(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の貫通孔は、前記板状部材の第1領域における開口率が、前記第1領域よりも前記板状部材の前記排気口に近い位置に位置する第2領域の開口率より大きくなるように形成されている請求項3記載のメルトブローン用コレクタ。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノズル列から押し出される熱可塑性樹脂を熱風で噴射することにより繊維状に延伸し、コンベアやドラムの表面に集積してその自己融着性によりシート状の不織布を製造するメルトブローン(Melt Blown)法が知られている。
【0003】
メルトブローン法を用いた不織布製造装置として、金網やパンチングメタルなどでメッシュ状に構成されたスクリーンドラムをノズル列と対向配置し、このスクリーンドラムを回転させることでスクリーンドラムの周面にシート状の不織布を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。スクリーンドラムの内側には、スクリーンドラムの周壁を間に挟んでノズル列と対向する位置に吸気口が形成された固定ドラムが、スクリーンドラムと同心に配置されている。ノズル列から熱可塑性樹脂を噴射しつつ、吸気口から空気を吸引することで、繊維状の樹脂をスクリーンドラムの周面に付着させるようになっている。噴射された樹脂を受けとめて集積する機構はコレクタと呼ばれている。
【0004】
このようなコレクタでは、スクリーンドラム内の固定ドラムを固定させたままスクリーンドラムを回転させ、かつ固定ドラム内から空気を吸引する必要がある。そこで、固定ドラムの両端中心部から外方へ向かって延びる管状の中空軸(管継手)を設け、この中空軸によって固定ドラムを支持しつつ、この中空軸から固定ドラム内の空気を吸引するようになっている。この中空軸の外周にはベアリングが取り付けられている。スクリーンドラムには、固定ドラムの両端中心部から外方へ向かって突出するスリーブが取り付けられており、このスリーブ内に固定ドラムの中空軸が挿入され、スリーブと中空軸とがベアリングにより同軸で相対回転可能に取り付けられている(例えば、特許文献1のFIG.2、FIG.3参照)。
【0005】
このような構造により、スクリーンドラム内の固定ドラムを固定させたままスクリーンドラムを回転させ、かつ固定ドラム内から空気を吸引可能にされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ノズル列から噴射された繊維状の樹脂を吸引によってスクリーンドラムに吸着させるためには、大量の空気を吸引する必要がある。空気の吸引量を増大させるために、固定ドラムの中空軸の径を大きくする必要が生じる。例えば、直径600mmのスクリーンドラムに対して、固定ドラムの管径が400mmに達する場合がある。径400mmの中空軸にベアリングを取り付けるためには、内径が400mm以上の大きなベアリングを用いる必要がある。しかしながら、このような大型のベアリングは非常に高価である。
【0008】
本発明の目的は、製造コストを低減することが容易なメルトブローン用コレクタ、及びこれを用いた不織布製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るメルトブローン用コレクタは、メッシュ状の周壁を有し、少なくとも一端に開口部が形成されたドラムと、前記ドラムの外周部に接触するように前記ドラムの下方に配置され、前記ドラムを回転可能に支持する第1ローラと、前記第1ローラから前記ドラムの周方向に離間し、かつ前記ドラムの外周部に接触するように前記ドラムの下方に配置され、前記ドラムを回転可能に支持する第2ローラと、前記ドラムの外部から前記周壁を介して空気を吸引するための吸気口が前記周壁の内周面と対向配置されるように形成され、前記吸気口により吸気された空気の通路となる空洞を有する吸気本体部と、前記吸気本体部を、前記ドラムの内周面に対して相対移動可能に支持する吸気本体支持部とを備え、前記吸気本体支持部は、前記開口部を介して前記吸気本体部を支持する。
【0010】
