特許第6186988号(P6186988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6186988
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】運転支援装置および運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20120101AFI20170821BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20170821BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20170821BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20170821BHJP
【FI】
   B60W50/14
   G08G1/16 C
   B60W40/04
   B60W40/09
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-155399(P2013-155399)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-24742(P2015-24742A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】根本 英明
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−085285(JP,A)
【文献】 特開2009−157466(JP,A)
【文献】 特開2011−143744(JP,A)
【文献】 特開2009−040107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00〜 1/16
B60W 10/00〜10/30
B60W 30/00〜50/16
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の車速を取得する自車両速度取得手段と、
自車両周囲に存在する周囲車両の車速を取得する周囲車両速度取得手段と、
前記自車両の車速の時系列データと前記周囲車両の車速の時系列データとの相関演算を行い、当該相関演算の演算結果に基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性を判断する応答性判断手段と、
前記自車両の車速の時系列データに基づいて、自車両の収束予測速度を算出するとともに、前記周囲車両の車速の時系列データに基づいて、周囲車両の収束予測速度を算出し、前記自車両の収束予測速度と前記周囲車両の収束予測速度との差分に基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の同調性を判断する同調性判断手段と、
前記周囲車両の運転者の応答性、および、前記周囲車両の運転者の同調性に基づいて、周囲車両の運転者が自車両の運転に協調した運転を行う度合いを、周囲車両の運転者の運転協調性として判断する運転協調性判断手段と、
前記周囲車両の運転者の運転協調性に関する報知情報を生成する生成手段と、
自車両の運転者に前記報知情報を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記応答性判断手段は、前記自車両の車速の時系列データを微分演算することで、前記自車両の車速の変化量の時系列データを算出するとともに、前記周囲車両の車速の時系列データを微分演算することで、前記周囲車両の車速の変化量の時系列データを算出し、前記自車両の車速の変化量の時系列データと、前記周囲車両の車速の変化量の時系列データとについての相関演算を行い、当該相関演算の演算結果に基づいて、前記周囲車両の運転者の応答性を判断することを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記応答性判断手段は、
周囲車両と自車両との相対距離を、周囲車両と自車両との相対速度で除した時間を接近時間として繰り返し算出し、前記接近時間に基づいて前記接近時間の変化量の時系列データを演算し、前記接近時間の変化量の時系列データに基づいて前記周囲車両の運転者の応答性を判断することを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
自車両の車速の時系列データと周囲車両の車速の時系列データとの相関演算の結果に基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性を判断し、
前記自車両の車速の時系列データに基づいて自車両の収束予測速度を算出するとともに、前記周囲車両の車速の時系列データに基づいて周囲車両の収束予測速度を算出し、前記自車両の収束予測速度と前記周囲車両の収束予測速度とに基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の同調性を判断し、
前記周囲車両の運転者の応答性、および、前記周囲車両の運転者の同調性に基づいて、前記周囲車両の運転者が自車両の運転に協調した運転を行う度合いを、前記周囲車両の運転者の運転協調性として判断し、
