(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186952
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】コンデンサモジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 2/02 20060101AFI20170821BHJP
H01G 9/26 20060101ALI20170821BHJP
H01G 9/08 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
H01G1/02 Z
H01G9/00 521
H01G9/08 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-138089(P2013-138089)
(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公開番号】特開2015-12232(P2015-12232A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】一倉 修
【審査官】
堀 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−340341(JP,A)
【文献】
特開2009−252934(JP,A)
【文献】
特開2010−073957(JP,A)
【文献】
実開昭61−174735(JP,U)
【文献】
特開平03−058406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G2/04
H01G4/38
H01G9/06
H01G9/08
H01G9/26
H01G11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンデンサを収納する収納部を有するケース部材を備えるコンデンサモジュールであって、
前記コンデンサは前記ケース部材と固定される補助端子を備え、
前記ケース部材は金属板を一体成形した端子受け部を備え、
前記補助端子が前記端子受け部の前記金属板に溶接により固定されていることを特徴とするコンデンサモジュール。
【請求項2】
複数のコンデンサを収納する収納部を有するケース部材を備えるコンデンサモジュールの製造方法であって、
前記ケース部材に金属板の一体成形により端子受け部を形成し、
前記金属板に前記コンデンサの補助端子を溶接により固定する、
ことを特徴とするコンデンサモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンデンサを備えるコンデンサモジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギを駆動や制動に用いる自動車などの機器では、電気エネルギの蓄積にコンデンサが用いられる。コンデンサは急速充放電特性に優れているので、始動や制動の迅速性が求められる自動車などの機器に適している。
【0003】
搭載機器側の始動や制動に必要な電力に対応するため、コンデンサに大容量化が要請される場合、複数のコンデンサを用いることにより、必要な容量や高圧化が図られる。この場合、複数のコンデンサを集合させたコンデンサモジュールが用いられる。
【0004】
斯かるコンデンサモジュールではケース部材に複数のコンデンサを保持させることが知られている(たとえば、特許文献1)。また、コンデンサとケース部材の間に絶縁樹脂を充填し、コンデンサを絶縁するとともにケース部材の内部に強固に固定されたコンデンサモジュールを構成することが知られている(たとえば、特許文献2および特許文献3)。一方で、コンデンサモジュールについては、絶縁化とともに軽量化が要求されているが、絶縁樹脂を充填した場合、固定強度や絶縁性は高まるものの、軽量化を妨げることになる。そこで、絶縁樹脂を充填しないコンデンサモジュールも検討されている(たとえば、特許文献4)。このようなコンデンサモジュールでは軽量化を実現するため、樹脂製のケース部材に複数のコンデンサを装着している。各コンデンサを設置するケース部材はたとえば、端子側を覆う第1のケース部材、コンデンサの底部側を覆う第2のケース部材に分割され、これらケース部材を連結するセパレートタイプのケース部材が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−204988号公報
【特許文献2】特開2010−87269号公報
【特許文献3】特開2007−14085号公報
