特許第6186918号(P6186918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186918
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】LED点灯回路及びLED照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20170821BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20170821BHJP
   H02M 3/28 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
   H05B37/02 K
   H01L33/00 J
   !H02M3/28 H
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-126631(P2013-126631)
(22)【出願日】2013年6月17日
(65)【公開番号】特開2015-2104(P2015-2104A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128657
【弁理士】
【氏名又は名称】三山 勝巳
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】野月 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岩館 秀明
(72)【発明者】
【氏名】白木 知広
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−109964(JP,A)
【文献】 特開2009−261213(JP,A)
【文献】 特開2012−169496(JP,A)
【文献】 米国特許第6304464(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
H01L 33/00
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED点灯回路であって、
LEDに直流電流を供給する直流電源回路と、
前記直流電源回路の出力電流を所定の変換比で電流検出値に変換する電流検出回路と、
前記直流電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路と、
前記電流検出値が目標値で一定となるように前記直流電源回路の出力電流を制御するとともに、前記電圧検出回路によって検出された検出電圧が所定値未満となった場合に前記変換比を増加させる制御回路と
を備え、
前記電流検出回路が、前記LEDに直列接続された電流検出抵抗を備え、
前記制御回路がオペアンプと、第1の抵抗、第2の抵抗及びトランジスタの直列回路と、ツェナーダイオードとを備え、前記直列回路が前記電流検出抵抗に並列接続され、前記オペアンプの負入力端子が前記第1の抵抗と第2の抵抗の接続点に接続されるとともに前記第1の抵抗を介して前記電流検出抵抗に接続され、前記オペアンプの正入力端子に前記目標値が入力され、前記トランジスタの制御端子に前記ツェナーダイオードを介して前記検出電圧が入力され、前記トランジスタが、前記検出電圧が前記所定値以上の場合にオンし、前記検出電圧が前記所定値未満の場合にオフするように構成され、前記オペアンプの出力に応じて前記直流電源回路が制御されるように構成された、LED点灯回路。
【請求項2】
筐体に収容された請求項1に記載のLED点灯回路と、
前記LEDが実装され、前記LED点灯回路に対して着脱可能なLEDユニットと
を備えたLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED点灯回路及びそれを用いたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はLEDに対して定電流制御又は定電圧制御を行うLED点灯装置を開示する。同文献のLED点灯装置はLED(2)及び点灯ユニット(5)を備える。点灯ユニットは、LEDの接続数が所定値未満の場合には電流検出抵抗(40)に流れる出力電流が設定値で一定となるように定電流制御を行う。また、点灯ユニットは、LEDの接続数が所定値以上の場合には電圧検出抵抗(30、31)に発生する電圧が設定値以上とならないように定電圧制御を行う。これにより、直列接続されたLEDの個数に応じて定電流制御又は定電圧制御が行われ、特に、複数のLEDのうちの一部が短絡故障しても残りのLEDが定電流制御される。
【0003】
