(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
溶融材料を回転する冷却ロールの外周面に供給して一次冷却を行い、続いて、前記冷却ロールと冷却ロール外周面に押し付けられる冷却ベルトとの間を通過させて二次冷却を行うことによりシート状材料を形成するシート状材料の冷却制御方法であって、
材料の二次冷却開始温度計測値が二次冷却開始温度目標値より高いとき、一次冷却の領域を長くして二次冷却開始温度を下げ、前記二次冷却開始温度計測値が二次冷却開始温度目標値以下のとき、一次冷却の領域を短くして二次冷却開始温度を上げる二次冷却開始温度調整工程と、
前記二次冷却開始温度計測値と二次冷却終了温度計測値に基づく冷却速度が冷却速度目標値より大きいとき、前記冷却ベルトの冷却ロール外周面に対する押付力を減少させて冷却速度を下げ、前記冷却速度が冷却速度目標値以下のとき、前記冷却ベルトの冷却ロール外周面に対する押付力を増加させて冷却速度を上げる冷却速度調整工程と、
前記二次冷却終了温度計測値が二次冷却終了温度目標値より高いとき、二次冷却の領域を長くして二次冷却終了温度を下げ、前記二次冷却終了温度計測値が二次冷却終了温度目標値以下のとき、二次冷却の領域を短くして二次冷却終了温度を上げる二次冷却終了温度調整工程と
を行い、
前記二次冷却開始温度調整工程における二次冷却開始温度計測値と二次冷却開始温度目標値との比較は、二次冷却開始温度計測値と二次冷却開始温度目標値との偏差の絶対値が許容偏差を超えるときに行い、
前記冷却速度調整工程における冷却速度は、前記二次冷却開始温度調整工程で前記二次冷却開始温度計測値と二次冷却開始温度目標値との偏差の絶対値が許容偏差以下のとき、冷却速度算出値として
R=(TA−TB)/(L/V)
但し、TA:二次冷却開始温度計測値
TB:二次冷却終了温度計測値
L:冷却ロール外周面に押し付けられる冷却ベルトの弧長
V:冷却ロールの周速
より算出し、前記冷却速度算出値と冷却速度目標値との比較は、該冷却速度算出値と冷却速度目標値との偏差の絶対値が許容偏差を超えるときに行い、
前記二次冷却終了温度調整工程における二次冷却終了温度計測値と二次冷却終了温度目標値との比較は、前記冷却速度調整工程で冷却速度算出値と冷却速度目標値との偏差の絶対値が許容偏差以下であって、前記二次冷却終了温度計測値と二次冷却終了温度目標値との偏差の絶対値が許容偏差を超えるときに行い、前記二次冷却終了温度計測値と二次冷却終了温度目標値との偏差の絶対値が許容偏差以下のとき、前記二次冷却開始温度調整工程へ戻るようにしたことを特徴とするシート状材料の冷却制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1〜
図5は本発明のシート状材料の冷却制御装置の実施例であって、1は溶融材料が貯留される坩堝、2は坩堝1に貯留された溶融材料を受けるタンディッシュであり、該タンディッシュ2で受けた溶融材料を、図示していないモータ及び減速機を介して回転する冷却ロール3の外周面に供給することにより、溶融材料の一次冷却と二次冷却とを行うようにしてある。
【0017】
前記冷却ロール3の内部には図示していない冷却流路が形成され、該冷却流路に冷却媒体が流通するようにしてある。
【0018】
前記冷却ロール3における溶融材料の供給位置から冷却ロール3の回転方向下流側へ所要距離だけ離れた位置には、冷却ロール3の軸心と平行な軸心を中心として回転自在な第一プーリー4を、冷却ロール3の外周面に沿って位置調整自在となるよう配設してある。該第一プーリー4の両端部は、図示していないハウジングに冷却ロール3の軸線を中心として回動自在となるよう配設された第一プーリーガイド5に軸受(図示せず)を介して支持され、該第一プーリーガイド5を流体圧シリンダ等の第一アクチュエータ6によって回動させることにより、前記第一プーリー4の位置調整を行うようにしてある。
【0019】
