(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、計測対象物OBの表面の角度計測を行なう計測装置10の構成例を示す図である。計測装置10は、計測部12及び検出部14を備えている。
【0026】
図2に、計測部12及び検出部14の具体的な構成例を示す。
【0027】
検出部14は、光源部30、集光光学系(以下、集光レンズという)32、及び受光器34を備えている。
【0028】
光源部30は、各々計測対象物OBに入射され各々の光軸が互いに平行又は略平行な複数の光を順次出射する光源を含んで構成されている。これにより、複数の光の光軸部分の照射位置が計測対象物OBの異なる位置となるように光を照射することができる。本実施形態において、光源部30に含まれる光源は、複数の発光部が一体的に形成されており、各発光部が順次(時間差で)発光することにより、計測対象物OBに対して順次(時間差で)光が照射される。複数の発光部は、本実施形態では、一次元状に配列されているものとするが、二次元状に配列されていてもよい。
【0029】
なお、光源の構成は、これに限定されず、例えば、発光部を1つとし、該発光部から出射された光をミラー等により分岐して計測対象物OBに照射するようにしてもよいし、移動機構を設け1つの光源を移動して照射するようにしてもよい。
【0030】
なお、光源の発光部としてLEDを使用してもよいが、半導体レーザを用いるとよい。半導体レーザは、例えば、共振器を半導体基板に沿った方向に作り込み、へき開した側面から光(以下、半導体レーザからの光を光ビームという)を半導体基板に沿った方向へ出射する端面発光レーザ(Edge Emitting Laser(EEL))であってもよい。また、光ビームが半導体基板と垂直に出射する面発光レーザ(Surface Emitting Laser(SEL))、より具体的には、共振器を半導体基板と垂直に作り込んだ垂直共振器型面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser(VCSEL))を用いてもよい。VCSELを用いることにより、1枚の素子で互いに光軸が平行或いは略平行な複数の光ビームを発光できるため構成部品は大幅に簡素化される。また、半導体プロセスの精度による複数の光ビームの光軸の間隔と平行度とを確保できる上、順次発光する際に電子的に正確なタイミングで発光することが可能となる。本実施形態では、光源部30に含まれる光源に、VCSELを用いるものとする。
【0031】
集光レンズ32は、計測対象物OBで反射した光を集光する。
【0032】
受光器34は、受光面が集光レンズ32の後側焦点面に配置され、受光面で受光された光の光量分布を出力する。なお、
図2において、受光器34の受光面の中心位置が、集光レンズ32のレンズの中心軸(レンズ光軸)上となるように受光器34が配置されているが、これに限定されるものではない。受光器34は、例えば、複数の画素が一次元状または二次元状に配列された撮像素子であってもよい。また、撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の何れであってもよい。また、受光器34は、例えば、PSD(Position Sensitive Detector:位置検出素子)であってもよい。PSDの場合には、受光面で受光された光の光量の重心位置が出力される。
【0033】
計測部12は、光源部30から対象物に照射された光毎に受光器34から出力された出力値に基づいて、計測対象物OBの表面の角度及び角度分布の少なくとも一方を計測する。
【0034】
計測部12は、
図2に示すように、コンピュータ200で実現することができる。コンピュータ200は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)24、及び入出力インタフェース(入出力IF)26を備え、これらは各々バス28により接続されている。
【0035】
ROM22には、主としてCPU20により実行される各種プログラムや各種データ等が予め記憶されている。各種プログラムには、光源部30から対象物に照射された光毎に受光器34から出力された出力値に基づいて、計測対象物OBの表面の角度又は角度分布を計測するためのプログラムも含まれる。RAM24には、CPU20の処理に伴う各種データ等が一時的に記憶される。