特許文献2はLEDの短絡故障時に、DC/DCコンバータ(2)からLED(4)に流れる電流を制限する点灯装置を開示する。点灯装置は、LEDの電圧を検出する電圧検出手段(R2、R3)と、LEDに直列接続されたスイッチング素子(SW1)と、スイッチング素子を制御する出力電圧判別部(3)とを備える。具体的には、検出電圧がLEDの短絡判別用の所定値以下となった場合に出力電圧判定部によってスイッチング素子がオフ状態とされ、LED電流の経路が遮断される。また、スイッチング素子に並列接続された限流抵抗(Rs)により、一部のLEDに短絡故障が生じてスイッチング素子が開放された場合であっても他の正常なLEDに電流が流れ、減光点灯が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−283206号公報
【特許文献2】特開2010−129612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成によると、接続されたLED全体が短絡故障した場合の動作が検討されていない。また近年では、LEDの定電流制御用のドライバICが普及しているが、上記のような負荷短絡に対する保護機能を有するドライバICは存在しない。LED全体が短絡故障した場合にLED正常時と同様の定電流制御を行うと、不要な出力電流が回路に流れ続けることになり、この不要な出力電流によって回路部品の発熱及びそれに伴う故障が発生し得るため、回路の信頼性確保の観点から好ましくない。
【0006】
また、特許文献2の構成によると、LED電流を遮断するためのスイッチング素子がLED電流の経路上に配置される。これによると、LEDの全部又は一部短絡時の過電流がスイッチング素子の開放動作により抑制されるものの、正常点灯時において導通状態が維持されるスイッチング素子での電力損失によって回路効率が低下してしまう。またさらに、スイッチング素子に限流抵抗が並列接続される構成においては、スイッチング素子開放時に限流抵抗による電力損失が発生してしまう。言い換えると、限流抵抗に定格電力の大きな抵抗を用いる必要があり、これにより回路が高コスト化及び大型化してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、LED点灯回路において、負荷短絡故障時に不要な回路電流を低減して適切な保護動作を行うことを可能とする構成を、回路効率を損なうことなく簡素な回路構成で提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のLED点灯回路は、LEDに直流電流を供給する直流電源回路と、直流電源回路の出力電流を検出する電流検出回路と、直流電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路と、電流検出回路によって検出された出力電流に対応する電流検出値が目標値で一定となるように直流電源回路の出力電流を制御するとともに、電圧検出回路によって検出された検出電圧が所定値未満となった場合に目標値を減少させる制御回路とを備える。
【0009】
本発明の他のLED点灯回路は、LEDに直流電流を供給する直流電源回路と、直流電源回路の出力電流を所定の変換比で電流検出値に変換する電流検出回路と、直流電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路と、電流検出値が目標値で一定となるように直流電源回路の出力電流を制御するとともに、電圧検出回路によって検出された検出電圧が所定値未満となった場合に変換比を増加させる制御回路とを備える。
【0010】
上記の各LED点灯回路によると、負荷短絡時に直流電源回路の出力電流が直流電源回路側の制御により低減される。この構成においては、負荷短絡が誤検出された場合又は複数のLEDの一部が短絡故障した場合には、正常なLEDが消灯されることはなく、最小限の照明機能が維持される。従って、負荷短絡故障時に不要な回路電流が低減され適切な保護動作を行うことが可能となる。また、上記の目標値又は変換比の切替えのための構成はLED電流の経路に追加の回路部品を必要としないので、通常点灯時及び保護動作時の回路効率が不要に損なわれることはなく、かつ簡素な回路構成となる。
【0011】
本発明のLED照明装置は、筐体に収容された上記LED点灯回路と、LEDが実装され、LED点灯回路に配線接続されたLEDユニットとを備える。これにより、負荷短絡故障後も、負荷を修理又は交換すればLED照明装置の使用を継続することができ、保守コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態によるLED点灯回路を備えたLED照明装置を示す図である。