【特許文献4】特開2005−94942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コンデンサモジュールでは、モジュール内のコンデンサの外部端子とバスバーの接続性を維持するため、外部端子間のバスバーによる接続と、この接続とは異なる部位でメインケースとコンデンサの固定を担うことが要求されている。つまり、コンデンサとコンデンサモジュールとの固定を外部端子で兼ねた場合、コンデンサモジュールを振動環境下で用いて、コンデンサモジュールに振動が加わると外部端子とバスバーの接続部に負荷が加わる。この場合、外部端子とバスバーの接続部にも負荷が掛かり、接続性が低下することがある。このため、バスバー接続用の外部端子とは別にコンデンサにはケース部材を固定する補助端子を設ける。
【0007】
コンデンサモジュールの搭載機器によっては、コンデンサモジュールが高温環境に設置される場合がある。コンデンサモジュールのケース部材が樹脂材料で形成されていると、補助端子のネジ受け部分が高温により緩むおそれがあるとの課題がある。
【0008】
補助端子の固定が緩んだ場合には、ケース部材とコンデンサとの固定がコンデンサの外部端子で担うことになり、コンデンサの外部端子に負荷が加わるという課題がある。コンデンサの外部端子に負荷が加わると、外部端子と外部回路との接続状態が劣化するなど、接続性に問題が生じるという課題がある。
【0009】
本発明は、複数のコンデンサが装着されるコンデンサモジュールにおいて、コンデンサの補助端子とケース部材との固定強度を高め、固定の安定性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサモジュールは、複数のコンデンサを収納する収納部を有するケース部材を備えるコンデンサモジュールであって、前記コンデンサは前記ケース部材と固定される補助端子を備え、前記ケース部材は金属板を一体成形した端子受け部を備え、前記補助端子が前記端子受け部の前記金属板に
溶接により固定されている。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサモジュールの製造方法は、複数のコンデンサを収納する収納部を有するケース部材を備えるコンデンサモジュールの製造方法であって、前記ケース部材に金属板の一体成形により端子受け部を形成し、前記金属板に前記コンデンサの補助端子
を溶接により固定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0015】
(1) コンデンサの補助端子が固定されるケース部材の端子受け部に金属板が一体成形されているので、コンデンサの補助端子を金属板に固定するので、補助端子とケース部材との固定強度を高めることができる。
【0016】
(2) ケース部材の端子受け部に金属板が一体成形されているので、コンデンサモジュールが高温環境下で使用されても、端子受け部が緩むことがなく、コンデンサとケース部材を固定し続けることができ、固定の安定化を図ることができる。
【0017】
(3) 端子受け部に金属板を設置したので、この金属板とコンデンサモジュール内のコンデンサの補助端子とを溶接や固定ねじにより強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施の形態に係るコンデンサモジュールを示す側面図である。
【
図2】端子取付け部の縦断面、ケース部材とコンデンサの固定断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一実施の形態に係るコンデンサモジュールの一例を示している。このコンデンサモジュール2には、第1のケース部材としてメインケース4−1、第2のケース部材としてボトムケース4−2を備える。メインケース4−1およびボトムケース4−2はたとえば、熱可塑性合成樹脂で形成する。メインケース4−1およびボトムケース4−2は複数のコンデンサ6を収納する複数の収納部8を備える。
【0020】
コンデンサ6には電解コンデンサ、電気二重層コンデンサなどが用いられる。コンデンサ6は、円筒状の外装ケースにコンデンサ素子が挿入され、外装ケースが封口板10で封口される。この封口板10は絶縁性合成樹脂などの絶縁板で形成され、この封口板10には陽極端子12、陰極端子14および補助端子16が形成されている。陽極端子12、陰極端子14および補助端子16は封口板10の成形の際、インサート成形により封口板10に一体に取り付けられる。陽極端子12にはコンデンサ素子の陽極が接続され、陰極端子14にはコンデンサ素子の陰極が接続される。補助端子16はコンデンサ6とメインケース4−1との固定などに用いられ、ネジ孔38(
図2のB)を備えている。
【0021】
メインケース4−1にはコンデンサ6を収納する収納部8と端子取付け部18が備えられる。端子取付け部18は収納部8の天井部に形成され、平板状である。この端子取付け部18には、コンデンサ6の陽極端子12、陰極端子14を貫通させる端子配置部20、22と、補助端子16に対する端子受け部24とを備えている。この実施の形態では、端子配置部20、22が端子取付け部18の長手方向に配列されている。これに対し、端子受け部24は端子配置部20、22の間隔中心位置でその間隔方向と直交方向に形成されている。このような配置関係から、各コンデンサ6の装着位置や装着方向が決定される。この端子受け部24には固定ネジ26が取り付けられ、コンデンサ6の補助端子16を固定する。固定ネジ26は頭部28とネジ部30とを備える。なお、端子受け部24にはU字形の分離壁が形成されてもよい。この分離壁に連続して端子配置部20、22間を分離する分離壁が形成されてもよい。これら分離壁を形成すれば、陽極端子12、陰極端子14、補助端子16のそれぞれに対して絶縁性を確保できる。