前記周囲車両の運転者の運転協調性に関する報知情報を自車両の運転者に報知することを特徴とする運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置および運転支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自車両の車速や自車両から周囲車両までの距離などに基づいて、自車両が周囲車両に近接する可能性を判断し、自車両が周囲車両に近接する可能性が高いほど、周囲車両を強調して自車両の運転者に報知する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−40107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、自車両および周囲車両の挙動に基づいて、自車両が周囲車両に近接する可能性を判断するものであり、周囲車両の運転者が自車両に協調して運転してくれるか否かまでは判断することはできず、自車両と周囲車両とが近接する可能性を適切に運転者に伝達することができないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、自車両と周囲車両とが近接する可能性を適切に運転者に伝達することが可能な運転支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両の車速の時系列データと周囲車両の車速の時系列データとの相関演算の結果に基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性を判断するとともに、自車両の車速の時系列データに基づいて自車両の収束予測速度を算出し、周囲車両の車速の時系列データに基づいて周囲車両の収束予測速度を算出し、自車両の収束予測速度と周囲車両の収束予測速度との差分に基づいて自車両の運転に対する周囲車両の運転の同調性を判断し、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性、および、自車両の運転と周囲車両の運転との同調性とに基づいて、周囲車両の運転者が、自車両の運転に協調して運転を行う度合いを運転協調性として判断し、周囲車両の運転者の運転協調性に関する報知情報を、自車両の運転者に報知することで、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、周囲車両の運転者の運転協調性を判断することで、自車両と周囲車両とが近接する可能性を適切に運転者に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る運転支援装置を示す概要図である。
図2】本実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
図3】自車両の車速の時系列データの一例を示す図である。
図4】(A)は、自車両の車速の変化量の時系列データの一例を示す図であり、(B)は、周囲車両の車速の変化量の時系列データの一例を示す図である。
図5】周囲車両の運転者の同調性を判断する方法を説明するための図である。
図6】周囲車両の運転者の運転協調性を判断する方法を説明するための図である。
図7】報知装置により報知される報知情報の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係る運転支援処理を示すフローチャートである。
図9】ステップS105の応答性判断処理を示すフローチャートである。
図10】ステップS106の同調性判断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、運転中の周囲状況認識(Situation Awareness)に関するものであり、たとえば、図1に示すように、自車両が合流車線から周囲車両が走行する本線車線に車線変更を行う場面において、自車両の周囲に存在する周囲車両の運転者が、自車両の運転に協調して運転を行う度合いを運転協調性として求め、周囲車両の運転者の運転協調性に関する報知情報を、自車両の運転者に報知することで、運転者の運転の安全性の向上を図るものである。なお、図1は、本実施形態に係る運転支援装置を示す概要図であり、図2は、本実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【0010】
運転支援装置100は、図1および図2に示すように、測距センサー110と、車速センサー120と、制御装置130と、報知装置140とを備える。以下に、運転支援装置100の各構成について説明する。
【0011】
測距センサー110は、自車両から自車両の周囲に存在する周囲車両までの相対距離、および、自車両の車両位置に対する周囲車両の相対的な車両位置を検出するためのセンサーである。本実施形態では、図1に示すように、自車両を中心とした周囲360°の範囲において、周囲車両までの相対距離と周囲車両の相対位置とが検出できるように、自車両の進行方向(前後方向)と車幅方向(左右方向)に向けて、4台のカメラ110a〜110dが、測距センサー110として設置されている。そして、これら4台のカメラ110(110a〜110d)により撮像された画像データが、測距データとして、制御装置130に出力され、制御装置130において、これら画像データの画像解析を行うことで、周囲車両までの相対距離と周囲車両の相対位置とが検出されることとなる。なお、測距センサー110は、カメラに限定されず、たとえば、レーザーレーダーなどを用いることができる。
【0012】
車速センサー120は、自車両の車速を検出するためのセンサーである。本実施形態において、車速センサー120は、車輪の中心に取り付けられた歯車の回転を磁気的に検出することで、歯車の回転に応じた車速パルスを出力する。そして、車速センサー120により出力された車速パルスは制御装置130に送信され、制御装置130により、車速パルスに基づいて、自車両の車速が算出されることとなる。