前記第一プーリー4から冷却ロール3の回転方向下流側へ所要距離だけ離れた位置には、冷却ロール3の軸心と平行な軸心を中心として回転自在な第二プーリー7を、冷却ロール3の外周面に沿って位置調整自在となるよう配設してある。該第二プーリー7の両端部は、前記ハウジングに冷却ロール3の軸線を中心として回動自在となるよう配設された第二プーリーガイド8に軸受(図示せず)を介して支持され、該第二プーリーガイド8を流体圧シリンダ等の第二アクチュエータ9によって回動させることにより、前記第二プーリー7の位置調整を行うようにしてある。
【0020】
前記第一プーリー4及び第二プーリー7から所要距離だけ離れた位置には、冷却ロール3の軸心と平行な軸心を中心として回転自在なテンションプーリー10を、冷却ロール3の外周面に対する位置調整自在となるよう配設してある。該テンションプーリー10の一端部は、前記ハウジングに冷却ロール3の軸線と平行な軸を中心として揺動自在となるよう配設されたアーム11の先端に軸受ブラケット12を介して支持され、該アーム11を流体圧シリンダ等のテンションアクチュエータ13によって揺動させることにより、前記テンションプーリー10の位置調整を行うようにしてある。
【0021】
前記第一プーリー4と第二プーリー7とテンションプーリー10との間には、冷却ベルト14を無端状に掛け回し、該冷却ベルト14を第一プーリー4と第二プーリー7との間で冷却ロール3の外周面に押し付けることにより、該冷却ロール3と冷却ベルト14との間に材料を通過させて前記二次冷却を行うようにしてある。該二次冷却は、材料を冷却ロール3だけでなく冷却ベルト14にも接触させるため、前記一次冷却よりも冷却速度を高め材料の急冷を行うことが可能となっている。
【0022】
前記第一プーリーガイド5から冷却ロール3の外周面側へ張り出すように配設した第一ブラケット15には、前記第一プーリー4の配設位置における材料の二次冷却開始温度計測値T
Aを計測する第一温度センサ16を設け、前記第二プーリーガイド8から冷却ロール3の外周面側へ張り出すように配設した第二ブラケット17には、前記第二プーリー7の配設位置における材料の二次冷却終了温度計測値T
Bを計測する第二温度センサ18を設けてある。
【0023】
そして、前記第一温度センサ16で計測される二次冷却開始温度計測値T
Aと前記第二温度センサ18で計測される二次冷却終了温度計測値T
Bとに基づき、制御器19から前記第一アクチュエータ6と第二アクチュエータ9とテンションアクチュエータ13とに制御信号6a,9a,13aを出力するようにしてある。
【0024】
前記制御器19は、二次冷却開始温度調整工程を行う二次冷却開始温度調整部19A(
図3参照)と、冷却速度調整工程を行う冷却速度調整部19B(
図4参照)と、二次冷却終了温度調整工程を行う二次冷却終了温度調整部19C(
図5参照)とを具備している。
【0025】
前記二次冷却開始温度調整部19Aは、
図3に示す如く、前記一次冷却の終了地点となる二次冷却の開始地点で第一温度センサ16により材料の二次冷却開始温度計測値T
Aを計測するステップS1と、該ステップS1で計測された材料の二次冷却開始温度計測値T
Aと二次冷却開始温度目標値T
A0との偏差の絶対値を許容偏差ε
TAと比較して第一プーリー4の位置の調整の要否を判断するステップS2と、該ステップS2で二次冷却開始温度計測値T
Aと二次冷却開始温度目標値T
A0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TAを超え調整を要すると判断されたときに二次冷却開始温度計測値T
Aが二次冷却開始温度目標値T
A0より高いか否かを判断するステップS3とを備えている。更に、前記ステップS3で前記二次冷却開始温度計測値T
Aが二次冷却開始温度目標値T
A0より高いと判断されたとき、前記二次冷却の開始地点となる第一プーリー4の位置を材料流通方向下流側へ移動させ、一次冷却の領域を長くして二次冷却開始温度計測値T
Aを下げる制御信号6aを前記第一アクチュエータ6へ出力するステップS4と、前記ステップS3で前記二次冷却開始温度計測値T
