(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、表示装置の種別に応じて、カラーマッチングにおける不要な調整を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、画像を表示する表示装置の種別を表す種別情報を取得する種別取得手段と、前記種別情報に基づいて、前記表示装置の
調整対象である白の輝度および白の色温度をそれぞれ調整するか否かを決定する
調整対象決定手段とを含む表示装置の設定装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、
前記種別情報のうちのひとつは、PC用液晶モニタであり、画像を表示する表示装置がPC用液晶モニタであった場合は、前記調整対象決定手段は、白の輝度および白の色温度のいずれも調整しないことを決定することを特徴とする請求項1記載の表示装置の設定装置である。
請求項3記載の発明は、
前記種別情報のうちのひとつは、携帯型情報端末であり、画像を表示する表示装置が携帯型情報端末用であった場合は、前記調整対象決定手段は、白の輝度および白の色温度のうち、白の輝度のみを調整すると決定することを特徴とする請求項
1記載の表示装置の設定装置である。
【0008】
請求項4記載の発明は、画像を表示する表示装置の種別を表す種別情報を取得するステップと、前記種別情報に基づいて、前記表示装置の
調整対象である白の輝度および白の色温度をそれぞれ調整するか否かを決定するステップとを含む表示装置の設定方法である。
【0009】
請求項5記載の発明は、コンピュータに、画像を表示する表示装置の種別を表す種別情報を取得する機能と、前記種別情報に基づいて、前記表示装置の
調整対象である白の輝度および白の色温度をそれぞれ調整するか否かを決定する機能とを実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、表示装置の種別に応じて、カラーマッチングにおける不要な調整を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、例えば
PC用液晶モニタにおける輝度および色温度
の調整を
不要にできる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、
例えば携帯型情報端末における色
温度の調整を不要にできる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、表示装置の種別に応じて、カラーマッチングにおける不要な調整を抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、表示装置の種別に応じて、カラーマッチングにおける不要な調整を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像表示システム10の構成の一例を示した図である。
この画像表示システム10は、表示のための画像データの作成等を行うコンピュータ装置20と、コンピュータ装置20で作成された画像データに基づく画像を表示画面に表示する表示装置30と、コンピュータ装置20に対する入力等を受け付ける入力装置40とを備えている。そして、画像表示システム10に設けられたコンピュータ装置20は、他の機器と通信を行うためのネットワーク50に接続されている。
【0013】
この画像表示システム10において、コンピュータ装置20および表示装置30はDVI(Digital Visual Interface)を介して接続されており、コンピュータ装置20および入力装置40はUSB(Universal Serial Bus)を介して接続されている。なお、コンピュータ装置20および表示装置30については、DVIに代えて、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)やDisplayPortを介して接続するようにしてもかまわない。
【0014】
コンピュータ装置20は、所謂汎用のパーソナルコンピュータ(PC)である。そして、コンピュータ装置20は、OS(Operating System)の管理下において、各種アプリケーションソフトウェアを動作させることで、画像データの作成等を実行するようになっている。
【0015】
また、表示装置30は、例えばPC用の液晶ディスプレイ、液晶テレビあるいはプロジェクタなど、加法混色にて画像を表示する機能を備えたもので構成される。したがって、表示装置30における表示方式は、液晶方式に限定されるものではない。
【0016】
さらに、入力装置40としては、例えキーボード装置やマウス装置等が挙げられる。
【0017】
なお、本実施の形態において、所謂ノートPCや所謂タブレット端末等の携帯型情報機器は、コンピュータ装置20、表示装置30および入力装置40を内蔵する画像表示システム10として把握することができる。
【0018】
この画像表示システム10では、例えば入力装置40およびコンピュータ装置20を用いて作成した画像データに基づく画像を、表示装置30の表示画面31(後述する
