(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、光ピックアップ装置が搭載された機器の小型化に伴って、光ピックアップ装置を小型化することが要望されている。光ピックアップ装置を小型化するためには、光ピックアップ装置の各部品間の距離を小さくする必要がある。センサーレンズと受光部との間の距離を小さくした際に、所望のフォーカスエラー信号を生成するためには、センサーレンズのレンズ面の曲率半径を小さくする必要がある。例えば、センサーレンズと受光部との間の距離を3.0mm以下にする場合には、センサーレンズのレンズ面の曲率半径を3.0mm以下にする必要がある。しかしながら、センサーレンズのレンズ面の曲率半径を小さくした場合には、センサーレンズの組み立てバラツキが生じやすくなるため、光ピックアップ装置の性能が安定しないという課題が生じる。
【0006】
なお、センサーレンズのレンズ面の曲率半径を変更せずに、センサーレンズと受光部との間の距離を小さくする方法も考えられる。この場合、センサーレンズと受光部との間の光学距離を大きくするために、センサーレンズと受光部との間にガラス等の光学部品を配置する必要がある。しかしながら、センサーレンズと受光部との間の光学距離が大きくなることにより、受光部上の戻り光のスポットの大きさが小さくなるので、戻り光のスポットの位置ずれ感度が高くなるという課題が生じる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、センサーレンズのレンズ面の曲率半径の減少を抑えるとともに、受光部上の戻り光のスポットの大きさを確保しながら、センサーレンズと受光部との間の距離を小さくすることができる光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る光ピックアップ装置は、レーザ光を出力する光源と、前記光源から発した前記レーザ光を光ディスクに収束する対物レンズと、前記光ディスクで反射した戻り光が入射又は出射するレンズ面を有し、且つ、前記戻り光に非点収差を生じさせるセンサーレンズと、前記センサーレンズを透過した前記戻り光を受光し、且つ、受光した前記戻り光に基づいてフォーカスエラー信号を生成する受光部と、を備え、前記レンズ面は、第1の方向に第1の曲率半径を有し、且つ、前記第1の方向と直交する第2の方向に前記第1の曲率半径と異なる第2の曲率半径を有する。
【0009】
一般に、センサーレンズと受光部との間の距離を小さくした場合に、所望のフォーカシングエラー信号を生成するためには、センサーレンズのレンズ面の曲率半径を小さくする必要がある。本態様によれば、センサーレンズのレンズ面はいわゆるバイコーニック面であるので、レンズ面全体の曲率半径の減少を、レンズ面の第1の曲率半径及び第2の曲率半径の各々に担わせることができる。これにより、第1の曲率半径及び第2の曲率半径の各々の減少を抑えながら、センサーレンズと受光素子との間の距離を小さくすることができる。その結果、センサーレンズの組み立てバラツキを抑えることができ、光ピックアップ装置の性能を安定させることができる。さらに、第1の曲率半径及び第2の曲率半径の各々を減少させるので、センサーレンズと受光部との間の光学距離を大きくするためのガラス等の光学部品をセンサーレンズと受光部との間に配置する必要がない。そのため、受光部上の戻り光のスポットの大きさを確保することができ、受光部上の戻り光のスポットの位置ずれ感度を低く抑えることができる。
【0010】
例えば、本発明の一態様に係る光ピックアップ装置において、前記レンズ面は、前記第1の方向に凹であり、且つ、前記第2の方向に凸であるように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、レンズ面は、第1の方向に凹であり、且つ、第2の方向に凸であるので、レンズ面の形状が球面に近付くのを抑制することができ、戻り光に非点収差を効果的に生じさせることができる。
【0012】
例えば、本発明の一態様に係る光ピックアップ装置において、前記センサーレンズは、さらに、前記レンズ面とは反対側に設けられた球面を有しているように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、センサーレンズは、さらに、レンズ面とは反対側に設けられた球面を有しているので、第1の曲率半径又は第2の曲率半径を大きくなる方向に緩和することができる。これにより、レンズ面の形状が球面に近付くのを抑制することができ、戻り光に非点収差を効果的に生じさせることができる。
【0014】