この構成によれば、ドラムが第1ローラ及び第2ローラによって回転可能に支持され、吸気本体部が、吸気本体支持部によって開口部を介してドラムに対して相対移動可能に支持されているので、背景技術のように中空軸の周囲にベアリングを取り付けることなく、吸気本体部を固定させたままドラムを回転させ、かつ吸気本体部から空気を吸引することが可能となる。その結果、高価な大口径のベアリングが不要となるので、メルトブローン用コレクタの製造コストを低減することが容易となる。
【0011】
また、前記吸気本体部の一部は、前記開口部から前記ドラムの外部へ突出し、前記吸気本体支持部は、前記吸気本体部の前記ドラムから突出した部分を支持することにより、前記開口部を介して前記吸気本体部を支持することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、吸気本体部を、開口部を介してドラムに対して相対移動可能に支持する吸気本体支持部を構成することが容易である。
【0013】
また、前記吸気本体部には、前記空洞内の空気を排出するための排気口が設けられ、前記吸気口は、前記ドラムの軸方向に沿って延びる長孔であり、前記空洞内には、前記吸気口と前記排気口との間に、前記ドラムの軸方向に沿って延び、前記吸気口と対向するように板状部材が配置され、前記板状部材には、複数の貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、吸気口から吸気されて排気口から排気される空気の流れを、板状部材に形成された貫通孔によって、制御することができる。すなわち、複数の貫通孔による開口率を大きくすれば、開口率が小さいときよりも空気の流れが速くなり、吸気口によりメッシュ状の周壁を介して吸引される空気の流れが速くなる。複数の貫通孔による開口率を小さくすれば、開口率が大きいときよりも空気の流れが遅くなり、吸気口によりメッシュ状の周壁を介して吸引される空気の流れが遅くなる。このように、吸気口により吸引される空気の流れを制御することにより、ドラムの外周面に形成される不織布の厚さを制御することが可能となる。
【0015】
また、前記複数の貫通孔は、前記板状部材の第1領域における開口率が、前記第1領域よりも前記板状部材の前記排気口に近い位置に位置する第2領域の開口率より大きくなるように形成されていることが好ましい。
【0016】
排気口から遠い位置に位置する第1領域では、排気口から近い位置にある第2領域よりも空気の流れが遅くなりやすい。そこで、この構成によれば、第1領域における開口率が、第2領域の開口率より大きくされているので、排気口からの距離に応じて生じる空気の流速ばらつきを板状部材によって相殺し、位置の違いによる流速ばらつきを均一化することが可能となる。
【0017】
また、前記吸気本体部には、前記板状部材を引き抜き及び挿入可能な脱着用開口部が設けられ、前記脱着用開口部は、前記開口部から前記ドラムの外部に露出していることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、脱着用開口部に対して板状部材を抜き差しすることによって、ユーザーが、貫通孔の形成態様が異なる板状部材を容易に取り替えることができる。従って、ユーザーは、貫通孔の形成態様が異なる板状部材を用意し、板状部材を交換することにより、不織布の厚さを所望の厚さに制御することが容易である。
【0019】
また、本発明に係る不織布製造装置は、上述のメルトブローン用コレクタと、前記周壁を間に挟んで前記吸気口と対向配置されたノズルと、前記ノズルへ熱可塑性樹脂を供給し、前記ノズルから熱可塑性樹脂を吐出させる樹脂供給部と、前記排気口から前記空洞内の空気を排出させるポンプとを備えた。
【0020】
この構成によれば、不織布製造装置において、上述のメルトブローン用コレクタと同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
このような構成のメルトブローン用コレクタ、及びこれを用いた不織布製造装置は、製造コストを低減することが容易である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るメルトブローン用コレクタを備えた不織布製造装置の一例を概念的に示す斜視図である。