【0036】
なお、CPU20が実行するプログラムが記憶される記録媒体は、ROM22に限定されず、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)であってもよいし、CD−ROMであってもよいし、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの可搬型記録媒体や計測部12の外部に備えられたHDD等の記憶装置等であってもよく、更にまたネットワークを介して接続されたデータベース、又は他のコンピュータシステム並びにそのデータベースであってもよい。
【0037】
また、入出力IF26は、受光器34に接続されている。入出力IF26は、受光器34からの出力値をCPU20に出力する。
【0038】
なお、光源部30の発光制御をコンピュータ200が行なうようにしてもよい。
【0039】
次に、本実施形態の計測装置10の作用について説明する。
【0040】
光源部30から、計測対象物OBの表面に対して光ビームを1本ずつ順次照射する。計測対象物OBからの反射光は集光レンズ32に入射され、集光レンズ32により受光器34の受光面(集光レンズ32の後側焦点面)に集光され、受光器34で受光される。
【0041】
計測部12は、受光器34から反射光の光量分布又は重心位置を取得し、計測対象物OBに照射した光ビーム毎に、計測対象物OB表面の角度及び角度分布の少なくとも一方を求める。
【0042】
図3を参照して計測部12の計測方法について説明する。
図3は、受光器34が、複数の画素が一次元状に配列された撮像素子により反射光を受光する受光器であって、受光器34の受光面の中心が、集光レンズ32の後側焦点面のレンズ光軸上に位置するよう配置され、計測対象物OBに対して垂直方向から光ビームが照射されたときの反射光の一例を模式的に示した図である。
【0043】
図3では、受光器34の撮像素子において、集光レンズ32のレンズ光軸上に位置する画素がr0の符号で示されている。画素r0から外側に向かって配列された画素には、順にr1、r2、r3の符号が付されている。
【0044】
計測対象物OB表面で反射した反射光のうち、計測対象物OBで正反射した光は、集光レンズ32の後側焦点面のレンズ光軸に集光する。従って、
図3では、画素r0の受光量が最も大きくなる(ピーク位置がr0付近となる)。また、レンズ光軸から角度θだけ傾いた角度で反射した光は、集光レンズ32の後側焦点面上のレンズ光軸から外側の以下の式(1)に示す
距離rだけ離れた位置に集光する。
図3においては、r1〜r3の何れかの画素で受光量が最も大きくなる。
【0046】
ここで、fは集光レンズ32の前側焦点距離である。焦点面上の集光の分布はガウシアン分布に近似されることが多い。従って、例えば、受光器34が、複数の画素が配列された撮像素子の場合には、各画素からの出力値から得られた光量分布の重心位置や広がり方に基づいて、計測対象物OBを光ビームが反射した反射点の中心角度θや、ある角度の方向にどのような割合で散乱されるか、即ち、反射の散乱の度合い(反射角度分布)を計算することができる。また、受光器34がPSDの場合には、重心位置が得られるため、反射の中心角度θを計測することができる。
【0047】
なお、計測部12は、上記得られた反射の中心角度θ及び反射角度分布の少なくとも一方を、計測対象物OB表面の角度(傾き)を示す値として用いてもよいし、該反射の中心角度θ及び反射角度分布の少なくとも一方と計測対象物OB表面の角度(傾き)を示す値とを対応付けて記憶しておき、θから計測対象物OB表面の角度を示す値を求めてもよい。
【0048】
各光ビームの照射位置は各々異なるため、結果として、計測部12は、計測対象物OB表面における上記複数の光ビームによる照射領域の角度分布を得ることができる。
【0049】
上記(1)式から明らかなように、計測対象物OB表面の高さ方向の位置に関わりなく角度θが求められるため、計測対象物OBの位置が上下に変動したとしても、計測部12は、該位置変動の影響なく角度計測することができる。
【0050】
なお、