図3参照)に表示させるようになっている。ここで、コンピュータ装置20で動作するアプリケーションソフトウェアを用いて製品のデザイン等を行う場合には、表示装置30における表示画面31に、画像を正しい色で表示させることが要求される。このため、この画像表示システム10では、表示装置30の表示画面31に表示させる画像の色を較正するカラーマッチング動作を実行できるようになっている。ここで、本実施の形態におけるカラーマッチング動作には、表示装置30の色温度および輝度のそれぞれをハードウェアの設定を変更して目標とする大きさに色調整するハードウェアカラーマッチング動作と、コンピュータ装置20での色変換処理に用いられる色変換プロファイルを、表示装置30のデバイス特性に応じて作成するソフトウェアカラーマッチング動作とが含まれる。色変換プロファイルは、コンピュータ装置20のビデオカード、OS、あるいはコンピュータ装置20で使用するアプリケーションにおいて、色変換処理を実行する際に利用される。
【0019】
図2は、コンピュータ装置20のハードウェア構成を示した図である。
コンピュータ装置20は、上述したようにパーソナルコンピュータ等により実現される。そして、コンピュータ装置20は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)20aと、記憶手段であるメインメモリ20bおよびHDD(Hard Disk Drive)20cとを備える。ここで、CPU20aは、OSやアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行する。また、メインメモリ20bは、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD20cは、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。さらに、コンピュータ装置20は、入力装置40や表示装置30、そしてネットワーク50を含む外部との通信を行うための通信インタフェース(以下、「通信I/F」と表記する)20dを備えている。
【0020】
なお、このプログラムに関する提供形態としては、予めHDD20cに格納された状態にて提供され、メインメモリ20bにロードされる形態がある。また、インターネット等のネットワーク50(
図1参照)を介してコンピュータ装置20にプログラムが伝送され、通信I/F20dを介してHDD20cにインストールされ、メインメモリ20bにロードされる形態がある。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ等の外部記録媒体からメインメモリ20bにロードされる形態がある。
【0021】
図3は、本実施の形態のコンピュータ装置20の機能構成例を示した図である。
このコンピュータ装置20は、表示装置30に設けられた表示画面31における表示条件の設定および表示装置30における色変換目標の作成等を含む表示装置30の設定を行う表示装置設定部21と、表示装置設定部21が設定した色変換目標を用いて、色変換において使用する色変換プロファイルを作成する色変換プロファイル作成部22と、色変換プロファイル作成部22が作成した色変換プロファイルを用いて、外部から入力されてくる色信号(RGB)に色変換処理を施し、変換後の色信号(R’G’B‘)を表示装置30に向けて出力する色変換部23とを有している。
【0022】
これらのうち、表示装置設定部21は、入力装置40等を介して入力されてくる、表示装置30の種別を表す種別情報を受け付ける入力受付部211と、入力受付部211が受け付けた種別情報に基づいて表示装置30の色変換目標を設定する色変換目標設定部212と、表示装置30を含む各種表示装置の種別情報とその基準特性とを対応付けた基準情報テーブル(詳細は後述する)を記憶する基準情報記憶部213と、入力受付部211が受け付けた種別情報に対応する基準情報を基準情報記憶部213から取得する基準情報取得部214と、基準情報取得部214が取得した基準情報に基づいて表示装置30における表示特性(表示設定)の調整対象を決定する調整対象決定部215とを備えている。ここで、本実施の形態では、入力受付部211が種別取得手段として、基準情報取得部214が基準取得手段として、調整対象決定部215が対象決定手段として、色変換目標設定部212が目標決定手段として、それぞれ機能している。なお、種別情報、基準情報および調整対象の詳細については後述する。
【0023】
次に、本実施の形態の画像表示システム10における表示装置30のカラーマッチング動作について、詳細に説明を行う。なお、ここでは、表示画面31に表示する白の色温度の目標が6500Kであり、表示画面31に表示する白の輝度の目標が100cd/m
2であるものとする。
【0024】
図4は、表示装置30のカラーマッチング動作における処理手順を示すフローチャートである。