図1に示す不織布製造装置1は、メルトブローン用コレクタ2と、吐出装置3と、ポンプ4とを備えている。
図1においては、ポンプ4とポンプ4による吸気経路とを簡略化して記載している。なお、各図において、説明の便宜上、前後、左右、上下の方向を規定している場合があるが、各図に示される構成の配置はこの方向に限定されるものではない。
【0024】
吐出装置3は、ノズルヘッド31と、押出機32(樹脂供給部)と、パイプ33とを備えている。ノズルヘッド31には、微細なノズル311が前後方向に沿って複数配列されている。
図2は、ノズルヘッド31のII−II断面図である。ノズルヘッド31には、ノズル311の上下に、前後方向に延びるスリット312が形成されている。
【0025】
押出機32は、溶融した熱可塑性樹脂をノズル311へ供給し、ノズル311の先端から溶融した熱可塑性樹脂を吐出させる。パイプ33は、一端がスリット312に接続され、他端が図略の熱風送風装置に接続されている。図略の熱風送風装置は、空気を加熱し、その加熱空気を、パイプ33を介してスリット312へ供給する。これにより、ノズル311から吐出された熱可塑性樹脂は、上下のスリット312からノズル311の出口を挟むように吹き出る高速の熱風によって延伸され、細い繊維状となる。このように多数並んだノズル311から出て延伸され、繊維状になった樹脂5は、後述するスクリーンドラム101の外周面に集積して不織布6となる。
【0026】
図3は、
図1に示すメルトブローン用コレクタ2の右方からみた正面図である。
図4は、
図3に示すメルトブローン用コレクタ2を後方から見た側面図である。
図5は、
図3に示すメルトブローン用コレクタ2を切断線V−Vで切断した断面図である。
【0027】
メルトブローン用コレクタ2は、スクリーンドラム101(ドラム)、吸引ボックス102(吸気本体部)、ローラ202,204(第1ローラ)、ローラ201,203(第2ローラ)、サポート105,106(吸気本体支持部)、軸209,210、軸受け205,206,207,208、及び基台100を備えている。
【0028】
スクリーンドラム101は、例えば金網やパンチングメタルなどの多孔質の材料がドラム状に巻かれてメッシュ状にされた周壁101aと、周壁101aの両端に取り付けられた円環体101−1,101−2とを含む。円環体101−1,101−2の端部にはフランジ11,12が形成されており、フランジ11,12の外周面が、スクリーンドラム101の外周部の一部を構成している。スクリーンドラム101の両端は、広く開口しており、フランジ11の内周部が開口部11aとされ、フランジ12の内周部が開口部12aとされている。
【0029】
ローラ202,204は、スクリーンドラム101の下方でフランジ11,12とそれぞれ対向、当接するように、前後方向に延びる軸210に同軸に固定されている。ローラ201,203は、ローラ202,204からスクリーンドラム101の周方向に離間し、かつスクリーンドラム101の下方でフランジ11,12とそれぞれ対向、当接するように、前後方向に延びる軸209に同軸に固定されている。
【0030】
基台100上には、軸受け205,206,207、208、サポート105,106、及びモータ212が配設されている。軸受け206,207は、軸209を回転可能に支持し、軸受け205,208は、軸210を回転可能に支持している。スクリーンドラム101は、ローラ201,203,202,204上に載置され、フランジ11,12の外周面がローラ201,203,202,204の外周面と接触することで、スクリーンドラム101が回転可能に支持されている。
【0031】
ローラ201,203,202,204には、フランジ201a,203a,202a,204aが設けられている。フランジ201a,203a,202a,204aは、ローラ201,203,202,204とフランジ11,12とが接触した状態で、フランジ11,12の内側に突出する。これにより、フランジ201a,203a,202a,204aによって、スクリーンドラム101が、前後方向にずれないようにガイドされている。
【0032】