図2】本発明の変形例によるLED点灯回路を備えたLED照明装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態.
図1に、本発明の実施形態によるLED照明装置を示す。LED照明装置1はLED点灯回路100及びLEDユニット200からなる。LED点灯回路100は交流電源AC(例えば、商用電源)からの交流入力を直流出力に変換し、配線W1及びW2を介して直流出力をLEDユニット200に供給する。LED点灯回路100は筐体に内包される。
【0014】
LED点灯回路100は、入力端子T1及びT2と出力端子T3及びT4の間に、入力回路110、直流電源回路120、電流検出回路130、電圧検出回路140及び制御回路150を備える。出力端子T3及びT4にはそれぞれ配線W1及びW2が接続される。なお、本明細書における説明において、各回路素子が上記のどの回路に属するかは便宜的なものであり、本発明を拘束するものではない。
【0015】
LEDユニット200は入力端子T5及びT6を有し、入力端子T5−T6間にはLED201が実装される。LED201のアノード端は、入力端子T5及び配線W1を介してLED点灯回路100の出力端子T3に接続され、LED201のカソード端は、入力端子T6及び配線W2を介して出力端子T4に接続される。なお、図1においては1つのLED201が図示されているが、複数のLED201が直列接続されていてもよい。
【0016】
ここで、以降の説明において、「負荷」とは、LED点灯回路100の出力端子T3及びT4よりもLEDユニット200側の構成要素を総称したものと定義する。即ち、負荷は、LEDユニット200、LED201並びに配線W1及びW2の1以上を含むものとする。従って、「負荷短絡」とは、LEDユニット200内部でのLED201の短絡、LEDユニット200の端子T5−T6間又は配線W1−W2間の偶発的な短絡等を含むものとする。
【0017】
入力回路110は、電流ヒューズ111、コンデンサ112、ダイオードブリッジ113、コンデンサ114、及び必要に応じてノイズフィルタを備える。入力回路110には交流電源ACからの交流電圧が入力され、ダイオードブリッジ113による全波整流出力が出力される。
【0018】
直流電源回路120は、本実施形態では絶縁型フライバックコンバータからなり、力率改善機能を持つ所謂ワンコンバータ方式のフライバック降圧回路を構成する。直流電源回路120は、トランス121、スイッチング素子122、ダイオード123及び平滑コンデンサ124を備える。スイッチング素子122のオン期間にトランス121の一次巻線121aによって全波整流出力からのエネルギーが蓄積され、スイッチング素子122のオフ期間にそのエネルギーが二次巻線121b側からダイオード123を介して平滑コンデンサ124に充電される。トランス121における一次電圧から二次電圧への降圧比は一次巻線121aに対する二次巻線121bの巻数比によって決まり、出力電流値はスイッチング素子122のオンデューティ(オン期間幅)によって決まる。
【0019】
電流検出回路130は低抵抗素子からなる電流検出抵抗(以下、「電流検出抵抗130」ともいう)からなり、LED201に直列接続される。LED201に流れるLED電流ILEDは、電流検出抵抗130の抵抗値R130で決まる変換比で電流検出値(=ILED×R130)に変換される。
【0020】
電圧検出回路140は分圧回路からなり、平滑コンデンサ124に並列接続された分圧抵抗141及び142並びにコンデンサ143からなる。コンデンサ143は分圧ノードN1の過渡的な電圧変動を平滑化するために設けられる。なお、図1においては、高電位側の分圧抵抗141を1つの抵抗素子で示しているが、分圧抵抗141は直列接続された複数の抵抗素子からなるものであってもよい。
【0021】
制御回路150は、トランス121の三次巻線121c、ダイオード151、コンデンサ152、抵抗153、オペアンプ154、帰還素子155、抵抗156、フォトカプラ157、PWM制御回路158、抵抗159、シャントレギュレータ160、抵抗161〜163、トランジスタ164〜165、抵抗166及びツェナーダイオード167を備える。
【0022】
トランス121の一次電圧が、一次巻線121aに対する三次巻線121cの巻数比に応じて降圧され、この降圧電圧がダイオード151を介してコンデンサ152に充電される。これにより、制御回路150の制御電源が確保される。
【0023】
