が凸部である場合を例示する。
【0040】
第二嵌合部24、35の個数は特に限定されない。各1個でもよく、各複数個でもよい。複数個の凸部が1つの凹部に嵌合することとしてもよい。本実施形態では、アンテナ端子44を挟んで±Y方向の両側に、それぞれ2個の第二嵌合部24、35が形成されている態様を例示する。
【0041】
図6に示すように、ベース部30には、一対の第二嵌合部35(35a−35a、35b−35b)が、一対のアンテナ端子44の並び方向(X方向)に沿って配置されている。一対の第二嵌合部35(35a−35a、35b−35b)は、一対のアンテナ端子44よりも幅広に離間して配置されている。
【0042】
ベース部30には、第二嵌合部35は、アンテナ端子44を挟んで交差方向の両側にそれぞれ一対形成されている。より具体的には、第二嵌合部35a−35aの間隔W1は、一対のアンテナ端子44の間隔W0よりも大きい。また、第二嵌合部35b−35bの間隔W2も、一対のアンテナ端子44の間隔W0よりも大きい。なお、一対の第二嵌合部35同士またはアンテナ端子44同士の間隔とは、アンテナ端子44の並び方向(X方向)に関する近接縁間の距離である。本実施形態のように第二嵌合部35が複数対(35a−35a、35b−35b)ある場合において、一対の第二嵌合部35が一対のアンテナ端子44よりも幅広に離間して配置されているとは、少なくとも一対の第二嵌合部35(35aまたは35b)の間隔がアンテナ端子44同士の間隔よりも大きいことをいう。
【0043】
本実施形態では、第二嵌合部35a−35aの間隔W1と、第二嵌合部35b−35bの間隔W2とは互いに等しい。本実施形態のように一対の第二嵌合部35が一対のアンテナ端子44よりも幅広に離間して配置されていることで、第二嵌合部35よりも更に高い加工精度で、一対のアンテナ端子44を形成することができる。
【0044】
図7は、コネクタ部10とベース部30との嵌合状態の縦断面を示す模式図である。Z軸に沿って切断したアンテナ用コイル装置100の断面を縦断面という。
【0045】
アンテナ用コイル装置100は、一対のアンテナ端子44の並び方向(X方向)に対する交差方向(Y方向)に突没変形してコネクタ部10とベース部30とを係合させるロック構造50を備えている。
【0046】
図2および図7に示すように、ロック構造50は、ベース部30のヘッド部34に形成された係止爪52と、コネクタ部10のベース受部22に形成された規制片54とで構成されている。係止爪52はヘッド部34より周方向の外方(本実施形態では±Y方向)に突出形成されている。係止爪52は先端側(−Z側)が傾斜しており、後端側(+Z側)は起立した返し部になっている。
【0047】
規制片54は同方向(Y方向)に突没自在に弾性変形する部位である。規制片54は、コネクタ部10の開口部14の深さ方向(−Z方向)に延在する舌片状であり、ベース受部22と一体形成されている。ヘッド部34をベース受部22に挿入すると、係止爪52が規制片54を押し上げながら開口部14に進入する。係止爪52が規制片54を超える深さまでヘッド部34が十分に挿入されると、規制片54は弾性的に復元して係止爪52の後端側と係合する。これにより、係止爪52の戻りが規制され、ヘッド部34(ベース部30)がコネクタ部10の開口部14から抜け落ちることが防止される。
【0048】
ロック構造50(係止爪52、規制片54)は1箇所に設けられてもよく、または複数箇所に設けられてもよい。本実施形態では、アンテナ用コイル装置100のうち対向する2箇所(±Y側)に設けられている。これにより、アンテナ体40がコネクタ部10に対して安定的に固定される。
【0049】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
上記実施形態では、アンテナ端子44が均一な太さの棒状で貫通孔18に遊挿されることを例示したが、これに限られない。アンテナ端子44に太径部を設けてコネクタ部10の底部16(貫通孔18)に嵌合させてもよい。
また、上記実施形態ではコネクタ嵌合部12およびベース嵌合部32が幅方向(Y方向)にのみ縮径するテーパー状をなす態様を例示したが、これに代えて、突出厚みおよび深さが深さ方向(Z方向)に漸減するテーパー形状としてもよい。
【0050】