図2に示すように、検出部14を構成した場合には、計測対象物OBに対して斜め方向から光ビームが照射されるため、計測対象物OBからの反射光は、光源部30からの照射光とレンズ光軸とのなす角度だけ、光源部30と反対側にずれた位置に反射することになる。従って、計測対象物OBからの正反射光の集光位置(焦点位置)はレンズ光軸からずれ、該正反射光を受光器34で受光した場合の出力(ピーク位置)は、受光器34の受光面の中心位置から(光源部30から離れる方向に)ずれることとなる。このため、このずれ量を考慮して角度計測されるように、光源部30からの照射光とレンズ光軸とのなす角度を計測部12に設定しておくとよい。
【0051】
ところで、このように、計測対象物OBからの正反射光の集光位置がレンズ光軸よりも外側にずれると、計測できる反射角度範囲が狭くなる。従って、計測範囲が広がるように、受光器34の位置をずらして設置してもよい。
【0052】
図4に、受光器34の位置をずらして構成した計測装置10A(
図1の計測装置10と区別するために添え字Aを付した)を示す。計測装置10Aにおいて、計測装置10と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図4に示すように、計測装置10Aは、計測部12及び検出部14Aを備え、検出部14Aは、光源部30、集光レンズ32、及び受光器34を備えている。検出部14Aの受光器34は、その受光面の中心位置がレンズ光軸よりも外側(
図4において光源部30から離れる方向)にずれた位置となるように設置されている。より具体的には、正反射光の集光位置が受光器34の中心位置となるように受光器34の位置を外側にずらして設置する。すなわち、光源部30からの光の照射方向と逆側にずらす。
【0054】
これによって受光器34の受光面の中心位置で正反射光を受光することが可能となり、受光器34の受光面の面積を有効利用して広い反射角度範囲を読み取ることができる。例えば、集光レンズ32を焦点距離20mmのレンズとし、受光器34を一辺6.8mmの受光面を備えた撮像素子とすると、上記(1)式、すなわち、r=f・tanθにおいて、最大距離r
max=6.8/2mm、及びf=20mmとなる。従って、読取角度の全幅(θ×2)は20度まで可能となり、計測範囲を拡大することができる。
【0055】
このように受光器34を設置することにより、受光器34の受光面積を有効利用することができる。
【0056】
また、
図5に示すように、計測対象物OBへ光ビームを真上から(垂直方向から)照射することができるように検出部14を構成してもよい。
【0057】
図5に示す計測装置10Bは、計測部12及び検出部14Bを備え、検出部14Bは、光源部30、集光レンズ32、受光器34、及びハーフミラー36を備えている。
【0058】
ハーフミラー36は、光源部30と計測対象物OBとの間に設置される。ハーフミラー36には、光源部30から順次出射された光ビームが順次入射される。ハーフミラー36は、光源部30から順次入射した光ビームを計測対象物OB方向に順次反射する。
【0059】
また、ハーフミラー36には、計測対象物OBからの反射光が順次入射される。ハーフミラー36は、計測対象物OBから入射した反射光を透過して集光レンズ32側に出射する。集光レンズ32は、ハーフミラー36を順次透過した反射光の各々を集光する。受光器34は、集光レンズ32で集光された光の各々を受光する。ハーフミラー36によって、計測対象物OBに対して、真上(垂直方向)から光ビームを照射することができる。計測対象物OBの表面が集光レンズ32のレンズ光軸に垂直な場合の反射光は、集光レンズ32の後側焦点面上のレンズ光軸上に集光することになる。
【0060】
受光器34の受光面の中心位置が集光レンズ32のレンズ光軸上に位置するように受光器34を配置すればよい。これによっても、計測対象物OBからの正反射光の集光位置を受光器34の受光面の中心位置とすることができる。
【0061】
なお、光源部30から出射されるビーム間隔が狭いほど、集光レンズ32及びハーフミラー36を小型化することができ、また、集光レンズ32の焦点距離も小さくできる。
【0062】
光源部30から出射される複数の光ビームの間隔は、光源部30の光源に含まれる複数の発光部の設置間隔を調整したりすることでも調整できるが、光ビームの間隔を調整する調整用光学系を光源部30の光源から計測対象物OBまでの光路上に設置してもよい。