オペアンプ154の負入力端子(−)には、電流検出回路130からの電流検出値が抵抗153を介して入力され、オペアンプ154の正入力端子(+)には、後述する目標値が入力される。オペアンプ154の負入力端子と出力端子間には帰還素子155(本実施形態においては抵抗とコンデンサの直列回路)が接続され、負入力端子電圧と正入力端子電圧の誤差が出力端子において出力される。オペアンプ154の出力はフォトカプラ157の入力フォトダイオードのカソードに接続される。フォトカプラ157の入力フォトダイオードのアノードは抵抗156を介して制御電源に接続される。フォトカプラ157では、制御電源から抵抗156を介して入力フォトダイオードに流れる電流に応じて出力フォトトランジスタの出力状態が決定され、その出力がPWM制御回路158に入力される。
【0024】
PWM制御回路158は一般的なLEDドライバIC及びその周辺回路からなる。PWM制御回路158はフォトカプラ157の出力状態に基づくオン幅でスイッチング素子122をPWM制御する。これにより、制御回路150によって、電流検出値が目標値で一定となるように直流電源回路120の出力がフィードバック制御され、即ち、定電流制御が行われる。
【0025】
シャントレギュレータ160は抵抗159を介して制御電源に接続される。オペアンプ154の正入力端子に入力される目標値は、シャントレギュレータ160の出力電圧(以下、「基準電圧」という)の分圧値によって決定され、その分圧値はトランジスタ164の動作状態によって決まる。トランジスタ164のオフ時には基準電圧が抵抗161及び162によって分圧され、抵抗162に発生する電圧がオペアンプ154の正入力端子に目標値として入力される。一方、トランジスタ164のオン時には基準電圧が抵抗161、162及び163によって分圧され、抵抗162及び163の並列回路に発生する電圧がオペアンプ154の正入力端子に目標値として入力される。
【0026】
トランジスタ164の動作状態はトランジスタ165の動作状態によって決まる。即ち、トランジスタ165がオン状態の場合には、トランジスタ164の制御端子と出力端子が短絡され、トランジスタ164はオフ状態となる。一方、トランジスタ165がオフ状態の場合には、トランジスタ164の制御端子には抵抗166を介して制御電源が供給され、トランジスタ164はオン状態となる。なお、本明細書において、トランジスタの制御端子、入力端子及び出力端子とは、トランジスタがバイポーラトランジスタの場合にはそれぞれベース端子、コレクタ端子及びエミッタ端子のことをいい、FETの場合にはそれぞれゲート端子、ドレイン端子及びソース端子のことをいうものとする。
【0027】
トランジスタ165の動作状態は電圧検出回路140の出力状態によって決まる。即ち、直流電源回路120の出力電圧が所定値以上の場合には、ツェナーダイオード167がオン状態となり、かつそのアノード電圧がトランジスタ165の閾値以上となり、トランジスタ165がオン状態となる。一方、直流電源回路120の出力電圧が所定値未満の場合には、ツェナーダイオード167がオフ状態となり、又はオン状態であってもそのアノード電圧がトランジスタ165の閾値未満となり、トランジスタ165がオフ状態となる。言い換えると、負荷が正常な出力電圧で駆動されている場合にはトランジスタ165がオンし、負荷電圧の異常な低下が検出された場合にトランジスタ165がオフするように、ツェナーダイオード167のツェナー電圧が決定される。
【0028】
上記をまとめると、負荷が正常に駆動されている場合、電圧検出回路140の抵抗142の電圧によってトランジスタ165がオン状態、トランジスタ164がオフ状態となり、基準電圧が抵抗161及び162によって分圧される。これにより、通常出力用の分圧値がオペアンプ154の正入力端子に目標値として入力される。一方、負荷短絡故障が発生し、直流電源回路120の出力電圧が所定値未満となった場合、トランジスタ165がオフ状態、トランジスタ164がオン状態となり、基準電圧が抵抗161、162及び163によって分圧される。これにより、出力電流低減用の低い分圧値が目標値としてオペアンプ154の正入力端子に入力される。
【0029】
このように、制御回路150は、電流検出回路130によるLED電流の検出値が目標値で一定となるように直流電源回路120の出力電流を制御するとともに、電圧検出回路140による検出電圧が所定値未満となった場合に目標値を減少させる。即ち、負荷において短絡故障が発生して直流電源回路120の出力電圧が所定値未満となった場合、制御回路150において定電流制御の目標値が低減される。これにより、負荷短絡時に、スイッチング素子122の駆動におけるPWM幅(オンデューティ)が減少し、直流電源回路120の出力電流が低減される。
【0030】
従って、負荷短絡時に不要な回路電流が抑制される。この構成においては、負荷短絡が誤検出された場合には正常なLEDが消灯されずに減光駆動され、最小限の照明機能が維持される。即ち、LED201が正常であるにもかかわらずノイズ等の外乱によって保護動作が行われたとしてもLED201は減光点灯され、消灯されることはない。そして、誤検出状態をもたらすノイズ等の外乱が除去された後は再び通常点灯が行われる。このように、LED点灯回路100によると、負荷短絡時の適切な保護動作が実現される。
