特許第6186983号(P6186983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186983
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】燃焼装置および給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   F23N5/24 107Z
   F23N5/24 106D
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-154642(P2013-154642)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-25600(P2015-25600A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 幸寛
(72)【発明者】
【氏名】吉▲高▼ 豊
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−068311(JP,A)
【文献】 特開平07−324744(JP,A)
【文献】 特開2013−076483(JP,A)
【文献】 特開2014−163656(JP,A)
【文献】 特開2003−161440(JP,A)
【文献】 特開平09−243071(JP,A)
【文献】 特開2006−213565(JP,A)
【文献】 特開2005−083694(JP,A)
【文献】 特開2002−365254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/24
G01N 27/00 − 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼するためのバーナと、
前記バーナに対して送風するための送風ファンと、
前記バーナの排気路に配置されたCOセンサと、
前記COセンサのゼロ点補正を定期的に実行するための補正手段と、
前記バーナの燃焼終了から前記補正手段による次回のゼロ点補正の開始までの期間に、前記送風ファンから送風することによって前記排気路を掃気するための掃気手段と、
前記バーナの燃焼終了時点から前記次回のゼロ点補正の開始までの予測時間に応じて、前記掃気手段による掃気量を変化させるための調整手段とを備える、燃焼装置。
【請求項2】
前記調整手段は、
前記予測時間が基準時間よりも長い場合には、前記掃気量を第1の値に設定する一方で、前記予測時間が前記基準時間よりも短い場合には、前記第1の値より大きい範囲で前記予測時間が短くなるほど前記掃気量が大きくなるように、前記掃気手段による掃気量を設定するための手段を含む、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記ゼロ点補正よりも前記バーナによる燃焼要求を優先するように前記ゼロ点補正を待機させるための待機手段をさらに備え、
前記調整手段は、
前記待機手段によって前記ゼロ点補正が待機された状態において前記バーナによる燃焼が終了された場合に、前記掃気手段による掃気量を最大値に設定するための手段を含む、請求項1または2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記掃気手段は、
前記バーナによる燃焼終了後におけるポストパージの時間を前記調整手段によって決められた掃気量に応じて調整するための手段を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記掃気手段は、
前記バーナによる燃焼終了後におけるポストパージによる第1の掃気量と、前記ポストパージの終了から前記ゼロ点補正の開始までの間に前記送風ファンを掃気運転させることによる第2の掃気量との和によって、前記調整手段によって決められた掃気量を確保するための手段を含み、
前記第1の掃気量は前記予測時間によらず一定である一方で、前記第2の掃気量は、前記予測時間に応じて可変に設定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載された燃焼装置。
【請求項6】
前記掃気運転のときの前記送風ファンの回転数を、前記ポストパージのときの前記送風ファンの回転数よりも低く設定するための回転数制御手段をさらに備える、請求項5記載の燃焼装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に従う燃焼装置と、