【0063】
図6に示す計測装置10Cは、
図5に示す計測装置10Bの構成に、更に、調整用光学系38を追加した構成となっている。
図7に示す計測装置10Dも、
図5に示す計測装置10Bの構成に、更に、調整用光学系39を追加した構成となっている。計測装置10Cの調整用光学系と計測装置10Dの調整用光学系とは、設定(調整内容)が異なるため、符号を異ならせている。調整用光学系は、ビーム間隔を広げたり狭くしたりするために照射光路上に設置される。
図6に示す調整用光学系38は、光源部30から入射した光ビームの間隔が光源部30から出射されたときの間隔より広がるように調整されている。
図7に示す調整用光学系38は、光源部30から入射した光ビームの間隔が光源部30から出射されたときの間隔より狭まるように調整されている。
【0064】
なお、計測装置10Cにおいて、調整用光学系38以外の構成は、計測装置10Bと同じである。計測装置10Dにおいても、同様に、調整用光学系39以外の構成は、計測装置10Bと同じである。
【0065】
図6に示すように、計測装置10Cにおいて、調整用光学系38は、光源部30と計測対象物OBとの間に設置される。調整用光学系38には、光源部30から出射されハーフミラー36で反射された複数の光ビームが時間差で入射される。調整用光学系38は、入射した複数の光ビームの間隔を広げて計測対象物OB方向に出射する。
【0066】
また、調整用光学系38には、光源部30から光ビームを照射する毎に、計測対象物OBからの反射光が順次入射される。調整用光学系38は、計測対象物OBから入射した反射光の各々の間隔を元に戻して(光源部30から出射された光ビームの間隔が広げられる前の間隔に戻して)ハーフミラー36側に出射する。ハーフミラー36は、調整用光学系38から入射した反射光を透過して集光レンズ32側に出射する。集光レンズ32は、ハーフミラー36を透過した反射光を集光する。受光器34は、集光レンズ32で集光された光を受光する。
【0067】
図7において、計測装置10Dの調整用光学系39も、光源部30と計測対象物OBとの間に設置される。調整用光学系39には、光源部30から出射されハーフミラー36で反射された複数の光ビームが時間差で入射される。調整用光学系39は、入射した複数の光ビームの間隔を狭めて計測対象物OB方向に出射する。
【0068】
また、調整用光学系39には、光源部30から光ビームを照射する毎に、計測対象物OBからの反射光が順次入射される。調整用光学系39は、計測対象物OBから入射した反射光の各々の間隔を元に戻して(光源部30から出射された光ビームの間隔が狭められる前の間隔に戻して)ハーフミラー36側に出射する。ハーフミラー36は、調整用光学系39から入射した反射光を透過して集光レンズ32側に出射する。集光レンズ32は、ハーフミラー36を透過した反射光を集光する。受光器34は、集光レンズ32で集光された光を受光する。
【0069】
このように、調整用光学系38、39は、光源部30から出射された光ビームが入射されるだけでなく、計測対象物OBで反射された反射光も入射される。すなわち、調整用光学系38、39は、光源部30から計測対象物OBまでの光路上、且つ計測対象物OBから集光レンズ32までの光路上に設置されている。
【0070】
図8に、調整用光学系38、39の構成の一例を示す。本実施形態では、調整用光学系38、39として、両側テレセントリックレンズ48を用いる。
【0071】
両側テレセントリックレンズ48は、一対のレンズ50、52、を備えている。2個のレンズ50、52として、アクロマティックレンズを用いることができる。
本実施形態では、両側テレセントリックレンズ48の、レンズ50、52の間には、絞りは設けられていない。絞りを設けることにより、入射した光を平行光となるようコリメートすることができるが、計測装置10C、10Dに調整用光学系として両側テレセントリックレンズ48を設ける理由は、複数の光ビームの間隔を調整することにあり、角度分布を持った反射光も通過させて受光器34側で広い反射角度の光を計測する必要があるため、絞りは不要である。
【0072】
両側テレセントリックレンズ48を設置することにより、要求される分解能に光ビームの間隔を適合させられる。