【0031】
また、上記においては、負荷短絡の一態様としてLED201全体の短絡を検出するように出力電圧検出における所定値が決定されるものとした。ここで、LED201が複数の直列接続されたLED素子からなる場合には、その一部短絡時の出力電圧が所定値に相当するように電圧検出回路140の分圧比が決定されてもよい。この場合、LED201の一部が短絡故障して出力電圧が所定値未満となった場合には、残りのLEDについて減光点灯が行われることになる。ここで、一部のLEDが短絡した場合に、仮に残りの正常なLEDが定格電流で点灯されたとしてもLEDユニット200全体としては設計照度を出力していることにはならないため、LEDユニット200は交換されることが望ましい。上記実施形態では、残りの正常なLEDが減光駆動されるので、残りの正常なLEDが定格駆動される場合よりも、LEDユニット200の照度はさらに低下する。このように、LED201の一部短絡時に、LED点灯回路100はLEDユニット200を非常に低い照度で減光駆動させるので、ユーザに対して最低限の照明機能を提供しつつもLEDユニット200の故障を報知し、その交換を促すことができる。
【0032】
また、制御回路150における目標値の切替えのための構成はLED電流の経路上に追加の回路部品を必要としないので、通常点灯時及び保護動作時の回路効率が不要に損なわれることはない。言い換えると、LED電流の経路上に定格電流又は定格電力の高い部品を配置する必要がなく、回路の大型化及び高コスト化が回避される。
【0033】
上述したように、負荷短絡時においても、直流電源回路120が過負荷となることはなく、LED点灯回路100の故障が誘引されることはない。即ち、短絡故障した負荷(例えば、LEDユニット200)が修理又は交換された後は、LED点灯回路100を含むLED照明装置1は負荷短絡故障前と同様に使用可能である。このように、LED照明装置1において、負荷短絡故障時に、LED点灯回路100の修理又は交換が必要となることがないため、保守コストの低減が実現される。例えば、LED点灯回路100が地面に立設されたポール部に内蔵されるとともにLEDユニット200がポール部の上方端部の灯具部に配置される道路灯等のようにLED点灯回路100とLEDユニット200が別置されるLED照明装置において、上記の保守容易性は特に有利なものとなる。
【0034】
変形例.
上記実施形態では、検出電圧が所定値未満となった場合にオペアンプ154の正入力端子の入力値、即ち、目標値を低減する構成を示したが、本変形例では、オペアンプ154の負入力端子の入力値、即ち、電流検出値側を増加させる構成を示す。
【0035】
図2に、本発明の変形例によるLED点灯回路を備えたLED照明装置を示す。本変形例のLED照明回路100は制御回路の構成が上記実施形態のものと異なる。なお、実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本変形例のLED照明装置1はLED点灯回路100及びLEDユニット200からなり、LED点灯回路100は、入力回路110、直流電源回路120、電流検出回路130、電圧検出回路140及び制御回路170を備える。
【0036】
制御回路170は、トランス121の三次巻線121c、ダイオード151、コンデンサ152、オペアンプ154、帰還素子155、抵抗156、フォトカプラ157、PWM制御回路158、抵抗159、シャントレギュレータ160、抵抗161及び162、ツェナーダイオード167、抵抗171及び172並びにトランジスタ173を備える。
【0037】
オペアンプ154の負入力端子(−)には、後述する電流検出値が入力され、オペアンプ154の正入力端子(+)には、目標値が入力される。目標値は、基準電圧の抵抗161及び162による分圧値、即ち、抵抗162に発生する電圧である。オペアンプ154の負入力端子と出力端子間には帰還素子155(本実施形態においては抵抗とコンデンサの直列回路)が接続され、負入力端子電圧と正入力端子電圧の誤差が出力端子において出力される。
【0038】
電流検出値は、電流検出抵抗130によって検出される電圧と、トランジスタ173の動作状態によって決まる。トランジスタ173がオン状態の場合には、電流検出抵抗130に発生する電圧が抵抗171及び172で分圧され、抵抗172に発生する電圧が電流検出値となる。一方、トランジスタ173がオフ状態の場合には、電流検出抵抗130に発生する電圧が電流検出値となる。即ち、直流電源回路120の出力電流(即ち、LED電流)から電流検出値への変換比は、トランジスタ173がオンの場合を1とすると、トランジスタ173がオフの場合には(R171+R172)/R172となる。なお、R171及びR172はそれぞれ抵抗171及び抵抗172の抵抗値である。即ち、トランジスタ173のオン時よりもオフ時において上記変換比が増加する。