【0013】
運転支援装置100の制御装置130は、運転者の運転を支援するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備える。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0014】
そして、制御装置130は、ROMに格納されたプログラムをCPUで実行することで、周囲車両の車速を算出する周囲車両速度算出機能と、自車両の車速を算出する自車両速度算出機能と、周囲車両の車速の時系列データおよび自車両の車速の時系列データを生成する時系列データ生成機能と、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性を判断する応答性判断機能と、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の同調性を判断する同調性判断機能と、自車両の運転に協調して、周囲車両の運転者が運転を行う運転協調性を判断する協調性判断機能と、運転協調性に関する報知情報を生成する報知情報生成機能と、を実現する。以下において、制御装置130が備える各機能について説明する。
【0015】
制御装置130の周囲車両速度算出機能は、測距センサー110により出力された測距データに基づいて、周囲車両の車速を算出する。具体的には、周囲車両速度算出機能は、まず、測距センサー110により出力された測距データに基づいて、自車両から周囲車両までの相対距離を算出する。本実施形態では、図1に示すように、測距センサー110として、自車両の周囲を撮像する4台のカメラ110a〜110dが備えられており、周囲車両速度算出機能は、カメラ110a〜110dにより撮像された画像データを画像解析することで、自車両から周囲車両までの相対距離を算出することができる。また、周囲車両速度算出機能は、カメラ110a〜110dにより撮像された画像データを画像解析することで、自車両の車両位置に対する周囲車両の相対位置を算出してもよい。
【0016】
そして、周囲車両速度算出機能は、たとえば、連続して撮像された画像の画像データを画像解析することで、周囲車両までの相対距離の変化量、または、周囲車両の相対位置の変化量を算出し、これらの変化量に基づいて、自車両の車速に対する周囲車両の相対車速を算出する。また、周囲車両速度算出機能は、周囲車両の相対車速と、自車両速度算出機能により算出された自車両の車速とに基づいて、周囲車両の車速(絶対車速)を算出することができる。
【0017】
なお、周囲車両速度算出機能による画像解析方法は、特に限定されないが、たとえば、周囲車両速度算出機能は、画像の輝度勾配を利用して画像から特徴点を抽出し、抽出した特徴点を、パーティクルフィルターを用いて追尾することで、周囲車両の相対位置と移動量とを算出し、これにより、周囲車両の相対速度を算出することができる。また、周囲車両速度算出機能は、他のトラッキング技術を利用して、自車両から周囲車両までの相対距離を算出する構成としてもよいし、あるいは、レーザーレーダーや超音波センサーを用いて、自車両から周囲車両までの相対距離を算出する構成としてもよい。
【0018】
制御装置130の自車両速度算出機能は、車速センサー120により出力された車速パルスに基づいて、自車両の車速を算出する。たとえば、自車両速度算出機能は、一定時間における車速パルスのパルス数をカウントし、あるいは、車速パルスのパルス間隔の長さを計測することで、自車両の車速を算出することができる。
【0019】
制御装置130の時系列データ生成機能は、自車両の車速の時系列データ、および、周囲車両の車速の時系列データを生成する。ここで、図3は、自車両の車速の時系列データの一例を示す図である。本実施形態では、図3に示すように、自車両速度算出機能により算出された自車両の車速の車速データが、制御装置130のRAMに記録されており、時系列データ生成機能は、制御装置130のRAMに記録されている自車両の車速の車速データのうち、現在から一定時間前までの車速データに基づいて、自車両の車速の時系列データを生成することができる。
【0020】
同様に、周囲車両速度算出機能により算出された周囲車両の車速の車速データが、制御装置130のRAMに記録されており、時系列データ生成機能は、制御装置130のRAMに記録されている周囲車両の車速の車速データのうち、現在から一定時間前までの車速データに基づいて、周囲車両の車速の時系列データを生成する。
【0021】
なお、自車両の車速の時系列データおよび周囲車両の車速の時系列データのデータ数(現在から一定時間前までの時間の長さ)は、特に限定されないが、たとえば、直線道路を走行している場合には、データ数を多く(現在から一定時間前までの時間を長く)し、合流地点やカーブを走行している場合には、データ数を短く(現在から一定時間前までの時間を短く)するなど、道路形状や運転場面などの運転環境に応じて適宜設定することができる。
【0022】
次に、制御装置130の応答性判断機能について説明する。応答性判断機能は、自車両の車速の時系列データおよび周囲車両の車速の時系列データに基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性を判断する。ここで、図4(A)は、自車両の車速の変化量の時系列データの一例を示す図であり、図4(B)は、周囲車両の車速の変化量の時系列データの一例を示す図である。以下において、図4(A),(B)を参照して、周囲車両の運転者の応答性の判断方法について説明する。
【0023】