前記燃焼装置によって発生した熱量によって通流する湯水の温度を上昇させるための熱交換器とを備える、給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼装置および給湯装置に関し、より特定的には、COセンサを備えた燃焼装置および給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料燃焼によって熱量を発生する燃焼装置は、排ガス経路などにCOセンサを設けることによって、燃料の不完全燃焼などの燃焼不良を検出できるように構成することができる。代表的には、屋内に設置されるガス給湯装置が、COセンサを具備するように構成される。
【0003】
COセンサは、たとえば白金線のコイルを酸化アルミなどの触媒によりコーティングして乾燥および焼成した構成を有する。このようなCOセンサにおいては、表面に汚染物質が付着すると、センサ出力に誤差を生じる。
【0004】
たとえば、特開2013−76483号公報(特許文献1)には、COセンサの出力誤差を解消するために、COセンサを周期的にヒートクリーニングするとともに、このヒートクリーニングの直後にセンサ出力のゼロ点補正を行なうことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−76483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、COセンサのゼロ点補正は、一定周期(たとえば、数時間前後の周期)で定期的に実行される。COセンサによる検出精度を高めるためには、COセンサの配置個所でのCO濃度成分が略ゼロの状態で、ゼロ点補正を行なうことが重要である。
【0007】
したがって、燃焼装置による燃料終了からCOセンサゼロ点補正の実行までの間に、COセンサが配置された排気路を十分に掃気することが必要である。一方で、過剰な掃気により燃焼装置の構成部品の温度が低下すると、掃気後に再度燃料燃焼した際に熱効率が低下することが懸念される。
【0008】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、COセンサを備えた燃焼装置および給湯装置において、COセンサのゼロ点補正開始までの掃気を適切に実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による燃焼装置は、燃料を燃焼するためのバーナと、バーナに対して送風するための送風ファンと、バーナの排気路に配置されたCOセンサと、補正手段と、掃気手段と、調整手段とを含む。補正手段は、COセンサのゼロ点補正を定期的に実行する。掃気手段は、バーナの燃焼終了から補正手段による次回のゼロ点補正の開始までの期間に、送風ファンから送風することによって排気路を掃気する。調整手段は、バーナの燃焼終了時点から次回のゼロ点補正の開始までの予測時間に応じて掃気手段による掃気量を変化させる。
【0010】
上記燃焼装置によれば、バーナの燃焼終了からCOセンサのゼロ点補正までの時間が短いときに掃気量の不足によってゼロ点補正の精度が低下する問題、ならびに、掃気量の過多によってゼロ点補正までに再び燃焼運転が実行された際の熱効率が低下する問題を回避して、COゼロ点補正開始までの掃気を適切に実行することができる。
【0011】
好ましくは、調整手段は、予測時間が基準時間よりも長い場合には、掃気量を第1の値に設定する一方で、予測時間が基準時間よりも短い場合には、第1の値より大きい範囲で予測時間が短くなるほど掃気量が大きくなるように、掃気手段による掃気量を設定するための手段を含む。
【0012】
このようにすると、バーナの燃焼終了からCOセンサのゼロ点補正までの時間が長いときには掃気量を一定時間に抑制することによって、燃焼装置の構成部品の温度が過剰に低下することによって次回のバーナ燃焼時における熱効率が低下することを防止できる。さらに、ゼロ点補正までの時間が短い場合には、掃気量を増加させることによって、ゼロ点補正の精度が低下することを回避できる。
【0013】
また好ましくは、燃焼装置は、待機手段をさらに含む。待機手段は、ゼロ点補正よりもバーナによる燃焼要求を優先するようにゼロ点補正を待機させる。調整手段は、待機手段によってゼロ点補正が待機された状態においてバーナによる燃焼が終了された場合に、掃気手段による掃気量を最大値に設定するための手段を有する。
【0014】
このようにすると、バーナ燃焼の終了直後に待機されたゼロ点補正を行なう場合にも、ゼロ点補正に備えた掃気量を適切に確保することができる。
【0015】
さらに好ましくは、掃気手段は、バーナによる燃焼終了後におけるポストパージの時間を調整手段によって決められた掃気量に応じて調整するための手段を有する。
【0016】