軸210は、ローラ204を貫通して前方に延びるように延設され、軸210の先端は、カップリング211を介してモータ212の駆動軸と結合されている。これにより、モータ212が回転すると、ローラ202,204が前方から見て反時計回りに回転し、ローラ202,204によってスクリーンドラム101が前方から見て時計回りに回転する。スクリーンドラム101が時計回りに回転すると、ローラ201,203が反時計回りに従動回転する。
【0033】
吸引ボックス102は、前後方向に長尺の略直方体形状の箱体であり、吸引ボックス102内に空洞が形成されている。なお、吸引ボックス102は、例えば円筒形であってもよく、その他の形状であってもよい。吸引ボックス102は、その両端部がスクリーンドラム101の両端開口部からスクリーンドラム101の外部に向かって突出するように、スクリーンドラム101内に収容されている。
【0034】
サポート105,106は、吸引ボックス102のスクリーンドラム101から突出した部分を支持することにより、吸引ボックス102を、開口部11a,12aを介してスクリーンドラム101から離間した状態で支持する。これにより、サポート105,106は、スクリーンドラム101の重量を受けることなく吸引ボックス102を、スクリーンドラム101の内周面に対して相対移動可能に支持する。
【0035】
吸引ボックス102は、図略の着脱機構によって、サポート105,106に対して着脱可能にされている。
【0036】
吸引ボックス102の左方壁面には、前後方向に延設された吸気口121が形成されている。吸気口121の開口部の前後方向の長さは、製造しようとする不織布6の幅と略等しくされている。吸気口121の縁部からは、筒状の壁122が、周壁101aとの間の空間を埋めるように左方に延設されている。吸気口121は、周壁101aを間に挟んで吐出装置3のノズル311と対向配置されている。
【0037】
吸引ボックス102の前方壁面123には排気口124が形成され、吸引ボックス102の後方壁面125には排気口126が形成されている。前方壁面123には、排気口124の左方に上下方向に延びるスリット状の脱着用開口部127が形成されている。後方壁面125には、排気口126の左方に上下方向に延びるスリット状の脱着用開口部128が形成されている。脱着用開口部127と脱着用開口部128とは、互いに対向するように形成されており、板状の流量調整板7(板状部材)を、脱着用開口部127,128の一方から吸引ボックス102内部へ挿入し、吸引ボックス102を貫通させて脱着用開口部127,128の他方から流量調整板7の先端部を突出させることが可能にされている。
【0038】
図6は、
図5に示すメルトブローン用コレクタ2をVI−VI切断線で切断した断面図である。
図6においては、軸209、軸受け206,207の記載を省略し、ローラ201,203については概念的に記載している。
【0039】
吸引ボックス102内には、吸引ボックス102内に挿入された流量調整板7をガイドすると共に保持する保持部材として金具108が取り付けられている。金具108は、流量調整板7を前後方向にスライド可能に保持する。これにより、流量調整板7は、吸気口121と排気口124,126との間で、吸気口121と対向するように配置され、保持される。
【0040】
流量調整板7の吸気口121と対向する領域には、当該領域全体に分布するように複数の貫通孔Hが形成されている。複数の貫通孔Hは、流量調整板7の領域A1(第1領域)における開口率が、領域A1よりも排気口124又は排気口126に近い位置に位置する領域A2(第2領域)の開口率より大きくなるように形成されている。具体的には、領域A1に形成された貫通孔Hの孔径が、領域A2に形成された貫通孔Hの孔径よりも大きくされている。
【0041】
なお、領域A1と領域A2とで、貫通孔Hの孔径が異なる例に限らない。例えば、領域A1において単位面積あたりに形成される貫通孔Hの数を、領域A2において単位面積あたりに形成される貫通孔Hの数よりも多くしてもよく、その他の手段により開口率を設定してもよい。
【0042】
また、流量調整板7の開口率は、排気口124又は排気口126までの距離に応じて漸次変化させてもよく、段階的に変化させてもよく、2段階で変化させてもよい。