本発明のアンテナ用コイル装置の各種の構成要素は個々に独立した存在である必要はなく、一部材または別部材であることを明示した場合を除き、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0051】
本発明の上記実施形態は、以下の技術思想を包含する。
(1)外部回路のコネクタが着脱可能に差し込んで装着されるコネクタ部と、コイルを含むアンテナ体が設けられるベース部と、を備え、前記コネクタ部と前記ベース部とが別部材で構成されて互いに一体に組み合わせて用いられるアンテナ用コイル装置であって、前記コネクタ部および前記ベース部には、前記コネクタ部の差込方向に対して交差する方向に凹凸形成されたコネクタ嵌合部およびベース嵌合部が形成されており、前記コネクタ嵌合部と前記ベース嵌合部とを嵌合させることにより前記アンテナ体が前記コネクタ部に対して位置決めされた状態で前記コネクタ部と前記ベース部とが組み合わされることを特徴とするアンテナ用コイル装置。
(2)前記ベース部には、前記コイルに接続された一対のアンテナ端子が前記差込方向に突出して設けられており、前記ベース嵌合部は前記一対のアンテナ端子の並び方向の延長線上に形成されていて、前記アンテナ体が前記コネクタ部に対して前記並び方向の交差方向に位置決めされている上記(1)に記載のアンテナ用コイル装置。
(3)前記コネクタ部は前記ベース部を装着するための有底の開口部を備えており、前記アンテナ端子を挿通する貫通孔が前記開口部の底部に形成されている上記(2)に記載のアンテナ用コイル装置。
(4)前記ベース部を前記開口部の深さ方向に挿入して装着することにより、前記コネクタ嵌合部と前記ベース嵌合部とが嵌合する上記(3)に記載のアンテナ用コイル装置。
(5)前記コネクタ嵌合部または前記ベース嵌合部の少なくとも一方が、前記深さ方向にかけて縮径または拡径する対称の両側テーパー形状であり、かつテーパー比率が互いに相違することを特徴とする上記(4)に記載のアンテナ用コイル装置。
(6)前記コネクタ部および前記ベース部は、前記一対のアンテナ端子の並び方向に対する交差方向に凹凸形成されて互いに嵌合する第二嵌合部をそれぞれ備えており、前記第二嵌合部を互いに嵌合させることで前記アンテナ体が前記コネクタ部に対して前記並び方向に位置決めされている上記(2)から(5)のいずれかに記載のアンテナ用コイル装置。
(7)前記ベース部には、一対の前記第二嵌合部が前記一対のアンテナ端子よりも幅広に離間して、前記一対のアンテナ端子の並び方向に沿って配置されている上記(6)に記載のアンテナ用コイル装置。
(8)前記ベース部には、前記第二嵌合部が前記アンテナ端子を挟んで前記交差方向の両側にそれぞれ一対形成されている上記(7)に記載のアンテナ用コイル装置。
(9)前記一対のアンテナ端子の並び方向に対する交差方向に突没変形して前記コネクタ部と前記ベース部とを係合させるロック構造を備える上記(2)から(8)のいずれかに記載のアンテナ用コイル装置。
(10)前記ベース嵌合部が前記ベース部と一体成形され、前記コネクタ嵌合部が前記コネクタ部と一体成形されている上記(1)から(9)のいずれかに記載のアンテナ用コイル装置。
【0052】
(産業上の利点)
以上説明したアンテナ用コイル装置100によれば、コネクタ部10とアンテナ端子44との電気的な接合信頼性を高めることができる。このため、アンテナ用コイル装置100を車両用の電子キーシステムに用いた場合には不作動や誤作動がない。ひとたび誤作動が発生した場合には車両ドアが開いてしまうことになり盗難等のリスクが生じるところ、アンテナ用コイル装置100によればそれを低減することができる。
【符号の説明】
【0053】
10:コネクタ部、12:コネクタ嵌合部、14:開口部、15:連結部分、16:底部、18:貫通孔、20:コネクタ受部、22:ベース受部、24・35:第二嵌合部、30:ベース部、32:ベース嵌合部、34:ヘッド部、36:巻軸部、38:突起部、40:アンテナ体、42:コイル、44:アンテナ端子、46:コア、48:絡げ端子、50:ロック構造、52:係止爪、54:規制片、100:アンテナ用コイル装置、W0・W1・W2:間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7