このようにすると、バーナの燃焼終了毎に実行されるポストパージの時間を調整することによって、ゼロ点補正に備えた掃気量を適切に確保することができる。
【0017】
また好ましくは、掃気手段は、バーナによる燃焼終了後におけるポストパージによる第1の掃気量と、ポストパージの終了からゼロ点補正の開始までの間に送風ファンを掃気運転させることによる第2の掃気量との和によって、調整手段によって決められた掃気量を確保するための手段を含む。そして、第1の掃気量は予測時間によらず一定である一方で、第2の掃気量は、予測時間に応じて可変に設定される。
【0018】
このようにすると、バーナの燃焼終了毎に実行されるポストパージと、ゼロ点補正前の掃気運転とによって、ゼロ点補正に備えた掃気量を適切に確保することができる。特に、ポストパージ時間をゼロ点補正のために延長することなく必要最小限の一定時間に固定できるので、次回のバーナ燃焼時における熱効率の低下を防止することができる。
【0019】
さらに好ましくは、燃焼装置は、回転数制御手段をさらに含む。回転数制御手段は、第2の掃気量を供給するときの送風ファンの回転数を、ポストパージのときの送風ファンの回転数よりも低く設定する。
【0020】
このようにすると、COセンサのゼロ点補正前の送風ファンの動作によってユーザに与える違和感を低減することができる。
【0021】
本発明による給湯装置は、上記のいずれかの燃焼装置と、燃焼装置によって発生した熱量によって通流する湯水の温度を上昇させるための熱交換器とを含む。
【0022】
上記給湯装置によれば、燃焼装置の排気路に設けられたCOセンサのゼロ点補正に備えた掃気を適切に実行することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、COセンサを備えた燃焼装置および給湯装置において、COセンサのゼロ点補正開始までの掃気を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に従う燃焼装置を含むガス給湯装置100の概略構成図である。
図2】ゼロ点補正時におけるCOセンサの出力電圧挙動を説明するための概念的な波形図である。
図3】COセンサのゼロ点補正の実行タイミングを説明するための概念図である。
図4】燃焼終了後のポストパージ時間の設定態様の比較例を説明するための概念図である。
図5】本実施の形態に従う燃焼装置におけるポストパージ時間の設定態様を説明するための概念図である。
図6】本実施の形態に従う燃焼装置におけるポストパージの制御処理手順を説明するフローチャートである。
図7】本実施の形態の変形例に従う燃焼装置におけるポストパージの制御処理手順を説明するフローチャートである。
図8】本実施の形態の変形例に従う燃焼装置におけるゼロ点補正時の掃気運転を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に従う燃焼装置を含むガス給湯装置100の概略構成図である。
【0027】
図1を参照して、ガス給湯装置100は、燃料ガスを燃焼させるバーナ10と、送風ファン11と、熱交換器12と、COセンサ20と、制御部30とを備える。図1に例示したガス給湯装置100においては、バーナ10、送風ファン11、COセンサ20および、制御部30によって、本発明が適用される燃焼装置が構成される。
【0028】
送風ファン11は、バーナ10に対して空気を供給する。送風ファン11からの送風量は、ファン回転数に応じて決まる。熱交換器12は、バーナ10によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって、熱交換器12内部を通流する湯水を加熱する。これにより、ガス給湯装置100は、入水路から導入された水を加熱して出湯することができる。
【0029】
COセンサ20は、バーナ10からの燃焼ガスの排気路に配置される。COセンサ20としては、公知のものを適宜用いることが可能であり、たとえば、白金線コイルを酸化アルミなどの触媒によりコーティングして乾燥および焼成したものを適用することができる。排ガス中にCOが存在すると、COとの反応熱によって白金線コイルの抵抗値が上昇する原理に基づき、COセンサ20の出力電圧は、CO濃度に応じて変化する。これにより、COセンサ20の出力(出力電圧)に基づいて、CO濃度を検出することができる。COセンサ20の出力電圧は、制御部30へ送出される。また、COセンサ20は、制御部30からの指令に従って、後述するゼロ点補正のためのヒートアップ処理を実行する。
【0030】