Aが二次冷却開始温度目標値T
A0以下であると判断されたとき、前記二次冷却の開始地点となる第一プーリー4の位置を材料流通方向上流側へ移動させ、一次冷却の領域を短くして二次冷却開始温度計測値T
Aを上げる制御信号6aを前記第一アクチュエータ6へ出力するステップS5とを備えている。尚、前記ステップS4或いはステップS5で制御信号6aを第一アクチュエータ6へ出力した後は、前記ステップS1へ戻るようにしてある。又、ステップS6は、前記ステップS2で前記二次冷却開始温度計測値T
Aと二次冷却開始温度目標値T
A0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TA以下であると判断されたとき、前記第一プーリー4の位置変更は行われないことを示している。
【0026】
前記冷却速度調整部19Bは、前記二次冷却開始温度調整部19AのステップS2で前記二次冷却開始温度計測値T
Aと二次冷却開始温度目標値T
A0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TA以下であると判断されたとき、前記ステップS6を経て、
図4に示す如く、前記一次冷却の終了地点となる二次冷却の開始地点で第一温度センサ16により材料の二次冷却開始温度計測値T
Aを計測すると共に、二次冷却の終了地点で第二温度センサ18により材料の二次冷却終了温度計測値T
Bを計測するステップS7と、該ステップS7で計測された二次冷却開始温度計測値T
A及び二次冷却終了温度計測値T
Bに基づき冷却速度算出値Rを
R=(T
A−T
B)/(L/V)
但し、L:冷却ロール3の外周面に押し付けられる冷却ベルト14の弧長(
図2参照)
V:冷却ロール3の周速(
図2参照)
より算出するステップS8と、該ステップS8で算出された冷却速度算出値Rと冷却速度目標値R
0との偏差の絶対値を許容偏差ε
Rと比較してテンションプーリー10の位置の調整の要否を判断するステップS9と、該ステップS9で冷却速度算出値Rと冷却速度目標値R
0との偏差の絶対値が許容偏差ε
Rを超え調整を要すると判断されたときに冷却速度算出値Rが冷却速度目標値R
0より大きいか否かを判断するステップS10とを備えている。因みに、前記冷却ロール3の外周面に押し付けられる冷却ベルト14の弧長Lは、前記第一アクチュエータ6と第二アクチュエータ9の伸縮量に基づいて演算され、前記冷却ロール3の周速Vは、前記モータの回転数に基づいて演算されるようにしてある。更に、前記ステップS10で前記冷却速度算出値Rが冷却速度目標値R
0より大きいと判断されたとき、前記冷却ベルト14の張力を減少させる方向へテンションプーリー10を移動させ、該冷却ベルト14の冷却ロール外周面に対する押付力を減少させて冷却速度算出値Rを下げる制御信号13aを前記テンションアクチュエータへ出力するステップS11と、前記ステップS10で前記冷却速度算出値Rが冷却速度目標値R
0以下であると判断されたとき、前記冷却ベルト14の張力を増加させる方向へテンションプーリー10を移動させ、該冷却ベルト14の冷却ロール外周面に対する押付力を増加させて冷却速度算出値Rを上げる制御信号13aを前記テンションアクチュエータ13へ出力するステップS12とを備えている。尚、前記ステップS11或いはステップS12で制御信号13aをテンションアクチュエータ13へ出力した後は、前記ステップS7へ戻るようにしてある。又、ステップS13は、前記ステップS9で前記冷却速度算出値Rと冷却速度目標値R
0との偏差の絶対値が許容偏差ε
R以下であると判断されたとき、前記テンションプーリー10の位置変更は行われないことを示している。
【0027】
前記二次冷却終了温度調整部19Cは、前記冷却速度調整部19BのステップS9で冷却速度算出値Rと冷却速度目標値R
0との偏差の絶対値が許容偏差ε
R以下であると判断されたとき、ステップS13を経て、