具体的には、応答性判断機能は、まず、図4(A)に示すように、時系列データ生成機能により生成された自車両の車速の時系列データを微分することで、自車両の車速の変化量の時系列データを算出する。同様に、応答性判断機能は、図4(B)に示すように、時系列データ生成機能により生成された周囲車両の車速の時系列データを微分することで、周囲車両の車速の変化量の時系列データを算出する。
【0024】
さらに、本実施形態では、制御装置130のRAMに、一般的な運転者が他車両の挙動に応答するまでの応答時間が記憶されており、応答性判断機能は、図4(B)に示すように、制御装置130のRAMに記憶された応答時間の分だけ、周囲車両の車速の変化量の時系列データをシフトさせるオフセット処理を行う。なお、一般的な運転者が他車両の挙動に応答する応答時間は、実験などにより適宜決定することができる。
【0025】
また、応答性判断機能は、オフセット処理を施した周囲車両の車速の変化量の時系列データと、自車両の車速の変化量の時系列データとの相互相関演算を行い、相互相関係数を算出する。そして、応答性判断機能は、相互相関係数の絶対値が所定の応答性判定値以上であるか否かを判断する。なお、応答性判定値の値は、特に限定されないが、運転者の応答性が適切に判断できるように、実験などにより適宜設定される。
【0026】
そして、応答性判断機能は、相互相関係数の絶対値が応答性判定値以上である場合には、自車両の挙動に対して周囲車両の運転者が過渡的に反応していると判断し、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性を「応答性あり」と判断する。一方、応答性判断機能は、相互相関係数の絶対値が応答性判定値未満である場合には、自車両の挙動に対して周囲車両の運転者が過渡的に反応していないと判断し、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性を「応答性なし」と判断する。
【0027】
このように、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性は、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の過渡的な反応に基づくものであり、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判断された場合には、周囲車両の運転者は自車両の存在を認識しているものと判断することができる。
【0028】
次に、制御装置130の同調性判断機能について説明する。同調性判断機能は、自車両の車速の時系列データおよび周囲車両の車速の時系列データに基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の同調性を判断する。ここで、図5は、周囲車両の運転者の同調性の判断方法を説明するための図である。以下においては、図5を参照して、周囲車両の運転者の同調性の判断方法について説明する。
【0029】
具体的には、同調性判断機能は、まず、図5に示すように、時系列データ生成機能により生成された自車両の車速の時系列データを、過渡応答曲線に適用することで、自車両の車速の収束予測速度を算出する。同様に、同調性判断機能は、図5に示すように、時系列データ生成機能により生成された周囲車両の車速の時系列データを、過渡応答曲線に適用することで、周囲車両の車速の収束予測速度を算出する。
【0030】
そして、同調性判断機能は、自車両の収束予測速度と周囲車両の収束予測速度との一致度を算出し、自車両の収束予測速度と周囲車両の収束予測速度との一致度が高い場合には、周囲車両の運転者の同調性を「同調性あり」と判断し、自車両の収束予測速度と周囲車両の収束予測速度との一致度が低い場合には、周囲車両の運転者の同調性を「同調性なし」と判断する。
【0031】
具体的には、同調性判断機能は、図5に示すように、自車両の収束予測速度と周囲車両の収束予測速度との差分を算出し、収束予測速度の差分が所定の同調性判定値未満である場合には、自車両の収束予測速度(目標速度)と周囲車両の収束予測速度(目標速度)との一致度が高く、周囲車両の運転者は、自車両の車速に合った速度で走行しようとしているものと判断し、周囲車両の運転者の同調性を「同調性あり」と判断する。
【0032】
一方、同調性判断機能は、自車両の収束予測速度と周囲車両の収束予測速度との差分が所定の同調性判定値以上である場合には、自車両の収束予測速度と周囲車両の収束予測速度との一致度が低く、周囲車両の運転者は、自車両の車速とは異なる速度で走行しようとしているものと判断し、周囲車両の運転者の同調性を「同調性なし」と判断する。
【0033】
なお、自車両の加減速や周囲車両の加減速が不規則に行われている場合などでは、自車両の車速の時系列データや周囲車両の車速の時系列データに基づいて、自車両の収束予測速度や周囲車両の収束予測速度を算出できない場合がある。このような場合に、同調性判断機能は、周囲車両の運転者の同調性について、「収束予測速度が算出不能」と判断する。
【0034】
このように、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の同調性は、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の定常的な反応に基づくものであり、周囲車両の運転者の同調性が「同調性あり」と判断された場合には、周囲車両の運転者は、自車両の車速に合った速度で走行しようとしているものと判断することができ、周囲車両の運転者の同調性が「同調性なし」と判断された場合には、周囲車両の運転者は、自車両の車速とは異なる、周囲車両の運転者のペースで走行しようとしているものと判断することができる。