例えば、本発明の一態様に係る光ピックアップ装置において、前記レンズ面の光軸と前記球面の光軸とは一致しているように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、レンズ面の光軸と球面の光軸とは一致しているので、戻り光に非点収差を安定して生じさせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係る光ピックアップ装置によれば、センサーレンズのレンズ面の曲率半径の減少を抑えるとともに、受光部上の戻り光のスポットの大きさを確保しながら、センサーレンズと受光部との間の距離を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態に係る光ピックアップ装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0019】
(実施の形態)
[光ディスク装置の概略構成]
まず、
図1及び
図2を参照しながら、実施の形態に係る光ピックアップ装置が搭載された光ディスク装置の概略構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る光ピックアップ装置が搭載された光ディスク装置の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1の光ディスク装置のローダユニットを示す平面図である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、光ピックアップ装置2は、例えば、光ディスク装置4に搭載されている。光ディスク装置4は、光ディスク6に記録された情報の再生及び光ディスク6への情報の記録を行うためのブルーレイディスク(BD:Blu−ray(登録商標) Disc)レコーダである。なお、光ディスク6は、例えば、ブルーレイディスク、デジタル多用途ディスク(DVD:Digital Versatile Disc)又はコンパクトディスク(CD:Compact Disc)である。
【0021】
光ディスク装置4の筐体8には、ディスクトレイ10と、ディスクトレイ10の下側に配置されたローダユニット12とが搭載されている。
【0022】
図1に示すように、ディスクトレイ10は、光ディスク6を載置するためのものである。ディスクトレイ10は、筐体8の内部に設けられた駆動機構(図示せず)によって、筐体8の外部に引き出される引出し位置と、筐体8の内部に収納される収納位置との間を往復移動可能である。ディスクトレイ10が引出し位置に移動することにより、光ディスク6をディスクトレイ10に載置する(又は、光ディスク6をディスクトレイ10から取り出す)ことができる。
【0023】
図2に示すように、ローダユニット12は、ローダ本体14と、ローダ本体14に対して昇降可能に設けられたトラバースユニット16と、を備えている。トラバースユニット16には、ターンテーブル18を回転させるためのスピンドルモータ(図示せず)が取り付けられている。ターンテーブル18は、光ディスク6を載せるためのものである。
【0024】
トラバースユニット16には、さらに、一対のガイド軸20,22が取り付けられている。これら一対のガイド軸20,22には、光ディスク6に記録された情報の読み出し及び光ディスク6への情報の書き込みを行うための光ピックアップ装置2が移動可能に支持されている。トラバースユニット16には、さらに、光ピックアップ装置2を駆動するためのステッピングモータ24が取り付けられている。ステッピングモータ24の駆動力が光ピックアップ装置2に伝達されることによって、光ピックアップ装置2は、一対のガイド軸20,22に沿って光ディスク6の径方向に往復移動可能である。光ピックアップ装置2の構成については後述する。
【0025】
[光ピックアップ装置の構成]
次に、
図3〜
図5Cをも参照しながら、光ピックアップ装置2の構成について説明する。
図3は、実施の形態に係る光ピックアップ装置の構成を示す斜視図である。
図4は、センサーレンズによって戻り光に非点収差が生じる様子を模式的に示す斜視図である。
図5A〜
図5Cはそれぞれ、戻り光を受光した受光素子の受光面を示す図である。
【0026】
図2に示すように、光ピックアップ装置2は、ハウジング26を有している。ハウジング26には、BD用の光学系28と、DVD及びCD用の光学系(図示せず)とが収納されている。ディスクトレイ10に載置された光ディスク6がBDである場合には、BD用の光学系28が用いられる。一方、ディスクトレイ10に載置された光ディスク6がDVD又はCDである場合には、DVD及びCD用の光学系が用いられる。なお、BD用の光学系28とDVD及びCD用の光学系とはほぼ同様の構成を有しているので、以下では、BD用の光学系28の構成についてのみ説明する。