図5に示す如く、二次冷却の終了地点で第二温度センサ18により材料の二次冷却終了温度計測値T
Bを計測するステップS14と、該ステップS14で計測された材料の二次冷却終了温度計測値T
Bと二次冷却終了温度目標値T
B0との偏差の絶対値を許容偏差ε
TBと比較して第二プーリー7の位置の調整の要否を判断するステップS15と、該ステップS15で二次冷却終了温度計測値T
Bと二次冷却終了温度目標値T
B0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TBとを超え調整を要すると判断されたときに二次冷却終了温度計測値T
Bが二次冷却終了温度目標値T
B0より高いか否かを判断するステップS16とを備えている。更に、前記ステップS16で前記二次冷却終了温度計測値T
Bが二次冷却終了温度目標値T
B0より高いと判断されたとき、前記二次冷却の終了地点となる第二プーリー7の位置を材料流通方向下流側へ移動させ、二次冷却の領域を長くして二次冷却終了温度計測値T
Bを下げる制御信号9aを前記第二アクチュエータ9へ出力するステップS17と、前記ステップS16で前記二次冷却終了温度計測値T
Bが二次冷却終了温度目標値T
B0以下であると判断されたとき、前記二次冷却の終了地点となる第二プーリー7の位置を材料流通方向上流側へ移動させ、二次冷却の領域を短くして二次冷却終了温度計測値T
Bを上げる制御信号9aを前記第二アクチュエータ9へ出力するステップS18とを備えている。尚、前記ステップS17或いはステップS18で制御信号9aを第二アクチュエータ9へ出力した後は、冷却ベルト14のテンションが変わるので、再度、冷却速度を調整するために、前記冷却速度調整部19BのステップS7へ戻るようにしてある。又、ステップS19は、前記ステップS15で前記二次冷却終了温度計測値T
Bと二次冷却終了温度目標値T
B0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TB以下であると判断されたとき、前記第二プーリー7の位置変更は行われないことを示し、この場合、前記二次冷却開始温度調整部19AのステップS1へ戻るようにしてある。
【0029】
坩堝1に貯留された溶融材料は、タンディッシュを介して、回転する冷却ロール3の外周面に供給され、先ず一次冷却が行われる。
【0030】
続いて、第一プーリー4と第二プーリー7とテンションプーリー10との間に無端状に掛け回された冷却ベルト14は、第一プーリー4と第二プーリー7との間で冷却ロール3の外周面に押し付けられ、該冷却ロール3と冷却ベルト14との間を材料が通過して二次冷却が行われる。
【0031】
制御器19の二次冷却開始温度調整部19Aでは、
図3に示す如く、前記一次冷却の終了地点となる二次冷却の開始地点で第一温度センサ16により材料の二次冷却開始温度計測値T
Aが計測される(ステップS1参照)。
【0032】
前記ステップS1で計測された材料の二次冷却開始温度計測値T
Aと二次冷却開始温度目標値T
A0との偏差の絶対値は、許容偏差ε
TAと比較されて第一プーリー4の位置の調整の要否が判断される(ステップS2参照)。
【0033】
前記ステップS2で二次冷却開始温度計測値T
Aと二次冷却開始温度目標値T
A0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TAを超え調整を要すると判断されたときには、二次冷却開始温度計測値T
Aが二次冷却開始温度目標値T
A0より高いか否かが判断される(ステップS3参照)。
【0034】
前記ステップS3で前記二次冷却開始温度計測値T
Aが二次冷却開始温度目標値T
A0より高いと判断されたときには、制御器19から出力される制御信号6aにより第一アクチュエータ6が
図1において伸長駆動されて、前記二次冷却の開始地点となる第一プーリー4の位置が材料流通方向下流側へ移動し、一次冷却の領域が長くなって二次冷却開始温度計測値T
Aが下げられる(ステップS4参照)。
【0035】