この処理においては、まず、コンピュータ装置20の表示装置設定部21に設けられた入力受付部211が、コンピュータ装置20に接続されている表示装置30の種別情報についての入力を受け付ける(ステップ110)。次に、コンピュータ装置20の表示装置設定部21に設けられた基準情報取得部214が、入力受付部211が受け付けた種別情報に基づき、基準情報記憶部213に記憶されている基準情報テーブルから、種別情報に対応する基準情報を取得する(ステップ120)。また、コンピュータ装置20の表示装置設定部21に設けられた色変換目標設定部212が、入力受付部211が受け付けた種別情報に基づいて、表示装置30の色変換目標を設定する(ステップ130)。
【0025】
次いで、コンピュータ装置20の表示装置設定部21に設けられた調整対象決定部215が、基準情報取得部214が取得した基準情報に基づき、表示装置30における表示特性の調整対象を決定する(ステップ140)。なお、ステップ140では、調整対象の有無を決定するとともに、調整対象があると決定した場合にはその調整対象となる特性(1または複数)を決定する。
【0026】
そして、調整対象決定部215は、ステップ140において調整対象があると決定したか否かを判断する(ステップ150)。ステップ150において肯定の判断(YES)を行った場合、表示装置30において、ステップ140で決定された調整対象についての調整動作が実行され(ステップ160)、後述するステップ170へと進む。一方、ステップ150において否定の判断(NO)を行った場合は、そのままステップ170に進む。
【0027】
そして、色変換プロファイル作成部22が、表示装置設定部21における色変換目標設定部212から取得した色変換目標に基づき、色変換部23で用いる色変換プロファイルを作成し(ステップ170)、カラーマッチング動作を完了する。
【0028】
では、上述したカラーマッチング動作における処理の内容について、具体例を挙げて説明する。
図5は、コンピュータ装置20の表示装置設定部21に設けられた基準情報記憶部213に記憶される基準情報テーブルの一例を示す図である。
図5に示す基本情報テーブルは、表示装置30を含む複数の表示デバイスの種別すなわち種別情報と、各表示デバイスに想定される特性すなわち基準情報とを対応付けたものとなっている。なお、この例において、表示デバイスの種別は3つ(TypeA、TypeBおよびTypeC)であり、表示デバイスの特性は3つ(白の輝度、白の色温度および色再現域)である。
【0029】
ここで、種別情報には、表示デバイスの種別(表示方式や用途)を表す情報や、表示デバイスに固有な情報(製造者、発売年度、表示パネルの種類、製造箇所)などが含まれる。
また、基準情報には、それぞれの表示デバイスの初期設定における、輝度、色温度、階調特性、黒特性、グレーバランスなどが含まれる。一般に、表示デバイスの種別が同じであれば、例えば製造者等が異なっていても、その初期設定は似たような特性であることが多い。例えばPC用として販売されている単体の液晶モニタにおいては、色温度の初期設定が6500K程度とされるものが多く、液晶テレビにおいては、色温度の初期設定が6500Kよりも高い8000K〜9000K程度とされるものが多い。
【0030】
この例において、まず、「TypeA」については、白の輝度が「通常」(例えば100cd/m
2)、白の色温度が「ニュートラル」(例えば6500K)、色再現域が「sRGBと同等レベル」となっている。また、「TypeB」については、白の輝度が「通常よりも明るい」(例えば140cd/m
2)、白の色温度が「ニュートラルよりも高い(青い)」(例えば9000K)、色再現域が「sRGBよりも広い」となっている。さらに、「TypeC」については、白の輝度が「通常よりも暗い」(例えば60cd/m
2)、白の色温度が「ニュートラルよりも低い(赤い)」(例えば4500K)、色再現域が「sRGBよりも狭い」となっている。
【0031】
なお、この例において、「TypeA」はPC用の液晶モニタを、「TypeB」は液晶テレビを、「TypeC」は携帯型情報機器を、それぞれ想定したものである。
【0032】
また、
図6は、表示装置30を含む複数の表示デバイスの種別(種別情報)と、
図4のステップ130において設定される色変換目標および
図4のステップ140において決定される調整対象とを対応付けたパラメータテーブルの一例を示す図である。なお、この例において、表示デバイスの種別は
図5と同じく3つ(TypeA、TypeBおよびTypeC)となる。
【0033】
この例においては、「TypeA」、「TypeB」および「TypeC」の何れにおいても、色変換目標が「sRGB」となる。すなわち、表示デバイスの種別に関わらず、共通の色空間(ここではsRGB)が色変換目標として設定されることになる。
【0034】
また、この例において、「TypeA」については、調整対象が「なし」となる。また、「TypeB」については、「輝度および色温度」となる。さらに、「TypeC」については、調整対象が「輝度」となる。
【0035】