【0022】
ボトムケース4−2には、筒状の収納部8が備えられている。ボトムケース4−2がコンデンサ6のボトム側に嵌合され、メインケース4−1に結合されると、各コンデンサ6がボトムケース4−2側に収納される。ボトムケース4−2の収納部8にはコンデンサ6が嵌入されており、コンデンサ6はボトムケース4−2に密着している。ボトムケース4−2とコンデンサ6が嵌合することで、コンデンサモジュール2に振動が加わった場合にも、コンデンサ6の振動による負荷を低減でき、コンデンサ4の陽極端子12、陰極端子14や補助端子16への負荷を低減できる。さらに、コンデンサ6のボトム側を収納することで絶縁性を確保できる。
【0023】
図2のAは、端子取付け部18の縦断面を示している。メインケース4−1の天井部には収納部8と一体に端子取付け部18が形成されている。この端子取付け部18には、既述の端子受け部24が形成されている。この端子受け部24は、貫通孔32と、端子受け板34とを備える。この端子受け板34は端子取付け部18と一体成形された金属板の一例である。この端子受け板34には固定ネジ26のネジ部30を挿通させる挿通孔36を備える。
【0024】
図2のBは、補助端子16の固定部の縦断面を示している。コンデンサ6の端子側にメインケース4−1が被せられる。メインケース4−1の端子取付け部18の端子配置部20、22に、収納部8からコンデンサ6の陽極端子12、陰極端子14を貫通させる。同時に端子受け部24に補助端子16を配置させる。メインケース4−1の収納部8に装着されるコンデンサ6の補助端子16は、メインケース4−1の内面側から端子受け部24の端子受け板34に位置決めされ、固定ネジ26を端子受け板34の上面側から補助端子16のネジ孔38にネジ部30をねじ込む。これにより、この固定ネジ26とコンデンサ6の補助端子16との間にメインケース4−1の端子受け板34が挟み込まれ、補助端子16に固定ネジ26が固定される。
【0026】
(1) コンデンサ6の補助端子16を固定するメインケース4−1の端子受け部24に金属板である端子受け板34がインサート成形されているので、メインケース4−1の端子受け部24を端子受け板34により補強することができる。
【0027】
(2) このようなコンデンサモジュール2を高温環境下で使用しても、端子受け部24に取り付けられた固定ネジ26が緩むことがなく、コンデンサ6とメインケース4−1との固定状態を維持でき、安定した固定構造が得られる。
【0028】
(3) コンデンサ6とメインケース4−1を固定する補助端子16の固定が安定するため、コンデンサモジュール2を振動環境下で用いた場合でも、外部端子とバスバーの接続部に負荷が加わり難い構造となる。
【0029】
(4) メインケース4−1に金属板が一体成形された端子受け板34を備えているので、補助端子16と固定する際の位置合わせが可能となる。そのため、外部端子とバスバーとの接続部の高さ位置が一定となり、接続部に対する負荷を軽減できる。
【0030】
(5) 金属板である端子受け部34を補助端子16との固定部に配置することで、コンデンサモジュール2を樹脂で成型することが可能となり、コンデンサモジュール2の軽量化とともに、コンデンサモジュール2の固定の安定化に寄与することができる。
【0032】
上記実施の形態では、固定ネジ26により固定したが、コンデンサ6の補助端子16と端子受け板34とをレーザ溶接などの溶接により固定してもよい。斯かる構成によれば、固定構造の簡略化とともに、部品点数を削減できる。また、溶接による固定のため、補助端子16と端子受け部34を一体化できるので、コンデンサ6とコンデンサモジュール2の補助端子16による固定をより強固にできる。
【0033】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
複数のコンデンサをケース部材に装着したコンデンサモジュールの製造方法であって、ケース部材の端子受け部に金属板を一体成形して補強したので、金属板にコンデンサの補助端子を固定ネジまたは溶接により固定でき、補助端子の固定状態の維持および安定化が図られる。
【符号の説明】
【0035】
2 コンデンサモジュール
4−1 メインケース
4−2 ボトムケース
6 コンデンサ
8 収納部
10 封口板
12 陽極端子
14 陰極端子
16 補助端子
18 端子取付け部
20、22 端子配置部
24 端子受け部
26 固定ネジ
28 頭部
30 ネジ部
32 貫通孔
34 端子受け板
36 挿通孔
38 ネジ孔