【0027】
図3に示すように、BD用の光学系28は、光源30、ビームスプリッタ32、コリメータレンズ34、立ち上げミラー36、対物レンズ38、センサーレンズ40及び受光素子42(受光部を構成する)を有している。
【0028】
光源30は、例えばBD用のレーザ光(例えば、波長405nm帯のレーザ光)を出力するレーザダイオードである。
【0029】
ビームスプリッタ32は、光源30から発したレーザ光の光路上に配置されている。ビームスプリッタ32は、光源30から発したレーザ光を反射し、且つ、光ディスク6の記録面6aで反射されたレーザ光(以下、「戻り光」という)を透過させる。
【0030】
コリメータレンズ34は、ビームスプリッタ32で反射されたレーザ光の光路上に配置されている。コリメータレンズ34は、ビームスプリッタ32で反射されたレーザ光を平行光に変換する。
【0031】
立ち上げミラー36は、ビームスプリッタ32で反射されたレーザ光の光路上に配置されている。立ち上げミラー36には、コリメータレンズ34で平行光に変換されたレーザ光が入射する。立ち上げミラー36は、入射したレーザ光を光ディスク6の記録面6aに対して略垂直な方向に反射する。
【0032】
対物レンズ38は、立ち上げミラー36と光ディスク6との間におけるレーザ光の光路上に配置されている。対物レンズ38は、立ち上げミラー36で反射されたレーザ光を光ディスク6の記録面6aに収束する。
図2に示すように、対物レンズ38は、ハウジング26の上面に露出されている。なお、ハウジング26の上面には、さらに、DVD及びCD用の光学系の対物レンズ44が露出されている。
【0033】
センサーレンズ40は、ビームスプリッタ32を透過した戻り光の光路上に配置されている。センサーレンズ40は、ビームスプリッタ32を透過した戻り光に非点収差を生じさせる。これにより、
図4に示すように、センサーレンズ40を透過した戻り光の形状は、センサーレンズ40の光軸上の位置によって、横長の楕円形状、円形状、縦長の楕円形状のように変化する。本実施の形態の光ピックアップ装置2では、センサーレンズ40の形状に特徴がある。センサーレンズ40の形状については後述する。
【0034】
受光素子42は、ビームスプリッタ32を透過した戻り光の光路上に配置されている。受光素子42は、例えばセンサーレンズ40を透過した戻り光を受光するフォトダイオードである。
図5Aに示すように、受光素子42は、戻り光を受光するための受光面46を有している。受光面46は、センサーレンズ40の光軸を中心として、4個の受光領域46a,46b,46c,46dに分割されている。受光素子42は、4個の受光領域46a,46b,46c,46dの各々における受光量の総和を、再生信号として再生回路(図示せず)に出力する。
【0035】
受光素子42は、さらに、4個の受光領域46a,46b,46c,46dの各々で受光した戻り光に基づいて、フォーカスエラー(FE:Focus Error)信号を生成する。4個の受光領域46a,46b,46c,46dにおける受光量をそれぞれA,B,C,Dとしたとき、フォーカスエラー信号は、(A+C)−(B+D)で表される。すなわち、受光素子42は、(A+C)−(B+D)を算出することによって、フォーカスエラー信号を生成する。
【0036】
なお、フォーカスエラー信号は、対物レンズ38からのレーザ光の焦点位置を光ディスク6の記録面6aに合わせるためのフォーカスサーボ制御に用いられる。ここで、フォーカスサーボ制御について簡単に説明する。対物レンズ38からのレーザ光の焦点位置が光ディスク6の記録面6aに合っている場合には、
図5A中の破線で示すように、受光素子42の受光面46で受光される戻り光のスポット形状は円形状となる。このとき、フォーカスエラー信号は、(A+C)−(B+D)=0となる。
【0037】
対物レンズ38からのレーザ光の焦点位置が光ディスク6の記録面6aよりも手前側にずれている場合には、
図5B中の破線で示すように、受光素子42の受光面46で受光される戻り光のスポット形状は横長の楕円形状となる。このとき、フォーカスエラー信号は、(A+C)−(B+D)<0となる。
【0038】
対物レンズ38からのレーザ光の焦点位置が光ディスク6の記録面6aよりも奥側にずれている場合には、
図5C中の破線で示すように、受光素子42の受光面46で受光される戻り光のスポット形状は縦長の楕円形状となる。このとき、フォーカスエラー信号は、(A+C)−(B+D)>0となる。