【0035】
次に、制御装置130の協調性判断機能について説明する。協調性判断機能は、応答性判断機能により判断された周囲車両の運転者の応答性と、同調性判断機能により判断された周囲車両の運転者の同調性とに基づいて、周囲車両の運転者が自車両の運転に協調した運転を行う度合いを、周囲車両の運転者の運転協調性として判断する。ここで、図6は、周囲車両の運転者の運転協調性を判断する方法を説明するための図である。本実施形態において、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階で判断する。
【0036】
たとえば、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性あり」と判定されている場合には、周囲車両の運転者は、自車両を認識しており、自車両の車速に合った速度で走行しようとしていると判断することができる。このような場合には、周囲車両の運転者は、自車両の運転に合わせて運転してくれる可能性が高いと考えられる。そこで、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性あり」と判定されている場合には、周囲車両の運転者の運転協調性を、5段階中、最も協調性の高い『5』として判断する。
【0037】
また、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性あり」と判定されている場合には、周囲車両の運転者が、自車両の車速に合った速度で走行しようとしているが、自車両を認識していない可能性があると判断することができる。このような場合には、周囲車両の運転者が自車両の車速に合った速度で走行しようとしているために、自車両がこのまま走行した場合には、自車両は周囲車両の流れに乗って走行することができるが、自車両の速度を大きく変化させた場合には、周囲車両が自車両を認識していない可能性があるために、自車両の運転者は自車両の速度を周囲車両の速度に合わせる必要があると考えられる。そこで、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性あり」と判定されている場合には、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中2番目に高い『4』として判断する。
【0038】
さらに、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性なし」と判定されている場合には、周囲車両の運転者は、自車両を認識しているが、自車両と異なる速度で走行しようとしていると判断することができる。このような場合には、自車両の運転者と周囲車両の運転者との間で、自車両の速度を周囲車両の速度に合わせるか、あるいは、周囲車両の速度を自車両の速度に合わせるかを調整する必要があると考えられる。そこで、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性なし」と判定されている場合には、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中3番目に高い『3』として判断する。
【0039】
また、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性なし」と判定されている場合には、周囲車両の運転者は、自車両を認識しておらず、また、自車両とは異なる速度で走行しようとしていると判断することができる。このような場合には、周囲車両の運転者が自車両の運転に合わせて運転してくれることは期待できず、自車両の運転者が周囲車両に合わせて運転することが好ましいと考えられる。そこで、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性なし」と判定されている場合には、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中2番目に低い『2』として判断する。
【0040】
さらに、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性について「収束予測速度が算出不能」と判定されている場合には、周囲車両の運転者は自車両を認識しているが、周囲車両の目標速度は不明であり、周囲車両の運転者が自車両の車速に合った速度で走行しようとしているか、それとも、周囲車両の運転者が自車両と異なる速度で走行しようとしているか、周囲車両の運転者の意図を判断することは困難である。このような場合には、自車両の運転者は、周囲車両の運転者の意図が把握できるように注意して運転することが好ましいと考えられる。そこで、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性について「収束予測速度が算出不能」と判定されている場合には、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中2番目に低い『2』として判断する。
【0041】
また、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性について「収束予測速度が算出不能」と判定されている場合には、周囲車両と自車両との間に協調性はないものと判断することができる。そこで、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性について「収束予測速度が算出不能」と判定されている場合には、周囲車両の運転者の運転協調性を、5段階中、最も協調性の低い『1』として判断する。
【0042】