制御部30は、ガス給湯装置100の構成機器の動作を制御する。制御部30は、代表的には、所定プログラムが予め記憶されたマイクロコンピュータによって構成される。さらに、制御部30は、バーナ10の燃焼の開始/停止およびバーナ10への燃料ガス供給量を制御するとともに、送風ファン11の作動/停止ならびに作動時のファン回転数を制御する。たとえば、送風ファン11の図示しないファンモータの駆動電圧を、制御部30からの指令に応じて調整することによって、送風ファン10の回転数を制御することができる。
【0031】
ガス給湯装置100では、COセンサ20の検出精度を確保するために、以下に説明するようなゼロ点補正が定期的に実行される。
【0032】
図2は、ゼロ点補正時におけるCOセンサの出力電圧挙動を説明するための概念的な波形図である。
【0033】
図2を参照して、時刻t0からt1の間、COセンサ20に通常時よりも大きな電流を流して発熱させるヒートアップ処理が実行される。これにより、センサ表面に付着した汚染物質を除去することができる。ヒートアップ処理中には、通電量の上昇に応じて,COセンサの出力電圧が上昇する。
【0034】
時刻t1において、ヒートアップ処理が終了されると、COセンサの出力電圧は徐々に低下する。ヒートアップ処理の終了後には、COセンサ出力電圧が安定化したか否かを判別する安定チェック処理が周期的に実行される。たとえば、時刻t3において、周期間での電圧変化が所定値よりも小さくなると安定チェック処理が終了する。
【0035】
時刻t3からは、安定後のセンサ出力電圧に従って、CO濃度=0に対応するゼロ点を修正するゼロ点補正処理が実行される。時刻t4において、ゼロ点補正処理が完了することにより、一連のヒートアップ処理、安定チェック処理およびゼロ点補正処理によるゼロ点補正が完了する。
【0036】
図3は、COセンサ20のゼロ点補正の実行タイミングを説明するための概念図である。
【0037】
図3を参照して、COセンサ20のゼロ点補正は、一定の補正周期Tzの経過毎に実行される。たとえば、補正周期Tzは、4〜5時間程度に設定される。前回のゼロ点補正の完了時である時刻T0から補正周期Tzが経過した時刻T1において、新たなゼロ点補正の実行要求が生成される。
【0038】
ゼロ点補正処理の実行要求と、ガス給湯装置100での給湯運転等に伴うバーナ10の燃焼運転とが重なった場合には、燃焼運転が優先される。したがって、時刻T1において、バーナ10が燃焼運転していない場合には、COセンサ20のゼロ点補正が開始される。
【0039】
一方、時刻T1において、バーナ10が燃焼運転している場合、すなわち、燃焼運転中にゼロ点補正処理の実行要求が生成された場合には、ゼロ点補正の実行が待機される。そして、当該燃焼運転の終了によりバーナ10の燃焼が停止された後の時刻T2において、COセンサ20のゼロ点補正が実行される。
【0040】
再び図1を参照して、バーナ10の燃焼終了後には、未燃CO成分を含む残留ガスが排気路に残留している。残留ガスの影響によって次回のバーナ10の燃焼(特に点火時)に不具合が生じないように、バーナ10の燃焼終了後には、バーナ10への燃料ガス供給が停止された状態で送風ファン11を動作させる、いわゆるポストパージが実行される。ポストパージによって、排気路のCO成分も排出される。
【0041】
上述のように、COセンサ20のゼロ点補正は、ゼロ点補正処理時におけるセンサ出力電圧をCO濃度=0と対応付けることによって実行される。このため、ゼロ点補正処理時には、COセンサ20の配置個所は、CO成分を含まない清浄な空気によって満たされる必要がある。したがって、バーナ10の燃焼終了からCOセンサ20のゼロ点補正までの期間において、バーナ10への燃料ガス供給が停止された状態で送風ファン11を動作させる掃気運転が必要となる。
【0042】
ポストパージおよび掃気運転は、バーナ10への燃料ガス供給が停止された状態で送風ファン11を動作させる点で共通する。このため、バーナ10の燃焼終了毎に実行されるポストパージは、ゼロ点補正のための掃気運転の効果も併せ持つことが理解される。したがって、ポストパージ時間を適切に設定することで、ゼロ点補正の精度を確保するように掃気運転を実行することができる。
【0043】
以下では、バーナ10の燃焼終了からゼロ点補正までの間に、バーナ10への燃料ガス供給が停止された状態での送風ファン11からの送風量の積算値を「掃気量」と称することとする。すなわち、ポストパージによる送風ファン11からの送風量の積算値は、掃気量の少なくとも一部を構成する。
【0044】
図4は、燃焼終了後のポストパージ時間の設定態様の比較例を説明するための概念図である。図4では、送風ファン11のポストパージにおけるファン回転数は一定値であるものとする。送風ファン11からの積算送風量は、送風ファン11の作動時間およびファン回転数の積によって決まるため、ポストパージによる積算送風量(すなわち、掃気量)は、ポストパージ時間Tpに比例する。