例えばステップ110において、種別情報として「TypeA」が入力されてきた場合は、ステップ130において色変換目標が「sRGB」に設定されるとともに、ステップ140において調整対象が「なし」に設定される。したがって、ステップ160における調整は行われないまま、ステップ170において色変換プロファイルが作成される。
【0036】
TypeAのような表示デバイス(PC用の液晶モニタ)の場合には、表示特性(白の輝度および白の色温度)の初期設定が、カラーマネージメントを考慮していることが多い。そこで、この場合には、これら白の輝度および白の色温度の調整をいじくり回すことで時間を無駄に浪費することを抑制するため、これらの調整を行うことなく、色変換プロファイルを作成する。
【0037】
また、例えばステップ110において、種別情報として「TypeB」が入力されてきた場合は、ステップ130において色変換目標が「sRGB」に設定されるとともに、ステップ140において調整対象が「輝度および色温度」に設定される。したがって、ステップ160において輝度の調整および色温度の調整が行われた後、ステップ170において色変換プロファイルが作成される。
【0038】
TypeBのような表示デバイス(液晶テレビ)の場合には、表示特性の初期設定が、カラーマネージメントを考慮せず、例えば画像のメリハリ等を強調することを目的としていることが多い。そこで、この場合には、白の輝度および白の色温度の両者を調整した後に、色変換プロファイルを作成する。
【0039】
さらに、例えばステップ110において、種別情報として「TypeC」が入力されてきた場合は、ステップ130において色変換目標が「sRGB」に設定されるとともに、ステップ140において調整対象が「輝度」に設定される。したがって、ステップ160において輝度の調整が行われた後、ステップ170において色変換プロファイルが作成される。
【0040】
TypeCのような表示デバイス(携帯型情報機器)の場合には、表示特性の初期設定が、カラーマネージメントを考慮せず、例えばバッテリーの長寿命化等を目的としていることが多い。また、TypeCのような表示デバイスの場合には、表示特性の調整を、広い範囲で行うことが困難なことも多い。そこでこの場合には、白の色温度については調整を行わず、白の輝度のみを調整した後に、色変換プロファイルを作成する。
【0041】
なお、上述した説明では、ステップ110において種別情報(TypeA、TypeB、TypeC)を直接入力するようにしていたが、これに限られるものではない。
図7は、例えばステップ110において表示装置30の表示画面31に表示される種別情報の入力画面の一例を示す図である。
この入力画面は、表示デバイスの種別の入力を受け付ける種別設定受付領域301と、種別設定が完了した後に入力の受け付けが可能となる詳細設定受付領域302とを有している。この例において、種別設定受付領域301には、選択肢として、「液晶モニタ(単体)」、「液晶テレビ」、「プラズマテレビ」、「プロジェクタ」、「ノートPC」、「タブレット端末」、「その他」が掲載されており、ユーザが、図示しないポインタを使用して各項目の左側にあるボタンをクリックすることで、設定を受け付けるようになっている。また、詳細設定受付領域302には、項目として「メーカ名」、「型番」、「発売年度」、「パネル情報」が掲載されており、ユーザが、図示しないポインタを使用して各項目の右側にあるプロダウンメニューをクリックすることで、さらに選択可能な項目が出現し、これらの中からの選択を受け付けるようになっている。
【0042】
このようなユーザインタフェースを採用することで、ユーザによる種別情報の設定ミスを抑制することが可能になる。
【0043】
なお、本実施の形態では、コンピュータ装置20の表示装置設定部21に設けられた基準情報記憶部213(HDD20c)に、基準情報テーブルを記憶させるようにしていたが、これに限られるものではない。例えば、ネットワーク50を介してコンピュータ装置20と接続されるデータベースサーバ(図示せず)を基準情報記憶部213として機能させ、カラーマッチング動作を実行する際に、このデータベースサーバから基準情報を取得するようにしてもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、表示装置30と接続されたコンピュータ装置20に色変換部23を内蔵させるようにしていたが、これに限られるものではない。例えば表示装置30に色変換部23を内蔵させてもよいし、コンピュータ装置20と表示装置30との間に色変換部23を内蔵する別の機器(通信ケーブル等を含む)を配置するようにしてもかまわない。また、コンピュータ装置20に色変換部23を内蔵させる態様にあっては、OSに組み込むもの、OS上で動作するアプリケーションソフトウェアに組み込むもの、ビデオカードに組み込むもの、等のいずれであってもかまわない。
【0045】
さらに、本実施の形態では、入力装置40等を介して表示装置30の種別情報の入力を受け付けていたが、これに限られるものではない。例えば、表示装置30から出力されるEDID(Extended Display Identification Data)を取得し、これを種別情報として利用することも可能である。