【0039】
トランジスタ173の動作状態は電圧検出回路140の出力状態によって決まる。即ち、直流電源回路120の出力電圧が所定値以上の場合には、ツェナーダイオード167がオン状態となり、かつそのアノード電圧がトランジスタ173の閾値以上となり、トランジスタ173がオン状態となる。一方、直流電源回路120の出力電圧が所定値未満の場合には、ツェナーダイオード167がオフ状態となり、又はオン状態であってもそのアノード電圧がトランジスタ173の閾値未満となり、トランジスタ173がオフ状態となる。言い換えると、負荷であるLEDユニット200が正常駆動されている場合にはトランジスタ173がオン状態となり、LEDユニット200の電圧に異常な低下が検出された場合にトランジスタ173がオフ状態となるように、ツェナーダイオード167のツェナー電圧が決定される。
【0040】
上記をまとめると、負荷が正常に駆動される場合、電圧検出回路140の抵抗142の電圧によってトランジスタ173がオン状態となり、電流検出抵抗130に発生する電圧の抵抗171及び172による分圧値がオペアンプ154の負入力端子に入力される。一方、負荷短絡故障が発生し、直流電源回路120の出力電圧が所定値未満となった場合、トランジスタ173がオフ状態となり、電流検出抵抗130に発生する電圧がオペアンプ154の負入力端子に入力される。これにより、負荷短絡故障時には、正常時よりも高い変換比で電流検出値がオペアンプ154の負入力端子に入力される。
【0041】
このように、制御回路170は、電流検出回路130によるLED電流の検出値が目標値で一定となるように直流電源回路120の出力電流を制御するとともに、電圧検出回路140による検出電圧が所定値未満となった場合に電流検出抵抗130における検出電流から電流検出値への変換比を増加させる。即ち、負荷短絡故障が発生して直流電源回路120の出力電圧が所定値未満となった場合、制御回路170において定電流制御における電流検出値が過大評価される。従って、負荷短絡時に、直流電源回路120のスイッチング素子122の駆動におけるPWM幅(オンデューティ)が減少し、直流電源回路120の出力電流が低減される。これにより、本変形例においても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、制御回路170における上記変換比の切替えのための構成はLED電流の経路上に追加の回路部品を必要としないので、通常点灯時及び保護動作時の回路効率が不要に損なわれることはない。言い換えると、上記実施形態と同様に、LED電流の経路上に定格電流又は定格電力の高い部品を配置する必要がなく、回路の大型化及び高コスト化が回避される。
【0042】
なお、上記において本発明の最も好適な実施形態等を示したが、本発明は上記構成に限られず、さらに種々の変形が可能である。
【0043】
(1)入力回路及び直流電源回路の変形
上記実施形態及び変形例では直流電源回路に交流電圧が入力される構成を示したが、バッテリ等の直流電圧が入力される構成にも本発明は適用可能である。この場合、入力回路110の特に整流回路113は不要となり、直流電源回路120はDC/DCコンバータとなる。また、上記実施形態及び変形例では、直流電源回路120が絶縁型フライバック回路からなる構成を示したが、直流電力を出力することができれば他の方式のコンバータ回路からなるものであってもよい。例えば、絶縁型フライバック回路の前段に力率改善回路(昇圧チョッパ回路)を設け、フライバック回路には降圧機能のみを持たせる構成としてもよいし、絶縁型フライバック回路の代わりに非絶縁型の降圧チョッパ回路を用いる構成としてもよい。
【0044】
(2)制御回路の変形
上記実施形態及び変形例をそれぞれ個別の回路として示したが、実施形態の制御回路150と変形例の制御回路170を組み合わせて採用してもよい。即ち、電圧検出回路140による検出電圧が所定値未満となった場合に目標値を減少させるとともに、電流検出抵抗130における検出電流から電流検出値への変換比を増加させるように制御回路が構成されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 LED照明装置
100 LED点灯回路
120 直流電源回路
130 電流検出回路
140 電圧検出回路
150、170 制御回路
200 LEDユニット
201 LED
図1
図2