【0045】
図4を参照して、通常、ポストパージ時間Tpは、残留燃焼ガスが次回の燃焼に悪影響を及ぼさないように考慮してTp=Taに設定される。過剰にポストパージを行なうと、熱交換器12の温度が低下するため、次回の燃焼運転時に、熱交換器12での熱効率が低下することが懸念される。したがって、Taは必要最小限の時間に止めることが好ましい。なお、ポストパージ終了後、送風ファン11が作動していなくても自然に換気されることによっても、COセンサ20のゼロ点補正までに十分な掃気が確保される。
【0046】
一方で、図3に示したように、時刻T1において燃焼運転中であった場合には、当該燃焼運転の終了後にポストパージを実行し、その直後にゼロ点補正が実行されることになる。このため、バーナ10の燃焼終了タイミングが、時刻T1以降である場合には、ゼロ点補正までの掃気を十分に行なうために、ポストパージ時間Tpを通常よりも長く設定する(Tp=Tb,Tb>Ta)。これにより、燃焼運転終了の直後にCOセンサ20のゼロ点補正を実行する場合にも掃気量を十分確保して、CO濃度=0の状態とすることができる。なお、Ta,Tbは、CO濃度測定を伴う実機実験等により予め適切な値を設定することができる。
【0047】
しかしながら、図4に示した設定例では、燃焼運転との競合によってゼロ点補正が待機しない限り、ポストパージ時間Tpは延長されずTp=Taに設定される。このため、時刻T1直前に燃焼が終了された場合には、掃気が十分に行なわれず、CO濃度がゼロでない状態で、ゼロ点補正が実行されてしまう虞がある。これにより、ゼロ点補正後のCO濃度検出に誤差が生じる可能性がある。一方で、ポストパージ時間を一律にTbに延長すると、掃気量が過剰になることにより、次回の燃焼運転時における熱効率が低下することが懸念される。
【0048】
図5は、本実施の形態に従う燃焼装置におけるポストパージ時間の設定態様を説明するための概念図である。図5においても、図4と同様に、送風ファン11のポストパージにおけるファン回転数は一定値であるものとする。
【0049】
図5を参照して、本実施の形態に従う燃焼装置では、バーナ10の燃焼終了時に、燃焼終了タイミングTfから次回のゼロ点補正開始タイミング(時刻T1)までの待機予測時間Txに応じて、ポストパージ時間Tpが設定される。
【0050】
待機予測時間Txが基準時間Trよりも長い場合には、通常のポストパージと同様に、Tp=Taに設定される。また、バーナ10の燃焼終了タイミングが、時刻T1以降である場合、すなわち、待機予測時間Tx≦0の場合にも、図4と同様に、Tp=Tbに設定される。
【0051】
一方で、0<Tx<Trの範囲では、ポストパージ時間Tpは、Ta<Tp<Tbの範囲内で、待機予測時間Txが短くなる程ポストパージ時間Tpが長くなるように設定される。たとえば、図5の例のように、待機予測時間Txを変数とする一次関数に従って、ポストパージ時間Tp(すなわち、掃気量)を連続的に設定することができる。なお、ポストパージ時間Tp(掃気量)を設定するための関数は、待機予測時間Txが短くなるのに応じてポストパージ時間Tpが長くなる定性的な関係を有する限り、任意とすることができる。たとえば、待機予測時間Txの減少に対してポストパージ時間Tが段階的に増加するように、階段状の関数に従ってポストパージ時間Tp(掃気量)を設定してもよい。
【0052】
これにより、次回のゼロ点補正までの待機予測時間Txが短い場合にも、掃気量を十分に確保できるので、COセンサ20のゼロ点補正精度が低下することを防止できる。また、待機予測時間Tx>Trの範囲では、ポストパージ時間が過剰になることによって次回の燃焼運転での熱効率が低下することを回避できる。
【0053】
図6は、本発明の実施の形態に従う燃焼装置におけるポストパージの制御処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0054】
図6を参照して、制御部30は、バーナ10の燃焼が終了されると(S100のYES判定時)、以下のステップS110〜S150により、ポストパージを実行する。一方で、燃焼終了タイミング以外では(S100のNO判定時)、ステップS110〜S150の処理はスキップされるので、ポストパージが実行されない。したがって、バーナ10の燃焼終了毎に、ステップS110〜S150によるポストパージが実行される。
【0055】
制御部30は、ステップS110により、次回のゼロ点補正までの待機予測時間Txを推定する。待機予測時間Txは、図5における燃焼終了タイミングTfと、前回のゼロ点補正完了時(時刻T0)から補正周期Tzが経過した時刻T1との時間差に従って算出することができる。