【0043】
また、貫通孔Hは、流量調整板7の吸気口121と対向する領域に形成される例に限らない。貫通孔Hは、例えば流量調整板7の全域に分布するように形成されていてもよく、部分的に形成されていてもよい。
【0044】
また、貫通孔Hの形状は、特定の形状に限定されない。例えば、スリット状の貫通孔であってもよい。また、流量調整板7を多孔質の材料で形成することにより、微細な貫通孔を多数形成するようにしてもよい。
【0045】
ポンプ4は、排気口124,126を介して吸引ボックス102内の空気を吸引する。これにより、吸気口121によって、スクリーンドラム101の外部の空気が周壁101aを介して吸引される。そうすると、吐出装置3のノズル311から繊維状に吐出された樹脂5が、吸気口121によって吸引される。
【0046】
次に、上述のように構成された不織布製造装置1の動作について説明する。まず、モータ212によってスクリーンドラム101を回転駆動させ、ポンプ4によって排気口124,126を介して吸引ボックス102内の空気を吸引させ、吸気口121からスクリーンドラム101の外部の空気を周壁101aを介して吸引させる。この状態で、吐出装置3のノズル311から、溶融した繊維状の樹脂5を吐出させる。そうすると、樹脂5が吸気口121によって吸引される。
【0047】
スクリーンドラム101が回転駆動しても、吸引ボックス102はサポート105,106によって固定的に支持されているから、ノズル311から吐出された樹脂5は、吸気口121と対向する位置で周壁101aに付着する。周壁101aは、スクリーンドラム101の回転に伴い、吸気口121に対して相対的に移動する。その結果、樹脂5がシート状に周壁101aに集積され、不織布6が形成される。
【0048】
このように、
図1に示す不織布製造装置1によれば、スクリーンドラム101がローラ201,203,202,204によって回転可能に支持され、吸引ボックス102が、サポート105,106によって、開口部11a,12aを介してスクリーンドラム101に対して相対移動可能に支持されているので、背景技術のように中空軸の周囲にベアリングを取り付けることなく、吸引ボックス102を固定させたままスクリーンドラム101を回転させ、かつ吸引ボックス102内から空気を吸引することができる。その結果、高価な大口径のベアリングが不要となるので、メルトブローン用コレクタ2及び不織布製造装置1の製造コストを低減することが容易となる。
【0049】
ここで、ノズルヘッド31の出口付近では、幅方向(前後方向)で樹脂5の量(繊維量)はほぼ一定である。しかしながら、吸気口121に吸引される空気流の速度に幅方向で差が生じていると、吸気口121に吸引される空気流の流れが速く吸引力が強い位置で、吸引される樹脂5の量が増大し、吸気口121と対向する位置で周壁101aに付着する樹脂5の量が増大する。その結果、空気流の流れが速い位置で不織布6が厚くなり、空気流の流れが遅い位置で不織布6が薄くなる。一方、吸引ボックス102内では、排気口124,126に近いほど、吸引空気の流速が速くなる。そのため、流量調整板7を備えない構成では、吸気口121の排気口124,126に近い位置、
図6に示す例では吸気口121の両端部付近で吸引空気の流速が速くなる。その結果、
図1に示す不織布6が前後方向両端部で厚くなり、均一な厚さの不織布6を得ることができない。
【0050】
そこで、
図6に示す流量調整板7は、流量調整板7の排気口124,126から遠い領域A1における開口率が、領域A1よりも排気口124又は排気口126に近い位置に位置する領域A2の開口率より大きくされている。これにより、排気口124,126から遠い領域A1では、空気の流れが阻害されることが少なく、排気口124又は排気口126に近い領域A2では、空気の流れが大きく阻害される。その結果、吸気口121の全域にわたって吸引される空気流の速さが均一化されるので、不織布6の厚さを均一化することができる。
【0051】