次に、制御装置130の報知情報生成機能について説明する。報知情報生成機能は、協調性判断機能により判断された周囲車両の運転者の運転協調性に基づいて、運転者に運転協調性の低い周囲車両を報知するための報知情報を生成する。具体的には、報知情報生成機能は、カメラ110a〜110dで撮像された画像に、周囲車両の運転者の運転協調性を示す表示を重畳することで、報知情報を生成する。また、本実施形態において、報知情報生成機能は、運転者の運転協調性が低い周囲車両ほど強調して表示されるように、報知情報を生成する。なお、報知情報の詳細については後述する。
【0043】
報知装置140は、ディスプレイやスピーカーなどの装置であり、制御装置130により生成された報知情報をディスプレイが備える画面に表示し、あるいは、スピーカーにより音声出力することで、運転者に報知情報を報知する。また、報知装置140は、ディスプレイおよびスピーカーに限定されず、たとえば、バイブレーションやシートベルトなどにより、触覚刺激を運転者に与えることで、報知情報を報知するものであってもよい。
【0044】
ここで、図7は、報知装置140により報知される報知情報の一例を示す図である。図7に示す例では、周囲車両Aの運転者の運転協調性が最も高い『5』と判断されており、周囲車両Bの運転者の運転協調性は『4』以下の値として判断されている。上述したように、報知情報は、運転者の運転協調性が低い周囲車両ほど強調して表示されるように生成されているため、図7に示す例では、運転協調性が最も高い周囲車両Aについては強調表示は行われず、運転者の運転協調性が低い周囲車両Bについては、枠線、点滅表示などにより強調表示が行われる。また、本実施形態では、運転者の運転協調性が低い周囲車両ほど、点滅表示の点滅速度を速くし、あるいは、枠線の色を目立つ色とすることで、運転者の運転協調性が低い周囲車両ほど強調して表示することができる。
【0045】
次に、図8を参照して、本実施形態に係る運転支援処理について説明する。図8は、本実施形態に係る運転支援処理を示すフローチャートである。
【0046】
まず、ステップS101では、制御装置130の周囲車両速度算出機能により、周囲車両の車速の算出が行われる。たとえば、周囲車両速度算出機能は、測距センサー110であるカメラ110a〜110dにより撮像された画像データを画像解析することで、自車両の車両位置に対する周囲車両の相対位置を検出し、周囲車両の相対位置の時間変化量に基づいて、周囲車両の速度を算出することができる。
【0047】
また、ステップS102では、制御装置130の自車両速度算出機能により、自車両の車速の算出が行われる。具体的には、自車両速度算出機能は、車速センサー120により出力された車速パルスに基づいて、自車両の車速を算出することができる。
【0048】
ステップS103では、時系列データ生成機能により、ステップS101で算出された周囲車両の車速の車速データと、ステップS102で算出された自車両の車速の車速データとに基づいて、周囲車両の車速の時系列データ、および、自車両の車速の時系列データの生成が行われる。
【0049】
ステップS104では、時系列データ生成機能により、ステップS103で算出された周囲車両の車速の時系列データおよび自車両の車速の時系列データに対して、フィルタリング処理が施される。具体的には、時系列データ生成機能は、周囲車両の車速の時系列データおよび自車両の車速の時系列データからノイズ成分を除去するために、周囲車両の車速の時系列データおよび自車両の車速の時系列データに対してローパスフィルターを施す。
【0050】
ステップS105では、制御装置130の応答性判断機能により、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性を判断するための応答性判断処理が行われる。図9は、ステップS105に示す応答性判断処理を示すフローチャートである。以下、図9を参照して、ステップS105の応答性判断処理について説明する。
【0051】
まず、ステップS201では、応答性判断機能により、自車両の車速の変化量の時系列データと、周囲車両の車速の変化量の時系列データとの算出が行われる。具体的には、応答性判断機能は、ステップS104でフィルター処理が施された自車両の車速の時系列データを微分演算することで、自車両の車速の変化量の時系列データを算出する。同様に、応答性判断機能は、ステップS104でフィルター処理が施された周囲車両の車速の時系列データを微分演算することで、自車両の車速の変化量の時系列データを算出する。
【0052】
ステップS202では、応答性判断機能により、自車両の車速の変化量の時系列データの振幅と、周囲車両の車速の変化量の時系列データの振幅とを一致させる標準化処理が行われる。具体的には、応答性判断機能は、自車両の車速の変化量の時系列データの振幅の最大値と、周囲車両の車速の変化量の時系列データの振幅の最大値とが一致するように、自車両の車速の変化量の時系列データまたは周囲車両の車速の変化量の時系列データを補正する。これにより、自車両の挙動に応答して周囲車両の運転者が車速を変化させる場合の車速の変化量の大きさが、周囲車両の運転者によって異なる場合でも、後述する相互相関演算を適切に行うことが可能となる。
【0053】
ステップS203では、応答性判断機能により、周囲車両の車速の変化量の時系列データのオフセット処理が行われる。具体的には、応答性判断機能は、図4(B)に示すように、一般的な運転者が他車両の挙動に応答するまでの応答時間の分だけ、周囲車両の車速の変化量の時系列データを、自車両の車速の変化量の時系列データに合うようにシフトさせる。
【0054】