一方、前記ステップS3で前記二次冷却開始温度計測値T
Aが二次冷却開始温度目標値T
A0以下であると判断されたときには、制御器19から出力される制御信号6aにより第一アクチュエータ6が
図1において収縮駆動されて、前記二次冷却の開始地点となる第一プーリー4の位置が材料流通方向上流側へ移動し、一次冷却の領域が短くなって二次冷却開始温度計測値T
Aが上げられる(ステップS5参照)。
【0036】
尚、前記ステップS4或いはステップS5で制御信号6aが第一アクチュエータ6へ出力された後は、前記ステップS1へ戻り、前述と同様の操作が繰り返される。又、前記ステップS2で前記二次冷却開始温度計測値T
Aと二次冷却開始温度目標値T
A0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TA以下であると判断されたときには、前記第一プーリー4の位置変更は行われない(ステップS6参照)。ここで仮に、前記許容偏差ε
TAを設定していないと、第一プーリー4の位置変更が必要以上に行われてしまうことになるが、本実施例のように、許容偏差ε
TAを設定することにより、第一プーリー4が必要以上に位置変更されることが避けられる。
【0037】
次に、前記制御器19の冷却速度調整部19Bでは、前記二次冷却開始温度調整部19AのステップS2で前記二次冷却開始温度計測値T
Aと二次冷却開始温度目標値T
A0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TA以下であると判断されたとき、前記ステップS6を経て、
図4に示す如く、前記一次冷却の終了地点となる二次冷却の開始地点で第一温度センサ16により材料の二次冷却開始温度計測値T
Aが計測されると共に、二次冷却の終了地点で第二温度センサ18により材料の二次冷却終了温度計測値T
Bが計測される(ステップS7参照)。
【0038】
前記ステップS7で計測された二次冷却開始温度計測値T
A及び二次冷却終了温度計測値T
Bに基づき冷却速度算出値Rが
R=(T
A−T
B)/(L/V)
より算出される(ステップS8参照)。
【0039】
前記ステップS8で算出された冷却速度算出値Rと冷却速度目標値R
0との偏差の絶対値が許容偏差ε
Rと比較されてテンションプーリー10の位置の調整の要否が判断される(ステップS9参照)。
【0040】
前記ステップS9で冷却速度算出値Rと冷却速度目標値R
0との偏差の絶対値が許容偏差ε
Rを超え調整を要すると判断されたときには、冷却速度算出値Rが冷却速度目標値R
0より大きいか否かが判断される(ステップS10参照)。
【0041】
前記ステップS10で前記冷却速度算出値Rが冷却速度目標値R
0より大きいと判断されたときには、制御器19から出力される制御信号13aによりテンションアクチュエータ13が
図1において伸長駆動されて、前記冷却ベルト14の張力を減少させる方向へテンションプーリー10が移動し、該冷却ベルト14の冷却ロール外周面に対する押付力が減少されて冷却速度算出値Rが下げられる(ステップS11参照)。
【0042】
一方、前記ステップS10で前記冷却速度算出値Rが冷却速度目標値R
0以下であると判断されたときには、制御器19から出力される制御信号13aによりテンションアクチュエータ13が
図1において収縮駆動されて、前記冷却ベルト14の張力を増加させる方向へテンションプーリー10が移動し、該冷却ベルト14の冷却ロール外周面に対する押付力が増加されて冷却速度算出値Rが上げられる。
【0043】
尚、前記ステップS11或いはステップS12で制御信号13aがテンションアクチュエータ13へ出力された後は、前記ステップS7へ戻り、前述と同様の操作が繰り返される。又、前記ステップS9で前記冷却速度算出値Rと冷却速度目標値R
0との偏差の絶対値が許容偏差ε
R以下であると判断されたとき、前記テンションプーリー10の位置変更は行われない(ステップS13参照)。ここで仮に、前記許容偏差ε