なお、流量調整板7の開口率の分布を適宜設定することによって、不織布6の厚さを任意に調整することができる。例えば、流量調整板7の開口率を全体的に大きくしたり小さくしたりすれば、不織布6を厚くしたり薄くしたりすることができる。また、流量調整板7の開口率の分布を適宜設定することによって、不織布6の厚さを幅方向に沿って意図的に変化させてもよい。
【0052】
このように、
図1に示す不織布製造装置1及びメルトブローン用コレクタ2によれば、流量調整板7を、開口率の分布を変えたものに取り替えるだけで不織布6の厚さを適宜変化させることができる。また、流量調整板7は、金具108によって吸引ボックス102にスライド可能に保持され、脱着用開口部127,128により吸引ボックス102への着脱が可能にされており、かつ脱着用開口部127,128が開口部11a,12aから外部に露出している。そのため、ユーザーは、メルトブローン用コレクタ2を分解等することなく流量調整板7を交換し、不織布6の厚さを調節することが容易である。
【0053】
一方、特許文献1に記載の装置では、特許文献1のFIG.2、FIG.3に記載されているように、空気入口スロットを複数の空気室に区分する。また、複数の中空軸を同心円状に同軸に嵌め込んで、各中空軸を各空気室に連結することで、各空気室による吸気流量を調節する。このような構成では、不織布の幅方向に沿って吸気速度を調節するためには、空気室の大きさや中空軸の径を変化させる必要があるため、不織布の厚さを幅方向に沿って調節することが容易でない。
【0054】
なお、吸引ボックス102の両端に脱着用開口部127,128を備える例を示したが、脱着用開口部127,128のうち、いずれか一つを備える構成としてもよい。また、脱着用開口部127,128を備えず、代わりに流量調整板7を交換するための開閉扉等の交換手段を吸引ボックス102に設けてもよい。また、脱着用開口部127,128を備えず、吸引ボックス102内に流量調整板7を固定的に取り付ける構成としてもよい。また、流量調整板7を備えない構成としてもよい。
【0055】
また、スクリーンドラム101の両端に開口部11a,12aを設ける例を示したが、開口部11a,12aのうちいずれか一つのみを設ける構成としてもよい。例えば、
図7に示すように、開口部12aを設けず、代わりにスクリーンドラム101の一端を底壁12bで閉塞し、排気口126を備えず、代わりに吸引ボックス102の一端を底壁126aで閉塞し、吸引ボックス102をサポート105の片持ちで支持するようにしてもよい。この場合、流量調整板7の貫通孔Hは、領域A1(第2領域)よりも底壁126aに近い(排気口124から遠い)領域A3(第1領域)において、領域A1よりも開口率を大きくすることが好ましい。
【0056】
また、底壁12bの中心から後方へ突出する軸部材12cを備え、サポート106aが、ベアリング106bによって軸部材12cを回転可能に支持する構成としてもよい。この場合、ベアリング106bは一つでよく、かつベアリング106bの内径は特許文献1に記載の装置と比べて小さくてよいので、コストを低減することができる。
【0057】
また、吸引ボックス102は、必ずしもその両端部がスクリーンドラム101の両端開口部からスクリーンドラム101の外部に突出する構成でなくてもよい。例えば、
図8に示すように、吸引ボックス102をスクリーンドラム101内に収納してもよい。そして、サポート105c,106cは、スクリーンドラム101の外部から、吸引ボックス102に向けて略水平に延設され、開口部11a,12aをそれぞれ通り抜けて吸引ボックス102に接続されるアーム105d,106dを備えてもよい。これにより、サポート105c,106cは、開口部11a,12aを介して吸引ボックス102を支持することが可能となる。
【0058】
また、スクリーンドラム101がフランジ11,12を備え、フランジ11,12の外周面がスクリーンドラム101の外周部となる例を示したが、フランジ11,12を備えていなくてもよい。その場合、ローラ201,203,202,204は、フランジ201a,203a,202a,204aを備えず、ローラ201,203,202,204の外周面が、周壁101aの外周部又は円環体101−1,101−2からフランジ11,12を取り除いた部分の外周部に接触するようにしてもよい。