【0039】
フォーカスサーボ制御では、フォーカスエラー信号に基づいて、対物レンズ38からのレーザ光の焦点位置が光ディスク6の記録面6aからずれているかを検出する。対物レンズ38からのレーザ光の焦点位置が光ディスク6の記録面6aからずれている場合には、フォーカスエラー信号が(A+C)−(B+D)=0となるように、アクチュエータ(図示せず)によって対物レンズ38を光ディスク6に対して移動させる。
【0040】
[レーザ光の進路]
次に、
図3を参照しながら、光ピックアップ装置2におけるレーザ光の進路について説明する。
図3において、光ディスク6までのレーザ光の往路を実線で表し、光ディスク6からのレーザ光の復路を一点鎖線で表している。
【0041】
図3に示すように、光源30から発したレーザ光は、ビームスプリッタ32で反射された後に、コリメータレンズ34に入射する。コリメータレンズ34によって平行光に変換されたレーザ光は、立ち上げミラー36で反射された後に、対物レンズ38に入射する。対物レンズ38から出射したレーザ光は、光ディスク6の記録面6aに収束される。
【0042】
光ディスク6の記録面6aで反射された戻り光は、対物レンズ38によって平行光に変換された後に、立ち上げミラー36に入射する。立ち上げミラー36で反射された戻り光は、コリメータレンズ34によって収束光に変換された後に、ビームスプリッタ32を透過する。ビームスプリッタ32からの戻り光は、センサーレンズ40を透過した後に、受光素子42の受光面46に受光される。
【0043】
[センサーレンズの形状]
次に、
図6〜
図8を参照しながら、本実施の形態の光ピックアップ装置2の特徴である、センサーレンズ40の形状について説明する。
図6は、実施の形態に係るピックアップ装置のセンサーレンズを示す斜視図である。
図7は、
図6中のA−A線により切断したセンサーレンズの断面図である。
図8は、
図6中のB−B線により切断したセンサーレンズの断面図である。
【0044】
図6に示すように、センサーレンズ40は、ビームスプリッタ32を透過した戻り光が入射するレンズ面48を有している。レンズ面48は、第1の方向(X軸方向)に第1の曲率半径R1を有し、且つ、第1の方向と直交する第2の方向(Y軸方向)に第2の曲率半径R2を有する、いわゆるバイコーニック面である。第1の曲率半径R1及び第2の曲率半径R2は、互いに異なる大きさである。
図7及び
図8に示すように、レンズ面48は、第1の方向に凹であり、且つ、第2の方向に凸である。例えば、第1の曲率半径R1は、−4.0〜−3.0mmであり、第2の曲率半径R2は、+8.8〜+20.0mmである。なお、
図6において、レンズ面48に付した格子状の線は、曲面の形状を表現するための線である。
【0045】
図7及び
図8に示すように、センサーレンズ40は、さらに、レンズ面48に入射した戻り光が出射する球面50を有している。球面50は、凹面であり、レンズ面48とは反対側に設けられている。レンズ面48の光軸C1と球面50の光軸C2とは一致している。球面50の曲率半径は、例えば+5.5〜+7.0mmである。
【0046】
[効果]
次に、本実施の形態の光ピックアップ装置2により得られる効果について説明する。センサーレンズ40と受光素子42との間の距離D(
図3参照)を小さくした場合に、所望のフォーカシングエラー信号を生成するためには、センサーレンズ40のレンズ面48の曲率半径を小さくする必要がある。本実施の形態では、センサーレンズ40のレンズ面48はバイコーニック面であるので、レンズ面48全体の曲率半径の減少を、レンズ面48の第1の曲率半径R1及び第2の曲率半径R2の各々に担わせることができる。これにより、第1の曲率半径R1及び第2の曲率半径R2の各々の減少を抑えながら、センサーレンズ40と受光素子42との間の距離Dを小さくすることができる。例えば、第1の曲率半径R1を−4.0〜−3.0mmとし、第2の曲率半径R2を+8.8〜+20.0mmとした場合には、センサーレンズ40と受光素子42との間の距離Dを3.0mm以下にすることができる。その結果、センサーレンズ40の組み立てバラツキを抑えることができ、光ピックアップ装置2の性能を安定させることができる。
【0047】
さらに、第1の曲率半径R1及び第2の曲率半径R2の各々を減少させるので、センサーレンズ40と受光素子42との間にガラス等の光学部品を配置する必要がない。そのため、受光素子42の受光面46上の戻り光のスポットの大きさを確保することができる。
図9は、受光面上の戻り光のスポットの直径と位置ずれ感度との関係を示すグラフである。