そして、ステップS204では、応答性判断機能により、自車両の車速の変化量の時系列データと、オフセット処理された周囲車両の車速の変化量の時系列データとの相互相関演算が行われ、相互相関係数の算出が行われる。
【0055】
ステップS205では、応答性判断機能により、ステップS204で算出された相互相関係数の絶対値が所定の応答性判定値以上であるか否かの判断が行われる。相互相関係数の絶対値が応答性判定値以上であると判断された場合には、ステップS206に進み、応答性判断機能により、自車両の挙動に対応する周囲車両の運転者の応答性は「応答性あり」として判定される。一方、相互相関係数の絶対値が応答性判定値未満であると判断された場合には、ステップS207に進み、応答性判断機能により、自車両の挙動に対応する周囲車両の運転者の応答性は「応答性なし」として判定される。
【0056】
このように、ステップS105の応答性判定処理が行われる。
【0057】
そして、ステップS105の応答性判断処理が行われた後は、図8に戻り、ステップS106に進む。ステップS106では、同調性判断機能により、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の同調性を判断する同調性判断処理が行われる。ここで、図10は、ステップS106に示す同調性判断処理を示すフローチャートである。以下においては、図10を参照して、ステップS106の同調性判断処理について説明する。
【0058】
まず、ステップS301では、同調性判断機能により、自車両の収束予測速度および周囲車両の収束予測速度の算出が行われる。具体的には、同調性判断機能は、ステップS104でフィルタリング処理が行われた自車両の車速の時系列データを、過渡応答曲線に適用することで、自車両の車速の収束予測速度を算出する。同様に、同調性判断機能は、ステップS104でフィルタリング処理が行われた周囲車両の車速の時系列データを、過渡応答曲線に適用することで、周囲車両の車速の収束予測速度を算出する。
【0059】
ステップS302では、同調性判断機能により、ステップS301において、自車両の収束予測速度および周囲車両の収束予測速度が算出できたか否かの判断が行われる。たとえば、自車両または周囲車両の加減速が不規則である場合などには、自車両の車速の時系列データおよび周囲車両の車速の時系列データに基づいて、自車両の収束予測速度および周囲車両の収束予測速度を算出することができない場合がある。自車両の収束予測速度または周囲車両の収束予測速度を算出できない場合には、ステップS307に進み、同調性判断機能により、周囲車両の運転者の同調性について、「収束予測速度が算出不能」と判定される。一方、自車両の収束予測速度および周囲車両の収束予測速度を算出できた場合には、ステップS303に進む。
【0060】
ステップS303では、同調性判断機能により、ステップS301で算出された自車両の収束予測速度と周囲車両の収束予測速度との差分の算出が行われる。そして、ステップS304では、同調性判断機能により、ステップS303で算出された収束予測速度の差分が所定の同調性判定値未満であるか否かの判断が行われる。収束予測速度の差分が同調性判定値未満であると判断された場合には、ステップS305に進み、同調性判断機能により、周囲車両の運転者の同調性が「同調性あり」と判定される。一方、収束予測速度の差分が同調性判定値以上であると判断された場合には、ステップS306に進み、同調性判断機能により、周囲車両の運転者の同調性が「同調性なし」と判定される。
【0061】
このように、ステップS106の同調性判定処理が行われる。
【0062】
そして、ステップS106の同調性判断処理が行われた後は、図8に戻り、ステップS107に進む。ステップS107では、協調性判断機能により、周囲車両の運転者が自車両の運転に協調した運転を行う度合いである運転協調性の判断が行われる。
【0063】
たとえば、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性あり」と判定されている場合には、周囲車両の運転者は自車両の運転に合わせて行動してくれる可能性が高いために、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中、最も高い『5』として判断する。
【0064】
また、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性あり」と判定されている場合には、自車両は周囲車両の流れに乗って走行しているが、自車両の速度が一時的に変化するような場合には、自車両の運転者は自車両の速度を周囲車両の速度に合わせる必要があるものと判断し、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中2番目に高い『4』として判断する。
【0065】
さらに、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性なし」と判定されている場合には、自車両の運転者と周囲車両の運転者との間で、自車両が周囲車両の速度に合わせるか、あるいは、周囲車両が自車両の速度に合わせる調整を行う必要があるものと判断し、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中3番目に高い『3』として判断する。
【0066】
また、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性が「同調性なし」と判定されている場合には、周囲車両が自車両の運転に合わせて運転してくれることは期待できず、自車両の運転者が周囲車両に合わせて運転することが好ましいと判断し、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中2番目に低い『2』として判断する。