【0073】
ところで、光源の複数の発光部の配列に応じて、レンズ50、52の各々において各発光部から出射される光が通過する部分(光路に必要な部分)と光が通過しない部分(光路に不要な部分)とが定まる。例えば、VCSEL等の発光部を一列(一次元状)に配列して光源部30の光源を形成する場合には、レンズ50、52の光路に必要な部分と光路に不要な部分とが
図9に示すように定まる。そこで、両側テレセントリックレンズ48を、少なくとも光路に必要な部分は残し、光路に不要な部分を取り除いた形状としてもよい。光路に不要な部分を取り除いた両側テレセントリックレンズ48の形状の一例を
図10に示す。
【0074】
なお、調整用光学系としての両側テレセントリックレンズ48を、上述した計測装置10、10A、10Bの各計測装置における光源部30から計測対象物OBまでの光路上に設けることもできる。
【0075】
なお、計測対象物OBの角度が急な場合に、検出部全体を傾けて計測するようにしてもよい。
図11に示す計測装置10Eでは、検出部14Eを構成する光源部30、集光レンズ32、及び受光器34の各々が計測対象物OBの傾斜に合わせて傾いた状態で設置されている。検出部14Eの傾きを調整可能な調整機構を設けてもよい。例えば、凹凸の多い計測対象物OBにおいては、
図2に示す計測装置10による計測ではデータ欠損となる箇所が発生する場合もある。例えば、角度が急で集光レンズ32に反射光が入射されなかった、或いは受光器34の受光面に入射されなかった場合などである。そこで、まず、検出部14Eを傾けずに計測し、データ欠損となる箇所が発生した場合には、データ欠損が発生しないように調整機構により検出部14Eを傾けて改めて計測する。これにより、データ欠損の発生を抑制できる。
【0076】
また、計測対象物OBの角度が急な場合を想定して受光器や集光レンズを大型化してもよい。
図12に示す計測装置10Fの検出部14Fに設けられている受光器34Aは、計測装置10、10A、10B、10C、10D、10Eの各々に設けられている受光器34に比べて受光面の長さが長く大型化されている。また、受光器34を並列に複数個設置するようにしてもよい。受光器34を移動させないため、誤差が生じにくい。
【0077】
なお、上記例示した各計測装置10、10A、10B、10C、10D、10E、10Fの何れであっても、高さ方向の位置が大きく異なる複数の計測対象物OBの表面の角度及び角度分布を計測することができる。これは(1)式から明らかなように、上記各計測装置では、計測対象物OB表面の高さ方向の位置に関わりなく角度θが求めることができるためである。
図13に、一例として、計測装置10Cが、高さ方向の位置が大きく異なる複数の計測対象物OB
1、OB
2を計測する様子を示した。
【0078】
また、複数の面を有する部材について、各々の面の角度を計測することもできる。
図14に示す計測装置10Gは、計測装置10Cの構成に、更に、ミラー37を追加した構成となっている。計測対象物OB
2は、隣接する2つの面S
1、S
2を備えている。
【0079】
ミラー37は、調整用光学系38と計測対象物OB
2との間に設けられている。ミラー37は、光源部30から出射される複数の光ビームのうち、少なくとも1本を受光して計測対象物OB
2の面S
2に向けて反射する。ミラー37により光路が折り曲げられなかった光ビームは、そのまま真下に進行するため、計測対象物OB
2の面S
1、及び計測対象物OB
1に照射される。
【0080】
これにより、例えばある部材において1つの面と隣接する面との角度の設計値が予め定められている場合、実際に製造された部材の角度が設計値を満たしているか否か等の確認もできる。例えば、ある部材の1つの面と隣接する面との角度の設計値が直角(90度)である場合、実際に製造された部材の角度が、89度となっているか、91度となっているか等、微少な角度誤差を検査することもできる。
【0081】
また、