【0056】
さらに制御部30は、ステップS120により、推定された待機予測時間Txに応じて、図5に示した特性に従って、ポストパージ時間Tpを設定する。上述のように、ポストパージ時間Tpに応じて、COセンサ20のゼロ点補正のための掃気量が設定されることになる。
【0057】
制御部30は、ステップS130により、バーナ10への燃料ガスの供給が停止された状態で送風ファン11を動作させることにより、ポストパージを実行する。さらに、制御部30は、ステップS140により、ステップS130によるポストパージの実行時間が、ステップS120で設定されたポストパージ時間Tpを超えているか否かを判定する。制御部30は、ポストパージ時間Tpが経過するまで(S140のNO判定時)、ステップS130によるポストパージを繰返し実行する。これにより、ステップS120で設定されたポストパージ時間Tpに亘って、送風ファン11が作動する。
【0058】
制御部30は、ポストパージ時間Tpが経過すると(S140のYES判定時)、ステップS150に処理を進めて、送風ファン11を停止することによりポストパージを終了する。この結果、バーナ10の燃焼終了からCOセンサ20のゼロ点補正までの期間において、バーナ10への燃料ガス供給が停止された状態での送風ファン11からの掃気量は、図5に従って設定されたポストパージ時間Tpに比例する。
【0059】
このように、本実施の形態に従う燃焼装置によれば、燃焼運転の終了時に実行されるポストパージの時間を、COセンサ20のゼロ点補正のために必要な掃気量に対応させて調整することができる。これにより、燃焼終了からゼロ点補正までの時間が短いときに掃気量の不足によってゼロ点補正の精度が低下する問題、ならびに、掃気量の過多によってゼロ点補正までに再び燃焼運転が実行された際の熱効率が低下する問題を回避して、COゼロ点補正のための掃気を適切に実行することが可能である。
【0060】
[変形例]
図6では、バーナ10の燃焼終了毎に実行されるポストパージによって、COセンサ20のゼロ点補正のための掃気量が確保される実施例を説明した。以下では、燃焼終了時のポストパージと、ゼロ点補正直前の掃気運転との組み合わせによって、ゼロ点補正のための掃気量が確保される変形例について説明する。
【0061】
図7は、本発明の実施の形態の変形例に従う燃焼装置におけるポストパージの制御処理手順を説明するフローチャートである。
【0062】
図7を参照して、本発明の実施の形態の変形例に従う燃焼装置では、制御部30は、バーナ10の燃焼が終了されると(S100のYES判定時)、ステップS105により、一定時間のポストパージを実行する。たとえば、ステップS105におけるポストパージ時間は、図5におけるTaに設定される(Tp=Ta)。さらに、制御部30は、図6と同様のステップS110により、次回のゼロ点補正までの待機予測時間Txを算出する。算出された待機予測時間Txは、一時的に記憶される。
【0063】
一方で、燃焼終了タイミング以外では(S100のNO判定時)、ステップS105およびS110の処理はスキップされる。したがって、バーナ10の燃焼終了毎に、ステップS105,S110により、残留燃焼ガスが次回の燃焼に悪影響を及ぼさないように一定時間のポストパージが実行される。さらに、メモリされた待機予測時間Txは、燃焼終了毎に更新される。
【0064】
図8は、本実施の形態の変形例に従う燃焼装置におけるゼロ点補正時の掃気運転を説明するためのフローチャートである。
【0065】
図8を参照して、本発明の実施の形態の変形例に従う燃焼装置では、制御部30は、ステップS200により、ゼロ点補正の開始条件が成立しているか否かを判定する。たとえば、前回のゼロ点補正終了から補正周期Tzの経過後であって、かつ、燃焼運転が実行されていない場合に、ステップS200がYES判定とされる。したがって、前回のゼロ点補正終了から補正周期Tzが経過しても、バーナ10が燃焼運転中であれば、ステップS200がNO判定とされるので、ゼロ点補正は開始されない。なお、ステップS200による判定は、ポストパージのみによってCOセンサ20のゼロ点補正のための掃気量が確保される場合(図6)にも周期的に実行される。
【0066】
制御部30は、ゼロ点補正の開始条件が成立すると(S200のYES判定時)、ステップS210に処理を進めて、メモリされた待機予測時間Txを読出す。上述のように、メモリされる待機予測時間Txはポストパージ毎に更新されるので、ステップS210では、ゼロ点補正開始前の最後の燃焼終了時からの経過時間が読出される。
【0067】