【0067】
さらに、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性あり」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性について「収束予測速度が算出不能」と判定されている場合には、周囲車両の運転者が自車両に合わせて運転しようとしているか、それとも、周囲車両の運転者が自車両と異なる目標速度で運転しようとしているかを判断することができないために、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中2番目に低い『2』として判断する。
【0068】
さらに、協調性判断機能は、図6に示すように、周囲車両の運転者の応答性が「応答性なし」と判定されており、周囲車両の運転者の同調性について「収束予測速度が算出不能」と判定されている場合には、周囲車両と自車両との協調性はないものと判断し、周囲車両の運転者の運転協調性を5段階中1番目に低い『1』として判断する。
【0069】
このように、ステップS107の運転協調性の判断が行われる。
【0070】
そして、ステップS108では、報知情報生成機能により、報知情報の生成が行われる。具体的には、報知情報生成機能は、カメラ110a〜110dで撮像された画像に、周囲車両の運転者の運転協調性を示す表示を重畳することで、報知情報を生成する。また、報知情報生成機能は、運転者の運転協調性が低い周囲車両ほど強調して表示されるように、報知情報を生成する。そして、ステップS109では、報知装置140により、ステップS108で生成された報知情報が、運転者に報知される。
【0071】
以上のように、本実施形態では、自車両の車速と周囲車両の車速とに基づいて、自車両の車速の変化量の時系列データと、周囲車両の車速の変化量の時系列データとを算出し、自車両の車速の変化量の時系列データと周囲車両の車速の変化量の時系列データとの相互相関演算の結果に基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の過渡的な応答性を判断することで、周囲車両の運転者が自車両の挙動を認識して行動しようとしているか否かを適切に判断することができる。
【0072】
また、本実施形態では、自車両の車速と周囲車両の車速とに基づいて、自車両の収束予測車速および周囲車両の収束予測車速を算出し、自車両の収束予測車速と周囲車両の収束予測車速との一致度に基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の定常的な同調性を判断することで、周囲車両の運転者が自車両の車速に合わせて走行しようとしているのか、あるいは、周囲車両の運転者のペースで走行しようとしているのかを適切に判断することができる。
【0073】
そして、本実施形態では、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の応答性と、自車両の挙動に対する周囲車両の運転者の同調性とを組み合わせて、周囲車両の運転者の運転協調性を判断することで、周囲車両の運転者が自車両の挙動に協調して運転しようとしているのか否かを適切に判断することできる。
【0074】
そして、運転協調性の低い周囲車両の存在を自車両の運転者に報知することで、運転者に、このような周囲車両について注意を喚起させることができ、その結果、運転者の運転の安全性の向上を図ることができる。
【0075】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0076】
たとえば、上述した実施形態に限定されず、以下のような構成とすることができる。すなわち、周囲車両と自車両との相対距離を、周囲車両と自車両との相対速度で除した時間を接近時間として繰り返し算出し、接近時間の時系列データを微分演算することで、接近時間の変化量の時系列データを算出する。そして、算出した接近時間の変化量の時系列データに基づいて、自車両の挙動に対する周囲車両の応答性を判断する
【0077】
また、上述した実施形態では、自車両の車速の時系列データおよび周囲車両の車速の時系列データをそれぞれ微分演算することで、自車両の車速の変化量および周囲車両の車速の変化量を算出する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、自車両の車速または周囲車両の車速が滑らかに変化した場合の時系列データを仮想的に求め、この仮想時系列データの値と実測値との乖離値を、自車両の車速の変化量および周囲車両の車速の変化量として算出する構成としてもよい。
【0078】
なお、上述した実施形態において、制御装置130の自車両速度算出機能は本発明の自車両速度取得手段に、制御装置130の周囲車両速度算出機能は本発明の周囲車両速度取得手段に、制御装置130の応答性判断機能は本発明の応答性判断手段に、制御装置130の同調性判断機能は本発明の同調性判断手段に、制御装置130の運転協調性判断機能は本発明の運転協調性判断手段に、制御装置130の報知情報生成機能は本発明の生成手段に、報知装置140は報知手段に、制御装置130は本発明の接近時間演算手段に、それぞれ相当する。
【符号の説明】
【0079】
100…運転支援装置
110…測距センサー
120…車速センサー
130…制御装置
140…報知装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10