Rを設定していないと、テンションプーリー10の位置変更が必要以上に行われてしまうことになるが、本実施例のように、許容偏差ε
Rを設定することにより、テンションプーリー10が必要以上に位置変更されることが避けられる。
【0044】
更に、前記制御器19の二次冷却終了温度調整部19Cでは、前記冷却速度調整部19BのステップS9で冷却速度算出値Rと冷却速度目標値R
0との偏差の絶対値が許容偏差ε
R以下であると判断されたとき、ステップS13を経て、
図5に示す如く、二次冷却の終了地点で第二温度センサ18により材料の二次冷却終了温度計測値T
Bが計測される(ステップS14参照)。
【0045】
前記ステップS14で計測された材料の二次冷却終了温度計測値T
Bと二次冷却終了温度目標値T
B0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TBと比較されて第二プーリー7の位置の調整の要否が判断される(ステップS15参照)。
【0046】
前記ステップS15で二次冷却終了温度計測値T
Bと二次冷却終了温度目標値T
B0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TBを超え調整を要すると判断されたときには、二次冷却終了温度計測値T
Bが二次冷却終了温度目標値T
B0より高いか否かが判断される(ステップS16参照)。
【0047】
前記ステップS16で前記二次冷却終了温度計測値T
Bが二次冷却終了温度目標値T
B0より高いと判断されたときには、制御器19から出力される制御信号9aにより第二アクチュエータ9が
図1において収縮駆動されて、前記二次冷却の終了地点となる第二プーリー7の位置が材料流通方向下流側へ移動し、二次冷却の領域が長くなって二次冷却終了温度計測値T
Bが下げられる(ステップS17参照)。
【0048】
一方、前記ステップS16で前記二次冷却終了温度計測値T
Bが二次冷却終了温度目標値T
B0以下であると判断されたときには、制御器19から出力される制御信号9aにより第二アクチュエータ9が
図1において伸長駆動されて、前記二次冷却の終了地点となる第二プーリー7の位置が材料流通方向上流側へ移動し、二次冷却の領域が短くなって二次冷却終了温度計測値T
Bが上げられる(ステップS18参照)。
【0049】
尚、前記ステップS17或いはステップS18で制御信号9aが第二アクチュエータ9へ出力された後は、冷却ベルト14のテンションが変わるので、前記冷却速度調整部19BのステップS7へ戻り、再度、冷却速度が調整される。又、前記ステップS15で前記二次冷却終了温度計測値T
Bと二次冷却終了温度目標値T
B0との偏差の絶対値が許容偏差ε
TB以下であると判断されたときには、前記第二プーリー7の位置変更は行われず(ステップS19参照)、この場合、前記二次冷却開始温度調整部19AのステップS1へ戻り、前述と同様の操作が繰り返される。ここで仮に、前記許容偏差ε
TBを設定していないと、第二プーリー7の位置変更が必要以上に行われてしまうことになるが、本実施例のように、許容偏差ε
TBを設定することにより、第二プーリー7が必要以上に位置変更されることが避けられる。
【0050】
本実施例においては、特許文献1に開示された装置のように基本的に熱可塑性樹脂を成型する際に微細模様を付与するためのものとは全く異なり、溶融材料の冷却工程できめ細かい制御を行うことができ、樹脂シートに適用すれば透明性を確保することが可能となる。又、金属シートに適用することも勿論でき、この場合、その磁性や電気的特性を変化させることが可能となり、種々のシート状材料を形成する上で非常に重要となる所望の組織構造が得られる。
【0051】
こうして、溶融材料の冷却工程できめ細かい制御を行うことができ、所望の組織構造を有したシート状材料を形成し得る。
【0052】
尚、本発明のシート状材料の冷却制御方法及び装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。