図9において、PD−Xは、受光領域46a及び受光領域46bの配置方向(X方向とする)におけるスポットの位置ずれ感度を表し、PD−Yは、受光領域46a及び受光領域46dの配置方向(Y方向とする)におけるスポットの位置ずれ感度を表している。4個の受光領域46a,46b,46c,46dにおける受光量をそれぞれA,B,C,Dとしたとき、PD−X及びPD−Yはそれぞれ、次式1及び2に基づいて算出される。
【0048】
PD−X={(A+D)−(B+C)}/(A+B+C+D) (式1)
PD−Y={(A+B)−(C+D)}/(A+B+C+D) (式2)
【0049】
図9に示すように、受光面46上の戻り光のスポットの直径が大きいほど、受光面46上の戻り光のスポットの位置ずれ感度は低くなる。従って、本実施の形態では、受光面46上の戻り光のスポットの大きさを確保することができるので、受光面46上の戻り光のスポットの位置ずれ感度を低く抑えることができる。
【0050】
さらに、センサーレンズ40には球面50が設けられているので、第2の曲率半径R2を大きくなる方向に緩和することができる。これにより、センサーレンズ40のレンズ面48の形状が球面に近付くのを抑制することができ、戻り光に非点収差を効果的に生じさせることができる。
【0051】
[実施例及び比較例]
次に、本実施の形態による効果、すなわち、第1の曲率半径R1及び第2の曲率半径R2の各々の減少を抑えるとともに、受光面46上の戻り光のスポットの大きさを確保しながら、センサーレンズ40と受光素子42との間の距離Dを小さくすることができる効果について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、センサーレンズの実施例及び比較例を示す表である。
【0052】
実施例1及び2ではそれぞれ、センサーレンズとして、上記実施の形態のセンサーレンズ40を用いた。比較例では、センサーレンズとして、レンズ面がシリンドリカル面である従来のシリンドリカルレンズを用いた。なお、比較例のセンサーレンズでは、レンズ面と反対側に球面が設けられている。
【0053】
図10に示すように、比較例のセンサーレンズでは、センサーレンズと受光素子との間の距離を2.9mmとした場合、レンズ面の曲率半径R1は−2.8〜−2.5mmであった。また、受光面上の戻り光のスポットの直径は、74μmであった。
【0054】
これに対して、実施例1のセンサーレンズでは、センサーレンズと受光素子との間の距離を2.9mmとした場合、第1の曲率半径R1は−4.0〜−3.0mmであり、第2の曲率半径R2は+200〜+1000mmであった。また、受光面上の戻り光のスポットの直径は、74μmであった。
【0055】
さらに、実施例2のセンサーレンズでは、センサーレンズと受光素子との間の距離を2.9mmとした場合、第1の曲率半径R1は−4.0〜−3.0mmであり、第2の曲率半径R2は+8.8〜+20.0mmであった。また、受光面上の戻り光のスポットの直径は、85μmであった。
【0056】
以上のことから、上記実施の形態のセンサーレンズでは、第1の曲率半径R1及び第2の曲率半径R2の各々の減少を抑えるとともに、受光面上の戻り光のスポットの大きさを確保しながら、センサーレンズと受光素子との間の距離を小さくすることができると言える。
【0057】
以上、本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0058】
上記実施の形態では、光ピックアップ装置はブルーレイディスクレコーダであるが、これに限定されず、例えば光ディスクに記録された情報の再生を行うためのブルーレイディスクプレーヤでもよい。あるいは、光ピックアップ装置は、例えばDVDレコーダ、DVDプレーヤ又はCDプレーヤ等でもよい。
【0059】
上記実施の形態では、センサーレンズに球面を設けたが、この球面を省略することもできる。
【0060】
上記実施の形態では、センサーレンズのレンズ面に戻り光が入射するように構成したが、センサーレンズのレンズ面から戻り光が出射するように構成することもできる。この場合には、ビームスプリッタを透過した戻り光は、センサーレンズの球面に入射した後に、センサーレンズのレンズ面から出射する。
【0061】
上記実施の形態では、センサーレンズのレンズ面は、第1の方向に凹であり、且つ、第2の方向に凸であるが、これとは反対に、第1の方向に凸であり、且つ、第2の方向に凹であってもよい。あるいは、センサーレンズのレンズ面は、第1の方向及び第2の方向にそれぞれ凸であってもよく、第1の方向及び第2の方向にそれぞれ凹であってもよい。