図15に示すように、上記各計測装置に設けられた受光器を、複数の画素60が配列された撮像素子により構成してもよいが、複数のフォトダイオード62を配列して構成してもよい。一般的に、受光器が複数の画素60が配列された撮像素子である場合には、受光器がフォトダイオード62の集合体である場合に比べて高い解像度で読取りできるが、読取り速度はフォトダイオード62に比べて遅い。高速に処理できる高性能な撮像素子を用いるとコストがかかる。従って、例えば、計測対象物OBが静止しているものではなく、移動しているものである場合には、速い読取り速度が要求されるため、受光器をフォトダイオード62の集合体にするとよい。しかしながら、受光器にフォトダイオード62の集合体を用いると、撮像素子を用いる場合に比べて読取解像度が若干粗くなる。従って、受光器をフォトダイオード62の集合体を用いて形成するか、撮像素子を用いて形成するかは、計測用途に応じて決定してもよい。
【0082】
また、光源から計測対象物までの光路上に、光源から順次出射された複数の光の各々をコリメートするコリメート光学系を設けても良い。
【0083】
例えば、
図16に示すように、上記例示した各計測装置10、10A,10B、10C、10D、10E、10F、10Gの光源部30を、光源40及びコリメート光学系44を含めて構成するようにしてもよい。コリメート光学系44は、
図17に示すように、光源40の光出射側に設置される。コリメート光学系44は、コリメート光学系44は、光源40から出射された光の拡散を抑制する。コリメート光学系44には、例えば、
図17に示すように、両側テレセントリックレンズ44Aを用いてもよい。
【0084】
両側テレセントリックレンズ44Aは、
図17に示すように、一対のレンズ50、52と、その一対のレンズ50、52の間に配置された絞り54と、を備えている。2個のレンズ50、52として、アクロマティックレンズを用いることができる。
また、絞り54は、レンズ50、52の各々の焦点面に合わせて設置する。なお、絞り54の大きさを小さくすることで、平行光成分のみを取り込める一方で光量が低下する。したがって、絞り54の大きさは、要求される精度と要求される光量とに応じて設定される。
【0085】
なお、両側テレセントリックレンズ44Aを設置した場合、以下の利点がある。この利点について、
図18を参照して説明する。
図18は、光源40から両側テレセントリック44Aを介して複数の光ビームを計測対象物OBに照射するときの様子を模式的に示した図である。
【0086】
前述したように、両側テレセントリックレンズ44Aは、一対のレンズ50、52と、その一対のレンズ50、52の間に配置された絞り54と、を備えている。2個のレンズ50、52として、アクロマティックレンズを
用いる。絞り54は、レンズ50、52の各々の焦点面に合わせて設置する。
【0087】
なお、光源40からは複数の光ビームを順次出射するが、光源40の隣接する発光部からの光ビームの照射領域同士が重ならない範囲に計測対象物OBを設置することが好ましい。1つ1つの発光部から時間差で順次光ビームを照射するとはいえ、計測対象物OB上で、隣接する光ビームによる照射領域の重なりが大きくなると、その出力値が互いに独立した値にならないためである。
図18において、例えば、矢印で示した範囲は、隣接する光ビームによる照射領域が重ならない。従って、この範囲内に計測対象物OBの計測部位が位置するように配置するとよい。
【0088】
更に、光源40を、両側テレセントリックレンズ44Aの光源40に近いほうのレンズ50の焦点面に設置するとよい。これにより、絞り54を通過する光束は平行光となり、絞り54の位置ずれに対する照射角度の誤差を少なくできる。
【0089】
なお、光源40の発光部から出射される複数の光の一部(例えば、予め定められた方向に沿って配列された複数の発光部の両端の発光部又は両端の発光部を含む予め定められた範囲の発光部から出射する光)を可視光とすることもできる。これにより、計測範囲を目視できる。
【0090】
また、計測装置に含まれる受光器が受光する
光は、計測対象物OBからの反射光だけに限定されない。例えば、計測対象物OBを透過した透過光を受光するようにしてもよい。この場合には、集光レンズ32及び受光器34は、計測対象物OBに照射された光が透過する側、すなわち、光源40が配置された側とは反対側に配置される。
【0091】
以上、様々な計測装置を例に挙げて説明したが、計測装置は上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した実施形態や変形例を組み合わせて構成しても良い。