さらに、制御部30は、ステップS220により、読出された待機予測時間Txに応じて掃気時間Tcを設定する。掃気時間Tcは、図5における(Tp−Ta)に従って設定することができる。
【0068】
さらに、制御部30は、送風ファン11を動作させることにより掃気運転を実行する。このとき、ゼロ点補正開始条件(S200)が成立しているため、バーナ10への燃料ガスの供給は停止された状態である。制御部30は、ステップS240により、ステップS230による掃気運転の実行時間が、ステップS220で設定された掃気時間Tcを超えているか否かを判定する。
【0069】
制御部30は、掃気時間Tcが経過するまで(S240のNO判定時)、ステップS230による掃気運転を繰返し実行する。これにより、ステップS220で設定された掃気時間Tcに亘って、送風ファン11が作動する。
【0070】
制御部30は、掃気時間Tcが経過すると(S240のYES判定時)、ステップS250に処理を進めて、送風ファン11を停止することにより掃気運転を終了する。
【0071】
この結果、バーナ10の燃焼終了からCOセンサ20のゼロ点補正までの期間において、バーナ10への燃料ガス供給が停止された状態での送風ファン11からの掃気量は、ポストパージの時間Taと掃気時間Tcとの和に従って確保される。したがって、本実施の形態の変形例に従う燃焼装置においても、図5に従ってポストパージ時間Tpが設定された場合と同等に、ゼロ点補正までの掃気量を確保することができる。
【0072】
さらに、制御部30は、掃気運転が終了すると、ステップS260により、ゼロ点補正を実行する。これにより、図2で説明したように、ヒートアップ処理、安定チェック処理およびゼロ点補正処理が実行されて、COセンサ20のゼロ点が補正される。なお、ステップS230,S240による掃気運転については、ゼロ点補正処理の前に完了することが必要であるが、ヒートアップ処理の終了後、すなわち、安定チェック処理中に実行することも可能である。
【0073】
このように、実施の形態の変形例に従う燃焼装置では、一定時間のポストパージによる掃気量と、待機予測時間Txに応じた掃気運転による掃気量との和によって、本実施の形態に従う燃焼装置と同等にゼロ点補正までの掃気量が確保できる。この結果、ポストパージによって熱交換器12の温度が過度に低下することを防止した上で、待機予測時間Txに応じた掃気運転によって、ゼロ点補正処理時におけるCOセンサ20近傍でのCO濃度をゼロとすることができる。すなわち、本実施の形態に従う燃焼装置と同様に、COゼロ点補正のための掃気を適切に実行することが可能である。
【0074】
なお、図7および図8では、ポストパージおよび掃気運転の各々における、送風ファン11のファン回転数を共通のものとして、ポストパージ時間および掃気時間を設定したが、両者におけるファン回転数を異なる値とすることも可能である。
【0075】
たとえば、バーナ10の燃焼運転に引続いて実行されるポストパージでは、ファン回転数が高くてもユーザに違和感を与えることが少ない一方で、定期的に実行されるゼロ点補正時にファン回転が高いと、ユーザに違和感を与える虞がある。したがって、実施の形態の変形例に従う燃焼装置においては、掃気運転における送風ファン11の回転数を、ポストパージにおける送風ファン11の回転数よりも低く設定することが好ましい。この場合には、掃気時間Tcは、図5の特性に従って設定された(Tp−Ta)よりも長く設定されることになる。このようにすると、COセンサのゼロ点補正処理時において、送風ファン11の作動によってユーザに違和感を与えることが防止される。
【0076】
なお、本実施の形態およびその変形例に従う燃焼装置において、COセンサはCO濃度に対するセンサ出力が可能なものであればよく、具体的な構成が限定されることはない。また、バーナ10としては、ガスバーナに代えて、たとえばオイルバーナとすることもできる。すなわち、排気中にCO成分が含まれるバーナであれば、その燃料は任意のものとすることができる。また、本発明に係る給湯装置は、必ずしも給湯装置として構成されていなくてもよく、たとえば暖房用などの燃焼装置として構成されることもできる。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
10 バーナ、11 送風ファン、12 熱交換器、20 COセンサ、30 制御部、100 ガス給湯装置、Ta 時間、Tc 掃気時間、Tf 燃焼終了タイミング、Tp ポストパージ時間、Tr 基準時間(基準値)、Tx 待機予測時間、Tz 補正周期。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8